河治良幸(サッカージャーナリスト)

 「狙いとしてできたところと、そうでない部分の中で、こういう結果が出た」
 サッカー日本代表は5月30日に行われたロシアW杯メンバー発表前の最後の親善試合でガーナと対戦して0-2で敗れ、西野朗新監督は初陣を飾ることができなかった。

 本大会に2カ月と迫ったタイミングで解任されたバヒド・ハリルホジッチ前監督に替わり、4月に就任した西野監督は5月21日にスタートした国内最終合宿で「3-4-2-1」という新システムを採用してガーナ戦に臨んだ。もともと本大会を戦うベースとして固めるというより、まずはトライして可能性を探る目的があったとはいえ、ホームでW杯出場を逃したガーナに完敗を喫し、内容的にも乏しいものになったことは「想定内の誤算」とも言える。

 ハリルホジッチ前監督を技術委員長として支える立場だった西野監督は前監督から多くのものを継承できると語っており、実際に今回の合宿に招集した27人のメンバーのほとんどがハリルホジッチ前監督に近年招集された選手たちだった。

 唯一、ハリルホジッチ前監督の「初陣」となった15年3月の試合を最後に事実上の代表引退をしていたブラジルW杯経験者の青山敏弘(サンフレッチェ広島)の選出が「サプライズ」だったが、残念ながら本番直前の5月20日にJリーグの試合で右膝を痛め、一度は合流したもののメディカルチェックの結果、離脱となった。

 西野監督は「デュエル」(フランス語で決闘を意味する1対1の強さ)や球際で戦うところ、相手の裏を素早く狙ってゴールを目指す意識などは、ハリル監督から引き継ぎながら、選手たちが臨機応変に判断できる環境を作っていると思われた。しかし、ガーナ戦で蓋(ふた)を開けてみればショートパスを起点に攻める形が非常に多く、守備はボールを奪う位置がかなり低かった。
サッカー日本代表のハリルホジッチ監督(左、当時)と西野朗氏=2017年8月、さいたま市内
サッカー日本代表のハリルホジッチ監督(左、当時)と西野朗氏=2017年8月、さいたま市内
 そうした展開になった要因としては、ガーナに早い時間帯に先制され、そこから自陣に引かれたこともあるが、筆者の見込みから考えるとポゼッション(ボール支配)の方に比重が偏りすぎた感も否めない。

 本大会で対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドは典型的に引いて守ってくるチームではなく、このガーナ戦のように早い時間帯でリードでもされない限り、日本が中盤でボールを持つ時間はそう多く作れないだろう。

 仮に「3−4−2−1」をベースに臨む場合も裏を狙う形とパスをつないで攻める形を併用するプランを想定しておかないと、ガーナ戦のようにボールを持たされるような展開もあれば、逆にボールを無理につなごうとしてそれを阻まれ、守備でも相手にボールを回されて後手後手になってしまうような事態も起こり得る。4年前、ブラジルW杯で逆転負けを喫したコートジボワール戦は後者だった。