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    トランプ氏、イラン発言は「無知で侮辱的」 「圧倒的」軍事力を警告

    イート 追加制裁の対象 複数のアナリストは、制裁は主に象徴的なものになるとみている。その一方で米財務省は、今回の措置によって数十億ドル相当の資産を凍結することになると主張する。 財務省によると、追加制裁は「イラン革命防衛隊(IRGC)の敵対的活動を統括する官僚組織の上層部」に属するイラン幹部指揮官8人も対象にしているという。IRGCは今月20日に米軍偵察機を撃墜したほか、今月13日に発生したオマーン沖でのタンカー爆破に関与したと米政府は主張している。 また、追加制裁により、「イラン指導者の経済資源へのアクセスを禁止するとともに、最高指導者や最高指導部に指名された特定の政府関係者たちも対象になる」と説明。イランによる外国の金融機関を通した取引も禁じる方針という。 これを受けてザリフ外相はツイッターで、アメリカは「外交を軽蔑している」と反発。トランプ政権について「戦争を渇望している」と批判した。 一方、スティーブン・ムニューシン米財務長官は、ザリフ氏も今週内に経済制裁の対象になると述べた。 高まる米・イランの緊張 アメリカが昨年5月、2015年に締結したイラン核合意から離脱して以降、米・イランの緊張は高まっている。トランプ大統領は同年11月、核合意の再交渉を迫るためイランへの制裁を再開した。 さらに今年5月には、イラン産の原油輸入を禁止する経済制裁について日本などに認めていた制裁の適応除外を打ち切った。 これに対抗する形でイランは先月8日、核合意について履行の一部を停止したと表明。今月17日には、低濃縮ウランの貯蔵量が、核合意で定められた上限を6月27日に超過すると発表した。 イランは7月7日にも、核合意の順守をさらに引き下げる新たな措置を発表するとしている。 (英語記事 Trump lashes out at 'ignorant and insulting' Iran)

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    米、イラン最高指導者に経済制裁 「外交を軽蔑」とイラン反発

    、同国がイランに求める核開発の中止やミサイル製造の制限などにイランを応じさせるのが狙いだという。 米財務省によると、追加制裁は「イラン革命防衛隊の敵意に満ちた地域的活動を監督している官僚組織の上層部」に属するイラン幹部指揮官8人も対象にしているという。 また、追加制裁により、「イラン指導者の経済資源へのアクセスを禁止するとともに、最高指導者や最高指導部に指名された特定の政府関係者たちも対象になる」と説明。イランによる外国の金融機関を通した取引も禁じるとしている。 これに対し、イランのジャヴァド・ザリフ外相はツイッターで、アメリカは「外交を軽蔑している」と反発。トランプ政権について「戦争を渇望している」と批判した。 一方、スティーブン・ムニューシン米財務長官は、ザリフ氏も今週内に経済制裁の対象になると述べた。 「ドローン撃墜前から検討」 中東ホルムズ海峡付近で発生したタンカー爆破やドローン撃墜を受け、アメリカとイランの緊張はここ数週間、一段と高まっている。 <関連記事> 米がイラン軍にサイバー攻撃か、偵察機撃墜の報復で 米メディア トランプ氏、イラン爆撃をいったん承認し取りやめ 本人もツイート トランプ氏、米ドローン撃墜は「大きな間違い」 イランは領空侵犯を主張 ただ、追加制裁についてムニューシン米財務長官は、ドローンが撃墜される前から検討していたと説明した。 国連の安全保障理事会は、両国が冷静に外交手段を活用するよう求めている。 (英語記事 New US sanctions on Iran target supreme leader)

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    「老後2000万円不足」報道、こうしてスキャンダルはつくられた

    金」問題の「二匹目のドジョウ」というわけだ。まったく国民もなめられたものだと思う。 ひょっとしたら、財務省の思惑も絡んでいるかもしれない。金融庁が財務省の「植民地」であることは周知の事実だ。財務省は、年金不安をあおることによって、不安解消のための消費増税を国民に定着させたい。 現時点では、10月に予定されている消費税率の10%引き上げが話題だ。だが、財務省は今後も消費税のさらなる引き上げを狙っていることは明瞭である。2019年6月、野党6党派の合同集会であいさつする立憲民主党の辻元国対委員長 最終的には消費税を26%まで引き上げようとしている。これは財務省からの出向者によって策定されたと思われる、経済協力開発機構(OECD)の対日経済審査報告書に記載されている数字からもうかがえる。 ちなみに21世紀初頭では、財務省の目標値は18%程度だったので、どんどん切り上がっている。この増税路線を放置しておけば、そのうち消費税率30%超えの声も財務省から遠慮なく出てくるだろう。何となく「疑惑」抱く記事 また、毎日新聞だけが現時点で取り上げている問題に、先述の国家戦略特区WGで座長代理を務める原英史氏を巡る報道がある。毎日新聞が6月11日に報じた「特区提案者から指導料 WG委員支援会社 200万円会食も」と題した記事である。 この見出しの「WG委員」とは原氏のことだが、記事では、識者のコメントも利用する形で、あたかも原氏が「公務員なら収賄罪に問われる可能性」もある行為をしていたとする印象を読者に与えていた。これは毎日新聞の記事にもあるように、「第2の加計学園問題」を匂わせるものである。この記事に対しては、当事者の原氏から既に事実誤認であるとした厳しい反論が、自身のフェイスブックや他サイトに掲載されている。 この毎日新聞の記事は、そもそも原氏が金銭や会食の供与を受けたわけでもない、単に知り合いの企業の話でしかない。しかもその企業の活動自体も違法ではない。いったい何が問題なのか全くわからない。 原氏のどのような活動が問題か、さらには違法性があるのか、道義的問題があるのか、何らわからないまま、読み手に何となく「疑惑」を抱かせる記事になっている。これはメディアの在り方として正しいだろうか。この記事を読む限り、筆者には全くそうとは思えない。 WG座長の八田達夫・大阪大名誉教授も、国家戦略特区諮問会議の席上や、毎日新聞の杉本修作記者への回答を公開して、同紙の報道を批判している。 国家戦略特区は規制改革の仕組みである。既得権者によって過度に保護された規制分野を、消費者や生産者など多数の恩恵が勝るときに、その過度な保護を緩和・解消する試みだ。 規制する側は、過度な保護を受けている既得権者の利益を代弁する官庁である。規制官庁に、規制改革を望む民間の提案者と、WGの委員が共同で対決するわけだから、委員が提案者に助言することが適法というよりも、この特区制度の仕組みでは当然のことである。これは上記の文書などにおける八田座長の発言通りであり、それに尽きる。2019年6月11日、首相官邸で開かれた国家戦略特区諮問会議 つまり、毎日新聞の記事からうかがえるのは、この規制改革の仕組みを理解していないのかもしれない、ということだ。規制改革を特定の利害関係者「だけ」が恩恵を受けているような、規制改革ならぬ一種のあっせん行為みたいに考えてしまっているのではないだろうか。もしそうであれば、誤解を正すべきだろう。■ 高齢読者が「週刊誌ジャーナリズムの牙を抜く」のウソ■ 「人生100年時代」はっきり言って、そんなの無理です!■ 武田邦彦が一刀両断! 生物としての人間に「老後」なんてありません

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    「国民を甘やかすな」異端理論よりもタチが悪い財務官僚の特権意識

    ツゲの木(中央)の記念植樹を終え、写真撮影に応じる麻生財務相(右から3人目)ら=2019年6月5日、財務省 経済評論家の上念司氏は、文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』で、6月第3週前半で安倍首相からアクションがあるのではないか、と見通しを述べていた。いずれにせよ、まもなく安倍首相の判断が行われることは間違いない。「国民を甘やかす」思い上がり 消費増税を進める財務省も必死である。先ごろ福岡で開催されたG20の財務相・中央銀行総裁会議でも、国際社会が消費税引き上げに理解を示したと、麻生太郎財務相を使って懸命な「広報活動」を行っていた。 だが、共同声明を読み解けば、麻生氏や日本銀行の黒田東彦総裁が口にしているような、今年後半からの経済状況の持ち直しよりも、下方リスクが強調されているのが実情だ。各国の財務相や中央銀行総裁は、内心では日本の緊縮スタンスに冷めた見方をしているだけだろう。 産経新聞の報道で以前、「消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」という財務省の上層部の「本音」が紹介されていた。おそらく、これは事実だろう。 だが、財務省はこの1年ほどの間に、事務次官のセクハラ疑惑による退任、部局あげての公文書改竄(かいざん)で世間の批判を浴びた。もし「国民を甘やかす」という思い上がったエリート意識に変化がないようなら、まさに国民が財務省を甘やかしたつけでもあるだろう。 そういえば最近、財務省への大学生の人気が低下しているという。実際に財務省で働く人たちにも素晴らしい人はいるだろう。だが、組織として見れば、こんな組織で働くことは恥ずかしいレベルであることが、国民にも少しずつ理解されてきたのではないか。 消費増税をめぐっては、反緊縮路線に立つ識者の動きも急である。連載で明らかにしているように、筆者の立場は明確に消費増税反対である。 だが、反緊縮路線の中でも、議論の混乱には寄与しても、あまり建設的なものとはいえない動きもある。かえって欠点を突くことで、財務省が反緊縮政策叩きに利用している理論がある。2019年1月、米下院を訪れたアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(UPI=共同) それは、欧米を中心に人気の高い現代貨幣理論(MMT)を巡るものだ。これは米国の人気若手政治家、民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員が賛同したことで、知名度を飛躍的に上げた。日本でも、MMTの注目度は高い。粗いMMTを支持する粗い論説 MMTについては、別の論説で詳細に解説したのでそちらを参照にしてほしい。MMTを簡単に一言で言うと「インフレにならない限り、政府の財政赤字は問題にならない」ということだ。 だが、実践的な面でも理論的な面でも、実に粗い主張である。また、MMT支持者側からの具体的なモデル化がほとんどない。そのため主張の詳細がよくわからないという不可思議な話にもなっている。 日本におけるMMTの支持者代表が、経産官僚で評論家の中野剛志氏だ。ただ、中野氏の論説もかなり粗いように思える。 例えば、ある論説の中で「日本はデフレですから、『MMTは、今の日本には効果的かもしれない』とラガルドは考えているということになります」と中野氏は述べている。ラガルドとは、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏のことだ。 ところが、4月11日に行われたIMFの会見原文を読めば、ラガルド氏がMMTを明白に否定していることがわかる。むしろ、短期的には有効に見えても、それは維持可能な政策ではないという趣旨で批判している。 しかも、「日本を含む世界の国の中で、このMMTが当てはまる状況にある国はない」とも明言しているのである。中野氏のように、MMTを肯定的に述べる文脈で自分の発言が利用されたと知ったら、ラガルド氏はさぞ驚くことだろう。 いずれにせよ、MMTが政策として採用されることはないだろうし、その方が幸運だろう。だが、実際には、MMTをはるかに超えるトンデモ経済論が、日本で実施されていることの方が深刻だ。記者会見するIMFのラガルド専務理事=2019年4月11日、ワシントン(共同) トンデモな人たちによる最悪のトンデモ理論、それは財務省の緊縮路線である。この財務省のトンデモな驕りを決して甘やかしてはならない。■ 「消費税26%発言」止まらない財務省の増税インフレ■ 黒田総裁はやっぱり日本経済の「どえらいリスク」だった■ 馬淵澄夫手記 「日本を覆う『消費税神話』からの脱却を」

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    【解説】 次のイギリス首相は誰 立候補者の顔ぶれ

    党首選でも離脱派のレッドソム氏を支持した。 プリティ・パテル元国際開発相 2010年5月に初当選。財務省や労働・年金省の閣外相を経て国際開発相になるも、2017年11月には、政府に無断でイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らと会談していたことの責任を取って辞任した。 ブレグジット強硬派として、党内右派の支持を得ている。 リズ・トラス財務首席政務次官 ブレグジット派の右派。2016年に女性初の大法官と司法相となったものの、高等法院の首席判事など法曹界幹部と衝突を重ね、翌年6月の内閣改造で現職に移った。 キャメロン政権では環境相を務め、2014年党大会で「この国はチーズの3分の2を輸入している。なんて、みっとも、ない」と発言したことが、ソーシャルメディアなどで大きな話題となった。 スティーヴ・ベイカー元EU担当閣外相 ブレグジット強硬派。2010年初当選で、保守党の離脱推進派議員が構成する「欧州調査グループ(ERG)の副会長。 デイヴィス・ブレグジット担当相(当時)と同時に閣外相を辞任し、メイ政権のブレグジット方針を批判した。 党首選のプロセスは? 保守党党首選の立候補締切日は6月10日。 各立候補者は2人の推薦人を必要とする。立候補者が3人以上の場合、まずは保守党議員によってこれを2人にまで絞る投票が行われる。 保守党のブランドン・ルイス幹事長は、6月末までに立候補者を2人に絞りたいと話している。 その後、イギリス全土の保守党党員による郵便投票が行われ、夏の議会開会までに結果が発表される見込みだ。 (英語記事 Tory leadership contenders - who's standing?)

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    見かけの「プラス成長で消費増税」にかき消されるリーマン級の足音

    経済状況を、消費税によって自ら招く危機感を政権は抱くべきだ。だが、これは筆者がたまたま聞いた話だが、財務省の幹部は「すでに消費増税を前提とした予算が通過し、法案の縛りもあるのでいまさら増税の変更はない」と裏で発言しているようである。 財務官僚はどんなに国民に悪いことが起ころうとも、いったん決めたことを自然法則のように固執する。それを政治家たちやマスコミの一部も支持する。ある種の精神主義的な考えであり、日本を本当の意味で滅ぼす発想だろう。 消費増税について、安倍晋三首相の最終判断がどうなるかは、この原稿を書いている段階ではまだわからない。もちろん、経済統計だけで判断するわけではないことは自明だ。 安倍首相の念頭にあるのは、当たり前だが政治的権力の維持だ。それには、政権の維持可能性を高めることに尽きるわけで、間近に迫った参院選での「勝利」は前提の一つだろう。GDP速報値の発表を受け、記者会見する茂木経済再生相=2019年5月、内閣府 また、衆参同日選の足音もますます高まっている。この選挙での勝利、イコール政治的権力の維持が、安倍首相の「目的関数」である。つまり、消費増税するもしないも、この政治的目的のツールでしかない。 もちろん筆者は、国民の経済的厚生を第一に考えているので、首相の目的関数とは明白に異なる。多くの国民もまた自分たちの幸福こそが目的であろう。だが、ここでは安倍首相の政治的な目的関数を少し考えてみたい。2枚の政権維持カード 米中貿易戦争の長期化がほぼ決定的な中で、経済状況に明るさがあるようには思えない。政府や日銀などは国際政治の動きに楽観的だが、米中の関税による「報復ゲーム」はまだ拡大の余地が大きくある。それは貿易の縮小をさらに加速化させ、日本国内の貿易関連企業の株価を押し下げ、さらには株価全体の低迷を促して、消費の資産効果を低下させるだろう。 また、企業の設備投資もさらに減速する可能性が大きい。となると、政府・日銀は年後半の回復を予想しているが、それは非常に甘い判断だといえる。 この経済状況が低迷する中で、消費増税を実施するならば、政権の維持に大きくマイナスに働く。世論調査で、消費増税に反対する意見が多数を占めていることも勘案すべきだろう。 消費増税をするかしないかのカードに関して、国内政治の話題では有力だ。しかし、外交カードとしては、最近、安倍首相が熱意を示している金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との「条件を付けない」首脳会談の実現というものがある。 この外交カードは、相手がいることなので不透明だが、実現したときの効果はかなり大きいだろう。また、6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)開催国の議長としての短期的なイメージ向上もある。 単純化すれば、政権の維持可能性を高めるカードとして、消費増税と、拉致問題の解決を含めた外交カードの2枚がある。もちろん、筆者だけではなく、多くの国民のベストシナリオは、増税を凍結するとともに、外交の成果を上げることだろう。 だが、安倍首相の目的関数の中では、あくまでもこのカードは政権維持達成のためのツールでしかない。そうすると、どちらか一方の実現だけで政権維持の目的が達成されるならば、もう一方は断念することもあるだろう。 なぜなら、両方実現するには、もちろん政治的なコストが存在するからだ。政治的な利得とコストのバランスで、安倍首相の決断が下されることになるだろう。参院予算委で資料を読む安倍首相=2019年3月 その中で、今回のGDP速報はどんな意味を持つのだろうか。おそらく財務省の増税主義者たちに詭弁(きべん)の材料として使われるだろう。だからといって、この数字の見かけだけで、安倍首相が最終判断するとは思えない。 やはり、国民の厚生向上のために、増税凍結(延期)も拉致問題の解決も、ともに実現すべきなのである。■ 消費税率10%、安倍首相の決断で甦る「失われた3年」■ このままでは「消費税率35%」になる日がやってくる■ 黒田総裁はやっぱり日本経済の「どえらいリスク」だった

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    トランプ氏側近、対中関税引き上げで「米国が損害を被る」

    統領は10日、250億ドル相当の中国からの輸入品に対する関税は、「中国が」負担するとツイートした。米財務省はこれらの「莫大な支払い」から利益を得ているため、中国との貿易協定で「急ぐ必要はない」と主張していた。 <関連記事> 米、対中関税を25%に引き上げ 通商協議は継続へ トランプ氏、中国が「約束を破った」 貿易協議再開を目前にけん制 米通商代表、中国が「約束撤回」と 中国製品への関税率引き上げも トランプ氏、中国製品の関税引き上げを延期 協議で「大きな進展」と トランプ大統領は昨年9月、2000億ドル(約22兆3500億円)相当の中国からの輸入品に10%の追加関税をかけると発表した。課税対象には魚や、ハンドバッグ、衣料や靴が含まれる。 今回の引き上げ分の関税を負担する企業は、企業内で負担をまかなうか、商品を値上げすることで消費者に負担させるか、あるいは仕入先に値下げ交渉を行なうか、いずれかを選択することができる。 関税率引き上げの理由について、トランプ大統領は8日、中国が貿易協議での「約束を破った」からと説明。米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表も6日、中国は米中間での合意文書を本質的に変更しようとしてきたと述べていた。 トランプ氏は9日、現在は課税対象外となっている3250億ドルの中国製品に対して25%の関税を課す手続きを開始したことを明かした。経済大国の米中による貿易報復戦争が世界経済の成長に及ぼす影響に懸念が生じている。 中国商務省は声明で、「貿易摩擦の激化は米中両国の国民や世界の人々の利益にならない。米国による関税率引き上げが実施された場合、必要な対抗措置を講じなければならなくなる。このことを中国は、心から残念に思う」と述べた。 ライトハイザー代表と中国の劉鶴副首相はワシントンで9日と10日にかけて話し合ったが、米中間の溝を埋めることができずに協議は終わった。 アメリカは、中国の対米貿易黒字は中国政府による国内企業への支援を含む、不公正な貿易慣行の結果だと主張している。さらに、中国は米企業の知的財産権を侵害していると非難している。 これに対し中国は、「苦い果実(不快な結果)」は受け入れないと反論している。 クドロー氏は米中貿易協議の行き詰まりの原因について、合意に至っている変更点を法律に盛り込むことに中国が消極的だからだと述べた。 協議は北京で再び行なわれる予定だが、クドロー氏によると、トランプ大統領と中国の習近平国家主席は、6月28日から大阪で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で会う「可能性が非常に高い」という。 (英語記事 Trump downplays trade deal failure)

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    医学博士の直言「加熱式タバコなら安全」なんてもう言わせない

    発売されたのである。単にタバコ会社は、新しいタバコの銘柄の発売を開始するのと同じように、いつも通りに財務省に加熱式タバコの発売を申請し、承認されただけなのだ。 しかしその時点では、その加熱式タバコは世界中のどの国でもまだ発売されていない、紙巻タバコとはかなり違ったタイプのタバコであり、おそらく誰にもそれを簡単に許可すべきか否か判断はつかないはずのものであった。それでも日本では簡単に発売が開始されている。 発売の承認にあたり、何らかの議論があったという話さえ聞こえてこなかった。おそらく今までにも販売されたことのある電子式のタバコ製品の一種ということで、簡単に認可されたのだろう。今までの電子式のタバコ製品と同様に、たいして売れない、と考えられたのかもしれない。 ところが、今回の新型タバコはブレークした。これには財務省も驚いたことだろう。加熱式タバコではたばこ税の計算方法もうまくバランスがとられていなかった。売れるとなると税収の面で大きな違いが出てくる。すぐに税制は変更され、加熱式タバコという新しいカテゴリーが作られた。 成熟してきていた日本社会にあって、突如として出てきた新型タバコ、タバコ会社も加熱式タバコがブレークするとは予想していなかったかもしれない。それは加熱式タバコのブレーク当初、しばらく品薄状態が続いたことからもわかる。 新しい未知の問題に対して、我々はどのように取り組むべきなのか?誰も予想していなかった事態である。 この日本での事態を受けて、加熱式タバコを禁止した国もある。しかし、日本は世界で初めて加熱式タバコの販売を許可した国であり、今更すぐに禁止とはできない。加熱式タバコ(電子タバコ)。左からグロー(glo)、アイコス(IQOS)、プルーム・テック(Ploom TECH)=2018年6月8日、東京(早坂洋祐撮影) 個人としても、社会としても、国としても、新型タバコと向き合わなければならない。もうすでに新型タバコは日本で社会に浸透しつつあるのだ。新型タバコにはメリットもデメリットもありそうだ。新型タバコ問題に限らず、世の中の問題のほとんどは、あるかないかのゼロイチではなく、程度の問題である。新型タバコに対してどのように対応するべきなのか、情報も経験も、議論も足りない。 現在、世の中に出回っている新型タバコに関する情報は、タバコ会社の息がかかったものばかりだ。テレビ、新聞、雑誌、コンビニやタバコ店の看板、ありとあらゆるメディアで宣伝、広告、販売促進活動が積極的に展開されている。タバコ会社は、あたかも病気になるリスクが低いかのように伝わる広告メッセージを意図的に広めている。そのため、多くの人は、新型タバコにはほとんど害がないと誤解しているようだ。 まずは、それは誤解だと伝えておきたい。たぶち・たかひろ 医師・医学博士。大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部副部長。昭和51年、岡山県生まれ。岡山大医学部卒。血液内科臨床医を経て、大阪大学大学院で医学博士取得。専門は公衆衛生学・疫学。平成29年、後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞受賞。現在、主にタバコ対策および健康格差の研究に従事。

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    北朝鮮、米に2億円超を請求か 解放後に死亡の米学生の医療費で

    米大学生死亡 北朝鮮から解放された米大学生が死亡 意識不明で帰国 報道によると、その後、米財務省に請求書が送られてきたという。 米国務省の元高官は米CBSニュースに対し、米国はこの医療費を支払っておらず、支払うつもりもなかったと述べた。 この元高官は、北朝鮮との協議を開始することに力を注いでいた、当時のレックス・ティラーソン国務長官のもとで、請求の受理がなされたと強調した。 ティラーソン氏のワームビア氏が重篤な状態にあるという認識や、政治的な経験不足が、請求を受理するという判断の一因になった可能性があるという。 北朝鮮は、ワームビア氏がボツリヌス菌に感染し、睡眠薬を服用したため意識不明になったと説明している。 しかしワームビア氏を診察した米国の医師は、ボツリヌス菌の痕跡はなく、心肺停止による「重度の神経障害」の可能性があると反論している。 ワームビア氏の両親は、当時22歳だった息子は拷問されて死亡したと主張しているが、北朝鮮はこれを否定している。 (英語記事 North Korea 'demanded $2m for US student')

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    NGT山口真帆卒業「秋元康よ、AKBを去れ」

    者にはこのように思えた。 さらに、取り巻きの「アイドル語り」と一部の芸能マスコミも同罪だ。この構造、財務省が主導する消費増税などの緊縮路線と似ている。 4月21日、NGT48のメンバー、山口真帆が101日ぶりに公演に登場し、公演終盤で同グループからの卒業を表明した。山口は昨年末、ファンを自称する若者たちから自宅マンションで暴行被害を受けた。NGT48の運営の対応に不信感を強めた山口は、1月8日に動画配信サービス「SHOWROOM」において、事件の経緯と運営への批判を語った。 ところが、NGT48の運営は沈黙を守っただけでなく、あろうことか山口を3周年記念公演の場で謝罪させるという暴挙に出た。結局、この問題は国際的にも大きく取り上げられ、さらに注目が集まった。暴行事件の被害者に、運営サイドが公衆の面前で謝罪させ、自らの責任には一切触れないという非道ともいえる姿勢は、社会的にも大きな批判を浴びた。 社会的な批判を受けて、AKSは3人の弁護士からなる第三者委員会を設置して事件の調査を行った。しかし、3月22日に調査報告を行ったAKSの松村匠取締役らの記者会見を視聴していた山口本人が、自身のツイッターでその報告書に書かれていない事件の核心について率直に告発したのである。この告発が記者会見と同じタイミングで行われたことも、強い社会的な関心を引き起こした。2019年4月21日、便箋につづったメッセージを読み上げる形で卒業を発表したNGT48の山口真帆(C)AKS 暴行事件を直接引き起こした若者たちの社会的責任が重大であるのは、言うまでもないことだ。不起訴処分であったから「無罪」というのは、法律的に結論付けられても、社会的な良識からはもちろん許されるべきことではない。 そしてこの問題の深層には、AKSという組織、その幹部たちの精神的な腐敗というものが強く関わっていることが、山口の告発からわかる。先ほどの「報告書に書かれていない事件の核心」とは、そのことを意味する。山口の告発を引用しよう。私は松村匠取締役に1月10日の謝罪を要求されました。私が謝罪を拒んだら、「山口が謝らないのであれば、同じチームのメンバーに生誕祭の手紙のように代読という形で山口の謝罪のコメントを読ませて謝らせる」と言われました。他のメンバーにそんなことさせられないから、私は謝りました。助長されたミスリード 前代未聞ともいえる暴行被害者の謝罪について、AKS幹部である松村氏の直接的な関与を訴えたのである。AKSの体質が極めて社会的な常識を逸脱することが、このツイートからも明白である。 既に、AKS側が山口とのコミュニケーションを取る努力を十分にしていない可能性も公にされていた。一方で、一部のアイドル語りの論者やマスコミの中には、山口の「思い込み」というミスリードを流す傾向も見られた。 これらも、山口への精神的重圧を生み出してきたことだろう。もちろんそのような報道について、事務所側は積極的に否定するどころか、放置したままである。それどころか、ミスリードをむしろ助長したのではないか、という疑いもある。山口のツイッターには、以下のように書かれていたからである。記者会見に出席している3人は、事件が起きてから、保護者説明会、スポンサー、メディア、県と市に、私や警察に事実関係を確認もせずに、私の思い込みのように虚偽の説明をしていました。なんで事件が起きてからも会社の方に傷つけられないといけないんでしょうか。 少なくとも、AKS側は山口への精神面のサポートを全くしていないか、していたとしても完全に失敗していることだけは明らかである。 21日の公演では、山口とともに、彼女の理解者と思われる菅原りこ、長谷川玲奈のメンバー2人も卒業を発表した。これが単なる卒業報告ではないことは自明である。彼女たち3人が同時に卒業表明することで、今回の問題の核心がNGT48の運営、そしてその主体であるAKSという組織固有のものであることを厳しく指摘したといっていいだろう。記者会見中に山口真帆のツイートを確認するAKSの松村匠取締役(左)ら=2019年3月22日午後、新潟市 問われているのは、暴行事件を引き起こした運営のセキュリティの甘さだけではない。その不誠実で、また社会常識から逸脱した振る舞いによって、AKSはその在り方を厳しく追及されるべきだと筆者は考えている。 何より、暴行被害者を事実上、自らの組織から追い出すとは度が過ぎている。しかも、このようなやり口は、1月の謝罪公演と全く同じ発想に基づいているのではないか。秋元氏の「沈黙」 つまり、AKSには「自らには大した落ち度もなく、むしろ問題はアイドル側にある」とでもいうべき、およそ常識外れの姿勢が見て取れる。今回の山口の卒業報告にもその点が明記されている。 事件のことを発信した際、社長には「不起訴になったイコール事件じゃないってことだ」って言われ、そして今は、「会社を攻撃する加害者だ」と言われていますが、ただ、仲間を守りたい健全なアイドル活動できる場所であってほしかっただけで、何をしても不問なこのグループに、もうここには、私がアイドルをできる場所でなくなってしました。 目をそらしてはいけない問題に対して、「そらせないなら辞めろ、新生NGT48を始められない」というのがこのグループの答えでした。 組織や企業の問題を告発した人間が、その組織から追いやられるというのは、ブラック企業の典型的な手法である。山口がこのような辛い心情に陥り、そしてNGT48を去ることは本当に残念で仕方がない。 またNGT48だけではなく、AKB48グループの総合プロデューサーである秋元康氏の「沈黙」も、非常に問題ではないか。秋元氏の言及は、社会的な批判が強まった1月14日にAKS側が開いた会見で、事件について「大変憂慮している」と松村氏が明かしたぐらいだ。 だが、社会的には、NGT48も他のAKBグループも「秋元康のAKB48」というイメージで見られていることは間違いない。そして彼は、NGT48が順調なうちは、このイメージを利用していたのではないだろうか。NGT48結成直後の2015年、当時の泉田裕彦新潟県知事との対談で、NGTを利用した地方創生について熱く語っていた。 上手くいくときには、AKB48の制作者として自身を売り出し、そして現在のような批判の強い時期には沈黙を続ける。これもまた社会的な常識とはかけ離れているように、筆者には思える。AKB48グループの総合プロデューサーを務める作詞家の秋元康氏 もし「事務所内部での仕事では、アイドルのマネジメントには関わっていない」というムラ的な発想を持ち出すのであれば、「秋元康のAKB48」という虚像で今まで得てきた「対価」を捨て去るべきだろう。率直にいえば、AKBグループから去るべきである、と筆者は思う。 2013年、筆者は『日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉(しゅうえん)』(主婦の友社)を上梓した。その書籍では、景気変動と女子アイドルグループの盛衰を指摘した。その際に「予言」したのが、社会的なものとの対立がAKB48存亡の鍵を握ることであった。同著の一節を引用して結びたい。 社会とAKB48の世界は、相互にその関係を深めていき、AKB48も意識的に「社会を変える」位置についたと私は認識しています。その相互のコミットが強まれば強まるほど、AKB48ワールドと一般社会の緊張の度合いもまた強まっていかざるを得ないのです。■ NGT48山口真帆さんへの対応はここがマズかった■ AKBに「トドメ」を刺すのは韓国かもしれない■ 「劇場支配人は神様?」NGT事件で見えたアイドルビジネスの本音

