「弱肉強食」新冷戦で喰われるニッポン
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「弱肉強食」新冷戦で喰われるニッポン

東西冷戦終結から30年。今や米国と中国の対立が激化し、「米中新冷戦」時代に突入したと言われる。米中の覇権争いと、その裏でうごめくロシア。国際秩序は崩壊状態といっても過言ではなく、国家間のパワーバランスの変化も目まぐるしい。この混迷を読み解けば、日本が乗り越えるべき試練は自ずと見えてくるのではないか。

東西冷戦終結から30年。今や米国と中国の対立が激化し、「米中新冷戦」時代に突入したと言われる。米中の覇権争いと、その裏でうごめくロシア。国際秩序は崩壊状態といっても過言ではなく、国家間のパワーバランスの変化も目まぐるしい。この混迷を読み解けば、日本が乗り越えるべき試練は自ずと見えてくるのではないか。

根底にある「不信感」

次のステージは金融戦争

「平和を祈る」は通用せず

問われる自由主義の価値

 100年前の6月28日、第一次世界大戦後のパリ講和会議の結果、ベルサイユ条約が調印された。その舞台となったべルサイユ宮殿の鏡の間は、クリスタルのシャンデリアが煌めき、壁に埋め込まれた大きな鏡が窓から射し込む陽を部屋中に明るく照らす。かつてドイツ皇帝ヴィルヘルム一世の即位に際してドイツ帝国の成立が宣言された場所でもある。
 第一次世界大戦に敗れたドイツは、そのような歴史的な場で、自国に過酷な賠償を課すべルサイユ条約に調印させられた。
 日本が大国の仲間入りをして初めてヨーロッパの国際会議に招かれたのもこのパリ講和会議であった。だが日本は、十分な語学力と国際政治への深い造詣を兼ね備える人材に乏しく、蚊帳の外に追いやられてしまう。会議を主導したウィルソンは、恒久的平和と政治的・経済的な自由主義体制の実現を目指し、国際連盟の設立・東ヨーロッパ諸国の独立を取り付けるが、その後の日本は国際社会の潮流に逆行して帝国主義に走り、国際連盟を脱退して第二次世界大戦に突入する。
 奇しくもべルサイユ条約調印日からちょうど100年が経った今年の6月28日は、大阪において日本主催の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開催された。舞台をヨーロッパから日本に移し、国際協調を基礎として37の国と国際機関の首脳・代表を自国に招き国際会議を主導する光景は、100年前のパリ講和会議に参加した西園寺公望をはじめとする日本の代表団には想像すらできなかったかもしれない。のみならず、かつては自由主義的精神を尊重した米国はいま自国第一主義に陥り、英国ではブレグジット(EU離脱)を扇動したボリス・ジョンソンがついに首相となった。5大国の一員である中国、ロシアは権威主義体制を敷いており、国連5大国のうち4カ国が自由主義的精神から遠のき、もはや自由主義は普遍的な価値とは言えなくなってしまったかにも見える。
 「自由民主主義の勝利」に歓喜した冷戦終結から30年、新冷戦時代とも言われるが、果たして国際秩序はいかに変容したのか。(山本みずき)

専門家はどう見る?

「黄禍論」と「待望論」

日本の役割

「弱肉強食」新冷戦で喰われるニッポン

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「新冷戦」時代に日本が取り組むべき最も重要なものは3つのうちどれだと思いますか?

  • 防衛力の強化

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  • 経済力の強化

    36

  • 交渉力の強化

    18