国安法ありとて「香港魂」は死せず
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国安法ありとて「香港魂」は死せず

国家安全維持法(国安法)が施行された香港に対し、国際社会は絶望感を募らせている。だが、「一国二制度の崩壊」「香港は死んだ」と評される一方で、長年自由を享受してきた香港の人々の闘争心は失われていない。確かに香港は中国共産党に踏みにじられたとはいえ、自由を求める「魂」までは奪えないのではないか。

国家安全維持法(国安法)が施行された香港に対し、国際社会は絶望感を募らせている。だが、「一国二制度の崩壊」「香港は死んだ」と評される一方で、長年自由を享受してきた香港の人々の闘争心は失われていない。確かに香港は中国共産党に踏みにじられたとはいえ、自由を求める「魂」までは奪えないのではないか。

蘇るブルース・リーの名言

目指すべきは都市国家

人権問題化のみは的外れ

島に張り巡らされた罠

日本は声を上げよ

 香港のさらなる統制強化に向け、中国の立法機関にあたる全国人民代表大会(全人代)常務委員会は6月30日、「香港国家安全維持法案」を可決した。これで、1997年7月の香港返還以来、「50年不変」とされてきたはずの「一国二制度」という約束が反故(ほご)にされ、香港の「自由・民主」「基本的人権」「法の支配」が崩れ去ることになった。今年6月28日には、香港・九竜地区で抗議デモが呼び掛けられ、100人以上が集まったが、香港警察は違法集会の疑いで53人を逮捕したという。昨年には100万人規模に膨れ上がっていたデモも、香港市民に少しずつ疲れが見え始め、無力感も広がっているようだ。
 ドナルド・トランプ米政権は6月、香港の「高度な自治」を侵害した疑いのある中国当局者らへの「査証(ビザ)発給の制限」という制裁措置を打ち出した。トランプ大統領はツイッターで、米中経済について「完全なデカップリング(分断)」という選択肢もあり得るとも警告している。
 ただ、国際世論が、中国に与えられる圧力は非常に限られているというのが現実だろう。香港国家安全維持法が施行されれば、香港で自由な思想は困難となり、ネットの閲覧も制限される。海外渡航の規制や、教育でのプロパガンダの押し付けが予想され、企業の国有化も可能性として考えられる。ウイグルやチベットのように民族・宗教の弾圧を受け、当局の指示に従わなければ「思想の再教育」もあり得る。
2020年7月1日、香港の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のデモ現場近くで拘束された民主党副主席の尹兆堅立法会議員(中央)(共同)
2020年7月1日、香港の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のデモ現場近くで拘束された民主党副主席の尹兆堅立法会議員(中央)(共同)
 こうした自由を侵害する法案の成立は、本来であれば中国にメリットなどないはずだ。デモ隊を力で抑えつければ、SNS上で拡散されて国際世論から批判に遭い、香港経済が不安定になるという痛手を被る。
 しかし、それでも力による制圧に頼るのは、中国が大切にしているのが「共産主義というイデオロギー」だからだろう。香港で民主主義の存続を認めれば、中国本土の市民が民主主義を訴え始め、国民を抑えることができなくなると思い込んでいるようだ。中国共産党の権力が揺らぎ、反共産主義が広がること恐れているのだ。そこに、国民の権利や幸せを守ろうという考えは毛頭ない。共産主義は、世界のどこを見渡しても人々が幸せになった例はない。もはや一部の権力を守るための「悪」だ。米国が声をあげても効果は限定的だろうが、民主主義の雄としては声を上げ続けなければならない。
 そんな「悪」がアジアで増長しているのに、なぜか日本は静観しているようにも見える。日本には、日中関係を重視する政治家や財界人が多くいるが、彼らにとって「人権」とは、外交や経済よりも優先順位が低いのだろう。国会で議論にならなかったこと自体疑問だ。日本が「アジアのリーダー」を自任するなら、もっと自覚を持って声を上げるべきだ。(ケント・ギルバート「ニッポンの新常識」zakzak 2020.07.08

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