麻生氏「医療費あほらしい」は暴論か
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麻生氏「医療費あほらしい」は暴論か

「自己責任論」という言葉が近頃の流行りである。3年ぶりに解放されたジャーナリスト、安田純平さんに対してもそうだったが、不摂生で病気になった人の医療費負担をめぐり「あほらしい」と指摘した麻生太郎財務相の発言もまた物議を醸した。麻生氏の発言は暴論か、それとも一理あるのか。

「自己責任論」という言葉が近頃の流行りである。3年ぶりに解放されたジャーナリスト、安田純平さんに対してもそうだったが、不摂生で病気になった人の医療費負担をめぐり「あほらしい」と指摘した麻生太郎財務相の発言もまた物議を醸した。麻生氏の発言は暴論か、それとも一理あるのか。

舛添要一の直言

予防医療にも限界がある

怒る前に現実を見よ

揺らぐ日本の健康保険制度

 日本の健康保険制度は総合的に見て優れていると、筆者は評価している。多くの国民が比較的無理なく加入することができて保障が十分に厚い。医療費が高額になる場合の制度として高額療養費制度(ご存じない方はぜひ、ネットで検索してください)があるので、がん保険などの民間生保の医療保険はほぼ不要だ。医療費・薬価などを保険点数でコントロールする仕組みは、運用に難しさがあるとしても、供給側と需要側の間に情報の格差が大きな医療サービスや医薬の価格形成をうまく制御している。ところが、この世界に誇るべき日本の健康保険が揺らぎを見せている。
 日本の健康保険は、大企業や業界単位などで健康保険組合を作って加入する「組合健保」、中小企業などの社員が加入する通称「協会けんぽ」(運営主体は全国健康保険協会)、さらに企業で働いていない人などが加入する国民健康保険など、個々人の立場によって加入する健康保険が複雑に分かれている。扶養者を含む医療保険加入者の構成比は、おおよそ組合健保が23%、協会けんぽが29%、国民健康保険が27%といった具合だ。
企業内診療所=産経新聞東京本社
企業内診療所=産経新聞東京本社
 だが、企業や業界が作る組合健保の解散が増えている。例えば、9月21日に組合健保では全国第2位の規模を持つ人材派遣健康保険組合(扶養家族を含めて51万人が加入)が来年4月1日付で解散することを決めた。解散した組合健保の加入者は、協会けんぽに移行することになるが、そうなると本人と会社が折半で負担する健康保険料が少々上昇することになる場合が多い。健保組合は、協会けんぽの条件よりも保険料率を高くしないと維持できない場合に解散を決める傾向がある。協会けんぽには、国の補助金が毎年1兆円以上入っているが、これがさらに拡大する。
 健康保険制度には、医療費のどの範囲までを保険の対象にするか、特に今後急速に増える高齢者向けの医療費をどうするか、健保財政とも関連して保険料率をどうするかといった問題に加えて、保険の運営主体と健康保険の運営コストの問題がある。筆者は、そもそも組合健保が不要だと考える。加えて、勤労者が協会けんぽ、自営業者が国民健康保険と、働く立場によって加入する健康保険が異なることに適切な根拠は存在しない。
 もともと保険は加入者の数が大きくて質的な偏りが少ない方がうまく行く仕組みだ。また、医療は全ての国民が関わる可能性を持つサービスだ。健康保険は基本的に1つでいい。さらに踏み込むなら、税制がフェアなら財源は税金100%でいい。今日の技術を使うと、複数の制度や多数の組合といった人とコストの無駄を減らしつつ健康への啓蒙(けいもう)はできるし、保険としての効率を改善できよう。(経済評論家・山崎元「経済快説」zakzak 2018.09.27

深刻化する「踏み倒し」

私が財務官僚ならこうする

曲げない持論

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