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    新型肺炎の陰で官邸が強行、黒川検事長「定年延長」という大悪事

    月の参議院選挙に勝利したあたりから、ほころびが目立ち始めた。 通常、自民党は参院選が終われば、即座に内閣改造を行う。選挙の論功行賞の意味も兼ねてだ。ところが、このときは9月上旬にまで、ずれ込んだ。なお、この改造でIR(カジノを中心とした統合型リゾート施設)担当副大臣だった秋元司は、政府を去っている。9月下旬には臨時国会が始まり、「桜を見る会」を安倍が私物化したとして、野党に追及され通しだった。 さらに、経産大臣だった菅原一秀と法務大臣だった河井克行が、公職選挙法違反の疑惑により、更迭に追い込まれた。そして、12月に臨時国会が閉幕するや即日、東京地検特捜部は秋元の家宅捜査を開始した。IR疑獄の始まりである。同時に広島地検は、河井を、妻で参院議員の案里とともに疑惑の対象として、捜査を開始する。 秋元は12月に逮捕されるのだが、まるで選挙と国会が終わるのを待っていたかのようだ。次々と5人の国会議員の名が上がり、他にも「12人リスト」と呼ばれる、IR関係の議員の名簿が永田町ではバラまかれていた。また、官房長官である菅側近の2人の大臣の更迭、そして河井夫妻への捜査は、それまで人事介入され続けた検察の報復のようである。 憲政史上最長総理の勢いはどこへやら、安倍内閣は一気に窮地に立たされた。そして、官邸の「守護神」と目される黒川は、定年で居なくなる。 検事総長の稲田は、2月7日までに黒川に譲る気配など、かけらも見せない。官邸は圧力をかけたが、稲田が頑として抵抗したとも伝わる。2月5日には、黒川の送別会まで予定されていたとか。長年、黒川と林の競争を追ってきた検察ウォッチャーは感慨を漏らしていた。「黒川さんも、ここまでか」と。最高検、東京高検、東京地検が入る中央合同庁舎6号館A棟=東京都千代田区(大西史朗撮影) ところが、1月30日。突如として、黒川の定年を半年延長するとの閣議決定がなされた。黒川が重大事案を継続中との理由だが、子供だましにもなっていない。検察には検察官一体の原則があり、重大事案では担当検事から検事総長まですべての合意がなければ、組織として動かない。何のための検察庁法か なぜならば、検察は属人性を排する組織だからだ。担当検事によって、事件の扱いが違うのでは困るので、このような原則が存在するのだ。黒川にしかできない仕事とは何か? 逆に、そんなものが存在することこそ、検察の組織崩壊ではないか。のみならず、日本の司法制度の崩壊である。 安倍内閣が、黒川の定年を延長した根拠法は、国家公務員法である。確かに、国家公務員法では1年まで定年を延長できる。だが、それでは何のために検察庁法で、検事総長と検事の定年を定めたのだ。 森雅子法務大臣は「検察庁法に規定がないので、国家公務員法の規定により、云々」と国会でも繰り返した。森は弁護士出身なので、死ぬほど恥ずかしかっただろう。自民党議員としては、お世辞にも実力者と言えないので、言われるままに黒川の定年を請議しただけなのかもしれない。 自分の言っていることの間違いを誰よりも自覚しているのが、森なのは、国会での表情を見ていれば分かる。常に答弁がしどろもどろで、目が泳いでいる。まさか、「一般法は特別法に優先する」と言わねばならない日が来るとは思わなかっただろう。「特別法は一般法に優先する」とは原則であり例外もあるが、この場合に適用できる例外ではない。 野党は、国家公務員法制定当時の答弁を持ち出し、そのときに「政府は検事と大学教員には定年延長を適用せずと明言しているではないか」と攻め立てた。森は壊れたテープレコーダーのように同じことを繰り返すだけだし、菅に至っては、日本語の答弁になっていない。結局、安倍は「解釈を変更した」と、あっさり認めた。 安倍も自分の言っていることの重大性を分かっていないのだろう。同じことを民主党が政権を取ったときにしてもよいのだろうか。 この答弁に関し、人事院は「従来の解釈を変更していない」と法務省と政権の行動を真っ向から否定し、内閣法制局は「解釈は現用官庁に任されている」と原則論で突き放す。森は「事前に人事院と法制局に相談した」と明言していただけに、人事院に後ろから弾を撃たれ、法制局にはしごを外された格好だ。 では、今後どうなるか? と考えること自体が、間違いである。なぜなら、既に死闘が始まっているからだ。 黒川の定年延長が閣議決定された直後の2月3日、IR事件の捜査終結の報道が一斉に流れた。秋元一人を起訴し、他はお咎めなしにするとのことである。記者会見する衆院議員の秋元司被告=2020年2月14日、東京都千代田区(納冨康撮影) それどころか、その秋元が異例の保釈を認められた。勾留49日である。本来は推定無罪の原則があり、勾留が延長を重ねて49日も続くなど、文明国の所業ではない。自白するまで勾留する「人質司法」には、批判が強かった。裁判所は検察の言いなりではないか、司法府が行政府に都合がよい運用をして無実かもしれない国民の自由を奪うなど何事か、と。検察の悪夢再び? 作家の佐藤優氏は、検察の取り調べに対し否認を続け、自白を拒み、徹底抗戦した。結果、勾留は512日に及んだほどだ。ところが裁判所は、検察が起訴した後も否認を続けている被告人の保釈を認めた。検察は不服を申し立てたが、歯牙にもかけなかった。 なぜ裁判所が急に文明的に、物分かりがよくなったのか。検察が起訴後の有罪率は実に99・9%。裁判官は3人しかいないが、検察は重大事件では組織を挙げて戦う。その検察が捜査し、自信を持って起訴した事件に無罪を下すには、かなりの勇気がいる。だが、その検察が割れているとしたら? 裁判所は、今の検察を舐めているのである。少なくとも、黒川の定年延長で、一気に優勢に持ち込んだ。河井事件の捜査も、現場は及び腰になったと伝わる。 このまま河井事件も不起訴、IR事件も幕引き、まして「秋元無罪」になったら、検察にとって悪夢である。事はもはや、黒川と林の出世競争ではなくなった。安倍内閣と法務検察の存亡をかけた戦いなのだ。 法務検察は明治以来、政治との苦闘の歴史を経験している。特に、1954年の造船疑獄では、自由党幹事長だった佐藤栄作の逮捕許諾請求を、時の吉田茂政権の指揮権発動によって阻止された悪夢がある。これ以後20年間、大物政治家の捜査すら存在しない。検察が悪夢を振り払うのは、1976年のロッキード事件での田中角栄逮捕まで待たねばならない。それだけは避けたい。 では、検察に残された手段は何か? 安倍内閣の倒閣しかない。現在、この問題を熱心に扱っているのは、冒頭でも触れたが、朝日新聞グループの媒体とTBSだけである。彼らリベラル勢力の偏向報道は、圧倒的多数の国民からあきれられている。通常ならば、相手にされないだろう。 だが、今回ばかりは朝日やTBSの報道は、取材が行き届き、解説も的確だ。これは、不思議でも何でもない。検察OBが背後についているからに決まっている。現に、リベラル媒体以外でも、検察OBは論陣を張り、安倍内閣の非を鳴らしている。衆院予算委員会集中審議で答弁する安倍晋三首相=2020年2月17日(春名中撮影) 検察はOBの発言力が強く、特に歴代検事総長の影響力は大きい。黒川の定年延長により検察は総崩れ寸前だが、戦いで最も死人が出るのは大勢が決してから追撃戦に移るときである。今が、形勢が大きく動くときであり、有利な側も確実に仕留めなければ、一瞬で頓死する怖い局面である。 安倍内閣の不支持率も高まってきた。世は「武漢肺炎」一色だが、世の中の視線が一カ所に集中しているときほど、大きなことが起きているのである。(文中敬称略)

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    BBC受信料について与党有力議員、首相官邸に警告 

    入などの代替モデルを考えるべきだと述べた。 最大野党・労働党のトレイシー・ブラビン影の文化相は、先の内閣改造で就任したオリヴァー・ダウデン文化相に対し、公共放送について「はっきりと意見を述べ」、BBCが「将来も通用する」形を維持できるよう保証するべきだと述べた。 (英語記事 Tory MPs warn No 10 against conflict with BBC)

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    【解説】 英首相の上級顧問、ドミニク・カミングス氏とはどんな人物か?

    者たちには、つっけんどんな対応しかしない。記者の真面目な質問には、荒唐無稽な返事をする。 最近では、内閣改造や高速鉄道「HS2」の敷設計画について質問しに来た記者たちを、「パジャマスク(子供向けのアニメキャラクター)が必要だ」というシュールな回答で煙に巻いた。 カミングス氏は長年の欧州懐疑派だ。イギリスの単一通貨ユーロ加入に反対する団体「ビジネス・フォー・スターリング」のキャンペーン・ディレクターとして、政治活動を始めた。そしてブレグジット(イギリスのEU離脱)に加えて、政府の仕組みを変えようと情熱を注いでいる。 カミングス氏は1月、政府で働きたい「変わった能力を持つ、はみ出し者や変わり者」求むと、自分のブログで募集し、世間を騒がせた。 このブログでカミングス氏は、官庁街ホワイトホールにいるキャリア公務員や「はったりだけで世間を渡るパブリックスクール出身者」は全員、複雑な問題について判断を下す能力に欠けていると批判した。代わりに数学者やデータ研究者により大きな職務を与えるべきだと述べ、自分も独学でそういう分野の勉強をしてきたと語っている。 カミングス氏のワッツアップのプロフィールには、優先事項として「ブレグジットを実現、それからARPA」と書かれているという。 ARPAとは1958年に設立されたアメリカの国防高等研究計画局のことで、シリコン・ヴァレーの創設につながったとされている。 カミングス氏は、イングランド北東部のダラム出身だ。父親のロバート氏は石油掘削プラットフォームの技師。母親のモラグ氏は教師で、行動学の専門家でもあった。 カミングス氏は公立の小学校から私立のダラム・スクールへと進学。オックスフォード大学で現代史を学び、最優等の成績で卒業した。その後、ロシアで何年か過ごしており、そこでは航空会社の設立プロジェクトなどに関わっていた。なお、この航空会社のプロジェクトは頓挫(とんざ)している。 「ビジネス・フォー・スターリング」のキャンペーン・ディレクターを務めた後は、保守党のイアン・ダンカン=スミス元党首の戦術顧問を8カ月務めた。 2004年には、地方分権政策の一環で検討されていた公選地域議会について、地元で反対キャンペーンを主導。「ノースイースト(北東部)はノーと言う」運動はその後、住民投票で同議会の設置を否決しており、結果的には後のEU離脱における活動の予行演習となった。 カミングス氏が展開した「ノースイーストはノーと言う」運動は、白いゾウの風船を飛ばし、住民の政治嫌いに訴えかける分かりやすいスローガンを駆使した。 カミングス氏はその後、ダラムにある父親の農場にこもったとされる。そこで科学や歴史の本を読みあさり、世界をより深く理解しようとしたのだという。 政治の世界に再び現れたのは2007年、マイケル・ゴーヴ議員の特別顧問としてだった。ゴーヴ氏は2010年に教育相となったが、この2人は気が合ったようだ。カミングス氏は、上級公務員や教員労組が一緒になって改革を妨げていると考え、彼らをまとめて「The blob(ぐにゃぐにゃしたもの)」と呼び、ゴーヴ氏と共に激しく攻撃した。 しかし、それによって教育省や保守党の大勢の神経を逆なでしたカミングス氏は、フリー・スクール(自治体の管轄下にないけれども公費で運営される学校)を創設するとしてゴーヴ氏の顧問を辞任した。 2011年に週刊誌スペクテイターの記者メアリー・ウェイクフィールド氏と結婚したカミングス氏は後に、デイヴィッド・デイヴィス元EU離脱担当相を「とても馬鹿で、だらしのない人物」だと評したこともある。当時のデイヴィッド・キャメロン首相はカミングス氏のこうした物言いに激しくいら立ち、「プロのサイコパス」だと呼んだほどだった。 こうした中、「Vote Leave」にカミングス氏を起用したことは、離脱運動をまとめたい人たちにとっては取る価値のあるリスクだった。しかし、カミングス氏はここでも議論を残していった。「Vote Leave」におけるカミングス氏の活動は昨年、人気劇作家ジェイムズ・グレアム氏の脚本で英テレビ局チャンネル4が「Brexit: The Uncivil War」としてドラマ化している(uncivil warとは「ぶしつけな戦争」の意味、あるいは「civil war=内戦」の反語の意味になる)。 「Vote Leave」についてはその後、選挙委員会によって、選挙法で定められている活動の支出上限に違反していたことが明らかになった。カミングス氏本人も、下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会の召喚に応じず、証拠を提出しなかったとして、議会侮辱罪に問われた。 下院審議で議員たちに詰問されることも何度かあったが、そのたびに激しい舌戦となり、双方に悪感情が残った。 ブレグジットについては、下院が離脱案をまとめなかったことを非難し、政府はEU離脱を通告するEU基本条約(リスボン条約)第50条の発動を遅らせるべきだったとも主張した。 また、自身のブログでは現職にあまり長く留まりたくないとほのめかしているものの、早々に首相官邸を離れそうな気配はまったく見せていない。 (英語記事 Who is Dominic Cummings?)

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    暴風雨「デニス」の被害拡大 英当局が「大規模災害」を宣言

    ンド(約3400億円)を費やしてきたと説明。次の6年では40億ポンドに増額すると話した。 また、先の内閣改造で就任したばかりのジョージ・ユースティス環境相は、政府が暴風雨「デニス」による洪水被害に不意を突かれたという批判を否定した。 (英語記事 Major incidents declared after storm flooding)

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    ジョンソン英首相が内閣改造 財務相が異例の辞任

    を発表した。主要メンバーのほとんどが続投となる中、サジド・ジャヴィド財務相が辞任を表明し、波乱含みの内閣改造となった。 イギリスでは昨年12月に総選挙があったが、ジョンソン首相は今年1月31日の欧州連合(EU)離脱まで新たな組閣を延期していた。 ジャヴィド氏は続投が決まったものの、補佐官チームを解任するよう首相に求められ、これを拒否。「本物の閣僚」はこのような条件を受け入れることはできないとして辞任した。 ジャヴィド氏の後任には、リシ・スーナク財務省首席政務次官が決まった。 <関連記事> イギリス、欧州連合を離脱 47年間の関係に終止符 【解説】 ブレグジットの分断から回復するとは何を意味する? ジャヴィド氏はテリーザ・メイ前政権で内相を務めた後、昨年7月のジョンソン首相就任時に財務相となった。 イギリスでは、財務相が首相の右腕として政策を支える。今年3月には、自身初となる新年度予算案の発表を控えていた。 一方で、ジョンソン首相の上級顧問を務めるドミニク・カミングス氏と折り合いが悪かったと報じられている。 ジャヴィド氏は、自身の補佐チームはこれまで「非常に懸命に」働いており、入れ替えには応じられなかったと説明。「辞任以外の選択肢はないと思った」と述べるとともに、スナーク氏をはじめとする新内閣を「全面的に支援する」と話した。 「政権の制御を優先」 最大野党・労働党のジョン・マクドネル影の財務相は、ジャヴィド氏の辞任は「たった2カ月しか政権にないのに、危機にある政府にとっては歴史的な記録だろう」と述べた。 「ドミニク・カミングスは明らかに、財務省を完全にコントロールし、財務相に手下を送り込む戦いに勝ってしまった」 首相官邸は、今後は首相と財務相に共同の経済顧問チームを付けるとしている。 BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、「財務相を失うのは決して小さくない出来事だが、首相官邸は有能な人物をとどめるより、政権の制御を優先したようだ」と分析。 敵対派閥が財務相に異なる政治的助言を与える機会を作るよりは、ジャヴィド氏の辞任を受け入れ、権力を集中させる方を取ったと説明した。 女性閣僚は6人、非白人は4人 第2次ジョンソン内閣では、プリティ・パテル内相、ドミニク・ラーブ外相、マイケル・ゴーヴ内閣府長官兼ランカスター公領相、ベン・ウォレス国防相、リズ・トラス国際貿易相、マット・ハンコック保健相、グラント・シャップス運輸相、ジェイコブ・リース=モグ下院院内総務、マーク・スペンサー下院院内幹事長が続投となった。 また、ブレグジット(イギリスのEU離脱)に伴い解体されたブレグジット省のスティーヴン・バークリー氏は財務相首席政務次官に就任。ビジネス相にはアロク・シャルマ前国際開発担当相が任命された。 一方、アンドレア・レッドソム前ビジネス相とエスター・マクヴェイ前住宅担当相は内閣から外れた。 今回の内閣改造では、新たに3人の女性議員が閣僚となったものの、全体では1人減って6人となった。非白人を表すBAME(黒人、アジア人および少数民族)の閣僚は、スーナク財務相とパテル内相、シャルマ・ビジネス相、スエラ・ブレイヴァーマン法務長官の4人だった。 ジョンソン首相はまた、先に最終決定したイングランドの南北を結ぶ高速鉄道「ハイスピードツー(HS2)」の敷設計画について、担当相を任命する方針を明らかにしている。 (英語記事 Sajid Javid quits as chancellor / Cabinet reshuffle: Who is in Boris Johnson's new cabinet?

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    【英総選挙2019】 与党・保守党が大勝 ブレグジットに「新たな信任」と首相

    を、20日にも下院で審議する方針を示した。 また、週明け16日に最低限の人事を行うにとどめ、本格的な内閣改造は来年1月31日のEU離脱後に実施するとしている。 ジョンソン氏自身は、ロンドン西郊の選挙区で苦戦が予想され、落選の可能性さえ取りざたされていたが、実際には労働党候補に7210票差をつけて再選を果たした。開票所での勝利スピーチでは、「我々の『ひとつの国』保守政権は今夜、ブレグジット実現へ強力な信任を得たようだ。それに加えて、この国を団結させ、国民健康サービスなど国民の優先事項に集中するため、信任を得た」と述べた。 コービン党首「次の総選挙では党を率いない」 一方の労働党のコービン党首は、ブレグジットについて2度目の国民投票を行い、離脱協定の再交渉かEU残留を選んでもらうと約束していた。それと同時に、労働党は公共サービスや国民保健サービス(NHS)への投資拡大にも焦点を当てていた。 コービン氏自身はロンドン北部のイズリントン・ノース選挙区で2万6000票差をつけて圧勝した。家族や支持者に感謝した上で、「もちろん労働党にとっては残念な夜」だと敗北を認め、次の総選挙で党を率いることはないと述べた。今後の党の方向性は自分が先頭に立ち、党内で検討するという。 コービン氏は、ブレグジットがあまりに国内の議論を分断したため、正常な政策議論ができなくなったと指摘。社会正義や国民が必要とするものの問題は、ジョンソン氏が望むブレグジットが実現してもなくならないと苦言を呈した。その一方で、下院議員として地元選挙区を代表し続けることを誇りに思うと強調した。 責任はコービン党首かブレグジットか 労働党のイアン・レイヴァリー委員長は、出口調査の結果を「非常に、非常に残念に思う」と話した。 また、ブレグジットに対する立場によって、「労働党の中心地」だったイングランド北部で「非常に苦戦」したと述べた。 「1740万人がEU離脱を支持した中、彼らにとって無視されるのは良いことではなかった」 この敗北がコービン党首によるものかという質問には、公約に掲げた2度目の国民投票が国民の支持を得られたなかったことが原因だと指摘。 「それが問題だ。ジェレミー・コービンではない。ブレグジットと、民主主義を無視したことが原因だ」と話した。 一方、元労働党の大物議員ケン・リヴィングストン氏はAP通信の取材に対し、コービン党首が党内の反ユダヤ主義問題などに対処しなかったことが敗北の一因だと述べた。 出口調査速報でポンド高騰 投票締め切りと同時に発表された12日午後10時の出口調査では、保守党は前回選挙から50増の368議席を獲得する見込みだった。一方、労働党は191議席(71減)に議席を減らすとみられた。 この出口調査の結果を受け、英ポンドは一時147円93銭の高値を記録。対ドルでも3%近く上昇し、1.35ドルとなった。 出口調査はBBCと英民放ITVおよびスカイテレビのため、NOP・イプソスモリが全国144カ所の投票所で2万2790人から回答を得た。 <解説>ローラ・クンスバーグ政治編集長 ジョンソン首相は2020年1月にEUを離脱するのに十分な議席を下院で得た。 これはこの国の歴史にとって、大きな分岐点だ。世界におけるイギリスの立ち位置が書き換えられる瞬間だ。 だがそれだけではない。保守党政権がもう5年続き、10年の壁を越える可能性がある。 一方、労働党は4回連続、総選挙で敗れた。ここ数年で左傾化が進んだ中で、これは深刻な、そして歴史的な敗北だ。 スコットランド独立を目指すSNPはスコットランドでの影響力を拡大し、保守党からも議席を奪っている。 自由民主党は、大きな希望を持って選挙活動を始めたものの、結果は思わしくなかった。 (英語記事 Conservatives on course to win majority - exit poll / Election Results / Analysis in maps and charts)

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    イラク議会、アブドルマフディ首相の辞任を承認 反政府デモ拡大で

    各地に広まった。 まず6日間にわたり続いた一連のデモでは、市民149人が死亡。アブドルマフディ首相は内閣改造や政府高官の減給を約束し、若者の失業率改善のための施策を発表した。 これに対して抗議者たちは、要求への対応が不十分だと反発し、10月末に抗議行動を再開した。治安当局が殺傷能力のある武器を使用して応戦したことから、デモは激化し、イラク全土へと拡大した。 当局は、デモ隊との衝突で、治安部隊十数人以上が死亡したとしている。 (英語記事 Iraq PM's resignation accepted amid unrest)

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    イラクの反政府デモ隊、イラン領事館に放火

    各地に広まった。 まず6日間にわたり続いた一連のデモでは、市民149人が死亡。アブドルマフディ首相は内閣改造や政府高官の減給を約束し、若者の失業率改善のための施策を発表した。 これに対して抗議者たちは、要求への対応が不十分だと反発し、10月末に抗議行動を再開した。 イラクのバルハム・サリフ大統領は、各党が次期首相の人選に合意できるならば、アブドルマフディ首相は辞任することになると発言している。 (英語記事 Iraq unrest: Protesters set fire to Iranian consulate in Najaf)

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    原田前環境相手記、私が「所管外」でも処理水放出発言をした理由

    原田義昭(衆院議員、前環境大臣) 9月10日、内閣改造、閣僚辞任を翌日に控え、私は大臣として最後の記者会見をしました。私は記者団から「1年間の特記事項は」と問われるままに、東京電力福島第1原発の問題に触れ、汚染処理水の問題についてはあえて「希釈して海洋放出の方法しか解決策はない。この処理水の放出については、トリチウムという難しい物質も含めて安全性、科学的基準は全て満たされている。原子力規制委員会の委員長も2代にわたってはっきりと希釈、放出すべしと発言している。世界の全ての既存原発からは海洋放出が当たり前のように行われている。一方、漁業者の被害、風評被害、韓国などの国際非難…などが十分予測されるが、それは国が全責任をもって対応する。科学的安全性と世界基準を丁寧に説明することで必ず理解されるはずだ」と発言しました。 私は昨年10月、大臣就任早々に福島の原発事故跡の現場を視察しました。広大な敷地に1000個にも及ぶ異様なタンク群と「今後の見通しは立っていない」という東電職員の説明に、これでいいのかと素朴な疑問と強い違和感を持ったのが最初でした。 それ以来、政府の担当者、10人を超える外部専門家とも個別に意見交換し、新聞記事など周辺情報も集めました。とりわけ原子力規制委員会の更田豊志委員長が一貫して「処理すれば、放出してもよい」「国際的安全基準は心配ない」の発言には大変心強く思いました。 経産省の小委員会では、さまざまな方策、例えば貯留水を蒸発させる方式、地下に埋める方式、「凍土壁」を作って溶融核燃料(デブリ)と遮断する方式、遠く外洋に捨てる方式などが議論されていますが、いずれも現実的な解決として収束する見込みはありません。 処理水は今も毎日170トン増えており、この8月の貯留量(累積)は115万トンになります。2022年夏には137万トンで貯留スペースは満杯となり、いずれ、どこかよそに広大な場所を探さなければならないのです。いつ終わるのか、予測を立てることはできません。その費用は一体誰が負担するのか、ということも大事な論点です。原田義昭前環境相=2019年6月(佐藤徳昭撮影) 誰かが行動しなければならない、この危機感が大変私を追い立てました。この処理水対策は、厳密には環境大臣の所管でなく経産大臣(小委員会)の所管です。しかし、原発問題が国家的大事業であることは言うまでもありません。引っ張るわけにいかない 私は「環境大臣」「原子力防災担当大臣」として原子力問題の担当者であり、同時に国事の全てに責任を負う「国務大臣」であり、さらに私は全ての国民を代表する「国会議員」であります。国家に必要なことは臆せず行動し、また行動する崇高なミッション(使命)を持っています。この大問題をズルズルと引っ張るわけにはいかないのです。 なぜ辞任直前に発表したのか、任期中に行うべきでなかったか、というご意見も多数ありました。すでに述べた通り、1年をかけて自らの意見形成を図ったこと、厳密には所管外であったことなどから、最後の記者会見という場で、ついに決断に至ったことを理解いただきたいと思います。 また、後任の小泉進次郎環境大臣が直後に福島県の被災地を訪問し、私の発言を謝罪したとの動きがありました。私の処理水放出発言をいきなり否定したとの解釈から、小泉氏の人物評価まで行われているようですが、まず私の発言がいささか唐突で、福島県の皆さま、とりわけ漁業関係者に突然の強い衝撃と不安を与えたことは事実であり、これには小泉氏が後任大臣として(また私になり代わって)謝罪していただいたことになります。 さらにその具体的方策については、前任者(原田)も自分(小泉)も「所管外」であって、本来の経産大臣の決定があればそれに誠実に従う、と答えており、これは現職大臣としては正しい態度であると考えます。 私の処理水に関する発言から2カ月が経ちました。私の予想を超えて、多くの人々の関心を呼び、マスメディアにも大きく取り上げていただきました。おしなべて私の主張は好意的に受け取られていると感じています。例えば大阪市長松井一郎氏の「大阪湾で受け入れる余地がある」などの発言は、力強いサポート意見であると認識しています。原田義昭前環境相と業務の引き継ぎを行う小泉進次郎環境相(左)=2019年9月12日(桐山弘太撮影) いずれにしても今後政府におかれては、私の意見も参考に入れて検討されることを期待したいと念じています。

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    福島の風評被害を煽り立てる原発「危険処理水」のウソ

