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ちょっと待った! ヘイトスピーチ罰則化
ヘイトスピーチ解消法の施行から3年。川崎市がヘイトスピーチに刑事罰を盛り込んだ全国初の条例制定手続きを進めている。そもそも解消法は、賛否が渦巻く中で罰則のない「理念法」として制定された。「法律の範囲内で条例を制定することができる」とする憲法94条違反への懸念もあり、山積する課題を乗り越えられるのか。
ヘイトスピーチ解消法の施行から3年。川崎市がヘイトスピーチに刑事罰を盛り込んだ全国初の条例制定手続きを進めている。そもそも解消法は、賛否が渦巻く中で罰則のない「理念法」として制定された。「法律の範囲内で条例を制定することができる」とする憲法94条違反への懸念もあり、山積する課題を乗り越えられるのか。
排除は思わぬ反発を生む
4月1日、ツイッターで「ダライ・ラマ14世が来日されました」という変な投稿が流れたんだ。簡単にいうとウソ情報、いわゆる「フェイクニュース」みたいなものだ。投稿した本人は「エープリルフール」のジョークのつもりだったかもしれないが、ボクはダライ・ラマのことを積極的に支援しているから、こんなウソ情報が飛び出してくるのかと仰天したよ。

事実に基づかないフェイクニュースについては、マレーシアで罰則を強化する法案が可決されたというニュースが出ていた。「悪意」を持ってフェイクニュースを発信した人に対して罰金や禁錮刑を科すというものだ。
欧州でもドイツがサイト運営者にフェイクニュース消去を義務付けて、違反した場合には巨額の罰金を科す法規制を導入している。
ただスピード感のある適用はできないだろう。発信者に罰則を下すといっても、明確に嘘や悪意が確認できないといけないからね。投稿そのものは削除できても、投稿したアカウントの人物を特定するのも難しいはずだ。
今後もこうしたネット投稿を監視する動きは世界各地で厳しくなっていくかもしれないが、ボクとしては厳格化しすぎても問題が起こるんじゃないかと思っている。確かにボクもフェイクニュースに迷惑したことはあるけど、過度に取り締まろうとすると検閲につながりかねない。
ネットではもう一つ「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」の問題もあるけど、ヘイトスピーチやフェイクニュースをネットの世界から排除しようとすると、かえって思わぬ反発を生むんじゃないかな。
なぜかというと、これまでSNSの投稿で憂さを晴らしていた人たちが、どんどん鬱屈していくんじゃなかという気がするんだよね。「投稿して罰金を受けた」「何も投稿できない」という不満がたまって、大爆発した揚げ句、何かしら事件を起こしてしまうんじゃないかってね。
あるいは、罰則強化に躍起になるより人工知能(AI)を活用して、フェイクやヘイトを見抜く技術開発をする方がいいのかもしれない。まあその場合、エープリルフールのジョークも自動的に削除されちゃうかもしれないけどね。(高須克弥「Yes!高須のこれはNo!だぜ」 zakzak 2018.4.24)