今この瞬間にも、私たちの足下の地中深くでは「巨大地震」を起こすエネルギーが溜まり続けている。政府発表では、30年以内に起こる確率は最大80%。しかも最近、深海には不気味な兆候が次々に表れている──。

「倒壊して14人が亡くなったアパート兼ホテルのビルから、日本人の高齢夫婦が救出されました。夫婦は2011年3月、東京で東日本大震災を経験し、妻の出身地の台湾に移住したそうです。瓦礫の下で手を握って励まし合い、地震発生から1時間半後に救助されました。同居していた介護士は遺体で見つかったので、本当に奇跡的な救出劇でした」(現地在住ジャーナリスト)

 2月7日未明、台湾東部をマグニチュード6.4の激震が襲い、17人の死者と280人以上の負傷者が出た。海の向こうで起きた大災害は、日本とも無関係ではない。元気象庁精密地震観測室・室長の岡田正実さんが解説する。

「日本は“地震の巣”と呼ばれますが、それは日本列島が4つのプレートが重なり合う真上にあるからです。プレートというのは、地球の表面を覆う厚さ100kmほどの岩盤のこと。少しずつ動いて他のプレートとぶつかり、プレートの境界や内部で破壊(断層運動)が起きることで地震が発生します。

 台湾の地震は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが接触するところで起きました。実は、台湾から北上して見ていくと、そのプレートの接触面は、日本列島の九州から東海にかけての太平洋側の海底まで続いています。それを『南海トラフ』と呼びます。

 つまり、今日本で懸念されている大規模な『南海トラフ地震』を引き起こすプレートは、台湾の地震の原因となったプレートと同じ。日本でも『南海トラフ地震』とその津波への備えを充実させる必要があります」

死者は最大で32万3000人

 南海トラフ地震は、駿河湾から九州沖にかけての海底にある溝(トラフ)を震源とする地震だ。海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレート下に沈み込む時、陸側のプレートの端が巻き込まれて“歪み”が蓄積する。その“歪み”が限界に達すると、陸側のプレートの先端が元に戻ろうと一気に跳ね上がって、激しい揺れと同時に海水を一気に持ち上げるので、大きな津波が発生する。
2017年11月、名古屋市で開かれた、南海トラフ巨大地震に伴う企業の防災対応の在り方を議論する検討会
2017年11月、名古屋市で開かれた、南海トラフ巨大地震に伴う企業の防災対応の在り方を議論する検討会
「最大規模のマグニチュード9クラスの南海トラフ地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7、隣接する周辺の広い地域でも震度6強から6弱の強い揺れになることが想定されています。関東から九州地方にかけての太平洋沿岸の広範囲で10mを超える津波が襲来し、さらに最大30m級の大津波が起こる可能性も否定できません」(前出・岡田さん)