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    日本は韓国より立場が弱くなったのか

    治というゲームの中で簡単に無視できる相手ではない。経済でも大きな変化 経済面でも大きな変化が起きた。財務省が公開している「貿易相手国上位10カ国の推移(輸出入総額、1995〜2017年)」を見ると、韓国の定位置は米中に次ぐ3位、シェアは6%前後で安定している。冷戦終結を前後して貿易相手国の多角化が一気に進み、日米のシェアが急落していった韓国とは様相が異なる。日本はそれ以前から経済大国として世界中の国々と貿易をしていたから、韓国ほど急激な変化がないのは当然だろう。 サムスン電子やLG、現代自動車といった韓国企業が世界市場で広く認知されるようになったのも冷戦終結後のことだ。米インターブランド社が2000年から算出している世界ブランド価値ランキングでは、2000年に上位75社に入ったのは43位のサムスンだけ。2005年に現代が84位、LGが97位と初めて上位100社の仲間入りをした。2018年のランキングで上位100社に入ったのはサムスン6位、現代36位、起亜71位だ。ちなみに同年の上位3社は、アップル、グーグル、アマゾンの順で、日本企業トップはトヨタの7位だった。 日経新聞は3月14日付朝刊で「韓国、日本の経済制裁警戒」という記事を国際面トップに載せたが、これは「韓国側が身構えている」というだけの内容ではない。サブ見出しにある「水平分業 双方に打撃」という点を無視しては語れないのが現在の状況だ。サムスン電子など韓国を代表する企業が日本の部品・素材に依存しているのは事実だが、逆もまた真なりであって、日本の部品・素材メーカーにとって韓国企業は大切な大口顧客になっている。近年は東レなどが先端工場を韓国に建設しているが、大きな理由のひとつは納入先企業との協業体制を築くことだ。 韓国の部品メーカーが力を付けてきている点も無視はできない。統計分類コードの種類によって若干のずれはあるが、日韓間の自動車部品貿易に関しては2014年ごろに収支が逆転した。ずっと日本の黒字だったのが、韓国の黒字に変わったのだ。東日本大震災の際に日本製部品の供給中断に見舞われた韓国の完成車メーカーが日本製部品への依存度を下げたことや、韓国製部品の性能向上を受けて日本の完成車メーカーが韓国からの部品輸入を増やしたことが背景にあるという(韓成一「日本の対韓国自動車部品貿易の赤字転換と九州自動車産業への影響」『東アジアへの視点』2015年12月号)。 韓国における日本の存在感は、政治(安全保障)と経済の両面で1980年代後半から一本調子で低くなってきた。これに対して日本にとっての韓国の存在感というのは、それほど単純ではない。冷戦時代に弱小国だった韓国が国力を付けたことによって、むしろ存在感は高まったといえる。中国の台頭という冷戦後の地域情勢は、韓国においては単純に日本の存在感低下を招いたが、日本の受け止め方は全く違う。そういった違いがあまりにも軽い韓国の対日外交を生むと同時に、日本側の対応を極めて難しいものにしている。そう考えると、日本の方がある意味で弱い立場に立たされていると言えそうだ。 最近の日韓関係に憤り、1993年に韓国でベストセラーになった本『日本はない』(田麗玉著)を引き合いに出して、「小欄も『韓国はない』と思うことにしようか。」と結ぶ新聞コラムがあった(「産経抄」『産経新聞』2019年3月2日)。 そう言いたくなる気分がわからないでもないが、この本を引き合いに出すのは注意すべきだ。この本は、さまざまな事例を挙げながら「日本なんてたいしたことない」「日本はひどい国で、手本にするようなことは何もない」と声高に主張するのだが、それは実は「そう思いたい」という韓国人の願望を代弁するものだったからだ。著者はこの本のあとがきで、日本式経営や社員教育などを追い求める当時の韓国の風潮を「しかたのない面もありますが、これはむりやり我々に日本式の方法を強要しているにすぎません」と強く主張した。この訴えは、バブル経済に浮かれて絶好調だった日本に押しつぶされるのではないかと恐れる韓国人の悲鳴のようだった。ソウル中心部にあるサムスンのオフィス(ゲッティイメージズ) 興味深いのは、この著者が10年後の2003年に再び日本をテーマに書いた本だ。著者はこの本の前書きで、日本での楽しい思い出がたくさんあるけれど、今まで書いたことはないと告白する。そして、こう続けたのだ。 私が暮らした1990年代初め——スーパーパワーになろうという野望を持ち、貪欲でギラギラすることをやめようとしなかった(あの時の)「日本はない」。今の日本は「かつての日本」ではない。だから、穏やかな気持ちで、日本について軽く書くことができた。(田麗玉『札幌でビールを飲む』、カッコ内は筆者注) 日本と韓国が互いを見つめる視線の変化は、こうした言葉によく表れているのだろう。さわだ・かつみ 毎日新聞記者、元ソウル支局長。1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15~18年論説委員(朝鮮半島担当)。18年4月から外信部長。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『韓国新大統領 文在寅とは何者か』(17年、祥伝社)、『新版 北朝鮮入門』(17年、東洋経済新報社、礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著)など。訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。

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    「消費税26%発言」止まらない財務省の増税インフレ

    」で乗り切るならば、その対応は財政政策を拡大することであっても、増税で財政を緊縮することではない。 財務省とその「代理人」といえる政治家たちの狙いは、消費税10%の次は15%、いやそれ以上に引き上げることにある。財務省から「海外派遣」された官僚たちが国際通貨基金(IMF)などを通じて「日本はさらなる財政再建のために一段の増税が必要」と発信させる。そして国民が同意もしてないのに、いつの間にか増税が「国際公約」化するという手法が繰り返されてきた。2019年4月12日、ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の出席者(ゲッティ=共同) さらに、この勝手に生み出した「国際公約」を無視して増税しなければ、国債の信頼が揺らぐと、通信社や新聞を使って喧伝(けんでん)することも常套(じょうとう)手段なのである。経済的発想において何の能力もない政治家の大半もこの話を真顔で支持者や街頭演説で告知していく。財務省とメディアの悪質「タッグ」 外圧のようでいて、実は国内からの発信であることがキーポイントだ。まさに自作自演である。 IMFの財政緊縮主義はほとんど普遍であり、昨年話題になったIMFのリポートでは、バランスシート分析を利用して、米国や英国などの「隠れた負債」をあぶり出した。一方で、日本の負債規模が大きくても資産規模も大きく、純債務はほとんど無視できるほどの割合しか経済全体に占めていないことを公表してしまった。 これは財務省にとっても予想外のことだったろう。このリポート以後、日本では財政危機を理由にした消費増税の議論は下火になった。 代わって出てきたのが、社会保障財源としての消費増税である。これほど知的劣化の議論はない。 消費増税は低所得者に負担が重い。だが、簡単に言えば、社会保障は所得や資産の多い人から貧しい人にお金を「再分配」する仕組みだ。消費増税では、全く逆の動きになってしまう。 もちろん、税収の一部は幼児教育の実現や年金の維持などに使われるが、子供がいない中高年の低所得者からすれば、それは直接的に無縁の「再分配」になる。言ってみれば、消費増税は貧しい人からお金を取り上げ、その一部分だけ還元するというやり口である。当然経済格差は拡大していく。 悪質な税制だが、財務官僚たちにこれを押しとどめる動機はない。財務官僚の言いなりに近い政治家たちも同様だ。2019年4月、日本記者クラブで記者会見するOECDのグリア事務総長 G20での麻生氏の発言を「国際公約」として利用する財務省と日本のメディアの「タッグ」は、最近さらに加速している。4月に来日した経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長を日本記者クラブに招いたのは、その最たるものだ。グリア氏は15日の会見で、消費増税10%どころか、なんと26%までの引き上げが必要だと発言した。OECDも財務省の「植民地」 もちろん、この発言は日本経済新聞など国内メディアや海外通信社(ロイター、ただし日本人記者が執筆)で配信されるなど、大きく報じられた。これも「外圧」を利用した消費増税路線だろう。 そもそも、IMFはかなり昔から財務省の影響が色濃い。それに対して、OECDが財務省の「植民地」になったのは近年である。 財務省財務官だった玉木林太郎氏が、OECDの事務次長に就任したのが2011年で、民主党政権の財務省寄りの姿勢がここでも鮮明である。このOECDの財務省植民地化は、17年に玉木氏の後任事務次長に河野正道氏が任命されたことで、より強固なものになったといえる。 河野氏は金融庁出身が強調されているが、元々旧大蔵省の官僚であった。グリア事務総長の発言は、日本経済の財政状況や経済見通しを分析したOECDの対日経済審査報告書を元にしている。この対日経済審査報告書の内容は、おそらく事実上財務省の執筆ということになるだろう。これもまた自作自演である。 財務省の自作自演による「消費税26%発言」をそのまま日本のメディアが掲載する。ちなみに、筆者の知る限り、財務省の税率に対する「本音」は21世紀に入ってどんどんエスカレートしている。十数年前は、まだ15~18%が「本音」だった。財務省の「消費増税インフレ」はもはやとどまることを知らない。 このような官僚の病理を、そのまま伝える日本のメディアも情けない限りだ。おそらくテレビ局の報道でも今後、「世界経済の減速に備えた国際協調としての消費増税」だとか「人口減少が深刻だから、26%まで消費増税を引き上げる」だとかの、明らかな矛盾や常軌を逸した内容が、「国際公約」「国際機関の意見」などとして報道されていくだろう。まさに偏向報道である。 最近、一般社団法人「放送法遵守を求める視聴者の会」(百田尚樹代表理事)が、偏向報道に関する調査を実施したが、約7割の視聴者が「偏向報道はある」と回答している。現代のインターネットでは、IMFもOECDも財務省の植民地であることは広く知られている。東京・霞が関の三年坂に面した財務省の庁舎(ゲッティイメージズ) ネットの知恵を無視して、日本のメディアは財務省発の増税賛同報道をいつまで繰り返すのだろうか。彼らも、財務省やその取り巻き政治家たちと同様に「日本をダメにする寄生虫」といっていいだろう。■ 国民をカモにする「ブラック官庁」財務省はXマス暴落よりもヤバい■ このままでは「消費税率35%」になる日がやってくる■ 「超傲慢エリート」元官僚議員はなぜ量産されるのか

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    民主党政権が変えた「現役重視」シルバー民主主義を言い訳にするな

    る状況から、2025年には65歳以上ひとりを20歳〜64歳1.8人が支えることになる予想されている(財務省ホームページより)。また、1990年には47兆円だった社会保障給付費は、2012年には109兆円へと増加。こうした現状に対し、現役の勤労世代からは「高齢者が優遇され、我々は年金自体もらえるかどうかわからない」といった不満の声を聞く。 しかし、本当に高齢者が政治的に有利に振る舞い、優遇されてきたと言えるのだろうか。『シルバー民主主義の政治経済学』(日本経済新聞出版社)を上梓した島澤諭・公益財団法人中部圏社会経済研究所 経済分析・応用チームリーダーに「日本にシルバー民主主義は存在するのか」「世代間格差や財政赤字を解消するための施策」などについて話を聞いた。―高齢者を支える現役世代の負担が重くなると盛んに報じられてきました。また高齢者人口の増加にともない、選挙で大きな影響をもつ層として高齢者の意向が通りやすくなっているのではないかと指摘されています。実際に、このようなシルバー民主主義は日本で存在しているのでしょうか?島澤:現在の日本でシルバー民主主義が生じているかどうかについては否定的です。 シルバー民主主義とは、高齢者が直接的に政治に働きかけ、数の力で現行のシステムを維持・伸長する、または政治に直接的には働きかけないが、高齢者の数の力を政治側が忖度し、既得権の維持・伸長を図ることで、どちらにしろ、高齢者が政治プロセスを支配し、自分たちに都合の良いように振る舞うことです。それによって若者が困窮しているというのは、日本では30年以上前から、また西欧でも同様の指摘がありました。 ただ、そういったシルバー民主主義を批判する指摘のほとんどは、高齢世代ほど負担が低く若い世代ほど負担が大きくなっている世代会計の結果を根拠としています。 しかし、実際に世代会計の結果を虚心坦懐に読み込むと、また違った結果が見えてきます。図表1の世代会計の結果を見ると、65歳世代は0歳世代より生涯純負担率で見て10ポイント程度小さく確かに若い世代ほど負担が大きくなっていますが、マクロ経済環境も財政・社会保障制度の受益負担構造も全く同一の条件に直面しているはずの0歳世代と将来世代とでは、将来世代が27ポイントも負担が大きくなっていることが分かります。出所:『シルバー民主主義の政治経済学』(日本経済新聞出版社)108ページ 表2 つまり、現在の日本には、「現在生きている世代内における世代間格差」と「現在世代と将来世代の間の世代間格差」の二つが存在し、しかも、前者の格差より後者の格差の方が大きいので、要するに、高齢世代と現役世代は暗黙のうちに“結託”し、将来世代を財政的に“虐待”し続けている構図が明らかになります。実は将来世代から見れば現役世代も加害者側に区分されるのです。このようにデータとファクトとロジックを使ってシルバー民主主義が存在するのか否かについて調べたのが本書です。実態は「全世代型バラマキ」―シルバー民主主義の存在について否定的である根拠を具体的に教えて下さい。島澤:シルバー民主主義が存在しないと考える理由は次の通りです。確かに、少子化、高齢化の進行と高齢者ほど高い投票率を反映して高齢者の票数は無視できないほど大きくなっていますが、最近政治家たちが力を入れている幼児教育や大学教育の無償化、奨学金の拡充などの政策は、若者や現役世代を重視したものです。こうした政策からは高齢者は利益は受けませんから、シルバー民主主義が存在するならば高齢者は反対し、政治も高齢者の反対に追随するはず。しかし実際には、高齢世代を優遇したまま、現役世代を重視した政策が各党から相次いで提案されていますが、これはシルバー民主主義論では解けないパズルと言えます。こうした現象を見ても、シルバー民主主義には否定的です。 結局のところ、シルバー民主主義が存在しているように見えたのは、たまたまこれまでは高齢者のほうが票を計算しやすかったからに過ぎず、若者や現役世代が貧困化し、政党が彼ら彼女らに再分配を行うことで票を見込めるようになってからは、若者も重視されるようになりました。その転換点は旧民主党が「子ども手当て」や「コンクリートから人へ」といった現役世代重視の政策を掲げて、自民党政権下では給付が高齢者に偏っていた点に不満を抱いていた現役世代の票の取り込みに成功して政権交代を果たした2009年にあります。 政党から見れば、高齢世代の民意だろうが若者世代の民意だろうが、投票してくれる民意がよい民意であり、実態は民意ファーストな政治だったのです。―しかしながら、シルバー民主主義という言葉は世間に広がっています。島澤:シルバー民主主義という言葉が、人口に膾炙し始め、みなさん言い訳として使うようになったのではないかと思います。 たとえば若者が、何か政治的な行動を起こそうと考えても、高齢者の反対にあい頓挫するからと諦める。つまり、シルバー民主主義を言い訳にして諦めてしまう。それによって現状は維持されたままです。 また仮に高齢者が、自らの意見を主張し政治的に優位であったとしても、民主主義の枠内で行動しているので問題はありません。2009年8月、衆院選で政権交代を実現した民主党執行部。(左から)岡田克也幹事長、鳩山由紀夫代表、小沢一郎代表代行、菅直人代表代行(いずれも当時) さらに政治は、シルバー民主主義を克服し、全世代型社会保障を実現するため、高齢世代のへの給付は維持したまま若者の給付を拡大しようとしていますが、その実態は、将来世代に負担を先送りした「全世代型バラマキ」に過ぎません。つまり、幅広い世代から民意を獲得するための「全世代型バラマキ」の正当化のため、シルバー民主主義を利用しているのです。 このように、高齢者も政治も、そして若者までもが、シルバー民主主義の存在を自らあえて将来世代のために行動しない“言い訳”にしてしまっています。待ったなしの構造改革―シルバー民主主義は生じていなくても、世代間格差は生じています。そして日本の赤字財政は目を向けられないほど深刻な状況です。どうしてこういった状況に陥ってしまったのでしょうか?島澤:日本の根本的な問題として、政策を立てる上で、必要とする財源を財政赤字で賄おうとするケースが多い。そもそも財政法上“特例”のはずの赤字国債が1975年度から平成3年から5年度までの一時期を除いて現在に至るまで恒久的に発行され続けているわけですが、海外を見ても、そんな国はありません。ですから、まずはリーマンショック以降膨れ上がった歳出規模をそれ以前の規模にまでスリム化し、そして全世代が広く負担する消費税増税をするなどして、財政赤字をこれ以上増やさないようにすることですね。 現行の社会保障制度は、受益面は年齢が上がるほど受益が増加し、負担は勤労世代が高くなる仕組みです。例えば、厚生労働省の「所得再分配調査」によれば、60歳以上になると、再分配後の所得が、当初の所得を上回ります。 この調査結果を使い平均的な日本人の所得と再分配後の所得を計算したところ、給付が負担を89万円超過していることがわかりました。この超過分は、財政赤字に回されるのです。つまり、社会保障の受益負担の構造改革も待ったなしです。―平均的な日本人1人あたり、89万円も超過しているとは驚きですね。島澤:世代間格差を考える時に、現役世代と高齢世代の格差に目が行きがちですが、これから生まれてくる将来世代との格差も考えなければなりません。財政赤字が解消されない限り、そのツケは今後生まれてくる子どもたちに重くのしかかります。先ほどお話したように、新たな政策の財源を財政赤字で賄うのは、若者と高齢者、そして政府という鉄のトライアングルが結託し、将来世代の財布から同意を得ずにお金を調達している、つまり財政的幼児虐待を行っているのです。―財政赤字をなるべく減少させ、世代間格差がこれ以上開かないようにするには、どんな政策が考えられますか?島澤:まず、日本の財政赤字を考えるうえで、世間一般に誤解があるように思います。特に、政府や財務省の資料では、財政赤字が世代間格差を発生させ、この格差を埋めるためには増税しないとならない、と見て取れる。しかしながら、このロジックはミスリードです。実際には、世代間格差は財政赤字があるから発生するわけでもなく、財政赤字があったとしても世代間格差がないような仕組みを理論的にはつくることができます。 さらに言えば、財政黒字であったとしても世代間格差が存在することはあり得ます。要するに、増税と世代間格差の解消にはあまり関係はありません。 こうした点と先に指摘した2つの世代間格差(「現在生きている世代内における世代間格差」と「現在世代と将来世代の間の世代間格差」)の存在を念頭に考えますと、現在世代内の格差に対しては財政・社会保障制度の受益負担の構造改革で対応し、現在世代と将来世代間の世代間格差に対してはリーマンショックで膨れ上がった歳出規模の削減と消費増税で対応するのが最適解と考えます。―19年10月に消費税が引き上げられる予定です。それにより財政赤字は少しでも少なくなるのでしょうか?島澤:将来世代に先送りされる財政赤字の解消に充ててこそ増税の意味はあると思いますが、幼児教育の無償化に充てるなど結局現役世代に使うようですから、実態は何も変わらないと思います。近視眼の政治家―政治家がとにかく近視眼的になっている印象です。島澤:政治家は、本来目先の利益ではなくもう少し長いスパンの利益を考える存在だと思いますが、近視眼的な民意に引きずられ過ぎているきらいはありますね。現代日本の一つの問題は現役世代が貧困化し、これまでのような寛大な社会保障制度を維持するのが難しくなってきたことにあります。したがって、政治がなすべきは、現役世代の生活を安定化することですが、これには先にも言いました通り、財政・社会保障制度の受益負担の構造改革を断行する以外には実現できません。もちろん、これにより高齢世代と現役世代の対立の高まりによって世代間闘争が起きる可能性は否定できませんが、長期的なスパンで考えれば、いまのままの財政赤字を放っておいて良い訳はないので、そのために国民を説得してほしいですね。―それは選挙制度の問題ともつながってくるのでしょうか?島澤:現在の民意ファーストの政治は、小選挙区制の問題かもしれません。衆議院に関しては、政策を決定し実行していくことが重要ですから、小選挙区制のままで良いと思います。しかし、参議院の存在意義は、衆議院とは違う代表が選出され、違う視点から法案を審議することに意味があると思います。ですから、参議院は比例代表制だけにして、多様化した民意を反映できるようにするのが良いのではないでしょうか。―諸外国を見た時に、世代間格差の是正や財政赤字の解消など参考になる事例はありますか?島澤:年金などの国の社会保障の根本に関わるようなシステムの改革には、与党だけで決定するのではなく、野党や産業界などより広い利害関係者から成る会議を開き、合意に達するべきです。スウェーデンの年金改革はまさにそういった形で行われました。 ただ、日本のこれまでの政治を見ると合意の拘束力が弱すぎます。たとえば、橋本龍太郎内閣で合意した財政構造改革法は、与野党で合意したにもかかわらず、予想以上に不景気が長引いたため改正を余儀なくされ、小渕内閣では凍結する事態となりました。旧民主党・自民党・公明党による社会保障と税の一体改革に関する三党合意も結局なし崩し的に反故にされました。夏休みに入る子どもが宿題の計画を途中でひっくり返すのとは訳が違うのですから、一旦合意したら最後まで守って欲しいものです。※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)――最後にメッセージをお願いします。島澤:読者の皆さんは、日常生活に精一杯でなかなか政治や財政赤字のことまで考える余裕はないと思います。しかも、巷ではインフレや経済成長によって痛みを感じることなく財政健全化が可能だという主張が流布され、安倍内閣もそれに乗っかっています。仮にそれが本当だとしても、受益負担の構造改革を避けていては世代間格差の解消は不可能です。現在の我々の生活が成り立っているのは、将来世代へツケを回し、政府の借金で賄っているということをしっかり認識する必要があります。また、現役世代の方々は、高齢世代に比べ、被害者意識を持つ傾向があります。しかし、将来世代から見えればどちらも加害者なんです。ただ、世代間のそうした対立は何も建設的な結果を生みません。そうではなくて、今後の日本の財政や社会保障、社会情勢がどうすれば良くなるかということに視点を置き換え、現状の生活だけでなく、もう少し将来の日本や子供たちの未来について考えていただければと思います。ほんだ・かつひろ ライター。1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。

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    韓国経済を襲う「三つの衝撃波」はアベノミクスにも飛び火する

    は韓国と同じかそれ以上に深刻だ。世界経済の不安定性は日本経済にも確実に及んでいるのである。 例えば、財務省と内閣府が発表した2019年1~3月期の法人企業景気予測調査によると、2019年度の大企業の設備投資計画は前年度比1・1%増と、8・9%増であった1年前を大幅に下回っている。設備投資意欲の急速な減少は、雇用にも影響を与える。 アベノミクスがさまざまな問題を抱えながらも、「おおむね合格点」であると評価されてきたのは、雇用の改善が続いているからだ。最新のBSI(景況判断指数)を見ても大企業・中堅企業、中小企業ともに「人手不足感」は継続している。ただし、従業員数判断BSIの先行きを見てみると、急速に「人手不足感」が解消されていくのがわかる。  もし、この企業の見込み通りになれば、それは雇用停滞どころか、悪化にまで陥ってしまうだろう。その水準を分析すると、大企業では2015年度と同レベルにまで低下する。 2015年といえば、14年の消費増税の影響と世界経済不況が同時に生じたときである。14年の後半から16年にかけて雇用の改善スピードは落ち、失業率も3%台中盤で低迷した。最悪、この状況が現段階でも生じる恐れがある。 しかも、注意すべきは、あくまでも現段階の判断であることだ。今後、世界経済がより新たなリスクに直面する可能性もある。 例えば、英国の欧州連合(EU)離脱の先行きが一段と不透明になることで市場が混乱する可能性がある。米中貿易戦争の行方も不透明だ。2018年12月、経済財政諮問会議で消費税増税への対応を指示する安倍首相=首相官邸 雇用の先行きが急速に悪化していく中で、安倍政権は今のところ、10月に消費税率の10%引き上げを実施する予定を変えていない。それは、経済状況が大幅に改善していた2014年当初の状況とはまるで違う環境で、増税することを意味する。消費増税を行うことは、理性的な判断だとは全く思えない。 文政権の経済政策は「悲惨」としか言いようがない。だが、日本の経済政策にも同様の危うさがあることを、われわれは強く自覚する必要がある。■ 米朝決裂もアベガー 「日本軽視」韓国より重視すべき隣人■ 韓国よりも生ぬるい「ギャンブル依存症」対策で大丈夫か?■ 「#韓国人になりたい」インスタ女子はなぜ急増したのか

