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    ジャニーズ「パニック障害」はなぜ起きた?

    ジャニーズの人気アイドルグループKing&Princeメンバーの岩橋玄樹と、SexyZoneの松島聡が、パニック障害を理由に相次いで活動を休止した。2人がほぼ同時期だっただけに、ファンや関係者らに衝撃が走り、さまざまな憶測も飛び交う。騒動の背景に何があったのか。(イラスト・不思議三十郎)

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    キンプリ岩橋とセクゾ松島、相次ぐ「パニック障害」の裏側

    平本淳也(元ジャニーズ所属タレント、作家) 『NHK紅白歌合戦』への初出場が決まったKing&Prince(愛称キンプリ)のメンバー、岩橋玄樹と、SexyZone(愛称セクゾ)の松島聡が、パニック障害を理由に相次いで活動休止を発表した。 岩橋は以前から患っていたとされ、松島については突発性であり、それぞれ発症の経緯が異なるようだが、いずれも若手グループの人気メンバーで、ほぼ時期が重なっただけに衝撃も大きかった。人気絶頂のジャニーズアイドルに何が起きているのだろうか。 急なケガなどで休養を取るのは致し方がないが、今回の件は、長いジャニーズの歴史の中で異例の事態であり、ファンや関係者も違和感を覚えたに違いない。ジャニーズ事務所も然り、社長のジャニー喜多川氏も戸惑いを隠せないようだ。 そもそも、ジャニー氏は「自分が知らないことを気にするタイプ」だ。つまり、自分が知らないところで知らないことが起こっているのを非常に嫌う。社長として組織のトップとして当然の心掛けだが、病気でもけがでもまず「僕に言いなさい」とか、「困っていることがあれば先に言っておきなさい」というような対応が当たり前だった。 だが、今はそれがない。言い換えれば、現場で何が起こっているのか、また個々のタレントがどのように感じて、いま何を考えているのか、ほとんど把握できていないのが現状である。「Youが何を考えているのか教えてほしい」。かつてはジャニー氏が自らタレントと向き合って、こんな対話をする機会も多くあった。 ジャニー氏はコミュニケーションを大切にするし、「子供たち(所属タレント)」とのかかわりが大好きで、その労力を決して惜しむことなく、許す限り時間を費やしてきた。だが、いつの日からかその機会はめっきり少なくなった。端的に言えば、今回の相次ぐパニック障害を招いた原因はここにあるのだが、そこに至った背景を少し踏み込んで詳述したい。 90年代の終わりに席巻した「ジャニーズJr.」(主にCDデビュー前の所属タレント)たちが主役を張ったバラエティー番組『8時だJ』(テレビ朝日系)が12月29日に特番として復活する。嵐や関ジャニ∞、NEWSなど、後にスーパーアイドルとして確立したグループがレギュラー出演していた人気番組だ。MCは当時、滝沢秀明(タッキー)が担っていたことから、今回の特番はタッキーの引退に合わせて制作された「ジャニー氏からのプレゼント」としての意味合いが強い。 この時代のジャニーズは、光GENJIからSMAPへと世代が代わり、後に息の長いグループとなったTOKIOやV6、KinKiKids、そして嵐が登場して歴史をつないでいった。こうした流れは実は重要な意味がある。 要するに、これまでのジャニーズは「一子相伝」的に時代を引き継いできた。田原俊彦から近藤真彦、シブがき隊、そして少年隊と継承され「ジャニー氏の創作」が時代のトップを構成するように「一球入魂」され続けてきたのである。(イラスト・不思議三十郎) つまり、一世代に1組のトップポジションだったものが、90年代以降は徐々に複数になり、今や「ジャニーズJr.」だけでも500人以上、ユニットも10組以上が存在する中で、ジャニー氏が直接指導しているアイドルは極端に少なくなった。 そういった意味で『8時だJ』の時代にいたジャニーズJr.たちは、ジャニー氏自らが直接育てた最後のメンバーだったと言えるのかもしれない。嵐、タッキー&翼、NEWS、関ジャニ∞の他、生田斗真や風間俊介ら俳優としても活躍している彼らにとって、ジャニー氏はまさに父のような存在だったのである。希薄なプロ意識 そしてKAT-TUN以降、ジャニー氏は「祖父」のような立場となって見守る空気が強くなった。一般企業で例えるならば、ジャニー氏は社長として陣頭指揮を執る立場から、現場からは少し離れて会社の行く末を眺める会長職になったようなものだ。 歳を重ね、事務所も大きくなって、すべての所属アイドルに目を配ることに、無理が生じてきているのは間違いない。レッスンやリハーサルの度に必ずと言っていいほど現場に足を運び、ジャニーズJr.たち一人一人に声をかけては指導するという環境が今はない。むろん、ジャニー氏自身、体力的にもそれは難しいだろう。 ジャニー氏と所属タレントはいわば血縁関係に近いものがあったが、こうした関係が崩れ始めたのは先に述べたKAT-TUNのデビュー前後からで、その後起きた象徴的な事件がSMAP解散とTOKIO、山口達也の解雇だったことは言うまでもない。SMAPやTOKIOの「事件」はかつての血縁的な関係が保たれていれば、起こらなかった可能性が高い。 ちなみに僕の現役時代は、ジャニーズの所属タレントは総勢50人前後で、学校で言えば一クラス分ぐらいの規模だった。それはまさに「家族」のような関係で、誰がどんな生い立ちで、どのような悩みで苦しんでいるか、互いに知る間柄でもあった。良くも悪くも、ジャニー氏とはベッタリの関係だったと言うべきか。ただ、ジャニー氏との濃密な関係性が、最大の危機管理になっていたのも事実である。 これが今や、ジャニーズJr.同士でも名前や顔も知らず、入所以降ジャニー氏と話したこともないというタレントが少なくない。こうした現状を踏まえれば、今のジャニーズは大きな岐路に立たされていると言える。もっと言えば、ジャニー氏が世代交代を意識し、タッキーに後継ぎを託した理由はここにあると言っても過言ではない。 その一方で、言い尽くされた感はあるが、若手のプロ意識の希薄さも否めない。これは芸能界全体に言えることである。最近、グラビアアイドルが「彼氏に反対されたので水着になれなくなりました」などと突然言い出すケースが増えているそうだが、これも一つの表れだろう。 心的な病にしても、仕事に差し支えないよう自己管理し、事が大きくなる前に誰かに相談するといった意識も低い。ひとたび病気やケガをすれば、事務所としては休養させるしか道がない。キンプリの岩橋とセクゾの松島のパニック障害の原因は、ジャニーズ事務所が彼らを酷使しているからだと、安直に考える人も多いが、そもそも過酷な環境で活動するのがアイドルたるゆえんなのである。 もとより、アイドルは極力休養する状況にならないよう、日々心掛けているはずである。病気やケガとはいえ、仕事は絶対に穴を空けてはならない。これは芸能界の常識である。誤解を恐れずに言えば、具合が悪いとか急用があるとか、下手な理由で仕事をおろそかにするタレントが昔よりも増えている気がしてならない。(イラスト・不思議三十郎) 少々厳しいようだが、本来「歩合型」の芸能界で、働けないタレントに給料など払えない。ジャニーズほどの規模と資金力、影響力があるからこそ、代えがきくのである。規模の小さい事務所であれば、タレントが回復するまで待つなど、それこそ死活問題であろう。 最近は事務所の管理責任を問う声も大きい。ひと昔前であれば、自分が病気を患っていることを伏せたまま収録に臨んだり、骨折を抱えながらも舞台で演じ切ったりするのが、トップアイドルたる生き様でもあった。もちろん、こうした話が美談となる時代が終わったのは確かである。 こんな時代であるからこそ、あえて言いたいことがある。奇(く)しくも年末に復活する90年代の『8時だJ』の復活は、ジャニー氏からタッキーへのプレゼントという意味合いよりも、むしろアイドルとは何たるかを示し、ジャニーズを継いでいく次世代スターたちに向けたメッセージでもあるのだ、と。■関ジャニ大倉「ヤラカシ批判」はアイドルとして許されるか■養子縁組も既定路線? ジャニー喜多川が滝沢秀明を溺愛する理由■「おっさんアイドル」山口達也の悲哀は私にも分かる

