
11291
福島第1処理水、決断せよ
原田義昭前環境相による「海洋放出するしかない」との発言をきっかけに活発化した福島第1原発の処理水をめぐる議論。韓国が海洋放出に反発し、国際問題化を目論むが、原子力規制委員会は基準以下に薄めて海洋放出する処分方法は科学的に合理的との見解を示している。残された猶予は少なく、決断すべきときが来ている。
原田義昭前環境相による「海洋放出するしかない」との発言をきっかけに活発化した福島第1原発の処理水をめぐる議論。韓国が海洋放出に反発し、国際問題化を目論むが、原子力規制委員会は基準以下に薄めて海洋放出する処分方法は科学的に合理的との見解を示している。残された猶予は少なく、決断すべきときが来ている。
「科学的根拠」どこに?

個別ミーティング後、取材に応じる
韓国の大韓体育会のパク・チョルグン事務副総長=2019年8月
東京五輪に向けて先週、各国・地域のオリンピック委員会代表らが集まる選手団長会議が都内で開かれました。韓国オリンピック委員会(大韓体育会)はこの席で、五輪関連施設で出される福島県産食材の安全性に懸念を示しました。大韓体育会はホームページで「韓国と全世界の選手団の安全を確保するため尽力する」と発信しました。安全に疑問があるかのような言いぶり・書きぶりです。
東京五輪の組織委員会は、国際基準より厳しい数値でモニタリングしており、安全な食材を提供すると回答しました。当然の主張です。私は以前担当していた番組で、福島県産食材について、農業者や漁業者、学者、行政関係者から徹底的に取材しました。
大前提として、福島県産食材は安全であることが科学的に証明されたものしか流通していません。コメは全量全袋検査です。それ以外の農水産物も、統計学的に品質が担保された抜き取り検査で確認し、その数値はすべてホームページ上でリアルタイムに近いかたちで公開されています。万が一、基準値を超えれば即座に出荷停止となります。その基準値超えも、林産物や河川・湖沼からの水産物を除けば震災3年後からはゼロ件が続いています。原発事故直後に飛散した放射性物質のうち、今も影響を及ぼす可能性があるのはセシウムですが、農作物や魚にどう影響するでしょうか?
私は東京大学農学部にも取材に行きました。セシウムと似た構造の肥料カリウムが豊富な土壌では、作物はセシウムをあまり取り込みません。海産物についても、セシウムは魚の体内にはとどまらずに排出され、残存するのはごくわずか。よって食物連鎖によってセシウムが魚に蓄積していく心配はないなどが科学的に証明されていました。最新の知見と地道な努力を重ねて、福島県の人々は「安心を消費者に理解してもらいたい」と必死に模索しています。
韓国側は、こうした事実を認識しているのでしょうか。福島県産食材の危険を吹聴するなら、科学的根拠を明らかにすべきです。日本政府も断固たる抗議をしなくては、風評被害がいつまでたってもなくなりません。(ニッポン放送アナウンサー・飯田浩司「そこまで言うか!」 zakzak 2019.08.28)