今回も、震央は有馬-高槻断層帯と、上町断層帯ではなく生駒断層帯が交差するあたりに位置する。しかし、仮に上町断層が45度で傾いていたとすると、ちょうど震源の深さである13キロ辺りでは地表の位置から13キロ東にずれ、今回の震央と整合する。つまり、今回の地震は、有馬-高槻断層帯と上町断層帯という二つの第一級の活断層が交差する接合部で発生したとみられる。

 この状況をどこかで見たことはないだろうか。そう、熊本地震の「前震」と言われる2016年4月14日のM6・5の地震に状況が似ている。この地震で益城町では震度7を観測している。

 この前震は日奈久断層と布田川断層の交差する場所で発生した。その後周辺で余震が活発化し、28時間後の4月16日に「主役」の布田川断層が動き、熊本地震の本震(M7・3)が発生する。

 最初のM6・5の地震を、起きるべくして起きた前兆としての「前震」と解釈する研究者もいるが、筆者は最初の地震の余震の一つがM7・3になったのだと考えている。すなわち、M6・5の地震が周辺の活断層、つまり、熊本地震では布田川断層を刺激したとみる。その意味では、今回の大阪府北部の地震の余震活動の活発度や広がり方、近傍活断層への影響評価を早急に行う必要がある。

 特に注意が必要なのは、人口269万人の大阪市の直下を走る上町断層帯への影響だ。そもそも今回の地震は上町断層帯の地下深部が一部動いた可能性もある。上町断層帯は、平均的な活動の繰り返し間隔が約8千年で、最後に動いたのが9千年〜2万8千年前と推定されている。

 すでに「満期」は過ぎ、「いつ動いてもおかしくない」というのが活断層研究者の大方の見方だ。30年確率にすると2〜3%と算定されている。現実的な確率値は小さいが、日本列島の活断層の中では非常に高い部類に入る。国の地震調査研究推進本部や大阪府によって推定震度や被害想定も公表されているが、被害の深刻さは実際に起こってみないとわからない。
2016年4月15日、熊本地震により倒壊した家屋が塞いだ道路を歩く被災者ら=熊本県益城町(桐原正道撮影)
2016年4月15日、熊本地震により倒壊した家屋が塞いだ道路を歩く被災者ら=熊本県益城町(桐原正道撮影)
 一方で、政府のこのような活断層地震の評価というのは、あくまでも、その活断層で起きる最大地震の確率である。上町断層帯であれば、M7・5レベルの地震となる。

 しかし、最近注目されているのは、「活断層とその近傍で発生する一回り小さな地震(M6台)」だ。今回の地震もそのような地震かもしれないし、今後も同規模か少し大きな地震が有馬-高槻断層帯や上町断層帯上で発生するかもしれない。少なくともM6台の地震が2〜3%よりも高い確率で発生することは間違いない。

 今回のM6・1の地震は、M7・3の熊本地震や兵庫県南部地震の60分の1のエネルギーしかないが、今回の高槻市のように、震源直上では局所的に震度6弱を超えるような強い揺れとなる。これが内陸地震の特徴でもある。

 災害は揺れに見舞われる暴露人口と都市の脆弱(ぜいじゃく)性で決まるので、M6級でも状況によっては、大きな被害に直結する。特に、大阪平野は軟弱な堆積物が厚く、揺れが増幅される傾向がある。今回の地震も、淀川沿いの軟弱地盤に被害が集中しているようにもみえる。今後の地震活動の推移を注視するとともに、構造物の耐震化や家具の固定など、早急な防災・減災対策が必要である。