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「N国」が日本の政治をぶっ壊す⁉
立花孝志氏率いる「NHKから国民を守る党」が勢いづいている。これまでの選挙戦ではメディアから「泡沫候補」扱いされたが、先の参院選で議席を獲得、政党要件まで満たし、一定の地位を確立しつつある。ユーチューブを駆使した戦略に戦々恐々の既成政党。立花氏がぶっ壊すのはNHKより、日本の政治かもしれない。
立花孝志氏率いる「NHKから国民を守る党」が勢いづいている。これまでの選挙戦ではメディアから「泡沫候補」扱いされたが、先の参院選で議席を獲得、政党要件まで満たし、一定の地位を確立しつつある。ユーチューブを駆使した戦略に戦々恐々の既成政党。立花氏がぶっ壊すのはNHKより、日本の政治かもしれない。
NHKと戦う「手段」
NHKから国民を守る党(N国党)に丸山穂高衆院議員が入党した。渡辺喜美参院議員はN国党の立花孝志代表と参院で統一会派「みんなの党」を結成した。N国党は、受信料を払った人だけがNHKの放送を視聴できる「スクランブル化」を求めるワンイシューの政党だが、国会で存在感を発揮することができるのだろうか。スクランブル化について、石田真敏総務相は「NHKの基本的な性格を根本的に変えて、(公共放送と民間事業者の)二元体制を崩しかねない」と否定的な考えを示している。

NHKから国民を守る党の立花孝志代表。
新会派「みんなの党」を結成する
国会の議員会館にはテレビが備えられており、NHK受信料は各事務所が契約し支払っているが、N国党の立花代表は「踏み倒す」と公言している。こうした事態に対し、NHKは「NHKを見なければ受信料は支払わなくてもいい」との発言に対して「法律違反を勧めることになる」と非難し、「明らかな違法行為などについては、放置することなく、厳しく対処する」としている。
問題は、現行法にどのように対処すべきか、その上で、現行法を改正するならどうすべきかだ。とりあえず、議員会館での立花代表の部屋のテレビをどうするか。これは現行法上の問題であるが、公言している通りに受信料を払わなければ、NHKは法的措置をとるだろう。この段階で、立花代表の行動は世間の関心を集めることになる。
一方、スクランブル化は放送法などの法改正が必要だ。法改正のためには、衆院では20人以上、参院では10人以上の賛成により国会に改正案を提出し、その後、国会で成立させる必要がある。いずれにしても、法改正のハードルはかなり高く、まずはN国党だけでなく、国会内で一定の賛同者を集める必要がある。ということになると、N国党が政策で支持を集めるためには、議員を入党させる方法以外に、国会内で院内会派を組むというのは戦術上有効な手段である。
なお、院内会派に対しては、「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」により議員1人あたり月額65万円の立法事務費が交付される。国会での構成単位はあくまで会派であり、政党ではない。会派が議会活動をするので、会派所属議員数により、委員会の議席数や、発言・質問の時間配分などが左右される。法改正のためには、会派は多い方が有利である。
政治は理念をうたうとともに、実行と結果が必要だ。N国党が政策実現に向けて、どのように動くか、民主主義の一つのやり方に注目したい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 zakzak 2019.08.03)