
朝日新聞と高野連と夏の甲子園
連日、熱戦が続く夏の甲子園だが、その経済効果は350億円にも上るという。酷暑の中でプレーする球児や学校関係者の苦労は想像に難くないが、大会を主催する朝日新聞と高野連にとってはおいしい季節である。「高校生らしさ」というアマチュアリズムを売りにする夏の甲子園は教育の一環か、それともビジネスか。
連日、熱戦が続く夏の甲子園だが、その経済効果は350億円にも上るという。酷暑の中でプレーする球児や学校関係者の苦労は想像に難くないが、大会を主催する朝日新聞と高野連にとってはおいしい季節である。「高校生らしさ」というアマチュアリズムを売りにする夏の甲子園は教育の一環か、それともビジネスか。
サッカーだって拡販のため

今夏も大盛況のようで…
朝日新聞に疑問をぶつけてみた

「甲子園以外にも感動やドラマはあります」「全国大会を目指して汗を流しているのは野球部だけではありません」…。
むろん、高校野球の歴史と無関係ではないが、最も大きな要因は大会を主催する朝日新聞と系列テレビ局、そしてNHKをはじめとするメディアの異常な取り上げ方に尽きるのではないか。紙面では連日の大特集、テレビをつければ朝から晩まで生中継、深夜になればおなじみの『熱闘甲子園』まで流れる始末である。毎年夏が来るたびに、高校野球をこんなに報道されたら、野球に興味があろうがなかろうが、誰だって否が応でも見ざるを得ない。今風に言えば、これもれっきとした「印象操作」と言えなくもない(笑)。
それはさておき、ただのアマチュアスポーツに過ぎない高校野球は巨大な経済効果も生み出す。「経済効果の匠」と呼ばれる関西大の宮本勝浩名誉教授=理論経済学=の試算によれば、8日に開幕した今夏の甲子園大会の経済波及効果は350億円にも上るという。その内訳は、大会期間中の入場者約85万人の入場料や交通費、宿泊費のほか、高校野球関連の雑誌やグッズ収入なども含まれるそうだが、これほどの一大イベントになれば「商業利用」を考えない方がおかしい。
高校野球は教育の一環か、ビジネスか。朝日の回答からは建前だけでなく、ホンネも少し垣間見えた気がするが、読者のみなさんはどう受け止めただろうか。ちなみに今年6月7日付の「高校野球、多様な視点を生かして」と題した朝日社説には、こんな一節があった。
「時代の変化を踏まえつつ、全国の野球部をどう支え、高校野球を発展させていくか、考えるべき懸案は多い」。おっしゃる通りである。高野連にだけ「改革」を求めるのではなく、大会を主催する朝日新聞こそ、その言葉を何より真摯に受け止めてほしい。高校野球ファンの戯れ言である。(iRONNA編集部)
8つの質問、朝日の回答
―朝日新聞が高校野球を主催している趣旨は
「教育の一環として、若者の健全育成に資することを目的としています」―高校野球の大会収益は高野連に入るとのことだが、朝日新聞には全く入らないのか
「大会の会計は弊社と切り離されており、弊社に入る収益金はありません。大会の収支決算は毎年公表しております」―利益を上げていないのなら、高校野球関連の広告や事業収入はあるか。また、それはどのくらいか
「『高校野球関連』に限らず、広告・事業収入の詳細はお答えしておりません」―高校野球を新聞の販売促進に活用しているか
「弊社主催の様々な行事を販売促進に活用している例があることは承知しています」―実際に販売店員から「高校野球」の記事が他紙より充実しているなどと購読を勧誘されたことがあるが、見解は
「特段の見解はございません」―高校野球が新聞の部数増や維持につながっていると思うか
「判断いたしかねます」―高校野球の記事が1面などで扱いが大きすぎるとの指摘もあるが、見解は
「紙面について様々なご意見があることは承知しております」―選手だけでなく、応援も含め夏の大会は熱中症など問題があるとの指摘もあるが、見解は
「選手にはこまめに水分をとるように呼びかけています。また、球場アナウンスなどで熱中症に対する注意喚起を頻繁に行い、救護の態勢を整えるなどの対策を講じています」