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    関ジャニ大倉「ヤラカシ批判」はアイドルとして許されるか

    平本淳也(元ジャニーズ所属タレント) 人気アイドルグループ「関ジャニ∞(エイト)」の大倉忠義がブログで、一部の熱狂的ファンによる行き過ぎた行為について怒りを表し、波紋を呼んでいる。週刊誌報道などによると、大倉に近づいてきたファンが体当たりしたり、カバンに物を入れたりすることに加え、プライベートな食事の席で隣のテーブルにいたこともあったようだ。 これに対し、大倉は「ストーカー行為だ」などとブログに書き込み、ジャニーズ事務所も告発もあり得るといった構えをみせている。 とはいえ、当たり前だが、アイドルにとって「ファン」とは本来、最も大切にしなければならない存在である。だからこそ、ファンにはいつも幸せな気持ちを抱いてもらえるよう振る舞っているのだが、それを逆手に取って足を踏み外してしまうファンがいるのも事実だ。 まずは、ジャニーズファンの現状から説明しておこう。およそ1千万人いるとされるジャニーズファンは、特定の個人やグループに限らずジャニーズを全体的に応援する人たちの総称だが、最近は個別に呼称をつけて色分けしている。 古くは「追っかけ」や追っかけに命をかけて力(リキ)を入れる「オリキ」と呼ばれ、最近は「ジャニヲタ」と称されている。その中に特定のグループのファンの呼称もある。例えば、KinKi Kidsのファンは行儀が良いことから「図書委員」、嵐は「アラシック」、関ジャニ∞は「エイター」だ。さらに、Kis-My-Ft2については意味不明だが「俺足族(おれあしぞく)」、 SexyZoneは「セクシーガール」、King&Prince(略称キンプリ)は「ティアラ」と呼ばれている。 そして今、問題となっているのは「ヤラカシ」と言われる、悪さをやらかす行き過ぎたファンたちだ。大倉のケースのように、個々のタレントだけの問題ではなく事務所も相当に手を焼いているのが実情である。これには「ヤラカシ対策」というファンもいて、これを監督して注意喚起を行う役割を担っている。彼らはいわゆる本当の意味での「親衛隊」である。 僕が現役の頃は、トシ派(田原俊彦)とマッチ派(近藤真彦)しかいなかった。だが、その後の「ジャニヲタ」は、シブがき隊や少年隊、さらに光GENJIに男闘呼組、忍者となり、そしてSMAPへと、移りながら、あくまでもジャニーズ内に留まって支え続けている。それだけに「親衛隊」のようなファンと素行が悪いファンが実際にぶつかることもしばしばある。 先に記したように、昔は一般的な「ファン」と、さらに気合を入れた「親衛隊」の2種類しかいなかったが、80年代の後半から「追っかけ」が登場し、90年代には「オリキ」になり、同じ頃から「ストーカー」とでも言うべき行為に走る過激なファンも増え始めた。(イラスト・不思議三十郎) つまり「追っかけ」の延長線が、ストーカーと見なされる行為に進化したのである。ただ、かつては「ストーカー」という表現がなかっただけで、大倉の悲痛なメッセージを目の当たりにした時、僕も現役時代に同様の被害に遭っていたことを思い出した。 「入待ち」や「出待ち」は温かい応援の定番であり、これを嫌がるアイドルは少ない。だが、待つ場所によっては一大事だ。テレビ局やスタジオ、あるいはコンサート会場なら常識だが、自宅前での出入り待ちはかなりの苦痛である。 もちろん、弁当やタオル、栄養ドリンクなどは当たり前のように渡されるので、家を出た瞬間から持ちきれない荷物を背負うことになる。ただ、こういうレベルはまだマシだ。 だが、エスカレートすればそうも言っていられない。「待ち伏せ」は家や最寄り駅などで行われるが、それは「仕事」の行き来なら仕方がないとはいえ、駆け出しの頃に通っていた学校やアルバイト先にまで熱狂的なファン現れると、自分の周囲の人たちにも迷惑をかけかねない。これが続くと、さすがに誰だって嫌な気分になってくる。ベッドの下にもファン また、ファンも待ち時間があまりに長いといらだち、あらゆる行動に打って出る。まずは、落書きだ。「大好き」とか「一生ついていく!」程度のものから始まり、「抱いてください」のほか、露骨に「キスして!」とか、「セックスしてください」などとエスカレートしていく。近所のガードレールや公園のベンチなどに名指しで書かれれば、自分のせいでご近所に迷惑をかけていることになり、帰宅すら億劫になる。そして、そこからは引っ越しの繰り返しである。 ちなみに、家庭ゴミはすべてファンに持っていかれるので自宅近くの集積所には出さず、最寄りの役所まで持ち込むこともざらである。それだけではない。自宅のポストをのぞかれたり、郵便物を取られたりは当たり前で、はっきり言ってプライベートは何もかも奪われていく。今ではマンションにオートロックや防犯カメラも設置されているため、こうした行為は随分防げるようになった。 これは聞いた話だが、留守中に自分の部屋に忍び込むファンもいるらしい。忍び込んだ部屋を掃除したり、食事を作って待っていたり…。ある知人のアイドルは、見知らぬ女性ファンがベッドの下に隠れていたという。 また、ここ数年は、会員制交流サイト(SNS)がファンの行動を変えている。これによって、物理的な「追っかけ」をしなくても、効率良くお目当てのアイドルに会えるようになった。 「今、どこに誰がいる」という情報は瞬く間に広がり、その動向は手に取るように把握できるネットワークをジャニヲタたちは持っている。行く先々で「なんでファンがいるの!?」と、驚きよりもむしろ恐怖に似た感情を抱くケースも多いらしい。 こうしてプライバシーが失われていく心境はアイドル本人だけでなく、家族や友人にも及び、仮に恋人がいれば、それは「攻撃の対象」にもなるため、本人の精神的なダメージはどんどん増幅する。実際にジャニーズの所属タレントと「噂」になるだけでも、酷い仕打ちを受けることがままある。もし、リアルな彼女になろうものなら、その攻撃の程度は計り知れない。 ただ、かつてと大きく変わったと感じるのは、いくら迷惑行為とはいえ、「人気者の証」とも言えるファンの言動に対して、露骨に嫌悪感を丸出しにするアイドルが増えてきたことである。本来なら大倉がブログで吐露した「そろそろ限界」は、「じゃあ、アイドル辞めろよ」と言われても仕方がない。もちろん、熱狂的ファンの迷惑行為が犯罪行為になってしまえば、当然声を上げるべきだが、その線引きはなかなか難しい。(イラスト・不思議三十郎) 当然ながらアイドルも年も重ねる。デビュー当初は我慢できても、大倉のように大人になったアイドルが限界を感じ、憂鬱な気分になるのも理解できる。 こうした現実を踏まえれば、むろん大倉に限ったことではないが、彼の悲痛な叫びは今現在も耐え忍んでいるアイドルたちの「代弁」でもあり、自分のことだけでなく、仲間や同業者の気持ちを察しているからこそ出た発言なのだろう。 勇気を持って出したであろう大倉のメッセージが、行き過ぎたファンの迷惑行為の歯止めになればいいのだが。