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    黒田総裁はやっぱり日本経済の「どえらいリスク」だった

    によってもたらされているといえるだろう。 黒田総裁が追加緩和を拒否している背景には、彼の在籍していた財務省の「増税主義」に対する政治的な忖度(そんたく)があるのではないか。今や黒田総裁と財務省こそが、日本の「どえらいリスク」なのである。■ 消費増税「3度目延期」首相が描くシナリオと布石■ 「失われた20年」日銀無罪の論法はちゃんちゃらおかしい■ 消費税率10%、安倍首相の決断で甦る「失われた3年」

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    「ZOZO離れ」は他人事じゃない

    衣料通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが上場以来初の減益見通しとなった。アパレル大手が同サイトへの出品を取りやめる「ZOZO離れ」の話題も重なり、ブランドイメージは失墜しつつある。とはいえ、我々メディアにとってもプラットホームビジネスの話は他人事じゃない。さて、どうしたものか。

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    トランプ米政権、プーチン氏支持ロシア企業の制裁解除

    の盟友で富豪のオレグ・デリパスカ氏(51)とつながりのあるロシア企業3社への経済制裁を解除した。 米財務省が経済制裁を解除したのは、アルミで世界第2位のルサールのほか、複合企業En+グループと電力大手ユーロシブエネルゴ社。デリパスカ氏が3社の経営権を手放したからと説明している。デリパスカ氏自身の米国内資産凍結など、本人への制裁措置は継続する。 財務省によると、ルーサルなど3社はデリパスカ氏との関係はないと証明するため、引き続き「広範な監査の継続」を受け入れると合意した。 デリパスカ氏は2016年米大統領選に対するロシア当局の介入疑惑に関与した疑いがもたれており、野党・民主党は制裁継続を求めていた。 財務省は昨年4月、世界各地におけるロシアの「悪質な行動」で利益を得ているとする個人や企業への制裁を発動。その際に、ルサールなど3社が含まれた。「悪質な行為」の対象には、2016年大統領選介入のほか、国際的なサイバー攻撃も含まれた。 しかし今月初めに、与党・共和党が多数を占める連邦議会上院で、ルーサルなどデリパスカ氏関連企業への制裁継続を求める動議が否決された。上院共和党とトランプ政権は、ルサール制裁は世界のアルミ産業に悪影響を与えると主張。さらに、デリパスカ氏が各社の保有数を減らしたことで経営への影響力が薄まっているのはこれまでの制裁の効果だとして、制裁継続の必要はないと強調した。 デリパスカ氏が筆頭株主だったEn+グループは、米政府による制裁解除の知らせを歓迎した。ロンドン証券取引所に上場している同社の株価は、昨年4月の制裁発表で急落して以来、回復していない。同社会長のバーカー卿は、「ロンドン上場ロシア企業の独立役員会が、少数株主の強力な支持を得て、米制裁政策への直接的反応として、経営権を筆頭株主から取り上げることに成功した。これは初めてのことだ」とコメントした。 一方で、ロバート・ムラー特別検察官が2016年大統領選のロシア疑惑を捜査している渦中で、デリパスカ氏の関係企業への制裁を解除することについて、米与野党からは不適切だという批判の声が上がっている。 今月半ばにはベラルーシ出身のモデル、ナスティア・リュブカ氏が、デリパスカ氏からロシアによる米大統領選介入の証拠を入手したと主張し、ロシア警察に一時拘束された。 デリパスカ氏はモデルの告発を否定し、リュブカ氏はデリパスカ氏に謝罪した。 トランプ氏はロシアとの結託はないと一貫して主張し、ロシア政府も大統領選への介入を否定している。一方で、米情報機関は介入があったと断定している。 (英語記事 US lifts sanctions on Putin ally's firms)

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    クリミア沖で貨物船2隻が炎上 少なくとも11人死亡

    。 当局によると、出火当時の2隻は黒海の「中立」な公海を航行中だった。 貨物船2隻の名前は、アメリカ財務省の一覧に記載されていて、シリアに石油を輸送したとして制裁対象だった可能性がある。 アメリカは2011年に、シリアのバシャール・アル・アサド大統領がシリア国民に対し「継続的な残虐行為」を行っているとして、対シリア制裁を強化した。 ケルチ海峡はロシアとウクライナ間の緊張の焦点となっている。 昨年11月、ロシアが黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡近くでウクライナ海軍艦3隻を拿捕したことで、両国の緊張が高まっている。 <関連記事> 【軍艦拿捕】プーチン氏、問題はウクライナ大統領が仕組んだと ロシア、ウクライナ海軍艦を拿捕 両国の緊張高まる 露とクリミアを結ぶ橋が開通 プーチン氏が自ら先導 ロシアの裁判所は、ウクライナ軍艦の乗組員24人全員について、ロシア領に不法侵入したとし、勾留を3カ月延長するよう命令した。 ウクライナはロシア側の決定を強く非難し、ウクライナ軍艦がこの地域の航海法に違反していないと主張している。ケルチ海峡はウクライナ南部のクリミア半島の沖合いにあり、ロシアは2014年に併合した。 (英語記事 Deadly blast hits cargo ships off Crimea)

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    トランプ氏、国家非常事態の宣言を検討と 国境の壁めぐり

    張を繰り返した。 しかし、複数のエコノミストはこの効果は期待できないし、USMCAによる経済効果は米財務省ではなく民間企業にもたらされると指摘している。USMCAはまだ批准されていない。 国境視察 トランプ氏はこの日、テキサス州マクアレンの国境警備拠点を視察した。国境警備局が押収したという武器や現金や麻薬を前に、トランプ氏は国境警備官や違法移民に家族を殺害された住民と一緒に記者発表に臨んだ。 「障壁がなければ(中略)この問題は解決できない」とトランプ氏は述べ、問題が解決されなければ「大勢が死ぬ」と強調。「壁は中世的だと言われるが(中略)うまくいくものもある」と述べた。 (英語記事 Trump visits border amid US shutdown wall row)                                                                     

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    米中貿易戦争の渦中で激化する韓国「謝罪ゲーム」のツケ

    田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授) 2019年の日本経済は、昨年来の米中貿易戦争と、財務省が主導する消費増税という二つの大きなリスクを背負ったままの状態で迎えた。さらに最近では、韓国との政治的な対立が深まっている。 まず、米中貿易戦争は単なる経済抗争ではない。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)やZTEに対する米国の制裁を見ても分かるように、それは国家の軍事的・政治的な安全保障にかかわるものである。 最近のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の論説でも指摘されていたように、トランプ政権は自由貿易圏自体を否定しているとはいえない。むしろ民主主義的価値観を共有し、さらに安全保障上の利害を同じくする諸国(日本や欧州)とは協調的に貿易交渉を進める一方で、中国とは敵対的な政治・経済圏を構築しようという意欲が伺える。 もちろん、この二つに分かれた経済圏は厳密なものではない。米中貿易戦争自体、その推移はさまざまな不確実性に満ちているので、断定は禁物であろう。 例えば、日本や欧州が完全に米国中心の経済圏に属しているとはまだいえない。米ソ冷戦時のように社会主義経済圏と資本主義経済圏が一定のレベルで対立し、互いの経済的交流を閉じているわけではない。実際に、米国と中国の貿易取引でさえも依然、拡大基調にあるといっていい。共同記者発表で握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2017年11月、北京の人民大会堂(共同) ただし、イェール大の浜田宏一名誉教授が最近の論説「Who Benefits from Trump’s Trade War?(トランプの貿易戦争で利益を得るのは誰か?)」で指摘したように、米国と中国の現在の関係を一種の関税同盟の枠組みで捉えた方が分かりやすいのも事実である。ここでいう関税同盟とは、同盟に入っている国々だけに特定の関税ルールを課すものである。 通例は、関税の引き下げ措置を共通のルールとして設定する。つまり、関税同盟内では、同盟に属していない国々に比べて、貿易上の恩恵を受ける。この関税同盟に属することの利益を「貿易創出効果」という。貿易戦争「部外者」の利益 他方でいいことばかりでもない。関税同盟に入っていない国との貿易は、関税の存在が障害になり、それによって貿易利益を失うことになる。 この効果を「貿易転換効果」という。カナダを代表した経済学者であり、経済思想史の研究でも著名なジェイコブ・ヴァイナーが提起した考え方である。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のような自律性の大きな経済圏の貿易効果を総合的に考えるときには、この貿易創出効果と貿易転換効果の二つを合わせて考える。 浜田氏の分析は、トランプ政権の対中貿易戦争を一つの関税同盟、つまり、先のWSJ論説と同様に排他的側面の強い二大経済圏の創出とみなしている。浜田氏は、米中貿易戦争自体が、今後それが本格化するほどに両国の貿易にマイナスの影響をもたらすことは疑いない、と指摘している。典型的な貿易転換効果が生じるわけである。 最新の貿易統計を見る限り、米中には貿易転換効果が次第に顕在化している。昨夏以降、米中貿易は大きく停滞し始めている。ただし、この動きが今後も続くかは、まだ様子見の段階だ。浜田氏はむしろ、日本や欧州、韓国など米中貿易戦争の「部外者」が、プラスの貿易転換効果を得ている可能性を指摘している。このプラスの貿易転換効果とは、米中の関税引き上げによって、「関税同盟」の当事者とはいえない日本や韓国、欧州諸国が対中貿易で利益を得ることを意味する。 浜田氏は、2017年4月から2018年3月にかけて、日本の対中輸出が18・3%も拡大したと指摘した。いわば日本は米中貿易戦争で漁夫の利を得た形となる。これは米国中心の「関税同盟」に入っていないために生じた利益だ。 だが、冒頭で指摘したように、今回の米中貿易戦争は単なる経済的抗争ではない。むしろ、メーンテーマは民主主義的価値観や安全保障である。そのため「ファーウェイ包囲網」でも明らかなように、米中貿易戦争が長期化すれば、日本や欧州も米国の「関税同盟」に加わることで、この漁夫の利(プラスの貿易転換効果)を失うであろう。 そして、韓国の動向にも注意が必要だ。北朝鮮に融和的な姿勢を文在寅(ムン・ジェイン)政権が一貫して採用している。北朝鮮に対する経済制裁の解除や経済交流の拡大に積極的なのは明らかだ。北朝鮮はおよそ民主主義的価値観に遠い。2018年12月、ソウルの韓国大統領府前にある広場で作成中の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が握手する絵(共同) 対して、最近の「徴用工」判決問題、そして昨年末から続くレーダー照射問題の経緯を見ても分かるように、日本に対しては一貫した「謝罪」を要求するだけの国家といっていい。特に、レーダー照射問題は、下がり続ける文政権への支持率が背景にあるのかもしれない。韓国の歴代政権も「愛用」 つまり、韓国の歴代政権が「愛用」してきた日本を利用した「謝罪ゲーム」を行っているのだろう。韓国の国内向けの人気取りか、あるいは韓国世論の目をそらす役割を果たしている。 今のところ、日韓はゲーム理論でいうところの「しっぺ返し戦略」になっている。防衛協力を韓国が破ったことで、日本側がしっぺ返しをし、それに対して韓国が応酬し、さらに日本が…という展開だ。 おそらく韓国の政府、マスコミ、野党、そして識者(これには日本の一部の識者も含まれる)はレーダー照射問題についても、徴用工問題などと同じように、無限に「謝罪」を要求してくるだろう。もちろん、日本にとっては「裏切り」が無限に繰り返されるゲームとなる。 この場合、日本が取るべき戦略は、相手が裏切りを続ける限り、こちらも「報復」をし続けるというものだ。確かに、長期的には日韓の防衛上の利害を損ねるかもしれない。この損失を重く見れば見るほど、両者はやがて「暗黙の協調」に移行する。たとえ今回のレーダー照射問題で、当事者間で白黒がつかなくてもだ。分かりやすくいえば、「あのレーダー照射問題のけりはついてないが、このまま争いを続けると両者とも損が重くなるので、他の防衛面では協力を続けようか」という姿勢になる。 だが、文政権が国内の人気取りを優先して、日韓の防衛協力の長期的な損失を重視しないときには、両国の暗黙の協調は以後も達成できない。 もちろん、他方で日韓の経済的取引は拡大基調であり、観光客など人的交流も盛んだ。ただし、米中貿易戦争が、民主主義的価値観と安全保障の対立を今後も先鋭化させていけば、やがて韓国の外交姿勢は転換を迫られる可能性はある。2018年11月、G20首脳会合の記念撮影に臨む(左から)安倍首相、アルゼンチンのマクリ大統領、韓国の文在寅大統領、中国の習近平国家主席(共同) 北朝鮮は経済や安全保障、そして政治的価値観において中国政府に極めて近い。つまり、北朝鮮は中国中心の「関税同盟」のメンバーといえる。 この状況下で、日韓が防衛の面で十分な協調が取れないことは、韓国が米国中心の「関税同盟」メンバーに不適格とされる可能性が高まるだろう。レーダー照射問題は米中貿易戦争の動向の中で、日本と韓国がどう進むかを見るいい試験紙になるのである。■ 崖っぷちの金正恩、万策尽きた文在寅「南北首脳の叫び」■ ファーウェイ通信網で「世界征服」狂気に満ちた中国の妄想■ 「マイナス30度」に達した日韓関係はどこまで冷え込むか

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    小選挙区制度が変えた平成ニッポンの民主主義

    入を柱とした政治改革関連法案を巡る細川護熙首相と河野洋平自民党総裁の合意文書のコピー(撮影・堀誠) 財務省のスキャンダルをめぐり、麻生太郎財務大臣が辞任すべきかどうかを聞いたFNN・産経合同の世論調査で、世代別に大きな回答の差が生じたのはその表れであると言えます。大臣は首相が任免するものであり、また与党が多数の議席を支配しているうちは、その政権が続くことは当然だという考え方です。 つまりは、辞任や権力の浮き沈みをめぐる人間模様ではなく、政党をもとに選挙で決すべきだとドライに考えている世代がこの45歳以下の世代であるということです。こうした候補者ではなく政党を中心とした発想は、都市化と相まって、日本の選挙風土を徐々に変えていくはずです。 国会議員を見ても、小泉進次郎氏や福田達夫氏といった次世代のホープが集う勉強会では、「国会改革」などの合理化提言は示されても、小選挙区制の見直しにはまるで関心が持たれていないのが現状です。小選挙区制の導入は、日本政治の根源的な変化をもたらすものであり、すでに多くの議員はそのような前提で行動しているということです。旧時代の「多数派」が消える 有権者も、現在の45歳以下世代が65歳以下になる今後20年の間に、行動様式が変わるはずです。小選挙区制を肯定的に捉え、そのもたらす意味合いに適応して生きている層が多数を占めるようになるからです。 言葉を換えれば、平成の政治改革をめぐって今交わされている批判の多くが、旧時代の前提に沿って考えられており、そのうちそうした意見は多数派ではありえなくなるということです。 中選挙区制のリバイバルは起きません。日本経済新聞編集委員の清水真人氏が著書『平成デモクラシー史』で指摘するように、小選挙区制の導入を中心とした政治改革は、実際には権力闘争の形で推進されました。 その事実は、当時の改革に向けた政治家の熱量を理解するうえでも重要であり、そこまでの熱量をもってして初めて、大改革が実現したのです。そして、現在の日本政界を見渡しても、中選挙区制を復活させるだけの凄まじい権力闘争の熱量はどこにも存在しません。 問題は、「強い首相」が政権交代の想定なしに続くことの弊害にいかに対処するかという点であり、どのようにして強い野党を育てるのかという論点です。その意味で、昨年は平成の終わりに向けて政治を取り扱った良書が並びました。前出の清水氏や東大教授の牧原出氏『崩れる政治を立て直す』など、平成の政治改革を大筋で肯定しつつも、メンテナンスやアフターケアが必要であると捉える専門家の本が、昨年はいくつか出版されました。 強い野党のイメージは、前大阪市長の橋下徹氏が展開していますが(『政権奪取論』)、それは必然的に都市型政党の「第三極」とならざるを得ないでしょう。そうした強い野党をいかに作り出すか、現状の野党とその四分五裂状態を眺めつつ、ため息をついてしまうのが現状です。 平成の次の御代の民主主義では、どのような競争が行われるのでしょうか。日本のガラパゴス的特徴としては、やはり憲法や安保を巡る問題が一つの軸とならざるを得ないでしょう。 ただ、グローバルに見れば、グローバル化や資本主義と民主主義を共存させていくために、それぞれの先進国の中で「国民国家」強化の旗印の奪い合いが起きるはずです。この場合の国民国家とは、必ずしも特定の民族を中心とする国家観ではなく国民というメンバーシップに着目する立場からする表現です。2018年12月、日本記者クラブで講演する自民党の(左から)福田達夫、小林史明、村井英樹、小泉進次郎厚労部会長(萩原悠久人撮影) 日本の左右両極はともに、裡(うち)に孤立主義的感情や反資本主義的感情を抱えてはいますが、こうしたグローバルな国民国家強化の「旗印」の奪い合いに乗れる条件を備えつつあります。今後、分配と成長のバランスをめぐって、あるいは社会政策をめぐって十分に争点を作れるはずです。 その意味では、日本のガラパゴス的特徴が延命することは、政党間競争にとってマイナスでしかありません。憲法を巡る、あるいは日米同盟を巡るイデオロギー対立を中心とした政党間対立ではなく、もっと広範なイシュー(課題)に対する政策競争で切磋琢磨(せっさたくま)したらいいのではないでしょうか。平成の改革が根付いた今、日本政治は新たな課題に取り組まなければならないのです。■変わらぬ対立構図、沖縄の政治が色濃く映す「ムラ社会」■内閣改造で見えた安倍総理の「改憲メッセージ」■民衆とつながる天皇像 「お気持ち」に表れた今上陛下の自信

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    国民をカモにする「ブラック官庁」財務省はXマス暴落よりもヤバい

    の政府とFRBの政策協調の失敗がある。これは両者の出方次第では、協調の失敗が長期化する可能性がある。財務省のブラック体質 私見では、今のインフレ目標の目標値は低すぎる。もしくは、同じ数値設定でも、より一層の賃金上昇などが見られるまで、インフレ率が目標値を上回っても現状の金融政策を進めると表明すべきだ。 FRBが今後もインフレ目標に厳格にこだわり、利上げを続けると予想されているため、日本銀行の金融緩和政策とのバランスから、今のところ為替レートはまだぎりぎり円安水準といえるものだ。これは、日本が長期停滞から完全に別れるために必要な円安水準という意味である。 ただし、世界経済の状況が悪化している現在、今の日銀の金融緩和姿勢で事足りる可能性は低い。つまり、この状況が続けば、過去のリーマンショックや2015年に起きた世界経済不況と同様に、円高局面が訪れる。そうなれば、日本企業の収益性を直撃するだろう。仮に、2015年の世界経済の後退と同水準のショックがこれから来年にかけて訪れるとすれば、最悪のタイミングと言わざるを得ない。 現時点で、財務省高官たちは「大したことがない」と様子見しているが、実に愚かな態度である。2014年4月の消費税8%引き上げの翌年に、世界経済の後退局面が訪れた。そして、消費低迷と成長率の鈍化、より一層の回復が見込めた雇用改善のストップなどが起きた。もし来年、このまま消費増税すれば、世界経済後退の中での引き上げになる。それは最悪のシナリオだ。 そんな財務省が、2018年の「ブラック企業大賞」で「市民投票賞」を受賞した。インターネット投票なので、個々のユーザーもさまざまな理由で1票を投じたのだろう。 だが、今年だけに絞っても、テレビ朝日の女性記者に対する福田淳一前事務次官のセクハラ行為に端を発したスキャンダル、そしてセクハラ疑惑を受けた福田前次官の辞任は記憶に新しい。さらに、佐川宣寿元理財局長(前国税庁長官)の国会答弁を忖度して、理財局全体をあげて行った公文書改竄(かいざん)は、国民に政府組織に対する深刻な不信感を与えた。 つまり、財務省の公的サービスが、国民に被害を与えたと認定していいだろう。財務省のブラック企業体質は本当に深刻である。さらに、過度な残業やまたパワハラ的な職場風土についても、さまざまに漏れ伝わるところでもある。トランプ米大統領(左)とパウエルFRB議長=2017年11月、ホワイトハウス(ロイター=共同) その一方で、最高学府からエリート層を常に吸収することで、自らの権威を保っている。要するに、エリート層が集まることが、今や財務省のただ一つ拠って立つ「権威」なのだ。醜いプライドだといっていいだろう。 率直にいえば、筆者には財務省が「日本の恥」だとしか思えない。恥は主観的な言葉なので、より客観的にいえば、財務省のお粗末なパフォーマンスを評価すれば、「省」ではなく「庁」程度がお似合いである。 お粗末なパフォーマンスの一例は、平成の経済史をさかのぼれば明白である。最近でも、嘉悦大の高橋洋一教授の新著『めった斬り平成経済史』(ビジネス社)や、経済評論家の上念司氏の『日本を亡ぼす岩盤規制』(飛鳥新社)を読めば、バブル崩壊から20年に及ぶ長期停滞の主犯が、財務省と日銀であることがよく分かるだろう。筆者もまた、時論を始めてから20年近くになるが、それはほとんど財務省と日銀による政策の失敗を明らかにし、その責任を糺(ただ)すことにあったといっていい。「政治家有罪、官僚無罪」 財務大臣に財務省のブラック企業体質の責任を全て求めることは、今までも長年、マスコミや世論の主導で行われてきた。つまり、「官僚の問題が明らかになれば、政治家が責任を取る」構図のことである。 だが、財務省のこのブラック企業体質は、大臣のクビを切れば済むかといえば、それで話は終わらない。むしろ、事実上論点をずらし、問題の本質を隠蔽(いんぺい)することにさえ通じている。要するに、今回の一連の問題を単純に「麻生大臣やめろ」などというだけではあまり賢明ではない。いや、率直にいえば、その種の意見は、財務省にとって好都合の「批判」でしかない。 官僚組織は個々の大臣の在任期間よりも長いし、また政党の「生命」よりも長い。政治家や大臣どころか、政権さえも財務省の使い捨ての駒でしかないのだ。 財務省が消費増税を悲願にしていることは周知の事実だろう。そんな中で、1997年に5%引き上げを実施した橋本龍太郎政権や、2012年に消費増税法を成立させた野田佳彦政権は事実上、財務省によって使い捨てされたとみていいだろう。その間、消費増税による経済停滞の本格化(橋本政権)、停滞の深化(野田政権)の責任は、全て政治家だけが取った。 一方、その当時の財務官僚はなんら責任を国民から問われることもなく、その後も高給の転職先や天下りを享受している。それでも、マスコミも世論の多くも、「政治家有罪、官僚無罪」という発想を捨て去ることができない。 この根源には、マスコミの「財務省依存」とでもいうべき体質がある。そして、ワイドショーやニュース番組などでしか情報を得られていない層が、財務省依存のニュースによって意見を形成してしまっている不幸な現象があるだろう。最近は、ネットなどで「真実」を知る人たちが増えてきたことで、「財務省はブラック企業である」という認識を生んだのかもしれない。実にいい傾向である。 だが、その認識にはまだまだ足りないところがある。財務省の最大のブラック企業体質は、経済政策の失政で、われわれ国民の生活をドン底に突き落とすところにある。2018年4月、事実上更迭され、記者の質問に答える財務省の福田淳一事務次官(当時) だが、世間には「消費税は社会保障目的で好ましい」という財務省やマスコミの意見を鵜呑みにしている人がかなりいる。申し訳ないが、その種の人たちは、財務省の「いいカモ」でしかないだろう。 政府が課税とそれによって得た財源を利用して、社会保障の名目で所得を再分配することは、もちろん現代国家の在り方として基本的に望ましい。しかし、方法を誤れば、所得の再分配によって、経済的な弱者がさらに損をしてしまうことがある。 例えば所得水準が低い人たちは、生活のために必要な支出だけでお金が底をついてしまう。これでは、将来のための貯蓄も難しい。この低所得の人たちの消費に重たい消費税率が課せられるわけだ。もはや「精神論」 他方で、高所得者たちは、その収入のほとんどを消費しない。消費の占める割合は、高所得者ほど低いだろう。では、高所得者たちは消費せずに、いったい何をしているかというと、せっせとお金を増やすための資産運用をしているのだ。 お金を使うことではなく、お金自体が一つの魅力となり、その無限の増殖を果たしていく。デフレになって、貨幣の魅力が増せば増すほどこの傾向は強くなる。これを「貨幣愛の非飽和性」という。 例えば、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が特別背任罪などで罪を問われている。その真相はまだ不明だ。だが、報道によれば、巨額の資産運用をしていたことは明白である。 ゴーン氏といえば、安くておいしい焼き鳥屋で食事するエピソードがあるように、日本での消費活動はそれほど派手に報道されていない。その一方で、リーマンショックの発生に伴う巨額の損失を、日産に付け替えようとするなど、その資産運用は強欲的である。ある意味で、高所得者の典型的な行動パターンだ。 消費税は、いわばゴーン的高所得者には有利に働き、カツカツで生きる人には地獄のような税制だ。現状では、米中貿易戦争や米国の金融政策の不安定性から、世界経済の失速が懸念される中で、消費増税を実施すれば、さらに経済的な困窮を深めてしまう可能性が大きい。 安倍晋三政権自体の責任もあるが、その背後で暗躍する財務省という国家の寄生虫を退治しない限り、この悲劇は繰り返し起こるだろう。最近では、消費税を全ての国民が社会保障のために担う政策だと説明しているが、一種の「精神論」(上念司)である。 ブラック企業の特徴は、社員をどうしようもない精神論で追い詰めるところにある。まさに、財務省のブラック企業体質がこの「精神論」に結晶されている。 財務省を解体するのも大いにありだが、個人的には財務省を財務庁に「格下げ」して、彼ら、彼女らのエリート意識を砕くことが手っ取り早いし、重要なことだと思う。格下げと同時に歳入庁をつくり、両方とも内閣府の直轄に置くのがいいだろう。2018年10月、消費税の10%引き上げを表明した臨時閣議に臨む安倍首相(中央)。左は茂木経済再生相、右は麻生財務相 そうして、財務官僚の歪(ゆが)んだエリート意識を糺すことが最優先だと思われる。ただし、最近は、財務省のセクハラ、パワハラ的なブラック企業体質が知れ渡ってきたのか、官庁志望ランキングでも苦戦しているとも伝え聞く。その先には、世論が財務省の解体を支持する環境になれば、さらにいい。 株価の大暴落から世界経済の減速の可能性が高まっている中で、消費増税の議論を続けるなど、どう考えてもおかしい。だが、この異常な財務省を軸とした「消費増税狂騒曲」を止めることができるかどうかに、安倍政権の命脈などよりもはるかに重要な、日本国民の生活と命がかかっていることは言うまでもない。■ 消費税率10%、安倍首相の決断で甦る「失われた3年」■ 馬淵澄夫手記 「日本を覆う『消費税神話』からの脱却を」■ メールも使えない経営者は大喜び、消費増税「狂信者」が描く未来図

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    馬淵澄夫手記 「日本を覆う『消費税神話』からの脱却を」

