尖閣諸島をどうやって守るか

尖閣諸島をどうやって守るか

中国の「侵略」行為に国際社会の包囲網が確立されつつあるが、日本にとって目下最大の懸念は尖閣諸島だ。重要になるのは、中国に隙を与えないよう、具体的な行動が必要なことは言うまでない。今回は、尖閣を死守するために有効な対応策と、「番人」といえる地元民の奮闘の軌跡をお届けする。

中国の「侵略」行為に国際社会の包囲網が確立されつつあるが、日本にとって目下最大の懸念は尖閣諸島だ。重要になるのは、中国に隙を与えないよう、具体的な行動が必要なことは言うまでない。今回は、尖閣を死守するために有効な対応策と、「番人」といえる地元民の奮闘の軌跡をお届けする。

恒久的なプレゼンスを

石垣市に中国のスパイ?

無人機に疲弊させられる恐れも

バイデン氏「対中強硬」は本当か

 習近平国家主席率いる中国が、海警局(海警)に武器使用を認める海警法を1日、施行した。東・南シナ海での海警の活動を一方的に正当化し、沖縄県・尖閣諸島周辺海域で日本の漁船や巡視船を対象とする恐れがある。菅義偉政権は「中国による尖閣強奪」を厳重警戒しており、国家安全保障会議(NSC)などで協議した。「対中融和派」との見方もあるジョー・バイデン米大統領は信頼できるのか。英国メディアが先月末に報じた、日本と米国、オーストラリア、インドの4カ国で構成される事実上の中国包囲網「QUAD(クアッド)」への英国参加意向。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊迫の最新情勢に迫った。
 「菅首相は厳しい顔で一つ一つ確認していた。異常なまでの、ヒリヒリするような緊張感だった。首相は命をかける覚悟だ」
 旧知の官邸関係者は、そう語った。
 先月29日夕、NSCの4大臣会合が首相官邸で開かれた。菅首相と麻生太郎副総理兼財務相、茂木敏充外相、岸信夫防衛相、加藤勝信官房長官が出席し、海上保安庁を抱える赤羽一嘉国交相も同席した。テーマは「尖閣諸島を含む東アジア安全保障情勢について」。
 会議直前、菅首相の執務室に、北村滋国家安全保障局長、滝沢裕昭内閣情報官、山田重夫外務省総合外交政策局長、奥島高弘海上保安庁長官、岡真臣防衛省防衛政策局長が集まった。冒頭の首相の様子は、この時のものだ。
 外務省関係者は「NSCが会合の議題に『尖閣』と明示したのは初めてだ。中国が尖閣海域に侵入する海警に武器使用を認めた海警法が2月1日から施行される。いつ武装公船が、日本漁船や海上保安庁の巡視船に発砲し、尖閣強奪を強行するか分からない。明日かもしれない。尖閣危機はMAX状態だ」といった。
 私(加賀)は、前号(1月18日発行)「スクープ最前線」で、日米情報当局関係者から得た、以下の情報を報告した。
 (1)習国家主席は、海警部隊の武装公船が日本漁船や海上保安庁の巡視船に機関砲を発砲し、武力で尖閣諸島強奪を強行する「Xデー」を、すでに設定しているようだ。
 (2)尖閣強奪後、中国は、米国を(仲裁役として)交渉の場に引き出し、強奪した尖閣を取引材料に、「米軍による南シナ海の中国の人工島軍事基地への奇襲攻撃の中止」と「中国による台湾統一の黙認」を、バイデン米大統領に要求する可能性がある。
尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県石垣市(鈴木健児撮影)
尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県石垣市(鈴木健児撮影)
 中国は日本を愚弄している。断固許すことはできない。
 先月28日未明、菅首相とバイデン氏による、初の日米首脳電話会談が行われた。
 両首脳は、日米同盟のさらなる強化、北朝鮮の完全非核化、北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決、気候変動問題、新型コロナウイルス感染症対策などで一致した。
 さらにバイデン氏は、トランプ前政権がアジア外交戦略にすえた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」戦略の重視と、米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用を約束した。
 FOIPの継続は、日本にとっては死活的な最重要課題だ。
 その中身は、(1)紛争時には(中国の防衛ライン)第一列島線内で、中国軍の空と海の支配を阻止する(=要は、米国は中国と戦う)(2)第一列島線にある国・地域(=台湾と尖閣諸島を含む)を米国が防衛する-。
 ドナルド・トランプ前政権が残した偉大なる政治遺産だ。
 菅首相は首脳会談後、「大変よい会談だった」と記者団に語った。だが、怒りを込めていう。バイデン氏に「裏切りの兆候」がある。
以下、日米情報当局関係者から入手した驚愕(きょうがく)情報だ。
 「バイデン氏は現在、驚異的な数の大統領令に署名している。パリ協定復帰や、メキシコとの国境の壁の建設中止など。多くが、トランプ氏の遺産潰しといえる。トランプ氏は、バラク・オバマ政権の遺産を潰した。その復讐(ふくしゅう)をやっている」
 「バイデン政権は表向き、『対中強硬策』を表明しているが、水面下では『軍事衝突は望まない』『戦略的忍耐(Strategic patience)で対応する』(=要は、黙認)と腰砕けだ。習氏は『チャンスだ』と大喜びしている。バイデン氏は、トランプ氏が『中国ウイルス』と呼んだことを暗に批判し、アジア系米国人への差別や嫌がらせに予防策を講じる大統領令まで出して、中国を喜ばせている」
 驚かないでいただきたい。続く日米情報当局関係者の情報はこうだ。
 「マイク・ペンス前副大統領は昨年の大統領選で、バイデン氏を『中国共産党のチアリーダー』と罵倒した。これは、中国に融和的姿勢を取り続けたオバマ政権で副大統領を8年も務め、中国による国際法を無視した南シナ海の軍事基地建設を黙認してきたからだ。次男の中国疑惑もある。バイデン政権は、まだ新アジア戦略を正式決定していない。トランプ氏の遺産のFOIPを、バイデン氏は嫌っている」
 菅首相に申し上げたい。米国頼み一辺倒の防衛政策ではダメだ。「自主防衛」の覚悟が必要だ。この国を守る指揮官はあなただ。あなたしかいない。(「スクープ最前線」 ジャーナリスト・加賀孝英、zakzak 2021.02.02

日米政府はどう対応

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