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    ムロツヨシに惹かれるのは「オキシトシン系」男子だから?

    吉田潮(ライター・イラストレーター) 74歳の母がテレビを見ていて、「この人、すごく面白くていい人なのよ~」とまるで知り合いかのように話す。誰かと思って画面を見たら、ムロツヨシだった。母の「いい人」の基準は、基本的にNHK『鶴瓶の家族に乾杯』で決まる。ただし、名前は覚えない。「彼はキャリアも長くて、今ドラマに引っ張りだこの人気俳優なんだよ」と教えると、「へえ、そうなの」と生返事。俳優としてのムロツヨシには興味がないようだ。おそらく老いた母にとっての「いい人」とは、声が聴き取りやすく、受け答えが穏やかで低姿勢の人なのだろう。 一般的には、ムロツヨシはコント臭が強めの三枚目俳優の印象が強い。今期で言えば『今日から俺は!!』(日テレ系)に出てくるのが通常運転の彼だ。ツッパリに憧れる男子高校生たちの恋とけんかと友情という、一見爽やかに見える青春コメディーなのだが、爽やかじゃない部分を担うのがムロツヨシ。金八先生を模した教師役だが、独特の間合いとウザイ仕草で卑怯(ひきょう)な大人を演じきる。教室や職員室はすっかりちゃっかりコント劇場に。若手イケメン俳優が皆ムロツヨシ(または吃音の魔術師・佐藤二朗)を真似することで、こってりした福田雄一劇団が完成している。 『今日から俺は!!』に出演するムロツヨシ(左)と賀来賢人(C)日本テレビ ところが、そのムロツヨシが今、女性たちの胸を焦がしている。『大恋愛』(TBS系)というドラマで、一途に恋をしているからだ。ヒロインは戸田恵梨香。クリニックを経営する婦人科医だが、若年性アルツハイマー病を患っている。そんな戸田と偶然知り合うのがムロツヨシ。鳴かず飛ばずの作家で、引っ越し屋のアルバイトで生計を立てていた。「難治の病」と「格差恋愛」を描く、正直に言えば、陳腐な設定の作品である。 性善説に流れて登場人物が偽善化する病気モノが大嫌いなので、適当に流そうと思っていた。が、ちょっと斜に構えてカッコつけているムロツヨシが気になった。しかも、真摯(しんし)な恋を貫いて、愛に生きているじゃないか! これまでの俳優・ムロツヨシを愛(め)でてきた人々は、心のどこかで「この後、ふざけて変顔するんじゃないか」「嘲笑されて終わるのでは」と予期不安がよぎる。つい、コント的な要素を彼に求めてしまうのだ。 しかしながら、「大恋愛」では毎回見事に裏切られる。見ているこっちがこっぱずかしくなるような「愛を語るシーン」も「ベッドでいちゃつくシーン」も、しっくりハマっている。「どうかしてるぜ、ムロツヨシ」というよりは、「どうかしてるぜ、自分」と己の目を疑うのだが、真摯に愛を育んでいく姿、悪くない。ムシロヨシ、ムロツヨシ。物語の行く末は見えているし、手垢まみれの物語なのに、ムロツヨシの動向を最後まで見届けたいと思わせる。 なんて、絶賛してもちっとも面白くないので、なぜ彼がこんなに女性たちを虜(とりこ)にしたのか、考えてみたい。決してイケメン枠でもなく、若くもなく、華があるわけでもないのに、こんなに女性票が集まるのか。最大の勝因は清潔感 まず、「パーツイケメン」であることが挙げられる。ムロツヨシの顔を分解してひとつひとつのパーツを見てみると、実に美しいという事実。すでにネット上では周知の事実で、本人もある程度の自覚はあると思われる。 目は大きく、黒目がちで、きれいな二重だ。眉毛もりりしい。昭和の男性アイドル的な顔の濃さは、妻夫木聡に近い。鼻も整った形で、正面から鼻の穴が見えない。唇も厚すぎず薄すぎず、口角がきゅっと上がっている。これ、重要。口角が下がっていると老けて見えるし、不平不満顔で横柄な印象になる。歯並びも美しい。この秀逸なパーツがそろって、スパイスとしてのホクロを足すと、残念ながらムロツヨシが完成してしまうのだが、ひとつひとつには見惚れる美しさがある。 そして、「清潔感がある」。ヒゲは濃いように見えるが、肌はキレイなのだ。年輩女性に嫌われがちなパーマヘアも、辛うじておしゃれな方向へいっている。ハゲてもいないし、脂ぎってもいない。つまりは、今、女性に嫌われる男性の三大要素のひとつ「生理的嫌悪感(不潔)」がムロツヨシにはほぼないのだ。大手の食品・家庭用品メーカーのCMに起用されるというのは、多くの女性票を得ている証拠でもある。 ふと思い出す。今年の夏、「大恋愛」同様に格差恋愛を描いた『高嶺の花』(日テレ系)というドラマがあったことを。銀杏BOYZの峯田和伸が演じていた役も、ムロツヨシ同様、セレブなヒロインに一途に恋をする男性だった。しかし、女性たちの評価は実に手厳しく、「生理的嫌悪感であきらめた」という非情な声が多かった。峯田になくて、ムロツヨシにあるもの。最大の勝因は清潔感だろう。 そしてもうひとつ。ネット上では女性に対して横暴な男性がメッタうちにされる現代。「俺様臭が強い」男性や、「男尊女卑のメンタルマッチョ」はかなり嫌われる。テレビでも物言いが横柄な司会者や、他の芸能人をからかっていじり倒すような芸人は敬遠される時代だ。年寄りはそういう人材が大好きだが、若い世代は「ハラスメント」意識も強く、不快だと思う人が増えている。 俳優は俳優で、人気がうなぎ上りになったかと思えば、すぐにプライベートや過去の発言が掘り起こされる。少しでもやんちゃな面や、女性やスタッフに対して横柄な発言があると総スカンを喰(く)らう。かなり年下の女優と熱愛報道が出ると、一気にブーイングが起こり、手のひら返しで袋だたきに遭う。※画像は本文と関係ありません(GettyImages) そんな時代に、ムロツヨシ。どこにでもいそうな中肉中背で人畜無害、しかも日本人が大好きな「苦労人」だ。熱愛報道もスキャンダルもいまのところない。年下の俳優から好かれているので、「役者論」なる説教も垂れなさそうだし、俺様臭ともメンタルマッチョとも程遠い立ち位置を確立している。芸能人男性が中年期に陥りがちな「健康志向の筋肉自慢病」にも「趣味没頭で生活破綻病」にもかかっていない。常に低姿勢で空気を読み、かつ、機を見るに敏(びん)。奇跡の40代俳優、といってもいいだろう。ムロは「オキシトシン系」 女性票だけではない。男性人気も相当高い。多くの人気俳優と仲が良く、一見、提灯(ちょうちん)持ちかコバンザメかと思われがちだが、逆である。皆がムロツヨシを必要としているのだ。小泉孝太郎しかり、新井浩文しかり。自分が出るトーク番組にムロツヨシを呼んじゃうくらい、NO LIFE,NO MUROである。気配りができても、媚びるわけではない。むき出しの自意識を発動するテイを装うも、実際は冷静に俯瞰(ふかん)している趣もある。おそらくホモソーシャルでうまくわたっていける、可愛げと愛嬌(あいきょう)があるのだろう。 とあるテレビ局の男性プロデューサーに聞いた話だが、低姿勢というよりは誰に対してもフラットなのだとか。下っ端だろうが大御所だろうが、アシスタントディレクターだろうがプロデューサーだろうが、態度が変わらないという。肩書にも権力にもおもねらない。男性はそういう部分に「信頼感」を覚えるのかもしれない。 なんつって、適当な想像で書いているけれど、ムロツヨシが老若男女に好かれる存在であることに間違いはない。個人的にはムロツヨシを見ていると、「オキシトシン」というホルモンが思い浮かぶ。共感や協調性を高めたり、人の気持ちに配慮する作用をもたらす脳内神経伝達物質で、「育児ホルモン」「愛着ホルモン」とも呼ばれている。寛容性を増したり、痛みや苦しみなどの嫌な記憶を消す作用もあるらしい。 生き馬の目を抜く俳優界には、野心や攻撃性が高くてオラオラした俺様イメージの「アドレナリン系」がいる。逆に、快楽や愉悦、うっとり感と癒やしを与える王子様イメージの「セロトニン系」もいる。俺様でも王子様でもないのが「オキシトシン系」のムロツヨシというわけだ。※画像は本文と関係ありません(GettyImages) とかく世の中は、強き者・美しき者・高貴な者をほめそやす。戦いや争い、マウンティングの頂点に立った勝者を絶賛する。その図式に疲弊した人が、共感と協調性を呼ぶムロツヨシに心を動かされたのではないか。美男美女が繰り広げる恋愛劇にリアリティーを感じない人が、全身全霊でムロツヨシの恋愛を応援したくなったのではないか。 彼の暗躍がドラマ界に波紋を広げてくれるといいなぁ。二の線も三の線もイケる、真の実力をもつ役者が、もっともっと起用されますよう。美化しすぎない、ごく日常の人間模様が描かれますよう。

