こうして、部屋の名義人はすでにマンションを購入し、身分確認を必要としない日雇い労働者中心の利用客から1泊2000円を徴収して、「ヤミ民泊ビジネス」を進めていたのである。たまらないのは同じマンションに住む普通の日本人世帯だ。頻繁に発生する同居人どうしの口論やケンカ、それに時間帯に関係なく仕事で出入りする騒音、生ゴミを捨てずにため込むことで発生する異臭や恐怖感から、転居を余儀なくされる。

 こうして日本人が出ていった部屋に、知人から頼られた中国人が大家にまた「ヤミ民泊」を持ちかけ、大勢を住まわせながら、在日中国人社会の中にメンツを立ててきた。こうした中国人密航者の「定着システム」は、20年ほど前から新宿や池袋で確認していた。「民泊」という言葉が生まれる前から、多数の中国人が都心の集合住宅に入居や購入しながら、すでに「経営ノウハウ」を蓄積していたのである。

 政府は今、こうした外国人を含め、誰が泊まるか分からない宿泊場所を民泊として合法化し、観光客を誘致・収容して、経済活性化を目指している。特に、オリンピックを2年後に控えた東京都心でアパートやマンションを民泊化した場合、当然ながら人の出入りから近所に不安を与えたり、迷惑をかけることになる。一方で、逆に経営側に回れば、危険性も高いが利益も膨らむ可能性も生まれる。

 とりわけ、都市部では警察による施設把握が難しい上に、施設の多くでは宿泊者の明確な身分を確認できないし、またすることもない。不法滞在の増加に伴い、警察に協力すると「客」が減る可能性さえあるからだ。

 現在、民泊仲介大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)では、インターネット上で個人住宅や空室を持つ貸主と宿泊先を求める旅行者との間のマッチングを行うため、利用者はネットで登録が必要となる。だが、安い宿では身分確認のための登録を必要としていないところが多い。

 中にはマッサージ店など違法な風俗営業を伴う個室のベッドを時間限定で民泊化しているものもあり、当然ながらオプションで風俗サービスが付いたりもする民泊型売春宿もあるようだ。そもそも宿泊客と経営者の接点がない宿もある。あまりにも性善説をアテにしたシステムだが、このようなお気楽さは、かえって犯罪に好都合だといえる。

 3月には1階を民泊として貸し出していた東京・世田谷区の民家で、外国人男性の遺体が発見された。世田谷といえば、今でも高級住宅地のイメージがあるが、このような地域に民泊経営者が増えれば、隣近所の顔が見える地域の安心感や、安定した収入を確保している層の住民が構成する地域のステータスを損ない、住宅価値も確実に下がるだろう。
画像はイメージです(iStock)
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 実際に、今では中国人が戸建て住宅を購入して部屋ごとに貸し出す、1棟丸ごと民泊ビジネスを展開している。近所の住人は中国人家族が越してきたのかと勘違いするが、「家族構成」がいつも違っている上に話が通じず、地域活動にも参加しないなど接点をつくるどころか、問題発生の際の解決のめどもつかないありさまになるのだ。

 さて、来日外国人の中でも多数を占める中国人の不法来日で、メーンの手段となっているのは、今や密航ではなく「なりすまし」だ。通常、中国では「公安局」と呼ばれる警察署で戸籍が管理され、旅券が発行されているため、必要な書類を警察署に提出し旅券の発行を受けて来日する。