韓国国内では、財閥系中心の硬直した雇用市場が招いた構造的な要因という指摘も多い。また大企業の強力な労働組合が、既存の労働者の立場を確保するために、新しい外部労働者である若者たちの新規参入を拒んでいる面も強い。

 だが、韓国には、日本の最近の経済政策による効果と若年雇用との関係を想起してほしいものだ。日本では、「アベノミクス」の核心政策である金融緩和が積極的に行われた結果、新卒採用が大幅に改善した。いわゆる「人出不足」の状況が現出したのである。

 大企業だけでなく、中小企業も今までの構造的に思えた厳しい採用方針を転換して、新卒採用に努力を重ねている。それは待遇の改善にもつながる動きが本格化している。非正規雇用も減少に転じて、正規雇用が増加する傾向が定着しつつある。

 また、最低賃金が上昇し、反映される形でバイトやパートの時給も顕著に上昇している。これらの日本の雇用状況は、日本人の物忘れの激しさもあり指摘されることは少ないが、つい数年前までは日本の「構造問題」が邪魔してなかなか実現できない、と指摘されていたものばかりである。

 つまり、韓国でもインフレ目標の目標値を引き上げるなど積極的な金融緩和政策を採用すれば、若者たちの状況も大きく変わる可能性があるのである。

 しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権による若者の雇用対策は、どうも明後日の方向を向いているようだ。最近では、国内の就職状況を自ら解決することではなく、日本のような若者の雇用状況がいい国への就職を推進する政策を採ろうとしているのである。

 労働問題を担当する文大統領直属の雇用委員会は、「海外地域専門家養成方策」という計画を発表し、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国へ1万8千人の就業を促進することを打ち出した。もちろん韓国に限らず、日本でも有能な人材が国際的な労働市場に参画することは、個人の夢の実現にもつながる。
2018年1月、ソウル市内で韓国の文在寅大統領の年頭記者会見のテレビ映像を見る市民(AP=共同)
2018年1月、ソウル市内で韓国の文在寅大統領の年頭記者会見のテレビ映像を見る市民(AP=共同)
 だが、そもそも韓国の日本など海外への就職推進政策は、自らが生み出した深刻な若年雇用の悪化という「負の遺産」を、海外に責任転嫁する政策だといっていいだろう。はっきり言えば、文政権の「責任逃れ」でしかない。文政権はまず雇用改善の前提条件ともいえる金融政策の転換を実施する必要がある。

 BTSには『血、汗、涙』という代表曲がある。韓国の若者たちの血、汗、涙がどのような原因で生まれるのか、韓国政府は他国に責任を押し付けることなく、自らその解消に真摯(しんし)に取り組むべきである。