
23699
樺太とロシアの非道・残虐
世界で日本人ほど領土に淡白な国民はいない。無法侵攻したソビエトロシアが樺太で行った非道な住民虐殺と洗脳工作。シナ、朝鮮、ロシアという世界でも特異な国家にわが国は隣り合っていることを忘れることはできない。
世界で日本人ほど領土に淡白な国民はいない。無法侵攻したソビエトロシアが樺太で行った非道な住民虐殺と洗脳工作。シナ、朝鮮、ロシアという世界でも特異な国家にわが国は隣り合っていることを忘れることはできない。
プーチンを情緒的に見ることの過ち
ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、われわれ日本人から見て尋常ではない〝極東の近隣国家〟の中でも、中韓の元首に比べ嫌悪の度合いが低いように思われる。ネット上の書き込みなどを見ると、中韓嫌悪の保守系の若い人なども、プーチンはあまり悪く書かないように見受ける。
柔道など格闘技を愛好し、愛犬家でもあること、物静かな語り口、それでいて「強いロシア再建」を着々と進めるカリスマ性…こんなところが受けているのかもしれない。

しかし、実際にやっていることは共産党独裁のソビエトロシア再建、そしてスターリンやイワン雷帝のように残虐な粛清や言論弾圧で自ら強大な権力をもつ〝皇帝〟となること。スポーツマンや愛犬家の一面とは裏腹に、〝皇帝権力〟の基盤となる国家の領土・権益拡大のためには、「力」しか用いない典型的なロシアの権力者である。
少なくとも柔道については愛好者であっても修行者とは言えない。柔道の基本は「精力善用 自他共栄」。稽古や試合だけではなく、柔道を通じて自身や社会、国家、国際でも広くこの精神を反映することが目標だからだ。
ロシア国内での独裁的な政治手法だけなく、わが国北方領域の不法占拠をデタラメな理由で正当化しようとし、さらにはウクライナの領土を武力で奪うなど、プーチンは「領土は力で手に入れる」思考のロシア人の典型だ。

ロシアは16世紀から軍事力による東漸(東方侵略)を始め、シベリア諸民族地域を次々征服。シナ外満洲・東韃靼(だったん)ばかりか、勘察加(カムサスカ)、日本に属した樺太や千島にまで食指を伸ばした。
ロシアは軍事力によってどのように樺太・千島を侵奪し、不平等条約を押し付けて併合したか。日本は富国強兵によって樺太(南半)を回復したものの、ロシアは大東亜戦争期の裏切りで再び樺太、千島、北方四島を不法占拠し続ける。
樺太を中心に、わが国北方領域がロシアに侵略された歴史と事実、課題を別冊正論「『樺太―カラフト』を知る」にまとめたので、お読みいただきたい。
この中で、無法侵攻したソビエトロシアが樺太で行った非道な住民虐殺と洗脳工作を、自ら体験した金谷哲次郎氏が、樺太だけなく遠くシベリアなどにまで日本人70万人を連行し、10万人を死なせたロシア国家犯罪「シベリア抑留」の実態について長勢了治氏が実証しているので、紹介させていただく。
この2つの論考だけを読んでも、独裁的大統領プーチンを情緒的に見ることの過ちがわかるはずだ。シナ、朝鮮、ロシアという世界でも特異な国家にわが国は隣り合っていることを忘れることはできない。
(「別冊正論」編集長 八並朋昌)
シベリア抑留、記憶遺産登録の意義は重い

ソ連から最後の集団帰国者1025人を
乗せた興安丸が京都・舞鶴港に到着し
た。日ソ国交回復で抑留を解かれた旧軍
人らで、岸壁で出迎えた家族らと感激の
対面。終戦後にソ連や樺太などからの引
き揚げ者は約77万人に上った
正式な表題は「舞鶴への生還1945~1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」となっている。日露関係が今一つ噛み合っていない時期での登録の意義は重い。
エリツィン大統領が平成5年来日した際、様々な場所、会合で「シベリア抑留はあってはならなかった。これはスターリンの残滓(ざんし)である。ロシア国民を代表してお詫び申し上げる」と言ったことが想い出される。
この登録がシベリアで亡くなられた方々に対し、心からの哀悼と戦争はあってはならないという思いを、より強く持つことに繋げて行くのが、今回登録された使命である。
私が子供の頃、隣の家の福田さんの叔父さんが抑留者で、よく酒を飲むとシベリアの悲惨な抑留生活を話された。「何としても生きて帰る。今一度、玄関の敷居をまたぐ。家族に会う為に」と涙交じりに語られたことを鮮明に覚えている。
「北方領土問題もスターリンの残し」と話し、「法と正義に基づき話し合いで解決する」と言われたエリツィン大統領発言から22年も経ってしまった。
橋本・小渕・森政権での良好な日露関係が懐かしい。私なりに北方領土問題解決は勿論、日露関係の充実に汗をかいて参りたい。(新党大地代表、鈴木宗男ブログ2015.10.11)