    奈良林直(東京工業大大学院特任教授) 先の内閣改造で、小泉進次郎氏が初入閣し環境大臣に就任したが、軽率な発言が相次いでマスコミに取り上げられ、非難を浴びる事態となった。 最たるものは、就任時の記者会見において、東京電力福島第1原発の汚染水浄化後の処理水をめぐる発言だろう。原田義昭前環境相が「海洋放出しかない」と発言したことについて、福島県いわき市小名浜の漁連組合長を「すばらしい人」とした上で、「そうした人たちに寄り添っていくことが大切」と情緒的な発言に終始し、唯一の解決策を否定してしまった。 そもそも、この処理水の希釈放出に関する原田前大臣の発言は、進次郎氏が言うような個人的なものではない。原子力規制委員会の田中俊一前委員長も、更田(ふけた)豊志委員長も、海洋放出について東電に決断を促している。 その科学的な流れを確認もせず、また具体的な解決策の代替案も示すことなく、漁連に安易に陳謝した進次郎氏は、テレビで華々しく大臣デビューのパフォーマンスを繰り広げるつもりだったのだろうが、誰が考えてもあまりにも軽率と言わざるを得ず、マスコミの集中砲火を浴びたのだ。この発言は、旧民主党が政権を取った当時、鳩山由紀夫首相が沖縄の米軍基地の移転先を「最低でも県外」と言って基地問題を混乱に陥れた発言を彷彿させる。 さらに進次郎氏は、9月22日(現地時間)に国連デビューした際、「気候変動のような大問題にはセクシーに取り組むべきだ」などと意味不明な発言をしてしまった。これに対し、記者から「日本が石炭火力発電を増やし、二酸化炭素の削減ができていないことに対し具体的にどう取り組むのか」と質問されたが、日本の石炭火力発電の増加は既に諸外国から指摘されていたにもかかわらず、答えに窮した。 「10日前に大臣になったばかり」と言い訳したため、日本の環境大臣は一番重要なことも、本気で考えずにニューヨークに来たということがバレバレになってしまい、その映像が国連の舞台から全世界に向けて放映されてしまったのだ。これは、将来の首相候補としては、致命傷に近い。 そもそも、石炭火力が増えてしまったのは、東日本大震災の福島第1原発事故以降に、大部分の原発が停止しているためだ。そして二酸化炭素を効果的に減らすのは、原発の再稼働が最も効果的だが、父の小泉純一郎氏が、「太陽光があれば原発ゼロにできる」と全国津々浦々で講演しまくっているだけに、再稼働にブレーキがかかり、息子である進次郎氏の国連デビューに祟(たた)っているのだ。「当面は世界一厳しい安全対策をして原発を再稼働し、将来的にバッテリーなどの開発をして二酸化炭素の排出削減を的確に進めていく」と答えれば、それなりに説得力ある回答になっただろう。 進次郎氏の軽率発言はこれぐらいにして、まずトリチウム水が大量になる理由について説明しよう。図1が示すように、原子炉建屋やタービン建屋の地下には、汚染水がたまっている。この建屋には、地下水や雨水などが絶えず流入してくるため、井戸を掘って地下水の水位を上げ、冷凍管によって土を凍らせて凍土壁をつくり流入する水を減らしている。(図1)循環注水冷却と汚染水処理設備 メルトダウン(炉心溶融)を起こした福島第1原発の1~3号機では、内部に残る核燃料を冷やすために水を入れ続けているほか、建屋の山側からの地下水の流入もあり、今も毎日100トン前後の汚染水が発生している。回収した汚染水は多核種処理装置(ALPS)を使って様々な核種の放射性物質を取り除く処理をしているが、最後まで残るのがトリチウムであり、タンクに保管している。これまでに、構内に1千基近くのタンクをつくり、9月22日時点でおよそ115万トンを保管している。トリチウムとは何か トリチウムは大気中の水蒸気や雨水など自然界にも存在する放射性物質で、水から分離して取り除くことは難しい。健康への影響について国は、トリチウムは弱い放射線を出す物質で、体内に取り込んだときに起こる内部被ばくの量も放射性セシウムと比べて低いため、これまで健康への影響は確認されていないとしている。 トリチウムは運転をしている原発からも発生する。このため国は基準を定めていて、国内では1リットルあたり6万ベクレルの基準値以下であることを確認した上で海に放出している。 トリチウムなどを含んだ処理水は日々増え、東京電力によると、現状の計画のままでは3年後にタンクが満杯になる見通しだという。原発構内には今後、廃炉のための別の施設をつくる必要もあり、トリチウムを含んだ水をためるタンクを増設する用地確保が難しくなっている。 だが、9月27日に開催された資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力発電所事故収束対応室主催の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(委員長、山本一良名古屋学芸大副学長)では、まだ敷地内にタンクをつくる余地があるとして、問題を先送りしてしまった。進次郎氏の不用意な発言がなければ、原田前環境相の言うように、希釈して海に放出する方向になったかもしれないのだ。  さて、ここで扱いに苦慮するトリチウムを含んだ処理水について科学的な考察を加えたい。まず、トリチウム水とはどのようなものかを図2を用いて解説する。水素は陽子1個と電子1個からなる原子であり、酸素と結合して水(H2O)となり、地球上に多量に存在する。重水素は、陽子1個にさらに中性子1個が加わった原子核を持つ原子(D)である。これが水になったものが重水(D2O)である。自然界にある水素のうち0・015%存在し、1リットルあたりの値段は高級ブランデーくらいである。(図2)水素・重水素・三重水素(トリチウム) わが国では、普通の水(軽水と呼ぶ)を原子炉で飛び交う中性子のスピードを落としてウラン235の核分裂を可能とする減速材に使っているが、重水を減速材に使うと低濃縮ウランを使わずに天然ウランで核分裂反応が継続する臨界にすることができる。 このため、カナダで開発されたCANDU(キャンドゥ)炉などが実用化されて、カナダや韓国、インド、パキスタンなどで運転されている。この重水炉の炉心で生成されるプルトニウムは純度が高く発熱も少ないため、核兵器にも転用されることが多い。北朝鮮で独自に開発された重水炉も核兵器用のプルトニウムを生産するのに使われている。 そして、原子核にさらに中性子が追加されて陽子1個、中性子2個の計3個の質量数になったものが、三重水素(トリチウム=T)である。このトリチウムが水になったものがトリチウム水(T2O)である。トリチウム水は、化学的な性質が普通の水(軽水)と似ているため、トリチウムが希釈された水から分離するのは、極めて困難である。このトリチウムは、放射性同位体で、半減期は約12年なので、約12年経つと半数がヘリウム3に変わる。 このときに1ベータ線を放出する。このベータ線は透過力が弱いので、外部被ばくの問題はほとんどないが、水に交じって体内に入るとこのベータ線が内部被ばくの原因になるので、注意が必要である。世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインのトリチウムの濃度は1リットルあたり1万ベクレルである。福島第1原発内のタンクに保管されている処理水のトリチウム濃度は最大でも約100万ベクレルであるので、飲料水基準にするなら100分の1に希釈すればよい。解決が困難な風評被害 海外でも、基準などを定めて海などに希釈して放出されている。こうしたトリチウムの性質などから、原子力規制委員会は、田中前委員長も、更田委員長も、基準以下に薄めて海へ放出することが科学的に合理的な処分方法だとする見解を示しており、再三にわたり東電に希釈放出を促している。 しかし、その一方で、事故から8年半がたち、漁業や農業、観光といった福島県の産業に復興の兆しや道筋が見えてきた中で、再び風評被害が起きることへの懸念は根強いものがあり、現時点で解決の糸口は見えていない。 最終的な処分の方針を決める国はこうした状況を踏まえ、これまでに放射性物質の濃度を下げて海に放出する案、加熱して蒸発させる案、地下深くに埋設する案などを示してきたが、これらの案はいずれも海や大気など環境中に放出するもので、住民参加の公聴会などで風評被害を心配する声が相次いだ。特に、海洋放出以外の案は実証性や技術的成立性の担保を取ることが困難だ。従って、海洋希釈放出を慎重に計画し、風評被害対策をとることが唯一の解である。 ここで厄介なのは、わが国は海洋に処理水を放出しようとしているためだが、「放射能オリンピック」をボイコットすべきだと文句をつけてきたのが隣国の韓国である。しかし、ここでちょっと待ってほしいと言いたい。 図3は、世界の原発などからのトリチウムの年間排出量である。先ほど、韓国には重水炉があると指摘したが、原子炉内で重水が流れていると、炉内で高速で飛び交う中性子を吸着すれば重水はトリチウム水に変わるのだ。このため、韓国のトリチウムの排出量は、わが国の数倍に達すると言われており、日本のトリチウム水の放出を問題にするなら、韓国の方は自分の国に住むことをボイコットすべきなのだ。(図3)世界の原発などからのトリチウムの年間排出量 このように、困難な風評被害対策だが、解決のヒントを隣国の台湾の若者たちが日本に教えてくれたのだ。台湾も韓国と同じように福島県および近隣県の農産物を輸入禁止にしている。台湾では2017年の夏に、蔡英文(さい・えいぶん)総統が選挙で公約した脱原発政策のもとに金山1、2号機の定期検査後の再稼働を認めなかった。 このため、猛暑に見舞われた台湾は電力不足に陥り、連日のようにエアコンの使用制限などの節電対策を強要した。これは国民の反感を買った。このさなかに火力発電所の燃料を送る配管バルブの操作ミスで火力発電所が運転停止した。それを引き金に、台湾全土で深刻な停電が発生した。 これに対し、若者たちが立ち上がり、「以核養緑」(原子力を使って地球環境を養う)のスローガンで国民投票に持ち込み、勝利したのである。そして台湾政府の法律から「脱原発の文字」は消えた。しかし、蔡総統が、脱原発をあきらめないため、若者たちが福島県の復興状況と食の安全確かめようと来日したのである。 そこで、東京工業大では、福島イノベーション・コースト構想推進機構学術研究活動支援事業「リスク・コミュニケーション工学を活用した復興学による浪江町創成」(提案代表、木倉宏成准教授)が活動中であったため、台湾からの来日学生チーム(うち何人かは日本の大学に留学中)と台湾の原子力学会長の李敏教授を福島県の水族館「アクアマリン」に案内した。希釈すれば安全 この水族館の環境研究所の富原聖一リーダーは、水族館の獣医としての業務のほかに、高性能の放射線検出器を用いて、福島第1原発事故の直後から、福島県の魚の汚染状況を計測する活動を市民とともに実行しており、その活動はNHKの番組などでも紹介されている。 富原リーダーは、福島第1原発の沖合10キロの海底にいた83センチのヒラメを釣り、それを台湾来日チームの目の前で刺身にして、放射線検出器の遮蔽容器の中に入れて約2時間計測した。ヒラメの年齢は10歳で、原発事故が発生したのは8年前のため、2歳のときに海底で汚染水に遭遇したはずである。 このヒラメの放射能の測定結果はヨウ素もセシウムも検出限界以下(ND)であった。学生たちも私も、おいしくヒラメの刺身、カルパッチョ、唐揚げを食べた。この様子を共同通信が取材し、その配信された記事は産経新聞や多くの地方紙に掲載され、さらに中国語に翻訳されて台湾にも配信された。その記事は大変好評で反響も大きかった。 ゆえに進次郎氏にも、ヒラメの試食をお勧めしたい。地元に寄り添うとは、このように住民の不安を取り除き、風評被害を防いでいくことである。言葉ではなく、実行することが大事なのだ。 では、最後に福島第1原発の処理水の希釈放出監視センターについて提案したい。先ほど説明したように、福島第1原発の処理水を100分の1まで希釈すれば、トリチウムはWHOの飲料水水質ガイドラインのトリチウムの濃度である1リットルあたり1万ベクレル以下にすることが可能である。福島第1原発の処理水タンクに保管されている総量は約100万立方メートル、濃度約100万ベクレル/リットル、総放射能約1千兆ベクレルであるから、約10年かけて100倍の容積の海水で希釈して海洋放出すればよい。 1日あたり276立法メートルのトリチウム水を2760トンの海水で希釈すればよいのだ。このためには、大型のポンプとその動力である電気が必要である。そこで、図4に示すように、福島第1原発の敷地内にガスタービンコンバインド(GTCC)火力発電所を設置し、その蒸気タービンの復水器に循環する多量の海水にトリチウムを混入して希釈し、放射線の監視センターを併設するのである。(図4)福島第1コンバインド火力発電とトリチウム希釈監視センター 発電した電気は、この復水器の海水循環ポンプの動力にするほか、福島県の浜通りに設置された多量のメガソーラーの出力変動の需給調整に活用すればよい。地元貢献にもなるし、農産物や海産物の食品加工センターに低廉な電気や熱を供給すればよい。 そして福島で獲れた魚は、一度すべてを国が市場価格で買い取り、放射線の検査をした上で、安全確認済の金色のシールを貼って市場に出すのだ。これは評論家の池田信夫氏が提唱していた考え方で、このように英知を集めれば、福島県の海産物は再び復活するはずだ。進次郎氏はじめ、多くの議員、各省庁の食堂などが率先して購入すれば、風評被害は最小限に抑えられるにちがいない。

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    小泉進次郎氏が炎上した「処理水問題」を科学的に解きほぐす

     9月の内閣改造で初入閣したのも束の間、ネット上で小泉進次郎氏の評価が急落している。 きっかけのひとつは、原田義昭・前環境相が退任直前の9月10日の記者会見で、福島第一原発から出た放射性物質トリチウムを含む処理水について、「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と発言したことに端を発する。 これを受け、小泉氏は環境相に就任した当日の11日、「福島の皆さんの気持ちをこれ以上傷つけないような議論の進め方をしないといけない」と述べた。さらに、翌12日には記者会見で、全国漁業協同組合連合会の会長や福島県いわき市の漁業者らに会い、原田氏の発言は個人的なもので海洋放出は国の方針ではないと否定し、謝罪したと述べている。 これの何が問題なのか。高橋洋一・嘉悦大学教授はこう指摘する。「原田前大臣の『処理水は海洋放出するしかない』という意見はまったく正しくて、経産省でも海洋放出で議論が進んでいるが、小泉進次郎氏は浪花節に流されて科学的に不見識な回答をしてしまった。前大臣の発言について記者から聞かれるのは予想されたので、官僚からレクを受けていたはずですが、それに逆らってわざわざ自分の意見を述べ、科学的知識のなさを晒してしまったと思います。だけど、最初だから仕方がないですよ。これから勉強すればいいことです」 高橋教授はそう擁護するが、ネットには小泉氏に対する失望の声が巻き起こっている。著名人のコメントに絞って紹介すると、社会保障経済研究所代表で政策アナリストの石川和男氏はツイッター(9月14日)でこう述べた。〈小泉環境相がどう言おうとも、世界標準的には原田前環境相の方向性が適格。小泉環境相は、他の政策については今後のご活躍を期待したいところだが、『処理水処理問題』に関しては今の所は全然ダメ〉 元経産省官僚の宇佐美典也氏もツイッター(9月12日)で、〈小泉進次郎さん就任二日で取り返しのつかないミスをしたように思う。代替手段がない不人気政策をポピュリズムで否定すると短期的には良くても後々自分が苦しむ。小池知事の就任当初の行動と良く似てる〉と、小池百合子都知事が豊洲市場問題で迷走し続けたのと同じ事態になることを危惧した。記者会見する小泉進次郎環境相=2019年9月23日、東京・霞が関 さらに、文春オンライン(9月18日付)は原田前大臣へのインタビューを掲載し、〈小泉くんに助言をするなら『寄り添うだけでは被災地の人々は救えないぞ』と言いたい〉という言葉を伝えている。 現在、福島第一原発の敷地内の高台には約1000基のタンクが設置され、トリチウム以外の放射性物資を除去した「処理水」と、トリチウム以外の放射性物質も含み、処理を待っている「汚染水」が計115万トン、保管されている。原子炉には冷却のためにまだ水を流し続けているので、1日に約170トンずつ汚染水は増え続け、高台に建設された137万トン分のタンクは数年以内に限界を迎える。小泉氏に続く受難 識者の多くは「処理水は海洋放出する」という処理法で一致している。一方で、海洋放出に反対している人々の多くは、処理水にトリチウムが残っていることを問題視している。トリチウムを除去できればいいのだが、トリチウムとは水素の同位体であり、通常は酸素と反応して水の形で存在するために、除去が難しい。では、海に流して大丈夫なのか。 トリチウムというのは、自然環境中に存在している放射性物質である。原発からの処理水に含まれているだけでなく、宇宙から降り注ぐ放射線(宇宙線)と大気が反応して生成され、地球全体で年に約72ペタ(72000兆)ベクレル生まれるとされるが、半減期は12年ほどで、徐々に崩壊して普通の水素に変わっていく。トリチウムは除去できないので、我々が飲んでいる水にも1リットル(1キログラム)当たり0.4ベクレルほど含まれている。空気中や食物中に存在するラドンやトロンなどから人間は年に2.4ミリシーベルト被ばくしているが(世界平均)、ラドンやトロンから出る放射線(α線)に比べ、トリチウムから出る放射線(β線)は紙1枚で遮蔽できるほど弱く、影響は桁違いに小さい。 環境問題が専門の安井至・東大名誉教授はこう説明する。「放射線源は体内の特定の部位に一定の量が集まると、健康被害を起こす可能性があります。ストロンチウムは骨に集中し固定されるから、危険とされているわけです。しかし、トリチウムは水の形を取っているので、体の中に取り込まれてもどこかに溜まることはなく、均一に分散し、いずれ排出されます。 体を構成するたんぱく質などの水素がトリチウムと入れ替わる『トリチウムの有機化』という現象は確かに起きますが、特定の部位に集中するわけではないし、有機物に取り込まれるということは結合が安定していないということで、離脱も起きると考えられます。そもそもトリチウムが出す放射線は非常に弱いので、体への影響はほとんどありません」 ゼロリスク志向の人々は我々が生活している環境が清浄と考えているのかもしれないが、現実には放射性物質はそこら中に存在しているし、1960年代に世界中で行われた核実験で放出された放射性物質もまだ残っている。そんな中でも、日本人の平均寿命は12年ごとに1歳ずつ伸びてきたのだ。 海に流して希釈すれば問題がないという理由から、世界中の原発でトリチウムを含む処理水は海洋放出されている。福島第一原発敷地内のタンクに貯められた処理水のトリチウム濃度は平均で1リットル当たり100万ベクレルで、1000倍に希釈すれば環境基準値を下回る。そのうえで海に流せば海水でさらに希釈されるので、科学的には問題ないと言える。記者団の取材に応じる松井一郎大阪市長=2019年9月、大阪市役所 小泉氏はこうした知識がないことを世間に晒してしまったが、受難はまだ続いている。9月17日に福島県を訪問した際に、福島県内の放射能汚染土を県外へ移すという政府の約束について記者から聞かれたときのコメントは「ポエムだ」と笑いものにされた。国連の気候行動サミットに環境相として出席したときの記者会見での「セクシー発言」に対してもネットには批判の声があふれた。隣の席にいたフィゲーレス前事務局長のセクシー発言を紹介しただけで、これで批判されるのは少々理不尽だが、石炭火力を減らす方法を聞かれて具体的に何も答えられなかったことは批判されても仕方がない。 小泉氏の話に中身があるかないかはさておき、喫緊の問題は、処理水の処分である。 小泉発言を受けて、松井一郎大阪市長は9月17日の記者会見で、トリチウムを含んだ処理水について、「自然界レベルの基準を下回っているのであれば海洋放出すべきだ。政府、環境相が丁寧に説明し、決断すべきだ」と述べつつ、「大阪まで持ってきて流すなら、協力の余地はある」と、大阪湾への放出を認める発言をした。 懸念される「風評被害」 これには賛否両論巻き起こった。大阪府の漁協組合連合会が反対する声明を出し、兵庫県の井戸敏三知事が「食べ物、特に水産業には致命的な風評被害が懸念される」と、県としては注視する姿勢を示した。ネット上では、「安全なら福島で流せばよく、わざわざ大阪まで処理水を運搬するのは税金の無駄遣い」との意見も見られる。 一方で、同じ維新の会の橋下徹・元大阪市長はツイッター(9月17日)で、〈大阪湾で流すのは費用がかかるので無理と言うのは実行力のないインテリの思考。まずは安全性の確認をして福島以外で少しでも流して全国民で負担する。その後東北や福島近海に。これが実行力〉と、震災瓦礫の焼却処分のように、全国で負担すべきとの考えを示した。日本中の海で流せば、福島に対するヘイトを抑えられるというアイデアだ。 結局、この問題の核心はどこにあるのかいうと、福島の漁業関係者らが懸念しているのは安全性ではなく、「風評被害」だということだ。 原発事故以降、科学リテラシーのない一部の大手新聞やテレビなどのメディアが放射能の恐怖を煽り立て、福島の人々が風評で多大な損害を被ってきたのは事実である。こうした一部メディアが姿勢を変えない以上、漁業関係者が不安に思うのは無理もない。 この件で小泉氏が叩かれてはいるが、そもそもこの問題がここまでこじれたのは、安倍首相が決断してリーダーシップを発揮してこなかったからである。原発の再稼働問題もそうだが、安倍首相は原発関連の問題から一切逃げているように見える。自らの口で、海に流しても問題ないことを国民に説明し、処理水を海に流す決定をすればいいだけなのだ。 もっとも、安倍首相と経産大臣が逃げ続けているということは小泉氏にとってはチャンスになる。「もし小泉氏が、風評被害を抑え込んで処理水の海洋放出を実現したら、政治家として大きな実績になるでしょう」(高橋教授)「風評被害」というのは感情が引き起こす問題で、理屈だけでは抑えられない。主婦層に絶大な人気があり、カリスマ性のある小泉氏だからこそ、風評を抑え込めるのではないか。もし解決できたとしたら、これまで特に何ら政治的な実績のなかった小泉氏にとっては大きな実績となり、総理への道へ大きな一歩を踏み出せるはずだ。 ●取材・文/清水典之(フリーライター)関連記事■小泉進次郎氏に「環境相の難しさわかってる?」と不安の声■ポスト安倍候補に「河泉敏信」 岸田氏、石破氏から世代交代■小泉進次郎氏の母「滝クリさんと私は全然違うわね」の真意■小泉進次郎 結婚披露宴をやらない背景に「実母との疎遠」■【動画】滝川クリステルを待ち受ける「総理の妻」の“厳しい仕事”

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    河井法相が辞任 妻の案里議員に公職選挙法違反の疑い

    は、元少子化相の森雅子参院議員(55)を充てる考えを明らかにした。 1週間で2人目の閣僚辞任 9月の内閣改造後、今月25日には菅原一秀経済産業相が、秘書が選挙区内で香典を渡した問題で辞任。それから1週間で2人目の閣僚辞任となった。 第2次安倍内閣発足後では、閣僚辞任は10人目となった。

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    「先を急ぐ若者」小泉進次郎氏 日本政界を駆け上がる

    の最高位職の有力候補として、よく名前が挙がる。 沖に出ない「サーファー」 今月11日に安倍晋三首相の内閣改造で環境大臣に任命された際にも、当然ながらニュースとなった。小泉氏は、第2次大戦後の日本の内閣で、3番目に若い大臣となったのだった。 これから小泉氏がどんな手腕を見せるのか、評論家たちは注目している。 「いままでは、岸辺の観客には格好よく見える一方で、沖には決して出ようとしない『サーファー』のようだった」と、政治アナリストの伊藤惇夫氏はBBCに語った。 「大臣となり、社会のさまざまな荒波を避けられなくなったことで、これから彼の真の実力が明らかになるだろう」 「先を急ぐ若者」 英字紙ジャパンタイムズで「アメリカのいわゆるジャパン・ハンドの間で有名」と紹介された小泉氏は、米ニューヨークにあるコロンビア大学で政治学の修士号を取得。米首都ワシントンのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)で研究員として働いた。 「小泉氏の若さ、外見、ときに大衆迎合的な弁舌、メディアへの露出が多くのファンを生んだ」と同紙は説明。同時に、「批評家からは、そうした資質は大臣として組織を統制し、結果を出すのに必要なものとは違うとの声が出ている」と伝えた。 自由民主党所属の小泉氏は、2009年に衆院選挙で初当選。父親の議席を継いだ。小泉家の国会議員としては4代目になる。 これまで務めた政府の役職で最も目立つのは、津波被害に見舞われた東北地方の再建を担当する復興政務官だった。 小泉氏はかつて、重要なポストをあまり急いで受け入れるのはリスクだとほのめかしていた。しかし、小泉氏の周辺にいる何人かは、彼がすでに首相の座を狙っており、奪取に向けて動き出すまで長くは待たないかもしれないとみている。世論調査では、首相になってほしい政治家として小泉氏の名前がたびたび上位に挙がる。 「彼は先を急ぐ若者だ」と、匿名の人物はロイター通信に話した。 重要問題では考え明確にせず フランスと日本人の間に生まれた42歳の滝川クリステル氏と結婚すると、小泉氏が首相官邸で発表した模様は、メディアで大きく報じられた。滝川氏は、来年夏に開かれる東京五輪の誘致を成功させた「顔」として知られるスターだ。 小泉氏は、現行の法律では認められていない夫婦別姓に賛成してきた。日本の伝統的な慣習を批判することもあった。 しかし、安倍氏の保守的な考えの一部に共鳴もしてきた。戦没者を祭り、賛否の分かれる靖国神社への参拝をしてきたことを、メディアは取り上げてきた。 一方、自民党内では改革派としてのイメージを作り上げた。その過程では、重鎮議員たちを怒らせないよう気を使ってきた。主要な問題については、注目を浴びる存在にも関わらず、自らの意見を明らかにすることは避けてきた。 育休は取る? 政治の専門家たちからは、小泉氏の原子力発電の問題に対する立ち位置に注目すべきとの声が出ている。安倍氏(2021年9月まで首相にとどまるとみられている)が推進の立場なのに対し、小泉氏の父親は、2011年の福島における大災害の後、原子力エネルギーに強く反対するようになった。 ただ、小泉氏はすでにサインを出しているのかもしれない。大臣就任後の記者会見で、「(原子力発電所を)どうやったら残せるかではなく、どうやったらなくせるかを考えていきたい」と述べたと、共同通信は伝えている。 だが、直近で注目されるのは、別の問題になりそうだ。来年早くに小泉夫妻に子どもが誕生したとき、小泉氏は育児休暇を取るのかという点だ。もし取れば、大臣としては初となる。 小泉氏はまだ思案中だが、こう述べたと報じられている。「(それを)検討していますと言っただけで、賛否両論を含めて騒ぎになるということが、日本って堅いね、古いね」 (英語記事 The 'young guy in a hurry' rising up Japan's ranks)

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    「河野太郎防衛相」は日本にとってリスキーすぎる

    直後のことである。相手が発言し始めたところで遮って「無礼だ」と口にした。この発言は近く予定されている内閣改造において外相を続投したいがために、安倍首相へのパフォーマンスだったとする見方がある。そうかも知れないが、それにしても外交相手に対してあってはならない行為である。 韓国も北朝鮮も「誇り」をもっとも大切にする民族であることも外交的な常識である。かくて河野議員は、英語力には素晴らしい能力があるものの、朝鮮半島問題では、明らかに失敗を繰り返してきた。会談を前に握手する、河野太郎外相(左)と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相=2019年2月15日、ドイツ・ミュンヘン市内のホテル(力武崇樹撮影) 北朝鮮外交を担うべく外務省の最高責任者だった河野議員は、拉致問題を最重要課題だとしている安倍政権において、明らかに職責を果たしていない。最後の記者会見でも拉致問題に触れなかった。できないのである。これは後世に厳しく記録される歴史的事実である。 新しい外務大臣となる茂木敏充氏には、小泉訪朝を実務的に準備した当時の外務省の担当者たち、たとえば田中均元外務審議官などからも率直な意見を聞き、北朝鮮を含む北東アジア外交を積極的に切り開いていくことを期待したい。■有田芳生が問う「安倍首相よ、それでも沖縄の民意を踏みにじるのか」■北朝鮮非核化「トランプの財布」に日本が甘んじてどうする■安倍総理の「やってる感」に愛想を尽かした拉致家族のホンネ

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    コテコテの「おともだち」で固めた改造内閣に安倍首相の憂鬱がにじむ

