2018年06月14日 14:19 公開

ビル・ウィルソン BBCニュース・ビジネス担当記者

調査会社ニールセン傘下のニールセン・スポーツは11日、サッカー・ロシアワールドカップ(W杯)に関する調査レポートを発表した。調査によると、ロシアW杯のスポンサー収入は、2014年ブラジル大会よりも下落した。

国際サッカー連盟(FIFA)が得たスポンサー収入は、2014年ブラジル大会では16億2900万ドル(約1797億円)だったが、今大会では14億5000万ドル(約1600億円)に減少した。

世界市場の調査を行うニールセンは、2015年から2018年にかけてのスポンサー獲得周期は、過去2回のW杯に比べて「厳しい販売周期」だったとしている。

「しかし、中国の複数企業を含む新しいスポンサーの一群は、FIFAを嵐から救った」と同社は述べた。

ファンのためのヨーグルト

中国のスポンサー企業は、ジョンソンアンドジョンソン、カストロール、コンチネンタルといった長期にわたりFIFAを支えてきた多くの企業からその役割を引き継いだ。これらの企業の多くは、FIFAで発覚した汚職疑惑を受け、2015年5月に契約を終了していた。

中国最大の不動産企業、ワンダ・グループは、FIFAの公式スポンサー7社のうちの1社となっている。残りの6社には、コカコーラ(米飲料大手)、アディダス(独スポーツ服飾大手)、ガスプロム(露エネルギー大手)、カタール航空、ビザ(米金融大手)、現代/起亜(韓自動車大手)が名を連ねている。

ワンダ・グループが傘下に置く企業の一つ、インフロント・メディアはスポーツ・マーケティングを専門とする会社だ。アジアにある26の国と地域で、2018年ロシアW杯と2022年カタールW杯のメディア権を獲得している。

一方、2018年ロシアW杯の公式スポンサー5社のうち、テレビや冷蔵庫が有名な電機メーカーのハイセンス、スマートフォンを製造するビボ、そして乳製品企業の蒙牛の3社が中国企業だ。

蒙牛はロシアW杯の試合会場でヨーグルト飲料とアイスクリームを独占販売する権利を持っている。

2022年カタールW杯ではスポンサー収入が増加する?

4年ごとの財務上の周期で、W杯はFIFAが得るスポンサー収入のうち非常に多くの割合を占めている。ニールセンによると、例えば2010年にFIFAがW杯以外のスポンサーから得た収入はわずか2500万ドル(約28億円)で、2014年も4900万ドル(約54億円)にすぎなかった。

ここ最近で上下している可能性があるものの、W杯スポンサー収入はこの20年で全体的に大幅増加している。2015年から2018年までの間に、1999年から2002年までで得たスポンサー収入の2倍以上をFIFAは獲得した。

ニールセン・スポーツのマネージング・ディレクター、グレン・ラベット氏は「2022年カタールW杯のスポンサー収入が再び増加することを、FIFAは望んでいる」と述べた。

同氏は「FIFAは恐らく、中東初のワールドカップで利益を得ようと模索している中東企業からの支援を待っているだろう」と話す。

「またFIFAは、2016年にジャンニ・インファンティーノ会長が導入した近代化改革『FIFA2』に対する好意的な反応も期待しているはずだ」

FIFA2にはサッカーの発展と参加者増加のための投資や、透明性や組織統治の新基準導入への試み、2026年までに女性サッカー選手を全世界で6000万人と現在の2倍とする施策などが含まれている。

中国企業の成長

W杯のスポンサーは、大部分が欧州、北米、アジアの企業だ。2010年南アフリカW杯ではアフリカの企業、2014年ブラジルW杯では南米の企業が、それぞれスポンサー契約を交わした。

「しかし、今大会ではこれらの大陸の企業はスポンサーになっていない」とラベット氏は言う。

「アジアのスポンサーは突出して存在感を増している。アジア企業は実際、2018年ロシアW杯に最も大きな影響を与えており、スポンサー契約の39%がアジア企業とのものだ」

そして、中国のスポンサー企業が初めて現れたことが、アジアが存在感を増した主要な要因となっている。

できるだけ早くW杯開催国になりたい政府の強い奨励もあり、中国ではサッカーが流行している。

ラベット氏は、「FIFAの中国企業との契約は、サッカーを発展させW杯を招致するという、国を挙げての取り組みに国営企業が乗じたためとみることもできる」と指摘した。

ニールセンによると、中国都市部でのサッカーに対する関心は、2013年には27%だったのに対し2017年には32%と上昇しており、都市部に住む34歳以下の中国人の4分の3はサッカーが好きだと回答したという。

(英語記事 Russia 2018: Chinese firms fill World Cup sponsorship gap