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    沖縄知事選に潜む巧みな罠

    翁長雄志前知事の急逝に伴う沖縄知事選が告示され、選挙戦が始まった。表向きは米軍基地移設をめぐる保革対決の構図だが、その裏では沖縄の米軍基地集中を「人種差別」とした件の国連勧告を強く意識した駆け引きも見え隠れする。「オール沖縄」が仕掛ける巧みな罠、その実態を暴く。

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    北海道電力「ブラックアウト」の裏を読む

    北海道地震では、日本の電力会社で初めて管内すべての電力供給が止まる「ブラックアウト」に見舞われた。直接の原因は震源近くの火力発電所に電力供給を依存していたことだったが、むろん今回の事態はどこでも起こり得る。なぜ電源は崩壊したのか。脆弱な電力供給の背景を読む。

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    「たかが電気」どころじゃない! ブラックアウトの経済的損失がヤバい

    上念司(経済評論家) まずは北海道で被災された方々にお見舞い申し上げます。 日本で初めてのブラックアウトが起きてしまった。これは由々しき問題だ。ご存じの通り、電力の供給と消費は「同時同量」でなければならない。例えば、今年の夏のように猛暑が続くと、昼間の電力消費が急激に増える。電力会社は「同時同量」を維持するために発電所の稼働を上げてそれに備える。もしそれをしなければネットワーク全体がダウンしてしまうからだ。 今回のブラックアウトは消費側ではなく、供給側の発電所が地震によって停止したために発生した。苫東厚真火力発電所は、出力165万キロワットで北海道全体の電力需要310万キロワットの約半分を占めていた。ここが地震で止まったことで、「同時同量」が維持できなくなってしまった。 そもそも、なぜ北海道電力の電源構成が苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所に偏っていたのか?  その理由は人災である。すでに指摘されていることではあるが、もし泊原発が動いていれば全道停電などという事態は避けられた可能性が高い。そして、泊原発を7年も停止状態に追い込んだのは菅直人だ。この点に関しては以下の論説に詳しいのでぜひこちらをお読みいただきたい。 澤田哲生「北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある」(iRONNA 2018/09/07) 技術的な問題は専門家に譲るとして、私は経済的な損失について考えてみたい。まず停電によって失われる経済的な付加価値について考えてみよう。電力中央研究所は次のように試算している。産業連関表(2005年、ただし全国版4)によると、生産活動に中間投入される電力(の金額)は、GDPの2・3%程度であり、その逆数をとると約44である。短期的には電力は代えが効かないとみると、経済活動は、電力コスト1の投入を前提に、その44倍の付加価値を生み出しているという言い方ができる。 需給対策コストカーブの概観 (今中健雄 電力中央研究所 社会経済研究所) では、この44倍という数値を今回のケースに当てはめてみる。被害を受けた北海道電力の発電コストは部門別収支計算書(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)に書いてある。これによれば、電気事業費用の総計は6564億円だ。これを365日で割ると、1日当たりの発電コストが17・9億円になることがわかる。これを44倍した791億円が1日の電力コストを消費して得られる経済的な付加価値だ。 今回のケースではブラックアウトは約2日間だったので、その分の経済的付加価値の損失は1582億円と試算される。避難所となった小学校の体育館。停電のため被災者はランタンや懐中電灯などをともし、不安な夜を過ごした=2018年9月6日、札幌市東区 ここまでがすでに失われた経済的付加価値だ。しかし、損失はこれにとどまらない。今後も続く電力不足による経済的な悪影響についても見積もる必要がある。 北海道電力の不眠不休の努力によって、全道停電状態は9月8日の昼頃には解消した。しかし、実際のところはギリギリの綱渡りだ。苫東厚真石炭火力発電所の完全復旧にはまだかなりの時間を要すると見られており、それまで電源不足は続く。既述の通り、電力は「同時同量」なので、供給側に余裕がないとこの近郊が崩れかねない。再びバランスを崩せばブラックアウトに逆戻りだ。損失は年間で5000億円 そうならないようにするために、今緊急にできることは需要側の制限だ。そのため、政府および北海道電力は東日本大震災の時に実施したのと同じような計画停電の検討をしているとのことだ。ただ、現時点(9月9日)ではまだ具体的な実施計画は決まっていない。 とはいえ、仮にこれが実施されたとすると、経済的な損失はさらに拡大する。東日本大震災の計画停電に伴う経済的な損失については以下のような試算があった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストの佐治信行氏が一定の前提を置いたうえで試算したところによると、1都8県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県の一部)の対象地区が3時間の停電を4月末まで続けた場合、5・4兆円、1年間のGDPの1・04%が失われる。(ロイター 2011/03/15) 実際には複雑なサプライチェーンがあり、どのような影響がでるのか試算は難しいが、ざっくり県内生産額で比較すると今回の被災地は東日本大震災の被災地の10分の1位程度になる。これを単純に当てはめると、仮に東日本大震災の時と同程度の期間計画停電が行われるとするなら、損失は年間で5000億円程度になる。 また、仮に計画停電がなかったとしても、いま政府が呼びかけている20%の節電は現実に続いている。先程の試算に基づくなら、20%の節電によって失われる経済的な付加価値は1週間あたり1107億円だ。果たしてこれだけで済むかどうか、予断を許さない。 ここまで試算した停電に伴う損失を合算すると累計損失額は最低でも2700億円、最大で6600億円にもなる。これはあくまでも試算だが、停電に伴う経済的な損失はこれほど膨大な数字となるのだ。「たかが電気」などと揶揄していたミュージシャンがいたそうだが、ぜひこの損失金額を見てよく考えてほしいものだ。 ちなみに、北海道電力が泊原発の再稼働に向けた安全対策の予算は約2000~2500億円である。この損失額に比べれば安いものではないだろうか? 北海道電力は24日、泊原子力発電所(泊村)の再稼働に向けた安全対策に2011年度から18年度までの8年間で2000~2500億円を投じると発表した。原子力規制委員会の新規制基準に対応するため、従来計画より5割ほど増やす。11月を想定していた再稼働時期については、記者会見した真弓明彦社長が「かなり厳しい」と発言し、12年5月から続く停止期間が長引く見通しを示した。 北電、泊原発の安全対策に2000億円超 8年間で(日経新聞 2015/3/25) 東京工業大先導原子力研究所助教の澤田哲生氏によれば、今回の地震で泊原発が観測した揺れはせいぜい10ガル以下である。泊原発は100~300ガルの揺れを観測すると安全のため緊急停止するが、10ガル以下では全く運転に支障はない。もし泊原発が再稼働済みだったら今回の地震では停止せず運転を続けていた可能性が高い。泊原発の1号機と2号機は57・9万キロワット、3号機は91・2万キロワットの出力がある。3基とも稼働していたら出力の合計は苫東厚真石炭火力発電所の出力165万キロワットを上回る。おそらくブラックアウトもなければ、計画停電も不要だったのではないか? 仮に一時的な停電が発生していたとしても、復旧は早く被害は桁違いに少なかっただろう。電気の復旧作業を行う作業員ら=2018年9月10日、北海道厚真町(松本健吾撮影) 今回、全電源が停止したことによって、人工透析を受けている人、ICUで処置中の人に多大なる迷惑がかかっていたと聞く。電源喪失は人の命に関わる問題であることを再認識すべきではないだろうか? 原発をタブー視して議論を避けてばかりでは何も始まらない。泊原発の地震対策について具体的に議論し、安全な再稼働を検討すべき時期に来ていると私は思う。

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    北海道大停電、真のリスクは泊原発「チェルノブイリ級核爆発」だ!

    藤原節男(原子力安全基盤機構元検査員) 9月6日深夜3時8分、北海道胆振(いぶり)地方を襲った大地震で、泊原子力発電所が外部電源喪失となり、非常用ディーゼル発電機が自動起動した。北海道電力最大の火力発電所である苫東厚真発電所が緊急停止した影響で、他の発電所がダウンしたためだという。 原子力発電所には、設計基準事象の事故を起こした時の安全確保のため、原子炉を止め、原子炉や使用済み燃料プールにある燃料を冷却(崩壊熱除去)し、放射能の放出を閉じ込めるために安全上重要な設備がある。この「安全上重要な設備」の電源には、外部電源または非常用ディーゼル発電機を用いる。 地震により、原子炉を停止した場合に、外部電源喪失と、非常用ディーゼル発電機の起動失敗が重なると、福島原発事故の二の舞となる。したがって、外部電源の信頼性は非常に重要である。 北海道電力のプレスリリース(2011年5月16日)には「泊原子力発電所の外部電源は、信頼性が確保されている」との記述がある。 しかし、今回の外部電源喪失は、真弓明彦・北海道電力社長によれば、「極めてレアなケース。すべての電源が落ちるリスクは低いとみていた」とのことであった。総出力165万キロワットの苫東厚真発電所がダウンして、実際に、北海道全域の交流電源が失われたのなら、「極めてレアなケース」とは言えない。偏った電力系統構成を変更し、電力の需給を適正にコントロールしないと、泊原子力発電所は「現在も、極めて供給信頼性のない送電線により電力系統に接続されている」ということになり、北海道電力は結果的に「虚偽報告」を行ったことになる。 私はこれまで、2011年に爆発した福島原発3号機と同じような危険性が、泊原発3号機もあると警告してきた。  さかのぼること2009年3月、独立行政法人「原子力安全基盤機構」の検査員だった私は、泊原発3号機の安全性について上司からの改ざん命令を拒否し、4件の公益通報を行った。それは、検査員としての職務を全うするためであったが、原子力村組織により公益通報は、ないがしろにされ、結局それがために職を追われるという不利益を被った。そこで「このままの原子力村組織では、いずれチェルノブイリのような大事故が生じるに違いない」と考え、120%敗訴を覚悟で、原子力公益通報裁判に訴えた。 私が行った4件の原子力公益通報は下記の通りである。(1)泊原発3号機使用前検査での記録改ざん命令について(2)その記録改ざん命令の是正処置を行わず、問題を放置したJNES(原子力安全基盤機構)組織のあり方について(3)1999年に敦賀2号機で起きた再生熱交換器連絡配管破断事故の原因究明をめぐる問題について(4)JNES(原子力安全基盤機構)において、検査ミスを報告する際に本来の報告書を使わず、簡略化した書式(裏マニュアル)で済ませていることについて 11年3月8日、いつまでたっても公益通報を記事にしない経産省記者クラブの記者たちに、私は「このまま公益通報を記事にしないで、公益通報(内部通報)が無視されている状態が続けば、明日にでもチェルノブイリ級の大事故が生じる。すぐに記事にしてください」と警告メールを送った。 東日本大震災、そして福島原発事故が発生したのは、その3日後、3月11日のことだった。3月14日午前11時01分の福島3号核爆発は、まさに原子力公益通報「泊3号減速材温度係数測定検査」と同じ原理であった。福島第1原発4号機のオペレーションフロア(5階)から見た3号機、その奥が2号機(水色の建屋)=2012年5月、福島県大熊町(代表撮影)  福島原発事故以降は、日本最強の脱原発弁護団を擁して、東京地裁から東京高裁、最高裁へと舞台を移しながら闘った。しかし、いかんせん、行政府に支配された裁判所では、健闘むなしく全面敗訴という結果に終わった。これら全ての経緯は、私の著書『原子力ドンキホーテ』(ぜんにち出版)に、実名記録としてまとめている。福島との共通点 11年3月14日午前11時01分に爆発した福島3号。この爆発は後述する「福島3号核爆発の理論」の解説の通り、福島3号使用済み燃料プールでの核爆発であった。これと同じ原理で、泊3号の原子炉も同じように核爆発を生じる危険性がある。 福島3号核爆発は、まさに私が行った原子力公益通報「泊3号減速材温度係数測定検査」と同じ原理であった。 福島3号核爆発では、使用済み燃料プールが沸騰している時に、使用済み燃料プールの水面上方にて水素爆発があり、その爆発圧力が水面下に伝搬して、沸騰水中のボイド(気泡)が急激に小さくなることにより、正の反応度が添加され、それが結局核爆発の原因となった。これと同じことが、泊3号でも生じる危険性がある。 そのリスクのひとつが、制御棒引き抜き事故だ。泊3号、というより加圧水型軽水炉では、制御棒引き抜き事故を「原子炉の中で、反応度効果最大の制御棒1本が、何らかの事故で急激に引き抜かれる」事故であると定義して、「反応度効果最大の制御棒1本が、何らかの事故で急激に引き抜かれても爆発を生じることはない」と解析している。 これは言い換えれば、制御棒2本以上が引き抜かれる場合には、核爆発が生じる可能性があるということに等しい。特に、泊3号の燃料は高性能燃料55GWD/T(ギガワットデイ/トン)、すなわちウラン高濃縮度燃料を用いていており、09年3月にも泊3号減速材温度係数測定検査で安全性に問題がある兆候があった。  また、混合酸化物(MOX)燃料を用いる場合にも、同じく核爆発が生じる可能性が強くなる。ちなみに、加圧水型軽水炉よりも沸騰水型軽水炉の方が、原子炉での核爆発の危険性が高い。沸騰水型軽水炉の原子炉容器内水素爆発及び制御棒引き抜き事故が該当し、福島3号核爆発と同じ現象を生む可能性がある。 福島3号使用済み燃料プールは、満水状態で未臨界となるように設計していた。しかし、沸騰状態で臨界になる欠陥設計であった(上図の通り)。最適臨界点に到達するまでは、軽水のボイド(気泡)反応度係数は正(プラス)。最適臨界点に到達した後の、軽水のボイド反応度係数は負(マイナス)。欠陥設計は、使用済み燃料稠密(ちゅうみつ)保管、ボロンステンレス(またはボロンアルミニウム)採用、MOX燃料保管にも関係がある。 実際に発生した現象は、以下の通りだ。(1)全交流電源喪失により、使用済み燃料プール冷却用ポンプが作動しなくなり、使用済み燃料からの崩壊熱除去ができなくなった。それで使用済み燃料プール水は、崩壊熱により、沸騰を始めた。(2)徐々にボイド率が増し、A点(臨界)に達すると、使用済み燃料からの崩壊熱に、核反応熱が追加となり、ボイド率がすぐにA点からB点に移行して、安定的な遅発臨界状態となった。これは、以下に示す図1での「自己制御あり」の状態である。(3)福島3号5階(オペレーションフロア)では、水の放射線分解による水素ガスが蓄積してきた。原子炉格納容器からの水素ガス漏れも追加されたと推測される。その水素ガスが発火して、水素爆発が生じた。発火原因は、制御用直流電源と制御装置スイッチ作動と推測される。(4)水素爆発により、急激な圧力が使用済み燃料プール水面から水中に向かい発生した。そのため、急速にボイドが消滅し、反応度が急激に増加した。反応度が増加して発生熱が増えても、深さ10mの水の慣性により、臨界場所の圧力は減少しなかった。さらに圧力が増加して、さらにボイドが消滅し、最適臨界状態に近づいた。このため、即発臨界(核爆発)となった。これは、図1での「自己制御なし」の状態である。沸騰水型でも核爆発の可能性 沸騰水型原子炉で、主蒸気の流れが遮断され原子炉圧力が急上昇した場合には、ボイドがつぶれ、正の反応度が添加され、原子炉出力が急上昇する。この場合、実際の運転では、制御棒、タービンバイパス弁、主蒸気逃がし安全弁を作動させて、原子炉圧力の急上昇を防止する自動制御が行われる。この自動制御に失敗すると、沸騰水型原子炉でも核爆発の可能性がある。 福島3号使用済み燃料プールは、自動制御装置のない沸騰水型原子炉となっていた。原子炉内での過渡変化に伴う反応度の増減効果を、正または負の反応度効果と言い、その増減率を反応度係数と呼ぶ。 例えば、沸騰水型原子炉において、減速材の温度上昇に伴う蒸気の泡(ボイド)の発生量の増加現象は、減速材の密度低下による中性子減速効果の減少をもたらすので、負の反応度効果である。すなわち温度が上がってボイドが多くなると核分裂が減って温度が下がる。また、燃料集合体の温度上昇はウラン238の中性子吸収確率を増加(ドップラー効果)させるので、やはり負の反応度効果である。つまり燃料ペレットの温度が上がると、ドップラー効果で核分裂が減って温度が下がる(自己制御性)。 原子炉の温度変化に伴う反応度係数を反応度温度係数と呼び、通常は温度係数と略称される。温度係数には燃料の温度変化による燃料温度係数、減速材の温度変化による減速材温度係数、ボイド発生量によるボイド係数がある。その他には原子炉出力による反応度出力係数や反応度質量係数などがある。 原子炉を安全に運転するためには、原子炉全体の出力増加に伴う反応度出力係数が負の値となるように原子炉が設計されていなければならない。旧ソ連のRBMK-1000型原子炉は正の出力反応度係数を持つ原子炉であったため、常に何本かの制御棒を原子炉内に挿入しておく必要があった。そのため規定以上の数の制御棒引き抜きは禁止されていて、運転規定にも明記されていたものの、理由の説明が操作員に徹底されていなかった。蒸気タービンの惰力運転試験のために操作員が原子炉出力を上げようとして規定以上の数の制御棒を引き抜いたことが、チェルノブイリ原子力発電所の事故原因とされる。 次に、活断層による耐震基準の問題点について述べたいと思う。現在の耐震基準では、活断層の長さや活断層面積と、地震の大きさ(マグニチュード)との相関関係図から、エイヤ(概算)と公式を作成して、原子力発電所サイトでの地震の大きさ(マグニチュード)を決めている。公式は、地震の最大値を算出するものではなく、地震の平均値を算出する公式である。したがって、公式通りであれば、未来の地震の半数は、耐震基準を超えることになる。実際に多数の耐震基準オーバーが起きている。  そもそも「活断層の長さや活断層面積から、そこで起こる最大の地震を予測できる」という理論的根拠が薄弱だ。「断層が動いて、地震を引き起こすのではなく、別の原因で地震が生じ、その結果、地震が原因で活断層が生じた」という可能性がある。例えば「マグマの熱によって深層水(超臨界水)が水素と酸素に解離して、その水素と酸素が再結合する時に爆発、爆縮(ばくしゅく)が生じて、その結果、地震、活断層が生じる。断層は地震の傷跡である」という、石田地震科学研究所所長の石田昭氏の学説(注)がある。過去の計測記録データからは、この「巨大地震は解離水の爆縮で起きる」という石田氏の学説の方が真実味がある。  断層が動いて地震を引き起こすのではなく、別の原因で地震が生じ、その結果、地震が原因で活断層が生じたのであれば、活断層面積から、そこで起こる最大の地震を予測できないということになる。 私の「地震学新説」 なお、「大陸プレートと海洋プレートの境界面では、水が大陸プレートと化学反応で結合する。そして、大陸プレートの底部に水素や酸素が多く、軽いマグマを発生させる。富士山のような噴煙型火山では、マグマが浮上、噴出する際に、マグマ圧力低下とともに、マグマが溶岩と水蒸気に分離し、噴煙型火山を形成する」というのが火山学の通説だ。そうであれば、私も以下の通り、「地震学新説」を唱えたいと思う。  2011年3月11日東北地方太平洋沖地震のような、大陸プレートと海洋プレートの境界面での地震では、海山が地中に滑り込んだ場所のような「地殻のひずみがたまっている場所」で、弾性バネがはじけるようにして、地震が生じるというのが地震学の通説である。 しかし、地殻に弾性バネのような弾性があるはずがない。「弾性バネがはじけるようにして、地震が生じる」というところに無理がある。そこで、私の地震学新説では、このような地殻のひずみがたまっている場所では、海洋プレートの境界面での水が原因で、大陸プレートに薄いマグマ層を発生させ、そのマグマが潤滑剤となり、ハイドロプレーン(水膜)現象のように大陸プレートが滑ると考える。 そのように考えると、大陸プレート内の地震も、活断層が動いて、地震を引き起こすのではなく、地殻のひずみがたまっている地層境界面での水や温度、圧力が原因で、マグマ層を成長させ、そのマグマが潤滑剤となり、ハイドロプレーン現象のように地層が滑る。マグマ層の成長が原因で地震が生じ、その結果、地震が原因で、活断層が生じたということになる。  現在の原子力規制庁に該当する「原子力安全基盤機構」の検査員だった私の考えは、妄信的原子力推進でなく、原子力安全(原子力品質)に万全を期すことであった。それが、検査員の立場であった。そのための原子力公益通報であった。しかし、それは「日本株式会社原子力村支社」により排除された。原子力事故の怖さを知り、職業倫理観を持っている技術者が排除されることを私は身をもって知った。北海道電力泊原発=北海道泊村、2015年9月 原子力村は「赤信号、みんなで渡ればこわくない」の体質であり、今の原子力村技術者は、上司の言いなりで「権力組織の歯車」に成り下がっている。 品質(安全)マネジメントシステムが機能していない。事故再発防止システムが機能していない。すなわち、PDCA(プラン、ドゥ、チェック、アクション)が機能していない。国際原子力機関(IAEA)も、プルトニウム不拡散(NPT)の機能だけに特化しており、原子力の安全には役に立たないのが現実なのだ。 以上、泊原発と日本の原発を取り巻くさまざまな問題点について述べた。今回の北海道地震による全域停電を受け、原発推進派が泊原発の再稼働をアピールしている。私は断固として泊原発の再稼働に反対する。<参考> 書籍 石田昭『巨大地震は「解離水」の爆縮で起きる!』(工学社) 動画「地震は解離した水の爆発現象である」

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    「原発を止めるリスク」北海道大停電が教えてくれた再稼動の意義

    6日夜、停電のため、ガソリン式の発電機を使い、一酸化炭素中毒で死亡した。こうした人の命にかかわる激甚災害を作ったのは、原発を何の法的根拠もなしに運転を停止させて再稼働させない規制によってもたらされた人災である。要は「原発を止めるリスク」は非常に高いのだ。 そもそも、変動電源である太陽光、風力は火力や原子力、水力などの安定電源が動いていないと接続できない。北本連携線の本州からの直流送電も、道内火力が動いていないと交流に変換できない。送電網の「素人集団」である原子力規制委はこのようなこともご存じないらしい。真冬の北海道で同じ事態が起きたらそれこそ何万人にも凍死する事態になる。原子力規制委も政府も、原発を止めているリスクの高さを認識していない。 この大停電のリスクを筆者は櫻井よしこ氏との共著『それでも原発が必要な理由』で警告しているが、本来ならこの全道大停電の人的・経済的大損失の責任を原子力規制委と政府が負わなければならない。 厚生労働省によると、地震の影響で北海道内の376の病院で停電し、そのうち11の病院は災害拠点病院で自家発電機を使って対応した。水などが使えない病院も82施設あり、医療ガスが使えない病院が11施設に上った。 また、日本透析医学会によると、停電の影響によって北海道内で透析ができなった医療施設が17施設に達した。透析が3日間できないと深刻な事態になる。また、病院などの冷蔵庫に保管されているワクチン、例えばインフルエンザ、ジフテリア、ポリオ、風しん、ボツリヌス、肝炎、日本脳炎、狂犬病などあらゆる種類の病気や検査のワクチンも2℃から8℃の間で保管されていなければならず、10℃を超えると廃棄しなければならない。原発は電源の中で「最強」 地震による建物の倒壊で骨折したり、頭部をけがして救急搬送されてきた患者のX線撮影やCTスキャンによる頭部検査もできない。実際、外来患者の受け入れを中止した病院も多かった。手術や現在の高度な医療も電気に支えられているのだ。震災時にこそ、医療が重要になるのは言うまでもない。 また、北海道の主力産業である酪農も打撃を受けた。乳牛の搾乳機が使えなくなると乳牛は乳房炎にかかりやすい。さらに、ミルクが絞れたとしても今度は、出荷できない。ミルクが廃棄されたことも報道されている。 そして物流への影響も大きかった。ガソリンやディーゼルエンジンの燃料である軽油などの流通が滞り、苫小牧埠頭では、停電の影響でタンカーで運ばれたガソリンや石炭などの荷降ろしができなくなった。タンクローリーに移すにもポンプを回す電力が要る。 長距離トラック便や、道内の鉄道貨物の輸送も停止した。物流が滞ると野菜などの農産物、乳製品の出荷もできないだけでなく、百貨店やスーパー、コンビニなどの食料品の冷凍ができなくなる。本州へ送られる収穫期のジャガイモやタマネギなどの農作物が輸送できずに山積になったという。 一方、新千歳空港では8⽇早朝に国際線ターミナルビルの閉鎖が解除されるまで、国際線の運航が停止した。7⽇に再開した国内線は乗務員の⼈繰りなどのため36便が⽋航。約1200⼈が空港に宿泊した。9⽇にも国内線28便が欠航。JR北海道では、8⽇になっても一部の普通列⾞やすべての特急列⾞を含む855本が運休した。札幌と帯広、釧路を結ぶ特急は運休が続いた。この時期、北海道を訪れる人は多く、観光客への影響も甚大だった。運航が再開され帰国する外国人観光客らで混雑した新千歳空港の国際線ターミナル=2018年9月8日 ではなぜ、このような全道停電という事態に陥ったのか。そもそも、耐震補強を徹底的に施した原発に比べ、火力発電所は地震に弱い。ボイラーの伝熱管群は、熱膨張を避けるために垂直に数十メートルの長さがあり、上部で吊っているので今回のように直下型の縦揺れには弱いのだ。運転中は高温高圧になった伝熱管群が数十センチも下方向に伸びて下がってくるので、垂直方向には固定できない。 このため、1、2号機のボイラーの伝熱管が損傷し、高温高圧の蒸気が吹き出した。4号機はタービンで火災が発生し、復旧にはケーシング(建具材)が冷えるまで待ち、分解点検して修理しなければならないので、修理期間は約1カ月と報じられている。その一方で、原発の燃料集合体は厚さ約20センチもある鋼鉄製の原子炉容器に収納されており、接続される配管も太く堅牢(けんろう)だ。 つまり、最新補強工事が徹底的になされ、地震には非常に強くなっている。ソーラーパネルは台風で飛散し、風力発電所も倒壊したことが報じられている。このため、原発は現在の電源の中で最も頑健(がんけん)となった。 マスコミ報道やインターネット上には、泊原発が震度2で外部電源が喪失し、もし運転中だったらメルトダウンして爆発する危険性があるというような意図的に原発の危険性を煽る情報がたくさん出ている。日本の再エネ政策は失敗 しかし、原発は今やほとんど全ての自然災害への頑健な対策を取り、震度2程度ではびくともしない。外部電源が喪失したのは、火力発電所のせいであって、泊原発のせいではない。非常用ディーゼル発電機が2台とも起動停止する確率は1/1000以下である。そして、原発は、外部電源喪失や負荷遮断といった外乱は織り込み済みで、設計と実際のハードウエアで対処可能となっている。 少々、専門的になるが、外部電源が喪失し送電もできない負荷遮断状態になると、まず自動的に制御棒が挿入されていき、出力を5%ぐらいまで絞る。蒸気タービンは、余剰な蒸気は、タービンバイパスと言われ、タービンを回さずに直接復水器に放出される。蒸気タービンは回転が続いているから発電が続き、所内動力といって、原発が必要とする電気は自前で供給し、所内単独運転という状態で待機する。 水力発電所などが運転を再開すれば、その給電で、運転を再開できる。非常用ディーゼルが起動するのは、所内単独運転に失敗したときのみだ。このときは、タービン動補助給水ポンプにより蒸気発生器に給水され、主蒸気逃がし安全弁から蒸気が放出されて、蒸気発生器を介して原子炉が冷却される。 タービン動補助給水ポンプが起動に失敗しても、電動給水ポンプが代わりに給水する。さらにこれらに失敗しても、たくさんのモバイル電源、非常電源、給水車などが所用台数の2倍以上も準備されており、炉心損傷確率は隕石の落下確率以下となっている。さらにフィルタベントが設置されるので、万が一の炉心損傷が発生しても、放射性物質は濾(こ)し取られ、地元の汚染は防止される。今や原発の安全性は、3・11前の原発とは比較にならないほど頑健になっているのである。 ここまで書くと、もはや原発を動かすリスクよりも、止めているリスクの方が高いことが分かる。原発を止めることにより、大停電のリスクは上がり、二酸化炭素の排出は増える。太陽光や風力では火力によるバックアップがないと運転できないので原発を止めると二酸化炭素の排出が増え、地球温暖化のリスクが上がる。札幌市の地下歩道に立ち、節電を呼び掛ける北海道電力の社員ら=2018年9月9日 ゆえに、太陽光や風力が原発の設備容量を上回るほど普及したドイツや日本で二酸化炭素は減っていない。1キロワット時の電気を得るのに、排出する二酸化炭素の質量で比較すると、ドイツも日本も先進国の中で最悪の二酸化炭素排出国なのだ。 ドイツと我が国の再エネ政策は失敗しており、経済産業省と政府は第5次エネルギー基本計画を見直す必要がある。世界一になった太陽光に見切りを付けて原子力に大きく舵を切った中国の選択は正しいと言える。ちょっとデータをみれば、そうすべきことはだれでも分かる。このような重要なデータを報じないマスコミの責任も重いと言えるだろう。

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    大停電は天災だけではなく地球温暖化でも引き起こされる