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    あふれ出すSPEEDのカルマ『Body & Soul』の愛欲が止まらない

    辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト) 1996年にデビューし、平成を駆け抜けたダンス&ボーカルグループ、SPEED。平成の終わりとともに、精算するかのようにカルマが吹き出している状態です。元ファンとしては切ないですが、4人とも30代で女の厄年が連続する年頃でもあります。業の深いメンバーについて改めて検証してみます。 思い返せばもう20年近く前、2000年にいったん「SPEED解散」したときは世の中に激震が走りました。解散の理由の一つとされていたのが、島袋寛子(HIROKO)さんの異性交遊。当時、HIROKOばかり非難されていましたが、今井絵理子(ERIKO)さん、上原多香子(TAKAKO)さんにも彼氏がいたといわれています。そして今となっては、HIROKOはERIKOやTAKAKOと比べたらストイックに生きているほうかもしれません。夫が12歳年下というところに、やり手であることが感じられるくらいです。 メンバーの中で、女の業レベルを競い合っているのは、やはりERIKOとTAKAKOでしょうか。TAKAKOはSPEED時代から魔性の女ぶりがささやかれてきました。マネジャーが目を離した隙に当時の恋人ISSAと逢瀬(おうせ)を重ねていたとか。ERIKOも黒髪優等生キャラの清純派に見えて、中学時代から彼氏がいて、実家に泊まらせるほどの仲だったといわれています。 ファンだった私は当初純粋なティーンの少女たちだと信じていたのですが、さまざまな噂や発言から、実像は違うというのが徐々にわかってきました。SPEEDが歌っている曲は刹那的で、恋愛がテーマのものが多い、という言霊の影響もあると思います。 伊秩弘将プロデューサーによるリアルな歌詞に感情移入して歌うことで、脳が恋愛モードになっていったのでしょう。多感な年頃だったので、リビドーが高まるのも自然な成り行きです。 当時印象的だったのが、あるバラエティー番組でERIKOによってカミングアウトされたエピソードです。「地方のロケに行ったとき、一人の部屋にみんなで集まるんですが、必ずアダルトビデオ(AV)を見ていたんです。『見よう』って言い出すのは決まって私だったんですけどね」というぶっちゃけ発言が。参院本会議に臨む自民党の今井絵理子参院議員=2017年2月、国会(斎藤良雄撮影) さらに別々の部屋の場合も、ERIKOの宿泊代だけ有料AVチャンネルの使用料で高くなっていたりしたそうです。どれだけ見まくっていたのでしょう。2017年、元神戸市会議員の橋本健氏との不倫熱愛報道があったとき、ホテルの廊下をパジャマで出歩いていた写真が出ましたが、ERIKOはホテルを使いこなしまくっています。 さらに「ツアーに行ったときは必ずコンビニでエロ本を仕入れて率先して回し読みしていた」という話も。歌やダンスでも発散しきれないエネルギーがほとばしっています。 解散してから3年後、2003年には「Save the Children」をテーマに再集結。『Be my love』の教会音楽っぽいイントロに、SPEED4人のざんげの気持ちを感じたものでした。唯一SPEEDを救える人 その後ERIKOの授かり婚、離婚を経て、2008年に本格的な再結成をしたものの、最盛期のような活動はできず…今に至ります。 2011年の『リトルダンサー』というシングル曲は、歌唱力もダンスも相変わらずハイレベルだったのですが、ダンサーを目指す人への夢応援ソングという内容だったので、メンバー的にもいまいち士気が上がらなかったのかもしれません。たぶんファンの多くは、再結成後の活動をフォローするというより、全盛期の思い出を記憶に焼き付けたままでいると思われます。 多くのファンにとって青春時代の象徴だったSPEEDのメンバーが、ここ数年、こんな形で世間を騒がせ続けるとは…。特に今年は、TAKAKO、ERIKOの2人が、奔放すぎでした。 TAKAKOは『週刊新潮』で報じられる直前に再婚と妊娠を発表。相手は演出家のコウカズヤ氏で12月ご出産予定だそうです。元夫TENNさんは悲しいことに自殺してしまい、遺書が公開され、その原因の一つはTAKAKOの不倫だとされています。でも当時の不倫相手の俳優とは別れ、新しい男性と入籍。TAKAKOはメンタル強すぎです。芸能ニュースサイトによると、TAKAKOと出会った瞬間に「コウ氏の下半身に『ビビビッ』と電流が走った」とのこと。下半身に電流を走らせる魔性ぶり、半端ないです。 ERIKOも10月に動きがありました。2017年の不倫釈明会見での「一線を越えてはいない」発言が話題になりましたが、そのお相手の橋本氏とまだ切れていなかったのです。 元市議の橋本氏は、妻と離婚し、政務活動費約690万円を不正に受け取ったとして詐欺罪で起訴され、有罪判決が言い渡されました。ゴルフやガールズバーに流用したそうですが、そんな彼でもERIKOの恋心はさめず…。ERIKOは「現在、私今井絵理子は元神戸市議会議員の橋本健さんとお付き合いさせていただいております」とブログで発表。 ちなみに橋本氏の前に半同棲(どうせい)が報じられたA氏は、中学生に本番行為をさせた風営法・児童福祉法違反容疑で逮捕されています。ERIKOは弁護士費用など支払ったそうです。どんなダメな男でも受け入れるERIKOの包容力…。ダメンズというよりは、ちょいワル男子に弱いのかもしれません。その博愛精神を、議員としてもっと国民のために使ってほしいような…。初登院し、記者の質問に答える自民党の今井絵理子氏=2016年8月、東京・永田町の国会議事堂前(桐原正道撮影) そして気になるのは、音信が途絶えている新垣仁絵(HITOE)。文字通り『HITOE’S 57 MOVE』、どこかに行ってしまいました。ヨガインストラクターの資格を取り、ヨガ教室を開講し、一般男性と結婚。ヨガで直感力が高まった彼女は、このままグループのメンバーと一緒にいたら、カルマの渦に巻き込まれる、と予知したのかもしれません。 でも、メンバーを女の業から救い出せるのはHITOEだけかもしれません。ヨガの癒やしと浄化のパワーによって、肉体レベルの愛にとらわれているメンバーをわれに返らせたり…。SPEEDの救世主であるHITOEの再降臨を、元ファンとして祈念いたします。