    控除額×税率」で計算すると、この制度で減免される一人あたりの税額は高所得者の方が圧倒的に多くなる。 財務省の統計資料などを基に試算すると、社会保険料控除によって失われている税収は2・2兆円以上と見込まれるため、社会保険料控除を廃止すれば、消費増税分1%から1・5%分に相当する財源が確保できると考えられる。 そして、次の財源確保策は金融所得課税の引き上げだ。経済が成熟し「金余り」が発生し、さらに格差が拡大する中で、金融所得に対し課税を強化することが考えられる。消費税を減税し、金融所得に対する課税を強化すれば、日本は格差是正の方向に進み、日本経済に活力が戻ることになる。財務省内の廊下=2018年4月 現在、株を運用して得た利益や配当にかかる税率は20%で、通常所得では、限界税率が45%に設定されていることを考えると、金融所得に対する税率は低い税率に抑えられている。欧米では、金融所得課税は20~40%が多い。 日本の金融所得税制は、株式運用により巨額の利益を得る者には恩恵が多い税制であるが、一方で、株式運用を行わない低所得層にとっては、恩恵のない税制である。高所得層の負担を引き上げ、代わりに逆進性の高い消費税を引き下げることで、中間層から低所得層の消費を喚起する再分配政策を行うべきである。 金融所得課税強化による経済効果につき、例えば金融所得に対する税率を現行の20%から5%引き上げ、25%にすることによって、増収額はおよそ国税、地方税合わせて1兆円弱が見込まれる。仮に、国税のみの税率引き上げであれば、国税だけで1兆円弱の増収が見込まれることとなる。毎年貯まる「剰余金」の謎 そして、毎年、恒常的に編成されている補正予算の財源を見ると、1兆円以上の国債費の減額と1兆円前後の前年度剰余金の受け入れが毎年のように計上されている。例えば、2015年度の補正予算を見ると、国債費の減額1・3兆円と、前年度剰余金の受け入れ2・2兆円、14年度の補正予算を見ると1・5兆円の国債費の減額と1兆円の前年度剰余金の受け入れが計上されている。 このような剰余が発生するのは、国債の金利が上昇したとしても支払いが賄えるように保守的に見積もった利払い費が計上されていることや、保守的な単価設定や税収見積もりなどが原因である。そして、結果的に補正予算の財源となったり、執行されずに剰余金となっている。 これらの、あらかじめ保守的に見積もられた補正ありきの予算編成を見直し、補正予算では地震や台風といった災害対応など、真に予見不能な場合に限ることとすることにより、2兆円以上の「無駄積み」を代替財源に充てることが可能になる。 そして、不要な事業の見直しも、もう一度進めていくべきである。会計検査院がまとめた2015年度決算の検査報告によると税金の無駄遣いや不適切な経理、資金の積み残しなどの指摘が計455件、1兆2189億円に上っており、過去2番目に大きい額である。 指摘の全てが無駄な事業というわけでは決してない。だが、不要不急な可能性のある事業に1兆円以上が計上されているという現実はしっかりと見据えて、改めて見直しを進めなければならない。 以上のように検討してきた通り、逆進性を持ち、低所得層の消費に悪影響が出る消費税の増税または据え置きよりも、むしろ消費税を引き下げるべきである。代替として、高額所得者に恩恵が大きい所得税の社会保険料控除の廃止、金融所得課税の強化、予算編成の見直しによる無駄積みの排除や、不要な公共事業の見直しなどを組み合わせることによって、財源を確保すべきである。社会保険料控除の急な廃止が難しいのであれば、上限を毎年引き下げていく段階的な廃止も検討すべきである。国会議事堂前(ゲッティイメージズ) 社会保険料控除の廃止で2兆円台半ば、金融課税5%アップで1兆円、予算の無駄積みの排除で2兆円、不要な事業の洗い出しと廃止により、数千億円の増収が見込める。合わせると6兆円近い財源確保が可能であり、消費税の国税分に換算すると3%近い財源が確保できる。また、地方税の減少分も、住民税の増収で相殺が可能である。 本来、政治家は税制(徴税)と予算配分によって、国家の運営を担うべきものである。既定路線の「消費税神話」に追随するのではなく、いかにして国民生活の安定のための税制はあるべきか、を論じるべきであることをあらためて、訴えて参りたい。■ メールも使えない経営者は大喜び、消費増税「狂信者」が描く未来図■ 消費再増税をすればアベノミクスの息の根はとまる■ 記事「財務省の倒閣テロ」森友文書改ざんは消費増税中止でケリがつく

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    消費増税「3度目延期」首相が描くシナリオと布石

    れば、予算の大幅な組み換えが必要で、国会も政府も大混乱になる。それこそ、首相の政治責任が問われる」(財務省幹部)と、財務省は安倍首相が消費増税を止めることをけん制する。 さらに、17年の衆院選で、安倍首相は消費増税による増収を当て込んで、幼児教育の無償化などに充てると訴えて勝利した経緯を踏まえ、政府内でも「再び先送りすれば公約違反と批判される」との声も上がる。 こうした反発や政治的、社会的な混乱をはね返すためにも、もっとも分かりやすい理由は「リーマンショック級の経済危機」にほかならないだろう。 そもそも安倍政権を長期政権化させた最大の要因は、日銀による異次元緩和で実現した円安を起点として生まれた株高と低失業率だろう。森友、加計問題などで世論の逆風にあいながらも、安倍政権が一定の支持率を保っている背景には、株価や雇用環境が好転したことが大きい。臨時国会の閉会を受け記者会見する安倍晋三首相=2018年12月、首相官邸(代表撮影) そうした中で、株価が大きく下落すれば、政権の屋台骨を大きく揺さぶることは間違いない。 米中の貿易摩擦は、世界経済の最大の不安定要因として着目されている。トランプ米大統領は今年9月、2000億ドルの中国からの輸入品に10%の追加関税を課す中国への制裁第3弾を発動した。 その後2018年12月1日には、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせ、米中首脳会談が行われた。この会談の結果、米国が来年1月に予定していた制裁関税の25%引き上げは3月に延期されたものの、「中国の改善策に合意できなければ、関税引き上げを実施する」と宣言している。 先日、中国通信機器大手ファーウェイの副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟(もう・ばんしゅう)容疑者がカナダで逮捕された事件をみても、米中間の先行きを楽観視するのは難しいだろう。安倍首相の布石 仮にこの25%への関税引き上げが実現すると、米中の貿易摩擦は、実体経済に大きなマイナスインパクトを与え、世界中の市場を混乱に陥れることになりそうだ。 米中の協議が決裂すれば、来年3月から米が関税を25%に引き上げる一方で、中国も自動車や大豆など米国からの輸入品に追加関税を課して報復、米中の貿易摩擦は、一段と深刻化する。これを機に、世界経済は本格的な減速へと向かうことは避けられないだろう。 日経平均採用銘柄の2019年3月期決算の純利益の予想をみても、前年比、横ばい圏内で推移すると予測するアナリストが多い。順調に回復を続けていた日本企業の収益改善にも急ブレーキがかかりつつある。 この収益改善が鈍化した背景には、いくつかの要因がある。 中国経済が、循環的にピークアウトを迎え、設備投資に減速傾向が出ている。さらに、世界経済をけん引してきたiPhoneの生産が伸び悩み関連部品の生産にもダメージが広がるという観測が出ている。米連邦準備制度理事会の利上げで、新興国通貨が下落、アジア等で日本企業の円ベースの利益が減少していることも大きい。 米中の貿易摩擦についても、米の鉄鋼、アルミニウムへの課税で自動車などの米国での現地生産のコストが上昇するなど、すでに影響が顕在化し始めている。1日、ブエノスアイレスで会談に臨むトランプ米大統領(手前右)と習近平中国国家主席(同左)(ロイター=共同) 「米が25%まで関税を引き上げれば、日経平均株価は現在の水準から3割から4割調整してもおかしくない」(外資系証券のエコノミスト)との見方も出ている。足元で、2万2000円~2万1000円程度で推移している日経平均株価(225種)は、1万5000円を割り込む水準まで下落する可能性すらあるというのだ。 こうした経済危機のリスクを安倍首相と周辺は十分に織り込み、消費増税ストップのシナリオを多角的に描いているとみるのが自然だろう。 安倍首相は10月15日の臨時閣議で2019年10月に消費税率を10%へ引き上げることを表明、内需の失速を避ける経済対策を指示し、「あらゆる施策を総動員する」と強調した。 自動車関連税制の減免を拡充、住宅購入なども補助金でサポート。さらに中小店舗でクレジットカードなどのキャッシュレス決済をした消費者に期間限定で2%分のポイントを還元する方針だ。増税のダメージ対策を丁寧に準備する姿勢を示している。 しかし、安倍首相は、これまで消費税増税などの方針を記者会見で説明してきたのに、今回は、閣議での発言を公表することだけにとどめた。これを将来、消費増税を止めるための一つの布石とみることもできるだろう。 米中の貿易摩擦の激化に端を発した世界的な経済危機が起これば、安倍首相は迷わず、消費増税の延期を決断するだろう。その際には、消費増税の延期の是非を国民に問うという名目で、衆参同日選挙に打って出る可能性もある。経済危機の中で、国民がどのような審判を安倍政権に下すのかに注目が集まるだろう。■ 派閥議員スキャンダル連発でも二階氏が「安倍政権の要」たる理由■ 鈴木涼美が読み解く「オトコとしての安倍晋三論」■ ポスト安倍より憲法改正 「歴史に名を刻む」改造内閣の布石

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    このままでは「消費税率35%」になる日がやってくる

    者に一定額のポイントを付与する。2018年12月、職員の激励に回る麻生財務相(手前)=東京・霞が関の財務省 最後に、「防災や減災、国土強靱(きょうじん)化」として、⑬「3カ年緊急対策」を18年度第2次補正や19年度・20年度当初の各予算で実施するというものだ。 このうち①・②・④は、17年9月の臨時国会冒頭の記者会見で、安倍首相が衆院解散を表明しつつ、正式に提案した対策である。「社会保障と税の一体改革」における当初計画では、消費税率10%引き上げに伴う税収増約5・6兆円のうち、4兆円程度を財政赤字の削減に充当する予定であった。「増税ショック」が増幅する ところが、突如、その約半分の約2・4兆円を①・②・④に充当する方針に変更した。内訳は、①・②で約1・4兆円、④で約1兆円である。このほか、③の年金生活者支援給付金や65歳以上の介護保険料の軽減対象拡大等で約1兆円も要する。 さらに今回の予算編成では、増税ショックの緩和に便乗する形で、⑤~⑬の増税対策が追加となった。政府は対策コストの詳細を公表しておらず、現時点では判断が不可能だが、当初計画で予定していた財政赤字の削減分、約4兆円を超えて、むしろ財政赤字が拡大している可能性もあると考えている。政治的な駆け引きもあり、今回の予算編成では、増税を悲願とする財務省は沈黙を貫く形となったが、これでは何のための増税なのか理解できない。 例えば、19年度当初予算では、⑪のポイント還元の財源として約3千億円を見積もっているが、還元コストが本当に3千億円で済むのか、筆者は疑念を持つ。また、そもそも、低所得者への支援として、⑤や⑥の対策を追加で実行するならば、当初から多くの経済学が指摘していた通り、高所得層も恩恵を受ける④の「軽減税率」は導入せず、低所得層に集中投下する「給付付き税額控除」を導入する方が望ましい。 また、⑦や⑩の対策は筆者も必要に思うが、⑧・⑨・⑪~⑬の対策は増税対策とは直接関係ないものではないか。むしろ、これらの対策の中には増税ショックを増幅するリスクがあるものも存在する。 全てについて考察はできないため、以下では、⑪の「キャッシュレス決済でのポイント還元」について簡単に考察してみよう。 まず、キャッシュレス決済は、第4次産業革命の鍵を握るエンジンの一つで、ビッグデータなどの利活用に向けた成長戦略とも深く関係する。だが、現金信仰の強い日本ではなかなか進まない。 実際、経産省の資料「キャッシュレスの現状と推進」(17年8月)によると、民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済額の割合は、08年の約12%から、16年で20%にまで増加したが、米国や中国、韓国と比較すると、その半分以下の利用しかない。例えば、15年では、米国が41%、中国が55%、韓国が54%も決済で利用しているが、日本は18%しかない。早急な対策が必要だ。※写真はイメージです(ゲッティイメージズ) このため、当初、政府は次のような方向性で対策の検討を進めていた。具体的には、1)大企業以外の小売店で現金を使わないキャッシュレス決済をした場合、1年間という期限付きで、2%の増税分をポイントとして還元する。2)ポイント還元の対象としては、クレジットやデビットカードのほか、電子マネーやQRコードでの決済も含める、というものだ。 ポイント還元策はキャッシュレス決済を促進させる起爆剤となる可能性があり、筆者もその政策的意義は理解していたつもりである。だが、11月22日に安倍首相がキャッシュレス決済で5%のポイント還元の検討を表明したことから、状況が一変した。最終的な税率は30% ポイント還元の期間は、「1年」から「増税実施から2020年夏の東京五輪前の9カ月」に短縮されているが、これは増税ショックを増幅するリスクがある。その理由は以下の通りだ。 まず、キャッシュレス決済の対象につき、ポイント還元をする前の消費税率の推移は、図表の実線の通り、19年10月以前は8%、それ以降は10%であった。また、当初のプランは、19年10月から1年間という期限で、増税分2%のポイント還元を行うというもので、消費税率の推移は、図表の点線の通り、20年10月以前は8%、それ以降は10%になる。(筆者作成) 他方、最新のプランは、19年10月から20年夏の東京五輪前の9カ月間という期限で、5%のポイント還元を行うというもので、消費税率の推移は、図表の太線の通り、19年10月以前は8%、19年10月から20年夏までの9カ月間は5%、20年夏以降は10%になる。 図表から一目瞭然だが、当初のプラン(点線)は、キャッシュレス決済につき、増税(消費税率8%→10%)の時期を19年10月から20年10月に延期する政策と理論的に同等だ。また、最新プラン(太線)は、19年10月から20年夏までの9カ月間、一時的に減税(消費税率8%→5%)を行い、20年夏から増税(消費税率5%→10%)を行う政策と理論的に同等である。 すなわち、実線や点線の増税幅は2%だが、最新プランでは、一時的な減税によって増税幅が2%から5%に上昇しており、増税の反動減を増幅するリスクがある。日本経済では、過去に5%も消費税率を引き上げた経験はない。これでは、増税の反動減対策が切れたときのために、その反動減対策が必要になるという本末転倒なものに陥る可能性が高く、ポイント還元の幅を見直す必要があろう。19年10月以降、ポイント還元の幅(5%)を2カ月ごとに1%ずつ縮小し、10カ月間でゼロにする政策に変更してはどうだろう。 なお、ポイント還元は比較的その恩恵が中高所得階層に集中するため、公平性を損なうという指摘も多いが、それは対象をクレジットカード決済のみに限定する場合であり、電子マネーやQR決済も対象とするならば、Suica(スイカ)やスマートフォンの保有率をみても、低所得層なども一定の恩恵を受けられる可能性がある。 ところで、①から⑬の対策のうち、ポイント還元などは一時的な税収減で済むが、中長期的な観点で財政再建に最も深刻な影響を及ぼすのは、④(軽減税率の導入)だ。これまで、政府や財務省は、社会保障の安定財源として消費税を念頭に置き、財政再建を進めてきたが、軽減税率を導入する場合、もはや消費税のみで社会保障費の伸びを賄うのは不可能となる。 筆者の試算では、消費税率を10%に引き上げても、財政の安定化には、消費税率を最終的に30%程度まで引き上げる必要性がある。だが、これは軽減税率を導入しないケースでの簡易試算で、19年10月の増税で軽減税率を導入すると約1兆円の税収が失われるため、その場合、最終的な消費税率は35%を超えてしまう。 このため、軽減税率は取りやめ、低所得者対策は給付付き税額控除で対応することが望ましい。だが、軽減税率を残すならば、資産課税の強化といった新たな財源を含め、消費税10%以後の社会保障や税制のあり方について、今から早急な検討が必要となろう。■ アベノミクスの限界「3本目の矢」は放たれない■ 「一万円札廃止論」に隠された安倍政権のどす黒い意図■ アベノミクスを「特効薬」のように煽った安倍政権とメディアの罪

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    消費増税、国民への影響はどれほど?

    郎副総理兼財務相。「今回は間違いなく(消費税増税を)実施できる状況」と語った=2018年8月27日、財務省 したがって、経済成長の恩恵によって放っておいても豊かになる一方で、かつ企業により生活保障を受けていた現役世代に対する社会保障給付よりも経済成長の恩恵から取り残された高齢者により手厚く社会保障給付がなされ、高齢者を優遇することは正義に適っていた。「誰もが受益者」の限界 しかし、経済が停滞し、繰延された負債を担う将来世代が減少していく現局面においては、状況が全く異なる。実際、財務省によれば、特例公債の発行から脱却することのできた1990年度以降歳出を原因とする債務残高の増加額416兆円のうち7割強の293兆円が社会保障を原因とするとされている。つまり、日本の財政問題は社会保障問題と言っても過言ではない。増加する一方の社会保障支出を賄うための収入増加策は不可避である。*社会資本に相当する生産資産は非金融資産に分類され732兆円(うち防衛装備品9兆円)。それとは別に、地下資源、漁場、国有林等の非生産資産(自然資源)153兆円もある。 しかし、社会保障を支えることが期待されている現役世代の弱体化が続いている。その背景としては、非正規雇用比率の上昇や賃金水準の高い雇用機会の喪失といった経済構造の変化がある。また、当初所得の低迷だけでなく、税制や社会保障制度の恩恵が薄い未婚者の増加等、世帯構造の変化も生じていることが挙げられる。 こうした現役世代の苦境を前提に、政府・与党のみならず野党においても、子供の医療費無料化(窓口負担ゼロ)、最低賃金引上げ、18歳選挙権、待機児童解消策、給付型奨学金導入、幼児・高校・大学教育無償化など、高齢者とともに現役世代重視の全世代型社会保障の充実を目指している。 このように現役世代が貧困化しつつあるからこそ全世代型社会保障が提案されているという事実に鑑みると、現役世代に負担させる従来の仕組みを維持するのには無理がある。「誰もが受益者」である全世代型社会保障を実現したいなら北欧諸国を例に挙げるまでもなく「誰もが負担者」でなければならない。スーパーで商品を選ぶ買い物客。消費税率が10%となれば消費者や業者に大きな影響が懸念される=2018年10月、東京都大田区(齋藤有美撮影) したがって、全世代型社会保障の財源について、財政当局は、(1)現役世代が減少し、高齢世代が増加することから、特定世代に負担が集中せず、国民全体で広く負担する消費税が社会保障給付の財源にふさわしい、(2)所得税や法人税に比べ、消費税は景気変動に左右されにくく安定している、との理由から、財源を消費税により広く全世代に求める方針としている。 しかし、消費税率の引上げは、税制抜本改革法によって引上げスケジュールが定められている。また、増収分の使途についても、社会保障制度改革プログラム法によって配分が定められているにもかかわらず、実際には、景気後退懸念を理由として、10%への引上げは、2017年4月、さらに2019年10月へと延期されるなど、政治、国民問わず、財政再建、消費増税への拒否反応が著しい。消費税引き上げの影響 2019年10月の消費税率引き上げが家計に与える影響を試算した(表1、表2、表3、表4)。表1 所得階層別消費税率引き上げに伴う負担額 まず、所得階層別家計に与える影響を見ると、所得階層が高いほど消費税負担金額や軽減税率導入に伴う負担軽減金額が大きくなっている(表1、表2)。これは所得階層が高いほど消費支出金額も大きいから当然である。表2 所得階層別軽減税率導入による負担軽減額 しかし、所得に占める負担割合を見ると低所得層ほど、負担率も軽減率も大きくなっている。消費税の負担を金額で評価するのか、所得に対する割合で評価するのかで、まったく逆の見解が生じ得るが、所得に対する割合で評価するのが一般的である。そうした観点から考えると、消費税は低所得層ほど負担(率)が重く高所得層ほど負担(率)が軽くなる逆進的な性質を持つ一方で、軽減税率の導入によって低所得層ほど恩恵を受けることが分かる。 次に、年齢別消費税負担を見ると、20歳代15.8万円を底として加齢とともに増加し50歳代25.8万円でピークを迎え、それ以降は低下し、70歳代では17.9万円となっている(表3)。表3 年齢別消費税負担額 60歳以上の高齢世代の負担額が30歳代以下の若者世代の負担を上回っていることが確認できる。また、軽減税率導入に伴う負担軽減額を見ると、若者ほど恩恵が小さいことが分かるが、これは若者ほど食料以外の支出ウェイトが高いことと、新聞を購読している割合が低いことに起因している(表4)。表4 軽減税率導入による年齢別負担軽減額 以上のように、消費税引き上げは、世代や所得階層といった世帯属性の違いによって与える影響が異なるので、消費増税に賛成するのは高所得・現役世代に対して、高齢世代と低・中所得現役世代は各々反対するインセンティブが働く。後者の方が多数を占めるため、民意に敏感な政治消費税の引き上げに二の足を踏むのももっともなことであるとも言えるだろう。 政府や経済学者は、マクロ経済パフォーマンスに与える影響の面においても、世代間格差に与える面においても、消費増税による財政再建の方がメリットが大きいと考えているものの、実際に消費増税が度々延期されてきたことからも、試算結果からも明らかになったように、国民の大半にとっては消費増税の負担増は大きい。キャッシュレスが鍵 こうした国民の間にある根強い消費増税へのアレルギーを緩和するため、政府は目下様々な対策を決定もしくは検討中である。 例えば、外食と酒類を除く飲食料品等に対する軽減税率の導入は、大半の経済学者は強い拒否反応を示しているものの、先に見た試算の通り、飲食料品への支出の割合が大きい高齢者や低所得者対策としては効果的であろう。 もう一つ、政府は、電子マネーの普及などに伴い近年キャッシュレス化が進行しているとはいうものの、他の先進国や韓国などと比べてキャッシュレス決済は普及していない現状に鑑み、現時点では、キャッシュレス決済を普及させる狙いで、消費税率の10%への引き上げと軽減税率の導入に伴い、中小小売店舗でキャッシュレスにて買い物をした場合に限り、2%分をポイントで還元する仕組みの導入を企図している。 日常の買い物のキャッシュレス化には、店側では機器の導入コストや様々な手数料などランニングコストが重くのしかかる他、大規模自然災害による停電発生時の取引の確保等課題も多い。しかし、キャッシュレス化は、消費者にとってはATMから現金を引き出す時間や労力など取引コストを節約できるし、小売業者は現金の管理・運搬等にかかるコストを削減できる。さらに、消費者の購買行動に関するビッグデータが取引付随して集まるので、その購買行動を分析することでより効果的な販売活動、ひいては売り上げ増も期待できる。 また、キャッシュレス化の進行によって、大半の商取引が電子データで管理されれば、現金を用いるより遥かにカネの動きが透明化され、脱税やマネーロンダリングなどを抑止できるなど、税務処理の効率化や税収増が期待できる。税収増は当然将来の追加的な増税幅を圧縮させるだろう。ペイペイでキャッシュレス決済をするイメージ=2018年11月(武田範夫撮影) さらに、Moody'sが2016年に公表したカード決済の普及によるキャッシュレス化が経済に与える影響に関する報告書(“The Impact of Electronic Payments on Economic Growth”)によれば、2011年以降2015年まで世界経済全体で毎年740億ドル(日本円に換算すると8兆円強)分のGDPを増やす効果があったとのことである。さらに、キャッシュレス化が1%進むと0.04%ス日本の経済成長を押し上げる効果を持っているとしている。 以上のようなキャッシュレス経済への移行によるメリットを十分に発現できれば、消費税率引き上げに伴うマクロ経済や家計の負担増を軽減できる効果も期待できる。

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    潔癖の代償―喫煙ヘイト亡国論―

    石を投げ打つかのような激烈な「潔癖」の思想を元に排斥が行われている。 「代替する財源がない」が口癖の財務省が、一番初めに手をつけるのが「たばこ税」である。デフレ下の中、煙草(たばこ)のみが増税の影響を一身に受け、急激に高騰しているのは、周知の通りである。 「喫煙」は、確かに巨視的に考えれば生命の「汚濁」なのかもしれない。なぜなら人間は、煙草を吸わなくとも生きていけるからだ。もし、あなたが無人島に漂着したとして、第一に必要なのは清潔な水と、ビタミン類を豊富に含む果物や穀物、および動物性タンパク質である。そしてそれらの食物の調理(加熱殺菌)に必要な燃料となる薪や木炭の類いであろう。煙草は、人類の生存条件リストの最後にすら入らないかもしれない。煙草がなくても、人間は生きていける。 しかし、現実に人々が酒を飲み、煙草を吸うのは、人間が生きていく上で必然的に「汚濁」、つまり無駄で「汚らしい」側面を、どうしても伴うからである。この「汚らしさ」を全部否定して最初からの根本を取り除こうというのが「潔癖社会」であり、その前衛が「喫煙と喫煙者と煙草は全部除去せねばならない悪である」という観念の元に奨められる「喫煙ヘイト」なのである。※写真はイメージ(ゲッティイメージズ) が、私たち人間は、洗練された美と健康と完璧な「潔癖」の中では、実は生きてはいけないのだ。それは美猫が悪臭を放つクソをひねり出すのと引き換えに、「世界一かわいい」と尊ばれるのと一緒で、生命維持に必要不可欠な副産物なのである。 つまり、「清浄と汚濁こそ生命である」(ナウシカ)なのである。これは唯一無二にして至言だと私は思う。そしてこの「潔癖主義」が、「喫煙」のみに恣意(しい)的に向けられているという現状を踏まえても、「汚濁を認めない」という「潔癖主義」は、二重三重の意味でピサの斜塔よりも傾いている、異常な社会の傾向であると判決せざるを得ない。汚濁は「悪」なのか 煙草は全部悪で、それを吸っている人間も全部悪なのだから除去せねばならない―という「喫煙ヘイト」が行き着く先はどこだろうか?正しく、「清浄である」と認定された「以外」のモノの除去と排斥である。 悪名高きA・ヒトラーが、徹底的な菜食主義者であり、酒も煙草も一切やらなかったのは有名な話だ。ヒトラーは「アーリア人」というありもしない理想の民族(北方系ゲルマン種族)が、欧州を統べるべき使命を負っている、という根拠のない優生思想を展開した。 そして1933年のヒトラー連立内閣誕生と全権委任法で国家権力を完全に掌握してのち、次々と「アーリア人国家にとっての汚濁」を徹底的に排斥するように部下に命じ、実際にそれを実行した。 「アーリア人国家にとっての汚濁」とは何か。それは、まず第一に、「アーリア人(それに最も近いゲルマン人)に寄生して生きている」に過ぎない、「生きるに値しない人種(『我が闘争』より)」であるところのユダヤ人である。 そしてアーリア人種と同様に劣等である(と、ヒトラーは勝手にレッテルを貼った)、スラブ人(主にロシア人)、あるいは身体、精神障害者、ジプシーやロマなどの非定住民族。そして同性愛者であり、そこにまで、迫害と排斥の手は及んだのである。 ヒトラーは唯一の自著『我が闘争』の中で、「東方生存圏」を主張した。ここでヒトラーは、ゲルマン人はアーリア人の血統を最も色濃く受け継ぐ正統で「清浄」な民族である、という人工神話をでっち上げた。 であるからこそ、アーリア人よりも一段も二段も、人種的に「汚濁」であるスラブ人を西ヨーロッパから追い出して、ウラル山脈の東側(シベリア)に追放するべきだと極めて早い段階から説いているのである。これが、独ソ戦(1941~45年)という、人類史上最も凄惨な犠牲者を出した世紀の地上戦の、ドイツ側の精神的大義であったことは、疑いようもない。 巷間(こうかん)もはや当然というように執行されている煙草は全部悪で、それを吸っている人間も全部悪なのだから除去せねばならない―という「喫煙ヘイト」を言い換えれば、「禁煙ファシズム」へと帰結する理屈はここにこそある。「喫煙ヘイト」の行く末は、必ず喫煙者だけではなく、「汚濁」とレッテルを貼られた他の嗜好(しこう)品愛用者にも向けられるであろう。 それは曰く、チョコレート愛好家であったり、コーヒー愛好家だったり、はたまた電磁波、石けんやシャンプーに含まれる化学合成物の使用者、また非天然の油やエタノールの排斥である。「喫煙ヘイト」の行く末は、喫煙者だけにとどまらないであろう。※写真はイメージ(ゲッティイメージズ) 歴史が示すようにそれは、必ず「喫煙者」の枠をとび越えて、権力者や世論が「汚濁=悪」と決めつけた領分にまで波及する。 最後に私が煙草を一切やらない非喫煙者であることを告白して、戦後、ナチス時代を述懐したドイツ・プロテスタントの牧師、M・ニーメラーの有名な言葉を引用して終わりたい。 ナチスが最初、共産党を攻撃したとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったからだ。 社会主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。 なぜなら私は社会主義者ではなかったからだ。 ナチスが労働組合を攻撃したとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は労働組合員ではなかったからだ。 そして、ナチスが私(教会)を攻撃したとき、私たちのために声をあげる者は、誰一人として残っていなかったのである。■ タバコとアニメとナチスの香り 『風立ちぬ』批判への反論と宮崎駿論■ 医師たちが触れたがらないタバコ害の〝不都合な常識〟■ 厚労省調査を疑え! いい加減なデータに基づく副流煙害