    主力とし大きく依存せざるを得なかった事情は、戦後の日本のエネルギー供給の歴史に遡る。 今回の停電は、災害により引き起こされたが、米国カリフォルニア州では、乾燥時に送電線が切断され火花が出ることが山火事の原因ではないかとの疑いが出ており、電力会社が山火事を避けるため乾燥時に送電を停止し、強制停電を行う可能性が出てきている。停電の備えを米メディアが報道しているが、停電の際に参考になると思われるので、これを本稿の最後にまとめている。 乾燥による大規模な山火事は、米国に留まらず今年ポルトガル、ギリシャ、スウェーデンでも発生している。ギリシャでは91名が犠牲になったと報道された。いずれも地球温暖化が引き起こす熱波と干ばつが原因とされているが、欧州では雨が降らない猛暑により、太陽光発電の発電量が平年比で大きく伸びる一方、太陽光より発電量が大きい風力の発電量が、安定した天候のため大きく落ちる状況になっている。※画像はイメージです(GettyImages) 再生可能エネルギーの今後の導入量は、欧州では風力を中心に増加するとの予測だが、温暖化による猛暑、少雨という安定した気候が将来も続くとなれば、温暖化により風力発電量が減少し、停電が引き起こされる可能性があるということになる。 第二次世界大戦直後、日本の電力供給の主体は水力だった。豊富な水資源を利用する発電用ダムが世界銀行などの資金を活用し建設された。水力発電は、設備を建設すれば燃料代も不要な競争力のある発電方式だ。やがて、経済成長の開始に伴い電力需要量が急増し北海道、九州、常磐などで生産が行われていた国内炭を利用する石炭火力が建設された。1960年には国内の石炭生産量は5000万トンを超えていたが、この頃から利便性が高い石油に需要が移り始める流体革命が起こる。北電は矢面に立たされた 石炭への需要落ち込みを受け経営の合理化を図りたい経営陣と炭鉱労働者が対峙し、総資本対総資本の対決と呼ばれた1960年の三井三池争議を契機に、国内の石炭生産量は坂道を転げ落ちるように減少し始める。この国内炭の状況を変えたのは、1973年のオイルショックだった。原油価格が4倍になったことから、世界では石炭が注目を浴びることになったが、日本で最も問題となったのはエネルギー供給を原油に依存している状況だった。オイルショック当時、日本のエネルギー需要量の4分の3以上は主として中東の原油により供給されていた。 エネルギー源の多様化と自給率向上策を迫られた日本政府は、採炭条件の悪化により生産数量の減少が続いていた国内炭の年産量2000万トン維持を打ち出す。しかし、採炭条件が悪い日本の石炭価格は高く、原油との競争力はなかった。さらに、80年代初め豪州などから燃料用一般炭輸入が開始された。輸入炭の日本着価格5000円に対し、国内炭価格は2万円に近く、国内炭はますます販売が厳しくなり、80年代には北炭夕張炭鉱、三菱高島炭鉱、三井砂川炭鉱の閉山が相次ぎ、1987年には生産数量を見直した年産1000万トン体制の政策が打ち出された。 国内炭生産維持のため、国内で生産される燃料用一般炭引き取りに電力業界も協力したが、その矢面に立たされたのは、北海道の炭鉱の隣接地に発電所を建設していた北電だった。しかし、内外価格差があまりに大きく、90年代には住友赤平炭鉱、三池炭鉱、池島炭鉱などが閉山し、1000万トン生産体制維持政策は2001年度に終了した。2002年の太平洋炭鉱(釧路)の閉山を以て、日本の坑内掘り炭鉱はその歴史を閉じ、生産は比較的価格競争力がある北海道内陸部の小規模露天掘りと研修用として残された坑内掘りだけになった。現在も年間約120万トンの生産が行われている。 依然として生産が行われている国内炭を主として使用しているのは内陸部に建設された北電の発電所だ。驚くのは、その運転開始時期だ。表-1の通り、1960年代、70年代の設備が主体であり、35年以上利用されている発電所ばかりだ。燃料効率も悪く、露天掘りとはいえ、輸入炭との比較では相対的に価格が高いと思われる国内炭を使用していることから発電コストも安くはないだろう。表1 北電の火力発電所 北電は石油火力も保有しているが、石炭との比較では燃料費は高くなる。今年3月の輸入価格を元にすると、1kW時当たり石炭3.8円に対し石油は11円と約3倍になる。コストを抑えるためには、石油火力の利用は抑制する必要がある。電源を分散できない事情 競争力のある電気を提供するため、北電が建設したのが太平洋側の苫東厚真石炭火力発電所だった。豪州などから大量に輸入することで輸送コストの引き下げを狙った大規模な発電所になった。さらに、日本海側に泊原子力発電所を建設した。北電の最大電力需要量と販売電力量の推移は図の通りだ。 需要は伸び悩んでおり、大規模火力と原発を建設すれば、これ以上の設備を分散し建設することは経済性の面から難しい。さらに、冬の気象条件が厳しく、海外から燃料を輸入する大規模港湾を必要とする発電所を北部に建設することは難しいという地理的な制約もある。 国内炭引き取りのため維持が必要な内陸部の老朽化した石炭火力発電所、石油火力、大規模輸入炭火力、原発を抱える北電が、これ以上の設備の多様化を進めるのは経済性の面から無理だったが、泊原発の停止が長期化していることから、石狩湾に液化天然ガス火力を今建設している。しかし、自由化された電力市場では将来の電気料金が不透明なことから、新規設備への投資にはどの電力会社も慎重になる。設備の更新が自由化市場では遅れることになり、北電も老朽化した設備を簡単に更新することは難しいだろう。 電源を分散しておけばと言うのは簡単だが、非常時に備えて電源の予備を用意すれば、それは電気料金上昇に結び付く。電気料金は産業の競争力、家庭生活に大きな影響を与えるので、余分な電源を用意し高い予備率を維持している電力会社はない。欧州は、送電網が連携しているため発電所の故障時に他の電源から電気を送れる可能性は高いが、列島の形状から南北方向にしか連携が難しい日本で欧州のような連携は地理的に難しい。その欧州でも再エネ設備量の増加により電力供給に問題がでてきている。 今年猛暑が続いた日本と同じく、世界の多くの国でも猛暑が続いた。欧米では、日本と違い雨が殆ど降らず、熱波が襲った。スウェーデンでは氷河が溶け最高峰の山頂が4メートル下がり、スイスでは気温30度が続き警察犬が靴を履き、ポルトガル、スペイン南部では8月上旬45度、46度を記録し、熱中症で亡くなる方が出た。図 北電の電力需要 高温で雨が降らず安定した気温だったので、太陽光発電量は各地で大きく増加した。ドイツでは7月の平年日照時間212時間が今年は305時間になった。7月ドイツの太陽光発電量は67憶kW時となり史上最高を記録した。安定した気温なので風は吹かず、風力発電量は前年同期比20%減の45億kW時と大きく減少した。停電に備える10のポイント 再エネ導入量比率の高い、ドイツとデンマークの6月、7月の太陽光、風力の発電量は表-2の通りだ。表2 ドイツ・デンマークの再エネ発電量 風力発電に供給量の半分近くを依存しているデンマークは、落ち込みを補うため隣国よりの電力輸入量を増やした。欧州では、太陽光発電設備に関する補助制度の見直しが続き、太陽光発電設備導入量は急減した。一方、稼働率が相対的に高い洋上風力設備の導入量は増加している。2017年の欧州の累積導入量1578万kWは2030年には7020万kWに伸びると欧州風力発電協会は予想している。 温暖化対策として逆風が吹く石炭火力設備を廃棄し、洋上風力設備で置き換える動きが続けば、やがて温暖化により天候が安定した猛暑が欧州で多発し、洋上風力設備の発電量が大きく減少、停電の可能性も出てくることになる。 カリフォルニア州では、昨年、今年と大規模な山火事が発生した。州消防庁は、昨年カリフォルニア州北部で発生した12の山火事の原因として地元電力会社PG&Eの送電線の切断あるいは電力設備からの火花をあげた。電力会社が山火事の責任を負うかどうかで今年の夏カリフォルニア州議会では議論が行われたが、今年7月、PG&Eは送電線が山火事の原因と疑われたことから、乾燥し、強風が吹く時には送電を停止し強制停電を行う可能性があると警告を発した。 強制停電への備えを米のメディアは次のようにまとめている。今回の停電を契機に我々も学んだことが多いが、参考になる。1 携帯電話をフルに充電しておくこと2 携帯電話を数回充電可能な大容量バッテリーを用意すること3 ラジオとLEDライト用の電池を用意すること4 内燃機関自動車であれば、半分以上給油しておくこと。ガソリンスタンドは電気で動いている。電気自動車はフルに充電しておくこと5 現金を十分に用意しておくこと。ATMは電気がないと動かない6 パソコンを電源から外しておくこと。電気が回復した時に損傷する可能性がある7 プラスチック・コンテナーを氷で満たしておくこと。蓋を開けなければ食品は48時間持つ。冷蔵庫はドアを開けなければ約4時間冷蔵は保たれる8 家族は緊急連絡リストを紙で持つこと。携帯電話の電池が切れたときに必要9 腐りにくく直ぐに食べられる物(ツナ缶、クラッカー、ドライフルーツなど)と水を用意すること10 必要と思われる薬を用意すること(ABC 30 action newsから)やまもと・りゅうぞう 常葉大学経営学部教授。住友商事地球環境部長等を経て現職。経済産業省地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会、東京商工会議所エネルギー・環境委員会委員などを務めている。近著に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム)。

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    巨大地震発生 電車内ではどこに乗り、どう動けば安全か

    頭に乗るか、後方に乗るか】 これは「地震が起きた時に、どちらに乗っているほうが安全か」という話だが、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は、「基本的には先頭車両が最もリスクが高い。過去の衝突・脱線事故の死傷者のほとんどは先頭車両と2番目の車両に乗っていました」 と語る。そのため、電車に乗る時は必ず3両目以降に乗るようにしていると和田氏はいう。ただし、脱出しやすさの観点では、話は別だ。都市防災に詳しい、まちづくり計画研究所所長の渡辺実氏がいう。緊急停車した電車から降り、線路を歩いて避難する乗客=2018年6月18日、奈良市(神田啓晴撮影)「地下鉄は最前部と最後部の車両に脱出ハッチがある。それを早く使えるのは先頭か後ろの車両です」【満員電車ではドア近くに立つか、奥に立つか】 ドア付近のほうが危険なイメージがあるが、和田氏は「中央のほうが危ない」と断言する。「満員電車の中央にいると、電車が急停止した時に前方向に流されて将棋倒しになり、圧死する危険性がある。一方、ドア付近なら、座席の脇に隠れる格好になり、衝撃を受けにくいというデータがあります」【地下鉄では、車内にとどまるか、外に出るか】 地震で地下鉄がストップしたら、怖くて車両の外に避難したくなりそうだが、「基本的に出ないほうがいい」と和田氏はいう。「地下鉄にはすべて非常電源が入っています。一時的に停電で停止しても、脱線しない限りは駅まで移動してドアが開くようになっている。逆に人が車外に出ると車両が動かせなくなってしまいます」 慌てて車両の外に出ると、他の乗客に多大な迷惑をかけることになるのだ。しかも、丸ノ内線などでは線路近くに高圧電流が流れているので、感電死する危険性もある。電車が最寄りの駅に着くまで、車内でじっとしていよう。関連記事■ 首都直下大地震 東京ドーム内にいたらどう動くのが安全か■ 東京ほか13都市の巨大地震発生時をシミュレートした本登場■ 地震学者 房総半島沖での大地震発生の可能性を指摘■ 地震雲観測専門家「低い虹や赤い色の月は大地震発生の兆し」■ 外出時の大地震対処法 電車内ではシートの両端が生存率高い

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    地震発生時、実は危険な机の下 被災直後はトイレを流すな

    というのも、旧耐震建築時代の防災マニュアルなので、改めるべき。ドアが歪んで開かなくなる可能性がある。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。「揺れを感じたら、まず頭を守り、転倒落下物の危険がない場所に移動します。余裕があれば、避難経路を確保してください。実際に地震が起きたら、人はすぐに行動できません。発災後わずか1分間の判断が生死を分けますから、普段から地震が来たらどう動くか、シミュレーションしておくことがとても大事です」 地震が起きると断水や停電により、多くの水洗トイレは水が流れなくなる。こんな時にはバケツなどに水を汲み、直接タンクや便器内へ流せば、排泄物が流れると考えている人が多いが、これも大きな間違いだ。NPO法人ママプラグ副理事長の冨川万美さんは、地震によって下水管が破裂して、汚水が漏れたり、逆流する可能性を指摘する。「特に、マンションの場合は要注意。1階から最上階まで排水管がつながっているため、排水管が壊れているのに水を流すと、下層階に大きな被害が出てしまいます。配水管の損傷確認ができるまでは、トイレの水は流さないのが鉄則です。簡易トイレを準備しておき、汚物の処理は自分で行いましょう」 熊本地震では、1981年施行の新耐震基準をクリアした住宅が複数倒壊した。さらには耐震基準が強化された2000年以降に建築した建物にも倒壊などの被害が多く出て、衝撃が走った。避難訓練で机の下に身を隠す児童たち=2017年11月1日、和歌山市(撮影・小笠原僚也)「地盤が悪く、地割れが起きてしまったのが倒壊の原因でした。建物が厳しい基準を通っていても、熊本地震のように、震度7が2度も来てしまった場合までは、想定していないことが多いのです。それに、土地の性質によって倒壊してしまう恐れもあります」(和田さん) 海岸は津波、川は氾濫、山間は土砂など、暮らしている場所によって、災害時のリスクはさまざま。液状化しやすい土地は、ライフラインの復旧まで時間がかかるとも考えられる。自分の住んでいる環境を把握し、リスクに応じた対策を考えたい。関連記事■ 地震発生時は地下へ!…はベイエリアでは危険な行為■ 地震発生時「火を消せ」を鵜呑みにするのは危険と専門家警告■ 地震発生時 トイレや風呂は安全…との噂に防災専門家が回答■ 地震発生時テーブルの下に隠れるのはNG 圧死リスクも■ 地震発生時の鉄則 窓から5m離れ、電車では鉄棒持つ

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    北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある

    澤田哲生(東京工業大学先導原子力研究所助教) 9月6日深夜3時8分、北海道を襲った最大震度7の地震は、道内全域をブラックアウト(停電)に陥れた。私たちは広域停電の恐怖をまざまざと見せつけられたのである。295万戸が停電し、発生から丸1日たっても約131万戸分しか電源は回復しなかった。完全復旧には1週間以上かかる見通しだ。 道内全域の長時間にわたるブラックアウトの原因は意外なものだった。それは、震源地に近い北海道電力苫東(とまとう)厚真火力発電所(厚真町、165万キロワット)が大きなダメージを受け、一時停止せざるを得なくなったからである。この火力だけで道内の電力の約半分を担っていた。苫東厚真の脱落の結果、電力網全体で需給バランスが一気に不安定化した。そして道内の他の火力発電所が次々に停止し、道内全域停電という事態に陥った。 電力安定供給を至上使命としてきた電気事業者にとっては、まさにほぞをかむ事態である。この事態を招いた原因として、強大な権限を背景に科学的判断を避け続けた原子力規制行政がある。 泊原子力発電所(泊村)の3基の原子炉の総出力は207万キロワット。苫東厚真火力の出力を補って余りある。しかし、泊原発は3・11後にいったんフル稼働運転をしたものの、2012年5月5日に定期点検に入り、今日に至るまで停止したままだ。そう、日本は「原発ゼロ」になったのである。 今、泊原発の原子炉内の燃料棒は全て引き抜かれ、使用済み燃料プールにおいて冷却されている。今回の地震で泊村の最大震度は2であった。そもそも、原子炉は強固な岩盤に直付けされている上に、一般の建造物に比べてはるかに厳しい耐震強度が、昔から課せられてきた。2018年9月6日午後、停電で明かりが少ない札幌市中心部の大通公園付近。手前中央にさっぽろテレビ塔がある(共同通信社ヘリから) つまり、この震度2程度の揺れでは、何ら影響を受けずに運転を続けていたはずである。そうすれば、今次の「全道大停電」は回避できた可能性が高い。ただし、「もし泊原発が再稼働していたならば」という仮説ではあるが。 では、なぜ3・11から7年以上もたっているのに、いまだに原発が再稼働していないのか。そこには東日本大震災当時の首相、菅直人氏の深謀がある。2011年5月、菅氏は首相の立場を最大限に利用し、首都圏に最も近い静岡県の中部電力浜岡原発を、その非望のもとに停止させた。権力を持ってすれば、理にかなわない原発停止要請も事業者に強いることができることを天下に示したのである。 続いて菅氏は、原発が「トントントンと再稼働しない」ための奇手を次々に打っていくことになる。最も強力な手段が2012年9月に発足した原子力規制委員会である。巧妙に仕組まれた「脱原発装置」 規制委は「ザル法」と言われる原子力委員会設置法により、強大な権限を持つ「3条委員会」として発足した。そして、その長である原子力規制委員長は絶大なる権力を一身に集めている。そのことを菅氏は2013年4月30日付の北海道新聞に臆面もなく吐露している。 原発ゼロに向けた民主党の工程表は、自民党政権に代わり白紙に戻されました。「トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです(中略)独立した規制委の設置は自民党も賛成しました。いまさら元に戻すことはできない」「北海道新聞」2013年4月30日19面、特集『幻の原発ゼロ』 このように巧妙に仕組まれた「脱原発装置」である原子力規制委の委員長に就いた田中俊一氏は、政権を去った菅氏の「意志」を見事に受け継いだ。菅氏の北海道新聞への吐露に先立つこと1カ月余り、2013年3月19日に俗称「田中私案」なるものを委員会に示したのである。 その文書のタイトルは「新規制施行に向けた基本的な方針」。この文書は暴論極まりない。つまり、文書を作成した責任者の明記がないばかりか、一体この文書が最終的にどのように取り扱われたのか、杳(よう)として知れないのである。 とどのつまり、何ら法的根拠に基づかない私案にもかかわらず、それが大手を振ってまかり通る状況ができたのである。しかも、この私案にはまさに「奸計(かんけい)」が巡らされていた。その最たるものが、国内すべての原子力発電所をいったん全て停止し、運転再開の前提条件となる安全審査を異様に厳しい規制基準の下でゼロからやり直すというものだった。 つまり、菅氏が放った「浜岡原発停止要請」の見事なまでの水平展開を成し遂げたのである。そのことを見届けた上で、上記の北海道新聞紙上での「勝利宣言」と相成ったということになる。「愚相」と揶揄され続けた中での完勝劇であった。 ところで、泊原発の3基の原子炉は加圧水型軽水炉(PWR)である。3・11で重大アクシデントを起こした福島第1原発はいずれも沸騰水型軽水炉(BWR)だった。2011年5月、会見で浜岡原発の運転停止を要請したことを発表する菅直人首相(大西正純撮影) 両者は、その仕組みにいささかの違いがある。現在、国内で安全審査を通過して稼働している原子炉は9基ある。内訳は九州電力4基、四国電力1基、関西電力4基。いずれもPWRである。 では、他の電力各社のPWRが再稼働にこぎつけている中で、なぜ北海道電力の泊原発は再稼働していないのであろうか。その最大の理由は審査の基準とすべき地震動がなかなか策定されないことにある。2015年12月には、それまでの550ガルから620ガルに引き上げることでいったん決着したかに見えた。しかし、事はそうたやすくはなかった。迫られた「悪魔の証明」 基準地震動の策定の際に、これまで必ず問題にされてきたのが「活断層の有無」である。北海道電力の泊原発は他の電力各社のPWRと歩調を合わせるかのように新規制基準に合わせるべく追加的な安全対策を進めてきた。ところが、2017年4月になって、規制委員会から泊原発のある積丹半島西岸の海底に「活断層の存在を否定できない」という判断が下された。 このことによって、泊原発の再稼働は全く先が見通せなくなり、窮地に追い込まれた。なぜか。「活断層の存在を否定できない」という規制委は、北海道電力に「活断層がないことを証明してみよ」と迫っているのである。これはいわゆる「悪魔の証明」であり、立証不可能だ。積丹半島西岸の海底をくまなくボーリングし、活断層がないことを証明するのは現実的ではない。 つまり、非合理極まりない非科学的なことを規制権限を盾に事業者に強いているのである。事業者はその対応に苦慮し、多大な労力と時間を費やすことを強いられているのが現実だ。 もっと言えば、規制委は自ら科学的判断を避けているとも言えるが、これは今に始まったことではない。規制委発足間もない2012年12月、委員長代理の島崎邦彦氏が、日本原電敦賀原発2号機の敷地内の破砕帯について「活断層の可能性が高い」と指摘した。 しかしその後、内外の専門家が科学的に慎重な検討を重ねた上で、この破砕帯は「断層ではない」と報告されている。この活断層の有無をもって、事業者を手玉にとる「島崎ドグマ(偏見)」は、氏が委員会を去った後も亡霊のように生き続けているのである。 ちなみに、震度7に相当する目安の地震動は400ガル以上とされている。よって、仮に620ガルを基準地震動とすれば、泊原発は震度7にも十分耐え得る強度を持つ。もっとも、今回の地震では震源地近くで1505ガルが観測されている。2007年の中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発では当時の基準地震動の数倍程度の地震動に対して原子炉は安全に停止した。泊原発では、100〜300ガル程度の地震動を検知すれば自動停止する仕組みになっている。北海道電力泊原発 なお、泊原発1〜3号機で実際に検知された地震加速度はいずれも10ガル以下であった。つまり、もし今回の地震発生時に泊原発が稼働していれば、全道大停電は防げた公算が大きいのである。 規制委発足から間もなく6年。原子力規制委は一体、いつになれば科学的、技術的リテラシーに欠ける集団から脱皮できるのであろうか。さもなくば、全道大停電のような悲劇がまたいつ国民を襲うかもしれない。言い換えれば、原子力規制自体が「社会リスクを生む」という、国民への背信行為をもうこれ以上許してはならない。

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    震災の「猫迷子問題」に迫る

    「飼い猫がいなくなった」。6月の大阪北部地震後、ツイッターには、行方不明になった猫の飼い主たちの悲痛な訴えが相次いだ。臆病な猫は地震でパニックになり家を飛び出すという。大切な飼い猫を守る手立てはあるのか。iRONNAが専門家や「ペット探偵」に密着取材!■関連テーマはこちら

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    地震でパニック、迷子の猫はどうなる?

    の大阪北部地震では、被災地域で飼い猫がパニックになり、家を飛び出すという事案が相次いだという。過去の災害現場でもペット連れの避難や置き去りが問題になった。もし再び大災害が起きたとき、ペットはどうすればいいのか。自然災害とペットという観点も踏まえ、防災の日に考えたい。

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    現役獣医が見た熊本地震「猫ちゃんパニック」

    外に逃げる…。今この瞬間は何も起こっていない平時なので、時間をかけてゆっくり考える余裕がありますが、災害は突然起こるものであり、起こった場合にほとんどの人がパニックになります。それは人だけではなく、猫ちゃんたちも同じことです。猫ちゃんたちの場合は特に、私たち人間のような防災訓練や準備を行っているわけでもなく、テレビやラジオから情報を得ることもできませんので、そのパニックたるや大変なものです。私も2年前、熊本地震を経験してから初めてそのことを知りました。 熊本地震発災時、「ドスン!」という大きな音と振動とともに経験したこともないほどの大きな揺れを経験しました。幸い、私が院長を務める竜之介動物病院は耐震性に優れた構造だったため、私の診察室は何もなかったかのようにいつも通りの診察ができましたが、薬品庫や処置室は悲惨な状態で足の踏み場もないほどでした。 私は飼い主さんを落ち着かせようと、いつも通りの診察と会話を心がけましたが、その数分後から、外来に患者さんや避難者の方々が一気に押し寄せ、あっという間に待合室がいっぱいになりました。 割れたガラスを踏んでけがをした猫ちゃん、家具やタンスの下敷きになってしまったワンちゃん、パニックで飛び出し、交通事故で血だらけで運ばれてきたゴールデンレトリバーなど、待合室は白い床が血液で真っ赤に染まっていました。私は戦争経験者ではありませんが、野戦病院はこんな感じだったのではないかと想像してしまうほどの光景が目の前に広がっていました。 その中で、猫ちゃんの場合にいくつか特徴的な症状がありました。 一つ目は、「後ろ足からの出血が止まらないので、何か踏んだんじゃないでしょうか?」というものです。診察をしてみると後ろ足の爪が全部剝(は)げて、そこから大量に出血しているというものでした。 原因を推測するに、突然の揺れに驚いた猫ちゃんたちが、パニックのあまり走り出し、部屋中を床だけでなく、壁、天井まで駆け上がりながら、気づいたら爪が剥げて、出血している状態であると考えられました。 ケガをしてからすぐ来院した猫ちゃんたちは比較的軽傷で済んだのですが、けがから数日経った場合には、後肢から感染を起こして、膿(うみ)がたまった状態でパンパンに腫れているという症状の子も多かったです。動物看護師と被災地に赴き、野良猫などの治療・調査をする徳田竜之介氏(提供画像) 次に多かったのは、パニックで部屋の外に逃げ出す、または、マンションから飛び降りるといったものです。 私たちは通称「フライングキャット」と呼んでいますが、マンションなどの高層階から飛び降りた場合には、骨盤骨折や内臓破裂などの重傷で運ばれてきます。 震災の場合には、大きな揺れで扉やサッシなどが外れ、容易に外に出られてしまうことが大きな原因だと考えます。特に猫ちゃんの場合は、部屋の中で放し飼いにされてることが多く、首輪やマイクロチップ、迷子札などをつけていないコがほとんどだったので、逃げ出してしまった後もなかなか見つからないという相談が後を絶ちませんでした。猫が突然攻撃的に 日頃おとなしい猫ちゃんでも、災害時は程度は違えどほとんどがパニックになります。「うちの子は大丈夫!」と思っていても。パニック状態の猫は野生の本能がむき出しになり、「いつものうちのコ」ではなくなってしまいます。不用意に近寄ったり、手を出したりすると攻撃されて飼い主でさえけがをすることもありますので、よく観察して注意深く対応する必要があります。パニック時に考えられる猫ちゃんの行動としては次のようなものがあります。それぞれに対処法を記載しますので参考にしてみてください。「ひたすら鳴く」抱っこができるようなら抱いて落ち着かせます。キャリーバッグに入れて、上からバスタオルをかけて暗くすると落ち着くこともあります。「おびえる」落ち着かせるために、バスタオルや洗濯ネット、クッションカバーなどで身をくるんだり、キャリーバッグに入れたりすると安心できます。「人から離れない」不安な気持ちを取り除くために、甘えさせてあげましょう。スリング(抱っこひも)に猫を入れて肩から提げると、体が密着するので猫も安心します。「隠れる」落ち着くまではしばらく出てきません。無理に引っ張り出そうとすると恐怖心がさらに高まり、噛んだり引っかいたりするので、猫ちゃんが自分で出てくるのを待ちましょう。「暴れる」興奮状態の猫ちゃんは周りが見えていません。落ち着かせようと思って不用意に近づくと思わぬけがにつながることもあるので、興奮が収まるまでは離れた場所から静かに様子を窺ってみてください。「威嚇する」声をかけたり触ったるするとかえって猫を刺激して不安感をあおってしまいます。威嚇している場合には目を合わせずに、離れた場所からそっと見守りましょう。「外へ飛び出す」猫が逃げても、そんなに遠くまでは移動しません。慌てて追いかけたくなってもまずは自分自身の安全確保が第一です。※この画像はイメージです(GettyImages) もしも猫ちゃんとはぐれてしまったら、まずは慌てずに冷静に行方を探しながらさまざまな手段で情報を集めます。猫ちゃんのテリトリーは自宅から100m~300mといわれており、基本的に長距離の移動はしません。特に室内飼育の猫ちゃんはそんなに遠くにはいかないので、猫の名前を呼びながら、家の周辺の車の下、植え込みや茂みの中、縁の下、屋根の上等、猫ちゃんが好みそうな場所を上下左右立体的に丁寧に探してみてください。外に逃げたと思っていても、実は家の中に隠れていたというケースも多くありましたので、家の周辺を徹底的に探すことが重要です。ペットの防災「かきくけこ」 また、猫ちゃんがいなくなった際には、動物愛護センターや保健所、周辺の動物病院などにも連絡しておくことをお勧めします。はぐれた場所、猫ちゃんの特徴、年齢、名前、毛色や種類などを伝え、似た猫が保護されていないか問い合わせてみると何か手がかりが見つかるかもしれません。いざというときに備えるポイントとしては、日頃から自分の猫ちゃんの写真を正面だけでなくあらゆる角度から撮っておくことです。猫は犬と比べて特徴が少なく、顔だけの写真では見つけにくいものです。全身の色、柄、尻尾の形等、飼い主以外の人でもわかるように写真を撮っておくと格段に見つかりやすいですし、やはり個体識別にはマイクロチップ装着が一番です。 また、もし見つけたとしても、急いで駆け寄ったり、大きな声を出したりはしないよう注意しましょう。驚いて逃げ出してしまう可能性があるからです。少し離れた場所からしゃがんで優しく声をかけ、ごはんやおやつ、またたびなどで気を引き、確実に捕獲します。安全に連れて帰れるようにキャリーバッグや洗濯ネットも忘れずに持ち歩くこともポイントです。 私は、熊本地震を経験してから、日頃の備えが非常時の状況を大きく左右することを身をもって経験しました。そこで、備えておきたいペットの防災「か・き・く・け・こ」を紹介します。備蓄品などの「物」だけでなく、飼い主の心構えやマナーも大切な備えの一つです。いざというとき、飼い主がパニックになってしまうと猫も不安になります。飼い主の気持ちが猫に連鎖してしまうのです。しかし、この連鎖はプラスにも働きます。落ち着いて行動していれば、猫も安心できます。日頃から非常時のシミュレーションをして、精神的にも備えておきましょう。「か」飼い主のマナー・責任大切な愛猫を守るために動物が苦手な人に対しても、思いやりを持ち、飼い主としてのマナーを身に付けるよう心がけてみてください。「き」キャリーバッグキャリーバッグでの避難が原則です。室内では猫の身を守るシェルターにもなるので、日頃から慣らしておく必要があります。「く」薬・ごはんいつも食べているフードや飲んでいる薬は非常用持ち出し袋などに準備しておき、期日管理を行いながら、常に新しいものに入れ替えるよう工夫してみてください。「け」健康管理災害時は病気や感染症にかかりやすくなるので、ワクチン接種やノミダニ予防、定期的な健康診断を受けておくことが大切です。普段の様子を把握することで、ちょっとした異常も察知することができます。「こ」行動・しつけトイレのしつけ、キャリーバッグに入る練習など、いろいろなものに慣らしておくことは猫のストレス軽減にもつながります。熊本県益城町で倒壊した家屋を捜索する警察官=2016年4月 最後に、災害時、大切な猫ちゃんを守れるのはあなたしかいません。そして、災害時にあなたを支えてくれるのも一番そばにいる猫ちゃんなのです。大切な存在がそばにいれば、どんな困難でも乗り越えられます。大切な猫ちゃんのために備えることで、きっと今よりももっといい関係が築けるはずです。

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    動物の異常行動と地震予知よりも大切な「ペット防災」

    なって未曾有(みぞう)の大惨事となりました。大地震に限らず、現在の日本では台風や大雨による洪水や土砂災害などで避難生活を余儀なくされることも多くなっています。 そのような境遇に置かれてしまった際に、自分の飼っているペットをどのように守るのか。それを日ごろから想定しておくべきでしょう。有事の際、共に避難できる場所はあるのか。もしないのなら、動物はどこに避難させるのか。餌と水は何日もつのか。大量の餌と大量の水が、食べれば足されていくような装置は準備されているのか。気温や室温は大丈夫か。 そのように具体的に命を存続させる手段を考えていない限り、もしもの時にはあなたの家のかわいい生き物たちも、地獄の中で苦しんで、哀れな姿に変わってしまう可能性が十分にあるのです。2012年4月16日に警戒区域の指定が解除された南相馬市小高区。小高駅前では首輪をつけた飼い犬が警戒しながらこちらを見ていた=2012年6月(早坂洋祐撮影) 地震予知も非常に大切ですが、いずれ地震は起きるとわかっているのであれば、それに備えた万全の対策こそが、自分と、自分の周りの大切な生命を守る一番のものではないでしょうか。 地震の直前に逃げようとする動物たちがわれわれに訴えかけていること、それは、「私たちも生き延びたい」というメッセージに他ならないはずです。

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    「想定外より深刻な想定内」巨大地震、試される防災の本気度

