遠田晋次(東北大災害科学国際研究所教授)

 23年前の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)で「関西に大地震は来ない」という認識はさすがに消え去ったが、いまだに関西の人々は地震に不慣れだ。

 北摂山地(大阪府北部)や和歌山市周辺を除いて普段から地震が少なく、小さくて浅い地殻内地震のために、揺れる範囲が狭いからである。

 筆者は2009年から3年半、京都大学に所属し、その後も先月まで居を京都市南部に構えていたが、その間に体感した地震は指折り数えるほどしかなかった。実際、今回の地震は、大阪府で1923年の観測以来初めての震度6弱であったという(23年前の兵庫県南部地震で、大阪市は最大震度4であった)。

 京大時代に関西の方々と触れ合う機会が何度かあったが、活断層に関心がある方々は多かったが地震に対する危機感は低かった。3・11後も、どうやら南海トラフの巨大地震や津波に関心が行きがちで、近畿地方や中部地方の本当の危機は、活断層による直下型地震であるという認識が薄い印象を受ける。

 不幸にも、揺れで倒れたブロック塀によって幼い命が失われたが、これはくしくも40年前の1978年6月12日の宮城県沖で多発した地震被害と同じであり、ブロック塀の耐震化は東日本では常識となっていたものだ。

 一方で、阪神・淡路大震災をきっかけに「活断層」は少しずつ身近なものになってきた。著者も時折、NHKのバラエティー番組『ブラタモリ』を見るが、番組の2、3回に一度は「高低差」や「段差(ダンサー)」「活断層」というキーワードが登場する。京都編などでも、清水寺や天竜寺周辺の風光明媚(めいび)な地形が活断層と関係しているという紹介もあった。

 実際、「凹凸」の凹にあたる京都盆地や琵琶湖、大阪平野、大阪湾、奈良盆地、凸の六甲山地、生駒山地、鈴鹿山地、金剛山地など、10〜30キロの波長で凹凸を繰り返す地形は数十万年間に及ぶ活断層の営みの賜物(たまもの)である。

 大地震の時の断層の動きは数メートル程度でも、それを数千年〜数万年で繰り返して、数十メートル〜数百メートルの崖や凹凸の地形になる。逆に言えば、凹凸の境界部分に大きな活断層が分布することになる。
2018年6月18日、屋根瓦が落ちた大阪府高槻市の住宅=産経新聞社ヘリから(恵守乾撮影)
2018年6月18日、屋根瓦が落ちた大阪府高槻市の住宅=産経新聞社ヘリから(恵守乾撮影)
 まだ情報が不十分であるが、現時点で今回のマグニチュード(M)6・1の地震を一言でいうと、「活断層とその周辺で起こった一回り小さな地震」と表現できる。今回の地震は、近畿地方を代表する活断層の一つである「有馬ー高槻断層帯」の東端付近で発生した。しかし、本震の震央とその後の余震(6月18日17時ごろまで)は、有馬ー高槻断層帯よりも少し南側に集中しているようにみえる。

 活断層というと、地図に描かれた線だと勘違いされている一般の方が多数いらっしゃる。しかし、地下では断層は傾いていて、地表の位置と遠く離れたところに位置する。