「不老社会」が正直しんどい
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「不老社会」が正直しんどい

「人生100年時代」がブームである。世界一の超長寿国である日本では、この言葉が明るい未来を暗示するキーワードとしてビジネスや政治など、さまざまな場面で使われている。定年後は年金で悠々自適という理想はどこへやら。「不老社会」の現実は、やっぱり死ぬまで働け?

「人生100年時代」がブームである。世界一の超長寿国である日本では、この言葉が明るい未来を暗示するキーワードとしてビジネスや政治など、さまざまな場面で使われている。定年後は年金で悠々自適という理想はどこへやら。「不老社会」の現実は、やっぱり死ぬまで働け?

厄介なのは「中上流老人」

「不老ブーム」の影

労働意欲をそぐ再雇用制度

意欲旺盛なジジイを使え

少子高齢化が進む高知県大豊町
 「帰りなんいざ、田園将(まさ)に蕪(あ)れんとす」(陶淵明の「帰去来辞」から)。夏休みは郷里の高知県で、旧友を訪ねて回った。山間部は過疎化、高齢化が激しく、イノシシや鹿の数が住人よりも多い地区が目立つ。村落は消滅寸前か、と思いきや、どっこい持ちこたえている。
 四国山脈の奥深い谷あいの長岡郡大豊町は、国の特別天然記念物で樹齢3000年以上の大杉の巨木や、太平洋戦争時、シンガポールを攻略し、英軍司令官に「イエスかノーか」と迫った名将、山下奉文の出身地としても知られる。村落に若者の姿はなく、夜はイノシシたちが我が物顔に徘徊(はいかい)、住民は怖くて外に出られない。主力の林業を支える杉、桧の若木は鹿に食い荒らされる。
 高齢者が立ち上がった。鹿肉をペットフードにして全国に売り出すプロジェクトだ。地元の元郵便局長で年金生活暮らしの小森将義さん(70)はある日、猟師からもらった鹿肉を犬たちに与えてみた。すると従来の市販ペットフードには目もくれず、むしゃぶりつく。老犬の毛並みはつやつやとし、若い犬は精気がみなぎる。小森さんは企業化を決意、国からの中小企業支援融資を受け、鹿肉のペットフード工場建設準備を進めている。「この歳で借金するのはどうかとためらったが、2、3人でも若い人が地元で働ける場ができればよい」と意気込む。設備は殺菌、乾燥用で済む。ジビエ(野生の鳥獣肉料理)用は処理コストがかかり、需要は近隣のジビエ・シェフのいるレストランに限られるが、ペットフードであれば全国販売できる。
 もう一つ、高知県の最西部の宿毛市。同市は早稲田大学建学の祖、小野梓をはじめ、明治維新後に数々の著名政治家、教育家、実業家を輩出した旧城下町だが、若者が居着かなくなって久しい。昔から亜熱帯に近い気候と海や山の豊かな自然資源に恵まれている。一念発起、地元出身で在京の元起業家、岡添亨氏(70)と地元有志が一丸となって、再生プロジェクトに取り組んでいる。大半が70歳前後のジジイばかりだ。まず手始めに、朝鮮人参並みの効能があるとされるアマゾン原産の白甘藷(かんしょ)芋の生産、販売会社を立ち上げる。この芋は同市沖の島で国内初の栽培に成功したが、企業化しないまま、宝の持ち腐れになりかかっていた。
 政府や日銀のエコノミストたちは少子高齢化や65歳までの労働適齢人口減の進行のために、日本経済の潜在成長率はゼロ%台でしかないとみなし、日本列島津々浦々に悲観論をまき散らすが、机上の空論だ。全国でも人口減と高齢化が際立つ高知県の現場では、ジジイどもが奮闘している。使命感にあふれ挑戦意欲旺盛な高齢者を活用すれば、地方再生の道が開けるはずだ。(「田村秀男のお金は知っている」zakzak 2017.09.01

年金だけじゃ足りない

形骸化した政策に着目

働き続けて幸せになれるか

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