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    「官僚の本分忘れた驕り」森友問題、泥沼化の本質はここにある

    済学的な観点から整理した。今回は森友問題について、同様に経済学的視点からまとめてみたい。 森友問題は財務省、そして近畿財務局が土地利用について、効率化政策よりも特定の団体、つまり森友学園の「経済厚生(経済的な満足度)」を増加させようとしたために、むしろ土地利用の効率化が滞った事例だと考えられる。近畿財務局は、当初から公有地を入札方式で売却すればよかった。入札は価格競争を促すメカニズムの一つなので、効率化政策として考えることができる。2018年12月、参院本会議で、安倍晋三首相(左奥)への問責決議案の趣旨説明を行う立憲民主党の蓮舫副代表兼参院幹事長(春名中撮影) だが、実際に近畿財務局が採用したのは直接交渉であり、しかも「事務的なミス」をきっかけに、森友側の厚生水準を向上させる政策を採用してしまった。その結果、森友側の厚生は一時的に増加した(長期的には厚生損失)。だが、他方で土地利用という観点では、効率化が著しく阻害され、結果として、国有地が現段階「塩漬け」のような状況に陥っている。 経済政策の基本は効率化政策である。これは、規制緩和や取引ルールの設定などで市場競争を確立することで、資源配分を効率化することである。 一定の労働や資本などを利用することで、私たちが日常的に消費・生産する財やサービスの範囲を、最大までに拡大していく。また、一分野だけではなく、多様な領域で効率化政策を推し進めていけば、長期的にはその国民の厚生全体も改善していく。これは、経済学的には古典的な政策観で、「ヒックスの楽観主義」という。効率化に代わる二つの政策 筆者はミクロ経済学を考えるときには、大阪大の八田達夫招聘教授の『ミクロ経済学』(Ⅰ&Ⅱ、東洋経済新報社)と、日銀の岩田規久男前副総裁と明治大の飯田泰之准教授による『ゼミナール経済政策入門』(日本経済新聞社)を常に参照している。特に、前者は具体的な事例を元にしているので使い勝手がいい。 これに日本の場合は、官僚の力が強いので、嘉悦大の高橋洋一教授の一連の著作が具体的な政策論を書く上で必備となる。「ヒックスの楽観主義」も八田氏の『ミクロ経済学』に詳細な解説がある。 効率化政策に代替する政策は2種類ある(八田『ミクロ経済学』Ⅱ)。一つは既得権の利害に配慮する既得権保護政策である。加計学園問題で明らかになった文科省の獣医学部規制がそれである。しかも、文科省の場合は、既得権保護政策のいわば極北であり、そもそも獣医学部の申請自体を認めないので、まさに「市場からの排除」である。 効率化政策に代替するもう一つの政策が、厚生改善政策である。これは特定の人や集団の厚生増加に配慮することである。効率の増進は二の次で、ともかく「特定の人の厚生さえ上がればよし」とするやり口である。 今回の森友問題は、近畿財務局の厚生改善政策によって土地利用の効率化が無視され、その結果、長期的には当事者の厚生水準も低下したことになる。ここでいう「当事者」は森友側であると同時に、また公有地の活用ができなかった国民の損失でもある。 高橋氏の『「官僚とマスコミ」は嘘ばかり』(PHP新書)は、モリカケ問題を時系列で整理しながら理解するには最適の書である。他の類書は、「安倍ありき」「昭恵夫人ありき」みたいなバイアスが強くて使い物にならない。財務省=2018年11月8日(飯田英男撮影) 高橋氏の整理は単純な明解で、森友学園に売却した国有地は、過去にゴミの投棄場として知られていた。 近畿財務局は土地のプロですから、きちんとした手続きをすべきでした。ゴミのことを十分に説明していなかった可能性があるうえに、入札ではなく随意契約にしたことなど、近畿財務局の事務手続きのミスです。高橋洋一『「官僚とマスコミ」は嘘ばかり』救いなき「扇動ゲーム」 この森友側との直接交渉で、近畿財務局は、森友学園だけの経済厚生の向上を目指してしまったとも解釈できる。高橋氏も指摘するように、なぜ公開の入札にしなかったのか、つまり市場競争のスキームを利用しなかったかが、この問題の経済政策的な論点である。 八田氏は、個々のケースで交渉相手の厚生改善を官僚がその都度行うことは適切な役割分担ではない、と指摘している。なぜなら、厚生改善は価値判断を伴うので、官僚にはなじまないからだ。官僚は効率化政策に特化すべきである。 今回のケースでいえば、公開入札など市場競争スキームを採用すべきであった。だが、おそらく近畿財務局、そしてその親元である財務省には「政治的な配慮をすることが自分の任務である」という驕(おご)りがあったのではないだろうか。財務省は特に、政治的な振る舞いを政治家以上に行う風土が存在する。その意識が、末端まで波及していても不思議でもなんでもない。実に傲慢(ごうまん)な姿勢だ。 もちろん「安倍ありき」「昭恵夫人ありき」で魔女狩り的な報道を繰り広げたマスコミ、それに煽られやすい世論も問題だろう。この点については、近著『増税亡者を名指しで糺す!』(悟空出版)の中で丁寧に解説したので、ここでは省略する。 近畿財務局、財務省の政治的な驕りは、森友問題の「深刻なスピンオフ」ともいえる文書改竄(かいざん)問題でも明らかである。訴訟化はならなかったが、国民の信頼を踏みにじる不遜ともいえる行為であった。この文書改竄もまた特定の人物や組織、つまり財務省高官の厚生を改善するために、適正な公文書管理という効率化を犠牲にした「厚生増進政策」だといえるだろう。繰り返すが、その根源には官僚があたかも政治家のように振る舞う、その傲慢な姿勢がある。学校法人森友学園前理事長の籠池泰典被告=2018年11月撮影 森友問題は、日本の官僚たちの日常的に行っている厚生増進政策の「負の側面」が大きく世に知られたものだと思う。官僚たちが、本来の職分である効率化政策への特化に至るにはまだ「道はるかに遠し」である。 それでもマスコミや野党は、官僚制の問題を議論することに熱意を示さない。安倍首相と昭恵夫人の「関与」という、2年近く経過しても全く証拠も出ていない問題に、まさに報道機会と国会の審議時間、それぞれの「ムダ」使いを続けるばかりだ。 おそらく来年の参院選での「安倍降ろし」を狙って、またモリカケ問題が再炎上する可能性がある。そしてワイドショーレベルの情報で満足する高齢層を中心とした、ずっと「疑惑」を深めている人たちを「釣る」のだろう。まさに救いのない「扇動ゲーム」だといえる。■ 新聞、テレビの受け売り「モリカケ安倍陰謀説」の無責任■ 政治的娯楽「モリカケショー」があまりにバカバカしい■ 「安倍マンセー保守」たちよ、森友文書改ざんの罪深さを認めよ

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    英中央銀行、合意なしブレグジットで英経済は大幅に景気後退の恐れ

    %。イングランド銀行は今年9月に政策金利を0.75%に据え置いた。 イングランド銀行の発表に先立ち英財務省は同日、合意のあるなしを問わずブレグジットによって英経済は後退するという展望を報告。メイ政権がEUと交わした離脱合意を実施した場合、EUに残留した場合に比べて15年後の英経済規模は3.9%小さくなっていると見通しを示した。合意なしブレグジットの場合は、残留した場合に比べて9.3%の縮小になる見通し。 イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は、「これはシナリオであって予測ではない。おそらくこうなるだろうでは必ずしもなく、こうなり得るという内容を示した」と説明した。 「英国経済の開放性減少の影響がどういう方向性と規模と速度のものになるのかによって、ブレグジットの影響は変わるだろうと、複数のシナリオは総合的に示している」 「無秩序なブレグジット」とは イングランド銀行は、「無秩序なブレグジット」になる要因として複数の仮定を前提として掲げている。仮定は予測とは異なり、同銀行は実現可能性の確率を示していない。 英国は世界貿易機関(WTO)ルールに戻る 2022年までに施行される新しい通商協定はない 英国はEUと第三国間の既存の通商協定上の権益を一切受けられない 税関検査のため英国境で激しい混乱発生 英国への移民は年間15万人から年10万人ペースで減少 イングランド銀行はこの最悪のシナリオのほかに、英国がEUと一部の通商協定に参加し続けた場合の「混乱したブレグジット」シナリオも提示。その場合、2022年までにGDPは3%縮小し、住宅価格は14%下落、失業率は5.75%に達することになる。 一方で、EUとの税関検査や規制障壁を設けず、金融サービスについても部分的な合意が得られる「緊密な関係」を維持した場合、EUに残留したケースに比べるとGDPは1%縮小するが、中央銀の最新経済見通しよりは1.5%拡大する。 政界の反応は 与党・保守党の中心的なEU離脱推進派、ジェイコブ・リース=モグ下院議員は、カーニー総裁の警告には「何の信用性もない」と反発し、中央銀行総裁がその発言によってポンドを下落させようとしていると批判した。 BBCに対してリース=モグ議員は、国民の間にブレグジット恐怖症を植えつけようとする「恐怖計画」は「ヒステリー計画」と化したと述べた。議員はさらにカーニー総裁を「カナダで仕事が見つからなかった、駄目な二流政治家」と呼んだ。 離脱派のイアン・ダンカン・スミス元保守党党首は、財務省と中央銀の報告について、「要するにフランケンシュタインの怪物のような恐怖計画が再燃し、この国を練り歩いているということだ」と一蹴した。 一方で、野党第一党・労働党のジョン・マクドネル影の財務相は、「今週発表された複数の報告の内容を中央銀行が確認した。つまり、合意なしブレグジットは10年前の世界金融危機よりひどい結果をもたらしかねない、テリーザ・メイの合意でこの国は今よりひどいことになるということだ」と強調した。 (英語記事 Bank warns no-deal could see UK sink into recession)

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    橋下徹、木村草太の憲法問答アフタートーク

    憲派を罵倒したりする。橋下 あんな噓をつく政府やそれを見破れない国会議員に、軍事力は任せられない! 財務省の公文書改ざん問題を見てもさ、国会の答弁で、ああいう噓を組織ぐるみで堂々とつくんだもんね。テレビに映って、全国民が視ている前で、よくやれるよなと思って。木村 あれだけひどいことをしても、支持率が下がらないというのは、安倍政権への期待がもともと高くないということですよね。あれだけ文書をいい加減に扱ったら、「期待外れだ!」と怒られて当然ですが、もともとが「あんなもんだろう」と思われているので、大きな怒りにならない。行政の公正と透明性について強く期待されていると政府が自負しているなら、あんな対応は怖くてできないでしょう。橋下 うーん、安倍政権に対する評価はちょっと違うかな(笑)。個別にいろいろ問題があるにせよ、失業率の低下をはじめ、やはり経済指標では好材料が多々あります。うちの娘も速攻で就職が決まっちゃったからね(笑)。政権批評は別の機会に譲るとして、朝日新聞がスクープしなかったら、「関係書類はすべて廃棄しました」で公文書改ざんは闇に葬られて終わっていた。これは安倍政権の大失態、大チョンボだし、それを見破ることのできない与野党国会議員の能力不足です。自民党や維新・国民民主の野党も「軍を持つべきだ!」とか「自国は自分で守る!」とか威勢のいいことばかり言うんだけど、こんな国会議員や日本政府にフリーの軍事力なんて渡すことはできないよね。自民党総裁選で連続3選を果たした安倍晋三首相=2018年9月、東京都千代田区の自民党本部(桐山弘太撮影) 靖国の問題にしても、政治家は「中国や韓国を気にせず靖国参拝!」と口だけです。僕もぬかっていたんだけど、このあいだ初めて大阪の旧陸軍省真田山墓地を訪れました。アメリカのアーリントン墓地のように兵士を祀っている墓地が全国で80か所ほどあります。でも日本が戦争に負けて、GHQによる軍国主義体制の解体に伴って、旧陸軍省墓地は国からずっと放ったらかしにされてきました。「ああ、この国は戦争で命を落とした方々をこのように粗末に扱う国なんだ。これでは、とてもじゃないが、軍なんか持てないな」と感じました。「英霊に尊崇の念を表せ!」と威勢のいいことを口にする国会議員は、この放ったらかしにされている旧陸軍省墓地をまずなんとかすべきです。自分たちの国を自分たちで守りたいという思いがあるなら、まずはそれを可能とするための国の前提条件を整えなければなりません。沖縄問題解決に手続法を木村 私が気になっている前提条件は、沖縄に米軍基地が集中していることです。安全を享受しながら、基地を身近に感じなくていいという状況は、本土の人にとってすごく快適な環境なのだと思います。そんな快適さのなかでは、本土の人は安全保障政策を変えようとは思わないでしょう。もしも全国の小学校で、米軍機が飛ぶたびに騒音で授業が中断するような状況になったら、日米安保を考え直す議論が出るのかもしれません。橋下 そうですね。対談でも話したけど、沖縄の問題は手続法を考えるしかない(第3章参照)。手続法を作ろうとすると、今は他人事だけど沖縄県以外の国会議員や自治体も、基地が設置される地域の住民の声をどこまで聞くべきかについて必死になって考えるようになると思う。住民の声を重視すれば沖縄の基地は否定されることにつながり、住民の声を軽視すれば、米軍基地が沖縄から自分の地域に移転されることにもつながるんだから。木村 「日米関係が……」「核の脅威が……」と実態論だけを主張し合ったところで、価値観は十人十色だから、話のまとまりようがない。その点、橋下さんは手続き論をとても重視していて、ガバナンスの現場にいた人だと感じました。橋下 知事と市長をやってわかったのは、何が正しいのかは人間ごときにわからないということです。役所で出世してきた優秀なメンバーが議論してもわからない問題が、トップである首長に集まってきます。正しいものがわからないからこそ、仮に正しくない結論になったとしても、みんなに納得してもらうような手続きを政治家は踏むべきなんです。木村 今回の対談で手続法の大切さを再確認しましたね。橋下 僕が木村さんと話していて面白かったのは、権力=悪と感情的に考えていなかったこと(第2章参照)。権力がない、無秩序こそ悪だという発想がベースになっていた。もちろん権力に対して厳しく指摘はするけれども、権力がなくなることがいいとは思っていない。ここは、僕が政治家として権力を考えるベースとまったく同じです。インテリの人たちは、とにかく権力=悪から始まりますからね。木村 単に権力反対というのは、何も考えていないのと一緒です。自衛隊違憲論にもいろいろあって、本当に〝さわやか〞な議論がありますからね。「とにかく、絶対に違憲!」というだけで、日米安保も自衛隊もなくなったときに何が起こるのかについては考えない。橋下 現実の悩みが、そこに存在しない。やはり僕は弁護士としても政治家としても実務をやってきたから、現実に悩まない人とは議論が進まない。理想にだけ生きる人は現実が見えなくなっている。一方で現実ばかりだと、現実はこうだから仕方ないとあきらめるばかりです。理想論と現実論とを行ったり来たりしないといけない。木村 橋下さんは現実論を話しつつも、憲法改正案に教育無償化を盛り込むなど(第6章参照)、理想論も大切にしている。今回の対談を通して、われわれの共通の敵は〝さわやか〞なのかもしれないと思いました。納得がいかないところは、徹底的に議論したので、話はかなり込み入りましたね。橋下 憲法にまつわる議論を集中的にできて、僕たちは楽しかったけどね。話題がマニアックになりすぎて、読んでくれる人をおいてけぼりにしていないか、ちょっと気になるんだけど(笑)。はしもと・とおる 1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、97年に弁護士登録。タレントとしても活動し、2008年より政界に参画。大阪府知事、大阪市長、大阪維新の会代表などを歴任し、15年に大阪市長任期満了で政界を引退。現在はAbemaTVで毎週木曜23時OAの『NewsBAR橋下』にレギュラー出演中。近著に『政権奪取論 強い野党の作り方』(朝日新書)。きむら・そうた 1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒。同大学助手を経て、首都大学東京教授に就任。『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターを務めるなどテレビ出演多数。幅広い層に憲法学を発信している。著書に『自衛隊と憲法 これからの改憲論議のために』(晶文社)、『憲法の急所』(羽鳥書店)など多数。

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    カショジ記者殺害は皇太子ではなく情報機関工作員が指示=サウジ検察

    公判手続きが行われている。一方、さらに10人が殺害に関与した疑いがあるとして、捜査が続いている。 米財務省は15日、サウジ高官17人に経済制裁を科した。米財務省は制裁対象となった高官について、カショジ記者を「標的にし、残忍なやり方で殺害した」と述べた。カショジ記者は米国に住み、仕事も米国でしていた。同省はカショジ氏が「高官らの行動の被害を受けた」とした。 財務相による制裁対象は、「殺害計画の一部立案と作戦の実行」が疑われるサウド・アル・カフタニ前皇太子顧問、作戦を「共同でとりまとめ、実行」した疑いのマヘル・ムトレブ氏、駐イスタンブールのサウジアラビア総領事モハメド・アル・オタイビ氏など。。 マイク・ポンペオ米国務長官は、制裁が「カショジ氏殺害に対する重要な一歩」だと述べ、「すべての関連事実を探し続け、連邦議会と協議の上、関係者の責任を問うため諸外国と強力を続ける」と表明した。 <関連記事> カショジ記者殺害 カナダ情報機関「犯行録音のテープ聞いた」 「カショジ記者は危険なイスラム原理主義者」サウジ皇太子発言か 米報道 カショジ記者は「ただちに絞殺された」=トルコ検察 死亡詳細を初公表 サウジアラビア検察局のシャラアン・ビン・ラジフ・シャラアン副局長は15日、リヤドで記者らに対し、カショジ記者は死亡後、総領事館内で遺体をバラバラにされたと発表した。 切断された遺体はその後、敷地外にいる現地の「協力者」に渡されたと、シャラアン副局長は付け加えた。検察はこの協力者の似顔絵を作成したほか、遺体捜索を続けているという。 シャラアン氏は、記者殺害で起訴された人物の身元は明らかにしなかった。 ただし同氏は、情報機関副長官のアフメド・アル・アッシリ将軍がイスタンブールに派遣した「交渉部隊の部隊長が殺害を指示した人物だと、捜査から判明した」とも述べた。この交渉部隊は、サウジアラビアから脱出したカショジ氏を、強引にでも帰国させるのが任務だったという。 「(皇太子は)この件について何も知らなかった」とシャラアン氏は主張した。 サルマン国王の息子でサウジアラビアを事実上支配するムハンマド皇太子は、自分や記者殺害に一切関与していないと主張している。皇太子は記者殺害を「正当化できない凶悪な犯罪」と呼んだ。 皇太子に批判的な人たちは、皇太子が作戦に気づいていなかったなどあり得ないと主張する。 殺人に関連して逮捕された容疑者21人のうち複数は、過去に皇太子の警備部隊に所属していた。アッシリ将軍とカフタニ氏も殺害事件をめぐり解任されている。 シャラアン氏は、カフタニ氏は旅行を禁止され捜査を受けていると述べたが、アッシリ将軍になされた措置については言及しなかった。 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「カショジ記者殺害の指示は、サウジ政府の最高レベルから下された」と述べた。ただエルドアン氏は、サルマン国王が指示したとは考えていないと話している。 トルコのメブルト・チャブシュオール外相は15日、サウジ検察が発表した声明の一部について「満足していない」と述べた。 チャブシュオール外相は報道陣に対し、「サウジ検察は、カショジ氏が抵抗したため殺されたと言っているが、一方で殺害があらかじめ計画されていたとも述べている」と述べた。 「さらに、サウジ検察はカショジ氏がバラバラにされたと言う(中略)これは自然発生的に起こることではない。殺害とその後の遺体切断に必要な装備と人員が用意されていたのだ」 トルコ当局は、記者殺害の数時間前に、サウジの工作員15人が空路でイスタンブールに到着したと見ている。このうち1人はサウジ内務省勤務の法医学者と考えられており、入国時に骨用のこぎりを運んでいた。 チャブシュオール氏は「命令を出した人物やあおった人物も解明されるべきだし、その過程は隠されるべきではない」と述べ、トルコは「この殺人に関する全てを明らかにする」だろうと付け加えた。 (英語記事 Jamal Khashoggi murder ordered by agent - Saudi prosecutor)

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    今どきの若者は「保守化」も「安倍支持」もしていない

    に乗せてくれている。 6年もたって「民主党(と麻生)よりはマシ」以外に何の実績があるのか知らないし、財務省と喧嘩してメソメソと負けるような頼りない首相だが、今のところ他に代わる人もいないので消極的に支持している。こんなところだろう。これが保守化と言えるのか。 ただし、「保守」には「現状変革を望まない」との意味がある。老年世代の中で左傾の人たちは安倍政権のやることなすことが気に入らないだろうから、日曜の朝はTBS系の「サンデーモーニング」を見て留飲を下げ、チャンスがあれば沖縄県知事選で自民党を負かす投票行動をする、というくらいのことは言えるかもしれない。それとて、日本国憲法体制という大きな視点で見れば「保守」とも言えるのだが。 若者に関して言えば、何と言っても地獄のような就職活動から解放してくれたのだ。安倍首相を支持するのは当然ではないか。確かに今から消費増税を宣言し、「増税しても景気を悪化させないよう対策する」などマヌケな言動を繰り返している。少し学力のある大学生なら、首相の知性を疑うだろう。参院予算委員会で答弁を行う安倍晋三首相=2018年11月、国会・参院第1委員会室(春名中撮影) 「景気が悪化するなら最初から増税するな」「そんなに増税したかったら、景気を完全回復させてみろ。それまで待てないのか」「結局、いくら屁理屈(へりくつ)を並べても財務省と喧嘩して負けただけではないか。その屁理屈作文も財務省に用意してもらったのではないのか」と。それでも、今のところは景気が悪化しているわけではないし、積極的に倒閣して現状変革して余計に状況が悪化しても困る。その意味で保守化しているのは確かではないか。 そもそも今の日本の言論界での保守の定義は、「安倍政権への支持」である。現実の論壇での多数派のようなのでその定義に一応は従うが、その支持の実態を少しは分析してみないと、「若者の投票行動が安倍政権支持だから保守だ」などと短絡的に考えると色々なものを見誤るだろう。 いいかげん、「安倍0点」の左下と「安倍100点」の右下の不毛な議論から卒業しないと、取り返しがつかなくなる。その二つ以外のマトモな議論の存在する余地がないからだ。人間の評価に二者択一の100点か0点かなど、ありえない。絶対に間違っている二択の議論は、国を亡ぼす元(もと)だ。

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    麻生さん、病気に「自己責任論」を持ち出すのはやっぱり酷です

    0キロの患者が1年間使用すると、なんと年額3500万円にも及ぶものだった。 相次ぐ高額な新薬に対し、財務省は10月9日の財政制度等審議会で、経済性に応じて公的医療保険の適用外にすることも検討するという、かなり突っ込んだ改革案を示している。同改革案には予防医療に関して「予防医療による経費節減効果は明らかでない」とも示されている。 予防医療=医療費削減と思われがちだが、実は予防医療のうち医療費抑制に有効なのは約2割しかないとの報告がある。予防で病気の発症を遅らせても、いずれは何らかの病気になり医療費がかかる、つまり予防医療はかかる医療費を先送りにしているにすぎないというわけだ。予防医療のメリットはむしろ、医療費削減ではなく健康長寿にあると思った方がよい。寿命の延長により家族や友人と過ごせる期間が延びることは経済では語ることができない。「きれいな長谷川豊」論争 さらに、その間に就労が可能であれば社会活動に伴う税収増にも寄与しうる。安倍政権は、予防医療による健康長寿と高齢者雇用の拡大を社会保障改革の柱としている。予防医療の推進は医療費削減ではなく、健康長寿とそれによる社会生産性向上を目的として議論すべきである。 この問題で思い出されるのは2016年のフリーアナウンサー、長谷川豊氏による「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」というブログ記事である。本件に対してはあっという間に批判が殺到し、人工透析患者の偏見につながるとして全国腎臓病協議会も抗議文を出すに至り、結果として長谷川氏は当時の全ての番組を降板することになった。 結論から言うと、病気に自己責任論を持ち込むのは無理がある。なぜなら、危険を伴う地域への渡航と異なり、自ら進んで病気なる人は誰もいない。そして、生活習慣の努力の程度は、線引きが事実上不可能だからである。病気は複合的な要因で生じるため、遺伝や社会環境など個人ではどうしようもない部分があり、自助努力だけで防ぐことはできない。 一方で、過度の飲酒や喫煙、運動不足で自堕落な生活をしていても病気にならない人もいる。病気に対する自己責任論を突き詰めると、国民皆保険制度の崩壊につながってしまう。その先の未来がどうなるかはアメリカの医療をみれば明らかであろう。 予防医療の目的を純粋に健康長寿とした場合、健康意識や健(検)診受診率の向上を目指すにはどうしたらよいのであろうか。「2020年以降の経済財政構想小委員会」のまとめを発表する自民党の小泉進次郎氏=2016年10月、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影) 一つが健康状態のいい人や健康管理に努力している人を優遇するというやり方である。民間保険ではリスク細分型保険というカテゴリーの商品がすでに定着している。非喫煙者を対象としたノンスモーカー割引は、ニコチンを検出する唾液検査をクリアすることが条件で、保険を契約する際に通常の保険料の10~30%の割引を受けることができる。 第一生命は健康診断割引特約として健康診断書などを提出するだけで保険料を割引し、体格指数(BMI)18以上27以下、血圧が最低85mmHg未満かつ最高130mmHg未満、40歳以上ではHbA1c5・5%以下といった良好な健康状態の人はさらに割引になる商品を開始した。民間保険は加入が任意なので、このような方法でなんら問題はないが、公的保険に関してはかつて議論が巻き起こった。 小泉進次郎衆議院議員らが2016年10月に雇用や社会保障に関する政策提言の中に取り入れた「健康ゴールド免許」制度である。この制度はIT技術を活用することで、個人ごとに健(検)診履歴などを把握し、健康管理に取り組んできた人へ「健康ゴールド免許」を付与し、病気になったときの自己負担割合を3割から2割に減免するというもの。しかし、発表直後から賛否が巻き起こり、否定派からは「きれいな長谷川豊」と言われ、その後すっかり話題に上らなくなってしまった。進次郎が失敗したワケ 自助を促す趣旨には賛同できるが、努力だけではどうしようもない部分まで含むスキームが悪かったのだろう。このような健(検)診や健康管理に一生懸命取り組んでいる人への優遇は一見有効に見えるが、実際は限界がある。事実、特定健診を受けない人は、高年齢、低学歴、低所得の人が多く、病気になったときのことまで考える余裕がない。自己負担の減免の恩恵を受けられるのは結局のところ、普段からスポーツジムで汗を流して健康管理ができる富裕層ということになる。 それでは、健(検)診を受けない健康意識の低い人たちを振り向かせるにはどうしたらよいのであろうか。まずは、マイナンバーを活用し、健(検)診受診と判定結果による治療介入の有無をしっかり把握することである。未受診者や要治療者にははがきによる個別勧奨を積極的に行う。インセンティブには健康マイレージが良いだろう。 NTTドコモでは自治体向けにスマホと歩数計、リストデバイスを用いてウオーキングや特定健診の受診、自らの健康管理の程度に応じてポイントがたまる健康マイレージサービスを行っている。ポイントに応じて景品と交換できる仕組みである。 宮崎県木城町は、国民健康保険と後期高齢者医療の被保険者を対象にした健康マイレージを行っている。特定健診や各種がん検診などの受診でポイントがたまり、町内の登録店舗で利用できる商品券と交換できる。町内経済の活性化も狙えて一石二鳥だ。 貧富や教育などの社会的要因に対するアプローチも重要である。例えば、タバコ代を上げると低所得者層ほど禁煙するというデータがある。小中学生に対する予防医療教育も将来的な健康格差の縮小につながるだろう。健(検)診を受診できる日を選択する機会を増やすことも有効だ。福岡市健康づくりサポートセンターの健(検)診は、土曜、日曜、祝日にも実施している。さらに、月に1度は平日の夜間にも実施しており、仕事帰りの利用にも対応している。 がん検診の受診率上昇には韓国の政策が参考になる。胃がんを例にとると、韓国の胃がんの検診受診率はなんと70%を超えているそうだ。その要因は、住民登録番号を利用したデータ管理、保健所による個別受診勧奨、検診料は健康保険でカバーされ健康保険料下位50%は本人負担ゼロ、指定を受けた医療機関であれば全国どこでも受診可能、という徹底したものだ。「県コバトン健康マイレージ」事業で使用する歩数計と読み取り機器=2017年4月4日、埼玉県(菅野真沙美撮影) さらに公的がん検診で発見されたがんには治療費の補助も行われる。ここまでやるには予算もそれなりに必要だが、本気で受診率の上昇を目指すのであればこれくらいの対策が必要ということだ。 麻生氏は冒頭の発言の際、予防医療の必要性についての理解も示したが、予防医療の推進は医療費削減どころか、さらにお金がかかることもある。医療費の議論は別にして、健康長寿のための予防医療を効率的に推進する政策を期待したい。