    上久保誠人(立命館大政策科学部教授) 安倍晋三首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。今年11月には桂太郎を抜いて、歴代最長の首相在職日数となる安倍首相にとって、2021年9月の自民党総裁任期切れ前の最後の組閣になる可能性もある。首相は「安定と挑戦」の人事だと誇るが、実際は長期政権の疲れがにじみ出た人事ではないだろうか。 今回の人事で注目されたのが、約70人いるとされる、当選回数を重ねても入閣経験のない「待機組」の処遇だ。元々、自民党の人事は「年功序列」ならぬ「年序列」と揶揄(やゆ)されてきた。 それは、長期政権を前提として、日本企業の人事システムのように、能力にかかわらず、当選回数に応じて政務官、副大臣、大臣と順番に出世していく人事システムだ。そして、閣僚のポストは、首相が派閥からの推薦を受けて、派閥間のバランスを図って決められた。 だが、そのシステムは「自民党をぶっ壊す」と登場してきた小泉純一郎首相が、派閥からの推薦を無視して、一本釣りの抜擢(ばってき)人事を断行したり、女性や民間人を登用したりしたことで崩れ始めた。また、2009年から12年は、政権交代で自民党が下野したことに伴い、システムの前提となる「年序列」自体が成り立たなくなり、次第に形骸化した。 そして、政権に復帰して誕生した、「お友達内閣」と呼ばれる第2次安倍政権では、首相が信頼するベテランや側近が閣僚・党役員ポストを占め続けた。派閥からの推薦による「年序列」での入閣は、極めて狭き門となっていた。 そのため、各派閥は今回の内閣改造・党役員人事を、入閣適齢期の所属議員を何とか起用してもらおうと必死に働きかけていた。安倍首相も「自民党は老壮青の人材の宝庫だ」と発言し、幅広い人材の登用を示唆してきた。 だが、その期待は深い失望に変わってしまった。確かに、念願の入閣を果たした議員はいる。しかし、それは「お友達」ばかりだったからだ。2017年1月、安倍晋三首相の東南アジア・豪州歴訪に同行する萩生田光一官房副長官(右)と河井克行首相補佐官。第4次再改造内閣ではともに入閣した(春名中撮影) 文部科学相には、萩生田光一氏が起用された。安倍政権では文科政務官、総裁特別補佐、官房副長官、幹事長代行を務めてきた。一貫して首相の側近として行動し、「保守的」な言動で知られてきた。地道な仕事では意味がない 経済産業相に起用された菅原一秀(いっしゅう)氏は、財務副大臣や経産副大臣を務めてきた。無派閥議員ながら、今年、菅義偉(よしひで)官房長官を囲む勉強会「令和の会」を発足させた。 経済再生相の西村康稔(やすとし)前官房副長官は、首相の出身派閥である細田派所属だ。法相に起用される河井克行氏も、安倍政権で内閣総理大臣補佐官、総裁外交特別補佐を務めてきた人物だ。 要するに、初入閣を果たしたのは、首相のそばで汗をかいてきた人ばかりだ。他にも、首相の目に届かないところで地道に仕事をしてきた人を各派閥が推薦していたはずだ。だが、地道な仕事では意味がなかった。 結局、首相の目につくところで、首相のために仕事をすることが重要だといわんばかりの人事となった。これでは、細田派と首相を取り巻く人たちを除いて、各派閥の幹部や入閣適齢期の議員、若手のモチベーションは一挙に下がってしまうだろう。 主要閣僚の顔ぶれも、相変わらず「お友達」の間でポストを回しているだけになった。麻生太郎副総理兼財務・金融相と菅官房長官、二階俊博党幹事長の留任は早々に決まった。安倍政権の屋台骨であるが、それぞれに「そろそろ退任を」という理由はあった。 麻生氏には「森友学園問題」など財務省のスキャンダルの責任問題があった。また、経済政策「アベノミクス」の限界が見えており、財務・金融相の交代で新たな政策アイデアを導入するという考え方もあったはずだ。 菅氏に対する安倍首相の信頼は絶大だ。だが、そもそもカネと情報が集中する官房長官というポストに約7年も就くこと自体が異例だ。 中曽根康弘政権や小泉政権など過去の長期政権は、官房長官を途中で交代させてきた。官房長官には首相が最も信頼する政治家が起用されるものだが、次第に首相にとって危険な存在になってくるからだ。2018年10月、明治150年記念式典に臨む(左から)菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相、安倍晋三首相 二階氏についても、その圧倒的な力量を評価されているが、一方で「世代交代論」があった。しかし、安倍首相は、ためらいなく彼らの留任を決めた。 他の主要閣僚や党役員についてだが、まずかつて務めたポストへの復帰が目立つ。加藤勝信総務会長が厚生労働相に復帰となった。「今後も変化なし」を宣言? 加藤氏は首相の最側近の一人で、かつて内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)および一億総活躍、女性活躍、再チャレンジ、拉致問題、国土強靱(きょうじん)化と七つの担当を兼務した。全く関係なさそうなポストの兼務だが、要するに世論の動きに対応してタイミングよく政策を出すのが仕事で、それだけ首相に能力を買われてきたといえる。 また、高市早苗衆院議院運営委員長も、総務相に復帰した。安倍政権では女性初の党政調会長、そして総務相を務めてきた。女性議員の中で、最も安倍首相に重用されてきたといえる。総務相の在任期間は1077日と、歴代1位のベテランが復帰したわけである。 外相には、茂木敏充前経済再生相が横滑りした。既に「日米貿易交渉」の先頭に立ってきた茂木氏の仕事に大きな変化はない。 今後、日韓関係は半導体部品の輸出管理について日本の措置の正当性を主張することが中心になるし、日露関係は経済協力が日本側の持つ交渉カードだ。比較的安定している日中関係も、「一帯一路」計画に対する日本の協力をどう進めるかが課題だ。経産省の幅広い業務のうち、海外業務だけに特化して取り組むという感じだ。 一方、防衛相には河野太郎前外相が横滑りする。日米の安全保障体制の安定を保ちながら、日韓軍事秘密保護協定(GSOMIA)の破棄を表明した韓国と交渉することが最重要の仕事となる。河野氏が既に外相として取り組んできたことだ。要するに、外交と安全保障に関しては、安倍政権の方針に変化なしというのが、国内外へのメッセージとなる。 世耕弘成前経産相は、党参院幹事長に転出する。今年7月の参院選で、自民党や公明党などの「改憲勢力」は憲法改正の国民投票発議を可能とする3分の2の議席数を割ってしまった。安倍首相の悲願である憲法改正を進めるのは難しくなったが、まずは参院自民党を一枚岩にまとめるのが重要ということだろう。 憲法改正については、細田派の領袖(りょうしゅう)である細田博之元官房長官が党憲法改正推進本部長に起用されると報じられている。安倍首相は憲法9条に関して、戦争放棄を明記した第1項、第2項を変えず、第3項に「自衛隊」を明記するという小幅で現実的な改憲を主張している。2019年4月、桜田前五輪相の辞任について、厳しい表情を浮かべながら首相官邸で報道陣に対応する安倍首相 これには、石破茂元幹事長、船田元元経済企画庁長官など専門的に改憲に取り組んできた議員が反発している。だが、安倍首相は彼らを排除し、側近を中心に改憲を進めようとしてきた。専門性よりも政治的に可能な改憲をめざすという方針は、今後も変化なしということだ。 悲願の改憲を進めるための基盤となるのが、経済の安定によって内閣支持率を高く保つことだ。そのキーマンとみられるのが、安倍首相が最も信頼する政治家の一人で、党税制改革調査会長に起用された甘利明前選挙対策委員長だ。進次郎は「客寄せパンダ」 ただし、10月の実施を控える消費税率の10%引き上げは既に決着がついている。首相が甘利氏に求めるのは、増税実施後に景気が不安定化した場合、所得税や法人税の減税など、即座にありとあらゆる手を打って景気を安定させることだ。 また、衆院解散・総選挙ということになれば、当然経済対策を打ち出さねばならない。安倍首相としては、どんな事態にも柔軟に対応するために、党税調を完全に掌握したいということだ。だが一方で、麻生財務相、岸田文雄政調会長の留任と合わせて、アベノミクスに変化はないともいえる。 「今後も変化なし」を宣言するばかりの安倍人事だが、唯一目を引くのが、小泉進次郎氏の環境相起用だろう。当選4回の小泉氏の起用は「抜擢人事」といえる。 だが、環境問題といえば環境省と経産省の対立があるうえに、安倍政権には、二階氏、甘利氏、茂木氏、世耕氏と歴代大臣経験者が揃い、経産省と深い関係がある政治家が多い。 経産省の政治力が圧倒的に強い政権で、小泉氏に求められる役割は「客寄せパンダ」ではないだろうか。福島第1原発の汚染水問題で難癖をつける韓国にズバリと反論し、「お・も・て・な・し」のクリステル夫人とともに、小泉氏の強い発信力で東京五輪・パラリンピックを気持ちよく迎えたいということだろう。 これが最後かもしれない安倍人事から見えてくるものは、安倍首相の深い疲労ではないだろうか。首相自身、長期政権の成果に満足しているのだろう。2017年9月、衆院が解散し開かれた自民党の両院議員総会を終え、安倍首相(左)と握手する小泉進次郎氏 もちろん、世の中にはさまざまな批判が存在するが、首相は既に疲れてしまっていて、批判など聞きたくないと思っているのだ。だから、主要政策の担当大臣には、長年取り組んできたベテランを配置して、答弁を任せたいと思っている。そして、周辺にはひたすら首相をヨイショしてくれる若手や中堅を置いて、気分よく過ごしたいということだ。 小泉氏を起用することで、一応「挑戦」する姿勢を見せている。多くのメディアは、既にその抜擢を絶賛している。 しかし、小泉氏は安倍政権で最も仕事しづらいポストに配置され、完全監視下で「客寄せパンダ」を演じさせられることになる。小泉氏にエールを送るとすれば、若いうちに「冷や飯」を食わされることこそ、リーダーになるための最高の修行だ。だから「客寄せパンダ」をやり切ってみせればいいのである。■ 安倍晋三に重なる「消費税に殺された」朴正煕の影■ 「北朝鮮脅威」の甘い蜜を吸う安倍首相に金正恩が会うメリット■ 令和婚の小泉進次郎に舛添要一があえて贈る「祝言」

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    水戸黄門にジャニーズ?進次郎「サプライズ」から見た内閣改造のツボ

    ッ、死ぬ気で戦わんかい!」。勝手なことも言えるし、見ていて実に楽しく面白いのである。だからメディアは内閣改造をめぐって連日、人事予測を飛ばしてきた。 「○○大臣に急浮上」「××大臣で調整中」「重要閣僚に起用か」。勇ましい見出しが紙面に躍り、〝居酒屋政談〟も盛り上がる。 当たるも八卦、当たらぬも八卦なら、人事も同様で、結果はご承知の通り。「その日になれば分かるのに、なぜメディアは人事予測に血道をあげるのか」「誰が大臣になるかではなく、この内閣は何をやるのかが大事」 こうした批判は内閣改造や新政権発足のたびに出てくるが、〝居酒屋談義〟の楽しさに思いを馳せれば、この批判は的外れであることがお分かりだろう。 人事をめぐる人間の欲と打算をサカナにすることが面白いのだ。プロレスと同じで、レフリーが「ワン、ツー、スリー!」とマットを叩いたところで人事ショーは終わり。だからメディアも試合中に煽らなければ意味がないということになる。 筆者は、これまで劇画原作の連載を何作か手がけてきた。劇画は登場人物のキャラが勝負。ストーリーがどんなに面白くても、キャラに魅力がなければ読者にウケない。内閣もそれと同じで、その内閣が国民にウケるかどうかは、閣僚や与党役員のキャラが大きくものを言う。 安倍総理はモリカケ問題など何度もピンチに陥りながら、結局、在任日数が歴代2位。今秋には憲政史上最長になる。これはひとえに安倍内閣に登場するキャラによるものと、筆者はみている。 いちいちは記さないが、防衛大臣だった稲田朋美や、オリ・パラ担当大臣の桜田義孝の〝笑われるキャラ〟が大いに国民を沸かせた。あれは批判に見えて、本質はお笑いなのだ。衆院本会議に臨む稲田朋美元防衛相(斎藤良雄撮影) 一方で、菅義偉(よしひで)官房長官の木で鼻をくくったようなキャラの質疑応答がスパイスとなり、結果として安倍自民党という作品があきられることなく「長期連載」になっている。 これが筆者と、友人である劇画誌のベテラン編集者氏の一致した見立てなのである。能力よりキャラ 「今回の人事も、キャラの配置がいいね」と、くだんのベテラン編集者氏は劇画論で人事を分析する。 「やはり麻生、二階、岸田、菅はキャラとしては外せない。麻生の皮肉、二階のおとぼけ、岸田のシッポ振り、そして虎視眈々と次を狙う菅がメディアをにぎわせてこそ、主役の安倍は引き立つ。劇画的には敵対勢力との戦いでダイナミックにストーリーを展開したいところだけど、野党があの体たらくじゃ、どうにもならない。石破(茂元幹事長)も沈んじゃって、安倍のライバル物語にもならない」 では、前回の内閣改造でも入閣が取りざたされた(小泉)進次郎はどうか。 「下馬評では入閣なしだった。〝産休宣言〟は入閣拒否のメッセージだと、メディアも政治評論家も筆と声をそろえたけど、劇画担当としては、進次郎は絶対必要なキャラだね」 「安定と挑戦」のキャッチフレーズを考えれば、安定はいいとしても「挑戦」をどうするか。キャラとしては進次郎をおいて他にいないじゃないかと、ベテラン編集者氏は言ったものだ。 しかも、組閣の国民の関心度はサプライズ人事に比例する。「進次郎の今回の入閣はない」と下馬評でさんざん流しておいて、組閣発表前日の午後6時になって「入閣調整中」の速報テロップがテレビ画面に流れ、「おッ、進次郎が入閣!」 サプライズになり、安倍改造内閣は「新鮮味」と「挑戦色」が加わって、イメージはぐっと変わることになる。 麻生、二階、岸田、菅と進次郎を並べてみれば安倍総理の狙いは一目瞭然。『水戸黄門』にジャニーズ系をキャスティングするようなもので、ぐっと若々しくなるのだ。 最後に、女性閣僚についてはどうか。 ベテラン編集者氏はこれも『水戸黄門』を引き合いに出して、「由美かおるの入浴シーンが〝お約束〟だったよね。ストーリー的には意味はないけど、キャラ的には大事。視聴率に大いに貢献した。それと同じといっちゃ失礼だけど、三原じゅん子なんかハマり役だったけど残念だね」 国内外に問題山積のいま、〝入浴シーン〟に国民の関心が行くのはさすがにまずいとでも思ったのだろう。 劇画も、テレビドラマも、映画も、そして政権もそうだが、継続は広い意味でウケるかどうかがポイントになる。政権は常に批判にさらされるが、たとえ酷評であっても登場人物のキャラによって命脈を保つことがある。野党が存在感を希薄にしていくなかで、「N国」や「R新選組」が注目を集める現状が、そのことを如実に物語っている。聴衆と手を合わせる自民党の小泉進次郎氏=2019年7月、大分県別府市(小澤慶太撮影) 麻生の、あの憎々しい口のきき方、そして桜田の嘲笑キャラが安倍政権にどれだけ貢献したことか。能力よりもむしろ登場人物のキャラと配置が勝負ということになる。 そういう意味では、地味な野党と相対的に自民党のキャラは多士済々で個性豊か。安倍内閣の評価とは別として、改造内閣の配役の妙は、憲法改正という本丸を睨む安倍総理の「連載・第四部」の始まりとなる。(文中一部敬称略)■小泉進次郎と田中角栄、出自は違えどあまりに似通った「因縁」の2人■鈴木涼美が読み解く「オトコとしての安倍晋三論」■船田元手記「憲法改正の議論は波静かな時にしか進まない」

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    秋に発足する新内閣 首相側近が並ぶ「イエスマン内閣」へ

    総理の座に駆け上がるレールが敷かれつつある。 安倍首相は「政権の総仕上げ」に向けた体制をつくるために内閣改造では大幅に大臣を入れ替えると見られている。 最大の焦点は二階俊博・幹事長の去就だ。党内に睨みを利かせる重鎮ではあるが、80歳と高齢のため「激務の幹事長の留任は体力的に厳しい」(安倍側近)との判断で副総裁への昇格が有力。後任には若手の起用が取り沙汰されている。 進次郎氏も候補の1人だ。「安倍総理は進次郎氏の父・小泉純一郎氏が首相のときに大臣経験がないまま幹事長に大抜擢され、それをきっかけに最短距離で首相に上り詰めることができた。その恩返しで、今度は関係修復した進次郎氏の幹事長抜擢の可能性もなくはない」(自民党細田派ベテラン)自民党の萩生田光一幹事長代行=2019年9月(春名中撮影)  ただし、ライバルがいる。首相の覚えめでたい竹下派の加藤勝信・総務会長である。 加藤氏はかつての安倍派大幹部だった故・加藤六月・元農水相の女婿で、姑の睦子氏は首相の母・洋子氏とは親友同士として知られる。派閥は違っても安倍首相の信頼は厚く、これまで官房副長官や厚労相、総務会長と陽の当たるポストに起用され続けている。誰も逆らわずに禅譲「総理は退陣後も影響力を残して院政を敷くためにイエスマンを後継者に据えたいが、自分の派閥(細田派)には適任者がいない。進次郎はクセが強いが、その点、加藤は総理の意向には絶対に逆らわない。そこで加藤を進次郎のライバルの総裁候補に育てるため、今回の改造で幹事長に抜擢する選択肢を検討している」(同前) 進次郎氏と加藤氏という2人の幹事長候補に“忠誠心”を競い合わせるのは権力者の人事の常套手段だ。誰も逆らわずに禅譲 他の入閣候補も側近のオンパレード。首相の“子飼い”とされる萩生田光一氏の防衛相起用や、スキャンダルで大臣を降板して再入閣が悲願の甘利明氏や下村博文氏たちの名前が挙がっている。 一方、いまや安倍首相とならぶ政権の実力者である菅氏の周辺からは、進次郎氏に加えて、側近ナンバーワンの河井克行氏、「恥を知れ」発言で安倍首相の覚えもめでたい三原じゅん子氏らの入閣が濃厚とされる。 かつて小泉内閣で幹事長を務めた武部勤氏は、何事も首相の指示通りに動き、「偉大なるイエスマン」を自称した。 秋に発足する新内閣は、政権の権力者たちが意のままに動く側近たちを大臣に並べ、“偉大なイエスマン内閣”ができそうだ。これなら、安倍首相と菅氏が「次は進次郎」といえば、誰も逆らわずに政権禅譲ができるに違いない。関連記事■結婚で小泉進次郎氏が安倍首相と関係改善、後継総理になるか■滝川クリステルを待ち受ける「総理の妻」の“厳しい仕事”■滝川クリステル 41才まで結婚しなかった裏にしっかり者の母■昭恵さんに呆れる安倍首相「離婚できるならとっくにしてる」■広末涼子 長男バスケ大会に現れ「キレイすぎ…」と騒然!

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    小泉進次郎氏の「育児休暇取得」は出世の近道か遠回りか

    は、党の厚生労働部会長を務めている。菅義偉・官房長官から「ポスト安倍の筆頭候補」とのお墨付きを得て、内閣改造での入閣が囁かれたタイミングだっただけに、永田町で賛否が渦巻いた。 入閣待機組のベテラン議員は、進次郎氏の育休宣言に否定的だ。「一議員なら休暇を取ってもいいかもしれないが、大臣という要職につけばそうはいかない。内閣改造前のこのタイミングでそんな発言をするのは“大臣のポストは遠慮する”と暗に言っているようなもの。いつ声がかかってもいいように準備している私のような立場からすれば、何を考えているのかわからない」自民党厚生労働部会で発言する小泉進次郎部会長=2019年9月(春名中撮影)  一方、自民党若手議員はこんな言い方をする。「安倍内閣が男女共同参画を最重要課題としている以上、進次郎さんの宣言に表立って反論できる人はいないでしょう。これは決して“閣僚ポスト”を投げているわけではないはず。政府としても“閣僚が育休”のほうがインパクトが大きいし、国民に対して強いメッセージになる。このやり方は若手議員のアピール手段として参考になる。パフォーマンス上手の進次郎さんらしいやり方だと思う」 政治家として出世を目指す上で、近道なのか遠回りなのか──控え目に賛否を口にする同僚議員の目には、進次郎氏が“リトマス試験紙”に見えているのかもしれない。関連記事■滝川妊娠に小泉家大喜び 親族から「順番が逆」との異論なし■滝川クリステル「本麒麟」CM降板でも賠償請求できない事情■昭恵さんに呆れる安倍首相「離婚できるならとっくにしてる」■“ハマのドン”が交代 横浜カジノ誘致に追い風が吹き出した■小泉孝太郎、芦名星と連泊愛 愛犬を連れてデート撮

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    日本版「共に民主党」の野合を待ち受ける円高シンドローム

    玉木雄一郎氏の公式ツイッターより(2019.08.26) 今のところ、政治業界のうわさでは9月中旬に内閣改造を実施し、そして10月中旬に臨時国会を開催するといわれている。消費税の10%への引き上げは10月1日からなので、臨時国会の開催を待っていると、事前にストップをかけるには当然遅い。本当に増税を止められる? もし、玉木代表が本当に消費増税を止める気があるならば、野党を消費増税反対でまとめる政治的アクションを今すぐにも起こすべきだろう。 そのためには「社会保障を立て直す国民会議」をどう説得するのだろうか。また、説得が可能であっても、10月の増税を止めるためには法案を提出しなければいけない。これを野党主導でできるのだろうか。 「ツイッター政治」は米国のトランプ大統領だけではなく、今や日本政府でも政治的手法の中心にまでなっている。世耕弘成経済産業相による一連の輸出管理問題についてのつぶやきは、その代表例だろう。 玉木代表のつぶやきが、単に評論ではなく、一党を代表する政治家の意見表明だとしたら、まずはアクションすべきだろう。個人的には、玉木代表の貢献といえば、単にモリカケ問題を中心にして、国会運営を無駄に浪費したこと以外に知らないので、どうなるだろうか。消費増税が迫る中で、日本経済の不安定度は増すばかりである。 26日の東京株式市場の日経平均株価は大きく下落し、前週末(23日)比449円87銭安(2・17%減)の2万261円04銭で取引を終えた。ここ数カ月、日本の株式市場は乱高下を繰り返す傾向にある。その変動の主因が、米中貿易戦争の影響だとするのは分かりやすい解説だろう。 ただ、米中貿易戦争が日本経済にもたらす経済効果については、時間軸に応じて考えるべきだ。一つは短期的な側面、もう一つは中長期的な側面である。広島県福山市内で街頭演説する国民民主党の玉木代表。左は立憲民主党の枝野代表=2019年7月 短期的な側面としては、海外経済の冷え込みを背景にして輸出が伸び悩むことが考えられる。実際に直近の国内総生産(GDP)統計(第2四半期2次速報)では輸出が減少し(他方で輸入増加)、それによって純輸出も減少したために経済成長にマイナスの効果を与えている。 これに関しては、国際通貨基金(IMF)元チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏が指摘するように、各国の金融緩和政策が効果を発揮するだろう。つまり、米中貿易戦争に対しては、世界中でマネーの量を増やすことで短期的な対処をするのが望ましい。個人で考えれば、使えるお金の額を増やすということになる。「円高シンドローム」の謎 一方、中長期的視点に移ると、問題は複雑になっていく。関税競争の結果、米国と中国が関わる国際的な部品供給網(サプライチェーン)が変貌し、それが各国経済の足かせになることもあるだろう。お金が不足するだけでは解決できない問題も生じるだろう。 中長期的な問題は、米大統領選の推移のような政治的な要因もあり、不透明だ。だが、取りあえずお金の不足している事態だけはどうにかしないといけないことは、自明である。 そこで日本経済を見てみよう。先述の株価暴落や、円ドル相場で見ると、為替レートも最近は円高傾向が進展している。 「円高」は簡単にいえば、デフレの進行とほぼ同じである。デフレは日本経済の悪化を示している。お金が足りないのでモノを買うことが十分にできない。そういう日本経済の状況を、国際的なお金の観点から見直したのが「円高」である。 以下の図表は、21世紀に入ってからの日本の為替レートの推移を描いたものである。 この図表での注意点は「購買力平価」である。これは日本とアメリカの長期的な為替レートの水準である。 ただし、21世紀に入ってから、現実の為替レートはこの長期的な水準よりも「円高ドル安」で大半が推移している。2013年に購買力平価を上回る円安水準になるまで、ずっと「円高ドル安」である。これを「円高シンドローム」といっている。 円高はデフレ、そして不況の裏返しでもある。それが長期継続していたことを示すものでもある。 つまり、円高シンドロームとは、日本の長期デフレ不況の言い換えでしかない。それが解消されていったのが、13年以降ということになる。再び待ち受けるデフレの世界 現状では、購買力平価を上回る円安を何とか維持している。大ざっぱな試算ではあるが、おそらく円ドル相場で1ドル100円を切る円高が続くと、日本は、デフレが再び定着する世界に逆戻りしてしまうだろう。 現在は、1ドル104円から105円の水準で推移している。デフレを安定的に脱却できる水準(私見では1ドル110円を超える円安)には遠い。 例えば、日本の物価予想がどうなっているかを示すブレーク・イーブン・インフレ率を見てみよう。以下の図である。 最近の物価予想は今年に入ってから、さらに低下している。このままでは、物価予想がデフレ予想に反転することも近いように思われる。 現状の実際の物価水準は、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数では0・6%である。今の統計の取り方では、本当の物価よりも指数が高めに出る傾向にある、いわゆる物価指数の上方バイアスはあまりない。 つまり、この0・6%をほぼ額面通り受け取っていいだろう。そうすると、一応デフレではない。しかし、日本銀行が目標とする2%の水準には程遠い。むしろ、デフレの世界にたちまち戻りやすい水準でもある。 為替レートを見れば、「円高シンドローム」=デフレ不況に再び陥りかねない。また予想の世界から分析しても、デフレの世界が大きな口を開けて、われわれを待っているように思える。 果たして、消費増税が実際にどのような影響をもたらすか。国際環境次第ではあるが、急激な悪化をもたらすのか、しばらくは財政支出などの効果で次第に悪化していくのか、それはまだはっきりしない。だが、いずれのシナリオであっても、悪化が避けられないのは間違いないだろう。■ 「安倍打倒」に秘策もない、しがない野党共闘はもう飽きた■ 枝野幸男の「自慢」が文在寅とダブって仕方がない■ 「老後2000万円不足」報道、こうしてスキャンダルはつくられた

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    「安倍打倒」に秘策もない、しがない野党共闘はもう飽きた