    矢守克也(京都大学防災研究所教授) 災害が起きるたびに、「今回新たに浮き彫りになった課題は?」と尋ねられる。研究者もメディアも、そして社会一般も、新しく表面化した課題を探すのが好きである。その方が研究的価値あるいはニュースバリューがあるからだろう。 しかし、私自身も大阪府豊中市の自宅で揺れを体験した6月の大阪北部地震ほど、新しい課題を探すことが困難な災害はなかったと言ってよい。裏を返せば、これまでも繰り返し指摘されながら放置ないし軽視されてきた課題が、そのままの形で再度あるいは三度登場した。 つまり、すべてが既視感(「かつて経験したことがある」という感覚)を伴っていた。このことが、大阪北部地震の最大の特徴だったと言えるだろう。 まずは、このポイントをいくつかの例を通して確認しておこう。膨大な数の帰宅困難者と都市ターミナル周辺の大混乱、エレベータ内部への閉じ込めは2011年の東日本大震災で顕著になり、天井、照明器具、看板など非構造部材の危険性やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上を流れるデマ情報などが問題視されたのは16年の熊本地震だ。 また、水道、ガスなど地下に埋設されたライフラインの脆弱性については、04年の中越地震、老朽化した住宅の低耐震性、家具固定の重要性は1995年の阪神・淡路大震災、コンクリートブロックの危険性は78年の宮城県沖地震でそれぞれ露呈した。要はこうした各震災で浮かび上がった問題点のリストをつくろうと思えばいくらでもできる。 以上のことは、言い換えれば、大阪北部地震については「想定外」がほとんどなかったということである。防災・減災について論じられるとき、これまで、ややもすると「想定外」に批判が集まってきた。「これほどの巨大な地震・津波を想定していなかったことは問題だ、落ち度だ」のように。大阪北部地震で被災した家屋には、雨に備えブルーシートで覆われていた=2018年6月19日、大阪府高槻市(産経新聞ヘリから) しかし、私の考えは逆である。本当に深刻なのは、「想定外」よりも、むしろ「想定内」の方である。ある課題をかつて経験しながら、あるいは、ある対象を危険だと知りながら、それらに対して十分な手を打ってこなかった事実、言い換えれば、「想定内」にあった課題によって生じた被災や被害の方が、「想定外」の被災や被害よりも、はるかに重大である。 「私たちが伝えたいことは、『本気』の防災です」。これは、私もメンバーの一人である阪神・淡路大震災の経験を語り継いでいる団体「語り部KOBE1995」代表、田村勝太郎さんの言葉である。何であれ、軽妙でライトであることが尊ばれる時勢にあって、「本気」などと聞くと、何やら重たげで泥臭い印象を持たれるかもしれない。 だが、阪神・淡路大震災の経験者がたどり着いたこの言葉の意味は深い。なぜなら、この言葉は、防災・減災にとって最大の敵がもはや「知らない」ことではなく、むしろ「本気になっていないこと」が生む被災や被害、つまり、「想定内」の被災や被害だと看破(かんぱ)しているからだ。 たとえば、大災害時には、多くの帰宅困難者でターミナル周辺があふれかえることは、大阪北部地震の前から、だれもが十二分によく知っていた。必要なのは「押しかけ」 しかし、徒歩での帰宅訓練などに実際に参加した人が何人いただろうか、自社ビルに通行人や観光客を受け入れるための準備を「本気」で開始していた企業がいくつあっただろうか。産官学民の垣根(縦割り)をぶち破って「本気」でこの問題に取り組もうとした行政職員がどれだけいただろうか。 あるいは、老朽化したものを中心に建物の耐震化を進めることが地震対策の最善手であることも、むろんだれもが知っていた。しかし、行政予算の削減、会社の収支悪化、あるいは家計の逼迫を覚悟してでも、耐震化にお金をつぎ込もう、つまり「本気」で地震に備えようと英断した人がどのくらいいただろうか。私を含めて、一人一人の「本気」度が試されている。 論述がいささか説教調になってきたので、最後に一つ、こんな方向性もあるという話をしてみたい。これは、本稿で指摘した項目の一つ、家具固定についての話である。私の研究室では、ここ数年、南海トラフ地震・津波による被害が懸念される高知県内の沿岸地域で、「押しかけ家具固定」と名付けた取り組みを実施している。 これは、特に過疎高齢化が進む地域では、家具固定が進まないのは、「する気がない」からではなく「できない」からだと気づいて始めた取り組みである。一度でも実際に家具固定をしたことがある方ならお分かりの通り、あの作業は、(特に独居の、身体が頑健でない)高齢者には実施困難である。地震の影響で物が散乱した住宅の室内=2018年6月18日午前、大阪府吹田市 粘着マットを家具の下に敷くにしてもだれかが家具を持ち上げておかないといけない。L字金具を家具の裏面に設置するにしても、不安定な脚立などの上で工具や器具を操らねばならない。 そこで、私たちは、地域の小中学生に、高齢者宅で「家具固定をしてあげます。ご希望ありませんか」と呼びかけてもらった。そして、希望者宅には、地元の電器店、工務店の方など、こうした作業が得意な住民とアシスタントの小中学生から成るチームが押しかけていく。必要な器具は、多くの場合、自治体の補助金などで購入できるので、経費もほとんど無料で済む。 要するに、家具固定に関する「本気」が問われているのは、家具固定が必要とされている側(だけ)ではなく、家具固定を推奨する側だったというわけである。「家具固定しましょう!」と教育・啓発するだけの姿勢には、まさに「本気」が欠落していたのである。ささやかな試みであるが、こうした小さな「本気」の積み重ねが、巨大な災害に対して人間が対峙するための最強の「武器」だと思う。

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    首都直下型地震で生死を分ける「過去の経験」の使い方

    高荷智也(防災アドバイザー) 「首都直下地震」が近い将来に発生すると想定されています。過去の歴史をみれば、首都圏を大地震が直撃することは確定事項です。防災の日にちなんで、今回は首都直下地震が「起きるかどうかではなくいつ起きるのか?」というレベルで、その対策を論じたいと思います。 国内では1989年以降、1人以上の死者が生じた地震が24件発生しています。内訳を見ると、休日の発生が10件で平日は14件。平日のうち深夜の地震が6件、通勤時間帯が2件、日中が3件、夜間に3件が生じています。(※いずれも本震発生時間のみで、余震は除く) 直近の例として2018年6月18日に発生した大阪北部の地震をみてみると、発生時間は朝7時58分。これ以外で平日の通勤時間帯に生じた地震は、2011年6月30日の8時16分に発生した「長野県中部地震(松本地震)」で、死者1人、負傷者17人の被害が生じています。 しかし、この松本地震は大都市直下の地震ではなかったこと、地震の規模を示すマグニチュードが5・4、最大震度も5強と比較的小さかったことから、被害の大きさは限定的になっています。よって、大阪北部地震は、平成以降では初めてとなる「大都市の通勤時間を襲った大地震」という特徴を持つことになります。 「大都市直下・通勤時間帯」という地震の発生状況を考えると、大阪北部地震も死者数万人を数える大震災となってもおかしくなかったと言えます。しかし過去の大地震と比較すれば、被害規模は小さなものにとどまったと言っていいでしょう。むろん、死者が生じておりますので「被害が少なくてよかった」というものではありません。 被害が小さくとどまった理由は、「地震の規模が小さかった」からです。気象庁発表によるマグニチュードは6・1、これは前述の「平成以降で死者1人以上」を数えた24件の地震の中では、下から数えて2番目に小さい規模です。地震の影響はマグニチュードだけでなく、震源の深さ(浅いほど被害は拡大)や位置(都市直下ほど被害は拡大)が関連して定まる「震度」の方が重要ですが、その震度も「6弱」と大地震の中では小さな方に該当します。大阪北部地震で鉄道の運転見合わせが続き、改札の外で足止めされた人々=2018年6月18日、大阪府高槻市のJR高槻駅(永田直也撮影) つまり、「大都市直下・通勤時間帯」にも関わらず被害が小さかったのは、もちろん日頃の防災対策の成果でもありますが、たまたま地震の規模が小さかったからであり、これは「ラッキー」にすぎないということでもあります。「電車で地震にあってもたいしたことはない」と考えるのではなく、たまたま地震が小さかったから助かった、もっと大きな地震だったら大変なことになっていたと考え、今後に生かさなければならないのです。首都直下地震で絶対にやってはいけないこと 2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、直接的な被災地ではなかった首都圏においても、JRをはじめとする鉄道がストップし、515万人という膨大な「帰宅困難者」が発生しました。この時、長い距離を頑張って徒歩帰宅された方も多かったかと思います(私は動き出した私鉄で帰れた組でした)。そして「大変だけど、なんとか歩いて帰れる」という経験値を持たれた方も多いのではないでしょうか。 しかし、もし「首都直下型地震」が起きた時、「東日本大震災の時は歩いて帰れた、だから首都直下地震でも歩ける、実際大阪の地震ではみんな歩いていたし」と考えることは、生死に関わる極めて危険な事項です。 東日本大震災時の首都圏と大阪北部地震の場合、大都市の公共交通機関が停止して多くの帰宅困難者が発生した事象は共通しています。しかし、この2件において「歩いて帰るのが大変だった」という経験値は、今後の防災対策の基本にしてはいけない項目です。本来は、「大地震が発生した場合、少なくとも3日程度は会社にとどまり、安全が確保されるまで徒歩で帰宅することは避けなければならない」と考えるべきなのです。 多くの徒歩帰宅者が路上を埋め尽くしている状態で、大規模な余震やより大きな本震が発生した場合、建物の倒壊、道路の破壊、火災旋風の発生、あるいは人の集中による「群衆雪崩」の発生により、多数の死傷者が生じると考えられています。そのため、例えば東京都などは、2012年に「東京都帰宅困難者対策条例」を定め、企業に対して3日間、従業員を帰宅させない準備をすることを努力義務としています。 しかし、企業が防災備蓄に励んでも、そこで働く私たちひとり一人が、「多分大丈夫」とか「前の時は歩けた」などと考え、勝手に徒歩で帰宅してしまっては意味がありません。「大地震が発生した場合、都心部の徒歩移動は生死に関わる」と考え、安全が確認されるまでは移動をしないという意識や、そのために必要な道具の準備が重要です。新大阪駅でタクシーを待つ行列=2018年6月18日夜、大阪市淀川区(彦野公太朗撮影) もちろん、日頃から防災グッズなどを持ち歩くのも対策の一つですが、ぜひ「家族との安否確認」の手段がきちんと取れているか、確認をしてみてください。家族の安否が確認できない場合、企業が備蓄品の準備などをしていても帰宅せざるを得なくなります。普段から連絡先を控えたメモやポケットアルバムを持ち歩く、スマホアプリでやり取りができるか定期的に確認をする、といった対応をぜひ行ってみてください。

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    震災で亡くなった福島県の犬は2500匹 残されたペットは今…

     環境省によると、東日本大震災で亡くなった犬は、確認されているだけでも、青森県で31匹、岩手県で602匹、福島県で約2500匹にものぼる。なかには家族と再会できても、別れを強いられたペットたちも。あれから5年、熊本地震に受け継がれた、東北の想いをひもとく──。「“飼い主とはぐれた犬や猫を保護しています──”。すぐ目の前で遺体捜索をしている人たちがいるなか、そんな話をすると、白い目を向けられ、非難されました。あの時は、声をあげてペットたちの心配をできるような状況じゃなかったんです」 2011年3月11日に起きた東日本大震災で、飼い主を失った犬や猫の保護活動をしていたNPO法人・SORAアニマルシェルターの二階堂利枝さんは、まるで昨日のことのように当時のことを語ってくれた。二階堂さんは東日本大震災後、住民が避難して取り残された犬や猫を保護し、被災動物シェルターを2011年に開設した。「震災後の3月末、避難指示が出ていた福島県の南相馬市や浪江町に向かいました。町はまるで神隠しにあったように、人だけがおらず、牛や馬はすでに死んでいました」(二階堂さん) 飼い主を待ち、家の周りをさまよい続ける犬や、鎖で繋がれたまま逃げられず、餓死寸前の犬、フードは腐り、ケージに入れられたまま糞尿まみれになっている毛足の長い猫…。そんな子たちを保護していった。「誰も悪くないんです」とつぶやく二階堂さん。保護した犬や猫は、車に乗せると嘔吐する子が多かった。吐瀉物の中には、プラスチックや布、ひもが混じり、食べ物のかけらすらなかったという──。2011年8月、福島第1原発事故による警戒区域から保護され、福島市内のシェルターで暮らしている犬 そうして保護したペットは今、犬22匹、猫24匹に。多くが新しい家族に引き取られ、震災時に保護した数の半数以下にまで減った。シェルターに残る子たちも、今は元気に走り回っている。「昨年、飼い主さんが新しく家を建てられて、お返しできたワンちゃんがいました。高齢のおばあちゃんだったのですが、“チビタのために広いお庭を作ったのよ”って、とてもうれしそうで。新しい家でペットと一緒に過ごすのを楽しみに、震災を乗り越えられたかたも多いんです」(二階堂さん) 熊本地震では、東日本大震災の経験が教訓となり、ペット同行避難が推奨された。東北の動物たちが教えてくれたことは、今、次の時代にしっかりと生かされている。関連記事■ あまちゃん 震災で亡くなるのは夏ではなく春子との説出る■ 妻を震災で亡くした男性 遺族年金受給されず悲しみ■ 3歳の犬は人間ならアラサー 他の犬と遊ばなくても心配無用■ 震災で生徒亡くしたフラダンス教室主宰者「あの世で踊ってる」■ 大宅壮一賞受賞するも45歳で亡くなった記者の足跡辿った本

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    災害があってもペットと生きる方法 準備と災害前後の注意点

    てくる人がほとんど。家族同然の犬や猫と離れたことで心の支えを失い、寝たきりになった人もいました」  災害時こそ、ペットと共に生きるべき。そのためには備えが必要なのだ。ペットの災害対策について、今こそ考えてみよう。事前の準備として、まず大切なのは迷子札をつけることだと徳田さんは強調する。 「熊本地震では、飼い主とはぐれても身元がわかるペットの約8割が再会できました」(ゲッティイメージズ) 猫は、迷子札をつけても首輪ごと外れることが多いので、個人情報を記憶させたマイクロチップを体内に埋め込むのがおすすめだという。また、避難所ではしつけが何より大切、と民間の人道支援団体ピースウィンズ・ジャパンの大西純子さん。 「人に慣れている犬なら、避難所で受け入れてもらいやすい。無駄吠えしない、排泄が決まった場所でできるなど、基本のしつけが重要です」 「熊本地震では、多くの犬や猫が、人間よりも早く異変に気づき、ソワソワと異常な行動をとりました。それくらい動物たちは敏感なため、人間以上に恐怖を感じているのです。特に犬は、飼い主と離れてしまうことが強いストレスに。共に避難することを第一に考えて」(徳田さん) 環境省は、東日本大震災で多くのペットが飼い主と離れ離れになった事態等をふまえ、2013年、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を発表。その中で、ペットの同行避難を推奨し、それは熊本地震でも適用された。しかし実際は、他の被災者への迷惑を考え、車中泊を選ぶ飼い主も多かった。 「避難所にペットを同行させるには、家族以外の人にもなつける社交性を身につけさせて。また、飼い主が落ち着いているとペットも安心しておとなしくなります。どうしても吠える場合は、散歩で気を紛らわせて」(大西さん) ストレスを受けた犬や猫が、元通りの状態になるまでは、最低でも約1か月はかかると徳田さんは話す。 「犬は極度のストレスで嘔吐や下痢を繰り返し、猫はパニックになり、突然走り出したり、癲癇のような症状をみせる子もいました。心のケアも課題になってきます」  東日本大震災を経験した二階堂さんは、震災後の心のケアについて、「毎日積極的に話しかけ、触れてあげてください。お互いの気持ちが伝わって、表情が変わります」と言う。 ペットと触れ合うことで、人も癒されるのだという。関連記事■ 災害時 電気止まった時のために冷凍庫にペットボトルの水を■ 災害時にペットがいたりATMが使えないときの対処法を解説■ 災害時の非常持出品 「小旅行に行くときの準備を」と専門家■ 在宅看取りマニュアル 死の1週間前の家族の準備と心構え■ アベノミクス第2幕の注目株 地方インフラ整備と省エネ関連

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    むしろ避難しない方が安全? 「防災マップ」はこんなにもヤバい

    高橋学(立命館大学環太平洋文明研究センター教授)  6月の大阪府北部地震以来、記録的な大雨などの災害が頻発している。テレビのアナウンサーは、災害危険性を声高に伝え、避難場所への避難を呼びかけたが、西日本豪雨は結局、死者200人を超える甚大な被害をもたらした。 ここで、ちょっと考えてほしい。あなたが避難しようとした場所は本当に安全なところなのであろうか。また、避難場所へ至る経路は本当に大丈夫だったのだろうか。それ以前に、避難する必要があるのだろうか。 象徴的な例がある。名古屋市教育委員会などは、津波の際に臨海部の小中高に校舎の屋上への避難を指示している。だが、校舎は3階建て程度であり、津波の避難場所には不十分な高さだ。 2011年の東日本大震災を思い出してほしい。石巻市立大川小学校(宮城県)では、児童や教職員の8割以上が犠牲となった。ここの小学校の場合、不適切なハザードマップ(災害危険予測地図)の存在と教職員の判断の悪さが、被害を大きくする一因となったと考えられる。 宮城県が作成した津波のハザードマップによれば、大川小学校は津波の被害に遭わない場所と記されていた。それを信じた教職員たちは、津波の到達までに避難するのに十分な時間があり、避難できる場所もあったのに、児童を安全な場所に避難させなかったのである。阪神大震災で倒壊した阪神高速神戸線=1995年1月17日、神戸市東灘区(産経新聞社ヘリから) ハザードマップは1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)後に、急速に地方の行政組織に取り入れられ住民に配布された。ところが、このハザードマップには、大きな問題点があったのだ。 その問題点とは、死者が約4700人に上った1959年の伊勢湾台風以降、1995年の阪神・淡路大震災までの36年間、日本の根幹を揺るがすような大災害はほとんど発生しなかったことだ。 ちょうど、この時期の日本は高度経済成長期だった。そのため、「災害研究」や「リスクマネージメント」が真剣に考えられることはなく、教育も対策もほとんど行われることがなかった。ゆえに、ハザードマップを作成しようとした場合、都道府県や市町村の行政、警察、消防、自衛隊にも、それをできる人材がほとんどいない状況が生まれたのだ。 ハザードマップの作成や、避難場所の選定、避難経路の検討などは、コンサルタントに依頼したり、外部に「専門委員会」を作ったりして、作成が委託された。しかし、コンサルタントや専門委員会に召集された人々でも、ハザードマップの作成や避難に関して専門といえる人材が少ない。 また、ハザードマップは「時間・労力・資金・専門的知識」を駆使して、より精度の高いものを作成しても、地方行政体や地域の住民には歓迎されないことが多い。なぜなら、精度の高い地図を作れば作るほど危険と分類される地域が広くなるからだ。歓迎されない「防災マップ」 専門委員会の場合はともかく、コンサルタントにとっても、作成に時間や労力をかけ精度を上げたハザードマップが歓迎されないのであれば、最初から労力やコストをかけないものを作成することになる。 そうすれば、作成費用の見積もりが安くて受注しやすい上に、利益率も高くなる。仮に役に立たなくても場合によっては「想定外」という言い訳もできる。このような構造の中で、精度の低いハザードマップが作成され流布しているのが実態なのだ。 また、ハザードマップで避難場所に指定された場所が安全性に欠けるケースもよくある。それ以前に、避難場所に行くための経路の安全性が考慮されていることがほとんどないのも現状だ。 そもそも、ハザードマップで避難場所とされている学校、公園、公民館などは、一般的に、安くて広い土地が手に入る場所に立地していることが多い。また、避難路とされているにもかかわらず、住宅の倒壊やブロック塀の倒壊、液状化などの理由で道路が寸断され、避難場所に行くことすらままならないケースもある。 さらに、住民は不安な夜を体育館(公民館)で過ごしているというマスコミの定式化した災害報道により、本来、災害危険度の低い自宅からわざわざ危険なところに「避難」していることさえある。こうした現状を踏まえれば、むしろ避難しない方が安全といえる場合もあるということだ。冠水した岡山県倉敷市真備町地区を歩く女性=2018年7月 ゆえに、行政に頼ったハザードマップの作成や避難計画は役に立たないといっても過言ではない。避難訓練も春や秋の天気のいい日に、ピクニック気分で実施されていることもしばしばである。 特に地震の場合は、余震によって建物が倒壊して道路をふさいだり、火災のほか、路面の液状化で歩くことすらままならないなど、避難行動がかえって被害を拡大させる可能性が高い。行政やマスコミは「災害の教訓」を声高に訴えるが、日本の災害対策を根本的に見直すべき、大きな転換期を迎えているといえよう。

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    豪雨災害「クーラーデマ」を否定しない蓮舫議員もどうかしている

    、政治的な集団が先鋭的に対立している場合では、この「デマの延命」が見られるようである。 西日本の豪雨災害では、いまだ被災地で復旧作業や安否不明者の捜索が懸命に続いている。テレビや新聞の報道だけではなく、実際の被災者がほぼリアルタイムで知らせてくれる現状の一端は、被災地にいる人だけではなく、他の地域に住む人たちにも貴重な情報になっている。 民間の方々はもちろん、自治体や警察、消防、自衛隊などの人たちの必死の努力もネットなどで伝わってくる。事実、ボランティアの参加方法、寄付の注意点、また募金の重要性なども、筆者はネットを中心にして知ることができた。 他方でひどいデマにも遭遇した。中でも「風評被害」だと思えるケースが、岡山県倉敷市の「観光被害」とでもいうべきものだ。 今回の豪雨で、倉敷市の真備地区が深刻な浸水被害を受けた。だが倉敷の市域は広く、県内有数の観光地である美観地区はほとんど被害がない。観光施設や店舗なども平常通り営業している。 だが、「倉敷市が豪雨災害を受けている」というニュースや情報が、テレビでヘリコプターなどから映されている広域にわたって浸水した街の姿などとともに流布してしまうと、市域の広さや場所の違いなどが無視されて人々に伝わってしまう。ただし、観光客のキャンセルなどもあるようだが、この種の「風評被害」は、ネットメディアや一般の人たちの努力で打ち消していく動きも顕著である。2018年7月17日、風評被害により、観光客もまばらな岡山県倉敷市の美観地区(小笠原僚也撮影) 例えば、ツイッター上では「#美観地区は元気だったよ」というハッシュタグによる「拡散活動」が展開されている。また、大原美術館の防災の試みを紹介するネットメディアの記事で、今回は美術館のある美観地区が災害から免れているという紹介もあわせて説明されていて、それがよくネットでも注目を集めている。この種の試みや工夫は非常に重要だ。 これらの試みは、いわば民間の自主的な努力によるものである。言論や報道の自由が、あたかも市場での自由な取引のように行われることで、その権利が保たれるという見解がある。「言論の市場理論」とでもいうべき考え方だ。「クーラーデマ」と「コンビニデマ」 代表的には、19世紀の啓蒙(けいもう)思想家、ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』の中で展開されている。今回のようにネットでのさまざまな風評被害を防ごうという試みは、多くは人々の自主的な言論活動で行われている。 他方で、冒頭でも指摘したが、より対応が難しいのは、政治的に対立した人たちが放つデマである。今回の豪雨被害では、ネットを中心に代表的なケースが二つあった。一つは、先週、安倍晋三首相が岡山の被災地を視察に訪れ、避難所を訪問した際のことである。ところが、この訪問後に、ツイッターで「安倍首相が視察に来るので慌ててエアコンを設置した」というデマが拡散した。 最初にデマを「ウソに基づく噂」と書いたことからもわかるように、これは真実ではない。このデマに対しては、世耕弘成経産相がツイッターで即時に否定した。被災各地の避難所へのクーラーの設置は、被災者を多く収容している施設にまずは優先的に行われていることを、世耕氏は指摘したのである。 もう一つのデマは、政府が自衛隊の車両を緊急利用して、品薄が続くコンビニエンスストアに食品や飲料などを輸送したことへの批判である。これには「物流費を肩代わりするとは官民協力ではなく、官民癒着だ」という批判が上がった。また自衛隊への心ない批判も多くみられた。 もちろんこれは「官民癒着」などではなく、デマである。すぐさまネットでは、これらの施策が1年前に「災害対策基本法」に基づいて、「官民が一体となった取組の強化を図るため、内閣総理大臣が指定する指定公共機関について、スーパー、総合小売グループ、コンビニエンスストア7法人が新たに指定公共機関として指定」されたと指摘している。 当然だと思うのだが、被災地のコンビニで、以前と同じように品物がそろうことは被災している人たちにも助けになることは間違いない。「官民癒着」も間違いならば、官民連携によるコンビニ「復旧」を批判するのは、あまりにデタラメではないだろうか。 ただし問題はここからで、このような「クーラーデマ」「コンビニデマ」でも、いまだに政治的に対立する人たち、例えば安倍政権を批判することの好む人たちの中では健在である。だから、取るに足らない理由でデマを延命させている「努力」について、確認することは難しくない。2018年7月11日、岡山県倉敷市の避難所を訪れ、被災者の話を聞く安倍首相 特に野党議員など、国会レベルでの政治的な対抗勢力の人たちがこのデマに加担していることも確認できるだけに、政治的な思惑でのデマの流布により、社会的な損失がしぶとく継続しがちだと思われる。なぜなら、政治的な対立者たちが合理的なデマの拡散者である、という可能性も否定できないからだ。 デマの拡散力とデマを否定する力と、どちらが大きくなるかは、「正しさ」の観点だけで決めるのはなかなか難しい。いずれが打ち勝つかはケースによる、と冒頭でも書いた通りだ。特にこのような政治が絡む案件ではデマは真実だけでは打ち消せないかもしれない。政治的バイアスを打ち砕けるか ネット社会の問題について詳しい法学者、米ハーバード大のキャス・サンスティーン教授が著書『うわさ(On Rumors)』(2009)の中で、類似したケースを紹介している。要するに、人々の自由な言論ではこの種のデマを防ぐことは難しいと、サンスティーン氏は指摘している。 ではどうすればいいのか。サンスティーン氏は「萎縮効果(Chilling Effect)」に注目している。つまり、法的ないし社会的なペナルティーを与えることによって、この種のデマを抑制することである。 例えば、デマの合理的な流布者に対し、悪質度に応じて、法的な制裁やまたは情報発信の制限を与えてしまうのである。これを行うことで、他のデマの合理的な発信者たちに、デマを流すことを抑制できるとする考え方である。 このような「萎縮効果」は確かに有効だろう。だが、あまりに厳しければ、それはわれわれの言論の自由を損なってしまう。 現状でもあまりに悪質なものには、法的な処罰やまたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のアカウントの制限や削除などが運営ベースで行われている。それが「萎縮効果」をもたらしているかもしれない。「萎縮効果」はやはり補助的なものだと考えた方がいいだろう。 立憲民主党の蓮舫議員はツイッターで以下のようなことを書いている。 総理視察の直前に避難所にクーラーが設置されたとのツイッターに、経産大臣が随分とお怒りの様子で、かつ上から目線のような書きぶりで反応されていたが、もはや避難所にクーラーのレベルではなく、災害救助法上のみなし避難所の旅館・ホテルを借り上げ、被災者の居場所を確保すべきです。蓮舫氏の7月13日のツイッター 「クーラーデマ」を明瞭に否定せずに、世耕氏の発言を「上から目線」として批判することで、かえってデマをあおる要素もこの発言にはある。ただし、この蓮舫氏の宿泊施設への対策が政府にあるかないかについて、即座に自民党の和田政宗議員が次のように反応している。 ご意見有難うございます。ご指摘いただいた前日までに政府は既に対応済みで、12日の非常災害対策本部の会合で、被災者向けに公営住宅や公務員宿舎、民間賃貸住宅など7万1千戸を確保し、旅館・ホテル組合の協力により800人分も受け入れ可能となっている旨、報告されています。r.nikkei.com/article/DGXMZO …和田政宗氏の7月15日のツイッター2018年6月18日、参院決算委員会に臨む立憲民主党の蓮舫氏(春名中撮影) この与野党の国会議員のやりとりを、ネットユーザーが直接見ることができ、それに評価を下すことができる。確かに、政治的バイアスを打ち砕くのは至難の業である。だが、同時にわれわれの言論の自由は、その種の政治的バイアスに負けない中でこそ養われていくことを、災害だけではなく、さまざまな機会で確認したい。

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    「豪雨報道」がなんだかおかしい

    西日本を襲った豪雨災害は、平成史に残る甚大な被害をもたらした。これほどの大災害だったにもかかわらず、被災当初のテレビの報道ぶりに違和感を覚えた人も多かったのではないだろうか。「赤坂自民亭」もさることながら、テレビの豪雨報道もなんだかおかしい、そう思いませんか?

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    「赤坂自民亭」より不謹慎? エンタメ化したテレビの災害報道を憂う

    観性や公共性に努めてはいるのであろう。 とはいえ、お笑い芸人やタレントの司会者が、同じように芸能人に災害に関するコメントなどを求めている場面を見れば、それが「報道番組」ではなく、あくまでも「情報バラエティー番組」であることを痛感させられる。 また、東日本大震災や熊本地震などの時でも多発したように、テレビメディアが「震災報道」と称して、単なる「スクープ」「衝撃映像」「独占入手」を求めているだけのような動きをしたり、何を勘違いしたのか、取材クルーが単なる被災地の迷惑になっているだけの場合も少なくない。今回の豪雨被害でも、濁流に流される被災者の救助を助けることなく撮影し続けた様子が「見殺しだ」という批判が高まった。同じような主従逆転の事例は数限りない。 筆者は7月8日から11日まで、役員を務める鳥取県米子市で開催されていた国際学会に出席していたが、その際に改めて現在のテレビ報道がいかに不十分な報道メディアであるか、ということに気づかされ、反省もした。具体的には、東京に在住する筆者は、被災地の隣県・近県にある鳥取県に行って、初めてその被災のリアルを知ることができたからだ。被災地に向けて出発する、鳥取県米子市にある西部消防局の緊急消防援助隊員(山根忠幸撮影) そもそも、首都圏にいる以上、西日本豪雨による物理的なダメージや不都合を感じることは難しい。例えば、多少の影響はあるにせよ、羽田空港から米子鬼太郎空港までは問題なく飛行機は運航している。到着した米子も多少の雨模様とはいえ、基本的には「いい天気」だった。しかし、会場に到着してみれば、海外の研究者も含め、多くの参加者が遅延あるいは欠席の連絡が相次いでいた。ここで、初めて被害状況を理解できたことになる。 駅前にある大型スーパーなども営業こそしていたが、生鮮食品を中心に十分な在庫はなく、品ぞろえも悪い。ロジスティクス(物流)が停滞していたのである。だが、一見しただけでは、街は特に大きな障害もなく動いているようにも見える。隣県・近県が未曾有(みぞう)の豪雨災害に見舞われているとは到底思えない。しかし、表に見えてこない部分では確実に不都合が発生しているのである。コンビニでは品薄状態が続き、朝から現金自動預払機(ATM)には長蛇の列ができていた。 役員として会場に待機していた筆者の元に、国内外から続々と情報が届いてきた。多くの参加者が会場である米子に到達できなかったからである。まず、海外からの訪問者で米子まで到着できなかった人たちの多くが、岡山や大阪などから米子へ向かう経路が確保できず、足止めをされていた。 米子鬼太郎空港はいわゆる「国際空港」ではないので、海外からの直行便はほとんどない。よって、近県の大きな国際空港から陸路や鉄路で米子に向かう方法が採られる。しかし、隣県・近県をつなぐ主要な陸路や鉄路が遮断されており、近くまで来ているにも関わらず、米子に到達できないという現象が起きていたわけである。ショッキング映像ばかり もちろん、それは国内からの参加者も同様であった。東京など東日本から米子に向かう場合、空路利用が多いので、そこまで移動経路が遮断されているとは到底実感できない。一方で、西日本からの参加者は、あらゆる手段が寸断・遮断され、にっちもさっちも行かない…という状況になっていた。 だから、到着した参加者の多くが、いったん西日本から空路で東京の羽田空港へ向かい、そこからまた空路で米子に行くという信じられないような大回りで、どうにかして到着していた。 大きな迂回(うかい)経路を利用するということは、数万円の交通費を新たに消費するということも意味する。しかし、学会参加による出張では、参加できなければ出張旅費が支出できなかったり、国によってはめったに海外出張が許されない大事な機会であることが少なくない。また、座長などの役職者であれば、自分が到着しなければ学会が始められない…といった抜き差しならぬ事情を抱えることが多く、相当無理をして到着してきた参加者も少なくなかった。 この時に痛感したことは、被災地の現地以外の居住者に向けられたテレビで放送される情報の多くが、「しょせん全国放送向け」の薄い情報や、大衆的な興味を喚起できる、すなわち視聴率を獲得できそうなショッキングな情報ばかりであるという現実だ。 一方で、学会の会場にどうにかして到達した「猛者」たちの全てが、ネットで細かい情報を入手していた人ばかりであった。テレビが繰り返し映し出す「独占スクープ」の悲惨映像などは何の役にも立たない。つまり、テレビなどの主要メディアは「ショッキングな映像」以外に有用な情報はほとんど提供しきれていなかった。「公共の電波」と言いつつも、全く公共的には機能していなかったわけである。 しかしながら、テレビには主要キー局だけではなく、それにネットワークを形成する多くの地方局を抱えている。当然、それら地方局や放送網を効果的に利用すれば、さまざまな情報の収集や発信が可能であろう。2018年7月7日、冠水した岡山県倉敷市真備町で、ヘリコプターで救助される人(産経新聞社ヘリから) もちろん、被災地の地方局では、現地ならではの細かい情報を発信していたであろうが、それはあくまでもローカル局が現地に向けて制作したローカル番組でしかない。そのような番組が東京のキー局に届き、全国に発信されたような事例は多くないだろう。 地方局がリアルな「情報センター」として機能していたとしても、その情報が他に届かなければ、われわれは被災地の現実を知りようもないし、対策もできない。キー局による全国ネットの「情報バラエティー番組」は、視聴者の目を引くようなスクープ映像や同情する以外に視聴者には何もしようがないショッキング映像ばかりだ。それにコメントするタレントの喜怒哀楽を映し出すことが、公共の電波の役割ではあるまい。糾弾すべきは安倍首相よりテレビ もちろん、テレビに対して四六時中、細かい災害情報ばかりを放送せよ、と言っているわけではない。しかし、いわゆる「視聴率稼ぎ」の立ち位置からばかりではなく、公共の電波という意識と責任を強く持ち、テレビ局の放送網やリソース(資源)をもっと有効に利用すれば、中央と地方の報道格差を埋め、日本国として一丸となった情報共有もできるはずである。それが引いては効果的な避難情報や救援情報の提供も可能にするのではないか。 タレントたちが神妙な顔つきで「豪雨で大きな被害を受けたショッキングな映像」ばかりを紹介する情報番組が終われば、いつもの通りのバラエティー番組が放送される。もちろん、多少の自粛や方向修正はあるのかもしれないが、いつもと同じものばかりだ。それをとがめる人もいなければ、悪びれることもない。今のテレビ放送の存在はどう考えても「不謹慎」だ。 一方で、7月5日に自民党の国会議員が安倍晋三首相との宴会に出席し、同席していた兵庫県選出の西村康稔官房副長官がその写真をツイッターに投稿した、ということが「不謹慎だ」と非難が集まった。もちろん、兵庫県内でも10万人以上の避難勧告が出ていたので、地元選出の政治家としては緊張感を持って対応してほしいと願うのは当然だ。タイミングや対応の悪さはあったとは思う。 しかし、宴会やパーティーに出席したり、懇親会の類いに参加することも政治家の仕事の一部という側面もある。時には断ることのできない懇親会だってあるだろう。特に、首相も同席した宴会となればなおさらだ。 むしろ、それを不謹慎だと糾弾するエネルギーがあるのであれば、情報バラエティー番組で「独占映像」などと称してショッキングな映像を繰り返し流して視聴率を稼いだり、いつものようにバラエティー番組を放送したり、「報道もどき番組」で災害をコンテンツ化するテレビの存在の方こそ、はるかに糾弾されるべきものがあるように思う。2018年7月13日、宇和島市役所で行われた愛媛県の中村時広知事(右)との意見交換を終え、取材に応じる安倍首相(代表撮影) 公共の電波であるテレビは、こういった大きな災害時にこそ、あらゆる私欲を捨て、情報センターとしての役割を果たすべきであるように思う。テレビをつければ、公共性の失われた情報ばかりに埋め尽くされている。何のために大きな権力を与えられた「公共の電波」なのか、改めて考えるべきではないだろうか。

