
7479
テレビ局いじめ? 首相の反撃が始まった
国民の共有財産である電波利用料の引き上げが決まった。増額は携帯大手が2割、NHKと民放キー局が5割とそれぞれ大幅な負担増となる。これまで利用料は3年ごとに見直されたが、今回は1年前倒しとなった。「テレビ局いじめ」「安倍政権の反撃」といった意見も聞かれる中、公共電波の意味を改めて考えたい。
国民の共有財産である電波利用料の引き上げが決まった。増額は携帯大手が2割、NHKと民放キー局が5割とそれぞれ大幅な負担増となる。これまで利用料は3年ごとに見直されたが、今回は1年前倒しとなった。「テレビ局いじめ」「安倍政権の反撃」といった意見も聞かれる中、公共電波の意味を改めて考えたい。
「権力監視」の勘違い

メディアの役割は「権力を監視すること」だと勘違いしている、新聞やテレビの関係者や、ジャーナリストが日本には多いようだ。
国政選挙で誰に投票するかなどの重要な判断を下すとき、メディア情報を参考にしない人はいない。だから、「メディアも監視すべき権力の1つ」というのが現代人の常識である。そんな常識すらない人々がジャーナリストを自称して、メディアの強大な権力を使える現状は、日本社会の不安要素の1つといえる。
日本や米国のような民主主義国のメディアに課せられた役割は、「取材した事実をそのまま国民に伝えること」だけである。事実に対する善悪や正誤、許せる許せないなどの判断を下すのは、主権者たる国民の役割だからだ。
従って、メディアは国民に伝える事実を政治的目的で選別したり、バイアス入りの脚色を付けて伝えるべきではない。そのような「印象操作」や「世論誘導」は、メディアが「活動家」として行ったプロパガンダと見なされる。テレビ局の歴史番組制作スタッフに「反日組織の活動家」がいるという情報がネット上では話題だ。実名と顔写真も出ている。今後の展開に注目したい。
メディア関係者は、その事実が国民の視点から見て重要か否かを、編集権行使時の最大の基準にすべきだ。権力に好都合か不都合かを基準に入れると、必ず政治的なバイアスが出る。新聞は倫理上の問題だけだが、テレビなどの放送局がやれば放送法違反である。
北朝鮮や中華人民共和国(PRC)のような独裁国の場合、権力に不都合な事実を、メディアが国民に伝えるのは困難だ。北朝鮮の女性アナウンサーがそれをやれば、最悪の場合は死刑になる。これが本物の「報道の自由の侵害」であり、「国民の知る権利」が不満足な状態である。
日本のメディア状況は、独裁国家の真逆ともいえる。安倍晋三政権にとって不都合な情報は針小棒大に報じるが、好都合な事実は可能な限り国民に伝えない。加えて、外国政府やスポンサー、組織的クレーマーに対しては、異常に気を使って「自己検閲」を行う。その結果、「国民の知る権利」が不満足という点でいうと、日本のメディア状況は北朝鮮やPRCと大差ない。
例えば、沖縄の「米軍基地運動」や「琉球独立運動」の背後に、大陸や半島の影が見えている事実は、産経新聞など一部のメディアしか報じない。自民党の杉田水脈衆院議員が提起した「科学研究費」(科研費)の問題もある。審査が適正だったか疑問が指摘されているのだ。
私は日本国民ではないが納税者だ。メディアによる「取材と報道」を実施してほしい。(ケント・ギルバート「ニッポンの新常識」zakzak 2018.06.02)