どうなる? 米朝首脳会談
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どうなる? 米朝首脳会談

2018年6月12日、史上初めてアメリカと北朝鮮の首脳が対面した。会談の目的は朝鮮半島の非核化だが、トランプ大統領と金正恩委員長はギリギリまで駆け引きを繰り広げた。会談の成否は、東アジアの秩序に多大な影響を与える。世界が注目する両首脳の思惑を読む。

2018年6月12日、史上初めてアメリカと北朝鮮の首脳が対面した。会談の目的は朝鮮半島の非核化だが、トランプ大統領と金正恩委員長はギリギリまで駆け引きを繰り広げた。会談の成否は、東アジアの秩序に多大な影響を与える。世界が注目する両首脳の思惑を読む。

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一流のトランプ交渉術

 米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれる。ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮に対して「融和姿勢に転換したのではないか」との見方が出ている。果たしてそうか。私は「トランプ氏一流の交渉術」とみる。
2018年6月10日、シンガポールの国際プレスセンターで配られたトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の顔がデザインされた
うちわ(ロイター=共同)
 トランプ氏は1日、北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長とホワイトハウスで会談した後、記者団に「私は率直に『(非核化に向けたプロセスを)急がなくてもいい』と伝えた」と述べた。そんな発言をとらえて、例えば、朝日新聞は3日付朝刊で「開催ありき 非核化後退」と書いた。私は思わず「加計ありき」のセリフを思い出した。朝日新聞の単純なステレオタイプ(紋切り型)は、ここでも遺憾なく発揮されている。
 確かに、トランプ氏は会談が複数回になる可能性に言及したり、「最大限の圧力という言葉を使いたくない」と述べた。だが、よく考えてみよ。北朝鮮が国と体制の存続をかけて、半世紀以上にわたって開発してきた核兵器を、たった1度の米朝会談で完全に放棄するはずもない。前々回のコラムで書いたように、私はかねて「米国は少なくとも1回は破談にする」と予想してきた。その通り、トランプ氏はいったん中止を発表した。すると、狼狽(ろうばい)した金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が必死で哀願してきたので、開催を受け入れただけだ。
 トランプ氏は訪米した金英哲氏の頭を優しくなでるように、もてなした。それを朝日新聞は「開催ありき」などと書く。一体、どこを見ているのか。最初から「開催ありき」だったら、自分が中止を言い出すわけがないだろう。大統領は「コワモテ(強面)」と「ヤサガタ(優形)」の2役を使い分けているのだ。
 最大限の圧力をかけたと思ったら、首脳会談の申し出を受け入れる。だが、相手が調子に乗ったと見るや、すかさず中止を宣告する。そういう展開に、使い分けが明白に表れている。それは、関税引き上げを宣言したかと思えば結局、留保した中国との貿易戦争、あるいは脱退を言ったかと思えば、復帰検討を言い出した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題でも、同じだ。
 トランプ氏は一人二役を演じながら、相手を翻弄して、いつの間にか自分のペースに引き込むのを狙っている。これくらい「変身実績」があるのだから、朝日新聞もいい加減、「トランプ流の交渉術」に気がついたらどうか。思い込みで批判する浅薄な記事など、読む価値がない。
 あえて大胆に予想しておこう。正恩氏はトランプ氏の甘いささやきに乗って、また調子に乗って、自分たちに都合のいい話を首脳会談で持ち出すに違いない。それでも、多少は譲歩する。トランプ氏は、それをピシャリとはね付ける。2度目の会談日程は決まらないかもしれない。それで、次の譲歩を引き出す。ヤサガタはコワモテで動揺を誘うための呼び水なのだ。途中経過で一喜一憂する必要はない。(ジャーナリスト・長谷川幸洋「ニュースの核心」zakzak 2018.06.10

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