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    嫌われるマスコミの災害報道は「オーダーメイド取材」で一変する

    堀潤(ジャーナリスト、キャスター) 西日本を襲った豪雨災害は、200人以上の方々が亡くなり、現在も20人以上の方の安否がわかっていません。私は7月7日以降、豪雨被害が大きかった岡山県や広島県の各被災地を回り、被災された方々に今必要な支援が何かを聞いて回りました。 やはり被災者の第一声は水です。飲み水ではありません。生活用水です。トイレや風呂、手や顔を洗う水だけではなく、泥かきをしたり汚れを拭いたりする時に必要な水です。飲料水は支援物資や自衛隊からの給水などでなんとか賄えているのですが、生活用水を確保するのは至難の技です。 広島県三原市では井戸水を利用している世帯が少なくなく、水をくみ上げるモーターを修理し、使用できるようになった水を近所の人たちと共有し、助け合って復旧、復興に取り組んでいました。ただ、課題もあります。地元三原市の社会福祉協議会の方々に話を聞くと、犠牲になった方々の多くが自力で2階に上がることができない知り合いの方々でした。 足の不自由な50歳代の人、90歳を超え一人暮らしだった女性は「近所の誰かが大丈夫か?と訪ねてくれてさえいれば…」と唇を噛み締め、悔しそうに話をされていました。浸水被害がひどかった地域は比較的商業施設などが集まる中心部でした。新しく移り住んできた人も多く、地域の町内会の加入率が年々下がっていることが地元の方々の悩みでした。 女性はさらに「災害が起きると実感するはずです。地域のつながりがどれだけ大切か。普段から顔見知りだったら井戸の水だって借りやすいだろうに。命だって守ることになるんですから」とも語っていました。 実感したのはハザードマップの正確さです。各地を取材した際の共通の質問が「ハザードマップではこの地域はどのような状況でしたか?」です。地元の方々が改めて驚くほど、災害被害は起こるべくして起こるんだということを実感させられました。水害や土砂災害、地震、火災など災害ごとにハザードマップが作られているのをご存じでしょうか。それが何を意味するのかというと、避難先が変わってくるということです。 今回の豪雨災害でも地震などを想定した避難場所が浸水していたケースがありました。自治体からは防災無線を通じて別の高台の避難所の案内をしていましたが、馴染みのない場所で戸惑いが広がったという声も聞きました。災害が起きてからの対応では遅いのです。当たり前のことですが、平時のアクションが自分の大切な人と自分の命と財産を守るための防災です。 そもそも、私たち日本人は災害が発生しやすい国土で生活しています。地震、津波、台風、集中豪雨、そして火山。2011年3月11日に東北沖でマグニチュード(M)9・0の巨大地震が発生した東日本大震災では、10メートルを超える巨大な津波にも襲われ福島県にある東京電力福島第一原発がメルトダウンを起こす大規模な事故を起こしました。放射性物質に汚染された土地を取り戻すためには半世紀近くの時間が必要だとも言われ、私たち日本人は自然災害だけではなく、原子力災害も経験しています。炎天下の被災地を歩く男性。大量の土砂で下部が埋まった車や標識が放置されたままになっている= 2018年7月13日、広島県坂町(鴨川一也撮影) 地震は地中の岩盤同士がぶつかり合いズレることで地表に揺れを引き起こすわけですが、日本には今後もそうしたズレが起きる可能性が高い「活断層」が2千以上あります。世界中の地震の約10回に1回は日本やその周辺で起きているとあって、実は私たちの暮らす地面はとても揺れやすいのです。 特に東日本大震災以降は地震活動が活発で、政府は今後30年以内に東京や神奈川など首都圏でM7級の直下型地震が起きる可能性は70%と予測。東海から九州にかけてM8級の揺れが想定される東海、東南海、南海大地震も88%〜60%と、こちらも高い確率です。いつ起こるのかは分かりませんが、いつ起きてもおかしくないのです。家族4人が車で生活 また、日本は「火山列島」とも呼ばれ、噴火する可能性のある「活火山」が全国に110もあります。実は、あの富士山も活火山です。いつ噴火してもおかしくはありません。山梨県、静岡県、神奈川県では富士山噴火に備えた避難訓練が行われたりしています。富士山が噴火すると当然東京などにも影響が出ます。火山灰が降り積もり、新幹線や高速道路など交通網がマヒ。灰の影響で水道や電気、ガスが長期間ストップ。ジェット機も飛び立てなくなり、東京が陸の孤島になり混乱することも予想されています。 「これだけ色々な予測がされているのであれば備えも万全だろう」と思いがちですが、冒頭述べた通り、災害には「想定外」がつきものです。例えば、国は熊本地震のように震度7の地震が連続して起きることは想定していなかったと言います。災害発生時の対応をまとめた全国の自治体の防災計画の多くで「想定外」だったということも報道機関の調べで分かりました。 熊本の地震では1度目の震度7の地震で避難所に避難した人に加えて、さらに規模の大きな揺れに襲われ「もうダメだ」と思った人たちが一気に避難所に向かいました。最大で20万人とも言われる避難者の数、小学校や中学校の体育館には収まりきらず、校庭や渡り廊下といった屋外で野宿をせざるをえない人たちも大勢いました。 一方、そうして人があふれた避難所をあきらめ、仕方がなく自分の車の中で寝泊まりする人たちも少なくありませんでした。「赤ん坊が泣いて迷惑になるといけないから」「持病があって硬い床で寝られないから」「余震が怖くて建物の中にいたくないから」など理由は様々です。西日本豪雨被害の避難所でうちわをあおいで暑さをしのぐ人たち=2018年7月8日、岡山県倉敷市真備町の岡田小学校(永田直也撮影) 私が取材をしていた家族は親と子供の4人で3週間以上車で避難生活を続けました。避難所ではないので食料の配給も受けられず自力で調達。狭い車内で同じ姿勢のまま過ごすことで体調を壊す人もいます。「エコノミー症候群」と言って血のめぐりが悪くなり血管が詰まるなどして、最悪、死にいたる症状です。絶えず体を動かしたり、血のめぐりが良くなるようにマッサージをしたり工夫が必要でした。 食料の確保が大変だったのは、車中避難の人たちばかりではありません。避難所でも圧倒的に食料が足りずに苦労した人たちもいました。災害時の対応などを定めた法律「災害対策基本法」の中には「指定緊急避難場所」と「指定避難所」という言葉が出てきます。前者は地震や津波からいち早く身を守るために逃げ込むことができる高台や公園などにある安全な場所や施設。後者はそこに留まって食糧支援などを受けながら避難生活を送ることができる施設を指します。 災害による影響が比較的少ない場所であることや生活物資の運搬がしやすい環境であることなど、法律によって条件が定められています。ですから、すべての小・中学校などの避難所がこの「指定避難所」ではありません。 熊本地震では、避難した人が身を寄せた避難所が「指定避難所」なのかどうかで状況が大きく異なりました。指定避難所の小学校に避難した人は自治体からの物資や自衛隊からの支援を優先的に受けられました。しかし、同じ区内の小学校でも「指定避難所」ではなかった場合は、避難した人たちが自力で食料を調達しなくてはならず、大変苦労したのです。 10カ月の赤ん坊を抱えたお母さんは避難した体育館で「ここは指定避難所ではないので、食料は届きません。自力で調達が必要です」と言われた時には目の前が真っ暗になったと言っていました。そうした避難所ではインターネットを使うなどして全国からの直接支援でなんとか水や食べ物をかき集め、なんとか凌(しの)いだという状況でした。「何のための地元局か」 今回の西日本豪雨や熊本地震のように、首都圏が被災地にならない場合、相対的にテレビの報道量が減っていくのが体感として分かります。台風などは顕著な例であり、首都圏に上陸が予想される場合とその他の地域の場合とでは中継体制の力の入れように温度差があるのは明らかです。全国ネットの放送は東京一極集中であり、首都機能や交通、物流などに与える影響の大きさを考えると、首都圏の情報に重きを置くテレビ局の判断も分からなくはありません。 西日本豪雨の被害の大きさを考えると、首都圏が台風を迎え撃つ時のように事前の特番体制で報じるべきだったという声が上がるのは必然です。ただ、進路や速度などをもとに被害予測をたてやすい台風と短期間で変化に富む集中豪雨災害とでは勝手が違ったのかもしれません。 岡山県に住む方からこんなメールをいただきました。 6日夜、県の広い範囲に避難指示が出されていたにもかかわらず、ニュースでずっと報道していたのは、NHKのみでした。11時半過ぎ、地震かと思うような揺れがあり、家族がツイートやLINEで情報収集すると、浸水で避難途中の真備の友人から、工場爆発との知らせがありました。ツイートを見ると、津山でも揺れ、県内騒然とするなか、民放は、警報のテロップだけで、通販番組とか、いつもの放送内容でした…。日付がかわり7日のNHKニュースの総社市長のコメントで、爆発だと知った人もたくさんいたと思います。豪雨の犠牲者は、お年寄りばかり。岡山県も高齢化が進み、頼りの情報源はラジオTVという一人暮らしのお年寄りもたくさんいると思います。何のための地元局か、と怒りが。 お怒りはごもっともです。逆に、NHKの責任の重さも感じます。個人的には、被害の大きさを量で測るのには抵抗があり、ましてや1人の命も、100人の命もそれぞれ同じ重さであると思いたいものです。 私がNHKを辞め、自由な発信の場を求めた理由の一つが災害報道のあり方に疑問を感じたからです。今年でフリーになって5年になりますが、その間発生したさまざまな災害報道では常にそこで暮らす一人一人の生活者の皆さんとの連携を第一に掲げてきました。 2年前の熊本地震以降、大きな災害が発生すると私はまず自分のLINE IDをツイッターやフェイスブックで公開し、被災者の方とつながりながら、現場が最も必要としている発信を支援する取り組みを始めています。拡散した災害情報 災害時の会員制交流サイト(SNS)には悪意あるデマのみならず、古い情報がそのままリツイートされ誤解を生んだり、伝言ゲームで不正確な表現となり結果としてデマになってしまうケースなど、まさに玉石混交、さまざまな情報が流布します。そうした中に、被災者本人の本当のSOSが埋もれていってしまうことがあります。 フォロワー数の少ない個人が発信するよりもより強い拡散力を持つアカウントから発信してもらった方が多くの人にSOSが届く可能性が高まります。情報を精査、検証する力やより多くの人たちに短い時間で情報を届けるノウハウが求められますが、私のようなSNS使いのテレビマンにとっては何か役に立てそうだと思い、熱心に取り組んでいる支援の一つです。 例えば、今回の西日本豪雨では私が公開したLINE IDには愛媛県西予市野村、広島県呉市天応西条、岡山県総社市下原などで孤立したり、救援が必要な住民の皆さんやそのご家族、約20名の方から切実な連絡が入りました。 8日午前、広島県呉市天応西条3丁目の36歳の男性からのSOSは、20名から30名が今も川の決壊で孤立したままだという内容でした。1歳と12歳のお子さんがいるとのことで、そのうち持病のある12歳のお子さんの薬が明日までしかなく、発作が起きるのが心配だというのです。せめて薬だけでも届けてもらえないかと、男性は私に発信の支援を求めてきたのです。男性がLINEに送ってきてくれた動画を見ると、家の目の前の道路が崩壊し目の前を茶色く濁った泥水がものすごい勢いで流れていく様子でした。 撮影は8日早朝です。男性の身元の確認や映像の検証などをこちらで行い、ツイッターや各SNSで発信したところ、瞬く間に50万を超えるアカウントからのアクセスがあり拡散されていきました。そして、それから5時間後。「堀さん!お力を貸してくれたみなさん。どうもありがとうこざいます。無事救助連絡、そして子供の薬も5日分もらえました!本当に心から感謝します。救助ヘリも何機かきてもらい、具合が悪い方の救助もしてもらえました!断水状態も続きまだ不安定ですが、頑張ります」と男性から連絡が入ったのです。土砂崩れ現場で行方不明者を捜索する消防隊員ら=2018年7月7日、広島県東広島市 情報が途絶え、孤立した状況が続く中、SNSに寄せられる人々の声が男性やその家族を励ましたと言います。このように情報を寄せてくださった方々の元にはその後一人一人直接会いに行きます。今日の時点で岡山や広島から連絡をくれた人たちを直接訪ね、さらなる追加取材を行っています。オーダーメイド型の取材で被災者の切迫したニーズを満たす、これも新しい時代の報道の在り方なのではと思っています。

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    「五感で伝えない」民放テレビの災害報道は役に立たない

    りの生活が戻ってくることを祈っている。 さて、この原稿を書いている時点では、まだ被害は拡大しており、災害報道のあり方を総括する段階ではないかもしれない。ただ、7月5日に気象庁が「記録的大雨となる恐れがある」と警戒を呼び掛けてから、これまでのテレビ報道に関して「取り上げ方が小さすぎる」「腰が引けている」などの指摘がある。 録画していた民放のニュース番組を改めてチェックしてみると、確かに「何かが足りない」ような気がする。なぜこの緊急事態に民放テレビ局の報道姿勢が消極的に見えるのか、これまでの放送内容に問題点はなかったかどうかについて、特にニュース番組の初動対応を中心に考察してみたい。 まずは、5日夜のテレビ各局のニュース番組について振り返ってみよう。番組では、キャスターや気象予報士が落ち着いたトーンで、「大規模な土砂崩れや河川の氾濫の恐れもあるため警戒が必要である」と大雨への注意を呼び掛けていた。 テレビ各局には、災害時の対応の仕方や放送上の注意点をまとめた「災害マニュアル」がある。マニュアルでは、視聴者がパニックにならないように、あおらず冷静に伝えることが原則となっているため、適切な対応である。いわゆる「L字画面」で、随時大雨の状況や避難情報も表示しており、各ニュース番組は、情報をきちんと整理して伝えていた。 ところが、テレビを見ている側からすると、大雨情報は報じられていても、「未曽有の大災害の恐れがある」という切迫感があまり伝わってこないために、「何かが足りない」印象を受けてしまったのである。 その後、「大規模な土砂災害」や「河川の氾濫」が実際に発生し、気象庁の予測が的確だったことが証明されたが、5日の段階では、サッカー日本代表の帰国やタイの洞窟に閉じ込められた少年たちに関するニュースも、それなりの時間を取って放送していた。とりわけ視聴者の関心が高くなるはずの天気コーナーでも軽やかなBGMが流れていて、番組全体の雰囲気は非常時対応ではなく「通常運転」であったことがうかがえる。2018年7月6日、激しい雨が降る中、JR博多駅前を行き交う人たち テレビというメディアは、視聴者の五感に訴えかける。ニュース番組に出演している人の話の内容、すなわち「言語情報」だけでなく、話すときの表情、声色、しぐさのほかスタジオの雰囲気やBGMなどによる視覚情報、聴覚情報などの「非言語情報」が大きな意味をもつ。 豪雨の初期段階でのニュース番組から発信された情報に当てはめて考えてみると、「言語情報」では豪雨による被害拡大の危険性が高いことを強調していながら、視覚情報や聴覚情報から、あまりそのリアリティーが伝わってこなかったことが問題である。「言語情報」と「非言語情報」にギャップがあったように思う。リアリティーに欠けた「東京発」 テレビ局側は災害マニュアルに沿った教科書通りの放送をしていたため、「落ち度はなかった」と反論するかもしれない。確かに、「言語情報」において落ち度はなかったのかもしれないが、「非言語情報」から伝わる緊張感が弱かったために、「伝えるべきことが伝わらなかった」のではないか。 実際、福岡市に住む私にとって、「東京発」のニュース番組は、若干リアリティーに欠けたものに映った。というのも、私が住んでいる福岡市の「一部」に対して、この時点で避難準備情報が発令されていたことがL字画面で確認できたが、「一部」に自分が住んでいる場所が含まれているかが分からなかったのだ。 このため、テレビの災害情報が、避難の準備をするかどうかの判断材料には全くならなかった。結局、福岡市のホームページを見て、避難準備地域から外れていたことが確認できた。 また、番組で「土砂災害」や「河川の氾濫」の恐れがあるというコメントは何度も耳にしたが、自分が住む場所にどの程度のリスクがあるかが、テレビの情報では分からず、やはり福岡市の「浸水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」で改めて確認せざるを得なかった。そのサイトでは、刻一刻と変わる近所の川の水位も把握することができた。 東京発のニュース番組からは、大雨が降り続く地域の住民にとって必要な具体的情報が十分にあったとは言えない。しかも、繰り返された注意喚起も紋切り型で、大災害が現実に発生する恐れが本当にあるとは受け止められるような作りではなかった。 せめて、大雨が降り続く地域には、地方自治体のホームページにアクセスすれば、地域別の詳細な災害リスクが分かることを伝えて、視聴者を誘導してもよかったのではないか。私の場合、必要な情報は東京発のテレビにはなく、福岡市のホームページにあったのである。 今回のテレビ報道を見て、大災害にもリアルに対応できる災害マニュアルの再検討が必要ではないだろうか。迅速でスムーズな報道対応のためには、決められた流れで作業を進めるためのマニュアルが欠かせない。愛媛県大洲市の豪雨で、路上に横転したままの車両=2018年7月8日午前 具体的には、どのように情報発信すれば注意喚起のリアリティーが伝わるのかを「言語情報」と「非言語情報」の二つの側面からアプローチしなければならない。そのほか、被災地の人々が望む詳細な情報にいかに誘導するのか、という問題についても検討が必要だろう。 想定外の自然災害がこれからも発生する可能性はある。まずは、今回の被災地の人々がテレビの情報をどのように受け止めたかを丁寧に検証することから始めたらどうだろうか。

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    豪雨報道より『鶴瓶の乾杯』を優先した首都圏NHKが嘆かわしい

    豪雨」は、西日本を中心とした各地で、何十年に一度という驚くべき雨量で甚大な被害をもたらし、未曾有の大災害となった。すでに死者は200人、安否不明も60人超となり、現在も懸命の捜索活動が続けられている。 安倍晋三首相は、被災自治体からの要請を待たず、国が支援物資を送るプッシュ型支援で、20億円を支出しエアコンや水などを被災地に送るよう指示した。また、被災地のコンビニエンスストアなどへの物資の輸送車両を緊急車両の扱いにする考えを示した。 東京にいて幸いにも豪雨の実感を全く持たないでいた私も、8日から9日にかけて、これは大変なことになったと、NHKの画面に目が釘付けになっていた。人命に関わる災害報道はNHKの独壇場だ。 7月9日の朝、毎日楽しみにしていた朝ドラ『半分、青い。』もL字画面(テレビの画面に青い帯で緊急ニュースを入れ、本編の番組画面を4分の3程度に縮小して放送する編成)になり、正直言って私はドラマを存分には楽しめなかった。 それでもNHKには国民の生命・財産を守るための情報を提供するという、極めて優先度の高い任務があり、9日の『半分、青い。』の放送中にも、死者88人安否不明58人という情報は提供され続けた。 安否不明というのは、昔は行方不明と呼ばれた。子供の頃の私は行方不明と聞いて、どさくさに紛れて家出する人がそんなにいるのか、と大きな勘違いをしていた。もちろん、災害における安否不明とは、残念ながら死亡している可能性が大きく、遺体さえも発見してもらえない人であったりもする。『半分、青い。』を見ながら、不明の人が無事に救出されることを祈りつつ、内心この時点で死者数は三桁に達するだろうと懸念していた。豪雨で水に浸かったままの住宅地=2018年7月8日、岡山県倉敷市真備町(小型無人機から) 9日の『半分、青い。』の番組そのものは、L字画面で見づらかった。だが、刻一刻と変わる危機に、私はリアルタイムで接することができ、さすがは災害報道のNHKだと信頼感を覚えたのである。 ところが、同じ9日でも夜になるとNHKは一変した。人気娯楽番組である『鶴瓶の家族に乾杯』がL字画面になることもなく、通常画面で放送されていたのである。災害関連の字幕もない。確認したところ、この時点で死者114人、重体3人、安否不明61人であった。なんと朝ドラが放送された時点よりも死者数、安否不明者数ともに増えているではないか。当然ながら捜索活動も続けられていることだろう。 いったい何を考えてNHKは災害報道体制を、この段階でやめてしまったのだろうか。安否不明の人がすべて発見され、捜索活動が終結したのなら、理解できる。しかし、実際には捜索活動はまっただ中で、安否不明の人がどんどん増えつつある状況だったのだ。軽率なNHKの番組編成 警報が解除されたから、中国地方の雨が上がったから、というのが理由だとしたら、それはあまりにも軽率であろう。大変なのは「これから」だからだ。雨が上がっても土砂災害の危険性は引き続きあり、水没した家、冠水した道路、決壊した河川によって被害は拡大する。そして何よりも、避難所に身を寄せている方々の苦難は、これから始まるのだ。そういった認識がNHKの編成に本当にあったのだろうか。 被害のなかった東京の私たちにしてみれば、西日本の大災害がもたらす、その異常なまでの悲惨さについては、テレビによってしか実感を持って知ることができなかった。NHKはそれをリアルタイムで伝えることのできる唯一のメディアなのだ。 民放の場合、視聴者に「豪雨のニュースもう飽きたよ」と言われればおしまいだ。豪雨のニュース映像も最初はショッキングだが、何日も続くと飽きっぽい視聴者の興味をそそらなくなる。 そうなると別の娯楽番組を用意して、視聴者を満足させなければならない。そうしないと視聴率が落ちて、スポンサーからの収入が減ってしまうからだ。スポンサーによって経営が成り立っている民放の宿命である。 受信料で運営され、視聴率も絶対指標ではないNHKの場合、そこまで民放各局のように視聴者におもねる必要はないはずである。確かに『半分、青い。』も『鶴瓶の家族に乾杯』も視聴率の高い人気番組だ。そして番組本編の画面を小さくするL字画面は、視聴者にすこぶる評判が悪い。 実際に人気番組の放送時には、L字画面が邪魔だからやめてくれ、というクレームの電話が、視聴者ふれあいセンターへ相次ぐ。特に今回のように長期間にわたってL字画面が続いた時は、なおさらそうだろう。とはいえ、これはなんとかご理解いただくしかない。 また、NHKにも災害報道ばかり見せられるとウンザリする、という視聴者からの意見はある。「気分が落ち込む」、「何か楽しい番組で気分を晴れさせてくれ」という声もある。各避難所には特設テレビが置かれているが、それを見ている避難者の方々からさえ、災害の映像は見たくないから面白い番組を見せてくれ、というリクエストが上がってきたりする。ヘリで救助された住民=2018年7月7日、岡山県倉敷市(永田直也撮影) そういった事情を解決する苦肉の策として、災害報道をしつつ同時に一般の番組を見せる、L字画面という手法が取り入れられたのだろう。 あまりスマートなやり方とは言えないL字画面だが、テレビというメディアの使命をNHKが果たすためには、やむを得ない手段なのかもしれない。エンターテイメントのみに走って、災害報道のミッションを忘れては、NHKの存在理由そのものが問われてしまうからだ。東京目線のNHK その意味で『鶴瓶の家族に乾杯』を見せるのに、今まさに死者や安否不明者が増えつつある段階で、あえてL字画面をはずす必要があったのか。それを見て、あたかも災害が去ったかのように、笑うことができたのか。甚だ疑問である。L字画面があったほうが、むしろ安心して楽しめたかもしれない。 良くできた娯楽番組であったがゆえに、裏で続けられている捜索活動が気がかりで、私の目には番組自体が浮いて見えてしまい、素直には笑えなかった。番組にとっても気の毒である。そこには晴れた初夏の風そよぐ東京で、エンターテイメント優先に番組を編成している、東京目線のNHKの姿勢が垣間見えてしまったのである。広島県熊野町の土砂崩れ現場で続く捜索活動=2018年7月13日 さまざまな要望があるだろうが、やはりNHKの目線は被災地目線でなければならない。豪雨の被災地の方々には、翌日から猛暑という厳しい気候が容赦なく襲いかかる。エアコンの十分に行き届かない避難所で、熱中症の危険にさらされるはめになる。停電し、断水する。ボランティアなど支援活動もこれからだ。水没した家の再建を考えると、気の遠くなるような長い闘いが待っている。 今回のような未曾有の豪雨という大災害は、一過性のハプニングではなく、復旧と復興に長い期間と資金を必要とする国難だということを、しっかり認識して報道するべきだろう。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではダメなのである。 特別警戒警報が出たから臨時ニュースにする。警報が解除されたらニュースをやめる。こうした気象庁の発表のみに頼った報道姿勢では、NHKは視聴者の信頼に応えることはできない。警報や避難指示は、もちろん直ちに報道しなければならないが、NHKはあくまでも被災者の目線に立った自主的な取材で、長期的に災害報道にあたるべきだ。 地域に密着した取材網を持ち、視聴率に左右されないNHKならではの災害報道でこそ、その存在意義を示すことができる。金で買えるワールドカップの放映権で満足するのではなく、公共放送としての強みがどこにあるのか、その本質を見失わないでもらいたい。

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    「赤坂自民亭」人命より酒宴の安倍政権に心底絶望した

    本大震災が起きた2011年3月11日以降の民主党政権で懲り懲りなのだ。 慌てた安倍政権は3日後に非常災害対策本部を設置し、「的確に対応していた」と応じている。また西村官房副長官も「安倍首相の陣頭指揮のもと」と繰り返している。 しかし、果たして本当にそうなのか。【日本人の恥】警察・消防・自衛隊・海保・民間有志は発災当初から国民の命を救ってくれている。自民党の力も総理の指示も関係なく…。政治のフェイク介入は現場の士気を削ぐ。むしろ党派の仲間たちと宴に興じていてください。 @AbeShinzo #西日本豪雨災害【日本人の恥】故郷の人々の顔を思い出さなかったのか?演技でも選挙区の有権者の顔が浮かばなかったのか?初代自民党総裁の孫の元秘書として自民党の変節を嘆く。 @AbeShinzo #岸田文雄 #山口県 #広島県 #豪雨災害【日本人の恥】故郷の人々の顔を思い出さなかったのか?演技でも選挙区の有権者の顔が浮かばなかったのか?初代自民党総裁の孫の元秘書として自民党の変節を嘆く。 @AbeShinzo #岸田文雄 #山口県 #広島県 #豪雨災害 【日本人の恥】防衛大臣、自衛隊員が飲酒しながら救援活動をしていたら懲戒です。#自衛隊 #西日本大水害 @AbeShinzo 100人、200人と国民の命が次々と失われていく様をみながら、筆者は感情的になりすぎたのかもしれない。気づくと、安倍首相や酒宴に参加した閣僚たちに対して、繰り返し抗議のツイートをしていた。「赤坂自民亭」で酒を酌み交わす安倍晋三首相(下段中央)と岸田文雄政調会長(同左)=2018年7月5日夜、衆院赤坂議員宿舎(西村康稔官房副長官のツイッターより) 実は、6年目の長期政権を迎える安倍首相にここまで嫌悪感を持ったのは初めてだった。約10年前、拙著『官邸崩壊』(新潮社)で、安倍政権を徹底的に批判し、首相辞任にまで追いつめた時ですら、安倍首相本人への嫌悪感はほとんどなかった。むしろ、本にも記した通り、安倍首相の周囲に集まる政治家や官僚やマスコミの人間に利用された「被害者」という意識を持っていた。 しかし、今回は違う。6年に及ぶ長期政権への過信と、国民への共感を忘れた奢(おご)りの気持ちが、酒宴を開かせ、記念写真を撮り、それをSNSにアップするという愚行を自ら許したのだ。 そして、その愚行を誰も止められなかったのは、安倍官邸のみならず、自民党という党派そのものの腐敗に尽きる。死刑前日に酒宴に参加する法相 悲しむべきことは、翌6日、オウム死刑囚7人の執行にサインをした上川陽子法相がその場にいたことだ。しかも、酒宴の主催者で集合写真では安倍首相の横で親指を立てている。 かつての筆者のボスである鳩山邦夫法務大臣は在任中に13人の死刑囚の執行にサインをした。歴代最多で、当時は朝日新聞に「死神」と揶揄(やゆ)されたものだ。 しかし、その鳩山氏が死刑執行の週にどういう気持ちでいたか、朝日新聞もメディアも知らないだろう。「自分のサインひとつで一人の人間の人生が終わるんだぞ。眠れなくなるのも当然だろう」とも語っていた鳩山邦夫法相。死刑の週には登庁前に必ず体を清めて墓参していた。朝日新聞に「死神」と書かれたが、そんな優しい「死神」がいるのか?民主党政権や現政権の法相の方が心がない。 @hatoyamayukio 筆者が代表を務めるNOBORDERが運営する報道番組『ニューズ・オプエド』に鳩山元法相の兄の鳩山由紀夫元首相が出演した昨日(12日)、筆者が当時の様子を明かした時の言葉だ。 法相は死刑執行の約48時間前、つまり二日前の火曜日か水曜日に、大臣室で執行のサインを行う。その前、執行者リストの知らせが、法務官僚(大抵は大臣秘書官)から受けるのだが、それが前週末か、当週の月曜日だという。 鳩山法相は、その知らせを受けると、早朝に自宅で身を清めて、東京・谷中にある先祖の墓参りをした。さらに、執行日まで墓参を繰り返し、夜は断酒、死刑囚への祈りを毎日欠かさなかった。 「そうですか。弟のそうした振る舞いは知りませんでした」 番組の中で、兄の鳩山元首相はそう語った。 筆者は、死刑反対論に与(くみ)する者ではない。しかし、人命を奪う最強の国家権力行使に当たって、担当の法務大臣が、前夜に酒宴で首相と並んでサムアップで記念撮影に応じるというのはどうしても容認できないのだ。麻原彰晃死刑囚らの死刑執行を受け、臨時記者会見を行う上川陽子法相=2018年7月6日、法務省(桐原正道撮影) 国民の命を軽視する政権に未来はない。いや、そうした政権の存続を許しているのは私たち国民だ。となれば、私たちの国、日本の未来は…。 政治は結果責任だ。安倍首相と自民党は日本の未来のために潔く決断をすべき時に来ているのではないか。

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    NHK「災害報道」は熊本地震で3・11の教訓を活かせたか

    回の地震を考えるうえで、NHKスペシャルが4月3日に東日本大震災後の地震研究の成果を振り返った「巨大災害 日本に迫る脅威~地震列島 見えてきた新たなリスク」が、災害報道の重要な試金石になったことに触れたい。 東日本大震災から5年を経て、日本の研究者の新たな挑戦をとりあげるとともに、東海地方から九州の太平洋岸に甚大な被害をもたらすことが想定されている「南海トラフ」地震がどのようなメカニズムで発生するのかという問題意識だった。 京都大学防災研究所の西村卓也・准教授は、GPS(全地球測位システム)の観測を活用することによって、地殻の変動を数値化して、地震発生のメカニズムを解明するとともに、次に巨大地震がどこで起きるのかを探ろうとしている。 巨大地震の発生は、プレートテクニクス理論によって説明されてきた。海側のプレートが陸のプレートに沈み込んでいくときに、徐々にひずみができてそれが耐えられない圧力となったときに、ずれが生じて地震が発生する。 日本の西日本の陸はひとつのプレートであるとされてきた。このプレートに海側のフィリピンプレートが沈み込むことによって、南海トラフ地震が発生すると推定されてきた。2016年4月17日、大きく亀裂が入った熊本県益城町の畑。地震で地表に現れた断層とみられる(本社ヘリから) 西村准教授は、GPSの数値よって、陸のプレートがひとつではなく、九州は4つのプレートに分かれていると分析している。それぞれの分かれたプレートは違った方向に向かっているのである。大分地方は西へ、長崎と佐賀は南東へ、南部は南に動いている。 こうしたプレートは表面的なものではなく、地下30㎞付近まで壁のようになっている。この帯状の壁が境目となっている地帯は、過去の地震の震源、震度の帯と一致する。それは活断層である。今回の地震が発生した、布田川断層と日奈久断層はまさにこの活断層である。 西村准教授は、こうした陸のプレートの境目に地震が起きる可能性があると指摘して、警戒を呼びかけていた。 NHKは4月16日にNHKスペシャル「緊急報告 熊本地震『活断層の脅威』」を、放送した。14日夜にマグニチュード6.5の地震が発生した28時間後に、マグニチュード7.3の大地震が起きたことを受けたものだった。気象庁は、最初の地震を前震とし、大地震を本震とした。 本震発生前の15日の取材とことわったうえで、先の西村准教授の冷静な判断が紹介される。 「プレートのブロックの境目に、ひずみがたまって地震になる可能性が高い」と。マントルの動きが大地震もたらす可能性 番組では、キャスターのほかに、NHK災害担当の菅井賢治と、東京大学地震研究所の平田直教授を加えて、さらに分析を進めていく。 震災地に入った研究者により、活断層のあとと推定される、地面の割れなどが発見されている。 平田教授は指摘する。 「地震の震源は地下10㎞から20㎞にある。この深さのひずみによって、岩石が耐えられなくなって破壊され、小さな地震が多数起きている」 地形の模型を使って、表面の地表の部分を取り除いて、地下に震源が集中している様子をわかりやすくみせている。地震は、まず比較的揺れの小さなP波が起きて、その後に大きな揺れを引き起こすS波が起きる。直下型地震では2の波の間隔が短く、緊急地震速報を出すP波の直後にS波がくるので、室内にいても避難の余裕がない。 4月3日放送のNHKスペシャルに戻る。東日本大震災後の東北の沿岸部で異常な現象がいま起きている。地震によっていったんは1mほど沈下した地盤が、隆起しているのである。 東日本大震災前から、海底などに水圧の測定機器を配置してきた、東北大学地震・噴火予知研究観測センターの日野亮太教授は、「想定と異なる別の地震の可能性」を指摘している。 大震災前には、東北の陸と太平洋側の海のプレートは、西方向に移動していた。震災後は陸のプレートが東に向かうと推定されていた。しかし、この1年間のデータを分析すると、陸のプレートが西に向かっている。これが、地盤の隆起につながっていると、日野教授は推定している。 これまで、ほとんど陸のプレート移動がなかった、ロシアの沿海州と中国の地盤も東にゆっくりと動き始めている。 こうした現象の原因として、日野教授は東日本大震災によって急激に動いたプレートの下に対流しているマントルに原因がある、と考えている。マントルはゆっくりともとにもどる粘弾性を持っている。プレートの動きについていけずにゆっくりと動いているのではないか、というのである。2016年7月、熊本地震から約3カ月が経ったが、熊本県益城町には倒壊した住宅が今なお多く残る(村本聡撮影) 地盤を隆起させるマントルの動きは、これまでとはまったく異なる大地震を引き起こす可能性もある。 東日本大震災とその後の地震研究を、定期的にシリーズ化することによって、突発的な自然災害において視聴者に的確な情報を提供する底力を、組織ジャーナリストにつけている。たべ・こうき 東日本国際大学客員教授。福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

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    在京テレビ局 大阪北部地震報道に温度差がある?