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    養子縁組も既定路線? ジャニー喜多川が滝沢秀明を溺愛する理由

    平本淳也(元ジャニーズ所属タレント) ジャニーズと社長のジャニー喜多川氏をよく知っている人なら後継者「滝沢秀明」(タッキー)は想像に難くなかっただろう。 スポーツ紙を中心に報じられた「ジャニーズの後継者にタッキー指名!」のニュース。ジャニーズは今年、問題だらけのネガティブな雰囲気のまま終わってしまうのかと思っていただけに、計算されたかのようにジャニー氏の後継指名は「グッドニュース」として発信された。 タッキーがジャニー氏の後継者になることについては、ファンはもちろん、ジャニーズ内外、マスコミ、そして僕らOB連中も含めて歓迎ムードが広がっている。だが、これは同時に近藤真彦(マッチ)や少年隊の東山紀之(ヒガシ)じゃなくて良かったという安堵感の裏返しでもある。 マッチやヒガシが後継者になるとのウワサに関しては、僕はかなり前から否定してきたが、なぜか世間は年功序列に従うかのように「マッチ社長」と「ヒガシ副社長」というカタチを勝手に思い込んでいたようだ。 今回もマッチやヒガシを差し置いてとか、元SMAPの中居正広や木村拓哉だけでなく、TOKIOやKinKi Kidsまでもが不満を募らせているといった、勝手な想像による記事が目立つ。 そもそも勘違いしているようだが、タッキーはジャニー氏の仕事を受け継いで、タレント発掘や育成だけでなく、グループの形成やステージの制作を担っていくわけで、ジャニーズ本体の代表になるわけではない。また、ジャニーズの新しい事業として立ち上げる「育成機関」の責任者としての役割を担い、ジャニーズのステータスを永続的に維持していくのがタッキーの役目だ。 その役目は、すでに裏方に徹している少年隊の錦織一清(ニッキ)説が強かったが、アイドルの格において無理があった。ニッキもある意味、天才的なセンスを持っているが、「ニッキって誰?」という人の方が多いのが悲しい事実。マッチやヒガシだったらまだマシだが、一連のジャニーズアイドルの不祥事を吹き飛ばすほどではない。 ジャニーズ所属タレントの中で、マッチは「道楽息子」の長男、甘え上手の次男がヒガシという感じだ。タレントとして良い意味で2人とも目立ちたがりでナルシスト。後継者になれなくもないが、裏方に徹するなどプライドが許さない。ただ、マッチに関して言えば、いまさら何を指導できるのか。そう、レーサーとして車の運転を教えることができても芸能界では生きていけない。(イラスト・不思議三十郎) 要はジャニー氏の後継者として、マッチもヒガシも話題性や将来性、実力を踏まえれば物足りないのだ。 そもそもジャニーズの次期社長やジャニー氏の後継ぎをイメージするとき、タレントばかりに注目してウワサすること自体が間違っている。事実、明石家さんまや松本人志が吉本興業の後継者としてウワサにもならない。ホリプロの役員でもある和田アキ子が同社を継ぐならまだあり得るが、それでも事務所経営を担うのは無理だろう。 ジャニーズにしても次期社長は既定路線のまま、現副社長の藤島ジュリー景子氏が就くのはジャニー氏も公言している通りで、すでに複数のグループ会社の代表になっている。ジュリー景子氏は唯一の若い血縁者であり、そこは「テッパン」だと僕はかなり前から強調してきたが、これは間違いない。ジュリー景子も無理 ジュリー景子氏は仕込まれた帝王学と潤沢な資金を背景に事務所経営は大丈夫だろうが、プロデューサーとしてジャニー氏の代わりは一切務まらない。衣装のプランやビジュアル面では現場経験があり、女優として演じていた時期もあるが、アイドル候補を発掘して育成、その上でステージのすべてを作り上げる才能も力もない。 つまり、ジャニーズのエンターテインメントの本質においては全く役に立たないのだ。それは母親であるメリー喜多川氏(ジャニー氏の姉)も同じで、最強の営業力と管理能力を持っていても演出やプロデュースには縁がない。専らそれはジャニー氏の仕事であり、彼にしかできない。実際、これまで姉や姪(めい)であっても演出分野においては一切、口を出していない。 ジャニー氏がずっと心配してきたことといえば、ジャニーズ事務所の存続ではなく、ジャニーズがジャニーズであり続けるために自分の思想を受け継いでくれる分身的な後継者がいないという現実だった。そもそもジャニー氏は当初、自分しかできないことを他の誰かに引き継ぐ気などなかった。 生涯現役であり続けることにこだわってきただけに、これまで後継者の話題が出てこなかったのもその証拠だ。自分以外が代わりを務められるわけがないと、そう思いながらここまできたのだ。 しかし、事態は一転した。