高橋学(立命館大学環太平洋文明研究センター教授)

 6月18日午前7時58分、大阪と兵庫両府県の断層である「有馬・高槻構造線」と「生駒西麓断層」が交わる深さ10キロを震源としたM(マグニチュード)6・1の地震が発生した。

 規模からみると、日本列島でM6クラスの地震は5年に6回程度発生しており、さほどめずらしいものではない。今回の約33倍のエネルギーが放出されるM7クラスの地震でも、5年に3回は発生している。

 今回の地震が注目されたのは、大阪という非常に地盤の軟弱な地域で起きたことである。大阪は大阪城の位置する「上町段丘」だけが東京の山手にあたる比較的地盤の良いところであり、大阪中心部を南北に走る地下鉄御堂筋線や新大阪駅、梅田駅周辺などは、東京の下町や銀座、有楽町と同様に極めて地盤が悪い。

 そういった地点に主要な鉄道駅があるのが現状だ。これは、東京駅、上野駅、品川駅などと同様に、鉄道駅は街はずれの地盤の悪いところにつくられたという過去からの経緯がある。そのため、新幹線や多くの鉄道がストップし、交通障害が発生したのである。

 また、先週から、千葉沖で「スロースリップ」と呼ばれる、非常にゆっくり動く地震が観測されていたことで、国民が地震に過敏になっていたことも一因になったようだ。

 スロースリップは、2011年の東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)を機に、東北地方から関東地方の太平洋沿岸に非常に精密な観測機器が設置され、人工衛星による測量の進歩で1日にミリ単位の変化をとらえられるようになっている。

 そして、スロースリップが発生すると、小規模、中規模の地震が発生しやすいことが分かってきている。ただし、これが大地震、巨大地震とつながるかは、まだ判明していない。観測できる場所も限られており、観測期間も極めて短いのである。しかし、気象庁などの発表が首都直下型地震を連想させた。
地震で水道管が破裂し陥没した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市
地震で水道管が破裂し陥没した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市
 しかも、6月17日午後3時15分に群馬県南部で、深さ約10キロを震源とする地震が発生し、関東地方が揺れた。地震規模はM4・6と小さかったが、約7400年前の縄文時代に海が侵入し、非常に軟弱な粘土が堆積した地域だったため、震度5弱を記録した。

 日本の現在の一般的な建造物は、手抜き工事、老朽化、建築構造の悪さ、地盤の悪さなどがなければ、震度5弱の地震では、ほとんど被害は発生しない。それにもかかわらず、スロースリップというこれまで聞きなれない言葉が報道されたこともあり、国民の心理的な不安が増幅した。

 筆者は、これまで別個に語られてきた内陸直下型地震、火山噴火、プレート型地震は、基本的に同じであると考えている。すなわち、太平洋プレートやフィリピン海プレートの移動が、北米プレートやユーラシアプレートを圧迫し、それらが割れたり、古傷の断層が動いたりするのが内陸直下型地震である。

 また、北米プレートやユーラシアプレートのマグマ溜まりが圧縮され、マグマが外に飛び出すのが火山噴火である。さらに、太平洋プレートやユーラシアプレートの動きで引きずりこまれている北米プレートやユーラシアプレートが跳ね上がるのがプレート型地震だ。

 このように地震の原因は、すべてプレートの移動に起因しているのである。なお、太平洋プレートは、フィリピン海プレートの下にも潜り込んでおり、そのために、伊豆・小笠原諸島、マリアナ、グアム、パラオなどで火山活動が起きる。