    で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、6月18日朝に発生した大阪北部地震に見る、災害の報道体制について。* * * 大阪北部地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 18日朝、震度6弱という大きな揺れの地震が発生した瞬間、私は東京の自宅に居たのだが、リビングの吊すタイプの照明がユラユラ揺れていて驚いた。後から、東京にも「震度1」を表示した地図を見て、改めて、広い範囲で揺れたことを知った。 昼過ぎ、私は大阪に本社がある某社での東京広報の人たちとのミーティングに参加していたのだが、「東海道新幹線に閉じ込められている同僚がいる」「会議の時間や参加するはずのメンバーの予定が大幅に狂っている」などと聞いた。普段から大阪と東京を行き来している人たちが青ざめた顔で対応に追われている様子を目の当たりにし、大変なことが起こっているのだと改めて感じた。 午後3時過ぎに一度帰宅し、テレビをつけた。まずは大阪の読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)で、その被害の大きさに愕然とした。 司会の宮根誠司氏は、日曜の夜、東京のフジテレビで『Mr.サンデー』に生出演しているため、月曜日は朝、飛行機で大阪入りする。 通常なら9時羽田発の飛行機で伊丹空港までスムーズに移動できるはずが、この日は20分遅れで飛行機に乗れたものの、伊丹空港の点検のため、2時間、機内で足止めを食ったという。伊丹空港に着いてからも、大阪市内が大渋滞で、結果、30分遅れでの出演になった宮根氏だったが、氏自身も朝日放送の局アナ時代に、そして読売テレビの記者やスタッフの多くが阪神淡路大震災の報道に携わっているだけあって、何を優先し、どう伝えればいいのか熟知しているため、番組はもちろん、地震ニュースに特化した内容だった。 その後、日本テレビでは通常なら東京のスタジオから『news every.』の時間になるが、読売テレビのローカル番組『かんさい情報ネットten。』のオンエアをしばらくの時間、流していた。2018年6月18日、大阪北部地震の発生で、伊丹空港のタクシー乗り場(手前)とバス乗り場には長蛇の列ができた(山田喜貴撮影) TBSも『Nスタ』の時間を早め、15時前から特番体制になっていたが、驚いたのは名古屋のCBC制作の『ゴゴスマ』や、フジテレビの『直撃LIVEグッディ!』が、早々に地震のニュースを切り上げていたことだ。 大阪の読売テレビの生放送を全国ネットしている日本テレビに対し、『~グッディ!』は、番組開始と共に、系列の関西テレビの生ワイド『ハピくるっ!』を終了させている。「ウワサの芸能ワイドショー」とサブタイトルがついていた番組ながら、もしもまだ続いていたなら、関テレからの生放送に切り替えたこともできただろうに。 TBSも、系列の毎日放送『ちちんぷいぷい』とは無関係と言ってもよく、名古屋発の『ゴゴスマ』を14時台はやっていたのだが、15時台は、さすがに報道に切り替わった。 いま、ワイドショーで数字がとれるのは、いわゆる“紀州のドンファン”と、日大のアメフト問題だと言われている。 そして、大阪での地震は、在京局にとっては“対岸の火事”に近いものがあるのだろうか?活きる阪神大震災の経験 実は私は、東日本大震災が発生した日、『情報ライブ ミヤネ屋』に生出演していた。阪神淡路大震災を経験している社員やスタッフが多い読売テレビでは、地震報道に関するマニュアルが完璧で、当時、アシスタントをしていた森若佐紀子アナが「早く、津波情報を」と言い続けていたことをいまでも覚えている。 だが、直後、東京のスタジオからのニュースカメラが映していたのは、お台場付近のビルから煙が上がっている様子だった。フジテレビの近くだから…と感じたのは私だけだろうか。 そして2年前の鳥取県中部地震のときも、私は『~ミヤネ屋』に生出演していた。発生が番組開始12分後のことで、後半は地震特番に切り替わった。 それはやはり、読売テレビの報道スタッフたちが阪神淡路大震災を経験しているからに他ならない。 だが、それから23年が経ち、読売テレビのアナウンサーも半数以上が「阪神大震災の報道を知らない世代」だという。 3年前、読売テレビでは、トークライブ企画「アナウンサーが語り継ぐ『阪神淡路大震災20年』」を開催、若手アナを聞き手に、先輩アナらが体験をトークし、「命に係わる重大なテーマ」でのインタビュー力について説いた。 参加アナの中には、阪神淡路大震災を機に、防災士の資格を取得している者もいて、被災者のもっとも近くで寄り添ってきた彼らならではの、ためになる話が多数あったと聞いた。阪神大震災の被災者向けの公営住宅=2004年1月、神戸市灘区 その中心メンバーで、いまは同局を退社した脇浜紀子アナ(当時)が言っていたのは、「阪神淡路大震災の2か月後、東京で地下鉄サリン事件が起きたことで、在京局制作の番組では、阪神大震災のニュースが激減してしまいました。まだまだ伝えたいことはたくさんありました」と。 阪神淡路大震災にまつわるニュースや新聞記事は、東京では1月中旬に集中しており、東日本大震災のニュースでさえ、3月初旬に集中しているように思える。 3年前、阪神大震災について扱った『クローズアップ現代』(NHK)で、「街は復興したけれど、暮らしや心の復興は半分」と、当時、働き盛りだった方々が異口同音に言っておられたのが忘れられない。 こうして偉そうに書いているが、大地震の日、生番組に出演していた私でさえ、正直、忘れてしまうことがある。震災の記憶を確かなものにしたり、消え去らないようにしたりするのが報道の役目なのではないか。 在京テレビ局はもう少し、被災地のテレビ局から学ぶべきではないだろうか。関連記事■ 米朝首脳会談報道に見る各局キャスターの悲喜こもごも■ さまよい続ける田中みな実 狙うべきは女性層か!?■ 時々やってくる「ジャニーズの異端児」風間俊介ブーム■ フリーアナ思いのTBS 『はやドキ!』は人材の宝庫■ 横澤夏子 女芸人としてレアケースな活躍ぶりの理由

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    テレビが流す「視聴者提供画像」 謝礼は?トラブルは?

    使わせてもらっている」(キー局社員) という。かつては「いの一番に現地入り」を競っていたテレビ局の“災害取材のイロハ”は様変わりしているようだ。 そんなテレビ局の“記者”として大災害の惨状にスマホを向ける人たち──その行動が、被災住民の感情を逆撫でする事態も起きている。「破裂した水道管に大勢の若者が群がって、ひたすらスマホを向けていた。なかにはわざわざバイクで駆けつけ、跨がったまま写真をとる人もいた。側には敷地内に水が流れ込まないように懸命に水を道路に掻き出している人がいるというのに、“そんなことしてる場合か!”と思いました」(大阪府茨木市の住民)(iStock) そんな視線を浴びても“素人カメラマン”は撮影を止めない。地震直後に撮影した動画をフェイスブックにアップした40代男性がいう。「会社に向かっている途中、乗っていた電車が地震で急停車しました。それから20分ほどして、『希望者は電車を降りて線路の上を歩き、ひとつ前の駅に戻ってください』とのアナウンスがあった。線路に降りて歩くなんて初体験なので、スマホで動画を撮ってアップしたんです。ワクワクしたなぁ。アップした後、友人からの反響も凄くて、気持ち良かった」 衝撃的な動画や画像には、日本だけでなく、海外のメディアからもオファーがあるという。現場に駆けつけた記者がそうした動画や画像を自分のスマホに送ってくれるよう頼むこともあるようだ。「基本的に謝礼を払うことはありませんが、記者個人の判断でギフトカードなどを渡すケースもあるようです」(前出・キー局社員) 今回の地震では、ツイッターなどの情報をもとに現地にメディアが殺到することもあった。「テレビ局の記者がワゴンに乗って現われたと思ったら、スマホの動画を見せてきて『この場所に案内してほしい』っていうんです。こっちはガスが止まって飯もろくに食えないのに……」(雑貨店店主) 被災者が被災者を撮影し、マスコミがそれに群がる。奇妙な光景がそこには広がっていた。関連記事■ 危ない「活断層」「隠れ断層」全国詳細マップ完全版■ 災害時の「不謹慎厨」対策、芸能人におかしな作法が定着■ AI地震予測 全国警戒エリアマップ2018年4月最新版■ 全国で地震頻発 首都直下地震を誘発する可能性は?■ 相模川でアユが大量発生 地元住民が気味悪がる言い伝え存在

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    ここが足りないニッポンの都市防災

    最大震度6弱を観測した大阪北部地震は、都市防災の弱点を改めて露呈した。ブロック塀の倒壊で女児が死亡した事故は、まさに「人災」とも言える悲劇だった。帰宅困難者の大量発生、人口密集地域で寸断されたライフライン…。さらなる都市直下地震の発生に私たちはどう備えるべきか。

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    舛添要一が都知事時代に感じた「防災ボケ」日本人の危うさ

    ク塀が小学生の命を奪ったことは深刻に反省しなければならない。 日本は地震や火山、水害が頻発する「自然災害大国」であり、日ごろから災害への備えが肝要である。過去25年を振り返っても、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、1995年)、新潟県中越沖地震(2007年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)など記憶に残る大地震が続いている。まさに、災害はいつ発生するか分からないのであり、それだけに日ごろからの備えが必要である。 今回の大阪北部地震は直下型であるが、都市がこのタイプの地震に襲われると大きな被害が出る。研究者の予測では、東京で30年以内にM7クラスの直下型地震が起こる確率は70%という。 政府の中央防災会議の作業部会によると、M7クラスの首都直下型地震で、死者は約2万3000人、負傷者12万3000人、建物の全壊・全焼は約61万棟、経済被害は約95兆円に上るという。95兆円というのは、わが国の政府予算の1年分に相当する。 私は若いころ、スイスで学んでいたが、この国はフランスやドイツ、イタリアという強国に囲まれており、国家の安全と平和を守るために危機管理体制が完備している。例えば、高速道路はなるべく直線にし、中央分離帯を着脱可能なものとする。それは、戦争や災害のときに滑走路として使うためである。2012年9月、警視庁震災警備総合訓練で、幹線道路を一部閉鎖し「緊急自動車専用路」として通行する警察、自衛隊などの緊急車両(小野淳一撮影) これに対して、日本の高速道路はなるべくカーブを多く作るようにしている。だが、それは居眠り防止という交通安全上の配慮からであり、安全保障や防災という危機管理的な発想は全くない。 私が東京都知事のとき、環状七号線や環状八号線といった広い幹線道路を滑走路として活用できないか検討してみたが、ヘリポートを作るスペースもないことに愕然(がくぜん)とした。道路を通すときに、危機管理の発想が日本人にはないのである。 そこで私は、都知事として重要政策の一つに「災害への備え」を掲げた。2014年4月に「首都直下地震等対処要領」を策定し、関係各機関との効果的・効率的な連携の下で円滑に応急対策活動を展開できるように備え、発災後72時間に行うことが想定される主な応急の対策について万全の体制を組んだ。活かされる「民」の力 また、同年12月には「東京の防災プラン」を策定した。これは、都民や企業、地域、行政があらかじめ備えるべき防災の取り組みを示し、2020年までの目標を提示したものであるが、災害が発生したときに実際に起こり得る事態を時系列でシミュレーションした。 具体的な政策として、まず行政が取り組むべき課題としては、十分な防災用の財源を確保することであり、平成27年度最終補正予算では「防災街づくり基金」に2000億円を積み増した。景気に左右されずに、防災対策を実行するには、基金を積むという手段が有効である。 阪神・淡路大震災のときは、建物の倒壊で道路がふさがってしまい、緊急車両すら動けなくなってしまった。その轍(てつ)を踏まないためには、災害発生時に避難・救援や緊急物資輸送のルートを確保することが重要である。そこで、「緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化」や「道路の無電柱化」を推進した。 さらに、区部の木造密集地域対策が課題である。ここで火災が発生すれば、消防車も現場に入れない。そこで、「木密地域不燃化10年プロジェクト」に取り組み、市街地の不燃化を進めるとともに、延焼遮断帯となる主要な都市計画道路の整備を行った。 また、地震と並んで集中豪雨による災害も都市機能を麻痺(まひ)させる。私が都知事になった2014年に豪雨対策基本方針を改定し、区部では時間75ミリ、多摩地区では時間65ミリの集中豪雨に対応できるようにし、調節池や分水路の整備などを実施した。 病院の整備も重要で、都心部で唯一の基幹災害拠点病院である都立広尾病院を改築し、自然災害のみならず、核・生物・化学(NBC)災害やテロなどに対応する「首都災害医療センター」を整備することにした。 公共交通機関が運転停止すると、交通大渋滞が起こり、帰宅困難者が大量に生まれる。実際、東日本大震災のときの東京がそうであった。帰宅困難者を公共の建物だけでは収容できないので、民間の協力が必要となってくる。首都直下地震などに備えるため、東京都が作成した防災ブック『東京防災』 日本橋地区では、三井不動産を中心に2004年以降、大型商業施設を備えた複合ビルの「コレド日本橋」「コレド室町」がオープンしたが、ここでは地震などの災害時には、帰宅困難者を地下通路に避難させるようになっており、毛布や水・保存食なども備蓄されている。このような民間の自発的対策は、大いに評価されてよい。必要なのは防災意識の向上 この例に限らず、防災対策は行政だけでできるものではなく、国民、都民の協力が不可欠である。そこで、一家に1冊常備するために、完全東京仕様の防災ブック『東京防災』を2015年に完成させ、全家庭に無料配布した。キーワードは「今やろう」で、避難先の確認、防火防災訓練への参加、家具類の転倒防止、非常用持ち出し袋の用意、災害情報サービスへの登録、日常備蓄の開始など役に立つ情報を網羅した。 ライフラインの機能を95%回復させるのに、電力で7日、通信で14日、上下水道で30日、都市ガスで60日かかる。そのため、商品の流通に支障が出て、生活必需品が入手困難となる。そのような状況の下、自宅が無事だった人は、そのまま自宅にとどまって生活することが想定される。そのため、食料品や生活必需品を自宅に備蓄しておく必要がある。 しかし、普段使わないものを集めるような、何か特別な準備となると、用意するのが大変であり、そのため備蓄があまり進まない。そこで、発想を切り替えて「日常備蓄」、つまり日ごろから利用・活用している食料品・生活必需品を少し多めに購入することにする。そして、古いものから順に消費していく。この「日常備蓄」を進めるために、11月19日を「備蓄の日」(1年に1度はびち「1」く「9」を確認)とし、この日にみんなが備蓄状況をチェックするように呼びかけたのである。 都が備蓄倉庫などに行う備蓄の品目についても、細かい配慮をするようにしている。例えば、紙おむつや女性用の生理用品などは、毛布や食品と同様な必需品である。 私が知事に就任する前、主たる訓練といえば、9月1日に行う「総合防災訓練」であった。しかし、災害はいつやって来るか分からない。夏の暑い時と冬の寒い時とでは、避難のあり方も異なってくる。そこで、住民参加型の防災訓練を、春夏秋冬の年4回実施することにした。 このような取り組みを進めるためには、都民の防災意識の向上が必要である。災害時には、まず「自助」「共助」が大切である。阪神・淡路大震災のときも、命が助かったほとんどの人は、家族や近所の人たちに助けられているのである。「公助」が到達する前に、自助・共助で自らの生命を守ることが肝要である。そのためには、日頃からの訓練が不可欠であり、自分の住む地域の人々との連帯を強めておく必要がある。2016年9月、葛飾区と墨田区と合同で実施した東京都の総合防災訓練。初めて外国人観光客の避難誘導に重点を置いた(山崎冬紘撮影) ところで、東京五輪・パラリンピックの選手村と多くの競技施設が新設される臨海地域は埋め立て地が多く、地震発生の際には津波の心配がある。五輪期間中に大地震に襲われるという最悪の事態を想定し、五輪準備と防災対策を並行して行わなければならない。2020年には約4000万人の観光客が海外から日本に来ると見込まれているが、彼らを無事に避難させることもまた、重要な課題である。 以上、説明してきた政策は、誰が都知事であれ、実行せねばならないことである。私が全力を傾注してきた防災対策が、小池都政できちんと継続されていることを祈るのみである。

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    東京より防災意識の低い大阪が今やるべき地震対策

    的な被害が限定的な地域に集中する内陸直下型地震だった。日本有数の大都市圏で発生した地震であり、都市型災害におけるヒトとモノの課題を整理したい。 ヒトの課題は帰宅困難者である。地震発生が通勤時間帯にあたり、大量の列車が通勤・通学者を満載していたが、列車の脱線や衝突などの深刻な被害はなかった。一方で、長時間にわたる車内待機を強いられ、降車した後も運行再開のメドが分からず、出勤するか帰宅するかの判断を迷った人が多かった。 ただ、今回は筆者も体験したが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのインターネットを使ったサービスがほぼ問題なく使用できたことが大きかった。通勤・通学途上でも会社、学校、家族とスムーズに連絡を取れた人が多かったようだ。 実際に地震発生時に列車内にいた人によると、車内で待機⇒降車⇒最寄りの避難所へ誘導され、避難所でひと休みした後、徒歩で帰路へついたそうだ。大阪府北部の地震で地下鉄「大阪メトロ」も運休し、地上の出入口付近も人でごった返した=2018年6月18日午前8時54分、大阪市住吉区(安部光翁撮影) 地震発生当日の気象条件を見てみると、アメダス大阪の6月18日午前8時の気温は22度、最高気温は午後2時の26・8度と、さほど高温にはならず、風速が4~5メートルあったため、体感気温としては比較的過ごしやすい状況だった。 したがって、数時間に及ぶ徒歩での出勤・帰宅でも熱中症などの発生は少なかったと考えられるが、熱中症に関連する暑さ指数(WBGT)は環境省によると6月18日は午前11時から午後6時まで「注意」の範囲で、そのうち午後2時は「警戒」の範囲となっていた。もう少し気象条件が悪かったら、徒歩での出勤・帰宅は困難を伴っていたと考えられる。 鉄道が止まったため、幹線道路は多くの歩行者が通行し、車両もいつも以上に多く、至る所で渋滞が生じていたが、大規模な混乱は発生しなかった。地震発生がもう少し遅い時間で、出勤が完了していた場合は、特定のターミナル駅でより多くの帰宅困難者が発生し、混乱が生じたかもしれない。 今回の地震において、繰り返し映像が流された新御堂筋は府北部と新大阪駅・大阪駅をつなぐ無料の地域高規格道路であり、日常より混雑していた。地震の被害の大きかった府北部と大阪市中心部をつなぐ幹線道路であり、並行して走る地下鉄御堂筋線の運行が停止したということで、多くの帰宅困難者が新御堂筋に殺到した。小中学校の耐震化率「99・9%」 特に大阪府を分断する淀川にかかる新淀川大橋での混雑がひどかったようだが、大阪市中心部から府北部や阪神間に向かう帰宅困難者は淀川を渡らざるを得ないため、次の災害においても新淀川大橋に加え、十三大橋、淀川大橋、長柄橋などが災害時の帰宅のボトルネックとなる可能性が高い。橋の両端での流出入者の制御、滞留場所の確保などの対策が必要である。 また、来阪外国人観光客は増加の一途をたどり、2017年には1111万人(大阪観光局)と大台を超えている。13年が263万人であったことを考えると、わずか4年で約4倍となっている。 今回の地震は、時間帯が朝だったため観光客は宿泊施設などにいて、大きな混乱はなかったようだが、インバウンドの推進と並行して外国人観光客の災害対策を推進していかなければ、地震に慣れていない外国人が安心して観光を楽しむことができない。 一方、モノの課題といえば尊い命を奪ったブロック塀の倒壊である。子供たちが過ごす学校施設の耐震化は順調に進んでいて、大阪府の公立小中学校の耐震化率は99・7%(2017年4月・文部科学省)に達し、さらに東日本大震災以降、体育館の吊り天井などの落下防止対策も進められ、大阪府の公立小中学校の対策率は78・6%(17年4月・文科省)に達している。 しかしながら、主要構造部が耐震化されても学校施設全体の老朽化は進んでおり、東京都や大阪府の大都市圏は築30年以上の公立小中学校が面積換算で約7割(11年5月・文科省)に達し、全国平均の57・5%を上回る。 筆者も防災教育などの際に小中高校を訪れるが、老朽化した校舎に驚くことがある。法令違反は言語道断であるが、あらゆるモノは時間の経過とともに劣化するのが常であり、管理者・使用者は適切に維持管理をすべきである。地震のため校庭に避難した、大阪府池田市立池田小学校の児童ら=2018年6月18日 地震時でなくても校舎外壁の落下や手すりの損壊などの事故が発生し、ブロック塀を含む学校施設の附属物の安全対策はまだまだ不十分であり、ブロック塀に限らず早急な点検と補修が必要である。 また、ブロック塀は大阪の住宅街では至る所に存在し、大阪が全国一の面積となる「地震時等に著しく危険な密集市街地(国土交通省)」の中の細街路でも多く見られる。道路両側の塀の高さが道路幅を上回るような道路を通行中に地震が発生すると、まさに「逃げ場がない」といった状況になることが容易に想像できる。 そして、建物や塀の下敷きになった時、より大きな被害を受けるのは体重の軽い子供と高齢者というのが過去の災害でも明らかになっている。 一般的な建築用空洞コンクリートブロックは1個あたり10キロ前後で大阪府高槻市の寿栄小学校では、8段分の壁が倒れたということなので、ブロック1個分の幅(約40センチ)でも約80キロになる。 ブロック内部に充填されたモルタルを含めると、さらに重量は増え、今回倒壊した壁の幅は約40メートルなので総重量は8トン近くになる。また、本棚の下敷きとなって亡くなった方もいたが、本棚も相当重い。危険はブロック以外にも 筆者らが過去に行った実験でも、幅1・2メートル、高さ1・8メートルの本棚に本をいっぱいに詰め込むと総重量は180キロになった。このような本棚の下敷きになると甚大な被害が生じる。 では、対策を考えたい。補強や固定は基本だが、すぐにでもできる対策もある。子供に関しては通学路沿いの塀を点検し、遠回りになっても安全な広い道を選ぶことや、大人同伴での通学が推奨される。 高齢者に関しては、日常的な散歩道や通院経路の点検なども必要だが、早朝などの散歩中に地震が発生した際に周囲に目撃者がいないと発見が遅れる可能性もある。阪神・淡路大震災では倒壊家屋の下敷きとなった場合は家族や近隣住民が所在を把握していると、比較的早めに救助を要請できたが、倒れた塀の下敷きとなり、その塀の上に瓦礫などが重なって、著しく発見が遅れた例もあった。 人気のない時間帯や街路はできるだけ避け、いざという時も速やかな救助に繋がるような心がけが必要である。 ただ、ブロック塀以外にも注意が必要な物は多い。01年の芸予地震では、住宅の外壁とベランダの下敷きになり、それぞれ死者が発生している。07年の能登半島地震では石灯籠の下敷きになり死者が発生している。住宅の耐震化や家具固定への関心は高いが、附属物・工作物も時には命を奪うということを改めて認識する必要がある。 ちなみに府民の「ブロック塀を点検し、倒壊を防止している」の実施率は3・8%(09年8月・大阪府)と低く、ブロック塀の倒壊リスクの認知と対策の実施が課題だ。また、敷地内外の見通しがきかないブロック塀は防犯上の観点からも見直す余地はある。校門前の献花台で手を合わせる浜田剛史・高槻市長=2018年6月21日、大阪府高槻市の市立寿栄小学校 今回の地震は、大阪では観測史上初の震度6弱を記録した。尊い命が奪われ、多くの住民が傷を負い、都市型災害の防災上の課題が露呈した。地震発生から時間が経っておらず、これから明らかになる課題もあると思うが、災害経験が少ないとされる府民の防災意識の低さも課題である。 23年前の阪神・淡路大震災を記憶している府民も多いはずだが、「家具転倒の防止」実施率は15・2%(17年7月・大阪府)で、全国平均の40・6%(17年9月・内閣府)を大きく下回っている。 ちなみに東京都は57・6%(17年3月・東京都)だ。その他の防災対策の実施率も大阪は、全国平均を下回っているものが多い。発生が懸念される上町断層帯地震あるいは南海トラフ巨大地震による被害を低減するために、高密度にヒトとモノが集積する都市空間の災害リスクを府民が認識し、対策を始めることが望まれる。

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    東京の空からは「震度5」だって危険が降ってくる

    」は約4割にとどまり、いまだ約6割の世帯で備えが不十分です。 今回の大阪の被害は、過去のよく知られた災害の教訓に対して、われわれの取り組みがいまだ不十分であることを教えてくれます。大阪北部地震の教訓は、過去の災害の教訓を自分たちの備えとしきれていなかったことだといえるのではないでしょうか。 ライフラインの被害が広域にわたりました。地震直後には約17万件で停電しましたが、3時間弱経過した午前10時40分ごろには復旧しました。 断水も、吹田市や高槻市、箕面市など幅広い地域で発生しました。メディアでも多数の水道管被害の様子を目にしました。20日には、ほぼ解消されたと報じられています。また、約11万戸で都市ガスの供給が停止され、発生から1週間後の25日に完全復旧しました。 こうして、非常に迅速に復旧作業が進められていますが、さらに大きな揺れが来ていたら、電気、水道、ガスが長期間使えない可能性もありました。ライフラインの被害が長期化すれば、避難者数が膨大になり、避難所環境が悪化したり、不足したりすることも想定されます。 建物被害がなかったり、軽微であれば、在宅避難や、マンションではそれぞれの集会施設に避難するなど、自力避難への備えも必要と考えられます。物資備蓄の量や方法など十分か、あらためて見直してみることも必要でしょう。地震による公共交通機関の運転見合わせなどで、淀川に架かる新淀川大橋を歩いて渡る大勢の人たち=2018年6月18日午後、大阪市 建物被害については、最大震度が6弱ということで、発生直後は多数の建物被害をイメージしました。まだ増える可能性がありますが、6月25日午前時点で、全壊3棟、半壊13棟、一部損壊が約7000棟程度と、全半壊被害は熊本地震や阪神・淡路大震災に比べて小規模なようです。震度6弱でもここまで違う 震度6弱とは、計測震度5・5から5・9を指します。東京都の地震被害想定を見ますと、計測震度5・5の場合の「揺れによる建物全半壊率」は、木造で0%(建築年2002年以降)から4・3%(同1972〜80年)、非木造で0・3%(同1981年以降)〜1・8%(1972〜80年)程度と非常に低いです。南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定(平成25年)より 同じ震度6弱でも、建物がほとんど壊れない程度の計測震度5・5から、相当数の建物被害が予想される計測震度5・9まで、かなり幅があることが分かります。6月18日の地震は、弱い「震度6弱」の揺れであったものと考えられます。 一連の報道の中に、阪急茨木市駅の電光掲示板が傾いた様子を見ました。もしこれが多数の通勤客であふれた中に落ちてきたらと思うと、恐ろしい思いがしました。駅構内の天井に多くつり下げられた看板類に限らず、さまざまな都市特有の構築物が地震により破損して、多量の死傷者の発生に結びつくリスクが心配されます。 東日本大震災の時、震度5程度であった東京でも、天井落下や駐車場崩落などさまざまな都市的構築物の破損があり、死傷者が多数出ました。その後、都内で防災ワークショップをした際に、地域の非営利団体(NPO)で活動されている人から、東日本大震災時に近隣の飲食店で、ご自身は揺れてすぐに机の下に身を隠したが、直後にその机の上に天井から業務用エアコンが落下してきて、九死に一生を得た経験を伺いました。 筆者は、ワークショップでの議論をきっかけに、学生と付近を歩いて、落下危険物を調べて、地図化したことがあります。繁華街には、広告物や無数に張り巡らされた電柱と電線、中高層ビルのガラス、老朽建物の室外機、老朽化が著しい柵、自動販売機、デパートのショーケースや天井飾りがあります。筆者が学生と実施した「落下物危険調査」 目線を上にあげれば、いざというときに落ちてきそうな物がたくさんあるのです。普段何気なく歩いている街でも、「防災目線」で歩いてみると、無数の危険物に囲まれていることに気がつくわけです。 ブロック塀の点検にとどまらず、さまざまな都市的構築物の危険を想像して、その瞬間に身を守ることも、重要な都市防災対策でしょう。地震で電車が長時間ストップすると、徒歩で帰宅したり、受け入れ施設や帰宅困難支援ステーションなどを探す可能性が高くなります。 その際、余震あるいは本震に襲われるリスクがあり、建物倒壊や火災、都市的構築物の落下、膨大な歩行者に取り囲まれてドミノ倒しのように潰されてしまうことなど、無数の危険に取り囲まれていることを忘れてはいけません。いざその瞬間、自分の身は自分で守るしかないのです。

