大震災「想定外」にどう向き合うべきか
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大震災「想定外」にどう向き合うべきか

未曽有の被害をもたらした東日本大震災から丸9年。想像を超える自然の猛威が残した爪痕はあまりに深く、未だ復興を実感できない被災者も多い。新型コロナウイルスも然り、予想だにできない脅威から逃れられないのは、われわれの宿命である。ならば、こうした「想定外」にどう向き合うべきなのか。

未曽有の被害をもたらした東日本大震災から丸9年。想像を超える自然の猛威が残した爪痕はあまりに深く、未だ復興を実感できない被災者も多い。新型コロナウイルスも然り、予想だにできない脅威から逃れられないのは、われわれの宿命である。ならば、こうした「想定外」にどう向き合うべきなのか。

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高知で見た巨大災害の「教訓」

高知県黒潮町の津波避難タワー(下)=2019年11月
高知県黒潮町の津波避難タワー(下)
=2019年11月
 高知龍馬空港のターミナルビルは太平洋岸から約1キロの位置にある。その展望台から海岸方面を見ると、いくつかの少し高いビルのようなものが見える。津波避難タワーだ。
 日本列島の太平洋岸、伊豆半島沖から宮崎県沖におよぶ広範囲で巨大地震が発生するという想定が出て久しい。東海地震、東南海地震、南海地震の3地震が同時に発生する「南海トラフ地震」だ。この3地震に加えて日向灘地震の連動も語られている。内閣府の中央防災会議が、この南海トラフ巨大地震で最大32万人の死者が出るという戦慄の被害想定を発表したのは2012年8月だった(「南海トラフ巨大地震の被害想定について」第一次報告)。
 とりわけ大きな被害が予想されるのが高知県だ。南海トラフ地震は海岸線から近い場所で発生するため、高知県の各市町村の海岸線での最大津波高予想は34メートル(黒潮町、土佐清水市)、海岸線への津波高1メートル到達時間は最短で3分、すべての海岸線で20分以内とされる。
 南海トラフ地震は17世紀の慶長地震以降、同地震を含めて同時発生、あるいは時間差発生している。その頻度はおよそ100-150年に1回だが、「前回」の昭和南海地震からすでに70年以上が経過しているだけに、危機感が大きいのである。
 私たちは東日本大震災で津波被害の大きさを実感したにもかかわらず、南海トラフ地震の被害想定地域外では、その防災・減災対策への関心は希薄で自分の地域とは関係ないと思い込んでいる人が多い。だが中央防災会議は、南海トラフ地震の被害総額は169兆円になると記していた。当然それは、西日本の沿岸部各県に打撃を与えるだけでなく、日本経済にはかりしれぬ混乱と衰退をもたらす国難となる。
 ひとごとではない。被害が想定されない地域の人々も、被害が想定される地域とともに、減災・防災に尽力しなくてはいけない。地方の自治体への「ふるさと納税」は返礼品目当てで過熱してきたが、返礼品ではなく、「ふるさと減災・防災」を全国が一体となって果たしていく仕組みを考えるべき時と思う。また、いかにして近い将来に襲来する「国難」に対応すべきかを考えるには、被害想定地の事情をよく知らなければならない。
 そこで先日、高知県危機管理部(南海トラフ地震対策課)の堀田幸雄副部長を訪ね、南海トラフ地震への対策を聞いたところ、想像をはるかに超える取り組みが進んでいることに感服した。家屋の耐震化工事、津波避難対策、地震情報の迅速な伝達、津波襲来後の長期浸水対策などを進めており、19-21年の計画では、具体的なアクションが282にのぼるのだ。
 たとえば住宅耐震化率はすでに82%で、津波避難の対策の進展も踏まえると、13年5月の想定死者数「約4万2000人」が今年3月には「約1万1000人」と74%減少。22年3月までにはさらに47%減の「約5800人」を目指しているのだ。
 津波避難タワーは119基を建設する計画だが、すでに111カ所で完成している。高知県香南市の津波避難タワーの案内パネルには「命の塔」という言葉とともに「避難場所(屋上)に着くまでは絶対に避難をやめない」という注意書きもあった。東日本大震災は将来の巨大災害に大きな教訓をもたらしたと言われるが、それが何かを高知県で見る思いがしたのだった。(ノンフィクション作家・山根一眞、zakzak 2019.05.04

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