    を予定している自民党公認候補の山下雄平参院議員を例に挙げよう。自民必死の選挙運動 2018年10月の内閣改造・党役員人事で内閣府政務官を退任した山下氏は、地元で徹底した支持者回りを行ってきた。佐賀県では、自民党が進めてきた農協改革、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に県農政協議会(農政連)が反発を強め、2015年以降の国政選挙で自民候補の推薦を見送ってきた。だが、今回は山下氏の粘り強い活動で、農政連が山下氏を推薦すると決定した。 約5万票を持つと言われる農政連の推薦決定のインパクトは大きく、佐賀選挙区は最後の最後まで、野党統一候補が決まらなかった。野党からの出馬が有力視されていた多久市の横尾俊彦市長は、ある農協幹部から「出馬はやめた方がいい。政治生命が終わる」とクギをさされて出馬を断念したという。結局、野党は犬塚直史元参院議員の擁立を決めた。ただ、犬塚氏は元々長崎選挙区から当選していて、佐賀に地盤のない「落下傘候補」で、出遅れ感は否めない。 自民党の参院選候補者には、山下氏のように役職を外れた人ばかりではなく、現職の政務官や副大臣も少なくない。役職についていた方が「箔(はく)が付く」という考えの候補者も多いからだ。 だが、彼らからは、災害などの緊急事態に週末備える「在京当番」で地元に帰れないことに悲鳴が上がっていると聞く。ただ、その悲鳴も裏を返せば、それだけ自民候補が必死で各選挙区で活動してきたということを示している。 一方、野党側はどうだろうか。東京の永田町に幹部が集まって、候補者が一本化できたら「これで勝てる」と満足しているようにみえる。 野党は「消えた年金」問題で第1次安倍政権を退陣に追い込んだ2007年の参院選と似てきたとして、「今回も勝てる」と豪語しているようだ。だが、当時は野党の活動量が今回とは全く違っていたことを忘れている。 12年前の野党第1党、民主党の代表は小沢一郎氏だった。小沢氏は参院選公認候補に対して、徹底した「ドブ板選挙」を命じた。 そして、自ら全国の選挙区に足を運び、「自民党流の業界団体回り、支持者回り」を行った。その結果、小泉内閣時代から「都市型選挙」にシフトしていた自民党を粉砕したのである。2007年7月、参院選最後の日曜日に、巣鴨で有権者と次々に握手をかわす民主党の小沢一郎代表(右、栗橋隆悦撮影) その小沢氏は今、自民支持団体を切り崩すために動くでもなく、経験不足の野党候補者に「ドブ板選挙」を指南するわけでもないようだ。永田町に鎮座して「野党が一つになれば勝てる」と何度も繰り返しているだけだ。平成時代を通じて、政界を振り回し続けた小沢氏も、ついに衰えたといわざるを得ない。 現在、野党は高齢無職世帯の平均的収支に毎月約5万円の赤字が出て、30年間で約2000万円が不足すると金融庁の金融審議会が試算し、麻生財務・金融相がその報告書の受け取りを拒否した問題に焦点を絞って、安倍政権に対する攻勢を強めている。だが、これは何度も野党が繰り返し、失敗してきた戦術だ。「救いようない」手法 これまで野党は「森友学園問題」「加計学園問題」「公文書偽造問題」「統計不正問題」などで政府側のスキャンダルを追及してきたが、野党が支持を得ることはなかった。各種世論調査が示すように、国民の多くは首相や財務相の「人柄が信頼できない」と思っている。だが、それでも「安倍政権は野党よりマシ」と考えているからだ。 また、何より野党の追及「手法」が国民の支持を得られなかった。それは、野党が官僚を国会内に呼び出して行う「野党合同ヒアリング」のことだ。 例えば、部屋の壁に「勤労統計不正 『賃金偽装』 野党合同ヒアリング」と大きな字で書かれた看板を掲げ、統計不正にかかわった総務省や厚労省の官僚を国会の部屋に呼び、多くの野党議員が次々と厳しい質問を続ける。その様子を、しっかりテレビ局に撮影させて、各局のニュース番組で放送させた。 だが、野党は自分たちが作った「民主党政権」が国民の支持を失って退陣に追い込まれ、今日に至るまで国民の信頼を取り戻せない一つの大きな理由を忘れてしまっているのだろう。それは「官僚と良好な関係を築けず、政権運営に窮してしまった」ということだ。「野党合同ヒアリング」の様子をテレビで見た多くの国民は、「やっぱり官僚と関係を築くことができない。政権を任せるわけにはいかない」と感じてしまう。そのことに気づけないのは、救いようがない。 それ以上に問題なのは、政府側のスキャンダルが出るたびに、野党が好機とばかりにこれに飛びつく一方で、政策を地道に練り上げることを放棄していることだ。敵失を攻撃するという安易な道に流れ続けることで、結局安倍政権の次に「どのような日本を作るか」という政策構想が後回しにされ続けて、国民に提示されないままでいる。 野党統一候補をそろえたところで、「寄り合い所帯」は変わらない。政策がバラバラな集団に、国民が政権を任せようと思うわけがない。だが、実は野党統一の政策構想など、簡単に作れると私は思っている。 要するに、安倍政権がやってきたことを全否定すればいいからだ。アベノミクスや消費税率8%引き上げ、国家安全保障会議、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪、働き方改革などを全て廃止してしまう。 そうして、「2012年12月の第2次安倍政権発足以前にすべて戻す。改革は何も必要ない」と訴えればいいのだ。これならば「寄り合い所帯」の野党でも簡単に一致できる。2019年6月、金融審議会が策定した報告書を巡り、国会で開かれた野党合同ヒアリング 正直、「政策を練り上げる」という政党としてのまっとうな研鑽(けんさん)を怠り、スキャンダルに飛びつき続けた野党が、選挙の前になると政策構想として「空理空論」を出してくることに、もう飽きてしまった。 それよりは「安倍政権完全否定」を打ち出して、死ぬ気で選挙を戦ってもらいたい。今こそ、野党は「覚悟を決めよ」と言いたい。■ 「老後2000万円不足」報道、こうしてスキャンダルはつくられた■ 江田憲司手記「民主党政権より恐ろしい本当の悪夢を教えよう」■ 安倍の悲願を打ち砕く「マイルドリベラル旋風」はこうして生まれた

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    【解説】 次のイギリス首相は誰 立候補者の顔ぶれ

    6年に女性初の大法官と司法相となったものの、高等法院の首席判事など法曹界幹部と衝突を重ね、翌年6月の内閣改造で現職に移った。 キャメロン政権では環境相を務め、2014年党大会で「この国はチーズの3分の2を輸入している。なんて、みっとも、ない」と発言したことが、ソーシャルメディアなどで大きな話題となった。 スティーヴ・ベイカー元EU担当閣外相 ブレグジット強硬派。2010年初当選で、保守党の離脱推進派議員が構成する「欧州調査グループ(ERG)の副会長。 デイヴィス・ブレグジット担当相(当時)と同時に閣外相を辞任し、メイ政権のブレグジット方針を批判した。 党首選のプロセスは? 保守党党首選の立候補締切日は6月10日。 各立候補者は2人の推薦人を必要とする。立候補者が3人以上の場合、まずは保守党議員によってこれを2人にまで絞る投票が行われる。 保守党のブランドン・ルイス幹事長は、6月末までに立候補者を2人に絞りたいと話している。 その後、イギリス全土の保守党党員による郵便投票が行われ、夏の議会開会までに結果が発表される見込みだ。 (英語記事 Tory leadership contenders - who's standing?)

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    韓国の裏切りには最強の「しっぺ返し戦略」で応じるほかない

    ではないか、と不安である。 「裏切り」の兆候は既に明らかであろう。7閣僚が交代した3月8日の文政権の内閣改造でよく分かる。 この改造では、対北朝鮮政策で慎重な姿勢をみせていたと評価される趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相を事実上更迭し、代わりに北朝鮮への制裁解除を強く志向する金錬鉄(キム・ヨンチョル)氏を登用した。他の閣僚は、外交関係も安保関係も留任であり、いわば「北朝鮮傾斜」「日本軽視」の方針を引き続き採ることを内外に示したといえる。2018年5月、第6回日中韓ビジネス・サミットに臨む(左から)韓国の文在寅大統領、安倍晋三首相(斎藤良雄撮影) ベトナムの首都、ハノイで行われた米朝首脳会談に関して、文政権は「北のエージェント」外交を展開したが、会談決裂とともに失敗に終わった。もちろん、外交や安保関係の閣僚続投が、これらの政策の失敗を国内外に印象づけるのを避けるためという見方もできるだろう。いずれにせよ、日本に対する「裏切り」姿勢に今後も変化はないだろう。 それを助長しているのは、相手が「裏切り」行為をしても、愚者のように「協調」路線を堅持する、日本側の非合理的な姿勢にある。日本政府は、経済面での制裁、そして防衛協力の見直しをワンセットで韓国に提示し、「しっぺ返し」戦略への転換を急ぐべきである。

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    小選挙区制度が変えた平成ニッポンの民主主義

    新たな課題に取り組まなければならないのです。■変わらぬ対立構図、沖縄の政治が色濃く映す「ムラ社会」■内閣改造で見えた安倍総理の「改憲メッセージ」■民衆とつながる天皇像 「お気持ち」に表れた今上陛下の自信

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    ふるさと納税のアンフェアはこうやれば是正できる

    下、2018年9月11日、野田聖子前総務相が、ふるさと納税制度を正式に見直す方針を表明した。10月に内閣改造が行われたものの、新たに就任した石田真敏総務相も、10月2日の記者会見で「ふるさと納税制度につき、役所内で見直しの検討をしていると聞いており、その結果を踏まえて対応していく」という発言を行い、急速に見直しの可能性が高まりつつある。 では、ふるさと納税制度の何が問題なのか。そもそも、「ふるさと納税は寄付でなく、実質的な節税スキームではないか」という指摘も多い。 この意味を簡単に説明しよう。まず、ふるさと納税制度を利用してある個人が寄付すると、その個人は寄付額から2千円を差し引いた金額を、所得税や個人住民税から寄付金控除できる。ちなみに、所得税の控除は総所得金額などの4割、住民税の控除は総所得金額などの3割が上限である。 この寄付金控除は通常の寄付の場合と同じだが、ふるさと納税では、この寄付金控除の適用以外にも「特例控除」が適用できるため、個人住民税(所得割)の2割を上限とする金額も控除できる。このため、一定の上限内で寄付すると、寄付額から2千円を差し引いた額を全て減税でき、寄付した個人の負担は2千円のみにできる。 しかも、一定金額相当の返礼品を受け取る多くのケースでは、その返礼品の価値から2千円を差し引いた金額を実質的に節税できるというメリットも享受できる。例えば、ある個人が10万円の寄付を行い、3万円相当の返礼品を受け取ると、この個人は2千円の負担で3万円相当の返礼品を受け取ることができる。 寄付を受け取った自治体は7万円の収入増になる一方、この個人が居住する自治体と国は9・8万円(10万円-2千円)の減収となる。これは、この個人は2・8万円相当(3万円-2千円)の節税が可能となることを意味する。石田真敏総務相(萩原悠久人撮影) また、この個人が20万円の寄付を行い、5万円相当の返礼品を受け取ると、2千円の負担で、5万円相当の返礼品を受け取ることができ、4・8万円相当(5万円-2千円)の節税が可能となる。つまり、より所得の高い個人ほど、ふるさと納税制度の利用で効果的な節税が可能となるわけで、不公平な制度である。 では、何か解決策は存在するのか。現在のところ、総務省は自治体に対して返礼品の相当額を寄付の3割以内に抑制するように指導している。この割合を2割や1割に縮小させることが解決策の一つである。「ふるさと納税」の枠を取り払え もう一つの解決策は、ふるさと納税制度だけに認められている「特例控除」を廃止または縮小することである。あるいは、返礼品の相当額は控除を適用しない制度に改正することも一案だ。 ところで、ふるさと納税制度の創設目的は、人口減少や過疎化が急速に進む中、税収の減少に悩む自治体の財源格差の是正にあったが、この制度だけで財源格差をならすのは極めて難しいのは明らかである。国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」によると、2010年から2050年で人口が5割以上減少するエリアは6割も存在するとされ、2050年ごろまでに自主財源が5割以上も減少する自治体が急増しても不思議ではない。 また、社会保障費の急増や財政赤字の恒常化で、国の財政も厳しいため、国や地方が担う公共サービスにさまざまな「綻(ほころ)び」も目立ち始めている。公共を担うのは国や自治体だけでなく、非営利活動を行う団体や社会起業家なども存在し、多様な担い手の育成が必要だ。 そのような状況の下で、重要な視点となるのが、ふるさと納税制度という枠を取り払い、民間活力も利用した形で公共サービスに近いものを各地域で供給可能とする寄付市場の拡充ではないか。 そこで、筆者が提言したいのは、ふるさと納税制度をベースとして、「非営利ファンド」(仮称)や寄付税額控除とセットの「公設寄付市場」(仮称)を創設する新たな構想である。具体的には、株式市場の仕組みを参考にして、以下の政策を推進してはどうか(図表を参照)。 ふるさと納税では、インターネットでのマッチングをフル活用している。そこでこの新たな構想でも、まず寄付者と、寄付を募る団体との情報の非対称性を埋めるためにネットを活用する。すなわち、寄付を募る団体(自治体を含む)やプロジェクトのうち「優良適格要件」を満たすものと、寄付者をマッチングし、ネット上で簡単に寄付可能な「公設寄付市場」を創設するのである。 具体的には、情報の透明性を図る観点から、公設寄付市場は、寄付を募る団体などの財務・運営体制や目的・内容・実績を審査・公表する。審査とともに、その格付けを行い、寄付者や団体の発掘に努力する。他方、寄付者はこの情報をベースに、団体やプロジェクトに対してか、あるいは「一任寄付」方式で寄付する。一任寄付とは、寄付者が分野指定するものの、公設寄付市場に寄付先を原則委託する方式のことだ。なお、ミクロ的効率性を高める観点から、公設寄付市場は、東証の収益方式を参考に、一定の優遇措置や収益源を確保させつつ、免許制の民間組織としていくつか設立し、競争させる。 また、この寄付市場活性化の起爆剤として、「寄付税額控除」や「非営利支援ファンド」を創設する。このうち、非営利支援ファンドは公設寄付市場が運営し、一定要件を満たす団体やプロジェクトを審査して無償資金として支援する。 なお、それでも起爆剤が不足するときは、相続税の一部を活用する戦略も考えられる。野村資本市場研究所の試算では、現在の相続額は年間50兆円程度もある。これに1%追加課税すると、約5千億円の財源が捻出できる。2%ならば約1兆円も捻出可能だ。この財源をベースに、公設寄付市場などの規模を拡充するのである。2018年8月、東京都千代田区で行われたふるさと納税の地域を応援するという制度本来の趣旨を伝えるPRイベント また、支援対象は、寄付を募る自治体や公共サービスだけではなく、非営利活動を行う通常の団体やプロジェクトにも適用することが望ましい。子育て支援や介護などの分野は、既存の制度を補完する受け皿として、自治体以外にも、もっと多様なサービスを供給する団体が存在してもよい。このような新しい非営利活動を行う団体も、国民のニーズに応じて、自然に設立され、成長していく機会も提供できよう。 いずれにせよ、以上の枠組みであれば、ふるさと納税の枠組みをバージョンアップし、個人や法人が、自治体を含む支援先の団体や公共サービスなどを直接選択する機会を提供することが可能となる。同時に、公設寄付市場の審査・公表を通じて、寄付を募る側の意識改革も進み、より質の高い寄付市場の育成を図ることも期待できるはずだ。

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    ポスト安倍より憲法改正 「歴史に名を刻む」改造内閣の布石

    小林良彰(慶応大学法学部教授) 今回の安倍内閣改造・自民党役員人事の注目点は3点あった。第一に、従来とは異なり、安倍晋三氏が派閥を軸とした総裁選を戦ったことの影響である。 安倍氏は2012年総裁選では、苦楽をともにした仲間や思想的に肌合いが合う人を軸に推薦人20人の名簿を作成し、その多くが大臣や副大臣、政務官として入閣した。これに対して、今回の総裁選では党内の派閥からの支持を軸とする選挙戦を繰り広げ、5派閥1グループからの支持を得て、議員票では圧勝した。このため、小泉内閣誕生以前と同様、「各派閥から何人が入るのか」が注目された。 組閣をみると、安倍氏を支援した細田・麻生・岸田・二階の各派を中心に構成される一方、安倍氏と戦った石破派の斎藤健前農水相は再任されず、石破茂氏も主要な役職には就かなかった。 また、総裁選において衆参で意見が異なる対応になった竹下派は、竹下亘総務会長が党三役を外れ、竹下派の中で安倍氏を支持した茂木敏充氏が留任し、渡辺博道氏が入閣するなど、全体として総裁選の「論功行賞」が明確になった。特に、各派閥とも入閣待望組が多いことから、内閣の過半数となる12人を初入閣組が占め、派閥の長が派内での求心力を維持することに資する結果となった。 一方、石破派からは元検事で在米大使館在任中に米国での従軍慰安婦訴訟を勝訴に導いた山下貴司氏を法相に起用した。同氏の入閣については、石破氏を支持した者にも一定の配慮をしたという見方がある一方、石破派の入閣待望組を飛び越えて当選3回ながら一本釣りすることで、石破氏の派内求心力をそぐ考え抜かれた人事という見方もある。首相官邸への呼び込みの電話に応じた後、抱負を語る自民党の山下貴司衆院議員=2018年10月2日午後、法務省 第二の注目点は、安倍氏が最後の任期中に憲法改正を成し遂げるための党内基盤固めである。 衆議院では自民党+公明党で67%の議席を占め、これに憲法改正に賛成する無所属議員などを加えると、発議に必要な3分の2を超えるが、自民党内にも護憲派がいる。このため、党内を固める必要があることから、党内の総務会長に安倍氏に近い加藤勝信氏を起用し、党憲法改正推進本部長に安倍氏と考えを共有する下村博文氏を起用し、憲法改正に突き進むことが想定される。「歴史の教科書」に残る布陣 安倍氏は2006~07年と12年から現在までで計7年の在任となり、このまま総裁任期満了まで進めば10年に及ぶ長期政権となる。 過去の長期政権を振り返ると、サンフランシスコ平和条約を結んだ吉田内閣、沖縄返還を行った佐藤内閣、国鉄民営化を断行した中曽根内閣、郵政民営化を実現した小泉内閣とそれぞれに大きな仕事を成し遂げている。安倍氏も歴史の教科書に残る仕事をしたいと思っているはずであり、今回の組閣・党役員人事はそのための布陣を整えたとみることもできる。 第三の注目点は、後継者である。安倍氏が総裁任期満了までの残り3年間で、自分がやりたいことを全て実現できるわけではない。そうなると、自分の後も自分と同じ方向の政策を継続してもらいたいと願っているはずだ。しかも、特定の政治家を後継指名した途端にレームダック(死に体)が始まるのが永田町の常である。このため、どのように後継者争いで競わせて求心力を維持するのかが注目される。 今回、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長と茂木経済再生担当相を留任させることになった。過去にも、佐藤栄作氏が「三角大福中(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘)」を重用することで競わせ、長期政権を維持したことがある。また、竹下登氏も「竹下派七奉行(橋本龍太郎、小渕恵三、梶山静六、羽田孜、奥田敬和、渡部恒三、小沢一郎)」を競わせて、首相辞任後も一定期間、影響力を残した。 安倍氏も総裁選で安倍支持が遅れた岸田氏を「ポスト安倍」の前提とせず、陰で安倍内閣を支え続けた菅氏にスマートフォンの料金引き下げという政策を主張させたり、茂木氏に日米通商交渉を任せてスポットライトを浴びさせたりするなど、総裁任期満了近くになるまで後継者競争をさせるのではないか。自民党臨時総務会を終え記念撮影に臨む総裁と新執行部4役(左から)甘利明選対委員長、加藤勝信総務会長、安倍晋三首相、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長=2018年10月2日、東京・永田町(春名中撮影) 今後の安倍政権の焦点は、安倍氏が憲法改正の発議をいつ行うのかである。今秋の臨時国会で自民党案を提出する意向であるが、衆参両院での発議にまで持ち込むためにはいくつかのハードルがある。 まず、公明党の賛同を得るためには、来年の消費税率引き上げに対する食料品などの軽減措置でどこまで譲歩できるのかである。超高齢化に伴う社会保障費の上昇を考えれば、これ以上の引き上げ先送りは難しい。公明党がかねてから主張する軽減措置を受け入れる代わりに、9条2項を削減しない範囲での憲法改正に賛成してもらう合意形成ができるかどうかがハードルの一つである。来夏「衆参同日選」の可能性 また、衆参両院での発議が来年夏の参院選以降に持ち越される場合には、参院選で議席を増やすことができるかが鍵になる。今回改選となる2013年参院選では自民党が大勝しただけに、一層の議席増のためには、状況次第で衆院選との同日選挙の可能性もゼロではない。 ただ、公明党が同日選挙に同意しなければ、自民党単独で参議院の3分の2を確保できない以上、参院選を単独で戦わざるを得ず、来年夏の景気をどのように良好な状態に持っていくのかが安倍氏の腕の見せ所になる。消費税率引き上げを決定すれば、来春から来夏にかけての駆け込み需要を期待できる一方、トランプ大統領との日米首脳会談の結果如何(いかん)やイランからの原油輸入ができなくなれば、来夏の景気にとって大きなマイナス要素になる。 安倍政権の課題は、先月の総裁選の党員票にみられたように、自民党支持者の中には安倍氏の党運営に批判的な者もいることだ。今回の内閣改造・党役員人事で石破派の当選回数が多い議員や参議院竹下派からの大臣や党の主要役職就任が見送られたことが、憲法改正の国民投票にどのような影響をもたらすのかが注目される。 この点、長期政権を継続した佐藤氏は、どんなに総裁選で厳しく争っても総裁選が終わればノーサイドとして、自分の方針に従う限り当選回数主義(衆院議員当選3回で政務次官、当選5~6回で大臣など)で挙党一致態勢を作り上げた。 今回の内閣改造が吉と出るか凶と出るかは、今後、安倍氏が懐深く党内をまとめていけるかどうかにかかっている。特に沖縄県知事選で、安倍氏についていけば選挙に勝てるという「不敗神話」が崩れただけに、来年の参院選が党内の求心力の行方を占う試金石となる。皇居に向かうため官邸を出る安倍晋三首相=2018年10月2日、東京都千代田区(飯田英男撮影) ただ、安倍氏にとって救いなのは、野党の足並みが乱れていることだ。立憲民主党も結党時より支持率を下げており、国民民主党に至っては1%前後の支持率である。 さらに、参院選での野党共闘については、共産党と組むことへの批判を避けるために市民連合を核にした共闘協議をしたい立憲民主党や国民民主党と、「選挙協力は政党と政党で協議するのが筋」とする共産党の間の溝が現時点で埋まっていない。今後、野党がどのように一つにまとまって参院選を戦うかどうかも、安倍政権の行方に大きな影響をもたらすことになる。

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    「石破を干し、次を育てる」安倍人事の容赦なき適材適所

    俟(ま)たない。実行力も育成力も、政治リーダーの人事でつまびらかにされる。 10月2日、党役員人事と内閣改造が行われた。残る総裁任期は3年、「実行力」だけでなく、「次の世代を育てる育成力」も問われる人事だ。戦後の長期政権である佐藤栄作政権、中曽根康弘政権、小泉純一郎政権における「次のリーダーの処遇」から、今回の安倍人事を読み解いてみたい。2018年9月、新潟市内のホテルで開かれた党員集会で気勢を上げる安倍首相 佐藤栄作首相は1964年11月から72年7月まで約7年8カ月首相を務めた。在職は2798日で、現在のところ、桂太郎に次ぐ第2位の日数だ。 佐藤首相の後を継いだ田中角栄首相は、第1次佐藤内閣のもとで大蔵大臣を務めた後、自民党幹事長を通算約4年務め、71年7月に発足した第3次佐藤改造内閣では通産大臣を務めている。「後継育成」のパターン 当時、佐藤首相の後継と目されていたのは福田赳夫氏だった。福田氏は、65年6月からの第1佐藤改造内閣で蔵相となり、66年12月から約2年、自民党幹事長で党務を担った。68年11月の第2次佐藤第2次改造内閣で再び蔵相、71年7月の第3次佐藤改造内閣では外務大臣に横滑りし、佐藤首相の退陣まで務めた。 熾烈(しれつ)な「角福戦争」の末、田中氏が佐藤首相の後継を射止めたが、田中氏、福田氏とも、佐藤首相のもとで党幹事長や蔵相、通産相、外相などの主要閣僚を務め、「後継に足る実力者」と自他ともに認める存在となっていった。  中曽根康弘首相は82年11月から87年10月までの約5年間首相を務めたが、通算1806日、歴代7位の在職日数となる。このときは、安倍首相の父親である安倍晋太郎氏、竹下登氏、宮澤喜一氏の3人、「安竹宮」が後継候補とされた。 中曽根首相の後を継いだ竹下首相は、82年11月の中曽根内閣発足と同時に蔵相となり、約4年間務めた。その後は自民党幹事長となり、87年10月まで幹事長を全うして後継総理・総裁となった。 同じようにポスト中曽根の有力候補であった安倍氏も、中曽根内閣発足と同時に外相となり、竹下氏同様に約4年務め、自民党総務会長となった。竹下内閣になると、党幹事長に就任して、「ポスト竹下」の最有力候補となったが、病を得て首相の座を目前にしながら91年にこの世を去った。 宮澤氏は、1984年10月から自民党総務会長、86年7月に発足した第3次中曽根内閣で蔵相を務めている。1985年8月、箱根でゴルフを楽しむ自民党のニューリーダーたち。左から安倍晋太郎外相、西武鉄道の堤義明社長、宮沢喜一総務会長、竹下登蔵相 小泉純一郎首相は2001年4月から06年9月までで、通算在職日数は1980日、歴代6位の記録だ。今の安倍首相は、小泉政権下の03年9月から1年間自民党幹事長を務めた。また、05年10月に発足した第3次小泉改造内閣で官房長官に転じ、小泉首相の後継となった。 このように見てくると、「長期政権における後継人材の育成」には、一定のパターンがあることに気づく。長期政権の後継者は、必ず、その間に自民党幹事長を務めていること、蔵相(財務相)、外相、官房長官などの主要閣僚を経験していることだ。では、安倍政権下ではどうだろうか。見えない「懐の深さ」 この際、第1次内閣は置くとして、民主党から政権を奪還した第2次内閣以降で自民党幹事長を務めたのは、石破茂、谷垣禎一、二階俊博の3氏である。この中で、谷垣氏は「ポスト安倍」の最有力とされていたが、自転車事故で療養を余儀なくされ、政界を引退した。 二階氏は、1939年生まれの79歳。後継首相総裁として育てられる立場ではない。小泉進次郎氏までのつなぎに適任者が育たない、となれば、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉(よしひで)官房長官と並び、「つなぎ総理」を狙うことになるかもしれないが。 では、石破氏はどうか。今回の人事で、石破氏は党の要職にも閣僚にも起用されず、「干された」形となった。ここで、佐藤→田中、中曽根→竹下、小泉→安倍という後継総理・総裁と石破氏では異なるパターンがあったことに気付く。 田中氏、竹下氏、安倍氏ともに、前任の総理・総裁と総裁選で戦った経験はない。いわば、恭順の意をひたすら表し、要職を務めあげながら、長期政権の後継を狙っていたわけだ。 だが石破氏は、安倍首相にとってはいわば「不倶戴天の敵」である。2012年の総裁選では、安倍首相が石破氏の後塵(こうじん)を拝し、2位に甘んじて決選投票で逆転するという薄氷の勝利だった。また、今回の総裁選では、政策論争を通じて、「反安倍」的な政策を唱える石破氏と対立した。 マキャベリの言に「人間というものは、危害を加えられると思っていた人から、恩恵をあずかると普通に受ける場合よりはるかに恩義を感じて、その人に深い好意を抱くものである」とあるが、今回の人事にはその懐の深さは見えない。イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館にあるマキャベリ像(ゲッティイメージズ) 石破氏を党の要職にも就けず、主要閣僚にも登用しないとなれば、これは、安倍首相が、石破氏を後継にしたくない、というサインに他ならないだろう。また、「入閣待機組」からのすさまじい嫉妬を計算した起用なのか、当選3回の山下貴司氏を法務大臣に「一本釣り」し、石破派への風当たりが強くなる人事をやってのけた。 いずれにせよ、これまでの「定石」であった、長期政権下で党幹事長を務めた人材から後継者が出ることは、石破氏がよほど挽回しない限り難しい。 では「つなぎ総理」ではなく、本格的なポスト安倍にふさわしい人材はいるのだろうか。マキャベリは、「君主たるものは、才能ある人材を登用し、その功績に対しては、十分に報いることも知らねばならない」とも述べている。残された時間は多くない 総裁選で安倍支持の中核となり、留任した二階幹事長、菅官房長官、岸田文雄政調会長の中で、派閥の領袖である岸田氏は安倍首相からの禅譲をうかがう。だが、支持表明の時期の遅れから、禅譲に黄信号がともった。 一方で、新たに党三役の総務会長となった加藤勝信氏は、旧大蔵省出身で、安倍政権下で厚生労働大臣など閣僚も経験し、竹下派でありながら安倍3選を支持して首相にも近く、今回の登用でポスト安倍の可能性が出てきた一人だといえる。 河野太郎氏は外務大臣を引き続き務めることになったが、党三役の経験がない。今後、困難な外交状況をうまく安倍首相をサポートしてこなし、党三役を務めることになれば、ポスト安倍に向けた「育成モード」につながるだろう。 小泉進次郎氏を今回の人事で処遇しなかったことで、小泉氏は「次の次」に回るか。定石とは異なるが、現在のところ、幹事長経験者以外からポスト安倍を、という方向が見えてきた。 麻生氏、二階氏、菅氏の「つなぎ総理」か、岸田氏、河野氏、加藤氏の3者の中から誰かが頭角を表すことになるのか。 来年は統一地方選と参院選が控えている。この二つの選挙は、おそらく安倍政権のもとで行われるが、ポスト安倍と目されたニューリーダーが火の玉になって、「この人が後継であってほしい」と自他ともに認知される状況を自らの力で作っていかなければならない。 もし参院選を花道に二階幹事長が勇退、後任にその人材が座れば、文句なしのポスト安倍一番手となるだろう。今回の人事でポスト安倍がはっきり見えなかったことは、参院選を経てポスト安倍に躍り出るチャンスだということを、本人たちも痛いほど分かっているに違いない。2018年9月、沖縄県知事選、那覇市内の街頭演説で手をつなぎ、支持を訴える(左から)菅官房長官、佐喜真淳氏、小泉進次郎自民党筆頭副幹事長 華やかな小泉氏とは違うキャラクターで、安倍政権のプラスを伸ばし、マイナスをゼロにする政治リーダーが育つことが、国益にもかなう。勝負に残された時間は多くないことを、彼らにも自覚してもらいたい。