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    マンション管理のプロが語る在宅防災の明暗ライン

    どの備蓄グッズを完備した防災倉庫や、オプションで据え付け可能な家庭用備蓄庫「A.N. D BOX」、災害積立金制度までついた防災型マンションが好評だという。 消防署の協力を得て、あなぶきハウジングサービス主催の防災訓練も定期的に行われている。防災を熟知するPMアカデミー館長で、防災士の資格も有する藤原剛志さんはこう語る。「マンションは鉄筋をコンクリートで覆った堅牢な建築物のため、大地震でも比較的被害を受けにくいと考えられています。しかし、2011年の東日本大震災において、仙台市内の約1400棟の分譲マンションはいずれも倒壊には至らなかったものの、100棟以上が全壊の罹災判定を受けるなど、建物や付帯設備に大きな被害が発生しました。 梁がどんなに頑丈でも、耐震補強されていない壁や床は崩れます。排水管やガス管、貯水槽などが老朽して破損したら、ライフラインが復旧しても生活は成り立ちません。災害が起きる前に、住民みんなで自分のマンションの現状を把握する機会を持ち、必要ならば修繕も考慮する。そして防災、あるいは“減災”の訓練をしておかれること。また、個人とマンションの管理組合両方で防災用備蓄を整備する…。そんな自主防災のサポートを全力でさせていただくのが、私ども管理会社の使命と思っております」※画像はイメージです(iStock) 自分が住むマンションの警報器がどこにあり、どう止めるか、あるいは防火扉の破り方を知っているだろうか? 貯水槽や排水管の内部を見たことがあるだろうか?「あなぶきPMアカデミー」は、マンション管理員のための職業訓練カリキュラムを行う研修施設。受講者は、マンションの構造から防災のノウハウ、共用スペースの清掃のテクニックまで、管理員に必要な知識を1泊2日で学ぶ。 あなぶき興産のマンション管理員は言わずもがなだが、研修生の約4割は他のマンションブランドからの派遣。また、あなぶきが“減災イベント”と呼ぶ災害時に備えた体験イベントは、マンション住民で組織する管理組合のかたがたと一緒に行う。海外の専門家の視察・研修も頻繁に行われる。実際に消火器を使ったり、防火扉を足で蹴り破ってみたりと、防災を直に体験できることも魅力だ。「防災マンションや高齢者用住宅の展示もあるため、見学後、マンションのリフォームに踏み切る管理組合さんも結構いらっしゃいます」(藤原さん)。 コールセンターの設備を確認するにいたって、初めて管理会社本来の役割を認識したと、驚く人も多いという。関連記事■ マンション管理組合の闇 理事長の横領や癒着が表に出ない訳■ マンション管理規約改正 資産価値高い部屋の発言権が増す■ マンション管理規約改正で住民総会が中国語で行われる可能性■ 西日本最大のマンション管理会社 熊本地震で1か月復旧活動■ 60才元凄腕営業女性、マンション管理人に再就職し充実

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    防災教育を担う「地学」を空洞化させた文科省と教育委員会の責任

    災週間」と定め、各地で、防災訓練などが行われる。 これを主導する内閣府も、自治体の防災担当も、悲惨な災害の報道を繰り返さざるを得なかったマスメディアも、何十年にもわたり、防災に向けた広報活動等を精一杯行ってきたように見える。しかし、いまだに、国民の多くが、津波からの避難の判断が適切に行えず、土砂災害が起こる可能性が高いところに宅地が造成されているのはなぜか。 その原因は、緊急時や日常の備え等のマニュアルの普及を繰り返すだけで、本質的な防災教育を担うはずの地学教育が空洞化しているために、基本的な知識や素養が日本の国民全体にかけてしまっているからではないか。 後述するように、日本では、ほとんどの国民全てが高校に進学するが、理科の中で、あらゆる自然災害や防災について学ぶことができる「地学」の授業を受けた者は、役所の職員にも、学校の理科の教員にも、非常に少なくなっている。子供を育てる親の多くも「地学」を学んでおらず、そして、今の高校生たちも同じだ。 いくら、マニュアルの普及を繰り返しても、本質的な防災教育はできない。まず、高等学校の理科の教育の中で、私たちが暮らしているこの日本で起こった、数々の自然災害の歴史と教訓を、風化させずにきちんと教育で伝え、そして、科学的に自然災害が起こるメカニズムを理解するなど、国民の知識の底上げに努める必要がある。 そしてさらに、マニュアルに書かれていることの理解はもちろんのこと、あらゆる個々の災害に直面しかねない場面において、自ら、最善の防災対策を適宜、判断できるほどにまで、国民の防災に関するリテラシーを高めていかなければいけない。それが、公教育を施している文部科学省と教育委員会の責任ではないか。 しかし、日本の地学教育は、深刻なほどに空洞化してしまっている。仙台市「市民防災の日」の総合防災訓練でシェイクアウト(身体保護)訓練に参加する児童=2018年6月12日、仙台市(高梨美穂子撮影) 理科教育は、誰もが知るように、「物理」「化学」「生物」「地学」の4つに分類されている。この内、「地学」は、地震、火山、気象、宇宙、という、まさに私たちを取り巻く自然環境を理解するための科目だ。 教科書では、地震、火山、台風等に伴う様々な自然災害の猛威や歴史、そして、それらが引き起こされるメカニズム等が本編で記載されているだけでなく、防災そのものをテーマにした章も設けられている。大津波も、豪雨の後の土石流も、何度も繰り返されており、必ず繰り返されるということを実感し、どうすれば少しでも被害を減らすことができるかを科学的に学ぶのが地学だ。入試ミスにもつながった「地学不在」 しかし、「地学」の空洞化は、今の高校三年生、つまり今度の大学入試から適用される、新しい学習指導要領(新カリキュラム)の出足から表面化した。 新カリでは、文系用の基礎的な内容を扱う科目として「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4種類、理系用として「物理」「化学」「生物」「地学」の4種類の合計8種類の教科書が各出版社から発行される予定だった。しかし、新カリが適用される生徒が高校二年生になる平成25年時点でも、「地学」の教科書だけが、どの出版社からも発行されなかったのである。学校からのニーズがほとんどないことがわかっているために、出版社にとっては、収益が見込めないからだろう。 その結果、文部科学省は、急遽、「地学だけは、新カリキュラムの授業を行う際に、旧カリキュラムの教科書を使用することもやむなしとする。文科省で旧カリと新カリの対応表を追って作成する」という旨の通知を全国の教育委員会に出さざるを得ないような事態となったのである。 今年からはようやく二社が「地学」の教科書を出版したが、高校では、理系の大学等に進学する生徒たちは、「物理」「化学」「生物」の三科目から二科目を選択するのが当然にようになって久しい。つまり、理系の生徒は「地学」を学ばないのである。このことは、結果として、日本中の小中高の理科の先生の多くが、「地学」を学んでいない、だから、「地学」を教えられない、だから次の世代も地学を学ぶことができない、連鎖になってしまっている。これが、地学教育を空洞化させた負のスパイラルだ。 先日、ある防災に関する講演会で、この分野で著名な大学教授が、「日本では防災を教える科目がないから、マニュアル教育が必要だ」という旨の話をするのを聞き、愕然とした。彼もまた、「地学」を学ばず、「地学」の教科書を開く機会がなかったのだろう。空洞化のために、存在そのものが見えなくなっているかのようだ。 今年の2月24日に実施された都立高入試の理科の問題で出題ミスがあり、東京都教育委員会は、当該問題の配点5点を全員に加点する処置をとった。このことが大きく報道された理由は、単に出題ミスがあって加点されたからではなく、その対応が遅れ、合格発表の前日になってから、加点の処置が施されたという混乱ぶりによるものだ。 通常、こういった出題ミスがあった場合は、入試のテスト終了すぐに、各校で採点を始める頃には、学校現場から指摘がなされ、速やかに教育委員会が対応し、指示を出して、それに基づいた採点作業が進められる。そうすれば、合格判定に向けた作業に、あまり大きな混乱が起こらないで済む。過去2年間で2千件を超える採点ミスが発覚し、謝罪する都教育委員会幹部ら=2014年6月3日、東京都(福田涼太郎 撮影) しかし、今回は、当初、都教委は多くの指摘を受けても「出題ミスではない」として対応をせず、ほぼ全ての高校で採点作業や点検作業や合否判定が終わった後の、合格発表の準備をしている頃である発表前日になって、採点のやり直しが指示されたのである。その問いに関しては、正解不正解関係なく、全員に5点加点だったために、正解とされていた生徒はそのままだが、不正解とされていた生徒に5点を加点する作業となる。 5点も増える生徒が多く出れば、ボーダーライン上の合否判定はおそらく何人も入れ替わり、現場はたいへんだっただろう。ただでさえ、入試業務はミスが起こりやすいのに、判断が遅れ、このような対応となってしまったのはなぜか。文系生徒も「一般教養」が学べない 出題ミスの内容は、秋分の日の地球、月、太陽の位置関係や道筋について質問した大問3の中の問3で、問題文の中に「秋分の日の」と限定条件を記載すべきところをしなかった、というものである。 入試当日の終了直後から、この問題はネット上などでも話題になっていて、筆者も知人から相談を受けて、問題を解いた。工夫された良問だと思うが、問3に関しては、問題文で「秋分の日の」という限定をし忘れているために、解答は、4つの選択肢から2つにまでしか絞り込むことができないものだった。 (この問題文と出題ミスの内容については、東京都教育委員会のトップページから、「報道発表資料」→「平成26年報道発表資料」→「平成26年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査(理科)の学力検査問題の誤り及び採点上の対応について(2月27日)」とリンクを辿ったところに今も掲載されている) しかし、多くの指摘を受けても、都教委が一向に出題ミスを認めない、ということがネット上で伝えられ、筆者も、出題ミスに気付いた者の責任として、合格発表の2日前から、都教委にはたらきかけをした一人だ。 混乱の背景には、「地球、月、太陽の位置関係」という地学の基本的な知識を本質的に理解している者が、都教委にほとんどいなかったのではないかと考えられる。中学生向けの都立高校の入試問題であり、地学を学んでいれば決して難しい問題ではない。しかし、地学を学んでいなければ、学識ある大人であるはずの都教委の関係者でさえも、この問題を理解するための前提の知識がなく、そもそも出題ミスの指摘の意味がわからなかったのではないか。 そもそも、地学を専門とする理科の教員は少ない。そのために、出題をする側も限られた人材で行っている可能性があり、現場の地学を専門をする教員全員が指摘をしたとしても、都教委としては指摘数が他の科目の場合より少なく感じてしまうこともあるかもしれない。 また、中学の理科の教員によるネット上の当初の声には、「出題ミスではないか」という指摘よりも、「この問題の答が、なぜそうなるのかを生徒にどう説明していいか分からない」という類のものが多く、中学の理科の教員であっても、地学を学んだ経験のない者には、地球、月、太陽、の基本的な位置関係の理解が非常に難しく感じられていることも想像できた事例だった。 理科は、新カリキュラム対応で初めての実施となる今年度(平成27年1月)の大学入試センター試験から、科目選択においても大きな変更がなされている。最も大きな変更は、これまで文系の生徒は、理科は1科目選択するだけでよかったが、基本的に、「基礎」の付いた科目を2科目選ぶ形になったことだ。このことで、これまで、文系の生徒は「生物」1科目だけを選択してセンター試験を受験をしていた生徒が多かったが、これからは、「生物基礎」と「地学基礎」の2科目を選択する生徒が増え、文系の生徒にとっても一般教養として欠かせない「地学」教育の普及につながるのではないか、と期待された。避難用リュックの重さを体験する児童。防災への心構えを学んだ=2018年5月23日、豊岡市中央町(河合洋成撮影) しかし、例えば、東京都の都立高校のホームページをいくつか見てみると、そこに掲載されているそれぞれの高校の教育課程表には、「地学」はもちろん、「地学基礎」さえ全く記載がない学校が少なくない。つまり、理系の生徒も文系の生徒も、「地学」も「地学基礎」も必修になっていないだけでなく、選択科目の中にも入っておらず、地学分野を全く学ぶことができないのである。このような高校では、文系の生徒も、センター試験では、理系の生徒が「地学」以外の3科目から2科目を選択するのと同じように、「地学基礎」以外の3科目から2科目を選択するように強いているのである。地学教育を受ける権利を保障せよ このように、関東大震災を経験し、豪雨や積雪にも弱いとされている大都市の東京都立高校でさえ、地学は空洞化に向かっているのだ。 東京都だけではない。筆者の暮らす京都府南部の府立高校のホームページをいくつか見ても、全く地学も地学基礎を学ぶことができない(選択科目としても設定されていない)ところが多い。京都府南部は、日本で初めて「集中豪雨」という言葉が使われるような災害を起こした地域だが、そのような地域の住民が、さらに地学を学んだことがない者ばかりになりつつあるのである。 教員免許の種類は、「中学理科」「高校理科」しかなく、物理・化学・生物・地学に分かれているわけではない。つまり、理科の教員は全員が物・化・生・地の全てが教えられる、ということが建前だ。しかし、現実には、各高校には、地学を学んだことがない、したがって地学教えるのが苦手だ、という教員ばかりのところがあり、そのような学校では、地学を選択することさえできない教育課程表(カリキュラム表)が作られているのだと考えられる。 世界全体のマグニチュード6以上の地震の内、20%以上が日本で発生している。日本の国土面積は世界の0.25%しかないのに、世界全体の活火山の7.1%が日本にある。台風も竜巻も、津波も高潮も洪水も、豪雨も土砂災害も、落雷もヒョウも、日本では繰り返されており、今後も必ず繰り返される。だから、防災は不可能で、減災という言葉に置き換えられている。 だから、日本は、高校で地学を学ぶ率が世界一であるべきだし、地学教育の普及で世界の見本になるくらいの気概を持つべきだ。 「大津波が押し寄せる地域の学校の教員の中に、地学を学んだ者がもう少しいれば…」「もし、地域の住民や、家族の中に地学を学んだ人がいたとすれば…」せめて命だけは守れたのではないか、こんなに多くの人命を失わずに済んだのではないか、と考えられる事例は今も多い。それぞれの災害に直面する場面で、もう少し、よりよい判断と行動ができていた可能性は高いのである。追悼行事「1・17のつどい」で分灯された竹灯籠前で黙禱する参加者ら=2018年1月17日午後5時46分、兵庫県神戸市(竹川禎一郎撮影) あの阪神大震災からもうすぐ20年になる。 日本の未来のためには、防災教育を、内閣府や地方自治体の防災担当課に任せるだけではなく、文部科学省や教育委員会が、空洞化した地学教育に中身を入れていくことが、欠かせない。 まずは、全ての高等学校のカリキュラム表を調査し、全く地学分野を学ぶことができない学校には、せめて「地学基礎」が選択できるようにすることを急ぐべきではないか。そのための体制の整備が、教育行政の責務だと考える。かつむら・ひさし 高等学校地学教諭、元厚生労働省医療安全対策検討WG委員。1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。高等学校地学教諭。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の中央社会保険医療協議会や日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。2015年8月より群馬大学附属病院で腹腔鏡等で死亡事故が相次いだ事件の医療事故調査委員に就任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

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    全国で地震頻発 首都直下地震を誘発する可能性は?

     6月18日の朝7時58分、大阪北部を震源として直下型地震が発生した。マグニチュード6.1、最大震度6弱の揺れに、5人の死者が出た。今回、不気味なのは大阪地震の前から、全国で地震が頻発していることだ。6月に入ってから、千葉県の房総半島沖で「スロースリップ」によるM4クラスの地震が、大阪地震の2日前まで断続的に続いた。「スロースリップとは地下のプレートの境界がゆっくりとずれ動く現象で、それによって地震活動を引き起こし、過去には震度5弱の揺れを伴うものもありました。ゆっくり滑っている場所の横に大きな『固着域』があると、そこがバチンと割れるように大きな地震を誘発する可能性があります」(元気象庁精密地震観測室室長の岡田正実さん) さらに、大阪地震の前日17日には群馬県で震度5弱の地震が発生。県内の4市にまたがる「大久保断層」によるものと見られている。立命館大学歴史都市防災研究所・環太平洋文明研究センター教授の高橋学さんはこう指摘する。「大阪地震は『フィリピン海プレート』の圧力が強まることによってユーラシアプレートの内部の断層が動いて起きたと考えられます。実は、そのフィリピン海プレートの東端に当たるのが千葉です。群馬の地震も、同じようにフィリピン海プレートの圧力で発生したと見られます。もう少し広い範囲でフィリピン海プレートを見ると、南の方で沖縄や台湾、フィリピンでも最近、地震が増えているんです。2016年に地震が起きた熊本や原発のある鹿児島、愛媛を含む地域は、日本最大の断層に沿ってフィリピン海プレートの影響を受ける場所で、一斉に地震が起きている印象があります」 日本の関東地方の地下は、とくにプレートが何枚も重なり合う場所なので、さまざまな要因で「首都直下地震」が起こるとされるが、その中でも特に大規模な揺れを起こすとされるのが「相模トラフ」だ。相模トラフとは、フィリピン海プレートと大陸プレートがぶつかり合う境界面を指す。つまり、千葉、群馬、大阪と繋がるフィリピン海プレートの活発化が、近々、首都直下地震を誘発する可能性があるということだ。 さらに甚大な被害を起こすと懸念されているのが「南海トラフ」だ。政府の中央防災会議の試算によれば、死者数は最大で32万3000人という想像を絶する被害が想定される。この南海トラフも同様に、フィリピン海プレートが大陸プレートに圧力をかけることで起こる。2018年6月18日午前、地震の影響で傾いた阪急茨木市駅の掲示板「2016年の熊本地震では、まず日奈久断層帯を震源とするM6.5の地震が起こり、その2日後に隣接する布田川断層帯を震源とするM7.3の“本震”が発生しました。その後、阿蘇地方や大分県にも飛び火するように震源域が広がり、地震が連鎖的に続いた。この地域は関東地方まで続く中央構造体という大きな断層の一部で、1つの断層の動きが各地に地震を引き起こした可能性はあります」(前出・高橋さん) 今回の大阪地震では「有馬—高槻断層帯」が震源になったが、大阪市中心部の真上を通る「上町断層帯」の方が、発生確率はそもそも高かったので、大阪都心部もさらなる警戒が必要だ。 いつ、どこで起きるかわからない大地震。「万が一」ではなく、「明日来る」覚悟で備えておくべきだ。関連記事■ 大阪地震 ほぼノーマークだった「有馬—高槻断層帯」で発生■ 「日本で一番危険な活断層」と専門家が口揃える大阪・上町断層■ 在京テレビ局 大阪北部地震報道に温度差がある?■ 相模川でアユが大量発生 地元住民が気味悪がる言い伝え存在■ 地震発生源の活断層 未知なる活断層は6000あると推察される

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    大阪直下地震で思い出す「増税なくして復興なし」のペテン

    るにもかかわらず、経済対策の側面では、地震に全く弱い国だと言わざるを得ない。しかも弱いだけではなく、災害につけ込んで、官僚や政治家が「私的な利益」をむさぼろうとする国でもある。 東日本大震災のとき、筆者は経済評論家の上念司氏と共著で『震災恐慌』(宝島社)を出版した。この本は後に、嘉悦大の高橋洋一教授の補論を備えて、さらに内容を強化して『「復興増税」亡国論』(宝島社新書)として刊行した。 題名からも趣旨は明瞭だが、東日本大震災からの復興を名目にして行われようとしていた「復興増税」を中心とした、政府と日本銀行の緊縮政策を批判する内容であった。当時、われわれは国会議員などとも協力し、増税反対の国民運動を展開したが、残念ながら「復興増税」は復興特別税として実施されてしまった。2011年11月、東日本大震災に関する復興増税や消費増税を食い止めようと、約1500人が「増税NO」のシュプレヒコールをあげながらデモ行進した(緑川真実撮影) この税は現在も所得税、地方税を対象に継続中だ。所得税は2037年まで、地方税も2023年まで上乗せされており、長期間の負担が続く。 もちろん、被災地支援のためにお金が必要なのは当然である。だが、当時の民主党政権の時代は、今日とは異なり、リーマンショックと長期停滞の「合わせ技」で、極めて深刻な不況に陥っていた。そこに増税を課すのは、日本経済にダメージをさらに負わせ、もちろん被災地にも深刻で回復不能の打撃を与えると、われわれは警鐘を鳴らしたのである。 そのため、増税よりも、それこそ永久ないし超長期の復興国債を発行することによって、日本銀行がそれを事実上引き受け、積極的な復興支援を行うべきだとした。これが長期停滞への脱出と、震災復興の両方を支援できる経済政策だというのが当時のわれわれの主張であった。 だが、財務省を中心とする増税勢力にはそんな論法は通じなかった。彼らのやり口は実に巧妙であり、「復興増税」を民主党、そして当時は野党だった自民党と公明党で実現させたのである。さらに、この三党協調をもとに、おそらく当初からその狙いであった消費増税の実現にまで結び付けた。当時の日本経済からすればまさに人災に等しい「大緊縮路線」の成立である。「最悪の人災」=増税 緊縮政策が、不況もしくは不況から十分に脱出できないときに採用されれば、人命を損ねる結果になる。職を失い、社会で居場所を失った人たちなど、自殺者数の増加など負の効果は計り知れない。その意味では、天災を口実にした「最悪の人災」=増税という緊縮政策の誕生であった。ちなみに、民主党は現在、国民民主党や立憲民主党などに分裂しているが、経済政策は全く同じ発想である。 このような緊縮路線は今日も健在どころか、最近はその勢いを強めている。消費増税をはじめとする緊縮政策の一番の推進者は、言うまでもなく財務省という官僚機構である。財務官僚とそのOBたちのゆがんだエリート意識とその醜い利権欲は、いまや多くの国民が知ることだろう。 セクハラ疑惑によるトップの辞任、財務省の局をあげての文書改ざん、何十年も繰り返される「財政危機」の大うそ、社会的非難が厳しくても繰り返される高額報酬目当ての天下りなど、ブラック企業も顔負けである。このようなブラック官庁がわれわれの税金で動いているのも、また日本の悲劇である。 しかも財務官僚だけではなく、増税政治家、経団連や経済同友会などの増税経済団体、増税マスコミ、増税経済学者・エコノミストなど、緊縮政策の軍団は実に広範囲である。しかも、グロテスクな深海魚がかわいらしくみえるほどの奇怪な多様性を持っている。 例えば、反貧困や弱者救済を主張する社会運動家が、なぜかその弱者を困難に陥れる増税=緊縮路線を支持しているのも、日常的な風景である。増税したその見返りが、自分たちの考える「弱者」に率先して投入されるとでも思っているのだとしたら、考えを改めた方がいいだろう。 日銀の岩田規久男前副総裁は、メディアの最近の取材や筆者との私的な対話の中で、日本が20年も長期停滞を続けたため、非正規雇用など低所得者が増えたと指摘している。さらに、岩田氏によると、年金世代が全世帯の3割以上に増えたことで、消費増税による経済への悪影響を強めているという。 つまり、増税、特に低所得者層に強い影響が出る消費増税は、日本において最悪の税金である。「弱者救済」を唱える人たちが財務省になびくのは、まるで冗談か悪夢のようにしか思えないのである。電車のダイヤが乱れ、阪急梅田駅前の階段に座る人たち=2018年6月18日、大阪市北区(安元雄太撮影) 最近、この消費増税、緊縮政策路線が、政府の経済財政諮問会議により提起され、閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」にも強く採用され続けている。経済活動が活発化し、その結果として財政が改善していくのが、経済学で教わらなくても普通の常識であろう。 だが、財務官僚中心の発想は違う。まず財政再建ありきなのである。財政再建が目的であり、われわれの経済活動はその「奴隷」でしかない。これは言い方を変えれば、財務省の奴隷として国民とその経済活動があることを意味する。恐ろしい傲慢(ごうまん)な発想である。財務省の目論み 例えばしばしば「財政健全化」の一つの目標のようにいわれる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化。この概念は、そもそも経済不況を根絶するために積極的な財政政策を支持した経済学者、エブセイ・ドーマーによって主張されたものである。 つまり、緊縮財政を唱える論者を否定するために持ち出した概念が、なぜか財務省的発想で緊縮財政のために利用されているのである。まさにゆがんだ官僚精神をみる思いで、あきれるばかりである。 PBは、経済が停滞から脱出し、経済成長率が安定すれば、それに見合って財政状況も改善するということを言いたいのが趣旨だ。何度もいうが、これが逆転して、増税勢力に都合のいい「財政再建」や「社会保障の拡充」という緊縮政策に悪用されてしまっている。 しかも経済学的には意味を見いだしがたいPBの黒字化目標を、2020年度から25年度にずらしたところで、緊縮病から抜け出せるわけではない。あくまで目標にするのは経済の改善であって、PB目標などどうでもいいのだ。 だが、PB先送りについて、朝日新聞の論説にかかると「骨太の方針 危機意識がなさ過ぎる」んだそうである。まずは、この朝日新聞の論説を書いた人の経済認識こそ、危機意識が足りないと思う。地震で崩れた外壁=2018年6月18日、大阪市淀川区(渡辺恭晃撮影) また、国債市場では取引が不成立なことがしばしば起こることをもって、「国債危機」的な煽り記事もある。これは、単に日本銀行が「今の積極的な金融緩和を続けるためには、もっと政府が新規の国債を発行することを求めている」、市場側のシグナルの一つでしかない。つまり経済は、緊縮よりももっと積極的な経済政策を求めている。だが、全ては「財政危機」「社会保障の拡充」という上に書いたようなゆがんだ経済認識に利用されているのが実情だ。 数年前、いや今も天災さえも利用して自らの増税=緊縮政策を貫いた財務省を核とした「ブラックな集団」が日本に存在していること、これこそが日本の「最大級の人災」である。そして対策は、このブラック企業顔負けの集団の核である、財務省の解体しかないことを、世間はより強く知るべきではないだろうか。

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    大阪直下地震は南海トラフの前兆か

    大阪府北部で震度6弱の地震を観測した。朝の通勤ラッシュを襲った地震で都市機能は混乱に陥り、各地で被害が報告された。震源は断層帯のごく近くだったが、やはり気になるのは南海トラフ巨大地震との関連である。今回の直下地震はその前触れなのか。専門家が緊急分析した。

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    熊本地震と瓜二つ、次は上町断層帯M7・5級の「本震」に備えよ

    遠田晋次(東北大災害科学国際研究所教授) 23年前の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)で「関西に大地震は来ない」という認識はさすがに消え去ったが、いまだに関西の人々は地震に不慣れだ。 北摂山地(大阪府北部)や和歌山市周辺を除いて普段から地震が少なく、小さくて浅い地殻内地震のために、揺れる範囲が狭いからである。 筆者は2009年から3年半、京都大学に所属し、その後も先月まで居を京都市南部に構えていたが、その間に体感した地震は指折り数えるほどしかなかった。実際、今回の地震は、大阪府で1923年の観測以来初めての震度6弱であったという(23年前の兵庫県南部地震で、大阪市は最大震度4であった)。 京大時代に関西の方々と触れ合う機会が何度かあったが、活断層に関心がある方々は多かったが地震に対する危機感は低かった。3・11後も、どうやら南海トラフの巨大地震や津波に関心が行きがちで、近畿地方や中部地方の本当の危機は、活断層による直下型地震であるという認識が薄い印象を受ける。 不幸にも、揺れで倒れたブロック塀によって幼い命が失われたが、これはくしくも40年前の1978年6月12日の宮城県沖で多発した地震被害と同じであり、ブロック塀の耐震化は東日本では常識となっていたものだ。 一方で、阪神・淡路大震災をきっかけに「活断層」は少しずつ身近なものになってきた。著者も時折、NHKのバラエティー番組『ブラタモリ』を見るが、番組の2、3回に一度は「高低差」や「段差(ダンサー)」「活断層」というキーワードが登場する。京都編などでも、清水寺や天竜寺周辺の風光明媚(めいび)な地形が活断層と関係しているという紹介もあった。 実際、「凹凸」の凹にあたる京都盆地や琵琶湖、大阪平野、大阪湾、奈良盆地、凸の六甲山地、生駒山地、鈴鹿山地、金剛山地など、10〜30キロの波長で凹凸を繰り返す地形は数十万年間に及ぶ活断層の営みの賜物(たまもの)である。 大地震の時の断層の動きは数メートル程度でも、それを数千年〜数万年で繰り返して、数十メートル〜数百メートルの崖や凹凸の地形になる。逆に言えば、凹凸の境界部分に大きな活断層が分布することになる。2018年6月18日、屋根瓦が落ちた大阪府高槻市の住宅=産経新聞社ヘリから(恵守乾撮影) まだ情報が不十分であるが、現時点で今回のマグニチュード(M)6・1の地震を一言でいうと、「活断層とその周辺で起こった一回り小さな地震」と表現できる。今回の地震は、近畿地方を代表する活断層の一つである「有馬ー高槻断層帯」の東端付近で発生した。しかし、本震の震央とその後の余震(6月18日17時ごろまで)は、有馬ー高槻断層帯よりも少し南側に集中しているようにみえる。 活断層というと、地図に描かれた線だと勘違いされている一般の方が多数いらっしゃる。しかし、地下では断層は傾いていて、地表の位置と遠く離れたところに位置する。大阪直下の「断層帯」 今回も、震央は有馬-高槻断層帯と、上町断層帯ではなく生駒断層帯が交差するあたりに位置する。しかし、仮に上町断層が45度で傾いていたとすると、ちょうど震源の深さである13キロ辺りでは地表の位置から13キロ東にずれ、今回の震央と整合する。つまり、今回の地震は、有馬-高槻断層帯と上町断層帯という二つの第一級の活断層が交差する接合部で発生したとみられる。 この状況をどこかで見たことはないだろうか。そう、熊本地震の「前震」と言われる2016年4月14日のM6・5の地震に状況が似ている。この地震で益城町では震度7を観測している。 この前震は日奈久断層と布田川断層の交差する場所で発生した。その後周辺で余震が活発化し、28時間後の4月16日に「主役」の布田川断層が動き、熊本地震の本震(M7・3)が発生する。 最初のM6・5の地震を、起きるべくして起きた前兆としての「前震」と解釈する研究者もいるが、筆者は最初の地震の余震の一つがM7・3になったのだと考えている。すなわち、M6・5の地震が周辺の活断層、つまり、熊本地震では布田川断層を刺激したとみる。その意味では、今回の大阪府北部の地震の余震活動の活発度や広がり方、近傍活断層への影響評価を早急に行う必要がある。 特に注意が必要なのは、人口269万人の大阪市の直下を走る上町断層帯への影響だ。そもそも今回の地震は上町断層帯の地下深部が一部動いた可能性もある。上町断層帯は、平均的な活動の繰り返し間隔が約8千年で、最後に動いたのが9千年〜2万8千年前と推定されている。 すでに「満期」は過ぎ、「いつ動いてもおかしくない」というのが活断層研究者の大方の見方だ。30年確率にすると2〜3%と算定されている。現実的な確率値は小さいが、日本列島の活断層の中では非常に高い部類に入る。国の地震調査研究推進本部や大阪府によって推定震度や被害想定も公表されているが、被害の深刻さは実際に起こってみないとわからない。2016年4月15日、熊本地震により倒壊した家屋が塞いだ道路を歩く被災者ら=熊本県益城町(桐原正道撮影) 一方で、政府のこのような活断層地震の評価というのは、あくまでも、その活断層で起きる最大地震の確率である。上町断層帯であれば、M7・5レベルの地震となる。 しかし、最近注目されているのは、「活断層とその近傍で発生する一回り小さな地震(M6台)」だ。今回の地震もそのような地震かもしれないし、今後も同規模か少し大きな地震が有馬-高槻断層帯や上町断層帯上で発生するかもしれない。少なくともM6台の地震が2〜3%よりも高い確率で発生することは間違いない。 今回のM6・1の地震は、M7・3の熊本地震や兵庫県南部地震の60分の1のエネルギーしかないが、今回の高槻市のように、震源直上では局所的に震度6弱を超えるような強い揺れとなる。これが内陸地震の特徴でもある。 災害は揺れに見舞われる暴露人口と都市の脆弱(ぜいじゃく)性で決まるので、M6級でも状況によっては、大きな被害に直結する。特に、大阪平野は軟弱な堆積物が厚く、揺れが増幅される傾向がある。今回の地震も、淀川沿いの軟弱地盤に被害が集中しているようにもみえる。今後の地震活動の推移を注視するとともに、構造物の耐震化や家具の固定など、早急な防災・減災対策が必要である。