それはSMAPの解散騒動だ。ジャニー氏はあの騒動で、ジャニーズが壊れていく様子を垣間見てしまった。これは想像していなかったことで、あまりにショックが大きかったのだ。国民的アイドルとして絶頂にありながら、ジャニーズを離れていくアイドルがいる現実は受け入れ難いものがあった。 SMAPの解散を受け、「ジャニーズの終焉」や「ジャニー氏の求心力の衰え」といった、そんな声が嫌ほど入ってくる事態になり、このままにしておくわけにはいかないと感じたのだろう。 そこで、信用できる自分の分身を考えたとき、たった一人、タッキーしかいなかったのだ。タッキーには、ジャニーズとジャニー氏への最上の愛があり、誰よりも自分を理解していると感じていたようだ。(イラスト・不思議三十郎) 重視したのは、アイドルとして歌って踊れるだけでなく、ジャニーズにとって最も大切なステージ(生舞台)をプロデュースできる点だ。ジャニー氏のまねをしながら育ってきたタッキーは、いつしか匹敵するレベルの能力を培っていたという。 もう少し、ジャニー氏がタッキーを選んだ理由を記しておこう。メジャーアーティストを輩出した人数などが世界一としてギネス認定されるほど人を見る目に長(た)けたジャニー氏だが、その能力と同時に白黒ハッキリした好みがある。 ルックスや性格など一般的な好みはもちろんだが、際立って興味を示すのはそのアイドルの持っているプロフィールにある。まず、家族構成だ。どういった環境で育ってきて今どのように暮らしているのかに強い興味を持ち、さらに、その環境が幸か不幸かによって好みが強く出てくる。養子縁組は確実 例えば「幸」の場合、嵐の櫻井翔のように将来有望な元官僚の親を持っていたり、関ジャニ∞の大倉忠義のように何百億円もの資産を持つ企業の御曹司といった、生い立ちに興味を抱く。 ただ、どちらかと言えば、ジャニー氏は「不幸」と思われる環境の方に、より強い関心を持っている。極端な例では、孤児だったり、片親だったりするだけで、非常に目をかけてくれる。片親の僕は実体験だが、本当によくしてもらった。「君は片親だから、両親がそろっている家庭と比べれば恵まれている度合いは半分しかない。だからその半分をチャンスとしてあげたい」と、言葉をかけてもらった。 タレント性を見いだすヒントとして、その人が育ってきた環境や背景を知ることはとても重要なのだろう。官僚の子や企業の御曹司より、人間的な魅力を作ろうとするプロデューサーは不幸な子のハングリー精神を求めるようだ。そういった意味ではタッキーも深い関心の中で育てあげた成功例といえるのだ。 あまり知られていないが、タッキーの父親は母親の再婚相手であり、実父とは小学生のときに離別している。事実上片親を経験していることもジャニー氏にとっては放っておけない存在であり、大きなチャンスをあげたいと感じたに違いない。 タッキーは中学生のころからあの美貌を持ち、さらに明るい性格で、なおかつ真面目で芯が強かった。僕も初めてタッキーと対面したときは言葉を失ったくらいだ。 そもそもジャニー氏がアイドルとして最高評価をしているのは、KinKi Kidsの堂本光一だが、その光一にあこがれてジャニーズ入りしたタッキーが、自分が作るステージで華やかに舞い観客を魅了する姿を楽しんでいたのだ。 ジャニー氏は、子供も伴侶もなく、血縁者も2人しかいない。そんな中で、自分が発掘して育ててきたタレントはみんな自身の子供と表現するが、光一とタッキーだけは本当の家族にしたいと思っているようだ。 今回の後継指名に関して、タッキーと養子縁組するという情報もあるが、この可能性は極めて高い。ジャニー氏は恵まれない子供たちを支援する団体の設立を目指しており、自らの財産と生き様を伝承して後世に残せるジャニーズを残すためにも、タッキーとの養子縁組は信頼できる「家族」を作る最初で最後のチャンスといえるからだ。(イラスト・不思議三十郎) タレントを完全に引退し、ジャニー氏を継ぐ覚悟のタッキーへのエールは業界を超えて広い範囲から多く寄せられているが、こうした期待と歓迎ムードに仕立てたのはジャニー氏ならではの演出といえるだろう。 タッキーがマッチやヒガシのようになってからでは遅く、ニッキのように長く裏方に入ってしまってからでは話題にも乏しい。かつての山口百恵や、先月引退した安室奈美恵のように絶頂期だからこそ価値があるからだ。 普通に考えればもったいないし、ファンからすれば引退しないでほしいと思うところだが、与えられた大きな使命を思えばタッキーはジャニー氏の後継者として「永遠」に語り継がれる存在となるだろう。

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    剛力彩芽はきっとZOZO前澤友作氏を踏み台にする

