2018年06月13日 13:58 公開

今年のノーベル文学賞受賞者発表が見送られるきっかけとなった性的暴行疑惑をめぐり、フランス出身の写真家ジャン・クロード・アルノー氏がレイプ容疑で起訴された。スウェーデンの検察当局が12日に発表した。

アルノー容疑者は2011年、2度にわたって女性をレイプした罪に問われている。同容疑者は疑惑を否定している。

ノーベル文学賞を選考するスウェーデンアカデミーはこの疑惑への対応をめぐって批判を受け、先月、今年のノーベル文学賞受賞者発表を見送ると発表した。

スウェーデン検察のクリスティーナ・ボイト検察官は、アルノー容疑者の疑惑に関する証拠が「強固で、訴追するのに十分」だと話した。

アルノー容疑者はスウェーデンで有名な写真家。数世紀にわたる歴史を持つスウェーデン・アカデミーの元会員と結婚している。

同容疑者の弁護士、ビョルン・フーティグ氏は「アルノー氏は疑惑について、自分は完全に無実だと主張している」と述べた。

「証拠が強固なものだという検察官の見解には同意しない」とフーティグ弁護士は付け加えた。「見解が違うのは、厳密な証拠はない点だ。直接の目撃証言はないし、出来事はずいぶん前のことだ」。

2度のレイプは同じ女性に対して行われたと考えられているが、具体的に誰なのかは明らかになっていない。

ノーベル賞めぐる疑惑、これまでの経緯

この疑惑は、セクハラ被害者を支援する「#MeToo(私も)」運動のスウェーデンでの高まりに端を発して明らかになった。昨年11月、女性18人がスウェーデンの新聞でアルノー氏のセクハラと性的暴行を告発し、スウェーデン検察に調査を促した。

アルノー容疑者による性的暴行の多くは、スウェーデン・アカデミー所有の建物か同容疑者が主宰する文学クラブの建物内で起こったとされる。アルノー容疑者は全ての性的加害を否定した。

アルノー容疑者は2006年、公式な晩餐会の最中にスウェーデンの王位継承者でもあるビクトリア王女の体を触ったとの告発も受けている。同容疑者はこの疑惑も否定している。

スウェーデン・アカデミーは4月、弁護士によって実施され裁判官に提供された内部調査の報告書を公表した。

また同アカデミーは同月、アルノー容疑者の妻で詩人・作家のカタリナ・フロステンソン氏について、定員18人の同アカデミー会員解任に反対する議決をした。

この議決は、利益相反疑惑やノーベル文学賞受賞者名の事前漏洩疑惑とともに、同アカデミー内部の分裂や「辞任」の波を引き起こしたと言われている。「辞任」を表明した中には、フロステンソン氏のほか、当時のアカデミー会長、サラ・ダニウス教授も含まれた。

スウェーデン・アカデミーの会員は終身制で、厳密には辞任できないが、運営や議決への参加を拒否することはできる。

疑惑の悪影響で、同アカデミーはノーベル文学賞の今年の受賞者発表を見送ると決定した。大衆からの信頼の欠如を理由としている。

同アカデミーは声明で、「総定員の確保、より多数の現役会員の関与、そして業務への信頼回復のため、アカデミーには時間が必要だ」と述べた。

同アカデミーは、2018年のノーベル文学賞受賞者は来年、2019年の受賞者と共に発表するとしている。

(英語記事 Jean-Claude Arnault, photographer in Nobel prize scandal, charged with rape