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    大阪直下地震は次に起こる南海トラフの前兆か

    島村英紀(武蔵野学院大学特任教授) 大阪府北部で最大震度6弱を観測する地震が起きた。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・1で、震源の深さは13キロと浅かった。典型的な直下型地震である。 都市部を襲った地震だけに、死者を出してしまったブロック塀の倒壊や地下の水道管の破裂など、都会を襲う地震の被害がここでも繰り返されている。 ところで、日本の都市部の中でも、近畿地方は例外的に活断層がよく見えている地域だ。それに比べて、首都圏では厚い堆積物に覆われていて、地下の岩の割れ目である活断層はほとんど見えない。しかし、どちらの地方でも同じような直下型地震は起きるのである。 1855年に起こった安政江戸地震は、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)以上の、日本で最大の被害を生んだ直下型地震であった。1万人以上が犠牲となったこの地震はM7クラスとい言われ、震源は隅田川の河口付近だと思われている。だが、ここには厚い河川堆積物があって、活断層が見えない。 三大都市の一つ、名古屋を形作った濃尾平野など、日本の都会のほとんどは厚くて平らな堆積物の上に展開されている。それゆえ活断層は見えない。 活断層の定義は「地震を起こす地震断層が浅くて地表に見えているもの」である。だから、日本の都会のほとんどの地下には活断層が「ない」ことになる。しかし、実際は活断層が引き起こすのと同じような直下型地震が起きている。つまり、活断層が見えないだけで「ない」わけではないのである。 今回の大阪北部地震は、大阪平野の北縁にある「有馬-高槻断層帯」の東端に近く、大阪の東部を南北に走る「生駒断層」の北方の延長上にある。つまり、二つの活断層の交点で起きたものだ。 大阪市の中心部には「上町断層」が南北にあり、生駒断層と並行して走っている。この活断層が地震を起こせば、阪神・淡路大震災並みの被害を生むのではないかと、かねてより恐れられている。大阪北部で起きた最大震度6弱の地震で冠水した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市(沢野貴信撮影) だが、今回の地震は上町断層ではないところで起きた。上町断層が「近畿地方の次の地震」を起こす断層ではなかったことになる。一つの活断層が大地震を起こすのは、長ければ数万年に一度なので、注目されている活断層が、注視されている間に地震を起こすわけではないのである。 さらに今回の地震に関連して、怖いことがある。それは、近い将来発生が恐れられている南海トラフ巨大地震の前の「先駆け」として、西日本に直下型地震がいくつか起きることが経験的に知られていることだ。つまり、今回の地震も「先駆け」の一つかもしれないのである。南海トラフの前に起こる「直下型」 南海トラフ巨大地震の「先祖」は、これまで13回発生したことが知られている。だが、地震の規模は1回ごとに異なる。 一番最近に起きた1944年の東南海地震と1946年の南海地震は、二つ合わせても、「先祖」の中で小ぶりのものだった。「一番近い先祖」が小ぶりだったことは、すなわちこの次に起きる南海トラフ巨大地震の規模がそれよりも大きい可能性が高いということでもある。 実際、2回前の先祖である1707年に起きた宝永地震は、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)並みの巨大地震だったことが分かっている。 その1944年から1946年にかけて発生した「一番近い先祖」の前に、1925年の北但馬地震、1927年の北丹後地震、そして、1943年には鳥取地震が起きていたのである。それぞれ直下型地震で、400~3000人もの死者を出していた。そのあとに、東南海地震と南海地震が襲ってきたのである。 では、巨大な海溝型地震である南海トラフ巨大地震の前に、なぜ西日本で直下型地震が多く起きるだろうか。実は、地震学的には解明されていない。ただ、経験的に今まで起きてきた以上、無視するわけにはいかない。 今回の大阪北部の地震に限らず、近年、西日本では直下型地震がいくつか起きている。2013年4月には淡路島でM6・3の直下型地震が起き、住宅の一部損壊が2000棟以上にのぼったほか、液状化により施設が壊れたり、水道管破損による断水が起きた。 また、2015年2月には徳島県南部でM5・0の直下型地震が起きた。この地域は近年、地震が少ないところだけに余計注目を集める結果となった。昭和南海地震で浸水した高知の市街地。震災の歴史は繰り返すのか=1946年撮影(高知市提供) 淡路島の地震と徳島の地震は幸いマグニチュードが小さかったので被害も少なかったが、もっと大きな地震が起きていたら、より甚大な被害をもたらしたに違いない。 もし、数年あるいは十数年以内に南海トラフ巨大地震が起きれば、阪神・淡路大震災も、南海トラフ巨大地震の「先駆け」の直下型地震として数えられるかもしれない。 阪神・淡路大震災の半年後に起こり、同じM7・3だった鳥取県西部地震も、同じように数えられるに違いない。それほど、南海トラフ地震が放出するエネルギーは巨大なものであることを忘れてはならない。

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    死者47万人「スーパー南海地震」の条件はいよいよ整った

    高橋学(立命館大学環太平洋文明研究センター教授) 6月18日午前7時58分、大阪と兵庫両府県の断層である「有馬・高槻構造線」と「生駒西麓断層」が交わる深さ10キロを震源としたM(マグニチュード)6・1の地震が発生した。 規模からみると、日本列島でM6クラスの地震は5年に6回程度発生しており、さほどめずらしいものではない。今回の約33倍のエネルギーが放出されるM7クラスの地震でも、5年に3回は発生している。 今回の地震が注目されたのは、大阪という非常に地盤の軟弱な地域で起きたことである。大阪は大阪城の位置する「上町段丘」だけが東京の山手にあたる比較的地盤の良いところであり、大阪中心部を南北に走る地下鉄御堂筋線や新大阪駅、梅田駅周辺などは、東京の下町や銀座、有楽町と同様に極めて地盤が悪い。 そういった地点に主要な鉄道駅があるのが現状だ。これは、東京駅、上野駅、品川駅などと同様に、鉄道駅は街はずれの地盤の悪いところにつくられたという過去からの経緯がある。そのため、新幹線や多くの鉄道がストップし、交通障害が発生したのである。 また、先週から、千葉沖で「スロースリップ」と呼ばれる、非常にゆっくり動く地震が観測されていたことで、国民が地震に過敏になっていたことも一因になったようだ。 スロースリップは、2011年の東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)を機に、東北地方から関東地方の太平洋沿岸に非常に精密な観測機器が設置され、人工衛星による測量の進歩で1日にミリ単位の変化をとらえられるようになっている。 そして、スロースリップが発生すると、小規模、中規模の地震が発生しやすいことが分かってきている。ただし、これが大地震、巨大地震とつながるかは、まだ判明していない。観測できる場所も限られており、観測期間も極めて短いのである。しかし、気象庁などの発表が首都直下型地震を連想させた。地震で水道管が破裂し陥没した道路=2018年6月18日、大阪府高槻市 しかも、6月17日午後3時15分に群馬県南部で、深さ約10キロを震源とする地震が発生し、関東地方が揺れた。地震規模はM4・6と小さかったが、約7400年前の縄文時代に海が侵入し、非常に軟弱な粘土が堆積した地域だったため、震度5弱を記録した。 日本の現在の一般的な建造物は、手抜き工事、老朽化、建築構造の悪さ、地盤の悪さなどがなければ、震度5弱の地震では、ほとんど被害は発生しない。それにもかかわらず、スロースリップというこれまで聞きなれない言葉が報道されたこともあり、国民の心理的な不安が増幅した。 筆者は、これまで別個に語られてきた内陸直下型地震、火山噴火、プレート型地震は、基本的に同じであると考えている。すなわち、太平洋プレートやフィリピン海プレートの移動が、北米プレートやユーラシアプレートを圧迫し、それらが割れたり、古傷の断層が動いたりするのが内陸直下型地震である。 また、北米プレートやユーラシアプレートのマグマ溜まりが圧縮され、マグマが外に飛び出すのが火山噴火である。さらに、太平洋プレートやユーラシアプレートの動きで引きずりこまれている北米プレートやユーラシアプレートが跳ね上がるのがプレート型地震だ。 このように地震の原因は、すべてプレートの移動に起因しているのである。なお、太平洋プレートは、フィリピン海プレートの下にも潜り込んでおり、そのために、伊豆・小笠原諸島、マリアナ、グアム、パラオなどで火山活動が起きる。目前に迫るスーパー南海地震 西之島新島や海底火山の明神礁、ベヨネーズ礁などは、その例である。首都圏は、一番下に太平洋プレートが、その上にフィリピン海プレートが、さらにその上に北米プレートが重なっている。そして、それぞれのプレートの内部や、境界で地震が発生する可能性があり、一口に首都圏直下地震といっても、発生する場所はさまざまである。 一般に深いところで発生した地震は振幅の周期が長く、超高層ビルなどをゆっくり大きく揺らす。また、津波を発生させやすい。津波は、関東地方では下町や埋立地だけでなく、埼玉県春日部や群馬県館林のような、普段住民が海を意識しないところまで達する可能性がある。それに対して、浅い震源の地震は振幅の周期が短く、一般住宅を倒壊させやすいが、津波は起きない。 さて、今回の大阪の地震で注目すべき点は、熊本地震、鳥取県中部地震、韓国釜山地震、韓国浦項地震、台湾花蓮地震、トカラ地震、西表島地震などで分かるように、フィリピン海プレートの移動による圧縮のおよぶ非常に広範囲で範囲で地震が起き、桜島、霧島新燃岳など多くの火山が噴火活動を活発化していることである。つまり、ユーラシアプレートの歪(ひずみ)が限界に達して悲鳴を上げているといってもよいだろう。 今回の地震を引き起こした「有馬・高槻構造線」は六甲山地の北側から京都盆地に向けて延びる活断層であり、2017年末から2018年初頭にかけて、小さな地震が頻発していた。また、4月16~17日には、紀伊半島南端で地震が連続し、6月に入る頃から徳島県南部で、さらに紀伊水道を震源とする地震が続いている。地震の影響で傾いた阪急茨木市駅の電光掲示板=2018年6月18日、大阪府茨木市(渡辺恭晃撮影) 千葉沖の地震の陰に隠れていた関西の地震が顕在化してきているのである。これらは、いずれも南海トラフ地震(フィリピン、台湾、琉球列島、南海、東南海、さらには首都圏まで含めてスーパー南海地震と呼ぶ)の前段階の地震と位置づけることができる。 筆者はこれまでにも指摘してきたが、大地震・巨大地震は突然には起きない。約2カ月前から顕著な前兆がみられることが多い。阪神大震災(1995年)、中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、鳥取県中部地震(同年)など、いずれも前兆現象がみられた。 南海トラフ地震(スーパー南海地震)について、政府は30年以内にと80%の確率で発生すると言っているが、これは30年先のことではない。30年以内には、今日も明日も含まれている。 ユーラシアプレートの悲鳴が聞こえる現在、スーパー南海地震は極めて近い。そして、その被害額は土木学会の見積もりでは1400兆円(日本の国家予算は約37兆円)、死亡者は国の想定で32万人~33万人。筆者の推定では47万人を超える。それにもかかわらず。国、都府県、市町村の動きは極めて鈍く、今回の大阪北部地震を教訓に早急な対策が必要だろう。

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    進化するMEGA地震予測 AI活用でさらに精緻に

     政府の中央防災会議が「現時点では確度の高い科学的手法はない」と匙を投げるなど、地震予測は長く不可能なものとされてきた。しかし「MEGA地震予測」は、全国各地のGPSデータを元に着実に的中実績を積み重ねている。さらにその精度を高めるために村井俊治・東大名誉教授が選んだのは、AI(人工知能)の導入だ。膨大なデータを解析するMEGA地震予測とAIの親和性は高い。従来の予測を飛躍的に進化させる試みを初公開する。精度を高く、客観的に 測量学の世界的権威である村井氏は、2013年以降、本誌やメールマガジンで『MEGA地震予測』を発表し続けてきた。 全国約1300か所にある電子基準点のGPSデータをベースとする同予測は、震度5クラスの大地震の前兆を幾度となく捉え、実績を積み重ねている。 しかし、地質やプレートの変動を調査することを前提とする地震学の世界においてその予測方法は「異端」と見なされてきた。そのため、「地震学の知識がない」「ノイズのような数値を使った“占い”だ」といった批判を浴びてもいる。 それでも村井氏が予測を続けるのは、7年前の東日本大震災の「苦い教訓」があるからだ。「3.11の半年前から、東北地方の太平洋側の電子基準点に次々と沈降現象が起きていた。私の予測に従えば、それは紛れもない大地震の予兆だったわけですが、“パニックになるのではないか”と躊躇し、広く注意を呼び掛けることができませんでした。研究者として、これほどの無念はありません。ですから測量学者としての地位や名誉をたとえ失うことがあっても、私の知見と信念に基づいて異常を警告していくと決めたのです。そして、少しでも予測の精度を上げるため、あらゆる知識と技術を採用してきました」 そうしたバージョンアップの集大成といえるのが、この3月から実用化されたAI(人工知能)による予測である。「これまでは、電子基準点のデータを私と数人のスタッフのみで分析してきた。しかしデータは膨大で、マンパワーだけに頼るには限界がありますし、解析のノウハウも伝えきれない。AIを活用できれば、より客観的で高精度の予測が行なえると考えました」※画像はイメージです(iStock) 村井氏が会長を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)は、2年前から工学博士(品質工学)の手島昌一氏が代表取締役を務めるアングルトライ株式会社と、AIシステムの共同開発を始めた。手島氏が解説する。「我々が用いるのは、MT法(マハラノビス・タグチ法)というもので、世界の大手自動車メーカー工場などで不良品の発生予知や検査などに使われている人工知能です」 AI地震予測の解析対象は、これまでの『MEGA地震予測』と同じく、国土地理院が全国に設置する電子基準点だ。 村井氏と手島氏は、2005年からの現在までの電子基準点データ全てをAIにインプット。それを最新の電子基準点の動きと照合すれば、AIが「異常変動」を察知し、地震発生のリスクを割り出す。 AI地震予測は、これまでの『MEGA地震予測』と同じ理論をベースにしているため、基本的には村井氏の予測と似たような結果を弾き出すことが多い。しかし時には例外もあるという。「AIは私が予想もしていなかった地域を警戒ゾーンとすることがあるのです。将棋の人工知能ソフトが定石外れの手を指すことがあるように、地震予測でも私の経験則を超えてくることがある。AIの存在が私の予測そのものにも広がりを与えています」(村井氏)●JESEAでは毎週水曜日にスマホ・PC用ウェブサービス「MEGA地震予測」(月額378円)で情報提供している。詳しくはhttp://www.jesea.co.jp関連記事■ 驚異の的中率MEGA地震予測、2018年の警戒地域は■ 日本には111の活火山存在 これから心配な山はどこか■ テレ東番組で捕獲されたヘラザメは大地震の前兆だった?■ 政府・地震学会はなぜ「MEGA地震予測」を無視し続けるのか■ 熊本地震受け「MEGA地震予測」で新たに加わった警戒ゾーン

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    災害を「仕方ない」とする日本人の無常観、防災意識を高めるには?

    あるのは、リスクへの備えが十分でないことの裏返しなのだろう。 日本では、十分とはいえないものの、自然災害のリスクに対し、ハード面やシステム面は相当に発達してきた。 いっぽう、人の心構えという面では、いまも「リスクに備えよ」が警句でありつづけている気がする。日本は地震も大雨・台風も避けられない国土であり、そうした自然現象はこれからも起きつづけるとわかっていながら、あまり災害に備えようとしないからだ。 2016年5月に経済広報センターが実施した「災害への備えと対応に関する意識・実態調査」では、3人に2人が、自身の災害への備えが「不十分」と答えたという。 日本では自然災害は多いけれど、多いがゆえに「起きて当然」「被ってもしかたない」という精神性がはたらき、それが日本人の自然災害リスクへの備えに影響をあたえているのではないか。 けれども、死に直面した瞬間、もし自分の備えが十分なら死を免れられたかもしれないと感じるのであれば、やはり「備えておくべきだった」と思うのではないか。後悔は先に立たない。 国民性や精神性というものは風土に根ざしているから簡単には変わるものではない。それゆえ、自然災害を「起きて当然」「被ってもしかたない」と思いがちな日本人だからこその自然災害への備え方を考えなければならない。 今回、話を聞いた神戸学院大学教授の前林清和氏は、著書『社会防災の基礎を学ぶ』や論文「災害と日本人の精神性」のなかで、日本人の精神性から災害観を捉え、その災害観を前提とした防災や減災のあり方を唱えている。 とくに日本人の「無常観」の存在は、これからの防災や減災を考えるうえで、大きな要素となるようだ。詳しく話をうかがった。前林清和氏。神戸学院大学現代社会学部社会防災学科教授。博士(文学)。1995年の阪神淡路大震災におけるボランティア活動を機に、防災や減災への取り組みを研究や活動のテーマのひとつとする。 「無常」とは、すべてのものは生滅流転し、永遠に変わらないものはひとつもないということを意味する仏教用語だ。前林氏は、無常観こそが日本人の人生観の中核をなすものと考えている。 「日本には四季があるため、おなじことは続かないという考えかたが根づいています。そして、自然災害がひんぱんに起きるため、すべてが潰れてしまうという考え方も強くあります。なにもかもが変化していくなかで生きていく感覚があります」 西欧では、突然ふりかかる死といえば、戦争や侵略などの殺戮によるものが主と捉えられてきた。遺された人たちは理不尽さを感じ、その恨みを人に向ける。だが、日本でのそれは、もっぱら自然災害によるものだった。「恨む相手がいなければ、次に行かないとしかたがない。日本人に無常観があるのはそれゆえです」。「すぐ忘れる」日本人の良し悪し もちろん、日本人も、突然に災厄がふりかかれば、「なぜ自分たちが」という理不尽さにさいなまれる。そのとき、日本人は、そのやるせなさを「天のせい」にすることで処理しようとしてきた。天に定められた運命なのだと考える天命論や、天から罰をあたえられたのだと考える天譴論(てんけんろん)はその例だ。 「日本における災害は、天災によるものを基本としているので、人間への恨みがすくない。そのため、あっさりと忘れていきやすいのです。無常観とは、忘れることに等しい」 では、この無常観は、日本人の災害観や、災害対応のしかたにどう影響をあたえるものだろう。 前林氏は、日本人の自然災害に対する心の向き方を、災害が起きた後の「復旧・復興」の側面と、起きる前の「防災」の側面に分けて整理する。 まず、復旧・復興を進めるという面では、日本人の無常観はプラスに作用するという。 「復旧や復興については、無常観があるため、基本的に早いといえます。無常観とは忘れることと言いましたが、それは次へ次へと前を向く感覚でもあるので、復旧・復興は進みます。それに、恨みつらみもあまり生じないことから暴動や略奪なども起こりにくい。これは支援の早さにつながります」 東日本大震災のとき、被災者たちが静かに配給を待つようすが世界で賞賛された。災害後のボランティアについても、阪神淡路大震災があった1995年が「元年」とされるが、1923年の関東大震災や、1959年の伊勢湾台風のときも、相当な助け合いがあったと前林氏は指摘する。これらにも、根底で無常観がはたらいているのだろう。大阪で発生した地震の影響で不通となった阪神電車の駅ホーム。通勤・通学が出来ない大勢の客であふれた=2018年6月18日、阪神西宮駅(撮影・林俊志) だが一方で、防災をするという面では、日本人の無常観はマイナスに作用してしまう。 「たしかに、ハードやソフトの点では、台風対策でも地震対策でも、日本は世界トップレベルにあります。災害が多かったからです。けれども、ハードやソフトとは別の“ヒューマン”の点では、すぐに忘れてしまうという国民の意識がマイナスに作用してしまいます。防災意識がなかなか高まらないということです」 物理学者だった寺田寅彦にまつわる「災害は忘れた頃にやってくる」という警句は有名だ。この「忘れた」という言葉が使われた背景には、日本人の無常観への意識もあったのかもしれない。寺田は「地震や風水の災禍の頻繁でしかも全く予測し難い国土に住むものにとっては天然の無常は遠い祖先からの遺伝的記憶となって五臓六腑に染み渡っている」とも述べている。防災意識を高める2つのこと ハードやソフトにくらべて、ヒューマン、つまり人の意識の点が取り残されているのであれば、やはりここにも手を打たなければならない。だが、「五臓六腑に染み渡っている」無常観を覆すのは不可能だろうから、無常観があることを前提に日本人の防災意識を高める方法を考えなければならない。 そこで、前林氏は二つの方策を提唱する。 「一つは教育です。小中学校で『防災』という科目の授業をおこなえば、人々の防災への意識は変わっていくと思います」 前林氏は人の意識を変えるには宗教と教育しかないと考えている。だが、「日本での宗教は、“八百万の神”を崇めるもので、無常観とも深く関わっているので、宗教で災害意識を変化させるのはむずかしい」と言う。一方、教育のなかで防災を扱う授業を組み込めれば、「意識は変えられると思います」。 2011年の巨大地震の発生直後、釜石市の約3000人の小中学生たちは素早く避難をして大津波から逃れるなどし、99.8パーセントが生存した。これは“奇跡”でなく“実績”だと、生き抜いた子どもみずからが述べている。「釜石の事例は教育の成果といえます」。 ボトムからの防災教育とともに、もう一つ、前林氏は提唱する。 「防災省、あるいは防災庁といった、防災関連の省庁の設置です。いま、政府では日本の防災を内閣府が担っています。しかし、2、3年でキャリアが変わってしまうため、専門家といえる官僚はいません。都道府県を指導し、さらにそれを防災の実務を担う市町村まで行きわたらせるため、まずは“親玉“として省庁レベルの専門組織を置くべきです」 人は、無常観から災害のことを忘れがちだし、正常性バイアスという心理もはたらいて自分に都合よくものごとを捉えがちだ。「これらは、生きていく上ではたいていプラスに働くものです。けれども防災に対してはマイナスに働きます」。防災袋についての授業をする京都大防災研究所の矢守克也教授=2017年11月30日、大阪府(北村理撮影) 一般の人びとが無常観や正常性バイアスを外して生きるのはむずかしい。「ですので、防災の省庁につとめる専門家たちだけはそうした意識を外して仕事にあたり、防災のシステムとヒューマンの点を充実させてほしいのです」。 2011年の巨大地震以降、日本は地震活動期に入ったといわれる。また、1時間降水量が50mm以上の雨の発生回数はここ30年で増加している。災害リスクが高まっているといえるなかで、私たちの無常観を見つめ直し、それを踏まえて対策を立てることが、実のある「リスクに備えよ」につながる。うるしはら・じろう 1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』『日産驚異の会議』『宇宙飛行士になるには』など。

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    テレ東番組で捕獲されたヘラザメは大地震の前兆だった?

    部をマグニチュード6.4の激震が襲い、17人の死者と280人以上の負傷者が出た。海の向こうで起きた大災害は、日本とも無関係ではない。元気象庁精密地震観測室・室長の岡田正実さんが解説する。「日本は“地震の巣”と呼ばれますが、それは日本列島が4つのプレートが重なり合う真上にあるからです。プレートというのは、地球の表面を覆う厚さ100kmほどの岩盤のこと。少しずつ動いて他のプレートとぶつかり、プレートの境界や内部で破壊(断層運動)が起きることで地震が発生します。 台湾の地震は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが接触するところで起きました。実は、台湾から北上して見ていくと、そのプレートの接触面は、日本列島の九州から東海にかけての太平洋側の海底まで続いています。それを『南海トラフ』と呼びます。 つまり、今日本で懸念されている大規模な『南海トラフ地震』を引き起こすプレートは、台湾の地震の原因となったプレートと同じ。日本でも『南海トラフ地震』とその津波への備えを充実させる必要があります」死者は最大で32万3000人 南海トラフ地震は、駿河湾から九州沖にかけての海底にある溝(トラフ)を震源とする地震だ。海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレート下に沈み込む時、陸側のプレートの端が巻き込まれて“歪み”が蓄積する。その“歪み”が限界に達すると、陸側のプレートの先端が元に戻ろうと一気に跳ね上がって、激しい揺れと同時に海水を一気に持ち上げるので、大きな津波が発生する。2017年11月、名古屋市で開かれた、南海トラフ巨大地震に伴う企業の防災対応の在り方を議論する検討会「最大規模のマグニチュード9クラスの南海トラフ地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7、隣接する周辺の広い地域でも震度6強から6弱の強い揺れになることが想定されています。関東から九州地方にかけての太平洋沿岸の広範囲で10mを超える津波が襲来し、さらに最大30m級の大津波が起こる可能性も否定できません」(前出・岡田さん)サメの電気感度は人間の10万倍以上 政府の中央防災会議の有識者会議の試算によれば、死者数は最大で32万3000人、経済被害は220兆3000億円にものぼるというから、被害は想像を絶する。 台湾地震が起きた2日後、日本政府の地震調査委員会が重大な発表を行った。南海トラフ地震が「30年以内に起こる確率」を、それまでの「70%程度」から、「70~80%」に引き上げるとしたのだ。「地震は、プレートの接触面の“歪み”が溜まると起こるので、“歪み”が限界まで溜まる年数を計算すれば、おおよそ発生確率がわかります。委員会が今回、発生確率を算出する時には、南海トラフ地震は、『88年』の平均間隔で起きるとして計算しました。前に起きたのが、昭和東南海・南海地震が起きた1944年~1946年なので、もうそろそろ起こるかもしれないという時期にさしかかっているんです」(前出・岡田さん) 地震が「いつか確実に起こる」のはわかっているが、その予知は難しいのが現状だ。だが、女性セブンは南海トラフ地震の「ある予兆」をキャッチした。サメの電気感度は人間の10万倍以上 今回の台湾地震発生の約1か月前、台湾ではあるニュースが話題を呼んでいた。「ワニグチツノザメ」という深海に生息する小型のサメが5匹、台湾の沖合で発見されたという。このサメはごく稀にしか見られないため、生態はほぼ不明。超希少な深海ザメだ。 実は、このワニグチツノザメ、2016年4月、熊本地震が発生する1か月半ほど前に、日本の静岡・沼津でも捕獲されていた。 もちろんサメと地震の因果関係は立証されていないし、今のところ地震学でも研究対象外だ。だが、海洋地震学が専門の武蔵野学院大学特任教授・島村英紀さんは「サメと地震が関係している可能性はある」と話す。トンガリサカタザメの一種、シャベルノーズシャーク「サメの頭部にはロレンチーニ器官という小さな穴がたくさんあり、電気センサーの役割を果たしています。サメの電気の感度は人間の10万倍以上ともいわれていて、地震前の地殻変動で生じる、海底下に流れる電流なども敏感に察知することができる。サメが普段は見られないような場所に現れたのは、地殻になんらかの変動を感知したからだとも考えられるのです」(島村さん)“幻のサメ”まで捕獲 希少なサメの不可解な発見は続いている。昨年5月末、南海トラフに近い三重県尾鷲市の沖合では、メガマウスという巨大なサメが捕獲された。「メガマウスは体長5mもあり、頭部と口が異様に大きいのが特徴。世界で120匹、日本でも20匹ほどしか発見例がなく“幻のサメ”と呼ばれています。メガマウスは東日本大震災の約2か月前に捕獲されていたことも知られています」(全国紙科学部記者) さらに、ほとんどの人は意識していなかっただろうが、地震の“前兆”を、実は多くの視聴者が目撃していた。1月28日に放送されたバラエティー番組『東京湾大調査!お魚ぜんぶ獲ってみた2』(テレビ東京)のロケで、これまで東京湾では見られなかったヘラザメが初めて捕獲されたシーンだ。 ヘラザメは水深800~1400mの深海に生息するサメで、日大の研究チームが東京湾で2005年から3年間にわたって行った57回の調査でも、一度も確認されていなかったという。 海洋生物の専門家は「海流や温暖化の影響も考えられる」としているが、前出・島村さんはこう指摘する。「地殻変動による微弱な電流を感じて上がってきたのか、あるいは餌がなくなったからなのか。東京湾の深いところで何が起きたのかはわからない。しかし今後の地震の前兆である可能性は否定できません」希少なサメの不可解な発見が続く 東京湾といえば、首都圏の目の前だ。南海トラフ地震とは別モノだが、首都圏を直撃する「首都直下地震」も、30年以内に発生する確率は70%とされている。「直下型地震は、陸側のプレート内部の歪みが大きくなり、プレート内部の弱い部分で破壊が起こることで発生します。南海トラフ地震のような海溝型地震に比べて規模は小さいものの、震源が浅いので局地的に激震が起こる。都心でマグニチュード7級の地震が起きた場合、死者は最大2万3000人、経済被害は95兆3000億円にのぼると想定されています」(前出・岡田さん)「珍しいサメが見つかった」と喜んでいる場合ではなさそうだ。関連記事■ 「巨大鮫・メガマウスが捕獲されると大地震」は本当か?■ 「北海道での震度5は3.11とは別の大地震の前兆」と専門家■ 10日間も止まらなかったしゃっくり 実は脳梗塞の前兆だった■ 名古屋市中心部にワニガメ登場、ボランティア30人で捕獲作戦■ 推定体長180センチ体重70キロの脱走ライオンを石川県で捕獲

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    新燃岳噴火は前兆か 「スーパー南海地震」は2年以内に起こる