    吉田潮(ライター・イラストレーター) ZOZO社長の前澤友作氏の名前は、ネット上でよく目にしていた。といっても、彼自身が主役ではない。元彼女の紗栄子が何かと物議を醸す女性だったから。彼はパトロン的な存在程度の認識だった。それでも「子供は認知するが、結婚はしない主義」を公表する姿勢は、個人的に好感をもっていた。ま、本当は認知する前に避妊しようよと言いたいところだが、何かポリシーか心の闇があるのだろう。 情報を調べたところ、ますます好感を持った。千葉県鎌ケ谷市出身というのは、船橋市出身としては親近感を覚えるし、現在も千葉県在住という点も興味深い。イケすかない金持ちは「港区とか世田谷区じゃないのか!」と驚きもあった。もちろん拠点は都内で、住んじゃいないだろうが、千葉県の税収に多大なる貢献をしているのは確かだ。感謝の念も湧く。金持ちを嫌儲主義でたたくよりも、「莫大(ばくだい)な納税額をありがとう」と思うようにしているからだ。 しかし、周囲の女性の評価はすこぶる低い。「何がイヤって、若い女性に手を出すところ」「札束で引き寄せる感じしかない」。若い女性を金で釣る印象が強いようだ。まるで「補助金どぶ漬けにして貧しい自治体に厄介な施設を押し付ける国のやり方」のような感じか? そんな個人的感情はさておき。まさか、彼が動いてしゃべる姿を、テレビのニュース番組で見るとは思ってもいなかった。10月9日放送『news zero』(日テレ系)だ。髪を染めた田口トモロヲのような風貌の前澤氏が、月に行くという壮大な計画を発表したのだ。 少し脱線する。いつも思うんだけど、どうして巨万の富を得た男性はこぞって「宇宙」を目指すのか。前澤氏いわく「自分のメッセージを世界中に発信する」ためだという。そして、その伝えたいメッセ―ジは「世界平和」。 壮大なのに、実にふわっとしとる。昭和の残骸である私にはどうしても故・笹川良一が思い浮かぶ。火の用心から世界平和まで唱えた好々爺(や)である。あのCM、忘れられないよね。大人になってからはいろいろと黒い噂を知り、「世界平和をうたう人は基本的にうさんくさい」と学んだ。前澤氏にもちょっぴり同じ匂いがしないでもない。日本外国特派員協会で会見を開いたZOZOの前澤友作社長=2018年10月9日、東京都千代田区 もちろん、テレビでは記者会見の一部を切り取って放送するので、計画の細かな部分はざっくり削除。そして、ネタの中心、というか核は「交際中の剛力彩芽」であった。実際、外国特派員協会で行われた記者会見では、宇宙に対する思いのたけ、綿密な準備を開始していること、批判に対する切り返しなど、月旅行に限らない現状を真摯(しんし)に語っていたようだ。が、テレビではもちろんバッサリ切り落とされた。 『news zero』ではこの件に関して子供たちにインタビューし、ゲストコメンテーターの落合陽一氏のフォローなども含めて、前澤氏を応援する形にはなっていたのだが。夜のニュース番組をなんとなく流し見している人に記憶されたのは、「世界平和」と「剛力彩芽」だろう。ふわっとゆるっとチャラい印象だけが余韻として残る……。ゴリ押しから解放されて この二人が交際を始めてから、連投するインスタグラム(写真共有アプリ)が話題になっていたことは知っている。「バカップル」と揶揄(やゆ)され、炎上騒ぎもちらほら。見かねた剛力の事務所が削除させたらしいとの噂もあり。それが、とうとうテレビでも触れ始めたか、と思ったのだが、そこにはなんとなくきな臭いモノがあった。同局の番組『アナザースカイ』では、12日のゲストが剛力彩芽だったからだ。 これは、芸能人や有名人をゲストに呼び、「海外にある、第二の故郷」を語ってもらうトーク番組だ。剛力がパリに訪れ、買い物を楽しみ、パリコレを最前列で鑑賞し(隣にはもちろん前澤氏が座っている)、アイデンティティーを表現するダンスをお披露目し、最近一人暮らしを始めた旨などを語っていた。自分から発信したいと思うようになってSNS(会員制交流サイト)も始めた、などなど、つっこみたくてウズウズするような内容ではあった。実際、司会の今田耕司はウズウズを抑えきれずにつっこみを入れたのだが、剛力は笑ってスルー。映像もさらっと編集してあった。 ふむふむ。そういうことか。剛力が今まで築いてきたイメージをZOZO前澤氏なんかに崩されたくないわけだ。従順で真面目でおぼこいゴーリキちゃんが「恋愛に溺れておかしくなっている」のではなく、「今、いろいろなことにチャレンジして新しく脱皮しようとしているブランニュー・ゴーリキ」方向へ持っていきたいんだな。「第2回ミス美しい20代コンテスト」概要説明記者発表会に出席した剛力彩芽=2018年3月22日、グランドプリンスホテル高輪(撮影・田村亮介) ゴーリキちゃんについて、少し触れておきたい。彼女は7歳からモデルを目指し、15歳で『セブンティーン』のモデルデビューを果たす。私が記憶しているのは、ドラマ『IS~男でも女でもない性~』(テレ東系、2011年)だ。 性分化疾患のインターセクシュアルという難しい役柄を見事にこなした。中性的なルックスと不思議な佇(たたず)まいに心がざわついた。その後、あれよあれよとスターダムにのしあげられるゴーリキちゃん。オスカーという巨大事務所の3枚看板(武井咲、忽那汐里とともに)として、毎クール必ずどこかしらのドラマに主演級で出演することに。ちまたでは「事務所がゴリ押しのゴーリキちゃん」と揶揄(やゆ)され、私自身も実際そう思っていた。いや、事実なんだろうけど。ゴーリキちゃんの転機 彼女自身は歌って踊ることも大好きなようで、念願の歌手デビューも果たした。菓子パンCMを始め、CM女王にも輝くほどの活躍。主演したドラマはどれもイマイチ視聴率が振るわなかったが、着実にキャリアを積んでいた。 ところが、ここ1~2年のゴーリキちゃんは、ゴールデン枠からプライム枠、そして深夜枠のドラマへと移行していき、正統派ヒロインだけでなく、かぶり物やコスプレがメインのキャラクターを演じるようにもなった。『レンタルの恋』(TBS系、2017年)というドラマが実にクオリティーの低い仮装なのだが、物語としてはものすごく納得のいく結末なのでぜひ見てほしい。そして、今は2時間モノで「主演の男性俳優についていくサブポジション」にたどり着いている。視聴者としては「最近、ゴーリキちゃんの扱いが雑になってきたな」と思ってしまう。本人が働き方を変えたいと思ったのか、さっさと妊娠・結婚した武井咲に感化されて反抗したのか。それともドラマ業界でメインに据えるニーズがなくなったからなのかは、正直分からない。 おそらく、18歳の頃から休みが一切なく、25歳までは恋愛禁止で、馬車馬のように働かされてきたゴーリキちゃんに「いい転機」が来たのだと思う。『アナザースカイ』でも話していたが、「初めて三連休をもらったのに、何をしていいのか分からなくて結局何もしなかった」そうだ。そして「今、仕事をもらえているのも、自分の実力じゃないじゃん、と。甘えていたんだなと思って。自分から発信していきたいと思うようになった」と言うのだ。 SNS炎上に対する事務所へのフォロー発言かなと思いつつも、10代から働き続けてきた女性の本音と恨み節を垣間見たような気もする。10代後半の多感で多動でかけがえのない楽しい時期を、汚れた大人の言いなりになって優等生を演じてきたゴーリキちゃんが今、解放感を味わっているのだ。TBS系ドラマ『レンタルの恋』の取材会に出席した(左から)岸井ゆきの、剛力彩芽、太賀=2017年2月、横浜市青葉区 つまり、前澤氏はゴーリキちゃんにとっての踏み台でもある。世間では「清純派で箱入り娘のゴーリキちゃんがZOZOに遊ばれて捨てられる!」と懸念しているようだが、実は逆ではないか。海外旅行での解放感にはしゃぎ、念願のパリコレも見て、アートの重要性と可能性とうんちくを聞き流し、さまざまな経験をさせてくれたら、後は自分の仕事に生かすだけ。 26歳のゴーリキちゃんにはまだたくさんの可能性と時間がある。やりたいことも目白押し。42歳の前澤氏(しかも結婚しない主義)から必要なものをインプットできたら、後は捨てるだけ。金目当ての元カノとは異なり、芸の肥やしでしかないと思うのだ。よそはよそ、ゾゾはゾゾ、うちはうち。ゴーリキちゃんがいつか「ZOZOを踏み台にした女」と呼ばれる日が来るはずだ。あ、なぜか破局する前提で書いているけれど。

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    『半分、青い。』共感できないヒロイン、それでも私は好きである

