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日大「危険タックル」を糾弾する
アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の試合中に起きた日大選手による「悪質タックル」が波紋を広げている。危険な反則行為に監督の指示があったかどうかに注目が集まるが、いまだ雲隠れする内田正人監督の対応も火に油をそそぐ一因になっている。日大「危険タックル」を糾弾する。
アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の試合中に起きた日大選手による「悪質タックル」が波紋を広げている。危険な反則行為に監督の指示があったかどうかに注目が集まるが、いまだ雲隠れする内田正人監督の対応も火に油をそそぐ一因になっている。日大「危険タックル」を糾弾する。
日大の「伝説」が泣いている
“鬼の篠竹”も泣いているだろう。日大アメリカンフットボール部の監督を1959年から44年務め、17回も甲子園ボウルを制した故篠竹幹夫氏をふと思い出す。鉄拳制裁も辞さないスパルタ指導の半面、繊細でシャンソンを愛しロシア生まれの名曲『百万本のバラ』を原語で歌い、詩も書くなど魅力ある人柄で学生に慕われた。

アメリカンフットボール 日本大学の篠竹幹夫監督=1992年11月

不勉強な小欄の取材にも気さくに対応してくれた。「プレーの未熟さが反則につながる。だから基本練習が大事」との言葉が印象に残る。6日の関学大との定期戦で日大の選手が、パスを投げ終わった関学大クオーターバック(QB)に背後からタックルした前代未聞の反則は「篠竹伝説」に泥を塗った。
QBはパス失敗で「あーぁ」と天を仰いだ無防備状態。「第2・第3腰椎棘間靱帯(きょくかんじんたい)損傷」と診断されたが、最悪の場合は車いす生活を余儀なくされる悪質なタックルだった。ある競技経験者は「選手は反則を犯さないように練習でたたき込まれていて体が反応するはず。何らかの作為がなければ絶対生じない」と断言している。
「日大とは試合できない」と法大、東大、立大の3校が連名で求めた春季オープン戦の中止も決まった。スポーツ庁の鈴木大地長官も「ふつうならレッドカードに値するプレー。あのプレーがなぜ行われたのか検証することが大事」と語り、ワンプレーが社会問題にまで発展した。
宿命のライバル関学大や京大に勝つために試行錯誤の末、独創的なフォーメーション「ショットガン」にたどりついた。そんな日大の黄金期を築いた篠竹監督から見れば愚にもつかない行為。ライバルをなぎ倒したあの「知」の力はどこへ行ったのか。(サンケイスポーツ・今村忠、SANSPO.COM 2018.5.16)
不意をついた「悪質タックル」
(関西学院大アメリカンフットボール部提供)