小俣一平(武蔵野大学客員教授)

 今回の日本大学アメリカンフットボール部、内田正人前監督、井上奨(つとむ)コーチが出席した記者会見を見ていて思ったことがある。2人の記者会見は大人の醜悪さ、保身のための言い繕い、責任回避に終始していた。それは、前日の潔く、真摯(しんし)に記者会見に臨んだ宮川泰介選手の態度とはあまりにかけ離れたものだった。

 それだけに、アメフト部だけでなく、日大全体のイメージを失墜させるものだった。くしくも日大は来年、創設130周年を迎える。卒業生114万7千人、在校生7万3千人にとって、日本最大の学園の記念祝典に泥を塗った格好となった。
 
 日大は、どこで重大な間違いを犯してしまったのか。それは初動対応のまずさに他ならない。本来、まずケガをした関西学院大の選手や家族、監督、学校関係者に公式の場で謝罪する。何よりも入院中の選手を見舞い、直接謝り、家族やアメフト部、大学にも同様の対応をすべきであった。つまり「即謝罪」という根本原則を見失って、後回しにしている点にある。

 それがとうとう最後まで悪あがきをしたあげく、嫌々謝罪に行ったと多くの人の目には映った。日大側の対応に全く誠意が感じられないと受け止めたのは、関学大関係者ならずとも多くの国民が感じたことだろう。しかも監督、コーチの2人は言い訳に終始するばかりで、心から謝罪をしている姿はただの1度もない。これでは、関学大関係者の神経をさらに逆なでするのは当然であろう。

 次に広報部門の対応のまずさである。この間の日大広報部の傲岸(ごうがん)不遜、横柄さ、木で鼻をくくったような対応は、大学のイメージダウンを増幅させるものがあった。とりわけ23日の監督、コーチの会見終盤に突然横やりを入れた日大職員の対応は酷かった。本来、「主役」であるはずの監督、コーチそっちのけで報道陣に逆ギレした対応は「素人広報」の感さえあった。

 調べてみると、この傲慢(ごうまん)な広報担当、米倉久邦氏は共同通信社の論説委員長を務めたことのある人物だという。それに引き換え、関学大アメフト部ディレクターは元大手新聞の出身で、そのシャープさ、歯切れの良さ、対応の堅実さ、終始理路整然とした追及、どれをとっても秀逸であった。それだけに日大広報のアラ、ひどさが余計目についた。
2018年5月23日、日大アメリカンフットボール部の内田正人前監督らの会見後、報道陣に囲まれる司会を務めた広報部の米倉久邦氏(松本健吾撮影)
2018年5月23日、日大アメリカンフットボール部の内田正人前監督らの会見後、報道陣に囲まれる司会を務めた広報部の米倉久邦氏(松本健吾撮影)
 それにしても、日大は2016年に「危機管理学部」を新設して、こうした案件も対応できそうなはずだが、これが機能していないとすると「紺屋(こうや)の白袴(しろばかま)」のそしりを免れまい。いや、むしろ「宝の持ち腐れ」なのかもしれない。優秀な教授、准教授陣を結集しているのにもったいない。
 
 さて、私たちは、過去の事例から、こうした後味の悪い対応を幾度となく見てきた。企業の不正行為や隠蔽(いんぺい)が露見したときの対応一つとっても、ずるずる引っ張ってよかったためしはまずないと断言していいだろう。