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    風邪らしい患者なら、受診料は安く、薬代は高くすべし

    塚崎公義(久留米大学商学部教授) 財務省は、軽い風邪などで診察を受ける場合には、患者の自己負担を上乗せするという見直し案をまとめたようです 。軽い病気でも気楽に診察を受ける患者が多いので、医療費が嵩んでいる、というのが理由のようです。財務省が財政再建に熱心なのはわかりますが、一工夫必要でしょう。 風邪だとわかっていれば、受診の必要はありませんが、怖いのは「風邪のような症状の悪質な感染症」である可能性です。「風邪だと自己負担が高いから、受診しない」という患者が悪質な感染症であった場合、症状が悪化して周囲に感染させてしまう可能性があります。従って、そうした可能性のある患者は気楽に受診してもらい、風邪だとわかればそれで良いでしょう。 風邪だとわかるまでの診察料は、自己負担を少なくして積極的に受診してもらう一方で、風邪だとわかった後の風邪薬は、自己負担率を100%にすれば良いと思います。単なる風邪なのに、市販薬より安く処方薬が手にはいる必要性はありませんから。 問題は、風邪だとわかっている患者が受診している例も多そうだ、ということです。時間が十分にある高齢者が風邪に罹患した時、「薬局へ行って市販薬を買うよりも、国民健康保険を利用して診察を受けて処方薬を買った方が安い」と考えて受診する可能性があるからです。 これは、ぜひともやめて欲しいです。金銭面で国民健康保険の負担が大きいですし、診療所の混雑によって多忙な現役世代の患者が「待ち時間が長いので、諦めた」ということにもなりかねないからです。 そのためには、風邪薬の自己負担率を100%にすることが有効だと思われます。「風邪薬は自己負担率100%」という制度ができれば、風邪だとわかっている高齢者は診療所へ行かずに薬局へ直行するでしょう。診療を受けると、時間も金(自己負担分)もかかる上に、隣の患者のインフルエンザに感染してしまうリスクもありますから。そうなれば、国民健康保険は大助かりです。 話し相手がいない孤独老人が診療所の待合室をサロンとして使っているという笑い話もありますが、もし本当にそれが心配ならば、「診療所の開設を認可する条件として、待合室のほかに談話室を設けること」と定めればよいのです(笑)。 風邪かもしれない、という場合には、診察を受けないと風邪だとわかりませんから、診察は必要でしょう。しかし、慢性疾患の場合には、診察を受けなくても自分の問題点が分かっているわけですから、頻繁に受診する必要はないでしょう。※画像はイメージです(ゲッティイメージズ) たとえば軽度の高血圧の場合、降圧剤を処方されて飲んでいる患者の血圧は正常でしょう。そうだとすると、患者が自分で血圧を測定し、正常であることを確認すれば、診察を受ける必要は無ないはずです。つまり、降圧剤の処方箋の有効期限を「患者が異変を申し出るまで」としておけば良いのです。現実的には「1年あるいは2年に1度は受診するように」、ということで良いと思います。 そうなれば、受診の回数が減り、本人も健康保険組合も助かるでしょう。本人が血圧を自宅で測定するのを怠って異変に気付くことができなくても、それは自業自得ということで良いでしょう。感染症と異なり、他人に迷惑をかける話ではありませんから。医薬品はジェネリックをデフォルトに 高血圧以外の慢性疾患についても、基本は同じで良いと思います。感染症の場合を除き、基本は「自己責任で異変を感じた時に受診する。異変を感じなければ、1年か2年に1度受診する」で良いと思いますが、いかがでしょうか。 受診回数を減らすほかにも、患者に安い薬を使ってもらえる工夫が必要でしょう。 昨年のノーベル経済学賞を受賞したのは行動経済学分野でした。その研究成果の一つとして、「人間は面倒なことを嫌う」というものがあります。そんなことはノーベル賞学者に教えていただかなくても、誰でも知っていることでしょうが(笑)。 現行の制度でも、これが利用されています。医師が処方した薬に、効き目が同じで値段が安い別の薬としてジェネリック医薬品が発売されていて、医師が「変更不可」と指示していない場合には、患者がジェネリックへの変更を薬剤師に願い出ることができるという制度になっているのです。 「医師が変更可能と指示している場合には変更できる」という制度と比較した場合、ジェネリックの利用が増えることは明らかです。「医師が面倒だから何もしなかった」という場合には、ジェネリックを使い得るからです。これは、優れた制度です。 しかし、どうせなら、もう一段の改善をして欲しいものです。それは、医師から「変更不可」の指示がない場合には、「患者が拒まない限り、薬剤師はジェネリックを選択しなければならない」と定めればよいのです。 現在でも、患者が「ジェネリックを希望する」と薬剤師に伝えれば、ジェネリックを使える制度となっていて、その方が患者の自己負担も健康保険会計の負担も軽いのですが、患者がそのことを知らなかったりジェネリック薬品の存在を知らなかったり「申し出るのが面倒だ」と思ったりした場合には、ジェネリックではない高価な薬が使われるわけです。 そうした場合でも、上記のような定めがあれば、患者はわざわざ拒むのは面倒なので何もせず、結果として自動的にジェネリック薬品が使われることになりますから、患者本人にとっても健康保険組合にとってもよいことでしょう。 ちなみに、上記は財務省の観点から書いたものです。政治家の観点からは、医師や薬局の票が減りかねない危険な案に見えるでしょうから、採用されるか否かは何とも言えませんが(笑)。つかさき・きみよし 久留米大学商学部教授。1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

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    メールも使えない経営者は大喜び、消費増税「狂信者」が描く未来図

    ーガンを精神論的に掲げる中で自壊していった。その構造と竹下氏の発言は変わらないといえる。 ちなみに、財務省による税率の水準は、21世紀の初めあたりは15%だったが、今では18~20%の範囲に上昇しているというのが「通説」である。竹下氏の発言と同様にその上限の先は見えない。 また、竹下発言では、過去の消費増税がなければ日本はとうに破綻していたという認識を披露している。これも極めて疑わしい話だ。1989年の竹下登内閣による消費税導入以後、消費税収の動きだけ見れば「安定」した財源のように見える。だが、これはもちろん一部分だけ切り取っているだけの話である。2018年10月、北九州市で行われた会合で話す自民党竹下派の竹下亘会長 要するに、消費税収が「安定」的な財源になる一方で、他の税収が不安定化し、より重要なのは経済全体が不安定化していることだ。この理由は、消費増税のもたらす経済への悪影響がある。 確かに、89年の導入時点では、経済が過熱気味であったため、それを抑制する効果があったかもしれない。だが、消費増税は、経済が過熱していても停滞していても、持続的に税の重圧を掛けていく、恒久的な増税という特徴があることを忘れてはいけない。 日本の90年代初頭からの「失われた20年」は、金融政策の失敗が原因であった。さらに、これに財政政策との協調の失敗が重しとなっている。経済が停滞していても、消費税は恒久的にこの不調極まる経済の重しとなっていた。消費は「罪」か 日本人特有の気質なのかわからないが、いったんお上が決めた法律や増税は、変更できない「自然現象」のように扱われてしまいがちで、この停滞の時期にむしろ消費「減税」をすべきだと主張する人はごく少数だった。消費減税をすれば、恒久的な経済改善効果を発揮しただろう。 だが、実際には、1997年に橋本龍太郎内閣のときに5%へのさらなる引き上げが起きた。このときもアジア経済危機、金融危機などが生じている最中だったが、消費増税を撤回ないし引き下げるという議論もなかった。 結局、消費増税は家計や中小企業を直撃し、日本は完全にデフレ経済に落ち込んだ。このときも「財政再建」のための「安定」財源が増税勢力のお題目だった。一種の狂信であろう。 消費税率と消費税収の「安定」だけが成立し、経済は不安定化していく。要するに、日本国民が貧しかろうが苦境だろうが、そんなものは一切お構いなく、消費すること自体に「罪」を負わせているようなものである。 その負担の最大の犠牲者は、国民の中でも最も所得の低い層だった。日本経済が停滞し、非正規雇用など不安定な雇用状況の人たちが増加しても、この増税が持続的に負担になり、日本の窮乏は募っていった。 だが、それでも増税勢力は、長期停滞の極まった21世紀初めには消費増税15%を目標にしていたし、また、東日本大震災では復興増税を政治的に模索することで、それを与野党合意の消費税増税路線として結実していった。まさに「国滅びて、消費税ありき」である。 税構造全体にも無視できない問題がある。平成になってから消費税率は上がる一方で、法人税率は引き下げ傾向にあり、所得税の最高税率や相続税率もつい最近までこれも引き下げ傾向にあった。 消費増税導入とほぼ同じタイミングで、他の主要税の税率が引き下げトレンドに転じていく。法人税は1989年から91年にかけて段階的に大きく引き下げられ、そして今日も引き下げられている。 しかし、法人税の引き下げによって、企業投資が活発になったり、経済の浮揚に貢献した可能性はない。なぜなら、法人税引き下げは90年代初頭から今日まで行われたが、その間に日本経済は法人税率の変化と無関係に、長期停滞と最近の停滞から一応の脱出を果たしているからだ。 また、トランプ政権による法人税引き下げを、米国の経済好転の要因と考える人たちがいるが、筆者は極めて懐疑的な目でみている。むしろ、米経済の好調は、トランプ政権以前から続く米国の金融政策の成功の「遺産」でしかないだろう。日本も全く同じで、法人税引き下げには経済全体を好転させるかどうかは関係ない。むしろ、停滞するかそこから脱出するかは、金融政策が大きなキーを握っている。 所得税の最高税率は、1986年まで約70%だったのが、段階的に引き下げられ、1999年には37%まで引き下げられた。最近では多少引き上げられている。ただ、累進税率を引き下げることで、所得税のもたらす経済安定効果を損なってしまった。経団連が消費増税を優先するワケ 所得税は、経済が過熱すれば税収が伸びることで経済を沈静化させ、経済が停滞しているときは経済を回復させる効果を持つ。これは、所得税収が経済の順調な成長と一致していることを意味している。実際に、80年代終わりまでの所得税収はそのように進展していた。ところが、図表を見ても、所得税収は90年代に入ると、急転直下で減少トレンドを描き出す。消費税の「安定」とは真逆である。 経済全体の安定を犠牲にして、消費増税の「安定」だけを自己目的化にし、またそれが「安定」していれば、「財政再建」は成し遂げられるという妄信は、狂信でしかない。恐ろしいことだが、この支持者は非常に多い。 経団連の中西宏明会長もその一人だ。中西氏は最近、歴代の経団連会長がパソコンでメールを活用していなかった事実を公にするという「貢献」で話題になった。経団連はよく「生産性」と大声を上げるが、自分たちのビジネススキルがお粗末だったことが、明るみに出たわけである。それはそれとして、中西氏は次のような発言をしている。「まずは消費税率を10%へと引き上げることが最優先課題である。日本社会は5%から8%に引き上げたときの景気の落ち込みがトラウマ(心的外傷)となっている。同じような事態を招かないよう、経済対策を実施することに反対ではない。他方、消費増税は財政健全化に資するものでなければならない」 経営者が自分の会社の財政再建を優先するのは理解できるが、なぜ自分の顧客である消費者の懐具合を悪化させてまで、「消費増税が最優先」になるのだろうか。全く理解に苦しむが、この発言の答えは、実は先ほどの「パソコンでメールを出さなかった歴代経団連会長」のエピソードの中に表れている。 つまり、メールさえも活用できない旧態然とした経団連の体質にある。単なる大企業の既得権を死守するだけの、まさに存在すること自体が目的化している、官僚的な大組織だといっていいだろう。 そこには日本経済のイノベーション(技術革新)を牽引(けんいん)するよりも、むしろ大企業の既得権を死守しつつ、新しい芽には無理解で、むしろ抑圧する動きが顕在化していると考えていいだろう。なぜなら、消費増税によってデフレ経済に戻ったほうが、大企業は安泰だからだ。 大企業のライバルとなるような新興企業や意欲的な中小企業がいなくなれば、経団連的には大助かりだろう。それを「財政再建」という聞き心地のいいフレーズで、政府が責任をもって実行してくれるのだからたまらない。 アベノミクス以前は、20年にわたるデフレを伴った大停滞だった。このとき、企業の倒産件数の方が、新規企業の立ち上げ件数よりもはるかに多かった。2018年10月、記者会見する経団連の中西宏明会長 要するに、新しいイノベーションは生まれなかったのだ。このデフレ経済の持つ「イノベーション殺し」は、既得権を有する大企業に有利だった。今も経団連に所属する多くの大企業経営者たちは、このデフレ期をうまみがある期間として実感していることは疑いない。 そう感じていないのであれば、今、経営者たちがやるべきことは、消費者たちがお金を使いやすく、またそれによって経済を活性化させ、税収も安定化することを求めること以外にはない。だが、経団連からは増税の声しか聞こえない。まさにメールも使えない経営者だけが生き残り、国民が滅ぶのである。

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    ライオン航空機墜落「計器に問題あった」 BBCが記録入手

    時間以上の飛行経験があった。 乗務員のうち3人は訓練中の客室係員で、1人は技師だった。 インドネシア財務省から少なくとも職員20人が搭乗していたことが、BBCの取材で分かった。 財務省報道官によると、パンカルピナンの財務省事務所スタッフで、週末にかけてジャカルタにいたのを戻るところだった。 ボーイング737マックス8型 ボーイングの737マックス・シリーズは7から10まで4種類があり、マックス8型はボーイング史上最も売れている機種だ。 ボーイング737マックス8型は2016年に商用運用が始まったばかり。 今回事故を起こした機体は2018年製造で、短距離便向けのシングルアイル機(通路が1本の航空機)だった。 ボーイングは声明で被害者や遺族に追悼の意を示し、「事故捜査のため技術支援を提供する用意がある」と述べた。 一方でオーストラリアは政府職員などに対し、調査報告が発表されるまでライオン航空を使わないよう指示を出した。 ライオン航空の安全性は 多くの島から成り立つインドネシア列島の人たちにとって、飛行機は欠かせない移動手段だが、多くの航空会社は安全面の問題を指摘されている。 1999年創業のライオン航空は、国内だけでなく東南アジアやオーストラリア、中東などとの間を結ぶ国際線も運航しているが、過去に安全や運営で問題を指摘され、2016年まで欧州空域への飛行を禁止された。 2013年にはバリ島の国際空港に着陸する際、滑走路で停止できず海中に落下。乗っていた108人は全員無事だった。2004年にはジャカルタ発の便がソロシティ着陸の際に地面に激突し、25人が死亡した。 2011年と2012年には、操縦士が覚せい剤を所有しているのが相次ぎ見つかった (英語記事 Crashed jet 'had prior instrument error')

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    米高官、サウジ皇太子と会談 トルコ大統領は記者殺害の真相公表方針

    ン財務長官とムハンマド皇太子が「サウジアラビアと米国間の戦略的関係の重要性」を強調したと伝えた。 米財務省報道官は、ムニューシン長官と皇太子が、経済と対テロ問題、そしてカショジ記者の死亡について話し合ったと明らかにした。 会談は開かれたもののムニューシン長官は、リヤドで始まった大規模な投資会議への出席を取りやめた。西側諸国の他の政治家や実業家の多くも、会議欠席を表明している。 ドナルド・トランプ米大統領の最新発言からは、米国が対応を決めかねている様子が示唆される。 トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、サウジ政府のこれまでの説明には「満足していない」と話した。 ただし、サウジアラビアとの巨額武器取引に言及し、「この国に対する投資を全て失いたくはない」と付け加えた。 大統領は、「真相究明」を約束している。 <サウジアラビアと国際社会:解説記事> サウジアラビアはなぜ西側にとって大事なのか 5つの理由 【解説】サウジ皇太子と米国の蜜月はこれで終わるのか トランプ氏はまた、サウジアラビアで最も大きな権力を握る人物とみなされているムハンマド皇太子と、記者殺害について話し合ったと明かした。 サウジ当局は、記者殺害をめぐり同国は18人を逮捕し、ムハンマド皇太子の側近2人を解任したほか、情報機関再編のため、ムハンマド皇太子を委員長とする委員会を設立すると発表している。 サウジ政府見解の変化 サウジアラビアのアデル・アル・ジュベイル外相は21日、記者殺害が「勝手な計画」だったと、米フォックス・ニュースに対して発言した。 アル・ジュベイル外相は、「我々は必ず、すべての事実を明らかする。この殺人の責任を負う者を罰するつもりだ」と述べた。 「実行者たちは、自分の権限の範囲を超えてこれを行った」とアル・ジュベイル外相は付け加えた。「ひどいミスがあったのは明らかだが、隠蔽しようとしたせいでさらにひどいことになってしまった」。 外相によると、遺体がどこにあるかサウジ政府は把握していないという。 政府高官による筋書きなのか ムハンマド皇太子が殺害を指示したわけではないと、外相は強調した。 しかし、トルコ政府に近い同国メディアのイェニ・サファクは、記者殺害の後に皇太子の事務所が総領事館から4度の電話を受けたとの情報をつかんだと伝えている。 ロイター通信は21日、カショジ記者は首を絞められて死亡したとするサウジ当局者の証言を得たと報じた。この当局者によると、カショジ記者は自分をサウジアラビアに戻そうとする企てに抵抗し、殺された。カショジ氏の遺体はその後、じゅうたんで巻かれ、処分のため現地の「共同実行者」に引き渡されたという。 その後、サウジ工作員はカショジ記者の衣服を身に着け、総領事館を離れたという。 米CNNは、カショジ記者の服を着たサウジ工作員が、監視カメラ映像に捉えられていたとするトルコ高官の話を報じた。 CNNが入手した防犯カメラ映像では、カショジ記者が殺された当日、同記者の服を着て、偽ひげをつけ眼鏡をかけて、総領事館の裏口から出る男の姿が見える。 防犯映像の男は別の人物と共に、イスタンブールの繁華街を歩いた後、カショジ記者の服を遺棄している。 これとは別にトルコ警察は、サウジ総領事館が所有する自動車をイスタンブールの駐車場で発見した。 トルコメディアはさらに、イスタンブールのサウジ総領事館職員がカショジ氏が行方不明になった翌日に書類を焼く様子だという動画を公開した。 世界の指導者の反応は 世界中の多くの指導者が殺人を非難し、詳細な調査を求めている――。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「事件は解明されなければならない」と述べ、そうでなければサウジアラビアに武器は輸出しないと表明した ジェレミー・ハント英外相は記者殺害を「最も強い言葉で」非難すると述べた ジャン=イブ・ル・ドリアン仏外相は、この殺人は深刻な犯罪だと述べた カナダのジャスティン・トルドー首相は、数十億ドル規模の防衛関係取引を中止すると警告した トルコのエルドアン大統領は、サウジアラビアの説明をごまかしだと非難した しかし、クウェートやエジプトなど中東地域のサウジアラビアとの同盟国は、サウジ政府を支持している。 一方、リヤドで23日から開かれる予定の未来投資会議、通称「砂漠のダボス」会議には、少なくとも40人以上が出席を取りやめた。 ただ会議には依然として数百人が出席し、実務的な問題について代表者が話し合う予定だと、リヤドで取材するセバスチャン・アッシャーBBCアラブ問題編集長は報告する。アッシャー編集長は、サウジアラビアの大きな未来がこの会議にかかっているとした。 <解説>トルコ、「詳細な説明」を約束――フランク・ガードナーBBC安全保障担当編集委員 トルコメディアに対する、計算された、生々しい情報流出は数週間に及んだ。そしてついに、トルコのエルドアン大統領は、強く待望されていた声明を23日朝に発表する。 カショジ氏に何が起きたのかについて、トルコは何も隠さない「詳細な説明」を約束している。 では、エルドアン氏の発表には、広く報道されているサウジ総領事館で録音されたという音声テープは含まれるのだろうか? カショジ氏殺害の実行部隊が持っていたとの疑いがかかる「骨用のこぎり」の証拠は? これら2つの要素が重要なのは、何が起きたのか、そしてカショジ氏殺害派犯の動機が何なのかについて事実を検討するのに不可欠だからだ。もし骨用のこぎりの証拠が導かれれば、リヤドから到着した実行部隊が確かに殺人の意図を持っていたことになる。 カショジ氏殺害の音声テープは、もし存在するのであれば、聞くのは非常に苦痛かもしれないが、カショジ氏がどのように死んだのかの謎を解く決定的な要素になる。だが、トルコ自身が、地球上のどんな国よりも大勢のジャーナリストを投獄してきた国だ。自分たちがどんな証拠を持っているか隠す理由が、トルコ政府にある可能性もある。 全ての事情が明らかになるには、もう少し待たなければいけないかもしれない。 (英語記事 Khashoggi death: US meets Saudi crown prince despite criticism)

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    IMF、米中貿易戦争は世界を「より貧しく、より危険に」

    は、向こう数年は減り続けるだろうとIMFは予測している。 しかし、税収と公的支出の差分を埋めるため、財務省は2023年に約160億ポンド(約2兆3820億円)を借り入れる見通しだ。 (英語記事 US trade war would make world 'poorer and more dangerous')

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    憲法改正はタブー、反安倍カルトよりヤバい「増税ハルマゲドン」

    規律の明示化など、筆者のような経済学者からしても無視することが到底できない条項が入っている。 これは財務省的な緊縮政策を志向する条項であり、防衛費も十分なインフラ整備や防災、教育支出さえも、この条項が入ることで大きな制約に直面するだろう。いわば「日本弱体化条項」である。このような経済関係でもトンデモ条項が入っているのだが、この草案をそのまま出すのか、それとも首相が総裁選で言及した項目だけなのか、それもまだ不透明だ。 さらに憲法改正には、憲法審査会による議決、国会での発議、そして国民投票が必要であり、これら一連の流れを考えても、やはり政治的ハードルが高い。具体的な動きも、早くて来年になる可能性が高い。 今までの反安倍マスコミのやり口では、憲法改正の議論を広く国民に訴えるよりも、何がなんでも言論封殺的な動きに出てもおかしくはない。その一端が、実はモリカケ問題であったはずだ。2018年9月、安倍首相が意欲を示す憲法改正を巡り、批判する立憲民主党の枝野代表 筆者は、憲法改正を政治の最優先課題にするには反対の立場である。だが他方で、国民が広く憲法改正を議論する意義はあると思ってもいる。当たり前だが、憲法改正が言論のタブーであっていいわけはない。しかし、それが長い間認められなかったのが日本のマスメディアの空間だった。 筆者は上記の通り、憲法改正を最優先する安倍政権の戦略は正しいものとは思えない。最優先すべきは、経済の安定と進歩である。これがなければ、どんなに憲法を変えてもわれわれの生活は貧しくなるだけである。 現状の日本経済を見れば、ようやくデフレ停滞の影響からほぼ脱した段階にある。これからが本当のリフレ過程になるのである。消費増税ハルマゲドン リフレ過程とは、バブル経済崩壊後の日本経済が失ってきた名目経済価値(代表的には名目国内総生産(GDP)の損失分)を回復するための動きを指す。具体的には、国民の一人ひとりの名目所得が、前年比4%以上拡大しなければならない。しかも、その期間は何十年にも及ぶものにしなくてはいけないのだ。 現状では、そのリフレ過程にまだいたっていない。金融緩和政策を主軸にし、積極財政政策でアシストすることで、このリフレ過程に乗せる必要がある。安定的にリフレ過程に乗せれば、マクロ経済政策の優先度は自然と後退していくだろう。だが、今の日本で政策優先度は第1位である。 そのためには、来年の消費増税について、事実上の凍結を狙うことが最優先であろう。だが、今のところ消費税凍結などの動きは、安倍政権には見られない。デフレ脱却完遂を目前にしながらの増税などという、緊縮政策への転換はどんな事態を引き起こすか、言うまでもないだろう。 ところで、最近「消費増税したら日本経済終焉=ハルマゲドン」という極端に悲観的なトンデモ論をよく目にする。この説がもし正しければ、税率を8%に引き上げた2014年4月で終焉していただろう。 もちろん、消費の大幅な落ち込みとその後の経済成長率の鈍化、インフレ目標達成の後退(金融政策の効果減退)が消費増税でもたらされたことは確かだ。しかし、この「消費増税したら日本経済終焉」論者たちは、その後も雇用改善が持続していることを無視しているか、「雇用改善は人口減少のおかげ」といったよくある別なトンデモ論を信奉しているだけである。 では、なぜ消費増税の悪影響が出ても、日本経済は「終焉」せずに、歩みが後退しながらも持続的に改善していったのか。その「謎」は、そもそも日本の長期停滞が日本銀行の金融政策の失敗によって引き起こされたことを踏まえていないからだ。 現状では、改善の余地は多分にありながらも、日銀の金融緩和は継続している。つまり、問題があるとはいえ、長期停滞脱出の必要条件を満たしている状況を、このハルマゲドン論者たちは見ていないのだろう。もちろん消費増税に筆者も全力で反対である。だが、それは消費増税を日本破滅のように信じている極端論者(それは事実上、金融政策を無視し財政政策中心主義に堕しているに等しい)とは一線を画すということもこの際、マイナーな論点だが注記したい。買い物客でにぎわう心斎橋筋商店街。2019年10月に予定される消費税率引き上げで、個人消費への影響が懸念される=2017年11月(門井聡撮影) では、消費増税をわれわれでは阻止することができないのか。そんなことはない。今の政治家やマスコミ、官庁もみなインターネット上の世論の動きを見ている。 例えば、官僚組織の一部では、識者のネット上の発言でリツイートの多いものを幹部で回覧しているという。彼らはネット世論を無視できないのだ。識者の発言へのリツイートや「いいね」をするコストなどないに等しいだろう。つまり、誰でも簡単に行うことができるレベルでも、国民が消費増税に抗する手段になるのである。

