2018年05月22日 18:46 公開

ヘレン・ブリッグス記者 BBCニュース

世界最大の両生類で「生きた化石」とも言われる、チュウゴクオオサンショウウオの生息数が「破滅的」な減少をたどっており、野生の個体は数えるほどしか生存していない可能性があるという。英国の研究者らが指摘している。

4年間にわたる実地調査で、野生のチュウゴクオオサンショウウオがほとんどいなくなっていることが示唆されたという。

対照的に、食用の養殖チュウゴクオオサンショウウオが多数飼育されている。

1億7000万年前からほぼ同じような姿だったとされるオオサンショウウオは「生きた化石」と呼ばれ、世界的な保護活動の焦点になっている。

今回の調査を行ったロンドン動物学協会(ZSL)のサミュエル・タービー博士は、「この素晴らしい動物を人間の消費向けに過剰に搾取したため、驚くべき短期間に野生の数が破滅的に減少してしまった」と指摘する。

「連携のとれた保護措置が早急に導入されなければ、世界最大の両生類の将来は深刻な危険にさらされる」

高級食材として養殖も

淡水に生息するチュウゴクオオサンショウウオは、中国でもともと、よくいる生き物だった。食べるのは長らく忌避されていたが、今では、絶滅危惧種に分類されているにもかかわらず、高級食材とみなされ、状況は一変した。

野生のオオサンショウウオを捕獲するのは違法だが、養殖は盛んに行われている。大きく生育したものには1万元(約17万4000円)以上の値が付くこともある。

実地調査は、中国にある23の省のうち16省の97カ所で実施された。これまで中国で実施された野生動物に関する調査として、最大規模とみられる。

野生のチュウゴクオオサンショウウオは4カ所で確認されたが、遺伝子の分析からは、発見場所でもともと生息していたのではなく、養殖されたものが放された可能性が高いことが示唆された。

中国農業部(農林水産省に相当)は、保護政策の一環として養殖チュウゴクオオサンショウウオを野生に放つことを後押ししている。

しかし、この政策はメリットよりもデメリットの大きいようだ。研究者らは最近、チュウゴクオオサンショウウオの種類は1つではなく5つで、8つの可能性もあることを発見した。

チュウゴクオオサンショウウオの種類ごとの遺伝的な違いを考慮せずに野生に放てば、遺伝子の系統が失われる危険がさらに高まる可能性がある。

ZSLのタービー博士と共同で研究を行った昆明動物研究所のファン・ヤン博士は、「養殖のための密漁や生息地の減少といった大きい問題に取り組むと共に、恐竜の時代までさかのぼることができる、この素晴らしい動物特有の遺伝子の系統を守るため、適切な対策が不可欠だ」と語った。

中国科学院のジン・チェ博士は、「チュウゴクオオサンショウウオの保護に向けた戦略を、早急に見直す必要がある」と述べた。

チュウゴクオオサンショウウオは、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種を列挙した「レッドリスト」に入っており、中国国内でも保護対象になっている。

中国では、捕獲されると赤ちゃんのような鳴き声を出すとされ、「娃娃魚」との呼び名もある。

(英語記事 'Living fossil' giant salamander heading for extinction