習近平の逆ギレで始まる「中国の暴走」
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習近平の逆ギレで始まる「中国の暴走」

建国70年を迎え、中国の習近平政権は過去最大規模の軍事パレードで軍拡路線をアピールした。一方で、経済大国に成長しながら、共産党一党独裁という政権の異質さは変わっていない。覇権主義を突き進み、悪しき原点と評される「毛沢東時代」に立ち戻ろうとする中国は、暴走の果てにどこへ向かうのか。(写真は共同)

建国70年を迎え、中国の習近平政権は過去最大規模の軍事パレードで軍拡路線をアピールした。一方で、経済大国に成長しながら、共産党一党独裁という政権の異質さは変わっていない。覇権主義を突き進み、悪しき原点と評される「毛沢東時代」に立ち戻ろうとする中国は、暴走の果てにどこへ向かうのか。(写真は共同)

本質はずっと変わらない

「巨大市場」14億人の誤解

不景気の「風」感じても

国防白書で「領土死守」

中国建国70年の記念式典で、人民解放軍を閲兵する習近平国家主席=2019年10月1日(共同)
中国建国70年の記念式典で、
人民解放軍を閲兵する
習近平国家主席=2019年10月1日(共同)
 中国政府は4年ぶりに発表した国防白書「新時代の中国国防」で、南シナ海の諸島や沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)は「中国固有の領土だ」と強調、領土・領海問題をめぐっては一切譲歩しない考えを示した。今回の国防白書は、「領土・領海」にからむ記述が多く、中国軍による南シナ海の岩礁を埋め立てた人工島建設も「法に基づく国家主権の行使だ」と明言している。
 中国にとって、南シナ海は豊富な漁場や石油、天然ガス資源に恵まれているうえ、中国が輸入する石油の8割が通る重要な航路帯で、最深部が約5000メートルと東シナ海より水深があるため、原子力潜水艦が探知されずに西太平洋に出ることができる要所。
 この中国の「南シナ海は中国固有の領土だ」との主張に対し、「いつからなのか」と問いたい。毛沢東主席の時代に海洋を支配したことはない。「秦の始皇帝」の時代までさかのぼっても、そんなふうに領海の主張をしたことはない。
 中国が「固有の領土」と主張するとき、よく根拠に使うのが「漁民がそこで漁をしていた」というものだ。これはベトナムだってフィリピンだって、やっていることだ。「だったら、話し合いましょう」と言っても、話し合いの席には着かない。漁民が漁をしていただけで固有の領土、というなら日本のイカ釣り船やマグロ船は世界中に出かけている。
 南シナ海での領有権を主張するため、中国が地図上に勝手に設定した9本の境界線が九段線(きゅうだんせん)だ。その形から「U字線」「牛の舌」とも呼ばれ、南シナ海南部のスプラトリー諸島やベトナムに近いパラセル諸島まで、南シナ海のほぼ全域を囲む。これがベトナムやフィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどとの対立を呼び、2016年、ハーグの常設仲裁裁判所は「法的根拠がなく、国際法に違反する」と判断を下している。
 ただ、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領のように、この南シナ海判決を棚上げする合意を中国として、「いま、中国と戦って勝てるわけがない。黙って聞くしかないじゃないか」と国民に説明して、中国から歓迎されている首脳もいるのだが。
 日本の場合、ペルシャ湾からの石油のルートが、この九段線の内側に入る。ということで、日本も他人事というわけにはいかない。この中国が進める南シナ海軍事拠点化に対し、日米豪は共同訓練を通して連携を深めている。
 習近平国家主席下の中国指導部は、海洋利権を強く意識し、拡大をさせている。表向きはニコニコしながら、シルクロード経済圏構想「一帯一路」を進めているが、こちらも「強軍目標の貫徹」という意味では同じものではないかということを、各国とも少しずつ認識してきている。
 今回の国防白書では、米国を名指しで「世界の安定を損ねている」と批判し、「戦闘準備する」と言明している。その米国は何とか割って入ろうということで、パラセル諸島やスプラトリー諸島の中国の人工島から12カイリ以内にイージス駆逐艦などを通過させる「航行の自由作戦」を実施しているが、これも近いうちにできなくなるのではないか。というのも、中国は人工島から対艦弾道ミサイルの発射実験をしているからだ。習主席の領土と海洋権益に対するこだわりを見ると米軍でさえも風前の灯火、という感じだ。(「大前研一のニュース時評」 zakzak 2019.08.11)

新型兵器を次々公開

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