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    「アベ栄えて国滅ぶ」面従腹背の自民党議員よ、今こそ声を上げよ

    あらずなのである。そのような視点で今回の総裁選を眺めるとき、私は大きな失望を禁じ得ない。 私は長年、財務省(旧大蔵省)で働いていたが、そもそもアベノミクスの核とも言えるリフレ政策に反対である。そしてまた、森友・加計疑惑に関する安倍晋三首相や政府の弁明に全く納得しておらず、その意味でも安倍首相が総裁選に出馬していること自体、反対である。 その一方で、安倍首相の下で自民党が国政選挙で勝利し続けているのは事実だ。政権奪回を実現した総裁でもある。だから、自民党の議員の多くが安倍首相を支持するのも分からなくはない。 しかし、本当にアベノミクスは成功しているのか、あるいは外交面での成果はどうなのか。そしてまた、森友・加計疑惑で特に露呈したとも言える安倍首相の人間性はどうなのか。そのような問題を考えるとき、安倍首相を心底支持する自民党議員がどれほどいるのかと思ってしまう。 現在、安倍首相に票を投じるとされている議員のうち、その大半は信念というより打算に基づいて行動しているだけなのではないだろうか。確かに今、安倍首相に反旗を振りかざせばつぶされてしまうリスクが大きい。心底支持するわけではないが、安倍首相に楯突(たてつ)いている風には見られたくないと思っているだけだろう。 だが、もし安倍首相が党のリーダーとして必要とされる素養や資格がないと思っているにもかかわらず、そうした打算で首相を支持するというのであれば、自民党にとっても日本にとっても不幸なことになるのではないのか。演説会に臨む安倍晋三首相=2018年9月10日、東京都千代田区・自民党本部(納冨康撮影) とはいえ、今のところ、安倍政権の支持率には底堅いものがある。しかし、読者諸氏もお気づきの通り、国民の安倍首相に対する支持率がそれほど高いものでないことは「首相の人柄が信じられない」との回答が世論調査などで多いことからも察せられる。 言い換えれば、現政権や自民党の支持率の高さは、単に野党支持率の低さの裏返しでしかない。であるとすれば、「人柄が信じられる」と国民が思うような議員が総裁の座に就くことが望ましい。政策論争を避ける安倍首相 また、ゼロ金利やマイナス金利政策をいつまでも続けるのではなく、真っ当な金融政策に戻ることを主張するリーダーの方が望ましいのではないのか。財政政策に関しても、財政再建という言葉を口にはするものの、実際には将来の世代にツケ回しする放漫財政を続けるのがどれほど危険なことか分かっているのか、と不安になる。 一方、地球温暖化対策についても、トランプ米大統領ほど支離滅裂ではないとはいえ、首相にもそれほど関心があるとは思えない。9月4日に台風21号が日本に上陸し、特に近畿地方には甚大な被害をもたらしたが、あのとき首相は何を考えただろう。 風速50メートルもの強風がどれほど恐ろしいか。それを被災地の人々は身をもって体験したが、そうした自然災害の多発化と地球温暖化の関係を首相はどのように考えているのだろうか。地球温暖化の影響の深刻さを身に染みて感じているのであれば、もっと対策に熱心にならなければおかしい。 もう一度言うが、自民党議員の多くが、本当に安倍首相を支持しているか疑問である。もし、自民党議員の多くが首相の政策を支持し、リーダーとしてふさわしいと考えた結果、石破茂元幹事長以外に対抗馬が出てこないというのであれば理解できる。 しかし、本音はそうではないだろう。自分が総裁候補として出馬したり、あるいは安倍首相以外の候補者を支持したりすると自分に不利益が及ぶと考えた結果、現在のような「安倍一強」になっているだけではないのか。 国民のために尽くすことが政治家としての最大の任務だと考えるのであれば、そして自民党がその名が示すように自由と民主主義を尊重する政党であるというのであれば、総裁選に打って出る候補者がもっと出現し、かつ活発な政策論議が行われなければおかしい。 少なくとも、一人でも多くの総裁候補が現れ、政策論争が展開されるのであれば、自民党員だけではなく、一般国民の中にも自民党の政策に関心を示す人が増えるはずだ。 だが、現状は首相自身がそのような政策論争を極力避けているようにしか見えない。それどころか、政策論争には関係なく、総裁選で圧勝すべく議員に「誓約書」を書かせることばかりに専念しているようだ。 安倍首相は、総裁選での勝利は間違いないと言われているにもかかわらず、なぜそこまで圧勝することにこだわるのか。その理由はひとえに森友・加計疑惑を過去のものとして葬り去りたいからだろう。自民党総裁選の立候補者討論会に臨む安倍晋三首相(左)と石破茂元幹事長=2018年9月14日、東京都千代田区・日本記者クラブ(納冨康撮影) しかし、政策論争抜きで単に圧勝を目指す首相の姿勢は、国民をしらけさせるだけである。だとしたら、総裁選によって政治家としての命は長らえるであろうが、自民党という政党は国民からますます遠ざかってしまうに違いない。 そして、そんな首相をリーダーの座に据えるわが国の国力は低下の一途をたどるだけではないだろうか。要するに、「アベ・シンゾウ」を守るために自民党、あるいは日本全体が犠牲になっているとしか思えないのである。

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    「支持率ゼロ」国民民主党がそっぽを向かれる理由はこれだった

    フレ脱却国民会議」に参加して陳情活動などを行ったが、その声はまったく届かなかった。財政政策は、いわば財務省の主導する「財政再建」という美名の増税政策だったし、金融政策も当時の日本銀行の何もしないデフレを受容した政策が続けられたのである。2018年9月、国民民主党代表選の街頭演説会を行った玉木雄一郎共同代表(左)と津村啓介元内閣府政務官(酒巻俊介撮影) そして民主党がリードし、自公も巻き込んだ消費増税法案は、今も日本経済の先行きに暗くのしかかっていて、「民主党的なるもの」の呪縛をわれわれは脱却しきれていない。 今回の代表選に候補した2人、玉木氏と津村氏はそれぞれ元財務省と元日銀の出身である。いわば民主党政権時代の経済停滞を生み出した「二大元凶」の出身者である。 帰属していた省庁や組織の考えがそのまま本人たちに表れるとは思わない。だが、日銀出身の津村氏は、アベノミクス以前の日銀の政策思想そのものに見える。2人とも逃れられない「あしき呪縛」 彼の政策提言では、「インフレ目標2%とマイナス金利の取り下げ」「民主党政権後期の『税と社会保障の一体化』のバージョンアップ」「消費税軽減税率の導入反対」がマクロ経済政策において強調されている。つまり、金融緩和政策には反対だというのがその趣旨であろう。そして消費増税については、民主党政権時代のバージョンアップとあり、具体的なことは書いていないが、さらなる消費増税の提言もありえるかもしれない。 財務省出身の玉木氏もやはり財務省的である。かつての小泉純一郎政権による構造改革と似ているが、構造問題を強調し、特に人口減少が問題だと指摘している。 ちなみに、人口減少であってもそれは長期間に生じる現象であり、いきなり社会の購買力が減少して不況に陥るわけではない。人口がゆるやかに減少しても、社会的な購買力が順調に伸びていけば不況は生じないからだ。 だが、玉木氏はそう考えないようだ。「コドモミクス」と称して、子育て支援政策を打ち出している。その趣旨はいい。しかし民主党政権と同じように、財政拡大ではなく、既存の財政規模の中から分配の仕方を変更しようという意図がみられる。 政府の海外援助や消費税の複数税率を取りやめて1兆円を捻出するという発想がそれである。ちなみに消費税の複数税率とは、10%引き上げ時点での軽減税率のことを指すのだろう。つまりは消費税10%引き上げを前提にしているのである。 この点は津村氏と大差ない。実際に、両者は消費税10%への引き上げを予定通り実施すべきだ、と記者会見で発言している。 また玉木氏は「こども国債」の発行での財源調達を主張している。もし、新規国債を発行する形で財政規模を拡大すれば、現状の日銀における金融政策のスタンスからいえば、それは金融緩和として自然に効果を現す。もしそのような形で「こども国債」を利用するならば筆者は賛成である。だが、玉木氏には現状の金融政策についての積極的な評価も、それに代わるような金融政策についての具体的な見通しもない。際立つのは、消費増税や財源調達でのゼロサム的発想である。 要するに、代表候補の彼らは現状の雇用改善などを実現した金融緩和政策に、消極的ないし否定的である。そして財政政策のスタンスも、増税志向で緊縮スタンスが鮮明だったのである。すなわち、津村氏が勝っても、経済政策の方針に変わりはなかっただろう。まさに「民主党政権なるもの」の正しい継承者である。 だが、国民民主党の経済政策を批判しても、問題が終わるわけではもちろんない。今回、支持率0%台の政党の代表選を取り上げたのは、この代表選を戦った2人の候補に、まさに日本を長期停滞に陥れてきた経済政策の見方が典型的に出ているからである。2018年7月、国民民主党本部が入るビルの屋上に新たに設置された党名看板(春名中撮影) 一つは、金融緩和政策への否定的態度、もう一つは構造問題などを理由にした財政再建的な発想(消費増税、ゼロサム的発想など)である。この二つの考え方は、与野党問わず広範囲に存在する「悪しき呪縛」だ。 国民民主党に意義があるとしたら、日本経済をダメにしてきた悪しき呪縛を最もよく体現する政党である、ということだろう。支持率0%台は、その意味で日本国民の良識の判断であるかもしれない。世論調査には懐疑的な筆者だが、この結果だけは納得してしまうのである。

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    首相3選は確実でも「アベノミクス殺し」日銀の刺客が黙ってない

    に耳を傾けながら、信用していいのか相手の人格まで評価に組み込みつつ、判断していった。その中で、日銀、財務省の二大権威が言うことを、そのまま鵜呑みにしてはいけないという強い認識を育てていったのでしょう。谷口智彦『安倍晋三の真実』(悟空出版) そして谷口氏は、安倍首相は、日銀がデフレ脱却の責任を取らない本性を見抜いていたと指摘している。もし、谷口氏の評価が正しければ、安倍首相は、黒田総裁の後ろで権威を高めつつある「雨宮的日銀」の無責任な官僚たちの姿を見抜くべきである。 しかも、雨宮的日銀は、増税志向の財務省や、「ポスト安倍」のさらに次を狙う若い政治家たちとも連携している可能性がある。消費増税を実行すれば、金融政策の効果は大きくそがれる。 その効果を、今の雨宮的日銀が「今の金融緩和政策が限界である」と都合よく解釈する可能性がある。それが今回の官僚文学的な政策決定の持つ方向性でもある。つまり、消費増税による財政面での「アベノミクス殺し」のついでに、金融政策も抹殺しようとしているのではないか。2018年7月、金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁(宮川浩和撮影) 安倍首相が3選しても、雨宮的日銀が刺客として、その政治的レームダック化を狙うかもしれない。首相はだまされてはいけない。 これは真剣な提言だが、安倍首相はぜひ日銀内のリフレ派を外野から後押ししてほしい。具体的な方策はお任せしたいが、首相の「応援」があるだけで、雨宮的日銀の官僚には大きな脅威になるはずだ。そして、安倍政権の基盤強化につながることは間違いないからである。

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    英政府、「合意なしブレグジット」対策発表 クレジットカード手数料値上げも

    失敗した」ことを意味するだろうと批判している。 対策発表の直後、フィリップ・ハモンド英財務相は下院の財務省特別委員会宛ての書簡で、合意なしでEUを離脱した場合、英国の国内総生産(GDP)は向こう15年で7.7%縮小するとする財務省の警告を改めて示した。 合意なしブレグジット対策とは 24の文書にまとめられた対策は、医薬品や金融、農業といった産業にまたがっている。主な対策は以下の通り。 英・EU加盟国間のクレジットカード決済費用は「おそらく上昇」する。この上昇分は追加手数料禁止の対象にならない EU加盟国と取引のある企業は新たな税関検査に向けた準備を始める必要がある。新しいソフトウエアや人員・機材などの導入に費用がかかる場合もある 在欧英国民は、EUが対応しなければ、英国の銀行や年金サービスへのアクセスを失う可能性がある 英国のオーガニック食品メーカーは、EUへの輸出が困難になる可能性がある 医薬品メーカーは、「円滑な」供給継続のために6週間分の在庫を確保しておくよう指導された 英国は、EUで検査済みの新薬を今後も認可していく方針 EU加盟国からの低価格の小包は今後、VAT(付加価値税)免除の対象にならない 現在たばこのパッケージに掲載されている警告画像は、EUが著作権を保有している。このため、英国では新しい画像が必要になる ラーブ・ブレグジット担当相は、EUとの合意形成は「最重要の優先事項」であり、「最もあり得る展開」だと述べた上で、「別の可能性を検討する準備も必要だ」と話した。 また、合意なしブレグジットになれば、英国で食糧が不足し、「サンドイッチ飢きん」に陥るなどとする懸念を「突拍子もない意見」だと退けた。 「これだけは保証するが、突拍子もない意見とは裏腹に、ブレグジット後もBLTサンドを楽しむことができるし、食品の供給を維持するために陸軍を派遣する計画はない」 <関連記事> ブレグジット合意なくても「EU市民追い返さない」=英担当相 メイ英首相、関税同盟めぐる親EU派攻勢かわす 下院で修正案否決 トランプ氏、英のEU離脱計画は「貿易協定締結をだめにする可能性高い」 英国は2019年3月29日にEUを離脱する予定。 EUとの交渉で懸案がいまだ残る中、離脱後の関係について合意に至らない場合に何が起こるか、議論されてきた。 たとえば警察・犯罪コミッショナー協会が、英国がEUの犯罪データベースにアクセスできなくなった場合のリスクについて警告したほか、マーク・カーニー・イングランド銀行(中銀)総裁も合意なしブレグジットは「非常に望ましくない」と述べた。 これに対してEU離脱派はこうした警告について、「恐怖を煽る作戦」と反発。EUと通商協定がないまま離脱しても、世界貿易機関(WTO)ルールを適用すれば済むことだと主張している。 保守党のジェイコブ・リース=モグ下院議員はBBCラジオ4の番組「トゥデイ」で、WTOのルールは「十分」で、合意なしの離脱のリスクは「馬鹿らしいほど誇張されている」と語った。 同じく離脱派のジョン・レッドウッド下院議員も、6週間分の医薬品を確保しろという要求は「少しやりすぎ」だが、政府は「極端に慎重」になっていると批判した。 対策への反応は? EUの欧州委員会は、ブレグジットは「合意があってもなくても」混乱を引き起こすとしている。 「だからこそ全員が、特に経済の担い手が、準備する必要がある」 欧州委員会はすでに、合意に至らなかった場合についてのアセスメントを公表しており、在英EU市民にも在EU英国民にも「特別な措置がない」ままの状態になり、国境で「深刻な遅れ」が発生すると警告した。 英労働党の影のEU離脱担当相、キア・スタ-マー氏は、ラーブ氏の演説は「詳細に欠け、内容に欠け、合意なし離脱による深刻な影響を、政府がどのように抑えるつもりか、なんの答えも出していない」と指摘した。 ウェールズ自治政府のカーウィン・ジョーンズ首相は、合意なしブレグジットは「大きな混乱と、深刻で長期にわたる経済的・社会的ダメージ」の原因となると述べた。 業界団体からも批判の声が上がっている。全国農業労働組合は、この対策は英国の食品サプライチェーンにとって「壊滅的な」崖っぷちシナリオだと警鐘を鳴らした。 英産業連盟(CBI)は声明で、「WTOのルールをよりどころにEUと決裂しても大丈夫だと主張する人たちが、いかに幻想の世界に生きているか、客観的事実をもってしてもイデオロギーは変えられない世界に生きているか、あらわになった」と、政府の対策発表を批判した。 (英語記事 Credit card warning in UK's 'no-deal' plans)

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    「55年体制の劣化コピー」安倍政権が倒れない七つの理由

    相は麻生、二階の両氏に媚びへつらうのか、他の派閥ではダメなのかである。理由は、麻生、二階の両氏には、財務省と創価学会がもれなくついてくるからである。 麻生氏は言わずと知れた財務省、特に主計局の走狗(そうく)である。自身の総理大臣時代から消費増税への道筋をつけ、常に増税を迫り、金融緩和への懸念を示す。アベノミクスがどうなろうが知ったことではないのだろう。それが財務省の総意ならば。 麻生氏が罪深いのは、財務省増税原理主義派の走狗として消費増税8%を押し付けてきたことだ。あの時は、霞が関官僚機構の頂点に位置する時の財務事務次官、木下康司氏の号令により、自民党の9割、公明党の全部、民主党幹部、財界と労働界の主流派、6大新聞と地上波キー局のすべてが、消費増税8%を迫り、安倍首相は無残にも屈した。 結果、「2年で景気回復」の約束はどこへやら、いまだにデフレから脱却していない。安倍首相も学習したのか10%への増税は延期したが、来年の10月には予定通り増税すると公言している。何が怖いのか知らないが、安倍首相も財務省を敵に回したくないらしい。 二階氏の権力の源泉は創価学会と公明党との人脈である。先の新潟県知事選挙でも、二階氏が頭を下げたので、投票日直前に創価学会に動いたと報じられる。これまで安倍首相は、あらゆる国政選挙で勝利してきた。ゆえに、安倍首相は「一強」と呼ばれる。しかし、すべては創価学会のおかげである。 今や昔となったが、昨年の秋までは小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストが日の出の勢いだった。たった1年前の都議会議員選挙で自民党は大敗した。特に無残だったのが1人区である。自民党は1勝6敗だった。都議選で当選を決めた都民ファーストの会の候補者名に花を付ける小池百合子都知事=2017年7月、東京都新宿区(大西正純撮影) 唯一の勝利は、島嶼(とうしょ)部。新党が絶対に勝ちようがない地区だけである。なぜ、ここまでの大敗を喫したか。創価学会の支援が得られなかったからである。東京も西部は電車も走っていないような超田舎だが、そのような地域ででも創価学会の支援を得られないと勝てない。自民党の組織力とはその程度のものであり、「一強」とは砂上の楼閣なのだ。 自民党が過半数を得る組み合わせなど、いくらでもある。その中で麻生派と二階派を主流派としたい理由は、財務省と創価学会・公明党との協調を維持できるからなのだ。 第三の理由は、政策で無理をしていないことだ。自ら各界からブレーンを集めて「日本のグランドデザイン」を描いた池田勇人内閣まではともかく、佐藤栄作内閣以降の自民党は、官僚機構をシンクタンクとして活用してきた。愚行である。 一般に、近代政党は独自のシンクタンクを有する。行政権力を握る官僚機構に対抗する知見を身につけ、立法府としての役割を果たすためだ。要するに、官僚に騙されないようにするためだ。また、官僚は生態的にポジショントークから絶対に離れられないから、官僚と話す前に勉強しておく。ところが、自民党のように官僚機構をシンクタンクとした場合、官僚が間違えたらどうするのか。政治そのものが間違う。 安倍首相もご多分にもれず、官僚機構に依存しきっている。それでも財務省に対しては、それなりにモノ申す姿勢はある。消費増税10%とて、二度の国政選挙での信任を得て延期するという大仰かつ意味不明なやり方であったが、延期した。 ところが、法律を握る内閣法制局に対しては、最初からお手上げである。嘘だと思うなら、安倍自民党がまとめた「憲法改正案」を一読してみるといい。内閣法制局の解釈を条文化しただけである。内閣法制局とは、日本国憲法の解釈を一手に握ってきた、戦後レジームの総本山である。その法制局の解釈を条文化する案を提示するなど、何の冗談だろうか。「三木武夫の劣化コピー」 だが、見方を変えれば、自分が決して危険な人物ではないと必死かつ巧妙にアピールしているとも評せる。過去の支持者の一部保守層に対し「戦後レジームからの脱却を決して忘れていない」と旗を立てつつ、本気で戦う気はない。タカ派を気取り「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘が5年の長期政権を築いた手法の焼き直しだ。「保守など時々ガス抜きしておけばよい」とするリアリズムである。 もう一つ政策を挙げれば、防衛費増額がある。マスコミは右も左も「戦後最高の防衛費増額」と書き立てる。右は称揚し、左は懸念を示す。しかし、安倍政権は毎年0・8%ずつ上げているにすぎない。 そして見事にGDP0・92~0・95%枠を守っている。言うなれば、「三木武夫の劣化コピー」である。当時は自民党史上最大のリベラル政治家と言われる三木内閣ほどの防衛努力もしていないのに自らをタカ派と演出しているのも、政権維持の知恵であろうか。 選挙は創価学会、予算は財務省主計局、法律は内閣法制局。この三つに依存している限り、「一強」なのである。「戦後レジームからの脱却」など捨ててしまえば、安泰である。 第四に、国際環境が幸運に左右していることである。日本の歴代内閣は、アメリカ大統領に左右されてきた。アメリカの民主党政権は、反日の傾向が強い。逆に共和党政権は、「番犬」としての役割を求め、種々の圧力を加えてくる傾向がある。 だが、前任のバラク・オバマは反日の姿勢が極めて弱かった。ウッドロー・ウィルソン以来、最も反日的ではないアメリカ民主党政権だった。代わったドナルド・トランプは、戦後初めて日本に対等の同盟国になる道を差し伸べてきた。極めて幸運である。 トランプは第二次大戦後の秩序を本気でひっくり返そうとしている。中国が台頭する世界の中で、アメリカの国益を追求する。その同盟国として日本を選んだ。そして、大統領選挙の最中から、東アジア情勢の緊張を鑑みて日本に防衛努力を求めてきた。共同記者会見で、手を差し出す安倍首相(左)とトランプ米大統領=2018年6月 では、この状況に安倍首相はどうしたか。ここでも政策で無理をしない、である。「間違ってもトランプの口車に乗って自主防衛や核武装だの、するものか」と決意しているかのようである。世界中のエスタブリッシュメントとけんかしているトランプに本気で付き合う気はない。 また、核武装や自主防衛など、法制局・主計局・創価学会を敵に回す。考えたくもない。それならば、世界中で嫌われているトランプを各国の首脳と取り持てば、面倒な努力をしなくても恩が売れる。「トランプ内閣の外務大臣」である。 世の中には安倍首相を「トランプの参謀総長」と誇張する御仁もいるようだが、わが国がいつ軍事努力をしたのか。語るに値しない野党 第五は、敵がいないことである。これまで述べてきたように、内閣法制局や財務省主計局、創価学会を怒らせなければ、麻生派や二階派、公明党が応援してくれる。自民党内反主流派がこれを崩すのは容易ではないだろう。 野党に至っては、語るに値しない。海江田万里、岡田克也、蓮舫、枝野幸男…。安倍内閣を「支える」人材が豊富である。彼らが野党第一党の党首を続けてくれる限り、安倍自民党内閣は安泰であろう。 たとえ中途半端でも、景気は回復している。何かの一つ覚えのように「モリカケ」を繰り返すだけの野党に、国民は政権を渡す気はないだろう。安倍自民党に不満が充満しても渡す気にはなれないだろう。「いくらモリカケを騒いでも、野党がザルだから大丈夫」…くらいのことは誰でも言えるが、ではなぜ安倍自民党に対抗できる野党が存在しないのか。 仮に去年の衆院選の際、人気絶頂だった小池百合子氏が「首相を3日やれば死んでもよい」と決心して、後先考えずに全野党を結集していたら安倍内閣は即死だっただろう。だが、できなかった。それを小池氏個人の力量に帰すのは簡単だが、組織の裏付けがないと野党結集など不可能だ。 では、創価学会に対抗できる組織とは何か。労働組合の連合である。現在の連合の首脳は、神津里季生会長と逢見直人会長代行(前事務局長)は、旧民社系で保守色が強い。この2人が「別に安倍内閣が続いてもらってよい」と考えているのではないか。そう考えないと説明がつかないことが多いのだ。 枝野幸男立憲民主党代表にしろ、玉木雄一郎国民民主党代表にしろ、安倍内閣以上の政権運営ができるのか。小池氏にしても然り。すなわち、彼らが政権を獲るよりも、安倍政権に存続してもらった方がアベノミクスで労働者の賃金は上がり、雇用は改善されるのである。立憲民主党の枝野幸男代表(酒巻俊介撮影) もちろん、金融緩和を中核とするアベノミクスとて、消費増税の影響で中途半端だ。しかし、安倍首相以上に景気を回復できそうな総理大臣候補はいない。ならば、何が何でも安倍政権を倒すなどという野党結集など、邪魔した方が合理的だ。 ついでに言うと、連合は組織内に自治労と日教組を抱えている。彼らは景気回復には反対だ。デフレを脱却しなければ民間の賃金は上がらず、公務員の給料は相対的に上がる。神津、逢見の両氏も自治労や日教組を敵に回す度胸はあるまい。安倍首相が、法制局や主計局、創価学会を敵に回す度胸がないように。 ここに、安倍首相と連合首脳の思惑が一致する。口では保守を唱えながら労働者に優しい総理大臣を引きずり下ろす必要など、どこにあるのか。 しばしば「マトモな野党が存在しない」との慨嘆が聞かれるが、組織論からの考察がほとんどなされないのは、どういうことか。しょせん議員の数合わせなど、組織の意向で決まるというのに。復活した「55年体制」 第六が、55年体制が復活していることである。この場合の55年体制とは、「常に衆議院の過半数を自民党が占め、野党第一党が“やられ役”を演じる政治運営」のことである。自民党は与党でいることが唯一の存在意義である。 対して、戦後政治において野党第一党の座を占めてきた、社会党~民進党~立憲民主党の系譜には共通点がある。政権を獲って国政を担う責任感は皆無だが、野党第一党の座は死守したい。そうすれば他人の批判だけで飯が食えるからである。 この意味では、上にあげた三党よりは、旧民主党はマシである。政権を獲る意思があったという一点で。ところが、民進党や立憲民主党は、すっかり社会党に先祖返りした。当選回数が若い議員はともかく、地盤が安定している幹部たちは落選の心配がないのだから、野党第一党の座さえ守れば党勢拡大のような面倒くさいことは考えてもいないのだ。 かつて、「まさか社会党に政権を渡すような非常識はできない」という理屈がまかり通り、自民党の腐敗が悪化し続けた。今はどうか。まったく同じ構造ではないか。 そして、55年体制で忘れられがちな側面がある。政界では保守政党の自民党が与党で、リベラル(昔は革新を名乗った)が“やられ役”だった。その反面、言論界では革新が多数派で、保守は「やられ役」だったのだ。かつては、自民党を革新の立場から論評するのがインテリであるとの風潮さえあった。 では、今はどうか。確かに、インターネットの普及で保守側の言論の発信も可能になった。ネットは右翼的言論が強いから「ネトウヨ」、テレビを見ている層は左翼的言論に影響されるから「テレサヨ」と呼ばれる。 言論界の主流であるテレサヨは「安倍政権は0点だから、何にでも反対しなければならない」と主張し、ネトウヨは「安倍政権は100点なのだから、保守は安倍政権を全肯定しなければならない。一つでも批判する奴はサヨクだ」と罵る。結局、テレサヨは「安倍政権にケチをつけているだけ」であり、ネトウヨは「安倍政権にケチをつけている勢力にケチをつけているだけ」ではないか。安倍晋三首相 しかし、人間界で起こることの評価に100点や0点があるだろうか。1~99点の間の膨大な中間地帯にこそ、正解があるのではないか。結果、冷静な議論はかき消される。 真の権力を握る勢力、すなわち法制局や主計局、創価学会―の既得権益を脅かさないという条件で安倍政権は長期化を認められ、国民からも消去法で選ばれる。「別に安倍でいいではないか?」と。結果、55年体制の劣化コピーの出来上がりである。 こうした言論は、熱心すぎる安倍支持者の怒りを買うだろうが、知ったことではない。安倍政権を支えてきたのは積極的な安倍支持者ではない。そのような勢力は「ノイジーホシュノリティー」にすぎない。安倍政権は、消極的な支持を得ることがてきたからこそ、これまで存続できたのである。それが、安倍政権が倒れない「唯一の積極的な理由」ではなかろうか。 安倍政権には、勝利の方程式がある。すなわち、「日銀が金融緩和をする→株価が上がる→支持率が上がる→選挙に勝てる→誰も引きずりおろせない」である。「株価連動政権」と呼ばれるゆえんである。支持者は政治に興味がない国民 要するに、黒田さんがお札を刷っている限り、安倍政権は倒れないのである。黒田さんとは、もちろん黒田東彦日銀総裁のことである。この人物は今年3月と5年前の人事で安倍首相が押し込んだ。日銀の政策は、1人の総裁と、2人の副総裁、6人の委員が決める。安倍首相は政権発足以来、この9人の人事で勝ち続けた。 旧民主党政権のみならず安倍首相以前の歴代自民党内閣は、お札を刷るのを拒否し続けた。麻生内閣に至ってはリーマンショックで世界中が増刷競争を始めた時に、頑(かたく)なに増刷を拒否し続けた。結果、何の関係もない日本が地獄絵図の惨状に陥った。 アルバニア並みの経済政策である。アルバニアとは、政府主催のねずみ講で国家崩壊に至った国のことである。その張本人のラミズ・アリア大統領は、後に首相に返り咲いている。 リーマンショックの責任者である麻生太郎が副総理兼財務大臣として返り咲くなど、ラミズ・アリアを笑えまい。どこの愚か者が、このようなタワケた人事を行ったのかと糾弾したくなるが、自分の国の自分の総理大臣のやらかしたことだから呑み込もう。 とはいうものの、このような失敗をしつつも、安倍首相は日銀人事で勝ち続けた。そして「勝利の方程式」につながっている。これが、安倍政権が倒れない唯一の積極的な理由である。そして、消費増税の悪影響で緩やかでしかないが、景気は回復してきている。これまで上げてきた理由が重なり、安倍政権が長期化したことで多くの人が救われた。 大多数の国民は、自民党に憲法改正などと言う夢物語を期待していない。くどいが、安倍自民党改憲案は夢としても、まったく魅力がない。 最後に。安倍首相は総裁3選を目指すという。戦後、3期やり遂げた総理大臣と言えば、吉田茂と佐藤栄作しかいない。そして2人とも晩節を汚し、心ある側近は「2期でやめておけば」と後悔した。当たり前の話だが、政権が長く続きすぎること自体が悪なのだ。権力には自浄作用が必要であり、長すぎる政権は硬直化して歪が生じる。 では、安倍首相は3選を目指すにあたり、何を目指すのか。これまでのように政治家ではなく行政官に徹するつもりか。もし、これが「一日でも長く総理大臣を続けたい」だけの愚劣な人間なら巧妙な政争術だ。ただし、その場合は「二度と戦後レジームからの脱却などと生意気なセリフを吐くな!」との批判を甘んじて受ける覚悟だろうが。約1年半ぶりに開かれた党首討論で安倍晋三首相(右手前)に質問する立憲民主党の枝野幸男代表=2018年5月、国会 現時点で安倍政権がやろうとしている政策は、消費増税10%くらいなのである。それも別に安倍首相でなければできない話ではない。むしろ景気回復前の増税阻止ならともかく、増税を公約に3選を目指すのか。さらに来年は統一地方選と参議院選挙がある。増税と9条改正を掲げて選挙に勝てると思っているのか。その場合、安倍首相が勝とうが負けようが、日本人は地獄に落ちる。 安倍政権が安泰なのは、景気回復について、多数の政治に興味がない国民が支持してくれるからであり、本質的には無難な政治しかしていないからである。安倍政権こそ、戦後レジームの護持者として長期政権化しているのである。