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    「災い転じて福となす」稲田朋美の退場が安倍政権をさらに強くした

    た「お友達内閣」を含めた知り合いへの「便宜供与」も疑われ、内閣支持率の低下を受けて、安倍総理は8月に内閣改造を余儀なくされた。総理は、改造について「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣」と述べたが、「今までの安倍内閣は仕事第一ではなかったのか、実力本位ではなかったのか」という疑問を提示せざるを得ない。「災い転じて福となす」ではないが… 発想を変えてみたい。稲田氏の辞任と内閣支持率の低下が、改造内閣と、それを引き継いだ第4次内閣に仕事第一の実力者の布陣をそろえたと考えてはいかがだろうか。例えば、防衛大臣である。現在の小野寺五典氏は、大臣経験もあり、防衛省の幹部とも円滑に取り運んでいるという。その意味で、脅威や軍事行動の危険がますます高まる東アジア情勢の中で「安定した国防」を期待できるといえる。国民生活にかかわる状況になっている国防を安心して任せられる布陣は必要不可欠である。稲田氏の辞任が生み出した皮肉な結果である。2017年9月、北朝鮮ミサイル発射を受け、会見する小野寺五典防衛相=東京都新宿区の防衛省(宮崎瑞穂撮影) 稲田氏の辞任などから生じた内閣改造をみてみると、次のことが言えるのではないか。 一つは「お友達人事」を見直したことだ。以前のように、敵味方を分けるようなことはせずに、戦略的ともいえなくはないが、野田聖子氏を総務相に起用するなど、安心できる経験者や政策通を配置したようである。 もう一つは主要閣僚に大胆な起用を行ったことである。外相に河野太郎氏を起用したことは、派閥にとらわれない部分も垣間見える。とりわけ防衛相には前述した小野寺氏を起用するなど、首相が適材適所をこれまで以上に意識したことがよく分かる。 「災い転じて福となす」ではないが、第4次内閣に結果的な評価ができるとしても、本来政治家に必要な資質を学習させ、さらにしつけも徹底しなければならない。以前は、新人や若手議員に対して、派閥が政治化教育の役割を担っていた。確かに弊害もあったが、派閥がないのであれば、政党が公認者責任を負う必要がある。 最終的には選んだ有権者に責があるのだが、ごく短い選挙期間だけで、特に新人議員の人となりまで見分けるのは困難である。そうなると、やはり政党の公認を信じることになるわけで、どう考えても政党の責任だけは免れまい。とはいえ、政党、政治家ともに有権者が育てていくという一面もある。いずれにせよ、政治について、すべての人の理解がまだまだ足りていないのかもしれない。

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    陸自OB座談会「稲田朋美は防衛大臣を辞める必要はなかった」

    ません。そして“ケンカ両成敗”で事務次官、陸幕長に加え大臣まで辞任することになりましたが、安倍首相は内閣改造の8月3日まで防衛大臣に職を全うさせるべきでした。 民進党は今回、国会で日報問題を追及して稲田氏を辞任まで追い込みましたが、自分たちが政権を取ったら同じようなことになるのが分かっているのでしょうか。自衛官や防衛官僚のリークによって選挙で選ばれた大臣が辞任するようでは民主主義は終わりですよ。戦前は「統帥権干犯」などとして政権への攻撃が行われましたが、今回の問題もそれと同じことではないでしょうか。火箱 稲田元大臣の辞任については、これだけの騒動になってしまったことの責任を取られたのだと思います。柿谷さんがおっしゃる通りで「陸自が日報の存在を意図的に隠し通していた」というのは事実ではないでしょう。ただ統幕、陸幕、内局の連携が不十分だったのは残念です。柿谷 統幕長が今回の日報の問題では肝心のところを何も知らず、報道でも不思議なことに統幕長についてはほとんど触れられません。統幕の総括官が上司に報告せずに勝手に指示をしていた、それもおかしな話です。部下であるはずの総括官が、どうも統幕長にきちんと報告をしていなかったらしいのです。“言葉狩り”からの卒業を中谷 私が防衛大臣のときに、内局(背広組)運用企画局と統幕(制服組)の機能を一緒に統合しました。自衛官と内局が相まって防衛大臣を支えるということで、特に国会関係は内局が対応するということで、統幕の中に総括官などとして背広組を入れる組織改正をしました。今回は日報をめぐって、これは内局が仕切る必要がある部分が多かったということで、総括官がかなり責任を持って対応していたのだろうと思います。 それから一つ申し上げたいのは「戦闘」という言葉が議論されましたが、これは一般的な言葉であって、1対1の銃撃戦も戦闘であり、国レベルの紛争も戦闘といわれます。自衛隊でも「戦闘機」とか「戦闘訓練」などと、戦闘という言葉を一般的に使っています。私が防衛大臣だった当時、イラクでの自衛隊の活動記録をまとめた「行動史」の中に「軍事作戦」という言葉が使われていて野党から追及されましたが、自衛隊の海外任務の遂行自体が軍事作戦であるのは当たり前のことです。国会の審議でこうした“言葉狩り”をするようなことは、そろそろ卒業する時期でしょう。国会ではもっと実のある議論をしていただきたいものです。2015年10月、海上自衛隊の隊員に訓示する中谷防衛相=舞鶴市の海上自衛隊第23航空隊柿谷 南スーダンPKOについていえば、もともと民主党が野田政権のときに派遣しているわけです。当時の新聞を切り抜きで保存していますが、当時すでに「戦闘」「空爆」といった言葉が度々使われていました。それを、野党になった民進党が批判するとはいかがなものか。民進党は、民主党政権時代を思い起こしてみるべきでしょう。 当時の新聞を見ると「PKO 急いだ政権」「治安に課題残し船出」などと書かれています。さらに朝日新聞は「PKO 他国軍救援も」「駆けつけ警護 首相、合憲に『余地』」とまで書いている。これも野田政権下でのことです。民進党は「よく私たちの後始末をしてくれました」と感謝するのが筋ではないですか。火箱 先ほど中谷先生が述べられた通りで、「戦闘」という言葉尻をとらえて追及して何の意味があるのか、戦闘の代わりにどんな言葉を使えばいいのかと思います。国会でも、南スーダンで行われている「戦闘」がPKO5原則に抵触するのかどうか、に絞って議論をしていただければ実のある議論になったと思うのですが…。現地の部隊としては、現実にあったことをキチンと書いて報告しなければならないのです。それを、「戦闘」という言葉を使ってはいけない、などということになれば、正しい報告ができません。中谷 今回の話は、自衛隊の国際貢献のあり方を根本から考えるいい機会でもあると思います。2年前の平和安全法制の制定でかなりの進展が図られたとはいえ、依然としてPKO参加5原則は変わっていないのです。世界に目を向ければPKO自体が、性質が変わってきています。PKOの現場で自衛官は任務と法的枠組み、それから政策の合間で非常に苦労していますので、しっかりと国際貢献のあるべき姿をこそ国会で議論するべきだと思います。5原則でがんじがらめの自衛隊火箱 おっしゃるようにPKOは第3世代といいますか、最初はあくまで中立だったものが、現在では文民保護の観点から文民に危害を加えようとするものを撃ってもいい、というところまできています。そうした中で日本はPKO5原則でがんじがらめの状態で自衛隊を参加させているわけで、この5原則は本当に妥当なのか、国会でしっかり議論していただきたい。そうでないと、今後の派遣でもまた問題が発生することになるでしょう。中谷 自衛隊の存在を憲法上にどう位置づけるかという議論は非常に重要で今、自民党の中で議論しているところです。自衛隊も創設60年を迎え、国民の間に定着し立派な仕事をしていますので、憲法上にしっかり自衛隊を明記することは必要だと思います。ただ、憲法改正は自民党だけではできません。衆参両院で3分の2の賛成が要りますし、国民の過半数の賛成も必要ですから、国民の皆様の理解を得られるよう、しっかり説明をしていきたいと考えています。柿谷 安倍首相は5月3日に「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の集会でのビデオメッセージで、自衛隊を憲法に明記する提案をしましたが、私はビックリしました。自衛隊、という名前は本来、軍隊にしなければなりませんが、あの改憲案は「自衛隊は違憲だと言う憲法学者がいるから憲法に書いてやる」という態度ですよ。私は月刊『Hanada』7月号に「憲法『自衛隊』明記は改悪だ!」と書いたんです。 そもそもセルフ・ディフェンス(=自衛)という表現が問題です。これは外国人は皆、「自分だけを守る」と受け止めるのです。「自衛軍」でも同じ訳になるのでダメです。せめて「国防軍」とすべきではないですか。中谷 いまなお語り継がれていますが、防衛大学校1期の卒業生に、吉田茂首相は「君達は、自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく、自衛隊を終わるかもしれない。言葉を換えれば、君達が日陰者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい」という趣旨の言葉を託しました。それから60年になりますが、いまだに「自衛隊は憲法違反だ」と主張している政党もあれば学者もいます。ですから少なくとも私たちの世代で、自衛隊の存在をしっかり位置づけたい。それがどういう名前になるのか分かりませんが「憲法違反」と言われることがなくなるよう、憲法改正を行ってはどうか、というのが一つの考え方で、自民党内でも議論しているところです。 私自身は、平成24年に発表した自民党憲法改正草案の起草委員長として、党内の意見を取りまとめました。草案では「国防軍」としており、内閣総理大臣の指揮を受け、また国防軍に審判所を置くことを盛り込んでいます。国際的な主権を持つ国家としての国防の在り方としては、ほぼ完成された条文だと思いますが、今これを提案して国民の過半数の賛同を得られるかといえば、現実的な判断が必要でしょう。2年前の安保法案審議での限定的集団的自衛権の存立危機事態を設けることすら国を二分するような議論になったことを踏まえれば、まずは自衛隊を憲法上、認めてもらうところから始めるというのも一つの手段ではないでしょうか。なぜ自民党は「国防軍」の旗を降ろすのか火箱 私も本来は、自衛隊をきちんと憲法の中に軍隊として位置づけるべきだと考えています。安保法制の成立で、かなりの部分で自衛隊の活動が一歩前進したとは思いますが、これまでの憲法解釈が踏襲されていて、まだまだ自衛隊は軍隊でないことで問題が残っています。例えば朝鮮半島有事を想定した重要影響事態安全確保法では、現に戦闘が行われている現場では米軍への支援はできないとか、「戦死」や「捕虜になる」といった概念もなく、自衛隊は端境期にあるといえます。これは何としても憲法上、軍隊にすべきだと思いますが、たしかに安保法制であれだけ反対も出たことを考えれば、国民投票で過半数の賛成が得られるかという問題はあります。やはり、一歩前進を取り憲法に自衛隊を明記してもらうことを先ず優先すべきと。私たちの世代は沖縄で「人殺しの憲法違反の自衛隊は帰れ!」などと罵声を浴びながらも耐えて頑張ってきましたが、これからの人たちが例えばPKOへ行くときに同様の目に遭うのは忍びない。せめて自衛隊と明記して「憲法違反だ」と言われる事態はなくしてほしい。今これをやらなければ、未来永劫憲法は変わらないのではありませんか。柿谷 いったん憲法に「自衛隊」と書いたらその先、何十年も変わらないことになりますよ。なぜ自民党は「国防軍」の旗を降ろすのか。これは後々、悔いが残ると思いますよ。中谷 21世紀のわが国が生存を図る上で、現行の憲法で本当に日本が守れるのかを考える必要があります。自衛隊は長射程の火器も保有していませんが、南西諸島の防衛や策源地への反撃能力などを考えれば装備についてもより効果的なものを考えていく必要があります。憲法改正議論には、いかに国民の生命・財産を守るかを、真剣に考えていかねばなりません。火箱 現在の憲法のもとで専守防衛が掲げられ、防衛費はおよそGDPの1%以内に抑えられていますが、これは相撲に例えれば「張り手などは禁止で、うっちゃりで何とかしろ」と制限されているような理不尽な話です。今の世界では、一国では自国の平和は守れない、各国が連携して守る、というのが常識になりつつあります。日本はようやく集団的自衛権が限定的に認められましたが、限定的で本当にいいのかという問題もあります。憲法を改正するのが理想的ですが、まずは「専守防衛」でよいのか、この問題を解決に向けて進めてもらえればと思っています。東京・市ヶ谷の防衛省(斎藤浩一撮影)柿谷 極論かも知れませんが、憲法はそのままに「国軍法」を作ればいいのです。これなら両院で過半数の賛成があれば可能です。  私はいっそ最高裁が「自衛隊は憲法違反だ」と判断してくれればいいのに、と思うこともあります。そうすれば自衛隊を解散するか、憲法を改正して軍を持つしか選択肢はありませんから。国民もずるいと思いますよ。歴代政府も「徴兵制は『意に反する苦役』に当たるから憲法違反で、できない」と説明してきましたが、それで一体誰が自衛官になるのですか。世界を見渡しても、徴兵が憲法違反などという国はありません。ドイツは数年前に志願兵制に移行しましたが、基本法(憲法)上は兵役の義務を残しているのです。火箱 皆、そういう思いは持っていますが、70年間ずっと動かなかったものを、まずは一歩進めて自衛隊を憲法に明記していただかなければ、これから自衛官になる若い人に対しても申し訳ないと思います。中谷 陸上自衛隊は前身の警察予備隊の時代から諸先輩が国民の信頼を得るべく黙々と努力してきました。今回の「日報」をめぐる事件は残念なことでしたが、ここは原点に立ち戻って、誠実に、愚直に任務に励んでいただき、国民の信頼を得られる組織になってもらうことを願っています。かきや・いさお 昭和13年、石川県生まれ。防衛大学校卒業と同時に陸上自衛隊入隊。大阪大学大学院修士課程(精密機械学)修了。陸上自衛隊幹部学校戦略教官、陸上幕僚監部教育訓練部教範・教養班長、防衛大学校教授などを歴任し、平成5年に退官。元陸将補。著書に『徴兵制が日本を救う』『自衛隊が国軍になる日』。なかたに・げん 昭和32年、高知県生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊でレンジャー教官を担当し、59年に二等陸尉で退官。国会議員秘書を経て、平成2年に衆議院議員に初当選し、現在9期目。防衛庁長官、自民党安全保障調査会長、党政調会長代理、防衛大臣などを歴任した。自民党憲法改正推進本部長代理。ひばこ・よしふみ 昭和26年、福岡県生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊に入隊し、第10師団長、防衛大学校幹事、中部方面総監などを歴任し、平成21年に陸上幕僚長。東日本大震災の発生当時、陸上幕僚長として初期対応に当たった。23年に退官。著書に『即動必遂』。

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    稲田議員、今井議員 軽々超えた政治家としての「一線」

     「女性がいないんだよなァ」。8月3日、内閣改造に踏み切った安倍首相は、そうため息をついたという。「女性が輝く社会」を掲げ、何人も女性閣僚を抜擢してきたが、バタバタと辞めていくだけ。「このハゲ~」議員ほか若手も不祥事続き。「もうまともな女性議員が残ってないよ」というボヤきは、国民にもわからないではない。 そんな雰囲気にダメ押しをしたのが、今井絵理子参院議員(33才)だ。妻子あるイケメン神戸市議のマンションに泊まったり、ホテルの一室でパジャマで過ごしたのに、「一線は越えていません」という微妙すぎる言い訳をしたのには、当然、各方面から総ツッコミが入った。2017年11月、第195特別国会開会式に臨む自民党の今井絵理子参院議員(斎藤良雄撮影) ビートたけしは「『一線』って何なのか、大きな声で言ってほしかった」、松本人志は「手を握って東海道を越えている」、いとうあさこまで「新幹線の中で手をつなぐのを我慢できない人が、ホテルに入って何の我慢ができるの」と言及。小倉智昭は早くも「今年の流行語大賞」と皮肉った。 ちなみに、法律の専門家たちはこぞって「同じ部屋に泊まったのは、裁判ではアウト」と指摘している。 「シングルマザーとして聴覚障害のある子供を育てていて、障害者福祉に詳しいというのが議員としてのウリだったはずですが、彼氏のマンションに入り浸って、子供の面倒は母親まかせ。以前つきあっていた元カレが“おれは息子のシッターじゃない”とこぼしていたこともあるほどです」(全国紙政治記者) 有権者の信頼を失うという「一線」は軽々と越えた。 稲田朋美元防衛相(58才)は7月末日、改造よりも一足早く内閣を去って行った。教育勅語をめぐる発言や陸上自衛隊の日報問題など、国会で集中砲火を浴び続けても、「職務をまっとうしたい」と“一線”の大臣のイスに座り続けていたのに、あっさりと辞任した。 「7月27日、民進党の蓮舫さん(49才)が代表辞任を発表したちょうどその日、防衛相を辞めると明らかにしました。呆れたのは、そのタイミングです。蓮舫さんが会見した4時間後に辞意が伝わった。蓮舫さんに被せることで、自分の辞任のニュースが小さくなるようにしたかったのでしょうけど、あまりにズルい」(前出・政治記者) 女性政治家が、永田町という男社会で生きて行くことは簡単ではない。女性のリーダーシップに詳しいコミュニケーションの専門家・岡本純子氏の分析。 「リーダーシップには“有能さ”と“温かみ”という2つの要素が必要です。ただし、温かみには大きな性差があります。男性がスピーチで物腰柔らかく声をかけると、“優しい”と肯定的にとらえられますが、女性リーダーの場合、“弱々しい”と思われてしまう」 稲田氏はまさにこのタイプ。 逆に男性リーダーが大声で叫んだり、ちょっとキレても「力強い」「情熱的」「真剣」と評価されるが、女性リーダーは「ヒステリック」と受け止められてしまう。蓮舫氏のパターンだ。 「両方を絶妙なバランスでやっているのが小池百合子都知事(65才)です。弱々しすぎず、強すぎない。感情のコントロールが非常に巧みです」(岡本氏) 女性が第一線で活躍するのは難しいが、あくまで失敗は個人の資質のこと。女だから…と一括りにされるのは困ってしまう。関連記事■ 稲田朋美氏 保守系メディアからも出ていけと見捨てられた■ 渡辺謙 南果歩との話し合いは進まず「離婚してぇ」と漏らす■ 今井絵理子氏の恋人に児童福祉法違反で逮捕歴報道■ 稲田大臣、批判高まり「好きな服も着られない」と不満漏らす■ 吉岡里帆 「スッピン濡れ髪」で会いに行った佐藤健宅

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    “排除”宣言で幻に 「小池総理&野田聖子都知事」構想

    トした細川護熙元首相でした。しかし、その情報は事前に自民党サイドに漏れてしまいます。そこで安倍首相は内閣改造で野田さんを入閣させて、計画をご破算にさせたんです」(政治ジャーナリスト) 今回の解散・総選挙を受けての「小池総理、野田都知事」構想はそれほど突飛なものではなく、以前からその伏線はあったということだ。「打診を受けていた野田氏も前向きに検討していました。実際、小池さんサイドは、希望の党からは野田氏の選挙区に対抗馬を立てないことにしました。もし野田氏が都知事選に転じ、選挙区では後任の新人候補が出馬しても、当選を妨げないようにするためです。2人とも、かなり本気でした」(前出・政界関係者) しかし、結局、小池氏は出馬を断念せざるを得なかった。なぜ女性ツートップ計画は幻に終わってしまったのか。 希望の党の立ち上げ直後ぐらいまでは、民進党との合流も決まり、小泉純一郎元総理を味方につけるなど、トントン拍子でうまくいっていた小池氏。「安倍自民党を倒そうとするならば、“野党を1つにまとめる”のが正攻法でした。しかし、彼女はより難しい戦略を選びました。それは“自民党の中から味方を引っこ抜いて、自民党を内部から崩壊させる”というものでした。まさに『策士、策に溺れる』です。打つ手がことごとくうまくいくので、調子に乗ったところがあるのでしょう。そこで飛び出したのが、政治的主張が合わない野党議員を仲間から締め出す“排除いたします”宣言でした」(前出・政治ジャーナリスト)小池氏は次の次を狙っている その発言は、小池氏にとって大きな逆風になる。一部の革新系議員を切り捨てることによって、自分を保守系だとアピールする。そうすれば、安倍首相に不満を持つ自民党内の保守系議員が味方になってくれるのではないか──そんな作戦だったのだが、目論見は外れた。 小池氏の後ろ盾ともいえる前出の細川元首相は、小池氏を「女帝っぽくなってきて」と、こう眉をひそめた。「排除の論理を振り回すようでは、私はこの試みの先に懐疑的にならざるを得ません」「排除宣言」は、世間の小池氏のイメージを「冷酷な人」というものに変えてしまっただけではない。「永田町は日本で“最強最古の男社会”です。水面下で交渉をして、相手のメンツを立てて、もし決裂したとしても、お互いが納得した上で物事を進めていく。ある意味で“馴れ合い”が必要なわけです。小池さんが毛嫌いする“ブラックボックス”ですが、それが、いろいろな立場の人の利害関係を調整してきました。しかし、小池さんは水面下のネゴを拒否してスパッと主張の合わない人たちを切り捨ててしまいました。彼らが怒り心頭なのはもちろんですが、“そのやり方はいくらなんでも…”と仲間からも反感を買ってしまった。排除宣言によって、旧来の『男型政治』からアレルギー拒否反応を受けてしまったんです」(前出・自民党関係者)本会議に臨む小池百合子都知事=27日、都庁(酒巻俊介撮影) いつの間にか四面楚歌になっていた小池氏は、かくして出馬を見送らざるを得なくなった。だが、もちろんこのまま黙っているわけではないだろう。「選挙の結果を見て、“次の次”を虎視眈々と狙うはずです。場合によっては、希望の党の誰かを議員辞職させ、小池氏が補選に打って出て国政へ、なんていう仰天のシナリオも絶対にないとはいえません」(前出・政界関係者)「ガラスの天井」は高く、厚かった、と言うのは簡単。まだチャンスはある。関連記事■ 梅沢富美男が小池百合子に一言「下手打ったんじゃないかな」■ 小池都知事の手法は「しがらみ政治そのもの」ではないか■ 中居正広、6年交際のダンサー恋人と破局 「結婚より仕事」■ 満島ひかり 新作映画で見せた覚悟の初体験に試写室どよめく■ 『民衆の敵』で女性議員演じる篠原涼子 小池氏よりも期待大か

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    反安倍派のみなさん、解散はまたとない「大義」を問うチャンスです

    はこの種のわかりやすい例を示している。小池氏は、8月3日のツイートでは、森友・加計学園問題隠しなどで内閣改造を行っているとした上で、「内閣改造ではなく、内閣総辞職、解散・総選挙が必要」と記者会見で発言したと書いている。ところが、9月17日には「臨時国会冒頭解散。いったい何を問うのか。もともと『大義』とは縁もゆかりもない政権だとは思っていたがここまでとは。森友隠し、加計隠しの党利党略極まれり」と書いている。このような矛盾した発言は、なにも小池氏の専売特許ではない。わりと頻繁に出合う事例である。北朝鮮リスクの中での解散は間違いか また「北朝鮮のミサイル発射や核開発の中で解散・総選挙を行うのは政治的空白を生むので間違いだ」という発言もある。だが、この発言の前提には、北朝鮮リスクが短期的に解決するものであるという予断があるのではないか。 いまの北朝鮮の核開発ペースでいくと、専門家の指摘では、1年か2年で米国本土に到達できる核弾頭ミサイルが完成するといわれている。つまり、北朝鮮リスクは時間の経過とともに増加していくと考えるのが現状では自然だろう。いまの衆院議員が任期満了まで務めれば来年末が総選挙である。その時期はちょうど北朝鮮の核開発の最終段階に到達している可能性が高い。言い換えれば危機のピークである。現段階で、北朝鮮リスクを解散・総選挙の否定理由としている論者はこの点をどう考えるのだろうか。 もちろん安倍首相側にも、解散・総選挙の理由で北朝鮮リスクを挙げるならば、それなりの具体的な対案を問うべきだろう。それがなくただ単に不安をあおるような姿勢でいれば、国民の多くが不信を募らせることは間違いない。安倍政権による対北朝鮮対応の核心は、日本・米国・韓国の安全保障の連携に尽きる。北朝鮮のミサイル発射に伴う「挑発」行動は、多くの識者が指摘するように、日韓を飛び越えて、核問題を含めて米国との直接交渉に持ち込むこと、さらにいえば日韓と米国の間に「不信」というくさびを打ち込むことが狙いだろう。9月15日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、首相官邸で報道陣の取材に応じる安倍首相(松本健吾撮影) 日本と韓国は、米国を中心にした「核の傘」によってその地域的な核抑止力やまた安全保障を担保している。この3カ国による実質的な東アジア防衛システムは、米国抜きでは維持はできない。仮に米国が北朝鮮と直接に交渉し、その核保有などを認めるとするならば、3カ国による地域防衛システムは破綻しかねない。米国への「不信」は、日本と韓国、そして北朝鮮をはじめとした地域内での軍備拡張ゲームに移行してしまうリスクがある。日本はただでさえ、冷戦終了後の経済停滞や財政再建主義の反動で、米軍への防衛力「ただ乗り」が事実上加速している。これは意外に思われる人たちも多いだろう。 正確にいえば、冷戦時代から日本と韓国は米国に防衛力の面では「ただ乗り」をしてきたといえる。その簡単な証左が、両国に偏在する米軍基地や「核の傘」の存在である。もちろん米軍基地の縮小・撤廃そして防衛費の肩代わりなどを両国は行ってきている。大義がない、党利党略だ、と言ってもこれが選挙 例えば、だいたいの先進国が名目国内総生産(GDP)の2%程度を軍事費にあてる中で、日本は名目GDP比で1%を防衛費の「上限」としてきた。つまり拡大速度は先進国の標準の半分である。さらに加えて、90年代初めから2012年ぐらいまでの名目GDP成長率は平均するとゼロであった。もし先進国の成長率の平均を2%程度とし、日本もそれと同様だったとすると、日本の防衛費の現状は達成可能であった水準のだいたい半分である。ただでさえ拡張スピードが抑制されているのに、20年以上速度を示すことすらしなかった。それでも日本の防衛がそこそこ機能できた背景には、米国の軍事力への「ただ乗り」とその加速化が背景にあったとみていい。 もちろん米国にも、この「ただ乗り」を放任する経済的なメリットがあった。冷戦が終了しても東アジアの地政学的リスクを顕在化させるのは得策ではないからだ。したがって、問題は「核の傘」への依存などある程度の「ただ乗り」を認めたうえで、日米韓3カ国の防衛システムを維持し、その中で経済的・軍事的負担のバランスを図るというのが、いままでの米国の戦略だったろう。 この日米韓の防衛システムにくさびを打ち込むことが、北朝鮮の狙いであるのはほぼ自明である。そのため、安倍首相は訪米でトランプ大統領、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と3カ国首脳会談など積極的に行い、米国・韓国との連携強化に注力した。国連総会の一般討論演説を行う安倍首相=9月20日、ニューヨーク(代表撮影・共同) 話を戻すと、北朝鮮リスクはかなり長期化する。しかも時間が経過すればするだけその潜在的リスクは増大していく。つまり政治的解決のハードルも上がっていく。「対話路線」、日米韓連携、国連の制裁など多様なルートによる北朝鮮リスクの抑制がすぐに効果をあげるめどはたっていない。その中で、いまの段階で解散・総選挙を行うのは、北朝鮮リスクだけを考えてもそれほど悪い選択とは思えない。 ちなみに私見では、解散・総選挙をめぐる安倍首相を含めた各党派の思惑について、評論家の古谷経衡氏の発言ほど簡にして要を得たものはないので、最後に紹介したい。もっとも票読みについてはどう出るかは、私にはわからない。与党の大敗で終わっても不思議ではない。それが選挙だろう。 大義がない、党利党略だ、と言ってもこれが選挙。今解散すれば、自民党単独で270くらいは行くだろう。公明党と合わせれば300超で大勝利。これが選挙なのだ。こうやって冷徹に勝ってきたから安倍1強は実現している。情でも理でもない、票読みなのだ。選挙で勝つのが権力の源泉のすべてなのだ。古谷経衡氏の公式ツイッターより

