南海トラフ巨大地震の「先祖」は、これまで13回発生したことが知られている。だが、地震の規模は1回ごとに異なる。

 一番最近に起きた1944年の東南海地震と1946年の南海地震は、二つ合わせても、「先祖」の中で小ぶりのものだった。「一番近い先祖」が小ぶりだったことは、すなわちこの次に起きる南海トラフ巨大地震の規模がそれよりも大きい可能性が高いということでもある。

 実際、2回前の先祖である1707年に起きた宝永地震は、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)並みの巨大地震だったことが分かっている。

 その1944年から1946年にかけて発生した「一番近い先祖」の前に、1925年の北但馬地震、1927年の北丹後地震、そして、1943年には鳥取地震が起きていたのである。それぞれ直下型地震で、400~3000人もの死者を出していた。そのあとに、東南海地震と南海地震が襲ってきたのである。

 では、巨大な海溝型地震である南海トラフ巨大地震の前に、なぜ西日本で直下型地震が多く起きるだろうか。実は、地震学的には解明されていない。ただ、経験的に今まで起きてきた以上、無視するわけにはいかない。

 今回の大阪北部の地震に限らず、近年、西日本では直下型地震がいくつか起きている。2013年4月には淡路島でM6・3の直下型地震が起き、住宅の一部損壊が2000棟以上にのぼったほか、液状化により施設が壊れたり、水道管破損による断水が起きた。

 また、2015年2月には徳島県南部でM5・0の直下型地震が起きた。この地域は近年、地震が少ないところだけに余計注目を集める結果となった。
昭和南海地震で浸水した高知の市街地。震災の歴史は繰り返すのか=1946年撮影(高知市提供)
昭和南海地震で浸水した高知の市街地。震災の歴史は繰り返すのか=1946年撮影(高知市提供)
 淡路島の地震と徳島の地震は幸いマグニチュードが小さかったので被害も少なかったが、もっと大きな地震が起きていたら、より甚大な被害をもたらしたに違いない。

 もし、数年あるいは十数年以内に南海トラフ巨大地震が起きれば、阪神・淡路大震災も、南海トラフ巨大地震の「先駆け」の直下型地震として数えられるかもしれない。

 阪神・淡路大震災の半年後に起こり、同じM7・3だった鳥取県西部地震も、同じように数えられるに違いない。それほど、南海トラフ地震が放出するエネルギーは巨大なものであることを忘れてはならない。