2018年06月09日 14:40 公開

米ホワイトハウスは12日に予定される米朝首脳会談での交渉担当者を明らかにしていないが、ヒントはある。

首脳会談の事前交渉にすでにかかわってきた少人数の専門家がいるからだ。

彼らの一部が実際の首脳会談でも大きな役割を果たす可能性は高い。

ドナルド・トランプ大統領に加えて、マイク・ポンペオ国務長官が中心的な役割を果たす。

ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)もシンガポールに向かうだろう。しかし、同氏の強硬路線が北朝鮮を激怒させており、同氏がどのように会談にかかわるのかは不透明だ。

ボルトン氏が北朝鮮の非核化のモデルとしてリビアの例を持ち出した際には、首脳会談はあやうく中止されるところだった。リビアでは、2003年に当時の指導者ムアンマル・カダフィ大佐が核兵器の放棄に同意。しかし、2011年には西側諸国が後押しする反体制勢力によって殺害されている。

では、他には誰が加わるのだろうか?

アンドリュー・キム氏

韓国系米国人のアンドリュー・キム氏は米中央情報局(CIA)で「朝鮮ミッションセンター」の責任者を務める。

米紙ワシントン・ポストによると、キム氏は生まれ育った韓国でキム・スンヒュンという名前を使っていた。

キム氏は、韓国の国家安全保障室長や国家情報院のトップを輩出している有名校、ソウル高校に進学。その後、米国の大学で学んだ。

キム氏のキャリアの大半はCIAで、モスクワや北京、バンコクやソウルで勤務した経験がある。

CIAは昨年5月に新たに設置した「朝鮮ミッションセンター」のトップとして、退職していたキム氏を呼び戻した。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の顧問の一人は、首脳会談に向けた準備が進められるなか、キム氏はポンペオ国務長官の右腕として、幅広い北朝鮮政策にかかわっていたと話す。それには北朝鮮に対する攻撃の検討も含まれるという。

韓国や日本のメディアは、北朝鮮に対する強硬姿勢からキム氏を「地獄からの死者」と呼んでいる。

スン・キム元駐韓大使

外交官を長年務め、現在は駐フィリピン大使のスン・キム氏は、2011年から14年にかけて駐韓大使だった。6カ国協議では米国の特使を務めた。

キム氏はソウル出身だが、米ロサンゼルスで育った。外交官として東京やクアラルンプール、香港での勤務経験がある。

ワシントンでは、北朝鮮政策担当特別代表や東アジア・太平洋局国務副次官補などを歴任した。

ロイター通信によると、キム氏は最近、南北軍事境界線にある板門店で行われた北朝鮮との交渉で米側のチームを率いた。

ある韓国政府関係者はキム氏が「有能で冷静、慎重」で、「問題をしっかり理解しており、北朝鮮を良く知っている」と評したと、ロイター通信は伝えている。

ランダル・シュライバー氏

ジェイムズ・マティス国防長官の最側近。ホワイトハウスはシュライバー氏が首脳会談に向けた基礎作りで大きな役割を果たしたと明らかにしている。

海軍の情報将校や国務省の外交官を経て、現在は国防総省でアジア・太平洋の安全保障問題を担う次官補を務める。板門店で何週間にもわたり北朝鮮代表団と交渉してきた。

シュライバー氏は先月、平壌を訪問したポンペオ国務長官に同行した。

1994年から98にかけ、シュライバー氏は国防総省で中国軍との日々のやり取りや、台湾との関係を担当していた。

アジアの安全保障政策を専門とするシンクタンク「プロジェクト2049」の最高経営責任者(CEO)を務めたこともある。

シュライバー氏が共同設立したコンサルタント会社、アーミテージ・インターナショナルによると、シュライバー氏は米西部オレゴン州出身で、トライアスロン大会に4回参加している。

アリソン・フッカー氏

フッカー氏は、オバマ前政権時の2014年に国家安全保障会議(NSC)のメンバーとなった朝鮮半島の専門家だ。

それ以前は、国務省情報調査局で北朝鮮の核政策を担当していた。

今年2月に韓国・平昌で開かれた冬季五輪では、ホワイトハウスの指名を受け、閉会式に出席した米代表団に加わった。しかし、北朝鮮政府関係者に会ったとの報道はない。

オバマ政権下で2014年に、当時のジェイムズ・クラッパー国家情報長官と共に北朝鮮を訪れ、拘束されていた米国人2人の解放に向けた交渉を行った。限られた滞在時間には、軍の有力者だった金英哲(キム・ヨンチョル)氏とも面会している。金氏は現在、朝鮮労働党副委員長で金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の最側近の一人。

ワイルド・カードはイバンカ・トランプ氏

首脳会談に参加する米側担当者のワイルド・カードになり得るのは、トランプ大統領の長女、イバンカ・トランプ氏だ。大統領補佐官でもあり、平昌冬季五輪では米代表団を率いた。北朝鮮が選手団を派遣した平昌五輪は、南北関係の緊張緩和を促進し、4月の南北首脳会談などにつながった。

イバンカ氏は五輪閉会式で、金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏のすぐ前に座った。

ホワイトハウスはメラニア・トランプ大統領夫人がシンガポールの首脳会談でトランプ氏に同行しないと発表したが、かえって、予期されない中で突然姿を見せるのではないかとの憶測を呼ぶ結果となっている。

(英語記事 Trump-Kim summit: The US negotiating team heading to Singapore