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    衆院解散の歴史をみれば「大義」という言葉の虚しさがよく分かる

    解散・総選挙はいつでも受けて立つ。衆院解散に追い込みたい」と語っているし、社民党の又市征治幹事長も「内閣改造でごまかそうとしているが、解散・総選挙を打たざるを得ないところに追い込むことが大事だ」と強調している。 共産党も8月下旬の時点で、安倍政権に対する怒りの声が全国に広がり、あと一歩で安倍政権を打倒できるんだというところまで追い込んでいる、臨時国会で安倍政権を追い詰め、解散・総選挙に追い込んでいこう、と力をこめている。2014年11月21日、衆院解散で記者会見する安倍晋三首相の映像が街頭に流れた=大阪市北区 一転、安倍首相が解散の意向とメディアに報じられると、民進党の前原誠司代表は、受けて立つが、北朝鮮の緊迫した状況での政治空白、森友・加計問題での国会での説明不足などを挙げて「自己保身解散」だとコキおろした。幹事長に登用しようとした人材のスキャンダルを報じられ、解散のひとつの引き金になった反省はどうやらないようだ。 大義もへったくれもない。自分たちに都合がいい時期を選んで解散できる首相、自分たちに都合が悪い時期に解散されることで口を極めてののしる野党。こうなると鍵を握るのはやはり無党派層か。有権者はハナから大義などに期待していないが、安倍首相の「勝てそうだから」という理由での解散に、まさかバラバラ感満載の野党による政権を期待してはいないだろうし、世論調査でも期待は低い。第一の可能性は、このタイミングでの解散に、安倍首相にひと泡吹かせようと野党に1票を投じるというもの。第二は、老獪(ろうかい)な手法に敬意を表し、北朝鮮への対応を期待して与党に1票を投じる可能性。そして第三は、安倍もノーだが受け皿もない、という消去法で棄権してしまう可能性だ。 2014年の衆院選では、投票率は50%台前半と低迷した。現時点では小池知事の動きは不明だが、第三の可能性をはらみながら選挙戦に突入していくとしたら、後世の歴史家から「大義なき解散」にふさわしい衆院選だった、という有り難くない評価をこれまで同様積み重ねていくことになるのかもしれない。 「大義」という言葉が政治に警鐘を鳴らし続ける言葉として、今回の衆院選で死滅することは少なくともなさそうだ。

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    「不祥事議員どうするか解散」ネーミングはこれにしよう

    「(この結果を受けて)解散に追い込む」と気勢を上げた。これに同調したのが社民党の又市征治幹事長で、「内閣改造でごまかそうとしているが、解散・総選挙を打たざるをえないところに追い込むことが大事だ」と言ったのである。 それがいざ解散となったら、今度は「大義がない」「疑惑隠し」だと解散そのものを批判するのだから、あきれてものも言えない。本来なら「よくぞ解散してくれました。これで国民に信を問えます。もう疑惑からは逃れられませんよ」くらいのことを言わなければならない。大義がないのは、野党サイドではないだろうか。大義(選挙公約)の争点 これでは、自民党に「いまなら勝てる」と足元を見透かされるのは当然だ。民進党は山尾志桜里衆院議員の不倫スキャンダルと離党者続出でガタガタ、ほかの野党は完全に弱小化、小池新党はまだ準備不足で若狭勝衆院議員は政治塾「輝照(きしょう)塾」を立ち上げたばかり、細野豪志元環境相も河村たかし名古屋市長も、あの橋下徹前大阪市長もどうしていいか思案中といった具合だ。 とりあえずだが、麻生太郎副総理兼財務相の名参謀としての策略がずばり決まっている。これで本当に自民党が勝てば、「生まれはいいが育ちは悪い」と常々語っている麻生氏に、ぜひビシッと決めたマフィアスタイルで勝利宣言をしてほしいと願う。しかし、万が一、自民党が負けたらどうなるのだろうか。トランプが勝ってしまうこともあるのだから、一寸先はわからない。参院予算委員会の集中審議に臨む、安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=3月27日、国会(斎藤良雄撮影) それにしても、まさかまさかの解散・総選挙だ。今年の3月5日の自民党大会で、「総裁3選」を可能とする党則改正が決まったときは、衆院は任期満了までいくのは間違いないと思われていた。そうして、来年9月の自民党総裁選挙に安倍晋三首相が勝てば、さらに3年間任期が伸びるので、2020年8月の「灼熱(しゃくねつ)」の東京五輪のときも、確実にシンゾー政権は続いていると思われていた。 それが、「森友アッキード払い下げ問題」でつまずき、「加計アクユウ獣医学部新設問題」で支持率が落ち、「稲田朋美元防衛相ネコかわいがり続行」で窮地に陥ってしまった。 これを救ったのが、「ゴトシ」をそろえたという内閣改造ではなくロケットマンだ。北からミサイルが発射されるごとに支持率は盛り返し、とうとうビッグチャンスがやってきた。日本の安全保障上最大の危機は、首相と与党にとって野党のうるさいハエをたたく最大のチャンスなのである。 それでも大義がないというので、自民党は現在自ら大義(選挙公約)をつくり出そうとしている。「政権べったり」新聞(読売新聞)などの報道だと、安倍首相は「消費税10%の使途を借金返済から子育て支援、教育無償化に変更」というアメ玉を用意したうえで、「憲法改正」も訴えるという。「リベラル大好き」新聞(朝日新聞や毎日新聞)によると、「教育や社会制度を抜本的に見直す人づくり革命を打ち出し、アベノミクスの是非を問う」という。  私としては、やはりアベノミクスの成否を問わなければおかしいと思う。これこそが、「バイ・マイ・アベノミクス」とマイケル・ダグラスのセリフをパクって、内外に問うてきたこの政権の政策そのものだからだ。 なにしろ内閣府は、いまだにHPに、もうみんなすっかり忘れてしまった「新3本の矢」を掲げ、その成果を何項目かにわたって、「成果、続々開花中!」という吹き出し付きで自画自賛している。しかし、最大の目標であるデフレ脱却によるインフレ率2%達成、それ以上の経済成長率は、達成できただろうか。このHPをぜひ一度見てほしい。国民がやらなければならない「審判」 さて、大義はないとはいえ、この選挙で私たち国民がやらなければならないことがある。ここまでに続出した「不祥事議員」をどうするかだ。選挙はやはり審判である。「このハゲー!違うだろ」を、埼玉4区の有権者は許すのか、許さないのか。以下、リスト化してみたので、当該選挙区の方はじっくり考えてみてほしい。■甘利明(神奈川13区、68)現金(賄賂)授受が発覚、経済再生担当相を辞任。→不起訴処分(嫌疑不十分)■稲田朋美(福井1区、58)嘘答弁を繰り返すも、驚異の粘り腰で防衛相に居座る。→防衛相辞任■武藤貴也(滋賀4区、38)知人に未公開株を「国会議員枠」で購入できると持ちかけ金銭トラブルに。→離党■中川俊直(広島4区、47)不倫女性とハワイで「結婚式」まで挙げた「重婚疑惑」、ストーカー疑惑が発覚。→経済産業政務次官を辞任、離党。■上西小百合(大阪7区、34)本会議をサボり、ショーパブはしご。その後、放言多し。→日本維新の会を除名■務台俊介(長野2区、61)被災地視察で長靴を持参せず、水たまりを政府職員におんぶ、「長靴業界はもうかった」と発言。→内閣府大臣政務官兼復興政務次官を辞任■大西英男(東京16区、71)「がん患者は働かなくていいんだよ!」発言に加え、過去の女性蔑視発言、報道圧力発言も問題化。→開き直り■豊田真由子(埼玉4区、42)秘書への暴行・暴言「バカかお前」「このハゲー!違うだろ」が発覚して逃亡入院。→離党■今村雅弘(佐賀2区、70歳)記者に激高「2度と来るな」発言、「東北でよかった」発言。→復興相を事実上「更迭」 私は成人してから今日まで日本の政治を見続けてきたが、振り返って思うのは、この国の政治に大義があったことがあるだろうか、ということだ。あったのは、大義ではなく「都合」だけだったのではないだろうか。この国では、なにより都合が優先されるのだ。 本当のことを言えば、大義はあってほしいと思う。あるべきだと思う。そして、政治家には、日本にたった8カ月しかいなかったのに莫大(ばくだい)な報酬を手にして帰ったクラーク先生が言ったように、「大志」を抱いてほしい。 アメリカのように「自由」と「平等」、そして「人権」と「民主主義」は絶対守る。それだけは譲れないという大義が、日本にもあってしかるべきだと思う。 しかし、国際社会でアメリカの属国となることで安定と安全を維持してきたこの国では、これまで大義は必要なかった。そのため、大志などなくても議員をやっていられた。しかし、もうそろそろこれをやめないと、日本は落ちていくだけになるのではなかろうか。

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    民進党が安倍政権と張り合うには「金子ノミクス」の採用しかない

    7年7月(斎藤良雄撮影) いずれにせよ、この数年にわたり「一強」といわれた安倍政権の政治的弱体化は、内閣改造後で小休止しているものの、まだ継続していることは明白だ。だが、この政治的好機にまったく民進党は乗れていない。先の世論調査でも民進党への支持率は、6・9%で0・1ポイント微減していて、低迷したままである。なお、自民党の支持率は、33%で3・9ポイントの上昇であり、民進党の約5倍近い。 このような野党第一党である民進党の不人気の理由はなんだろうか。端的にいえば、やはり民主党政権時代の政策の失敗について、国民が依然として厳しい視線を(党名が変わったとしても、中身は同じものだとして)民進党に注いでいるからであろう。この不人気を党の再建によって回復することができるのか。蓮舫代表の辞任表明を受けた今回の代表選は、マスコミの報道回数も増えて国民の注目も増し、同党にとってはまたとないチャンスである。それを生かせるのか。 最近では、マスコミ、特にテレビ(ワイドショーなど)での露出のあり方が、政治の人気・不人気をかなり左右するので、その効果は、無視はできない。しかし、こと政策ベースでとらえると、前原氏、枝野氏双方とも民進党の不人気の根源である、民主党時代の政策の失敗から教訓を得ているようには思えない。民主党政権時代の政策の失敗の筆頭は、なによりも国民の生活を困窮化させたことだ。その主因は、旧民主党の「緊縮病」的体質にある。この点については、前々回のこの連載でとりあげたが、重要なのでもう一度書いておく。「緊縮ゾンビ」という旧民主党時代の過ち 旧民主党の経済政策を総称して、筆者は「緊縮ゾンビ」と名付けた。「緊縮ゾンビ」とは、日本のような長期停滞からまだ完全に脱出していない経済状況にあって、財政再建などを名目にして増税することで、経済をさらに低迷させてしまう誤った経済思想をいう。ブラウン大学教授のマーク・ブライス氏は、「緊縮はゾンビ経済思想である。なぜならば、繰り返し論駁(ろんばく)されているのに、ひっきりなしに現れてくるからだ」(『緊縮策という病』NTT出版、若田部昌澄監訳、田村勝省訳)とも書いている。 この民主党政権時代の「緊縮ゾンビ」の典型的な政策は、消費増税の法案化である。それと同時に、積極的な金融政策を核にし、積極的な財政政策で補うという、不況脱出の常套手段を放棄したことが最も深刻な過ちである。 そしてこの「緊縮ゾンビ」から今回の二候補は脱却できたであろうか。前原氏は「中福祉・中負担」を目指して、教育の実質的な無償化や職業教育の充実などを掲げている。消費増税については、「中福祉・中負担」の核心部分であり、積極的に引き上げるべきだとしている。対する、枝野氏は、消費増税については現段階では引き上げるべきではないと述べている。そして、公共事業費などを削減し、他方で保育士などの賃金を引き上げて、雇用や消費の拡大を狙うという。民進党代表選の公開討論会に臨む前原誠司氏(左)と枝野幸男氏=2017年8月 前原氏の経済政策のスタンスは、伝統的(?)な同党の緊縮ゾンビそのものである。その意味では、まったく過去の政策の過ちを反省してはいない。消費増税をする一方で、教育や福祉を充実させて、それで国民の生活は豊かになるだろうか。また経済格差などを解消できるだろうか。 答えはノーである。消費増税政策は、むしろ国民の生活を窮乏化し、また経済格差などのデメリットを増加するだろう。「消費増税しても社会保障を拡充すれば経済格差や生活の困窮を防げる」というのは、緊縮ゾンビの主張の核心だ。前原氏のあげている「中福祉」はここでの「社会保障」に該当する。この消費増税政策は同時に、所得税から消費税への「消費税シフト」という税制の変更の一環であることに注意が必要だ。この「消費税シフト」は、財務省(旧大蔵省)が1980年代から本格的に推進している税制改革の主軸である。実際に消費税率が引き上げられる一方で、所得税の最高税率は引き下げ基調が続いた。 例えば、1986年の所得税の最高税率は、約70%だったが、「消費税シフト」に伴い引き下げられていき、1999年には37%に低下した。2015年には45%に戻しているが、所得税の累進課税としての機能はかなり低下した。つまり、より多く所得を稼ぐ人から税金をとることがなくなったために、再分配機能(経済格差の是正効果)は低下したということだ。 また、税金を多くとれるところから取らなくなったために、財政状況はもちろん悪化する。さらに経済自体も長引くデフレ不況によって税収が伸び悩むことで、さらに二重に悪化した。もちろんデフレ不況を深める上で、1997年の消費増税の負の衝撃は大きな役割を果たしてもいる。アベノミクスに代わる政策提言 そして世代にわたる資産の格差をふせぐ相続税の最高税率も1970年代では70%台だったが、今日では50%台に引き下げられている。すなわち「消費税シフト」は、人々の経済的平等を妨げてきたといえる。実は、このような「消費税シフト」が、世界的にも経済格差を深刻化させ、将来的にも無視しがたい要因になっていることは、トマ・ピケティの『21世紀の資本』などの議論で明瞭だった。 だが、消費増税への反対や不況期に行う積極的なマクロ経済政策(金融政策中心で、財政政策でそれを補う)を採用する政治家は、民進党では絶対的少数派であり、また同党の中で政治的な勢力にはまったくなっていない。筆者の見るところでは、馬淵澄夫衆議院議員が現職としてただ一人である。 さらに、同党員では、金子洋一前参議院議員が、積極的なリフレ政策の主張者であり、また消費増税反対論者としても知られていた。残念ながら、これらの筆者からすると長期不況に抗する政策を唱えることができる人たちが、野党の中で政治的な中核にならないことが、日本の経済政策論争を貧しいものにしていることは疑いない。『デフレ脱却戦記 消費増税をとめろ編』の著者で前参議院議員の金子洋一氏 例えば、金子氏は、最近意欲的に政策発信をしている。ユニークな試みであると思うが、自著『デフレ脱却戦記 消費増税をとめろ編』(金子洋一コミケ事務所発行)を出して評判になっている。その中で、金子氏は次のような、アベノミクスに代わる政策提言を行っている。 「政権との対立軸が必要なら、手垢のついたイデオロギーに囚われるのではなく、『緊縮財政をやめて金融緩和+教育子育て予算を純増』、『すでに欧州で法定化されている11時間インターバル制導入など労働時間短縮』などにしてはどうでしょうか」 この金子氏の提言は筆者も賛成である。だが、前原氏も枝野氏もともに緊縮財政、金融緩和反対である。前原氏の場合は、教育子育て予算は「純増」ではなく、増税して増やすので、金子氏のいう「純増」ではなくプラスマイナスゼロの発想だ。このプラスマイナスゼロの発想は、枝野氏も同様で、先に書いたように、公共事業を削り、その一方で保育士の賃金などをあげるものだ。 金子氏のような発想であれば、必要ならば長期的な観点でインフラ投資を増やし、また同時に保育士の賃上げも行い、また教育投資も増やすだろう。その財源は、消費増税ではない。国債の新規発行や、また所得税や相続税の税率の見直しも含めて、経済成長の安定化による税収増がその財源調達として中心になるだろう。 枝野氏は、消費増税の現状での引上げに否定的なので、あたかも「緊縮ゾンビ」ではないかのようだ。だが、枝野氏の引き上げ否定は、経済論には立脚していない。前々回の論説で指摘したように、枝野氏の消費税に対する見解は「消費税シフト」を目指すものである。 もし、その考えを訂正するならば、従来の見解を否定して、金子氏のような反緊縮政策の姿勢を明瞭にすべきだろう。それができないならば、単に経済論なき政治的な身振りと評価しても差し支えないものである。いま、アベノミクスに対抗するために求められるのは、枝野ノミクスや前原ノミクスの類いではない。先に紹介した「金子(勝ではなく、洋一)ノミクス」ではないだろうか。

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    安倍総理、国民の生命より「消費増税ありき」でいいんですか?

    田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授) 安倍政権は内閣改造によって、下がり続けた支持率に歯止めがかかった。それでも、国民の政府に対する見方は依然として厳しいものがあるだろう。安倍政権はいままでも、そしてこれからも経済と外交を特に重視した運営を行うはずだ。中でも経済政策のスタンスは極めて重要だ。8月3日、初閣議後の記念撮影に臨む安倍晋三首相と閣僚(酒巻俊介撮影) その意味では、安倍晋三首相が内閣改造後に出演したテレビ番組で、2019年秋に予定されている消費増税の再引き上げを明言したことに、筆者は大きく落胆した。日本経済の長期停滞からの脱却にあと一押しが足りないのは、2014年4月からの消費増税による消費低迷に原因があることは、この連載でも何度となく指摘してきたことである。 最近の消費統計をみると、今年に入ってからの株高・円安傾向による「資産効果」や所得増などによって消費がやや上向き始めているが、それでも力強さには欠ける。その原因としては将来の増税を予想して現在の消費を手控えて、貯蓄してしまうことが考えられる。その意味では、安倍首相が予定通りの増税実施を確言したことは、消費者のデフレマインドをさらに定着させてしまっただろう。 確かに、現在の政治状況から、この時期に消費増税の「凍結」やあるいは減税などのオプションに言及することは難しい、という指摘もある。ただ、安倍政権が今後、経済政策で積極姿勢を鮮明にしない限り、内閣支持率の上昇を含めて政権の再浮揚は困難だろう。 また、経済政策は単に政権の安定だけが目的ではもちろんない。私たち国民の経済状況、さらには直接に「生命」に関わる問題でもある。7月後半に出された最新の統計によれば、今年前半の自殺者数は前年比で約5・1%減少の1万910人であった。自殺者数は民主党政権時代の後半から減少しているが、その勢いが加速したのは第2次安倍政権になってからである。その要因は、自殺対策への政府・地方政府の予算増加、さらには積極的な財政・金融政策による景気の改善効果によるものが大きい。市場に任せても自殺は防げない 1997年は日本の金融危機と消費増税により経済が大失速した年だ。自殺者数はこの年以降急増、2011年まで14年連続して3万人台であり、ピークの年では3万5千人近くに達した。さらに、自殺未遂した人や自殺しようかと悩んだ人たちまで含めると膨大な数に及ぶに違いない。つまり消費増税による経済失速、その後の経済政策の失敗が、国民の生命を直接に奪ったことになる。4月26日、自殺総合対策大綱の見直しについて議論した厚労省の有識者検討会 実は、経済政策の失敗が人々の「生命」を直接に奪うとした分析を、英オックスフォード大教授のデヴィッド・スタックラーと米スタンフォード大助教授のサンジェイ・バスが『経済政策で人は死ぬか?』(草思社)で提示している。原題を直訳すると「生身の経済学 なぜ緊縮は殺すのか」というものだ。 スタックラーとバスはともに英国の公衆衛生学の専門家だ。彼らの問題意識は、医療や社会福祉(公衆衛生を含む)に経済政策がどのような影響を及ぼすかどうかにあった。その検証は鋭く、また多くの経済学者が「市場に基本的に任せておけば安心だ」という安易な市場原理主義的信奉に陥りがちなのに比べて、経済学者以上に経済政策の重要性を認識している。 スタックラーとバスの指摘で注目すべきなのは、不況そのものよりも、不況のときに緊縮政策を採用し、経済政策が失敗することで国民を殺してしまうということだ。日本の事例でいうならば、1997年以降の自殺者数の急増は、アジア経済危機や金融危機そのものではなく、消費増税(増税という形ので緊縮政策)であったということになる。また当時の日本銀行による金融政策の失敗が持続したことも大きい。 例えば、不況になれば失業者が発生する。このとき政府や中央銀行が適切に対処しなければ、失業の増加が自殺者の増加を招いてしまうだろう。日本の場合では、失業率が高まるとそれに応じるかのように自殺者数も増加していき、また失業率が低下すると自殺者数も低下していく。この関係を専門用語で「正の相関」という。不況で起こる中高年男性「自殺の引き金」 経済停滞期に緊縮政策を採用することで、男女ともに自殺者数が増加する。ただし、仕事を奪われることによる社会的地位の喪失を、男性しかも中高年が受けやすいといわれている。実際、日本の失業率が増加すると、特に中高年の男性が自死を選択するケースが激増する。現在でも男性の自殺者数は女性のほぼ倍である。もちろん女性の自殺者数も経済政策の失敗によって増加することは同じで、深刻度は変わらない。 スタックラーとバスの本では、2008年のリーマン・ショックで仕事を失ったイタリアの中高年の男性職人が「仕事ができない」ということを理由に自殺したエピソードを紹介している。つまりここでのポイントは、経済的な理由よりも地位や職の喪失そのものが自殺の引き金になっていることだ。 経済政策の失敗の典型は、不況のど真ん中やあるいは十分に回復していない段階での増税だ。先ほどのスタックラーとバスはこう指摘する。リーマン・ショック以後の英政府は当初、積極的な景気刺激策により雇用増加や自殺者減少に貢献したにもかかわらず、それを1年で止め、日本でいうところの消費増税や公務員の人件費カットなど「緊縮策」を採用したことで失業が増え、自殺も増加したとしている。 不幸なことだが、日本の政治家の大半が緊縮主義者だ。政治家の大半は、将来世代のために財政再建が必要であるとか、人口減少社会への対応で福祉を向上させるために「消費増税が必要だ」と語るケースが多い。だが、長期停滞、つまりデフレによる経済低迷を脱しないままで消費増税を目指すことは、確実に国民の生命を傷つけ、最悪の場合、奪ってしまうだろう。 消費税と社会保障があまりも強固に結びついてしまっている日本の制度設計の失敗の問題でもある。いずれにせよ、将来世代と現在の国民の生命と生活の安定を本当に重視するならば、まずはデフレを脱却させ、経済停滞を回避することが最優先であって、「消費増税ありき」「財政再建ありき」ではないのだ。安易な消費増税の確約は、国民の生命を危機に陥れると宣告することに等しい。日本の政治家は、特にこのことを心に刻んでほしい。

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    内閣改造、首相の本心を私はこう読む

    急落した内閣支持率、窮余の策となるか―。政権発足後、最大級の逆風に揺れる安倍総理が内閣改造を断行した。「結果本位の仕事人内閣」と名付けた新内閣の顔触れにサプライズはない。経験と実力を重視した人事の狙いは何か。iRONNAが総力特集で「総理の本心」を読み解く。

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    内閣改造で見えた安倍総理の「改憲メッセージ」

    岸田氏が総理に対して主戦論を取るようなことがあれば、一定の支持が集まるかもしれません。私には、今回の内閣改造は、岸田氏を封じ込めるための二重の仕掛けに見えます。岸田氏の反乱を封じる2手 1つは、岸田派から林芳正文科相、小野寺五典防衛相、上川陽子法相、松山政司1億総活躍相の4人を入閣させて優遇していること。これは、岸田氏への配慮であると同時に、いざというときの人質の意味もあります。岸田氏が反旗を翻すようなことがあったときには、閣僚ポスト継続をちらつかせて分断を図れます。特に、林、小野寺両氏は将来に向けての野心もあるでしょうから、岸田派の結束の度合いが試されることになるわけです。 もう1つは、安倍総理の悲願である憲法改正です。岸田氏は、憲法9条は変える必要がないという立場で、総理の改憲構想とは距離があります。政調会長として自民党案を取りまとめる立場にありますが、それが、安倍政権への忠誠と9条改憲に向けての「踏み絵」となるという仕掛けです。総理の方針に基づく自民党内の改憲案がまとまれば、立場上、岸田氏も反対はできないでしょうから、総理と「共犯関係」が生じる。 この構図は、岸田氏の外相時代と同じです。安倍政権の外交の大きな絵は官邸が描き、その上で、実務における岸田氏の手堅さは評価する。よく言えば、岸田氏を「育て」ており、普通に言えば「飼い殺し」にしているわけです。岸田氏自身、現時点で主戦論にかじを切っても勝ち目はないことを理解していますから、与えられた場所で最善を尽くし、官邸が許容する範囲内で自身のカラーを出していくしか道がないわけです。 今回の内閣改造で面白いのは、本当のポスト安倍の構図が見えてきたということです。これまでの安倍政権は、40代、50代の実力者を冷遇し、ポスト安倍の芽をことごとく摘んできました。それは、自民党の伝統には反するけれど、政治的なリアリズムとして政権のすごみでもありました。 ところが、今回の改造は支持率低下を受けてのものであり、なるべく経験者、実力者を配置せざるを得ない。前内閣で失言を繰り返したレベルの低い入閣待機組を入れている余裕はなかったわけです。結果的に、それはとても良いことです。日本政治は、小選挙区制の下で二大政党制を目指しており、中選挙区時代の名残である当選回数に応じた大臣職のたらい回しとはそろそろ決別すべきなのですから。皇居での認証式に向かう(前列左から)環境相に決まった中川雅治氏、経済再生相兼人づくり革命相に決まった茂木敏充氏、法相に決まった上川陽子氏=3日午後、首相官邸 新たなポスト安倍候補として、河野太郎外相、加藤勝信厚労相、茂木敏充経済再生相、西村康稔官房副長官あたりにも注目していくべきと思っています。それぞれ、党内の人望や知名度には、相当程度ばらつきがあります。現段階で、ポスト安倍の本命ということにはならないでしょうけど、最後は党内力学で決まります。安倍総理が、現在の自民党で党内力学と実力で選んだ結果、彼らにポストが回ってきたのですから、それは重要な指標になります。 今般の内閣改造ではっきりしたのは、当分の間、日本政治の主役は安倍総理であり続けるということです。

