北朝鮮、謎の漂流船の正体
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北朝鮮、謎の漂流船の正体

日本海沿岸で北朝鮮木造船の漂流や漂着が相次いでいる。海上保安庁によると、2017年に確認された木造船は99件(12月25日現在)に上り、統計を取り始めた過去5年で最多となった。先行き不透明な朝鮮半島情勢下で、なぜ急増したのか。謎の漂流船、その正体を読み解く。

日本海沿岸で北朝鮮木造船の漂流や漂着が相次いでいる。海上保安庁によると、2017年に確認された木造船は99件(12月25日現在)に上り、統計を取り始めた過去5年で最多となった。先行き不透明な朝鮮半島情勢下で、なぜ急増したのか。謎の漂流船、その正体を読み解く。

北朝鮮海軍が課す厳しいノルマ

海を渡る屈強な人民軍

中国サンゴ密漁をパクった?

「有人集落だったら…」の恐怖

 先週、師走の風物詩として京都・清水寺で発表された「今年の漢字」は「北」であった。主催団体の説明によれば、「北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど北朝鮮の動向に脅威と不安を感じた年となった」のが、その選考事由である。
 振り返れば、今年1年、北朝鮮は数度に渉り撃った弾道ミサイルは、日本西岸の排他的経済水域(EEZ)内に着弾するか、あるいは日本列島それ自体を飛び越すものであった。
 野球の例えでいえば、「デッドボール(死球)にならなければビーンボール(危険球)をいくら投げても構わない」ということにはならないはずである。けれども、北朝鮮は、日本の「報復乱闘」も国際社会からの「退場」も意に介さないがゆえに、日本に対しては、平然と「ビーンボール」を投げ込んでいる。
荒らされた、北海道松前町・松前小島の小屋(提供写真)
 日本はその「ビーンボール」を幾度も投げ込まれているという意味では、米中韓露など関係各国とは置かれた立場を異にする。
 これに加えて、日本海岸に漂着する不審木造船の激増は、それを処理するカネと手間という点で、日本海岸各地の「現場」に負担を与えつつある。
 特に、北朝鮮漁船の一党が北海道松前沖の無人島に漂着し、島内施設の備品を根こそぎ持ち出したとされる一件は、「これが有人集落での話であったならば…」という想像とともに、世の人々を不安にさせるに、ふさわしいものであろう。
 木造船の漂着には、食糧確保を求める北朝鮮政府の意向の下、北朝鮮漁民が相当な無理を押して冬の日本海に漕ぎ出しているという事情が反映されていると説明される。しかし、そうした北朝鮮の個別事情を斟酌(しんしゃく)しなければならない理由は、日本にはない。人的被害が出ていないという事情が切迫感を弱めているとはいえ、日本に「目立たぬ実害」が確実に及んできているという理解は当節、大事なものであろう。
 ゆえに、日本が他国以上に北朝鮮に対して示そうとしている峻厳(しゅんげん)な姿勢には、その理由も大義も備わっている。(東洋学園大学教授・櫻田淳、産経新聞「正論」 2017.12.22

弾道ミサイルより危険?

テロが起こってからでは遅い

佐渡島に漂着した北朝鮮の漁船と思われる木造船。船首に数字が記されており、船内は浸水した状態で発見された(市民提供)
 北朝鮮の漁船とみられる木造船が、続々と日本海沿岸部に漂着している。漁の最中、荒天による船体・機器の故障、食糧不足、病気での急死など予期せぬトラブルに見舞われ、漁師を乗せたまま波に任せて流れ着く。
 実は毎年、漁船の漂着・漂流は確認されている。多い時で約80隻あったが、今年はずば抜けて多い。海上保安庁によると、8日までに78隻が確認され、過去最多となる勢いだ。中には日本領土に不法入国し、盗みまで働き、北海道警が逮捕する事件まで発生した。これがもし、テロを行うべく上陸した工作員であったらと思うとゾッとする。基本的に、北朝鮮の漁師たちは軍に所属している。北海道に漂着した船体には「朝鮮人民軍第854軍部隊」というプレートが掲げられていた。これまでも、日本の領海内で北朝鮮の漁船は何度となく確認されている。海上保安庁は、退去を伝えはするが、拿捕(だほ)はしていない。言うことを聞かなければ、放水する程度だ。
 違法の漁船に悩まされている国は多い。中でもASEAN諸国は、船団を組んでやって来る中国漁船に頭を抱えている。中国側の根底にあるのが、「南シナ海はわれわれのもの」という、到底受け入れることができない主張である。沖縄県・尖閣諸島周辺海域では、中国の漁船が日本領海に侵入し、違法操業している例は多い。2010年9月には、退去を命じた海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた事件も発生した。ところが、当時の民主党政権は「日中関係に考慮」という政治的理由で、あれだけの証拠がありながら、中国人船長を逮捕したが処分保留で釈放した。船長は中国へと帰り、英雄となった。
 インドネシアのスシ海洋大臣は、違法操業した漁船は有無を言わさず、すべて拿捕し、船員は逮捕、船は爆破、という強硬な手段を取って話題をさらった。これが国家の取るべき当たり前の姿なのかもしれない。ASEAN(東南アジア諸国連合)は11月21日、1回目となる大規模海軍演習「AMNEX」を実施した。演習の中に「違法操業を行っている漁船への臨検」があった。領海侵犯をしてきた時点で、テロの疑いがあることから軍事力を行使することを決めた。実際の漁船を想定船とし、タイ海軍の臨検部隊が銃を構えて近づいていく。接舷すると、次々と漁船内へ。銃を突き付けて、漁師たちを1カ所に集め、職務質問した。横暴な姿と見えるかもしれないが、これが抑止力となり、違法漁船の数を減らし、テロの水際阻止にもつながっていく。
 日本もそろそろ、違法な漁船は厳しく取り締まる策を講じるべきだ。工作員が漁師を装って不法入国し、テロを起こしてからでは遅い。(フォトジャーナリスト・菊池雅之「最新国防ファイル」、zakzak 2017.12.15

軍事攻撃以上の脅威

北朝鮮、謎の漂流船の正体

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日本海沿岸に漂着が相次ぐ北朝鮮木造船の目的は下記の3つのうちどれだと思いますか?

  • 違法操業

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  • 日本上陸

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  • 工作活動

    361