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    新聞記者たちがあっさり騙される安倍首相「信号無視話法」

    “信号機”のように色分けしてみた。するといきなり問題の本質が見えてきた。「首相夫人が公務員を使って、財務省に(森友学園への)優遇措置を働きかけるのはいいことか」などと質問した枝野幸男・立憲民主党代表への答弁では、首相は枝野氏の持ち時間19分のうち12分も喋り続けたが、犬飼氏が文字数を計算すると「青」答弁はわずか4%、しかも「政府はコメントする立場にはない」と、内容的にはゼロ回答だった。 志位和夫・日本共産党委員長の「モリカケ問題で文書の改竄、隠蔽、廃棄、虚偽答弁という悪質な行為が起きた理由をどう考えるか」という質問に対しては、なんと「青」答弁がゼロという結果になった。2018年4月、「桜を見る会」を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相(中央)=東京・新宿御苑(代表撮影) 6月27日に行なわれた2回目の党首討論でも、首相は志位氏の「加計学園が総理の名前を使って巨額の補助金を掠め取ったのではないか」という質問に、約6分間も「赤」「黄」答弁を繰り返した挙げ句、「私はあずかり知らない」とゼロ回答だった。説明責任? 何それ?説明責任? 何それ? 新聞記者と同じく追及する側の野党党首の実力不足もあるにせよ、この「黄」「赤」ばかり点灯させる信号こそ、真相解明という“車”が立ち往生し、1年以上も国会で堂々めぐりの議論が続いている原因なのだ。「この視覚化で再認識したのは安倍首相がたいへん不誠実な答弁を続けているということです。メディアは今の政治についてもっとわかりやすく報じてほしい」(犬飼氏) 新聞各紙はさすがに30日の党首討論について、「安倍論法もうんざりだ」(朝日)、「政策を競う場として活用せよ」(読売)、「もっと実のある中身に」(日経)と翌31日付の社説で注文を付けているが、“自民党支持者は新聞を読んでいない”とバカにしているから何と言われても響かない。 そればかりか、6月19日、初めて記者会見に応じた首相の「腹心の友」加計孝太郎・加計学園理事長まで、記者の質問に議論のすり替えや「記憶も記録もない」という首相と同じ「信号無視話法」を駆使し、わずか25分で一方的に打ち切った。 安倍首相を筆頭に、佐川宣寿・前国税庁長官、柳瀬唯夫・元総理秘書官、そして加計理事長と“安倍一味”に共通する態度からは、これからこの国の政治腐敗がどれだけ広がろうと、「総理の友人ならおかまいなしで、国民への説明責任もいらない」という信号無視の暴走政治が始まることを示唆している。 安倍首相は今国会2回目の党首討論でついにこんな言葉まで繰り出した。「(党首討論の)歴史的な使命が終わってしまった」 信号無視どころか、信号機を壊し始めたのだ。そして政治の暴走は止まらなくなる。関連記事■ 信頼失った朝日新聞 安倍―麻生の印象操作の餌食に■ 朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位 英調査■ 右派系まとめサイトの管理人に「目的」を直撃してみた■ 昭恵さんに呆れる安倍首相「離婚できるならとっくにしてる」■ 麻生氏が「悪いのは昭恵だろう!」と怒鳴る声が役人に話題

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    工作員の疑いで逮捕のロシア人女性、米団体就職のため性行為を提供か

    トルシン氏はプーチン大統領率いる与党「統一ロシア」の元上院議員で、幅広い人脈を持つ。 今年4月には米財務省による制裁対象となった。 ブティナ容疑者は数年前から、トルシン氏と写った写真を何枚かソーシャルメディアに投稿していた。ビザ申請書類には、かつてトルシン氏の特別助手だったと記入している。 米CBSニュースは消息筋の話として、司法省がブティナ容疑者と一緒にトルシン氏を訴追しなかったのは、ロバート・ムラー特別検察官がブティナ容疑者の協力を得て、トルシン氏や他のロシア政府高官について供述を得ようとしている印だと伝えた。 ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は18日の定例記者会見で、「その点にも注目しているが、時間のかかる手続きになる」と述べた。 (英語記事 Maria Butina: Alleged Russia agent 'offered sex for job')

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    大阪直下地震で思い出す「増税なくして復興なし」のペテン

    停滞への脱出と、震災復興の両方を支援できる経済政策だというのが当時のわれわれの主張であった。 だが、財務省を中心とする増税勢力にはそんな論法は通じなかった。彼らのやり口は実に巧妙であり、「復興増税」を民主党、そして当時は野党だった自民党と公明党で実現させたのである。さらに、この三党協調をもとに、おそらく当初からその狙いであった消費増税の実現にまで結び付けた。当時の日本経済からすればまさに人災に等しい「大緊縮路線」の成立である。「最悪の人災」=増税 緊縮政策が、不況もしくは不況から十分に脱出できないときに採用されれば、人命を損ねる結果になる。職を失い、社会で居場所を失った人たちなど、自殺者数の増加など負の効果は計り知れない。その意味では、天災を口実にした「最悪の人災」=増税という緊縮政策の誕生であった。ちなみに、民主党は現在、国民民主党や立憲民主党などに分裂しているが、経済政策は全く同じ発想である。 このような緊縮路線は今日も健在どころか、最近はその勢いを強めている。消費増税をはじめとする緊縮政策の一番の推進者は、言うまでもなく財務省という官僚機構である。財務官僚とそのOBたちのゆがんだエリート意識とその醜い利権欲は、いまや多くの国民が知ることだろう。 セクハラ疑惑によるトップの辞任、財務省の局をあげての文書改ざん、何十年も繰り返される「財政危機」の大うそ、社会的非難が厳しくても繰り返される高額報酬目当ての天下りなど、ブラック企業も顔負けである。このようなブラック官庁がわれわれの税金で動いているのも、また日本の悲劇である。 しかも財務官僚だけではなく、増税政治家、経団連や経済同友会などの増税経済団体、増税マスコミ、増税経済学者・エコノミストなど、緊縮政策の軍団は実に広範囲である。しかも、グロテスクな深海魚がかわいらしくみえるほどの奇怪な多様性を持っている。 例えば、反貧困や弱者救済を主張する社会運動家が、なぜかその弱者を困難に陥れる増税=緊縮路線を支持しているのも、日常的な風景である。増税したその見返りが、自分たちの考える「弱者」に率先して投入されるとでも思っているのだとしたら、考えを改めた方がいいだろう。 日銀の岩田規久男前副総裁は、メディアの最近の取材や筆者との私的な対話の中で、日本が20年も長期停滞を続けたため、非正規雇用など低所得者が増えたと指摘している。さらに、岩田氏によると、年金世代が全世帯の3割以上に増えたことで、消費増税による経済への悪影響を強めているという。 つまり、増税、特に低所得者層に強い影響が出る消費増税は、日本において最悪の税金である。「弱者救済」を唱える人たちが財務省になびくのは、まるで冗談か悪夢のようにしか思えないのである。電車のダイヤが乱れ、阪急梅田駅前の階段に座る人たち=2018年6月18日、大阪市北区(安元雄太撮影) 最近、この消費増税、緊縮政策路線が、政府の経済財政諮問会議により提起され、閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」にも強く採用され続けている。経済活動が活発化し、その結果として財政が改善していくのが、経済学で教わらなくても普通の常識であろう。 だが、財務官僚中心の発想は違う。まず財政再建ありきなのである。財政再建が目的であり、われわれの経済活動はその「奴隷」でしかない。これは言い方を変えれば、財務省の奴隷として国民とその経済活動があることを意味する。恐ろしい傲慢(ごうまん)な発想である。財務省の目論み 例えばしばしば「財政健全化」の一つの目標のようにいわれる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化。この概念は、そもそも経済不況を根絶するために積極的な財政政策を支持した経済学者、エブセイ・ドーマーによって主張されたものである。 つまり、緊縮財政を唱える論者を否定するために持ち出した概念が、なぜか財務省的発想で緊縮財政のために利用されているのである。まさにゆがんだ官僚精神をみる思いで、あきれるばかりである。 PBは、経済が停滞から脱出し、経済成長率が安定すれば、それに見合って財政状況も改善するということを言いたいのが趣旨だ。何度もいうが、これが逆転して、増税勢力に都合のいい「財政再建」や「社会保障の拡充」という緊縮政策に悪用されてしまっている。 しかも経済学的には意味を見いだしがたいPBの黒字化目標を、2020年度から25年度にずらしたところで、緊縮病から抜け出せるわけではない。あくまで目標にするのは経済の改善であって、PB目標などどうでもいいのだ。 だが、PB先送りについて、朝日新聞の論説にかかると「骨太の方針 危機意識がなさ過ぎる」んだそうである。まずは、この朝日新聞の論説を書いた人の経済認識こそ、危機意識が足りないと思う。地震で崩れた外壁=2018年6月18日、大阪市淀川区(渡辺恭晃撮影) また、国債市場では取引が不成立なことがしばしば起こることをもって、「国債危機」的な煽り記事もある。これは、単に日本銀行が「今の積極的な金融緩和を続けるためには、もっと政府が新規の国債を発行することを求めている」、市場側のシグナルの一つでしかない。つまり経済は、緊縮よりももっと積極的な経済政策を求めている。だが、全ては「財政危機」「社会保障の拡充」という上に書いたようなゆがんだ経済認識に利用されているのが実情だ。 数年前、いや今も天災さえも利用して自らの増税=緊縮政策を貫いた財務省を核とした「ブラックな集団」が日本に存在していること、これこそが日本の「最大級の人災」である。そして対策は、このブラック企業顔負けの集団の核である、財務省の解体しかないことを、世間はより強く知るべきではないだろうか。

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    「放言連発」「上から目線」でも麻生大臣はなぜ逃げ切れたのか

    学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の改ざんが発覚してから3カ月近くたった。財務省は6月4日になって、ようやく調査報告書を発表した。 麻生太郎副総理兼財務相は大臣談話として「決裁を経た行政文書を改ざんし、それを国会などに提出するようなことは、あってはならないことであり、誠に遺憾である」「応接録についても、国会などとの関係で極めて不適切な取り扱いがなされていたものと認められる」と謝罪し、閣僚給与12カ月分の自主返納を表明した。結局、財務省では関係者20人に及ぶ処分者を出した。 この3カ月、国民は嫌というほど、森友問題に関する麻生氏の国会答弁や記者会見を聞かされてきた。テレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題で、福田淳一前財務次官の更迭に伴うコメントにしてもそうだ。まさに、部下を一瞬にして悪者扱いする「君子豹変」と、自分は悪くないという姿勢を貫き通す「小人革面」の「麻生劇場」が繰り広げられたのである。 2018年2月13日、麻生氏は衆院予算委員会で、佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官(当時)を「国税庁長官としては適任だと判断したもので、事実、国税庁長官としての職務を適切に行っている」と持ち上げた。3月に朝日新聞が決裁文書書き換えの可能性について報じても、参院予算委で「答えることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難い。答弁は差し控える」と突っぱねた。2017年2月、衆院財務金融委で答弁する財務省の佐川宣寿理財局長。左は安倍首相、右は麻生財務相=国会 3月9日、佐川氏の辞意表明後の会見でも、麻生氏は「彼が途中で辞めるということになったことに関しては、少々残念な気がする」と、佐川氏が適任であったという認識を変えなかった。それどころか、質問した記者の所属社をわざと「なんとか新聞」と述べ、当てこする始末だった。 それが一転、文書書き換えを認めた3月12日の記者会見で、麻生氏は「極めてゆゆしきことなのであって、誠に遺憾。私としても深くお詫びを申し上げる次第です」とようやく「お詫び」を口にした。それでも頭を下げるようなことはせず、「行政の長として深くお詫び申し上げる」と頭を下げた安倍晋三首相とは対照的に、麻生氏の「傲岸(ごうがん)不遜」を印象付けた。パーソナリティ、三つの特徴 確かに、麻生氏は佐川氏を「職務を適切に行っている」と持ち上げてはいたものの、行政文書の書き換えを認める会見では「佐川の答弁に合わせて、書き換えたというのが事実だと思っています」と文書書き換えが理財局長当時の佐川氏の答弁に合わせて行われた認識を示した。 さらに、「最終責任者が理財局の局長である佐川になると思う」と、理財局トップだった佐川氏に責任があると、「佐川」と呼び捨てにして言ってのけたのである。ただし、「私としては財務省全体の組織が問題とは考えていない」と、財務省全体への責任を否定するのを忘れなかった。 3月16日の参院予算委では、答弁中のヤジに業を煮やし、答えるのをやめて「やかましいなあ。聞きたい? じゃあ静かにしていただけますか」といらだちをあらわにするなど、相変わらず挑発的な姿勢を見せた。 こうして麻生氏は「悪いのは佐川と理財局」という「君子豹変」ぶりを見せ、最終的に佐川氏が主導して理財局が決裁文書の改ざんを行ったという報告書がまとめられたのである。 その財務省本体が、事務次官のセクハラ問題でも揺れた。発端は、女性記者に対する福田氏の「セクハラ発言」を『週刊新潮』が報じたことだが、財務次官の発言としては耳を疑うような内容が並ぶ記事は世間に衝撃を与えた。そのうえ、翌日には記事の元になった音源の一部も公開された。 だが、財務省のヒアリングに対して福田氏はこれを否定した。財務省は、事実関係を明らかにするために、財務省側の弁護士にセクハラ被害を申し出るよう求めた。 4月17日、麻生氏は音源について「俺聞いて、福田だなと感じましたよ。俺はね」と答える一方で、財務省側の弁護士にセクハラ被害を申し出るよう求めた件については「こちら側も言われてる人の立場を考えてやらないかんのですよ。福田の人権はなしってわけですか?」と、一方的に福田氏の側に立った上から目線の発言に終始した。財務省の外観・看板=2018年3月(桐原正道撮影) しかし翌日、事態は急展開する。麻生氏は記者団に対し、福田氏から辞任の申し出があり、認めたと発表した。この間、麻生氏からは「(福田氏が)はめられたという見方もある」「セクハラ罪はない」などいった発言も飛び出している。 この3カ月で、他の政治家には見られない麻生氏のパーソナリティーが遺憾なく発揮されたわけだが、それには三つの特徴がある。 一つ目は、マキャベリの『君主論』よろしく、自らの責任に累が及ばないように、「適材適所」と認めていた部下でもサッと切って捨てる冷酷さだ。「上から目線のお殿様」と揶揄(やゆ)されることもあるが、企業でもお人よしでは組織のトップは務まらない。麻生氏はそれを分かりやすい形で体現しているともいえる。安倍3選失敗で「君子豹変」? 二つ目は、マスコミに対して、ことさら挑発的な姿勢を見せることだ。「なんとか新聞」発言はその際たるものだろう。麻生氏は、米国を除く11カ国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)が署名されたときにも、TPP11のことは一行も書かないで森友問題ばかり報道していたと、「日本の新聞のレベルが低い」と批判してみたりする。マスコミに遠慮して批判を控える政治家が多い中で、ここまでマスコミと事を構える政治家は、一部の有権者にはカタルシスにつながるだろう。 三つ目は、歯に衣(きぬ)着せぬモノ言いで「自分は悪くない」という「小人革面」を変えないが、「麻生さんだから仕方ないな」と思わせるレベルを自らコントロールしたことだ。「それを言ったらおしまいだろう」というグレーゾーンの発言に対して、野党は怒って麻生氏を批判するが、それで終わらせてしまうのである。 あれだけ好き放題に発言して、麻生氏への辞任要求が野党から出ても、辞めずに「逃げ切った」背景には、キレて冷静さを失ったように見せかけた絶妙のコントロールがあったのである。 企業社会に生きる人たちの中で、麻生氏の型破りな言動に快哉(かいさい)を叫びたくなる人も少なからずいるのかもしれない。だからこそ、麻生氏はプロレスのマイクパフォーマンスよろしく、野党やマスコミを挑発して、「俺にかかってこい」と言わんばかりの態度を貫きながら、辞任を逃れたのだろう。 もっとも、麻生氏が辞任してしまっては、さまざまな批判が安倍首相に集中してしまう。麻生氏に報道がフォーカスされるということは、世論の関心が麻生氏に向くので政権の「防波堤」になる、という見方もある。確かに、麻生氏は「絵になる」ので、麻生氏がマスコミにかみつくと、安倍首相や財務省もかすみがちになる部分はある。 ここまで来たら「死なばもろとも」、麻生氏は安倍首相と一蓮托生(いちれんたくしょう)で進んでいくしかあるまい。魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界では、9月の自民党総裁選もにらんだ動きが既に繰り広げられている。 自民党の中にも、追及する野党やマスコミに迎合するかのように、安倍批判のトーンを上げる政治家もいる。とはいえ、彼らは「あわよくば」という魂胆がミエミエで、ひんしゅくも買っている。2018年3月、参院予算委で安倍晋三首相(左)と話す麻生太郎副総理兼財務相(斎藤良雄撮影) では、麻生氏は「安倍3選」が果たせなかったときに「君子豹変」してしまうのだろうか。一連の不祥事でも「上から目線」発言を貫いたことを考えれば、「やっぱり安倍には問題あったからね」と切って捨てるように、私には思える。 誰が次の自民党総裁に選ばれても、政治家のパフォーマンスに踊らされ、重要な法案の審議も含め、政治の本質がますます見えにくくなっていく悲劇を繰り返してはいけない。

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    「羽生結弦に国民栄誉賞」舛添要一が素直に喜べない理由

    め尽くされており、国会開催中でも、国内政治のことは話題にすらならなかった。終わったとたんに、厚労省や財務省の資料の問題が出てきたのも不思議ではない。 今回の平昌五輪でも、カーリング女子選手に対する熱狂ぶりは異常であり、同じ銅メダリストのモーグルの原大智(だいち)がかわいそうなくらいである。これがポピュリズムというものである。 ちなみに、北見市へのふるさと納税が増えているというが、これも変な話だ。北見市へ納税した者が住んでいる自治体は、その分減収となる。自分の財布から寄付金を出すなら大歓迎だ。だが、返礼品も含めて問題が多すぎる。ふるさと納税制度をこのように「悪用」してほしくはない。「立ち小便もできなくなる」 第二の問題は、受賞者にも重荷になるということである。こんな賞をもらうと、国民の模範となるべく品行方正に努めなければならなくなる。特に若いころに受賞すると、その後の人生に「栄誉」を背負っていかねばならなくなる。息苦しい限りだ。プロ野球の盗塁王、福本豊は「立ち小便もできなくなる」と言って辞退したという。 スポーツ選手にとっては、五輪であれワールドカップであれ、メダルだけで結構だ。どこまで記録を伸ばせるか、世界の一流選手と闘って勝てるか、それが最大の問題で、そのために厳しい練習をする。その結果が歴史に残る記録になる。それだけで十分だ。 つまり、純粋にスポーツだけで勝負しているのであって、だからこそドーピングを絶対に許してはならないのである。国民栄誉賞をもらおうなどと思って練習に励む者はいない。記録やメダル以外の「不純物」は不要である。 また、国民に感動を与えるために練習しているのではないし、その過程でけがをしたり、リハビリに励んだりするのは、ひたすら勝つためである。けがを克服したことが国民に感動を与えたなどといわれても、そんな道徳教育の話と勝負の世界は別である。お上に栄誉賞を授けてもらわなくても、国民の喝采があれば、選手には国民が喜んでいることは分かる。スポーツ選手を政治の道具にしてはならない。 極端な想定をすると、引退後に人生を間違えて犯罪者になろうとも、現役時代の記録は不滅である。下手に国民栄誉賞など受賞していたら、それこそ全人格的に否定されて、金メダルまで剝奪しようという暴論すら出てくるかもしれない。 若いころ、スポーツ選手だった人間が、年月を経て政治家や経営者になることはあるが、そのような職業には毀誉褒貶(きよほうへん)がつきものである。国民栄誉賞などを背負っていれば、リスクを冒したくないので、政治活動や経営をのびのびと実行することが不可能となろう。つまり、現役引退後の長い人生で、憲法で定められた基本的人権である「職業選択の自由」すらなくなってしまうのである。フィギュアスケート男子で2連覇を果たし、安倍首相(左、代表撮影)から電話で祝福される羽生結弦選手=2018年2月(共同) 以上のような問題は、すべての「栄典」について共通して言えることである。中でも勲章については、かねてから賛否両論があるし、実際に辞退する者もいる。しかし、国民栄誉賞と違って、勲章は年を取ってから受章するので、いわば「冥土の土産」であり、その後の人生を左右するといったことはない。 勲章については、栗原俊雄の『勲章-知られざる素顔』(岩波新書)に詳しいが、この中で「憲政の神様」尾崎行雄(咢堂・がくどう)の例が紹介されている。尾崎は文部大臣、東京市長、司法大臣などの業績で、1916年7月に勲一等旭日大綬章を受ける。しかし、1942年の翼賛選挙を批判したことから、不敬罪で巣鴨拘置所に留置された。 戦後、「憲政の神様」として一躍時の人となった尾崎は、1945年12月に宮中に召されたが、その際に「けふ(今日)は御所 きのふ(昨日)は獄舎(ひとや) あすはまた 地獄極楽いづち行くらん」という自作の狂歌を昭和天皇に見せたそうだ。そして、翌年5月には勲章を返上している。 私は、モロッコ王国より、2008年11月にアラウイ王朝勲章グラントフィシェに、また2016年3月にフランス共和国より、レジオン・ドヌール勲章コマンドゥールに叙せられている。これらは、モロッコやフランスとの交流に貢献したことが認められたものであり、光栄に思っている。 ところが、2年前の「舛添バッシング」のとき、この勲章にまでケチをつける者が出てきた。大衆迎合主義(ポピュリズム)の怖さである。五輪で優秀な成績を収めたメダリストたちには、同じような嫌な思いをさせたくない。国民栄誉賞は廃止すべきである。

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    「安倍退陣論」私はこう読む

    「安倍総理はご自身の判断でお辞めになったらよろしいと思う」。第93代内閣総理大臣、鳩山由紀夫氏がiRONNAに寄せた手記の一節である。モリカケ、公文書改ざん、官僚トップのセクハラ…。相次ぐ不祥事で苦境に立つ安倍政権。与党内にもくすぶる「安倍退陣論」を真正面から考える。