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    「安倍内閣はあと1年で退陣する」総理はこうスピーチすべきだった

    世襲が多く、派閥均衡。第3次改造内閣をひとことでいえば、スキャンダルを未然に防ぐ、かつての自民党型の内閣改造である。 良く言えば「安定政権」を目指す布陣、悪く言えば「スキャンダル隠し」、「逃げの改造」である。 メディアは、河野太郎外務大臣、野田聖子総務大臣がサプライズではないかと言うだろう。両者とも大臣適任期の当選6回以上、派閥推薦、さらには世襲である。 よって、改造の顔ぶれの分析に終始したら、本稿は退屈な論に陥ろう。ということで、顔ぶれの解説ではなく、改造手法の変更(先祖帰り?)に伴う安倍晋三首相の考え、さらには、今後、安倍首相の目指す政権運営の方法と、政治的な狙いについて考察を加えたい。 まず、呼び込みの前に、党幹部人事も含む19人の閣僚名簿のすべてを、記者クラブメディアに漏らしたのは、森政権以前の旧(ふる)い手法に戻ったと言わざるを得ない。旧自民党型改造の先祖帰りである。 一方で、新しい手法を用いて組閣をメディアの一大ショーにまで引き上げたのが小泉首相である。 1、呼び込みの是非をショー化(呼ばれるまでリークはない)。 2、ポストの提示は本人に直接(官邸に行くまでどの官庁の大臣か本人もわからない)。  このような手法を用いたため、メディア、特にテレビは狂喜乱舞することになった。 大臣適任期の議員事務所にカメラを設置し、官邸からの電話に一喜一憂する姿を収める。呼び出しを受けた議員には、そのまま官邸まで記者がインタビューしながらカメラを回して感想を聞く。さらに呼び込みを受けた議員の顔写真をスタジオのボードに張り出し、誰がどのポストになるかをコメンテーターらが予想する。  侃々諤々(かんかんがくがく)の議論はまさに昼のワイドショー、夕方の情報番組向きの最良のネタになった。換言すれば、内閣改造で「数字」(視聴率)が取れるようになったのである。自民党の新役員が決定し、手をつなぐ(左から)塩谷立選対委員長、竹下亘総務会長、高村正彦副総裁、安倍晋三首相、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長=8月3日、東京・永田町の党本部 小泉首相が意識してこの手法を用いたのかは定かではない。だが、安倍首相も第一次政権時代から一応(時に一部)、この手法を踏襲してきた。よって、小泉政権以降、派閥順送りの推薦名簿は事実上、無意味になっていたのだ。 ところが、今回は完全に小泉内閣の前の、森首相時代以前への「先祖帰り」の手法となった。「旧自民党型改造」と言っていいほどの旧(ふる)い手法である。 そこで、今回の内閣改造で大事なことに触れたい。メディアは就任した大臣の顔ぶれではしゃぐよりも、交代して内閣を去った大臣の検証をおこなうべきだろう。それが新しい内閣の性質をみる上でも重要な要素となる。内閣改造に隠された意図 問題となっていた「国有地払い下げ事件」(森友学園事件)、加計学園問題、稲田朋美防衛大臣の失言の数々。内閣改造によってこれらの問題に幕引きというのは到底許されない。 かつて筆者は田中真紀子外相の政治資金の問題について『週刊文春』と『文藝春秋』の連載の中で追及し、辞任に追い込んだ。 2002年はじめ、その田中氏が外相を辞めた際、国会やメディアはどう対応したか? 一議員に戻った田中氏への説明責任を求める声は止むこと無く、結果、田中氏は参考人として国会に招致され、4月に議員辞職を余儀なくされたのだ。内閣改造のお祭り騒ぎに巻き込まれると大事なことを見落とすことになる。 わたしたちメディアが、また与野党問わず、本当に国会の健全化を求めるのならば、内閣改造に隠された意図を見抜くべきだろう。その中で、安倍首相の今後の思惑も見えてくる。内閣を改造し、会見する安倍晋三首相  =8月3日、首相官邸(佐藤徳昭撮影) 仮にわたしが安倍首相の側近だったら、次のようなアドバイスをするだろう。スピーチライティングはこうだ。 「安倍内閣は来年9月の自民党総裁選をもって退陣します。残り一年、日本経済を再生させ、憲法改正やIR(カジノを含む統合型リゾート施設)法案を着地させ、未来の日本のために力を尽くしたい。そのために、あと一年、与党のみなさんのお力をお借りしたい」 これで一年間の猶予を得られる。支持率が低下し、党内からの「安倍降ろし」も抑えられるだろう。 そして一年後、退陣が近づいたとき、支持率が回復していれば、党内から澎湃(ほうはい)として「安倍首相よ、もう一期」という声を出せばいいのだ。 「みなさんの声に応えて」という大義名分を得た安倍首相は、2021年までの自民党総裁の座を確保できるだろう。直後に解散総選挙を打てば、負けを抑えられる。 現在8月3日午後5時。本稿の締め切りの時刻である。安倍首相の会見は一時間後、果たして、安倍首相はどのような姿勢をみせるだろうか?

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    「河野洋平の子息」を外相に起用した安倍総理の真意

    。メディアによっては、安倍内閣支持率が既に30%を割り込んでいる。安倍総理にとって、此度(こたび)の内閣改造は「反転」の一手たり得るのであろうか。 筆者が下す内閣評価の基準は、第1が「外交・安全保障政策を切り回せるか」であり、第2が「経済を回せるか」である。日本は、中露両国や米国のように「繊細さ」を軽んじる対外政策展開に走ることができる国ではない。世の人々は、自分の身近な生活に直結する内治案件の行方に関心を寄せるものであるけれども、日本の平和と繁栄は絶えず良好な対外関係にこそ依存する。「ジャパン・ファースト」のような類(たぐ)いの標語を無邪気に呼号するわけにはいかないのが、日本の立場である。 故に、何時の場合でも、組閣人事に際して真っ先に関心が向けられるべきは、外務・防衛の2つの大臣職に誰が起用されるかということになる。此度の場合、次の2つの点を当座の論評として提示できよう。 第1に、小野寺五典氏を防衛大臣職に復帰させたのは、安倍総理における正当な判断であった。4カ月前、筆者が「稲田朋美の『軽さ』は安倍総理の油断の象徴である」で指摘したように、稲田朋美前防衛相の任用は、安倍総理における「油断」を象徴していた。安倍総理が稲田氏の「損切」に踏み込めず、その機を逸し続けたことは、安倍内閣の政権運営に「下降モメンタム」が生じる一因となった。小野寺五典防衛相が陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地を視察に訪れた=2014年4月16日、茨城県(鴨川一也撮影) 安倍総理が、そうした逡巡(しゅんじゅん)への反省を踏まえて小野寺氏を再び起用したのであれば、安倍内閣の安全保障政策に係る態勢は、「原点」に回帰したと評することができよう。小野寺氏における安全保障政策領域の見識や政治姿勢の手堅さについて、それを疑う声を筆者は聞かない。 第2に、興味深いのは、河野太郎氏の外相起用であろう。彼の場合、「河野談話」に名を残し、その故に特に右派層からの評判の最悪な河野洋平元衆院議長の子息という風評は絶えず付きまとう。河野洋平氏自身は、近時でさえ安倍内閣下の対外政策、特に対中政策を評し、「中国の嫌がることばかりやっている」と批判している。河野洋平氏の鮮烈な「対中・対韓宥和(ゆうわ)」志向姿勢の故に、河野太郎氏にも同様な志向があると見る向きは確かにある。ただし、父親と子息の政策志向が同じでなければならない理由はないし、世代も異なる。河野氏が背負う大義とは? むしろ河野太郎氏が外交族として積み重ねた蓄積にこそ、期待するのが大だと見るべきであろう。こうした安倍総理と河野洋平氏の対中認識における「埋め難き溝」を前にして、河野太郎氏は「河野洋平の子息」という風評に引きずられるか、あるいはそれを振り払うのか。それは彼の対応次第ということになる。一般論として語るならば、男子の場合、祖父を尊敬しても父親とは反りが合わないという例が多いとされる。安倍総理は内心、河野太郎氏に政治的な「父親殺し」を期待しているのかもしれない。彼にしてみれば、「父親を超克する」機会を手にできたということになると思われる。首相官邸に入る、河野太郎氏=8月3日午後、首相官邸(松本健吾撮影) もっとも、安倍総理が特に対北朝鮮政策の都合上、中韓両国との「雪解け」を本格的に模索するのであれば、河野太郎氏の「対中・対韓宥和」志向姿勢の風評は逆に利用できるものになるかもしれない。儒教文化圏にある中韓両国が彼の対外姿勢における「父親譲り」の側面に何らかの期待を寄せる局面は、あり得るからである。とはいえ、そうした日本の対中韓「雪解け」政策が動き出す余地は、実際には甚だ乏しいであろう。 折しも、ドナルド・J・トランプ米大統領は、従来、北朝鮮情勢対応に際して中国の役割に期待する発言を繰り返していたけれども、「中国は北朝鮮に関して口だけで、われわれのために何もしていない。米国はこうしたことを続けることは容認できない」と一転して批判するようになっている。また、ニッキー・ヘイリー米国連大使は、国連安全保障理事会での対朝制裁決議案交渉を主導しつつ、「話し合いの時間は終わった。中国は最終的に重大な措置を取りたいのかどうか決めなければならない」という対中督促の言葉を漏らしている。 加えて、文在寅韓国大統領の対北朝鮮政策対応が米国の方針と齟齬(そご)を来しているという疑念は中々、消えない。北朝鮮情勢対応に限っても、米国の対中視線は誠に険しいものになっているし、対韓疑念も払拭(ふっしょく)されないのである。 故に、安倍内閣下の対中政策が河野洋平氏のような人物から「中国の嫌がることばかりやっている」と批判される類いのものであったとしても、それが米国によって歓迎され、「西側同盟ネットワーク」の結束を担保する限りは、それを断固として展開するのが日本の対外政策上の大義である。河野外相が背負うことになるのは、そうした大義なのである。 此度の内閣改造の結果、安倍内閣の政権運営における「下降モメンタム」が実際に反転するかは、判断が付かない。ただし、小野寺防衛相と河野外相の起用には、相応の「安心」が感じられる。この「安心」こそが、今では大事なものであろう。

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    「自衛隊は自民党の軍隊」稲田辞任は護憲派にとって最大の功績である

    松竹伸幸(ジャーナリスト、編集者、「自衛隊を活かす会」事務局長) 8月3日に迫った内閣改造も待てないほど安倍内閣は追い込まれていた。そう印象づける稲田朋美防衛大臣の辞任である。実際、防衛省の事務方トップと陸上自衛隊のトップが責任を取るのに、事の真相はどうあれ、防衛大臣だけが辞任しないで済むとなれば、その衝撃は計り知れないほど大きかっただろう。 iRONNAに私の「自衛官の『矛盾』を放置し信頼を失った稲田氏は潔く身を引くべきだ」という論考が掲載されたのが3月末。稲田氏がこの時点で辞任していたら、安倍内閣の傷はこれほどのものにならなかったはずだ。 何よりも、東京都議選で自民党候補を応援する場での「自衛隊としてお願いする」発言は、稲田氏の防衛大臣としての資質を大きく疑わせるものだった。自衛隊は、過去に違憲判決もあったことなどから、どうすれば国民に支持されるかを探ってきた。政治的な争いから身を引いた場に自分を置くことも、その一環であった。稲田氏の発言は、本人が自覚していたかどうかは別にして「自衛隊は自民党のものだ」とする立場を鮮明にするものであり、自衛隊が模索してきたものとは真逆の立ち位置である。言葉は悪いが、中国人民解放軍が共産党の軍隊だとされていることと同じなのである。都議選の自民党候補を応援する集会で演説する稲田防衛相=6月27日、東京都板橋区 これは、安倍首相が最大の目標と位置づける憲法改正に深刻な影響を与える性格の問題だけに、その時点で首相はもっと敏感にならなければいけなかった。安倍首相は5月3日、憲法9条の1項2項はそのまま残して、自衛隊の存在を別項で位置づけるという「加憲案」を提示した。これに対する評価は立場によりマチマチだが、首相の言明によると、憲法解釈は変えないで自衛隊の合憲性を明確にするものだとされ、当初の世論調査では支持が高かった。9条を残すことで護憲派に配慮し、国民の支持が高い自衛隊を明記するというわけだから、反対するのは簡単ではないのである。 しかし、この案が多数の支持を得るのが可能になるのも、自衛隊の政治的中立性が保たれているという安心感が国民の中に存在してこそである。河野克俊統合幕僚長が「一自衛官として申し上げるならば、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるということであれば、非常にありがたいと思う」と発言し、自衛官のそういう気持ちは私もよく理解できる。しかし、政治的に深刻な争いになっている問題で、一方の側だけに加担するというのは、自衛隊の基本的な性格に関わる問題であった。 「自衛隊は自民党の軍隊」という前提に立った稲田氏の発言の衝撃度は、河野氏の発言の比ではなかった。現在の自衛隊について憲法上の位置づけを明確にするだけということだったのに、その自衛隊はかつてのような国民の支持を模索する自衛隊ではなく、特定党派の自衛隊というのだから、国民は皮膚感覚で加憲案に胡散(うさん)臭さを感じたのではないだろうか。安倍内閣の支持率とともに加憲案への支持も低下しているのは当然である。自衛隊の隠蔽体質を浮き彫りに 稲田氏辞任の直接のきっかけとなった南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題も、同じ見地で捉えることが可能だ。加憲により明文で位置づけられることになる自衛隊を「政治的争点」にしてしまったということである。 もともと昨年7月のジャーナリストの開示請求に対して、「(陸上自衛隊が)廃棄しており不存在」だから公開できないと答えたことは、自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質をうかがわせるものである。しかし、今年2月になって、その日報は統合幕僚監部に保管されていることが分かり、公開されたのである(陸自にも保管されていたことも分かった)。ところが、公開されたにもかかわらず、一連の事態の推移の中で、自衛隊の隠蔽体質と政治化が現実以上に国民の認識になったように思われる。 そうなったのは、陸上自衛隊に対する特別監察の過程で、稲田氏と自衛隊の間に確執が存在しているように見えたからである。稲田氏は一貫して、日報の存在は報告されなかったし、隠蔽を了承したこともないと発言している。特別監察の結果も、稲田氏が参加する会議で日報の存在について出席者から発言があった可能性は否定できないとしつつ、非公表という方針の了承を求める報告があったり、それを稲田氏が了承した事実はなかったとした。稲田氏の発言と異なるのは、会議で発言があった可能性を認めただけである。 真相は分からない。ただ、少なくとも稲田氏の発言がもたらしたものは、自分は報告があるなら公開せよという立場なのに、自衛隊からの報告はなかったという印象である。自衛隊の隠蔽体質を浮き彫りにする役割を果たしたわけだ。稲田朋美防衛相の辞表を受理し、会見で頭を下げる安倍晋三首相=7月28日、首相官邸(斎藤良雄撮影) これに対して、稲田氏には報告したとの暴露が、おそらく自衛隊側から相次ぐことになるだろう。自分たちだけが悪者にされてはたまらないからだろうとの観測があり、同情もされているが、一方、「政治に盾突く自衛隊」というイメージが膨れ上がっているのも事実だ。「クーデターだ」「二・二六事件の再来だ」と極端なことを言う人も出ている。加計学園をめぐる首相官邸の役割をめぐって文部科学省から内部文書が暴露されると歓迎する人が、自衛隊が同じことをすると危険視するわけである。 自衛隊は今回、別に武力を振りかざしているわけではない。言論を行使する枠内でのことである。しかし、自衛隊は一貫して政治への関与を慎んできただけに、少しでも関与しようとすると、必要以上に警戒されるわけである。 このままでは憲法改正の議論が、政治化した自衛隊、自民党の軍隊を憲法に明記するのかという問題に発展しかねない。ところが、最後まで稲田氏をかばい続けた安倍首相には、そういう認識はなかったようである。稲田氏を個人的にかわいがるあまり、信念を実現するために必要なことまで見えなくなっているのではないか。護憲派の私としては、それこそが稲田氏の最大の「功績」である。

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    「女難の安倍内閣」最大の鬼門は他ならぬ昭恵夫人だった

    に、世の才女たちはだんだんとこの政権から距離を取り始めているのではないか。そんな気がしてならない。 内閣改造での人事刷新や「不良女性代議士」の次期選挙での公認取り消し、「閣外」での女性問題の清算など、スローガンに反して次々と女性に関連した醜聞に彩られる安倍内閣の解決すべき課題はあまりにも多い。

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    安倍内閣を「危険水域」のどん底まで叩き落とした3人のオンナ

    感の材料となる。こうした形式的な女性登用は一時的な支持には直結するが、恒常的につなげることは難しい。内閣改造で支持率回復は難しい さらに昨年登場した東京都の小池百合子知事は、こうした女性の支持を集めるのに最適な政治家であったといえる。都議選で「守旧派」といえる都議会自民党を敵に回したこともあり、安倍首相と小池知事の比較では、女性活躍の期待感は小池知事のほうが高い。これらが総合的に女性の支持を失ったのではなかろうか。東京五輪・パラリンピック費用負担問題で安倍晋三首相(右)との会談に臨む東京都の小池百合子知事=5月11日、首相官邸(斎藤良雄撮影) したがって、8月に予定されている内閣改造で支持率を回復することは難しいのではなかろうか。女性を登用すればいいというほど簡単なものではないだろう。女性の政治参加も増えていることを考えると、当たり前のことではあるが、女性の登用や要職就任の数値設定ではなく、1億総活躍社会のあり方を根本的に考えなくてはならない。たとえば、待機児童の問題も、その大きな要因となるだろう。国全体として考える発想を持たないことには解決は程遠いように感じる。 もちろん女性に限らず、男性からの支持も離れているため、より大きな問題点もあると考えざるを得ない。例えば、加計問題や防衛省の日報問題などに関して中堅官僚と思われるリークも気になるところである。「官高政低」といわれた状況を打破するために、政治主導を取り戻そうとしたのが安倍政権ではなかったのか。その意味では、官僚を押さえつけるのではなく、使いこなすか共生することが必要となる。人事権を握れば、官僚の反発を抑えることにつながると考えているようであれば間違いである。 こうした点が「政権のおごり」ともいわれる状況になったことを表している。やはり強引な法案採決や説明を省略したかのような姿勢は問題があると言わざるを得ない。高い支持率が過信につながったとしか思えない。一方で、必ずしも発想や政策そのものに大きな失点があるわけではなく、手続きの齟齬(そご)や官僚の推量が疑惑の温床となった。 やはり国民に直接向き合うことが必要である。国会審議も、対野党ではなく国民に対する説明だと思えば、今国会で見られたような、木で鼻をくくったような説明ではなかったに違いない。権力に長く居座れば腐敗するという「権腐十年」ではないが、安定政権を目指すことの難しさともいえるかもしれない。

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    都議選惨敗、安倍首相に残された道は「消費減税」しかない

    党内闘争に巻き込まれ、守勢に立たされるのだろうか。それとも攻勢に出るのだろうか。そのきっかけは大胆な内閣改造や、より強化された経済政策を行うことにあるだろう。後者は18年夏頃までのインフレ目標の達成や、教育・社会保障の充実などが挙げられるが、端的には減税が考えられる。何より国民にとって目に見える成果をもたらす政策パッケージが必要だ。それこそ筆者がたびたび指摘しているように消費減税がもっともわかりやすい。 実際に、消費増税が行われた14年以降、政府が実施してきた中で、消費増税の先送りや毎年の最低賃金引き上げ、そして昨年度末の補正予算ぐらいが「意欲的」な政策姿勢だったという厳しい評価もできる。2%のインフレ目標の早期実現を強く日銀に要請することはいつでもできたはずだ。ある意味で、雇用の改善が安倍首相の経済政策スタンスの慢心をもたらしている、ともいえる。 いまも書いたように、さらなるアベノミクスの拡大には実現の余地はある。ただ、それを行うだけの政治力が安倍首相にまだ残っているだろうか。そこが最大の注目点だろう。

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    失言なんかクソ食らえ! 安倍内閣「在庫一掃セール」のススメ

    い議員が増えすぎた。今回、失言辞任した今村氏も、「学芸員発言」の山本氏も、衆院当選7回で、昨年8月の内閣改造でやっと初入閣した「逸材」である。 現在、自民党内には当選回数を重ねても入閣できない「待機組」と呼ばれる議員が60~70人いるとされる。この待機組を「在庫」と呼んでいる。つまり、自民党は「在庫一掃セール」を続けていかなければならない宿命にある。ということは、今後も失言・暴言閣僚は、続々登場するということだ。4月8日、福島県浪江町の仮設商業施設を視察する今村復興相(左)と安倍首相 そうとわかれば、メディアも野党も、そしてサイバーポリス気取りのネット民も、今後は、失言・暴言パトロールをさらに強化していくべきだろう。彼らにどんどん失言させて、閣僚の首をすげかえ、自民党に在庫一掃セールを続けさせる。メディアは「今月の失言」ランキングをつくり、ランキング1位を選んだりしてみたらどうだろうか。 自民党も「失言チケット」を切って、3枚たまったら閣僚辞任などとしたらどうか。こうしたことを続けていけば、1、2年後には、素晴らしい内閣ができるだろう。

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    安倍首相、麻生副総理、二階幹事長による菅氏の実権剥奪作戦

    の棚上げといっていい。自民党内では、安倍首相が不祥事続きの現内閣の人心一新のために3月の予算成立後に内閣改造に踏み切るという見方が急浮上した。この改造人事が安倍―菅関係を決定的な事態に追い込む可能性がある。 菅氏に距離を置く安倍側近からは、「失言など政権の足を引っぱるのは菅さんが入閣を推した大臣たち。安倍総理は改造で菅さんに近い大臣を切り、人事介入させないつもり」という対立を煽るような見方が流され、現在、官房長官が担当している天皇の生前退位の法整備は、「内閣改造でベテランの専任大臣を置いて答弁させることになるだろう」(同前)と“菅外し”を予告する。 菅氏の力の源泉は側近記者を通じた情報収集力と巧みなマスコミ操縦術にあったが、大手メディアの記者も掌を返し始めた。「いまや菅さんより二階さんの言うことが安倍首相に採用されやすい。そのため、新聞各社はエース級の記者を官邸クラブから自民党担当の平河クラブに戻す流れだ」(政治部記者)というのである。 安倍首相と麻生副総理、二階幹事長による菅氏の“実権剥奪作戦”は確実に効果をあげているように見える。しかし、政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「ファイアマン(火消し役)の不在」を指摘する。「安倍政権が再登板後の数々の閣僚スキャンダルを乗り切ったのは、国会の数の力で押し切った面もあるが、それ以上に政権の危機管理に長けた菅義偉・官房長官の存在が大きい。 菅氏が官邸の中心にどっかと座り、大臣が失言すれば呼びつけて厳重注意し、不祥事が発覚すれば持ち前の情報収集力で更迭すべきか、あくまで守るべきかを的確に判断して安倍首相に報告、うまく火消しをしてきた。ところが、最近は菅氏の影が薄く、政権の危機管理に大きな穴が開いている」 ファイアマンの手足を縛ることで政権の危機管理能力は低下し、首相は閣僚のドミノ辞任という「10年前の悪夢」に悩むという“副作用”も露呈しつつある。 光がなくなれば影も消えるが、「影のない光」も存在しない。政権を守護してきた「影の総理」が消された時、安倍政権に大きな地割れが走る。関連記事■ 日米首脳会談が契機 霞が関は菅詣でから麻生詣でへシフト■ 安倍首相 菅氏から安倍-下村ラインへ組み替え視野に■ ポスト安倍氏 菅義偉氏が総理になるウルトラCの陰に二階氏■ 安倍首相 橋下維新との全面対決指示で菅氏の存在価値低下か■ 菅義偉官房長官を幹事長起用説 安倍首相の年内解散の狙いも

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    自衛官の「矛盾」を放置し信頼を失った稲田氏は潔く身を引くべきだ

