トランプ「貿易戦争」の思惑を読む
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トランプ「貿易戦争」の思惑を読む

訪米中の安倍首相はトランプ大統領との日米首脳会談に臨んだ。まずは北朝鮮情勢をめぐる結束強化を確認したが、鉄鋼とアルミニウムの追加関税など利害が対立する通商政策の行方にも注目が集まる。米中貿易戦争の火種がくすぶる中で日本はどう動くべきか。過熱する「チキンレース」の先行きを読む。

訪米中の安倍首相はトランプ大統領との日米首脳会談に臨んだ。まずは北朝鮮情勢をめぐる結束強化を確認したが、鉄鋼とアルミニウムの追加関税など利害が対立する通商政策の行方にも注目が集まる。米中貿易戦争の火種がくすぶる中で日本はどう動くべきか。過熱する「チキンレース」の先行きを読む。

「ほほ笑み」発言のウラ

戦術なき日本の通商交渉

中国社会は怒りの的

ああ、トランプの「勘違い」

 米国が「中国製品1300品目に25%の関税をかける」と公表したことを受け、中国商務省は4日、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴するととともに、報復措置として米国産の大豆、トウモロコシ、小麦、自動車、航空機など106品目の米国製品に25%の関税をかける方針を明らかにした。
中国製品への制裁措置を指示する大統領令の署名に臨むトランプ米大統領=2018年3月22日、ワシントン(AP=共同)
中国製品への制裁措置を指示する大統領令の署名に臨むトランプ米大統領=2018年3月22日、ワシントン(AP=共同)
 かつて日米貿易戦争のときに、日本はかなりの部分で米国の主張に従った。一方、今回の中国は「目には目」「やられたらやり返す」という政策をとった。ここで選んだ品目が非常に面白い。大豆、トウモロコシ、小麦などは、いわゆる「トランプ・カントリー」のウィスコンシン州やアイダホ州、アイオワ州、インディアナ州が生産している物だ。この産地の農民はトランプ大統領の強烈な支持者。そういう所を狙いうちにしたわけだ。大豆はブラジルから買えばいいと考えている中国は、冷静に分析して攻めてきているようだ。
 そもそも、トランプ氏が「貿易不均衡の国は米国の敵」と主張していることには根拠がない。なぜかというと、米中間の貿易で米国には約30兆円強の輸入超過が生じているが、その品目の多くは中国から売り込んだ物ではないからだ。
 1980年代の日米貿易戦争の際、日本のメーカーは自動車、家電とも強く、トヨタ、ホンダ、日産、ソニー、パナソニックなどは米国に拠点をつくって売り込んでいた。現在、中国企業で米国に売り込む力を持っているブランドはほとんどない。
 本来なら、中国の通信機器メーカーのファーウェイ・テクノロジーズなどは、携帯電話の基地局やルーターを米国に売り込みたいところだが、創業者のレン・ツェンフェイ氏がかつて人民解放軍に所属していたということもあって、米国は安全を口実に米国市場への参入を妨げている。また、ファーウェイ社のチップを使っているということで、携帯電話大手のシャオミ(小米)も米国に入れない。
 米国の輸入超過の30兆円強のうちの5兆円は、実は鴻海に成都で委託製造してもらっているアップルのiPhoneだ。つまり、ヒューレット・パッカードのPCやプリンターなどのように、米国企業が安い人件費の中国で作らせて輸入しているものばかりなのだ。さらには、スーパーマーケットチェーンのウォルマートなどもバイヤーを香港などに置いて買いまくっている。
 米国企業が中国で作らせていた品目が25%高くなり、中国はトランプ支持の農民をたたこうとしている。トランプ氏の勘違いから、こういうバカげたことが始まっているわけで、そのことに気づかせるためには、今回の中国の作戦は効果的かもしれない。トランプ氏は「全部終わってみたら、米国はより強い国になっている」と語っているが、合理的な理屈は何もない。
 いずれにしても、レベルが低くて話にならない。トランプ氏にはもう少し勉強してもらう必要がある。このままでは、中国の次に日本に牙を向けるかもしれない。しかし、20年間にわたる日米貿易戦争で解決済みの問題をいまさら蒸し返されてもお互いに得なことは何もない。日本はアメリカで十分生産し、雇用も生み出している。3度目のゴルフ会談ではそのへんを安倍晋三首相に説得してもらいたいものだ。(経営コンサルタント・大前研一、zakzak 2018.04.16

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