島村英紀(武蔵野学院大学特任教授)

 大阪府北部で最大震度6弱を観測する地震が起きた。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・1で、震源の深さは13キロと浅かった。典型的な直下型地震である。

 都市部を襲った地震だけに、死者を出してしまったブロック塀の倒壊や地下の水道管の破裂など、都会を襲う地震の被害がここでも繰り返されている。

 ところで、日本の都市部の中でも、近畿地方は例外的に活断層がよく見えている地域だ。それに比べて、首都圏では厚い堆積物に覆われていて、地下の岩の割れ目である活断層はほとんど見えない。しかし、どちらの地方でも同じような直下型地震は起きるのである。

 1855年に起こった安政江戸地震は、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)以上の、日本で最大の被害を生んだ直下型地震であった。1万人以上が犠牲となったこの地震はM7クラスとい言われ、震源は隅田川の河口付近だと思われている。だが、ここには厚い河川堆積物があって、活断層が見えない。

 三大都市の一つ、名古屋を形作った濃尾平野など、日本の都会のほとんどは厚くて平らな堆積物の上に展開されている。それゆえ活断層は見えない。

 活断層の定義は「地震を起こす地震断層が浅くて地表に見えているもの」である。だから、日本の都会のほとんどの地下には活断層が「ない」ことになる。しかし、実際は活断層が引き起こすのと同じような直下型地震が起きている。つまり、活断層が見えないだけで「ない」わけではないのである。

 今回の大阪北部地震は、大阪平野の北縁にある「有馬-高槻断層帯」の東端に近く、大阪の東部を南北に走る「生駒断層」の北方の延長上にある。つまり、二つの活断層の交点で起きたものだ。

 大阪市の中心部には「上町断層」が南北にあり、生駒断層と並行して走っている。この活断層が地震を起こせば、阪神・淡路大震災並みの被害を生むのではないかと、かねてより恐れられている。
大阪北部で起きた最大震度6弱の地震で冠水した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市(沢野貴信撮影)
大阪北部で起きた最大震度6弱の地震で冠水した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市(沢野貴信撮影)
 だが、今回の地震は上町断層ではないところで起きた。上町断層が「近畿地方の次の地震」を起こす断層ではなかったことになる。一つの活断層が大地震を起こすのは、長ければ数万年に一度なので、注目されている活断層が、注視されている間に地震を起こすわけではないのである。

 さらに今回の地震に関連して、怖いことがある。それは、近い将来発生が恐れられている南海トラフ巨大地震の前の「先駆け」として、西日本に直下型地震がいくつか起きることが経験的に知られていることだ。つまり、今回の地震も「先駆け」の一つかもしれないのである。