
6650
中国バブル崩壊はマジでヤバい
中国株暴落が習近平政権を大きく揺さぶっている。中国の株式市場では、当局のなりふり構わぬ底支え策を尻目に投資家が売りを浴びせ、一時8%以上値を下げるなど時価総額400兆円超が吹き飛んだ。日本市場への影響はさらに広がるのか。中国バブル崩壊はマジでヤバい!
中国株暴落が習近平政権を大きく揺さぶっている。中国の株式市場では、当局のなりふり構わぬ底支え策を尻目に投資家が売りを浴びせ、一時8%以上値を下げるなど時価総額400兆円超が吹き飛んだ。日本市場への影響はさらに広がるのか。中国バブル崩壊はマジでヤバい!
バブル崩壊 次もバブルの限界
ハンマーと鎌は中国共産党の記章、そのハンマーが株価を打ち砕き、鎌が人民の肉をそぐ。先週、中国語のウェブサイトに流れた風刺画は言い得て妙だった。
2008年9月のリーマン・ショック後、党中央は中国人民銀行が創出する資金を不動産開発に振り向け、不動産ブームを演出した。ところが、習近平氏が党トップの座についた12年秋から相場が下落し始めた。公式発表の国内総生産(GDP)実質伸び率は前年比7%前後の水準で推移するが、代表的な物流指標、鉄道貨物輸送量は昨年から下落し続けている。モノは動かない。

大幅に下落した上海株の銘柄が表示された掲示板
=8日、北京(共同)

=8日、北京(共同)
カネはどうか。中国の現預金総額は14年末約2400兆円で、米国の1・7倍、日本の2・7倍に上る。東京銀座など海外にとっては「爆買い」さまさまだが、本国でカネが回らない。そこで習近平政権は株価を引き上げ、個人投資家のカネを引きつける策に転じた。人民銀行は株価上昇を公言して利下げし、人民日報など党直属メディアが株価上昇をはやし立てる。
原動力は投資家が借金して株を買う「信用取引」である。利下げのたびに株の信用買いが飛躍し、株価が連動する。国有企業が圧倒的に多い中国の上場企業が発行した株式の大半は市場で売買されない。流通株の時価総額に対する信用買い比率は15%以上に上り、日本のバブル期の数倍以上だ。
党が支配する企業も信用取引拡大と並行して、新規上場や増資などを通じて株式市場から資金調達する。株式市場はまさに党の利益のためにある。経済実体から大きくかけ離れた株価はバブルである。皮肉なことに党が呼び込んだ外資が崩壊の引き金を引いた。
習政権はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に続いて、人民元を国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR(特別引き出し権)」の構成通貨組み込みを狙う。元がドル、ユーロ、円、英ポンドと同じ国際準備通貨となると、元での貿易や投融資が世界で受け入れられやすくなり、対外的影響力がぐっと増す。AIIBもドルに頼らなくても済む。
IMFで拒否権を持つ米国の要求は金融市場の対外開放だ。中国は基本的に本土市場への外国人投資を禁止してきた。北京は渋った揚げ句、昨年11月に香港経由に限って上海市場への外国人投資を解禁した。外国投資家は値上がり益を稼いだ後、6月上旬に上海から一斉に資金を引き揚げた。
株価が急落すると、信用買いの投資家は借金返済のために担保の株の投げ売りに追い込まれ、株価が暴落する。党中央はあわてて、追加利下げし、信用取引制限を緩和した。4日には証券業界が市場安定化基金設置を決め、人民銀行が基金に資金供給する。仮に下げ止まったとしても、バブルを温存させるのだから、次の暴落エネルギーがたまる。
「暴騰」「崩壊」は禁止

6月28日の追加利下げは、そんな中国の焦りを鮮明にしたが、市場への関与はこれにとどまらない。証券会社か投資家が資金や株券を借りて売買する信用取引の緩和や株式取引手数料の引き下げを打ち出したほか、6月半ばから、「相場操縦」の調査も初めているという。
ロイター通信によると現地のチャイナ・デイリーは、株価指数の先物取引にかかわる投資家を対象に調査を進めていると報じた。7月3日からは中国の主要市場に上場する企業の多くが、新たな事業計画や再編などを公表するまでの間、株式の売買を停止したという。
相場の下支えに期待された大手証券会社21社による計1200億元(約2兆4千億円)以上の資金投入策の発表も効果薄で、7月6日の上海市場は乱高下。投資家の不安を払拭できなかった。(産経新聞 2015.7.8)
■中国株、GS「まだバブルではない」 CSI300指数、27%上昇を予想(Sankei Biz 2015.7.9)■上海株暴落のウラに「人民元国際化」 中国金融は国際化に値しない(産経新聞 2015.6.27)