    噴火口近くに観光客などがいて被害がでる恐れはある。地震とその被害である震災とが違うように、噴火と火山災害も同じではない。今年起きたフィリピンのマヨン山噴火や2011年前後からの阿蘇山、霧島新燃岳、桜島の噴火、14年の木曽御嶽山噴火などがこれにあたる。噴煙を上げる宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳=2018年3月2日 桜島の噴火活動に注目すると、波打ちながらも2005年まで減少し一時ほとんど停止した。しかし、その後反転し、東日本大震災の起きた11年に噴火回数が観測史上最多の1355回に達した。ただ、15年10月にはユーラシアプレートの中のマグマたまりにマグマがほとんど無くなり噴火が停止した。そして、17年3月になると再び噴火が起きるようになったのである。 これまで、西南日本が位置するユーラシアプレートでは、フィリピン海プレートの影響を受けるだけで、太平洋プレートの影響を受けるとは考えられていなかった。しかし、上記のようにフィリピン海プレート自体の動きも太平洋プレートの影響を受けているし、ユーラシアプレートの火山活動にも間接的に関与していると思われる。「スーパー南海地震」は近い 次に「ステージ3a」であるが、表1に示したように、相対的に上にあるプレートで歪に耐えかねて、比較的大規模な直下型地震が発生する。1943年の鳥取地震、2008年の岩手・宮城内陸地震、16年の熊本地震、鳥取県中部地震などがこれにあたる。同年に韓国で起きた慶州地震、17年の浦項(ポハン)地震はユーラシアプレートの歪が大きく、通常、地震の少ない韓国においてすら活断層が活動したことを示している。また、フィリピン海プレートの圧縮を受けるフィリピン地震(17年)、台湾地震(18年)も同様なメカニズムによる地震である。 さらに、熊本地震を、東アジアという視点でみるならば、アリューシャン列島、カムチャッカ半島などから熊本を経てフィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島方面まで、同日に規模の比較的大きな地震が発生したことは意外に知られていない。この日の地震は熊本にとどまるものではなかったのである。 しかし、メディアは、熊本と大分に限定して地震の状況を発表していた。阿蘇山を挟んで西側と東側に震源を持つ地震は、日本最大の活断層である中央構造線と関係することは明白であった。放送する映像の範囲をやや広域にとるだけで、西は鹿児島県の川内(せんだい)原発が、東は愛媛県伊方原発が視野に入ってくるのを意図的に避けたと思わざるを得ない。現在の西南日本はこのステージに属する。 筆者が「南海トラフ地震」を「スーパー南海地震」と呼んでいるのは、フィリピン—台湾—琉球列島—南海—東南海—東海に広がるフィリピン海プレートとユーラシアプレートの接触する範囲全体を視野に入れているからである。1944年の昭和東南海地震(M8・2)や46年の昭和南海地震(M8・0)というプレート型地震の前に43年に発生した昭和鳥取地震(M7・2)や45年に発生した昭和三河地震(M6・8)などがこのステージにあたると考えられる。 東日本大震災の3年前に起きた岩手・宮城内陸地震や、その後の熊本地震、韓国の慶州(キョンジュ)地震、鳥取県中部地震、韓国の浦項地震などは、「スーパー南海地震」の前段階にあたる。ユーラシアプレートの歪は、すでに韓国南東部まで及んでいる。ゆえに、経験則によれば、「ステージ3a」からプレート型地震まではおよそ3年。「スーパー南海地震」は、2020年の東京五輪までに発生する可能性が高いのである。 次に「ステージ3b」をみてみよう。東日本大震災のように、太平洋プレートに引きずり込まれていた北米プレートが跳ねあがり、巨大地震と津波を生じさせるのがこのステージだ。西南日本では、1944年に昭和東南海地震、46年に昭和南海地震が発生したが、この時、東海沖地震は発生しなかった。長年にわたって東海地震が注目され続けたのは、これがいつか起きると想定されていたためである。 しかし、地震考古学者、寒川旭氏の研究によれば、南海地震、東南海地震、東海地震の3つが常に起きていたわけではないことが明らかにされている。南海、東南海しか地震が起きない場合と、全部が地震を起こす場合が交互に繰り返してきたらしい。この次は西南日本で少なくとも3つの地震が連動する可能性が高いという。 ただ、プレート型地震は揺れの周期が約5秒と長く、高層・超高層ビルは大きく揺れるが、一戸建住宅の倒壊は少ない。1944年の昭和東南海地震の場合、濃尾平野の南西端の最も軟弱地盤が約90メートルと厚いところでも倒したのは5~10%であった。プレート型地震の被害は津波によるものが大部分を占めるのである。見過ごしがちな前兆 そして「ステージ4a」は、現在の東北日本の状態である。陸側プレートの跳ね上がりにより、プレート間の固着域が少なくなり、海側プレートの沈み込む速度が速くなる。東日本大震災の場合、太平洋プレートの沈み込み速度は地震前の年間10センチから、年間30~40センチに加速した。そして、太平洋プレートは深さ200~500キロに到達し、溶けて大量のマグマが生成されている。 このステージでは火山の噴火が再び生じるが、今度の噴火はマグマが大量に生成されているために、噴煙が1万メートルの成層圏まで達する爆発的噴火になると考えられる。プレート型地震であった明治三陸地震(1886年)の後には会津磐梯山(1888年)が大噴火した。また、東北地方・太平洋地震の影響で、カムチャッカ半島から千島列島にかけてシベルチ山、クリュチュシュコア山、ベズイミアニ山、カンバルニー山、エベコ山など5つの火山が爆発的噴火を起こしている。 現在、東北日本では、浅間山、草津白根山、蔵王などで火山活動の活発化が認められるものの、まだ、本格的な火山活動は起きていない。しかし、これまでに観測されたM8・5以上のプレート型地震のほとんどで大規模な火山活動を伴っていることを忘れてはいけない。前述した熊本地震のように、日本という国の範囲だけで地震や火山活動などをみていると、重要なポイントを見過ごしかねないのである。草津白根山の本白根山が噴火し、火山灰で覆われた山頂付近=2018年1月、群馬県草津町 たとえば、1960年のバルデビア地震では地震の2日後に、コルドン・カウジェ山が、49日後にはペテロア山、54日後にはトゥプンガティト山、7カ月後にカルブコ山が次々と噴火し風下のアルゼンチンで大きな被害が生じた。また、2010年2月にチリ中部のビオビオ州で発生したマウレ地震(M8・8)でも、最大到達標高30メートルの津波が発生し、同年6月にはコルドン・カウジェ山、11年6月にはプジェウエ山、15年3月にはビジャリカ山、4月にはカルブコ山などが噴火し、巨大地震と火山活動との間に密接な関係があると推測される。 最後に「ステージ4b」では、太平洋プレートの沈み込み速度が数倍にも加速したことで、東側に続くプレートが追従できず正断層が生じる「アウターライズ型」地震が起きる。東北日本では、もう一度発生し大きな揺れとともに津波が発生する可能性がある。明治三陸地震(1896年)に対して昭和三陸地震(1933年)はアウターライズ型地震であった。巨大地震は予知できる この時は、37年と長い時間がかかった。しかし、インド洋大津波を起こしたスマトラ・アンダマン地震(2004年)の場合、8年後にアウターライズ型地震が生じている。東日本大震災から7年たち、カムチャッカ半島や千島列島で火山の爆発的噴火が起きている状況の中で、東北日本でアウターライズ型地震が発生するのは時間の問題であろう。 仮に、このアウターライズ型地震で津波が東京湾に来た場合、東京駅、有楽町駅、品川駅周辺や銀座、築地、豊洲をはじめ下町地域を中心に水没の恐れが高い。その範囲は群馬県館林まで及ぶ可能性がある。また地上から地下街や地下鉄への階段の傾斜は約30度であり、深さ10センの水が流入するだけで年配者や女性は手すりにつかまっても階段を登れない。30センチの水では屈強な青年男性でも階段を上ることは不可能となる。 大阪でも中心市街地は津波におそわれる地域である。また、東京ディズニーランドや大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン、名古屋のレゴランドなど多くの観光客が集まるところでの津波に襲われやすい場所での対策は極めて重要である。 これまでステージごとに関連性を見てきたが、巨大地震は突然起きるものではないことがわかるだろう。約2万人の人命を奪った津波が起きた東日本大震災の発生前に注目すれば、2008年6月に岩手・宮城内陸地震が発生。10年9月からは福島県中通りで、10月からは上越地方で直下型地震が頻発した。そして、11年3月9日から三陸沖を震源とした地震が連続的に起きていた。地元の研究者はこれが本震であると誤解しメディアを通して情報が流れた。 ところが、3月11日にM9・0の地震が起き、大規模な津波が東北地方太平洋岸を中心に発生したのである。また、宮城県栗原市で震度7の揺れが記録され、揺れは非常に広域に及んだ。しかし、その周期は約5秒と長かったため、地震そのものによる住宅倒壊は少なかったのだ。他方、臨海部の地盤沈下(約50センチ)と高さ21・1メートルの津波(最大遡上高43・3メートル)が生じ、臨海部で人口の1%から最大9%の死者と行方不明者が出た。東日本大震災 津波で流された住宅 =2011年3月、仙台市若林区(本社ヘリから) そしてその総数は約2万人を数えた。その後、震源は茨城県沖や福島県沖へと移動し、東京電力福島原発での事故などが問題をより深刻なものにしたのである。さらに、3月12日になると、震源は長野県北部や新潟県上・中越地方へと移っていった。このような震源の移動は、この地域で発生する地震のクセのようなものである。 東日本大震災はしばしば869(貞観11)年に似ており、千年に一度の地震であったと言われるが、1896年に発生したプレート型地震である明治三陸地震の場合も死者と行方不明者は約2万2千人であり、大船渡市綾里湾で津波の遡上高は38・2メートルであった。震災の規模としては明治三陸地震もよく似ている。決して千年に一度の地震ではない。 なお、1960年のチリ・バルデビア地震も、本震の前にM8・2とM7・9の地震が発生しており、突然、M9・5の地震が起きたわけではなかった。地震記録を詳細に検討すると95年の阪神大震災、2004年の中越地震、16年の熊本地震や鳥取県中部地震においても約60日前と、3日~半日前の2度にわたって、巨大地震と大地震の発生する地点で前兆となる地震がみられる。要するに巨大地震と大地震は突然起きてはいないのである。この前兆をつかまえることができれば、発生を予測・予知できるのだ。

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    もうすぐ「超巨大噴火」が起こる

    群馬県の草津白根山が噴火し、多数の死傷者が出る大惨事となったが、今度は宮城県と山形県にまたがる蔵王山でも噴火の可能性が高まった。現代科学をもってしても噴火予知は難しい。とはいえ、列島を揺るがす「超巨大噴火」はいつ起きてもおかしくない。非常事態が続く列島の地下で何が起こっているのか。

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    100年近く大噴火ゼロ「異常な時代」はもうすぐ終わる

    0年から始まった雲仙普賢岳の噴火は6年も続き、噴火の開始から1年たってから、当時戦後最大になった火山災害を起こしてしまった。火山から出てきた溶岩ドームが崩れて大きな火砕流を出し、43人が亡くなったのだ。つまり、この草津白根山の噴火がいつまで、どういう形で続くかは、現在の火山学では分からないのである。激しく噴煙を上げる御嶽山=2014年9月、長野・岐阜県境(甘利慈撮影) 噴火の規模はごく小さなものから巨大なものまで、とても範囲が広い。噴火の規模を示す指標はいくつかあるが、噴火の時に火口から飛び出したものの体積を立方メートルで表すのが一般的に行われている。火口から飛び出すものには、火山灰のほか、噴石、火山弾、溶岩などがある。火山弾というのは溶けた溶岩が飛び出して空中で固まったものである。 容積の指標の一つとしてよく使われる東京ドームは124万立方メートルあるが、その東京ドームで数えると250杯分以上だったものを「大噴火」という。実に3億立方メートルという途方もない量だ。ちなみに2014年の御嶽噴火は、東京ドームの半分ほどだった。つまり戦後最大の犠牲者を出した御嶽噴火でさえ、噴火としてはごく小さなものだったのである。 しかし、この「大噴火」は過去たびたび日本で起きてきた。記録がちゃんと残っている17世紀以降だと、日本のどこかで各世紀に4~6回の「大噴火」が起きてきた。起きた場所は九州や北海道が多かったが、その地域ばかりではなく、富士山や伊豆大島も「大噴火」を起こした。大噴火の「執行猶予」は明けていない ところが不思議なことに、20世紀の初めに2回の「大噴火」があった後、現在に至る100年近くはこの「大噴火」がないのである。その2回とは1914年に起きた鹿児島・桜島の噴火と1929年の北海道・駒ケ岳の噴火だ。この先いつまでも、日本で「大噴火」が起きないということはあるまい。残り80年あまりしかない21世紀に「大噴火」が4回ほどあっても驚かない、という火山学者は多い。 「大噴火」というものが不思議なほど起こらない、ある意味では「異常な時代」が続いているが、その状態が元に戻るきっかけが、もしかしたら東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)であったと考える根拠がある。 2011年に起きた東北地方太平洋沖地震はマグニチュード(M)9・0という、世界的にも珍しい巨大地震だった。この地震は広く日本の地下にある基盤岩を一挙に動かしてしまった。そのとき動いた量は、震源に近い牡鹿(おじか)半島で5メートルを超え、遠くに行くにしたがって徐々に小さくなっているが、それでも首都圏や富士・箱根の地下で30~40センチに達した。※写真はイメージ(iStock) 日本には太平洋プレートやフィリピン海プレートが4~8センチほど押し寄せてきているから地震も火山も多いのだが、プレートがゆっくり動いていた何年分もが、大震災で一挙に動いてしまったのである。 世界的に見てもM9クラスの巨大地震はこれまでに7回しか知られていないが、実は東日本大震災以外のすべてで、地震後に大きな噴火が近くで起きた。御嶽噴火や今回の草津白根山の噴火があったものの、まだ大きな噴火が起きていないのは日本だけなのである。 これまで世界で起きた例では、2004年のスマトラ沖地震(M9・3)の後、タラン山やメラピ、ケルート両火山などが地震後4カ月以降に起きているし、1964年のアラスカ地震(M9・2)後、3カ月以降にトライデント火山やリダウト火山が相次いで噴火した。 このほか、1960年のチリ地震(M9・5)、1954年のアリューシャン地震(M9・2)、1952年のカムチャツカ地震(M9・0)など、いずれも巨大地震の直後、早ければ数カ月以内、遅ければ数年以内に大きな噴火が続いた。 巨大地震から短くても数カ月、長ければ数年以上という時間の遅れがあるのは、プレートの動きや地下の岩盤の動きと直接関係するのが地震であるのに対して、火山活動は間接的なためである。プレートの動きが地下でマグマを作り、それが上がってくるのが噴火であるために遅れが生じる。その意味では、東日本大震災から7年たったとはいえ、日本はまだ「執行猶予期間が終わった」とは言えない情勢にある。富士山も知られていない噴火の前兆 次に、日本のどの火山が噴火するかは、現在の火山学では分からない。しかし、活火山だけでも110を超える日本では、いつ噴火してもおかしくない火山が多い。 いずれ噴火することが確かで、もし噴火したら首都圏、引いては日本全体や世界にも影響が及ぶ活火山に、富士山と箱根がある。ともに活火山の中でも噴火警戒レベルが設定されている38火山に入っているほどの活動度が高い活火山である。 それゆえ、これらの火山では密度の高い機械観測が行われているが、富士山の一番近年の噴火は1707年の宝永噴火で、箱根は1200年前が最後の噴火だから、噴火の前にどんな前兆があったかは知られていない。もちろん機械観測などなかった。 このように富士山や箱根で各種の観測が行われているが、観測データがどこまでいったら危ないのか、その閾値(しきいち)が分かっていない。富士山や箱根はいつ噴火してもおかしくない活火山なのを忘れてはいけないが、予兆の観測には全面的に頼れまい。三保松原から望む富士山=静岡市清水区 1995年に発表された草津白根山の火山防災マップでは、想定火口が湯釜に限られている。しかし今回の草津白根山で噴火した草津白根山の南部、本白根山は約3千年前から約1万年前まで、盛んに噴火していたことが火山地質学の調査から分かっている。これは1983年に発行された「草津白根火山地質図」で明らかになっていた。 ただ、歴史記録が残っている約300年間は、噴火はもっぱら草津白根山の北部、つまり白根山の山頂付近で小規模な水蒸気噴火ばかり繰り返し起きており、そこばかり警戒していて南のことは忘れていた。現行の防災マップでも、特定の火口で最近発生した小規模な水蒸気噴火だけしか示されていなかったのである。 人間にとっては3千年というのはとてつもなく古い歴史だが、火山や地球の物差しでみれば、ごく最近のことである。富士山の300年というのも、つかの間の休息かもしれない。M9の巨大地震の影響も、地球のスケールでは「すぐ後に引き続いて」起きるものなのだ。

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    「3・11」と連動する火山、 関東以北で高まる巨大噴火の現実味

    高橋学(立命館大環太平洋文明研究センター教授) 1月23日午前、草津白根山が突然噴火し複数の死傷者が出た。たしかにこの噴火、直前まで噴火するような前兆はみられなかった。防災科学研究所のHi-net地震観測システムでは、むしろ日光白根山付近で微細な地震が集中していた。 ただ、筆者は、草津白根山の噴火を2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と関連すると考えており、地震後に噴火する火山として、草津白根山の名前を常に挙げてきた。なぜなら、世界で発生したプレート型の巨大地震の後には、必ずと言っていいほど火山の巨大噴火が起きているからだ。 たとえば、2010年2月27日にチリ中部で起きたマウレ地震(M8・8)の場合、およそ半年後にプジェウエ・コルドン・カウジェ山が、2014年3月にはビジャリカ山、4月にはカルブコ山が巨大噴火した。2004年12月26日にインド洋大津波を引き起こしたスマトラ・アンダマン地震(M9・3)の3カ月後には、タラン山などが噴火している。噴煙を上げる草津白根山=2018年1月23日(被災者撮影) また、2011年東北地方太平洋沖地震と似ている貞観地震(869年7月9日)では地震津波と判断される堆積物の上に、「十和田火山灰」(915年)、さらには中朝国境の白頭山で噴火した白頭山苫小牧テフラ(946年)が堆積しており、地震と火山噴火との間に関係があると推測できるのである。そのため、筆者は東北地方太平洋沖地震後に火山噴火の注意喚起を機会あるごとに行ってきた。しかし、日本列島では火山噴火があまりみられなかった。 ところが、視野を広げカムチャッカ半島までみるならば、3年ほど前から、シベルチ山、クリュチュシュコア山、ベズイミアニ山、カンバルニー山、エベコ山など5つの火山が爆発的噴火を起こしている。2017年12月20日には、ベズイミアニ山が巨大噴火し噴煙の高さは上空1万5000メートルの成層圏まで達したのである。 東北地方太平洋沖地震は、北米プレートの下に太平洋プレートがもぐり込んでおり、その圧力に抗して北米プレートが跳ねあがり発生したものである。地震前には北米プレートの摩擦で、太平洋プレートの移動速度は年間約10センチであった。これに対して、地震後には北米プレートの摩擦が減少し年間30~40センチへと速度を増した。しかも太平洋プレートは地下深くにおいて溶けマグマが大量に生産されている。「草津」は巨大噴火の始まり 北米プレート上の火山は軒並み巨大噴火の準備ができつつある。そのため、関東地方以北の火山は、いつどれが噴火してもおかしくなく、その噴火は巨大噴火・大噴火になりやすいのである。今回の草津白根山の噴火はその始まりに過ぎない。 筆者は、よく、マスコミからどの火山が噴火しそうかという質問を受けるが、今回の場合は、マグマの生産されている場所が線状なので、単体の火山の噴火にとどまることはなく、既存の火山の火口はもちろん、それ以外の場所から噴火する可能性がある。しかも、マグマが大量に生産されていることから、一度噴火が起きれば長い期間継続する。そして、火山灰などは風下の数千キロに達することもある。 西南日本の桜島、霧島、阿蘇山などの火山は、ユーラシアプレートに位置しており、現段階では、直接的にはフィリピン海プレートの、間接的には太平洋プレートの圧力でマグマ溜まりに存在しているマグマが噴出してしまえば休止する一過性の噴火をしており、その規模も大きくない。これに対し、関東地方以北の火山は、地下深くにおいて太平洋プレートが溶けて大量にマグマが生産され続けているため、継続的で大規模な噴火になりやすいのである。 噴石や溶岩の流出など噴火した火山の周辺に直接的に被害をもたらすだけではない。噴煙が1万メートルを超えるような場合には、火山噴出物が成層圏にまで到達し、地球を覆い太陽からのエネルギーが地球に到達するのをさえぎる「パラソル効果」により、地球の気温を数度低下させることも考えられる。 1783年には、浅間山の噴火が旧暦4月9日(新暦5月9日)に始まり、7月7日(同8月4日)夜から翌朝にかけて最盛期を迎えた。また、同年3月12日には岩木山が噴火(4月13日)。さらにはアイスランドのラキ火山の巨大噴火とグリムスヴォトン火山の噴火が起きた。これらにより、日本では天明飢饉、ヨーロッパでもフランス革命のきっかけとなった「パンよこせデモ」などが生じた。18世紀末は、ただでさえ「小氷期」と呼ばれる寒冷期であったのに、火山噴火はそれに輪をかけたのである。※写真はイメージ(iStock) また、浅間山から大量に噴出した火山灰は、利根川本川に大量の土砂を流出させ、1783年の水害、1789年の水害などを起こした。直接、火山噴出物に覆われなくとも河川の洪水によって下流側で被害が起きる場合もある。 一方、1985年のコロンビアのネバドデルルイス火山の噴火では、山頂付近の雪氷が融けて濁流となって谷を流下し、約100キロ離れたアルメロの街を泥流が襲った。アルメロのほぼ全域がラハールと呼ばれる泥流に飲み込まれた。しかもそれが深夜であったため、人口約2万5000人のうち、2万1000人が生き埋めとなり命を落としたのである。積雪期の火山噴火は雪崩やこのようなラハールの危険性もともなう。 悲劇は火山噴火にとどまらない。太平洋プレートの沈み込み速度が、2011年の地震以前の数倍にも加速した。そのため、東側に続くプレートが追従できず、太平洋プレートの内部で正断層ができ、東北日本を中心に、もう一度、巨大地震が発生し津波が起きる。これがアウターライズ型地震である。明治三陸地震(1896年)に対して、昭和三陸地震(1933年)はアウターライズ地震であった。この時は、37年と長い時間がかかったが、インド洋大津波を起こしたスマトラ・アンダマン地震(2004年)の場合、8年後にアウターライズ型地震が生じている。 東北地方太平洋沖地震の発生から7年がたち、カムチャッカ半島や千島列島で火山の爆発的噴火が起きている。アウターライズ型地震が発生したり、火山の巨大噴火が連続的に起きたりするのは時間の問題である。

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    日本列島が「火山活動期」に突入したとは言えない理由

    ために、第四紀(約260万年前から現在まで)に活動した火山をインターネットで確認いただきたい。図2:災害や事故の「危険値」 もう一つ「覚悟」しておかねばならないことは、「巨大噴火」や「超巨大噴火」も将来必ず起きることである。地震や噴火の規模と頻度には逆相関関係があり、大規模なものの発生確率は低くなる。一方で、規模が大きくなるとその被害は劇的に増大する。例えば今後100年の発生確率が1%といわれる「巨大カルデラ噴火」は、最悪の場合1億人以上の被害者を出す。災害や事故に対して覚悟を持って対応するには、被害者数に発生確率を乗じた「危険値」が参考になろう。

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    日本の山が美しい本当の理由

    柳原一信 (ウェブマガジン『山旅々(やまたびたび)』編集担当)『山旅々』編集者の「山旅のすすめ」(2) 『日本の山は美しい』。こう思うのには2つの理由があります。それは大きく俯瞰して、山を縦に観察したときと横に観察したときの景色の豊かさによるものです。このことは日本だからこそ生じる事象で、それに気づいていない方々が多いように思うのです。(画像:istock) 今回は日本における自然美を改めて知ることで、ハイキングでも登山でも……歩くことが厳しければ遠くから山を眺めるのでもいいから、より日本の山を、ひいては日本という国を愛でていただければと思うのです。山を縦に観察してみる 登山をする人にとっては身近なお話になるかもしれませんが、改めて知ってみると「なるほど」と思っていただけるように、世界全体を眺める中で、日本の山を抜き出して縦に観察してみたいと思うのです。 縦に観察するというのは標高という考えに則って景色の豊かさを見てみようという試みです。 まずはじめに、あたり前のお話になりますが山では高く登るほど気温が低下します。そのため、気温に応じた植生の配列ができあがります。100メートル登ると0.6度下がると言われておりますから、下界が気温30度の季節に約3,700メートルの富士山の頂上は、凄く大雑把ですが気温8度程となる訳です。だから山に登れば登山口から登頂を果たすまでに様々な植物に巡りあうというのも不思議ではありません。 日本アルプスなどの山に高山植物が分布しているということも、誰も不思議と思わないのではないでしょうか?けれども世界規模で日本の山を観察すると、ずいぶんと南に位置する日本列島にある山で、しかもそれほど標高もない山に高山植物がたくさんあるというのは非常に不思議なことのようなのです。 『森林限界』という言葉を耳にしたことがありますでしょうか? 森林限界というのは名前の通り、気候が寒冷になって樹木が生育できない限界線のことをいいます。これを越えると高山帯といってハイマツやさまざまな高山植物が生息する場所になるのです。この森林限界は南北に長い日本列島ですから北海道では1,600メートル付近、本州中部では2,600メートル付近と、同じ日本なのに違いがあるのも面白いところです。北海道ではそんなに高く登らなくても高山植物を楽しめるんですね。 この高山帯と呼ばれる場所に僕たちは高山植物を見るわけですが、何故それが不思議なことなのかを紐解いていきたいと思います。 この高山帯と言われる場所を歩いているとハイマツを多く見かけます。しかしながら全てをこのハイマツが覆いつくしているかと言われるとそうではないのです。まだら状に分布しているんですね。これには理由があって、それこそが日本ならではの条件が及ぼす結果なんです。 日本の冬山を登ったことがある人であればよくわかると思うのですが、日本の山々は世界一の多雪地域にあるんです。日本海に流れ込む対馬海流が水蒸気を盛んに上げ、この水蒸気をシベリアからの冷たい季節風が雪に変え、その雪が山地に積もるという、日本列島という場所だからこそ生じる現象で、緯度から想像するより多雪なんですね。 このシベリアからの季節風とヒマラヤ山脈の方から流れてくるジェット気流によって非常に強風であるというのも日本の冬山を厳しくしている原因のひとつで、多雪・強風という自然現象によってハイマツの分布が形成されているようです。火山大国日本だからこそ ハイマツを雪が覆う事で厳しい冬の環境からこの植物を救い、夏の時期に雪が解けてハイマツが顔を出すことが出来れば光合成ができ生きていける。いわゆる雪が多すぎても少なすぎても生きていけないんですね。ちょっと脱線しますが、こういう事象からハイマツの背丈というのが冬の雪の深さを推定することができるともいえて、夏場歩いていて冬場の積雪を想像することができるのも面白い趣きかと思います。 このようにハイマツが生きていけない土地が空くと、コマクサ・チングルマ・ニッコウキスゲ・ハクサンチドリといった別の高山植物が分布することになります。これが私たちがみる高山植物なんですね。ハイマツが生きていけないような場所に分布している高山植物ですから、とにかく悪条件に耐えて生活しているといえます。ハイマツも高山植物も僕たちは大事にしなければなりません。 このように強風・多雪環境にある日本だからこそ生まれることが出来た高山植物であり、更に強風地や残雪周辺、やや風の弱い場所やハイマツ群落の周辺……というように土地の違いによって生育する植物の違いが見られ、このことが日本の山を美しく魅せている要因なんです。 また夏場でも雪渓が残る山を見ると緑と白のコントラストが美しい。白馬岳・蝶ヶ岳・爺ヶ岳など雪渓や植物に因んだ山の名前があるのも不思議ではないと感慨深くなります。 横に観察するというのは山単位で景色の違いとその豊かさを見てみようという試みです。 火山大国日本だから地震もあり温泉もあり……悪いことがあれば良いこともあると毎度のように思うのですが、このように植生が豊かなひとつの原因に火山というのはあると思うんです。火山が噴火すればそこに生きていた植物はリセットされる。その空いた土地に飛んできた種子が宿る。そういう長い歴史の中で日本列島という島国の中に様々な景色を彩ってきた。これもまた日本の山を美しくしている現象のひとつだと思います。 そして面白いのは地質の違いです。地質学者ではないので詳しい事はここでは省きますが、山を歩いているとひとつの山の中にも様々な地質の違いによって形成される地形の違いを見出すことができます。南アルプス最高峰、3193メートルの北岳=山梨県南アルプス市 例えば先日南アルプスの北岳に登ってきたのですが、北岳肩という山小屋のある場所までは高山植物を楽しみながら、なだらかな尾根道を歩いていくのですが、肩の小屋に着いて、小屋の背後に目を移すと北岳山頂までの景色が見渡せるのですが、それまでのものとは全く違う様相となるのです。これは明らかに地質がこの肩の小屋から変わっているからで、山頂までの道のりを飽きないものにしてくれる日本の山の面白さに感動するんです。 このようにわかり易い地形の違いも面白いですし、なだらかな稜線で時折見ることのできる地質の違いによる斜面の彩りもまた非常に美しいものがあります。 今まで行った山は数限りなくありますが、ひとつたりとも同じような山というのに出会ったことがありません。奥多摩の山、奥武蔵の山、丹沢の山、北アルプス、南アルプス……こういう山域で考えても様相は異なりますし、奥多摩の山の中でも雲取山・川苔山・鷹ノ巣山……と山単位で見てみても違いを感じることができます。 いつだったか、登頂を目指そうとする文化は日本ならではのものと聞いたことがあります。海外ではロングトレイルという言葉があるように登頂を目指すのではなく山々を眺めながらひたすらに長いトレイル(山道)を歩いていく、そのような山の楽しみ方があります。 これは登頂を目指すことの面白さ、いわゆる景色の美しさや植生の違いを楽しめる魅力が日本の山にはあるとも言えるのではないでしょうか。またそれが山々によっても違う。急峻な山もあれば、なだらかな山もある。こんな特殊な自然を楽しめる日本という国を今一度見直してみて、山を楽しむ視点を1つ、2つ加えていただければと思います。やなぎはら・かずのぶ ウェブマガジン『山旅々(やまたびたび)』編集担当。登山に出かけ、その山に属する町・食・人を知る『山旅』を楽しむ。背景にひそむ歴史や文化を知ることで旅路に奥行きある時間を作ることが好き。趣味は登山以外にトレイルランニングやテンカラ釣り、キャンプとアウトドア全般を楽しみ、遊びのスタイルやアクティビティに関する様々な情報発信している。

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    草津白根山噴火 温泉キャンセルを風評被害と断じるのは早計

    「今回の噴火は“序章”にすぎないといえるでしょう。東日本の火山はこれから大規模な活動期に入っていくと考えられます」──高橋学・立命館大学環太平洋文明研究センター教授は1月23日に起きた草津白根山の噴火を受け、そう語った。 同山付近にある草津国際スキー場で訓練をしていた陸上自衛隊の隊員1人が噴石の直撃を受け死亡、観光客も含め11人が重軽傷を負った(1月25日時点)。噴火に先立ち、監視にあたっていた気象庁で異変は感知されなかった。気象庁担当記者がいう。「噴火口は従来から警戒監視を高めていた湯釜ではなく、2km南にある鏡池付近で“3000年間は噴火していない”とされてきたエリア。近年では火山性地震が増加した2014年に警戒レベルを1から2に引き上げたものの、昨年6月には1に戻されていた。火山活動が高まったことを示す観測データもなかった」 地元の草津温泉には安全確認の問い合わせとキャンセルの連絡が相次ぎ、動揺が広がっている。一方、草津温泉観光協会は「規制対象は火口から半径2kmで温泉街は5km以上離れています。噴石なども確認していません」と安全を強調する。だが、火山活動の活発化が近隣の温泉地への客足を鈍らせるのは間違いない。 2015年6月に小規模な噴火があったとして噴火警戒レベルが3に引き上げられた箱根山。その際に箱根温泉では年間の宿泊客数が約460万人から約360万人へと100万人も減った(2015年)。(画像:istock) 草津温泉は箱根に比べ旅館の経営規模も小さく、打撃はより深刻になる。すでに草津の旅館関係者は「いくら安全だと訴えても、客足は遠のく。リストラもやむをえなくなるだろう」と肩を落としている。 ただ、これを“風評被害”と断じるのは早計だろう。2014年に起きた御嶽山の噴火では、秋の紅葉シーズンに足を運んだ登山客58人が犠牲となった。2週間前から火山性地震が増加するという“予兆”があったが、警戒レベルが事前に引き上げられることはなかった。 予知に限界があるのは致し方ないが、観光客が集まる場所・季節だからこそ、「リスクを過小評価してはならない」という教訓が残された。 だからこそ高橋氏は「警戒レベルが1でもゼロでも、兆候と考えられる動きがあれば広くアナウンスされるべき」との姿勢を取る。関連記事■ 驚異の的中率MEGA地震予測、2018年の警戒地域は■ 登山中の噴火避難術 谷や沢沿いの移動は避け尾根伝いに下山を■ 地震・火山「予知ムラ」 税金250億円使い成果ゼロの言い訳■ 「M9巨大地震から4年以内に大噴火」 過去の確率は6分の6■ 東日本大震災との連動噴火 吾妻山の危険性を監視センター警鐘