誰がための米朝首脳再会談
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誰がための米朝首脳再会談

朝鮮半島の非核化プロセスは本当に描けるのか。昨年6月以来、2度目となる米朝首脳会談がベトナムの首都、ハノイできょう始まる。初会談はただの「政治ショー」に終わったが、目先の成果を急ぐ余り、両首脳が演出と妥協で交渉を進展させる可能性もある。誰がための会談か、その意味を改めて考えたい。(写真は共同)

朝鮮半島の非核化プロセスは本当に描けるのか。昨年6月以来、2度目となる米朝首脳会談がベトナムの首都、ハノイできょう始まる。初会談はただの「政治ショー」に終わったが、目先の成果を急ぐ余り、両首脳が演出と妥協で交渉を進展させる可能性もある。誰がための会談か、その意味を改めて考えたい。(写真は共同)

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ベトナム開催の思惑

日本外交の正念場でもある

 2月27、28日に2度目の米朝首脳会談の開催が決まった。北朝鮮の非核化は進展するのか、日本にとって拉致問題の進展につながるのだろうか。
 トランプ米大統領はこれまで大統領選での公約を実行してきたが、北朝鮮問題は大統領選当時、米国民に意識されていなかったので争点にならず、公約はない。その意味で動きが読みにくい。ただ、米国の歴代政権は北朝鮮に軍事オプションなしの宥和策を取ってきたために、北朝鮮が核兵器や大陸間弾道ミサイルをほぼ手中にするまでになった。米国にとってここ1、2年が正念場であることをトランプ氏は分かっているだろう。
 これまでのトランプ政権は、北朝鮮の非核化が達成されるまで最大限の圧力をかけるというセオリー通りの行動だった。その戦略がここに来て変化があるのかもしれない。トランプ氏が交渉の成果を求めているという声ばかりが聞こえてくる。
画家のチャン・ラム・ビンさんが描くトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の肖像画=2019年2月23日、ハノイ(共同)
画家のチャン・ラム・ビンさんが描くトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の肖像画=2019年2月23日、ハノイ(共同)
 日本にとって最悪のシナリオは、北朝鮮は米国の領土に到達する核兵器を廃棄するが、それ以外には縛りがないという状況だ。中距離核については、米露の協定が破棄された。米露だけでの協定では意味がないからだ。少なくとも米露中で新たな合意策でもあればいいのだが、そうした兆候はない。こうした世界情勢では、北朝鮮の中距離核だけを規制しにくいのが現実だ。
 日本としては、北朝鮮の非核化について何らかの関与をしたいところだ。非核化には多額の費用がかかるので、極東アジア諸国も相応の負担を求められるかもしれない。日本は積極的に応じるという選択が適切であろう。軍事力のない日本でも経済力で補うことで北朝鮮の非核化に関与できるからだ。その延長線で北朝鮮の中距離核の非核化までを展望すべきであろう。
 そうした日本の関与は結果として拉致問題への取り組みにも役に立つだろう。日本は米国頼みで北朝鮮問題を解決するのは無理であり、相応のリスクと負担を持って、当事者として対応しなければいけない。
 その意味で、日本は今厳しい立場である。北朝鮮問題を抱えつつ、北方領土問題を解決してロシアと平和条約の締結という戦後処理の最難問を処理しようとしている。北方領土問題の背景には、1956年の日ソ共同宣言後のいわゆる「ダレスの恫喝(どうかつ)」があった。「沖縄を返さない」と当時のダレス国務長官に恫喝され、日本は「四島返還」を主張せざるを得なくなった。これは国際常識からみても無理筋なので、米国の思惑どおり、日ソ間で交渉は実質的に行われないまま70年近くが過ぎた。この時間を安倍晋三政権は取り戻そうとし、ようやく「脱米」に近づいている。安倍首相との個人的なつながりのあるトランプ氏は別としても、米外交筋にとって日本が独自外交でロシアと平和条約交渉するのは面白くない。
 このためか、今回の米朝会談では日本への事前相談は少ないようだ。そうした意味でも北朝鮮問題は日本外交の試金石だといえる。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 zakzak 2019.2.14

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