「セカンドレイプ」はなぜ起きる?
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「セカンドレイプ」はなぜ起きる?

派遣型マッサージ店の女性に性的暴行を加えたとして、強制性交容疑で俳優の新井浩文容疑者が逮捕された事件は、きょう拘留期限を迎える。起訴か、不起訴か、捜査当局の判断にも注目が集まるが、一方で被害者の側に立てば性的二次被害、いわゆるセカンドレイプの問題も出てくる。なぜ後を絶たないのか。

派遣型マッサージ店の女性に性的暴行を加えたとして、強制性交容疑で俳優の新井浩文容疑者が逮捕された事件は、きょう拘留期限を迎える。起訴か、不起訴か、捜査当局の判断にも注目が集まるが、一方で被害者の側に立てば性的二次被害、いわゆるセカンドレイプの問題も出てくる。なぜ後を絶たないのか。

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性犯罪者の「無罪放免」許せるか

 俳優の新井浩文が2月1日、強制性交容疑で逮捕された。多くの映画やドラマに出演する人気俳優だけに、捜査の行方に注目が集まっている。これに限らず、準強制性交容疑などで5回逮捕された慶応大生が不起訴になった事件でも物議を醸した。性犯罪事件が不起訴処分に終わるケースが最近、後を絶たないのは気のせいか。むろん、性犯罪被害者の苦しみは想像に難くなく、こうした報道に触れるたび、自らの性欲や支配欲のために、卑劣な罪を犯す加害者の身勝手さに悔しさと怒りがこみ上げてくる。しかも、加害者が不起訴となってしまえば、「無罪放免」も同然なのだから。
最高裁判所の石標=2009年10月、東京都千代田区
最高裁判所の石標=2009年10月、東京都千代田区
 強制性交容疑事件の起訴率は32%(検察統計、平成29年)だが、そもそも性犯罪は潜在化しやすい。内閣府が実施した「男女間における暴力に関する調査」(平成29年)によると、「無理やり性交等された被害経験」を有する人のうち、誰にも相談しなかった被害者は56%に上り、一方で警察に連絡・相談した被害者はわずか3%にとどまった。
 また、加害者側から示談の申し入れがあった場合、被害者は告訴するか、示談するかの間で選択を迫られることになる。加害者側の弁護を担当したことがある有原大介弁護士は「示談はお金だけというイメージが強いかもしれませんが、二度と被害者に近づかない、といった様々な誓約を交わします。二度と自分に近づいてほしくない、再犯しないでほしいという被害者の強い思いも背景にあります」と述懐する。
 「理想としては刑事裁判で加害者が有罪となり、被害者に慰謝料が支払われることですが、そんなケースは1%にも満たないかもしれません」。そう語るのは、性犯罪被害者の支援活動に取り組む望月晶子弁護士だ。性犯罪は立件するのが難しく、捜査や裁判の時に精神的な苦痛を受けるセカンドレイプ(性的二次被害)などの問題も多い。「自己責任」を問う声や「女性はこうあるべき」との固定概念が被害者を苦しめることもあるだろう。
 望月弁護士は言う。「お金をもらうことに対して抵抗感のある被害者も多いが、あなたが傷ついたことに対する賠償であり、お金をもらうことは恥ずかしいことではなく当然の権利であるという話をします」。仮に高額な慰謝料を受け取っても、一度深い傷を負った被害者がそれに納得し、加害者を許すことは決してないという。
 また、起訴のハードルを高くしているのが、強制性交罪の成立要件である「脅迫・強制」であり、撤廃や緩和を求める声は根強い。性犯罪においても「無罪推定」の原則に従って公判が進むだけに、暴力や脅迫を用いて無理やり性交が行われたかどうか、その細部まで立証していくのは難しい。当然、恐怖や加害者との関係性から抵抗できない場合も多々あり、こうしたケースの立証はさらに困難を極める。
 その一方で「出会い系サイトなどで出会った女性と同意があった上で性行為を行ったにもかかわらず、訴えられて被疑者扱いされてしまう、いわゆる『美人局(つつもたせ)』の手口による相談もあります」(有原弁護士)といった事例も少なからず起きており、「脅迫・強制」の撤廃や緩和でえん罪を助長する可能性も指摘されている。
 2017年、110年ぶりに性犯罪の厳罰化などが盛り込まれた法改正がなされ、2020年にはその見直しが行われる。残された課題をどう解決すべきか。今こそ真剣に向き合うべきだろう。(iRONNA編集部、川畑希望)

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