    れず、防衛の仕事にも悪影響を及ぼすことを懸念したからであった。 冒頭で触れた個人的な事情もあってか、内閣改造のニュースに接すれば、いつも防衛大臣には誰が起用されるのか、いつも関心を持って見守っている。とりわけ、昨夏の内閣改造は、集団的自衛権の行使を可能にする新安保法制が成立し、南スーダンの自衛隊に駆けつけ警護の任務が付与されることが確実視される状況下だっただけに、注目度は大であった。陸上自衛隊朝霞訓練場での観閲式で訓示する安倍首相。右は稲田防衛相=2016年10月23日 そういう局面で防衛大臣になった稲田朋美氏であるが、現在強い逆風の中にいる。南スーダンでの「戦闘」を「武力衝突」だと強弁したことや、その同じ南スーダンの「日報隠蔽(いんぺい)」問題、さらにいま話題の大阪の学校法人「森友学園」との親密な関係など、枚挙にいとまがないほど批判の嵐が吹き荒れている。 これらのうち「戦闘」問題については、私は稲田氏に多少同情的である。なぜかと言えば、この種の答弁は歴代政権がずっと続けてきた「虚構の延長線上」のものであって、稲田氏だけを責めて済む問題ではないからだ。 「自衛隊が派遣されている場所が非戦闘地域」という小泉純一郎元首相の答弁は記憶に新しい。国際法の世界では、非戦闘地域で後方支援に徹しても、その行為は「武力の行使」とみなされる。戦争のための基地を外国に提供しただけで、自分も参戦国だということになる。それなのに、そういう常識と憲法9条が矛盾するので、常識のほうを優先させ、それに合うように9条の解釈をゆがめてきたのが歴代政権だからである。 少なくとも稲田氏の発言に問題があったとすれば、自衛官が遭遇する危険について、自分のこととして捉えていないように思えたことだ。PKOの現実も、自衛隊に付与される任務も、歴代政権のころとは様変わりしており、過去の延長線上で物事を考えてはならなくなっているのに、そのことへの想像力がほとんど働かず、これまでの答弁を繰り返しておけばいいという、ある種の「怠慢」が垣間見えたことだ。稲田氏の心配りは自衛官相手にはない 日本がPKO法を制定した90年代半ば、PKOを特徴づけていたのは、紛争当事者の停戦合意と受け入れ合意があり、紛争当事者に中立的な立場を取ることであった。しかし、現在のPKOは、住民を保護するためには「武力行使」もいとわないものとなっている。南スーダンPKOも同じである。海外で武力行使をしないという日本国憲法とは完全に矛盾している。 その矛盾を解消するため、新安保法制では、武器使用の権限を国際水準に近づける方向で法改正が行われた。しかし、そのことにより、自衛官はさらに大きな矛盾の中で活動することを余儀なくされるようになった。 例えば、自己防衛のためなどに限られていた武器使用は、警護をはじめ任務遂行のためにも可能なようになった。しかし、その武器使用の方法は、国際水準と異なって正当防衛などの場合(相手が最初に撃ってきたときなど)に限られるので、他国の兵士と比べて自衛官の危険は格段に増している。 にもかかわらず、憲法上の制約があることにより、日本による交戦権の行使ではなく、個々人による武器使用だとされるため、自衛官には国際的な交戦法規が適用されず、捕虜にもなれないとされている。さらに、国家として命令し、部隊として行動しているのに、誤って民間人を殺傷した場合、自衛官個人の刑事責任が問われることになる。しかも、その自衛官を裁くのは軍事法廷ではなく、軍事紛争の知識も経験もない一般の裁判所である。 いま自衛官の多くは、そのような「矛盾」に苦しんでいる。同時に、国家の命令で派遣されたからには、立派に任務を果たさなければならないという使命感を持っている。防衛大臣に求められているのは、その矛盾から自衛官を救い出すために努力することだろう。任務を立派に果たせるよう法制面その他での整備をきちんとするのか、あるいは憲法との矛盾をキッパリ認めて自衛隊の海外派遣そのものを見直すのか、どちらの方向に進むにせよだ。 「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」。稲田氏の答弁をテレビで何度聞いても、心配りの対象は国会であって、自衛官ではないのだと感じるものでしかなかった。20万人を超える自衛官は、この防衛大臣を信頼し、その命令を受けて任務を遂行できるのかと、不安を抱かせるものだった。南スーダンPKOに派遣している陸上自衛隊の施設部隊を撤退させる方針を決め、記者の囲み取材に応じる稲田朋美防衛相=3月10日、防衛省(宮川浩和撮影) 自衛隊はこの5月、南スーダンから撤退することになった。しかし、「南スーダンは安定している」という虚構に最後まで固執し続けたため、PKOの現場で自衛官が抱える矛盾は放置されたままである。稲田氏の罪は重い。稲田大臣のことを全く言えない統幕 そういう稲田氏と自衛官の間には緊張関係が存在していると思われ、「日報」をめぐる問題も、そこから生まれているように見える。自衛隊の隠蔽体質その他いろいろあるのだろうが、本質的なことは稲田氏と自衛隊の間の信頼関係の欠如にあるのではないか。 よく知られていることだが、南スーダンの自衛隊が「日報」を作成し、報告していることをつかんだジャーナリストの布施祐仁氏が、昨年9月30日に防衛省に対して情報公開請求を行った。直前の7月に首都のジュバで150人以上が死亡する大規模な戦闘が発生していたので、現地の自衛隊は事態をどうみて、どう動いたのかを知りたいと思ったことがきっかけだったという。 彼が情報公開請求を行うと、通常は30日以内にその情報を開示するか、しないかが通知される。ところが、30日を経た10月30日になって、布施氏のもとに届いたのは「開示決定にかかわる事務処理や調整に時間を要する」ので期限を延長するというものだった。そして、ようやく12月2日になって連絡が来ると「日報はすでに廃棄しており不存在」、つまり廃棄したので公開のしようがないというものだった。しかしその後、統合幕僚監部のコンピューター内に保管されているのが見つかり、今年2月7日に発表されたというのが一連の経緯である。 驚くべきは、統合幕僚監部が「日報」を発見したのが昨年12月26日だったとされるのに、それから1カ月も経った今年1月27日まで稲田氏に報告されなかったということである。南スーダンで大規模な戦闘が起きている中で、現地の部隊が事態をどうみているかは決定的に重要な「情報」である。 「戦闘」の二文字が入った「日報」を見せたら、稲田氏が「撤退」を言い出すのを恐れたのか、それとも国会答弁にブレが出るのを心配したのか、それは分からない。しかし、統合幕僚監部は、いま自衛官が置かれている最もシビアな問題をめぐって、情報を真っ先に共有する相手として防衛大臣を位置づけていなかったということである。 しかも、2月15日になると、この「日報」は陸上自衛隊にも保管されており、統合幕僚監部の幹部の指示で消去していたことなどが次々に報道されることになる。これも自衛隊内部からの情報だとされている。大臣を信頼しなかった統合幕僚監部も、現場の自衛官から信頼されていなかったということだ。 さらにこの3月17日、陸上自衛隊の3等陸佐が「身に覚えのない内部文書の漏洩(ろうえい)を疑われ、省内で違法な捜査を受けた」として、国に慰謝料500万円を求める国家賠償請求訴訟を起こした。河野克俊統合幕僚長が2014年に訪米した際、「安保法制は15年夏までに成立する」と米軍首脳に約束していたとする内部文書を共産党が入手し、新安保法制を審議していた2015年の国会で政府を追及したのだが、その文書の存在をめぐる訴訟である。 当時、防衛省はそういう文書は存在しないと言い張っていたが、訴状によれば、文書が国会で暴露された翌日、統合幕僚監部がその文書を秘密指定し、各職員に削除を命じたとされる。それと平行して、その3等陸佐を存在しないはずの文書を流出させた「犯人」扱いし、厳しく責任を追及するとともに、高度な情報を扱う部署から閑職へ異動させたという。稲田氏への冷たい視線の背景にある「ウソのつき方」 現職の自衛官が国を訴えるのは異例である。「日報」問題も含めて考えると、稲田大臣の下で、防衛省や自衛隊の間で信頼関係が揺らぐ事態が次々と生まれ、実力組織である自衛隊の統制上、深刻な問題が起きていると言わざるを得ない。 森友学園をめぐっても、稲田氏の信頼性が問われている。いわゆる虚偽答弁の数々で窮地に立たされているのである。撤回や修正に追い込まれた発言には以下のようなものがある。「籠池氏から法律相談を受けたこともなければ、実際に裁判を行ったことはない」「これまで私は、光明会(稲田氏が夫とともに立ち上げた弁護士法人)の代表となったことはない」「(籠池氏とは)ここ10年来はお会いしていない」「夫からは本件土地売却には全く関与していないことをぜひ説明してほしいと言われている」 国会で問題になっているのは、これらの「虚偽」である。ただ、私が問題だと思うのは、稲田氏がウソをついていたかどうかではない。その「ウソの付き方」である。そこに、人間として、防衛省のトップとしてそれでいいのかという、まさに「信頼性」に疑問を禁じ得ないものがあるからである。参院予算委員会で民進党の風間直樹氏の質問を聞く稲田朋美防衛相(酒巻俊介撮影) 誰が見ても、稲田氏と籠池氏との間には、イデオロギー上の親密な関係があったことは明らかだ。教育勅語を大事にすることなどで共感した稲田氏が弁護士として籠池氏を支援し、籠池氏も政治家である稲田氏を応援する関係を築く基盤となったことは疑いようがない。首相夫人の安倍昭恵さんに至っては、籠池氏妻との関係が最近まで続いていたことも明らかになっている。 ところが、森友学園のことが政治問題に発展し、政治家としての自分の立場に悪影響を及ぼすようになると、稲田氏は(安倍氏も)突然、籠池氏との間には何の関係もなかったかのように立場を翻した。人間と人間の関係はそういうものなのだろうか。自分に不利な関係になったとはいえ、即座に切り捨てるというのは人の在り様としてどうなのかと思いたくもなる。 そういう疑念を生じさせることが、私だけではなく、稲田氏に対する世論の冷たい視線の背景になっているように思えてならない(安倍内閣の支持率低下も同じだ)。そして、それが「戦闘」や「日報」をめぐって、自衛官からも信頼を勝ち得ていないのではないかという危惧とも重なってくる。 稲田氏にとって最も大切なことは、いったい何なのか。自分の部下、仲間や同志、それとも自分の政治的経歴なのか。そこが問われているだけに、現在の苦境から抜け出すのは簡単ではないだろう。 憲法9条の下での防衛大臣の仕事には特有の難しさがつきまとう。だからこそ苦労のしがいがあるポストでもある。防衛大臣たるもの、自分の身を捨ててでも、職務に邁進(まいしん)してほしい。それができないなら、潔く身を引くべきではないか。

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    安倍首相が吹かす解散風に踊り、慌て、飛ばされる与野党議員

    なら政敵の二階幹事長が選挙を仕切ることになる。菅さんの本音は、いずれ解散しなければならないなら、次の内閣改造で幹事長となり、自分の手で総選挙を仕切りたいと考えている」(菅氏側近) こう見ると、永田町で解散風が止まらないのは、解散時期が党利党略ではなく私利私欲に深く結びついているからだとわかる。蓮舫と野田は風を逆利用 解散を煽っているのは自民党だけでない。公明党の山口那津男代表は党本部の仕事始めで「常在戦場で臨まなければならない」と檄を飛ばすなど、解散待望の姿勢だ。 今年夏には公明党・創価学会が力を入れる東京都議選が控えている。小池百合子・都知事率いる「小池新党」のファクターによって大きく左右されるため、選挙戦術上、総選挙と都議選の日程が近づき過ぎないようにしたい事情がある。さらに大きいのは、来年1月2日に池田大作・創価学会名誉会長が90歳の誕生日を迎え、祝賀行事が計画されているとみられることだ。「選挙が年末まで延びて、万が一、池田名誉会長の生誕祭直前に公明党が議席を減らす事態になれば、執行部の責任が問われる。だから早めに選挙をやってほしいわけです」(古参会員)2016年10月、民進党全国幹事会に出席する蓮舫代表。右隣は野田佳彦幹事長=東京都千代田区(撮影・春名中) 野党の民進党でも、蓮舫・代表は昨年暮れから「1月解散になる」と言い、野田佳彦・幹事長も「通常国会の早い段階の解散」に言及し、解散風を吹かせている。だが、事情は安倍首相とは正反対。民進党の反主流派議員が皮肉たっぷりに明かす。「蓮舫も野田も今や党内の求心力は全くない。彼らが解散、解散と騒ぐのは、反執行部派への“批判すれば公認しないし、選挙費用も面倒見ないぞ”という脅し。選挙に負けたら即、蓮舫下ろしが始まるから、本当は解散が恐いはずだ」 こちらも自分たちのことしか頭にない。湯淺墾道・情報セキュリティ大学院大学教授(政治制度論)が国民無視の解散狂騒曲をぶった切る。「衆院解散は本来、行政府と議会が国政の重要課題で対立し、抜き差しならない状況に陥ったときに行なわれる。そのために憲法では、議会に内閣不信任案という刀を与え、行政府の長の総理に国民の信を問うための解散権を与えている。しかし、現在の国会にそんな重要な政策対立など起きていない。一体、何のための解散で、国民に何を問うのか。新聞もその点を論じるべきでしょう」 何のために解散するのか。その答えは安倍首相も、右往左往する面々も、誰も口にしない。関連記事■ 石破茂氏 解散決定時に国会内で使用制限の携帯メールしてた■ 衆院解散風の威力強大 病床の甘利明氏を立ち上がらせる■ 安倍首相 集団的自衛権の是非問う解散総選挙を仕掛ける説も■ 衆参ダブル選挙 18歳選挙権拡大が混乱の大きな火種に■ 民進党と共産党の選挙協力で衆参W選に自民党の勝算立たず

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    安倍内閣の閣僚20人中19人がメンバー 神道政治連盟とは?

                                           * * * この8月の内閣改造で安倍政権の背後にある一つの“宗教イデオロギー”の存在がくっきり浮かび上がった。神社本庁を母体とする「神道政治連盟」は、なぜ永田町に大きな影響力を持つようになったのか。第3次安倍内閣の初閣議を終え、記念撮影に臨む安倍首相(前列中央)と閣僚ら 皇居での認証式を終えて官邸のひな壇に並んだ大臣たち。安倍首相を含む大臣20人中19人が「神道政治連盟国会議員懇談会」(神道議連)のメンバーなのである。例外は創価学会を支持基盤とする公明党の石井啓一・国土交通相だけだ。 神道政治連盟(神政連)は全国約8万社の神社を傘下に置く包括宗教法人「神社本庁」を母体とする団体。同連盟のウェブサイトには、〈誇りの持てる新憲法の制定〉、〈靖国の英霊に対する国家儀礼の確立〉などの取り組みが掲げられ、天皇男系維持、女性宮家創設反対、東京裁判の否定、夫婦別姓反対などの主張を展開している。思想的に安倍政権と親和性が高い。 それもそのはずで、安倍首相は若手議員時代から神政連に賛同する議員団体・神道議連の事務局長などを歴任し、現在は自ら会長を務めている。毎年、都内のホテルで開かれる総会にもほとんど出席してきた。まさに首相が手塩にかけて拡大してきた議連であり、いまや自民党を中心に301人の国会議員が参加する政界の一大勢力となっている。 今年の正月、全国の神社の初詣に“異変”が起きた。 有力な神社の境内に〈憲法は私たちのもの〉などと書かれた幟が立てられ、憲法改正に賛同する署名活動が行われたのだ。神社本庁や日本会議などが推進する憲法改正のための「1000万人ネットワーク」運動の一環で、署名用紙の紹介者の欄には神社の名前があった。地方では宮司が氏子らに「GHQに押しつけられた憲法を今こそ変えなければならない」と署名への協力を要請し、総代が地域を回って署名を集めたケースもある。 地域の神社が改憲運動の“先頭”に立つという大きな変化だった。その中心が神政連だ。神社本庁の前身は戦前の内務省神社局(後の神祇院)で国家機関だった。明治期には、いわゆる「国家神道」化が行われた。宗教界の眠れる巨人「神社本庁」 戦後は宗教法人の神社本庁となり、国家機関ではなくなったが、地方機関である都道府県の神社庁を通じて全国約8万社の神社を包括し、宮司など神職約2万人、信者約8000万人を擁するネットワークはそのまま残っている。全国各地の祭りも神社の行事(神事)が中心にあり、氏子総代会、保存会が担い手となっている。 神政連の中核はそうした神職たちで、各県の神社庁ごとに地方組織が置かれ、地方議員連盟も組織されている。 国家神道時代の組織力、ネットワークを引き継いだ神道政治連盟が長い“眠り”から覚めて政治力を発揮すれば、その潜在的パワーは他の教団の比ではない。実際、前述の憲法改正署名運動は今年5月の憲法記念日時点で700万筆を超えたと発表されている。 神職の中にはそうした変化に戸惑いもある。東京のある神社の宮司が語る。 「いまは戦前の国家神道の時代とは違う。神社の祭りは様々な宗教を信じる氏子や地域の住民がボランティアで担ってくれるし、参拝者の宗教も思想も様々です。だから神社本庁としての政治的立場、主張はあっても、各神社は参拝者に声高に叫ぶことはしなかった。 それが安倍政権になって、とくにこの1~2年、政治性が非常に強くなってきた。神社のネットワークは全国に張り巡らされているだけに、あまり政治色が強くなると反発を招くのではないかと心配している」 宗教界の“眠れる巨人”とも言える神社本庁と神道政治連盟が政治活動を活発化させたきっかけとして見逃せないのは、安倍首相の強力なバックボーンとして発言力を強めている前述の保守系国民運動団体「日本会議」との密接な関係だろう。 日本会議では神社本庁統理の北白川道久氏(旧皇族)、伊勢神宮大宮司の鷹司尚武氏が顧問を務め、神社本庁総長の田中恆清氏が副会長を務めているほか、神政連会長などが代表委員を務めている。神社本庁は日本会議の中核構成メンバーの一つと言える。 日本会議にも神政連とは別に国会議員懇談会があり、こちらも安倍首相が特別顧問を務め、メンバーの重複も多い。    関連記事    ■ 安倍首相 伊勢志摩サミットは神道系団体への最高の選挙PR    ■ 駐日外交団長が「日本が世界から尊敬される理由」を語る一冊    ■ 神社本庁 職員に被災地用米配布理由「職員苦労してたから」    ■ SAPIO人気連載・業田良家4コママンガ「憲法学者」    ■ 旧皇族が国を代表する組織のトップを務める理由とは

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    中国の尖閣侵略はこうやれば阻止できる

    次期米大統領、トランプ氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の離脱を明言した。「対中包囲網」を念頭に参加を決めた日本にとって、尖閣を含む東シナ海の防衛戦略を根底から見直す必要に迫られたとも言える。今も領海侵犯を続ける中国とどう対峙すべきか。日本が取るべき道はこれしかない!

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    背景にあるのは権力闘争?尖閣に押し寄せる大量の中国船 

    のである。 中国が不愉快に思うのは、日本が南シナ海問題への関与を強めていると考えるからだ。安倍政権の内閣改造も影響している可能性がある。日本が南シナ海問題から手を引くよう、東シナ海で緊張を高め、日本をけん制しているのだと言える。「南シナ海問題において日本は無関係」という中国の考え しかし、これは日本の見方である。中国は、「日本が中国をけん制している」と捉える。中国では、「中国が東シナ海における行動を鎮静化するよう、南シナ海における中国の行動を日本が繰り返し批判し、国際社会における中国の立場を悪化させることで、中国をけん制している」と考えられているのだ。 そのため、中国は、「日本が南シナ海問題を利用して中国をけん制しても、中国は東シナ海における行動を抑えることなどない」ということを示そうとしている。尖閣諸島周辺に、中国海警局を始めとする法執行機関の巡視船と漁船を大量に送り込み、中国は尖閣諸島を実効支配でき、またその意思があることを示そうというのだ。 中国は、「日本は南シナ海問題に全く無関係だ」と考えているということでもある。中国が南シナ海を領海化しようとするのは、米国が中国の発展を妨害するのを阻止するためである。中国は、米国の軍事攻撃を真剣に恐れている。 南シナ海全体を中国のコントロール下におこうとすることで、周辺の東南アジア諸国と軋轢を生じていることは、中国も理解している。しかし、それは、中国にとってみれば、中国と当事者である東南アジアの国との間の領土紛争である。しかも、中国を防衛するために東南アジア諸国が「少々の」犠牲を払うことは「仕方がない」ことなのだ。 そして、この中国のストーリーの中に、日本は出てこない。「無関係であるにもかかわらず、日本は米国の尻馬に乗って中国を叩いている」と考えるから、余計に日本に腹を立てるのだ。さらに、中国は、こうした日本の行動には、南シナ海問題以外に目的があるからだと考える。中国の認識では、その日本の目的が、尖閣諸島を巡る領有権争いにおいて、日本が有利に立つことなのである。 つまり日本と中国は、双方とも、「相手が自分をけん制している」と考えている。そして、中国は、中国に対するけん制など効かないということを実力で証明しようとしているのだ。日本からすれば、それは中国の誤解である。日本は、南シナ海における状況に無関係な訳ではない。もちろん日本は、中国をけん制するために、南シナ海問題において中国に嫌がらせをしている訳でもない。単に、「国際的な問題を解決するのに軍事力等の暴力的手段を用いない」という最低限のルールを守って欲しいだけだ。中国の「被害者意識」と「権利意識」中国の「被害者意識」と「権利意識」 日本と中国では、南シナ海問題の認識の仕方がまるで異なる。日本にとって、南シナ海は重要な民間海上輸送路である。「誰にでも開かれた海」という原則があって、初めて日本のシーレーンは安全に航行できる輸送路になる。日本は、「中国が軍事力や法執行機関という実力を行使する組織を用いてこの原則を変えようとしている」と受け止めている。そして、それは、「暴力的手段を用いれば国際的なルールを変えられる」という国際社会の出現につながるものだと考えるからこそ、中国がとる手段に反対するのである。 一方の中国にすれば、南シナ海問題は、中国を防衛するために必要な安全保障上の問題に過ぎない。国際秩序に対する挑戦であるということを、中国は認めようとしない。そもそも、中国にしてみれば、現在の国際秩序は欧米諸国が勝手に決めたものに過ぎない。それを中国が守る必要などない、というわけだ。中国の認識によれば、国際秩序や国際社会のルールは、大国が決めるものなのだ。中国がプレイすべきは、大国間のゲームだと認識しているのである。「認識している」というより、「信じている」といった方が正しいかも知れない。 これまで、自分たちの利益のためなら軍事力でも用いてきた欧米諸国、特に米国が、ひとたび自分たちの権益が満足するレベルに達したら、自分たちの権益を守れるように作ったのが、現在の国際秩序であり国際的なルールだと考えるのだ。そのストーリー中では、中国は「欧米諸国に不当に抑圧される被害者」である。「戦勝国であり大国である中国が、本来、国際秩序を形成すべきであるにもかかわらず」という前提が付くことによって、被害者意識はさらに高まり、鬱憤が溜まることになる。 中国は、このような強い被害者意識と権利意識を背景に、「強くならなければ、いつまでも不当に抑圧される」と考える。実際に、中国の研究者たちは、「中国が軍備を増強して強くなったからこそ、米国が中国に対する態度を変えた。米国は、中国と衝突を避けなければならないと考えるようになったので、事態をエスカレートさせないように慎重に対応するようになった」と主張する。中国の軍事力増強が地域を安定させ、中国の安全を保障していると言うのである。尖閣問題において「対等」を狙う中国尖閣問題において「対等」を狙う中国 この考え方は、東シナ海にも適用されている。中国は、「これまで、尖閣諸島周辺海域で日本の海上保安庁が圧倒的に優勢を保っていたために、尖閣諸島領有に関する議論は常に日本有利に進められてきた」としている。そして、中国が海警局を強化し、大量の漁船による漁業活動を展開するようになって、日中の勢力が対等になった今、尖閣諸島の領有について日中が対等な立場で議論できるようになったと言うのだ。スカボロー礁の衛星写真(デジタルグローブ・ゲッティ=共同) 問題は、中国が言う「対等」とは何かである。現状が不公平だと言う認識では、現状を変えることができて初めて公平だということになる。「対等」であるという意味は、中国が勝てる状態のことを言っているに等しい。 一方で、中国の研究者等は、日本の対応を非常に気にかけている。会って話をすると、必ず、「日本はどう対応するのか?」と質問してくる。しかも、表現を変えつつ、何度も質問されるのだ。例え、挑発的な行動に出たとしても、中国の本音は、日本と軍事衝突したくないのである。日本と軍事衝突すれば、米中戦争にエスカレートする可能性がある。そして、米中戦争になれば、中国は敗北する。 中国が狙うのは、日本が海上警備行動を発令しない範囲において、尖閣諸島の実効支配を奪うことである。日本が手を出しにくいように、少しずつエスカレートさせてきたのだ。しかし、今回の事案で、中国側が日本の出方に神経質になっているのは、自分たちでも「エスカレーションの度合いが強かった」と認識しているからに他ならない。背景にあるのは権力闘争か背景にあるのは権力闘争か それにもかかわらず、なぜ中国は、大量の漁船と公船を送り込むという行動に出たのだろうか? そこには、中国の内政、特に権力闘争が関係している可能性がある。習近平主席とその周辺、或いは習主席の「やり方」に反対するグループのいずれかにとって、日本を怒らせ騒がせることが、有利に働くということだ。 そのどちらが仕掛けているのか断定することはできないが、状況からは、習主席の「やり方」に反対するグループが、習主席に外交上の失点を上積みするために、日本に危機感を抱かせ、国際社会に働きかけさせようと企図したように見える。今、日本が国際社会に「中国の悪行」を吹聴して中国が困るのは、G20の直前だからだ。 2016年のG20サミットは、中国の杭州で、9月4日及び5日の2日間の日程で開催される。議長国である中国は、この場で他の参加国の首脳から非難の集中砲火を浴びるようなことになれば、完全に面子を失う。外交の大失態どころか、習主席の権威さえ脅かしかねない。 中国の研究者たちによれば、中国国内で、王毅外交部長(日本で言う外務大臣)がG20前に訪日するという噂が囁かれているという。中国は、自分で日本を怒らせるようなことをしておきながら、G20の場で中国を非難しないように日本に働きかける、という訳だ。同じ人間が指示しているとしたら、おかしな話だ。 さらに今回の事案が中国国内の権力闘争に関係していると考えさせるのは、中国が大量の漁船と公船を尖閣周辺海域に送り込んできたのが、中国で北戴河会議が開かれている時期だからである。北戴河会議とは、毎年夏に共産党の高級幹部が北戴河という避暑地に集まり、5年に1度の党大会に向けて、党の方針や人事等の調整を行う会議である。 現地では、自らの保身・出世のために、家族ぐるみで様々な工作が行われると言う。2000年代半ばころから「北戴河会議はなくなった」とも言われるが、自分だけが行かなかった場合のリスクを考えれば、恐ろしくて「行かない」という選択をすることは難しい。結局のところ、現在でも、夏の北戴河には、党の指導者たちが集まっている。 今年の北戴河は熱いだろう。習主席とその「やり方」に反対するグループの闘争がし烈になっているだろうからだ。大量の漁船や公船が尖閣諸島周辺海域にやって来たのは、まさにこの時期なのである。本来であれば、中国の指導者たちは、権力闘争以外の問題にかまっている余裕などないはずである。その時期に起こった事案は、権力闘争に利用するために起こされた可能性があるのだ。独裁体制を目指す習近平?独裁体制を目指す習近平? 中国の権力闘争が激しくなったのは、習主席の「やり方」が、他の指導者たちにとって受け入れられないものだからだと考えられる。表には出てこないものの、習主席の「やり方」とは、政治局常務委員制を廃止することではないかと言われる。常務委員制を廃止するということは、集団意思決定体制を廃止し、習主席が一人で全てを決定する独裁体制にするということなのだ。ペルーで開かれたAPECのCEOサミットで演説する中国の習近平国家主席=11月19日(AP) 胡錦濤前主席は、習主席に全ての権力を移譲する際、江沢民派の影響を削ぐために、政治局常務委員を9名から7名に削減した。習主席は、いきなり常務委員を無くすのではなく、4名に削減することを考えているとも聞く。4名だと、2対2になって、最終的に習主席が決定するという構図だ。習主席の常務委員削減は、胡前主席の削減とは全く意味が異なる。 来年秋の19回党大会に向けて、中国共産党内の権力闘争は激しさを増すだろう。それまでの間は、外交は権力闘争の道具程度にしか扱われない可能性もある。尖閣諸島周辺海域に存在する大量の漁船や公船が引き上げるかどうかは、まず、北戴河会議において、仕掛けた側が、満足する程度に相手が失点したと考えるかどうかによるだろう。もし、習主席の失点が十分でないと考えれば、G20に向けて、さらに行動をエスカレートさせる可能性もある。 日本に対する強いけん制の意味があることは間違いがなくとも、日中関係が主たる問題ではないとすると、日本の対応は難しくなる。日本が中国に対して何を働きかけようが、中国の関心は国内政治にあるからだ。 日本に対する強硬な姿勢に中国の権力闘争が影響していることは、中国の研究者たちも認めるが、大量の漁船と公船を送り込んだのは習主席側であるという話も聞く。習主席の政策に批判的な指導者たちの反対を抑え込み、党内の結束を図るために日中間の危機を演出しているというものだ。中国国内政治は、日本で言われるように、「太子党(或いは紅二代)」、「共青団(共産党青年団)」、「江沢民派(或いは上海幇)」間の闘争といった単純な構造ではない。個人の権益等によって、合従連衡を繰り返している。そのために、北戴河会議のような場が重要なのだ。中国の権力闘争の様相がよくわからないように、内政が対外政策に及ぼす影響の度合いも計ることは難しい。問われる日本の覚悟問われる日本の覚悟 しかし、日本にとって、その理由がどうであれ、尖閣諸島周辺海域に中国が大量の漁船と公船を送り込んできている事実が重要である。中国が力の信奉者であるとすれば、日本が自衛隊を使用しないと考える範囲において、エスカレートする行動を止めることはない。また、日本が抗議しても、中国に非があるとは考えないだろう。それどころか、強く抗議をすれば、「日本が国際社会を煽っている」とさえ捉えかねない。 日本は、中国との間で、軍事衝突を避けるための議論を進めなければならないのは当然である。一方で、中国の行動を止めるためには、最終的に日本は自衛隊を使用しなければならないことを覚悟しなければならない。その時に、国際社会から非難されないためには、普段から、尖閣諸島周辺海域における中国のエスカレーションの状況を、日本国内外に明確に知らしめなければならない。そして、実際に衝突した際には米軍が必ず参戦するよう、腰が引け気味の米国を巻き込んでおかなければならない。 危険な状況になりつつある尖閣諸島を巡る状況に対して、日本がやらなければならないことは多いはずだ。「その時に日本はどう対応するのか」についての議論は、一刻も早く始めなければならないのではないだろうか。