    吉田潮(ライター・イラストレーター) テレビドラマで増えているオーディオコメンタリー。本編と同時に、副音声で出演者や監督・脚本家が撮影時の苦労話やたわいもない話をくっちゃべる。私はほとんど聞かない。ドラマそのものに集中したいから。出演者が合間のCMに笑顔で登場するのも大嫌い。 もっといえば、せっかくキャラクターが熟して、物語に濃淡も出始めた頃に、突如撮影秘話だの役者が暑苦しい思い入れを語る特別編を入れてきたり、別枠トーク番組を挿入するのも大嫌い。大河ドラマ『西郷どん』がそうだったな。しかも2回も。肩透かしを喰(く)らって、「なんでやねん」と舌打ちした記憶が。 いろいろときなくさい事情はあるらしい。演者が他局の同一時刻番組に出るせいで、裏かぶりを忌避するために力の弱い局のほうが泣く泣く体裁を変えるとか……。ま、NHKは弱かぁないので別の事情だとは思うが、物語に集中して毎週楽しみにしている人間からすれば、興ざめの一言である。とにもかくにもドラマが作り出した虚構の世界にどっぷり浸りたいから、裏話は後日談で十分と思っている。 ところが、大多数の視聴者は違うようだ。ただドラマを見るだけではなく、周辺情報を同時に入手しつつ、感想を共有したり、わが意を得たり、あるいは許せない!と憤慨して発信したりで、大忙しの状態を好む。ドラマのHP・演者や関係者の会員制交流サイト(SNS)をチェックし、ともに作品を作り上げる喜び、という感覚なのかもしれない。 本題に入る。NHKの朝ドラ『半分、青い。』である。脚本家の北川悦吏子がツイッターに裏事情をつぶやき、絶賛するファンも増やす一方で、アンチも増やしているという。メディアも「北川ツイッター発言=炎上」の構図をいちいち取り上げたりもする。ちなみに、アンチ派は「#半分白目」で辛辣(しんらつ)な文句をつぶやいているのが、なかなかに面白い。ドラマの作り手が言わんでええ内部事情(肝いりのセリフやシーンがカットされたこと)や役者との交流を逐一つぶやいちゃうので、まあ、賛否両論勃発もさもありなん。 それでも、こんなにSNSで話題になっていることを考えれば、戦法としてアリだと思うし、斬新だ。朝ドラと言えども、いつまでもあぐらをかいていられないわけで、新規客は常に欲しいところ。今年4月期のドラマ『おっさんずラブ』(テレ朝系)は、登場人物のインスタグラム(写真共有アプリ)と連動して、ある種のブームを起こしたわけだし、今クールも「dele」で主演の菅田将暉と山田孝之がインスタを使って、放送前から話題だけは呼んでいたし。 ただし、大失敗も忘れてはならぬ。昨年大ゴケしてしまった『セシルのもくろみ』(フジ系)では、主演の真木よう子が張り切ってツイッターを始めたものの、その言いようが嫌われて総スカンを喰らってしまった黒歴史もある。NHK朝ドラ「半分、青い。」 冒頭で書いた通り、私自身は裏話や暑苦しい思い入れは、本編と同時である必要性はない、と思っている。でも、それが本編の画面に出てくることはないので、まったく問題ない。流れてくる情報を受け流せばいいだけ、ドラマに集中すりゃいいだけのこと。脚本家の奮闘と暴走、揚げ足取りの視聴者、ファンとアンチの小競り合いをいったん横に置いて、「半分、青い。」をどう見ているか、だ。 ヒロインが同世代ということで、最初から興味津々だったし、今もずっと見続けている。ファンでもなければアンチでもない。疑問も文句もあるが、最後まで見たいと思っているので、ファンなのだろう。何が私の心をとらえるか 私が苦手なのは、ただ1点。ナレーションが多すぎる。祖母役の風吹ジュンが悪いのではない。もう途中から風吹ジュンではなく、北川悦吏子の声にしか聞こえなくなってきた。とにかく人間関係も心情描写も、ナレーションが饒舌(じょうぜつ)すぎる。過去、祖母がナレーションというのは多々あったが、もっと淡々と、あるいは距離を置いての語りだったはず。ところが、制作側の大人の事情だの、時代背景との齟齬(そご)の解説まで語ってしまう。神の視点か。役者の見せ場がナレーションに強奪されたシーンを何度も見て、ため息。なんでこのばあさんは成仏しないのか。ヒロインがうまいこといかないのは、死んだばあさんの呪いだと思うことにした。なので、もう、慣れた。 展開が早すぎる・雑すぎるという「ショートカットっぷり」も気にはなるが、悪く言えば性急、よく言えば緩急。そこは今の時代、というか、軽薄な70年代生まれを描くにちょうどいいのではないか。また、イケメン俳優を次々投入、というのも今に始まったことではない。大河ドラマも同じ手口ね。そのファン層(特に、粘着質でヒマで金は持っててイベントをやれば来てくれる中年女性)がついてくれれば御の字、というNHKの意向も理解できる。 では、何が私の心をとらえるか。ひとえに、ヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)が清くも正しくもないからだ。思ったことを口にするし、口にするのを憚(はばか)られるような文言もスルリと吐いてしまう。 羽根より軽いと揶揄(やゆ)されるほど口が軽く、内緒話を速攻拡散してしまう。悪気や悪意はないが、思いやりも優しさもさほど持ち合わせていない。ドジっ娘の範疇(はんちゅう)を超えたヘマをしでかすし、自己主張も強くて頑固。ちゃっかりしていて依存体質。幼少期から幼なじみの佐藤健に精神的に依存。離婚後、実家に戻って、幼なじみが働き口を紹介してくれても上から目線で断り、経済的に実家に依存。さらには実母・松雪泰子の虎の子を五平餅店開業に使いこもうと目論(もくろ)んだり。朝ドラにこんな自己中心的なヒロインがいただろうか。もしかしたら、『純と愛』の夏菜、「まれ」の土屋太鳳に続く「3大・不穏なヒロイン」かもしれない。別名「共感を呼びにくいヒロイン」とも。 でも、私は嫌いじゃない。しかも、永野は「才能がない」という、朝ドラヒロインがあまり背負わない絶望を味わっている。プライドが低いように見えて実は高い。漫画家としての才能の限界に気づき、打ちのめされたのだ。才能って、努力や根性、周囲の助けでなんとかなるものではない。どうしようもない、乗り越えられない高い壁にぶち当たり、「きっぱり諦める」道を選んだ。映画監督の夢を諦めきれない夫・間宮祥太朗を許さなかったのも、あの苦い経験があったからこそ。NHK朝ドラ「半分、青い。」 人を傷つけないよう、気兼ねしたまま、自分の人生をそーっと歩くヒロインよりも、永野のほうが人生に悔いも恨みも残らないだろう。誰かを傷つけても、自分が傷ついても、自分が主語でいることを変えない。恨まれたり、やっかまれることがあっても、負の感情に直面しなさそう。というか、それに気づかない鋼のメンタルとも言える。 他人と比べて卑下して地面を見て歩くよりも、誰が何と言おうと空を見上げて歩きたい、と言い切る。漫画家、百均ショップ店員から五平餅屋と、行き当たりばったりの博打(ばくち)人生だが、こんなヒロインがいてもいい。朝ドラヒロインの多様性を快く受け入れたい。ということで『半分、青い。』を推している。褒めちゃいないが、好きである。