この発言は、「自身の指示」で選手が悪質なタックルをやったのではなく、「選手が勝手に」行ったことを示唆している。

 つまり、内田前監督は、刑事責任の問われるような指示については知らないが、法的ではない道義的な責任は負うと述べているのである。

 そしてさらに問題を悪化させる要因となるのが、大学側が指導者を守ると一度決めてしまえば、言い訳が通じないような状況になっても、事実を認めることができなくなってしまうことだ。

 このような指導者側が責任を認めないケースで言い訳をなくすためには、以下のような二つの方法が考えられる。

 一つは、証拠を精密に積み重ねていくことだ。そのためには、反則行為について関与しておらず、指示を出していない監督が通常取る行動と、今回の内田前監督の実際の行動との「ズレ」を想定する必要がある。

 もし、何も指示を出していない監督の前で、あのような事態が生じていれば、まず本人にその場でなぜそのような行動を取ったのかと理由を聞くだけでなく、関西学院大側に即謝罪を行うなどの動きがあってしかるべきだ。

 ただ、実際の日大と関学大の試合ではこうした行為はなかったという。さらに、内田前監督は会見で「ボールの行方を見ていたので、反則行為は目に入らなかった」と説明している。だが、選手の行動に関して、反則内容やプレーの対応については、監督のもとに情報が随時入るはずだ。ラフプレーが続くようであれば、本来その場で指導が入るべきだろう。

 こうした、監督の話と矛盾する事実の積み重ねを、証拠によって適示することができれば、見解を改めさせることができる。

 もう一つは、他の部員や関係する指導者たちの「内部証言」を集めることだ。内田前監督らは、焦点となっている「つぶせ」という言葉の意味について、「試合前によく使う言葉であり、『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味」と説明している。
記者会見を開いた日大アメフト部父母会の会長(手前左)、副会長(同右)=2018年5月24日、東京都港区(鴨川一也撮影)
記者会見を開いた日大アメフト部父母会の会長(手前左)、副会長(同右)=2018年5月24日、東京都港区(鴨川一也撮影)
 これについて、もし、他の選手が内部事情を証言すれば、監督ら指導者発言の本来の意味が解明されるはずだ。つまり、「抽象的な指示を選手が勝手に解釈した」という状態から、「反則してでも相手選手にダメージを与えてこいという指示を選手が受けた」という状態に変えられる可能性が出てくる。集められた証言が、大きな力を持つことになる。