東京五輪「1年延期」に安堵するなかれ
2009

東京五輪「1年延期」に安堵するなかれ

新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックが「1年延期」となった。ただ、安堵感が広がる一方で、懐疑的な声も少なくない。「中止よりマシ」なのだろうが、種目によっては選手に多大な負担増を強いかねず、経済的側面もやり方を誤れば大損失を招くだけだ。「1年延期」にどう対峙すべきなのか。

新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックが「1年延期」となった。ただ、安堵感が広がる一方で、懐疑的な声も少なくない。「中止よりマシ」なのだろうが、種目によっては選手に多大な負担増を強いかねず、経済的側面もやり方を誤れば大損失を招くだけだ。「1年延期」にどう対峙すべきなのか。

選手の経済的救済も急務

札幌を待ち受ける高い壁

今回こそ「ピンチはチャンス」

会場確保の混乱は避けられない

 東京五輪は1年程度の延期になったはいいが、今度は開催時期をめぐって「春開催」案も浮上するなど諸説紛々としている。今年と同じ7月下旬が一番有力らしいが、予定していた競技会場は既に予約が入っていて、全部同じ会場で、というわけにも行かないだろう。
 そんな大混乱の中、ボクシング会場になっていた両国国技館について、日本相撲協会は「本場所の間に貸してくれといわれても困る。5月にどいてくれといわれても、無理ですというスタンス」(芝田山広報部長=元横綱大乃国)と、早々と“場所中お断り”の方針を打ち出した。
 今夏の予定では7月25日-8月9日と、ちょうど本場所がない期間で何の問題もなかった。しかし、5月には夏場所、9月には秋場所があり、既に日程も決まっていて、この期間は絶対に譲れないというわけだ。
 それでなくとも相撲協会は、無観客で開催した春場所で入場料収入など約10億円もの損失があり、5月の夏場所の開催もメドが立っていない。2場所連続の無観客も考えられ、さらに7月の名古屋場所も楽観視はできない。
 23日に承認した2019年決算では、経常増減額は3億1700万円と5年連続の黒字になった。黙っていてもお客が集まり常に満員御礼と、わが世の春を謳歌していても、こんな状態が続けばさすがに干上がってしまう。損失を取り戻すためにも、五輪とはいえ譲れないのもうなずける。
 そういえば、東京五輪の会場決定については、「そこのけ、そこのけ五輪が通る」とばかり、かなり強引だった。
 神宮球場は組織委員会から何の打診もないまま、来賓の待機場所、器材置き場として大会前の5月1日-11月30日の間、7カ月もの使用中止を言い渡された。
1964年の東京五輪でフェンシング会場となった早大記念会堂
1964年の東京五輪でフェンシング会場となった早大記念会堂
 さすがに野球界が「いくら何でも長すぎる」と猛反発。結局7月6日-9月13日の70日間に落ち着いたが、ヤクルト球団や東京六大学、東都大学、神宮第2を“本拠地”とする都の高野連はえらい迷惑を被った。延期になって、また「五輪だから明けてくれ」と高飛車に出るのだろうか。
 もう、当初の予定にこだわらなくてもいいのではないか。1964年の東京五輪では重量挙げが渋谷公会堂、フェンシングが早大記念会堂、ボクシングが後楽園アイスパレスと、国や都以外の施設を利用した。
 民間の体育館や公会堂など、多少は狭くなっても開催できれば御の字ではないか。湯水のごとくカネを使った上、ごたごた続きの揚げ句の延期。多くの国民はもう五輪にはうんざりしている。「五輪だから何とでもなる」との殿様感覚はもう通用しない。(作家・神谷光男 zakzak 2020.3.31)

迫る多くの課題

来年は誰にも分からない

社会に広がる影響

東京五輪「1年延期」に安堵するなかれ

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