ゴーン・ショック
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ゴーン・ショック

「ゴーン・ショック」が世界を駆け巡った。日産自動車のカルロス・ゴーン会長が自らの報酬50億円を過少申告したとして逮捕された。経営危機にあった日産をV字回復させた世界的カリスマ経営者ゆえに、その衝撃は計り知れない。ゴーン会長に何があったのか。

「ゴーン・ショック」が世界を駆け巡った。日産自動車のカルロス・ゴーン会長が自らの報酬50億円を過少申告したとして逮捕された。経営危機にあった日産をV字回復させた世界的カリスマ経営者ゆえに、その衝撃は計り知れない。ゴーン会長に何があったのか。

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ゴーンが残したこと

 ルノーと日産自動車は1日、主要部門の機能統合を拡大し、その枠組みに日産傘下の三菱自動車を加えると発表した。1999年に資本提携したルノーと日産は、2014年に研究開発、生産技術・物流、購買、人事の機能について統括責任者を任命し、1つの会社のような組織運営を進めてきたが、三菱を加えることでさらなる相乗効果を狙う。ルノーと日産は、両社の会長を務めるカルロス・ゴーン氏への依存を軽減するための機能統合だと主張している。しかし、機能統合を進めたら、ますますゴーン氏以外にはマネジメントできない会社になってしまうのではないか。
 ルノー・グループはブラジルに大きな工場を持っていて、ここで日産も製造している。さらに、ロシアの自動車大手アフトバスの株式を50%以上取得している。これらの経営もからむと、ますます複雑になる。統合が進むと、例えば三菱からみると不公平に思えるようなことも、ルノーのためにやらなくてはならなくなるだろう。
 英国の港湾都市サンダーランドに日産の大きな工場があるが、ここの出身の人が非常に優秀で、ルノーと日産の役員にもけっこう名を連ねている。日産出身者がゴーン氏の後継になるのではないかという期待もあった。ただ、ゴーン氏は優秀な人間が近寄ってきたら排除するところがある。中国の習近平国家主席と似ている。日産出身の日本人がゴーン氏の後釜になる可能性は非常に薄いと思う。
 ルノー、日産に三菱を加えた昨年1年の売り上げ台数は、フォルクスワーゲンとほとんど肩を並べて世界第2位(3位はトヨタ自動車、4位はGM)。これはゴーン氏の功績だ。しかし、ゴーン氏は自分以外の人間には経営はできないという会社にした。会社の継続性を担保できなかったという点では、ゴーン氏は経営者として落第点だ。
2018年11月20日、急落した日産自動車の株価を示すモニター
 ゴーン氏について、かつて私はプレジデント誌に「2つの上場会社の会長兼務は『利益相反』の可能性が生じる」「日産から破格の報酬を得ながら、ルノーとフランス政府のために日産を食い物にしている」などと指摘したことがある。
 すると、日産の某偉い人が「ゴーンさんはそんな悪い人ではありません」と抗議に来た。ゴーン氏のおかげで、タナボタで年収1億円になった役員たちからすれば、「この“ご恩”は決して忘れません」ということになるのだろう。私は「ゴーン・ウィズ・ザ・ウインド」(風と共に去れ)とツブやきながらも、いろいろ話したら、その方も納得してお帰りになられたが…。
 日産も、上の人はいいが下の人たちは大変だ。いきなりロシア・アフトバスの工場に行けと言われても困るだろう。三菱の社員も同様だ。要するに、ゴーン氏がやったのは、次の経営者が手も足も出ないような会社にした、フランス政府の言いなりになって延命した、ということだ。ルノーと日産の提携から十数年も経っているのだから、世継ぎのことをもっと真剣に考えないといけないのではないか。(大前研一のニュース時評 zakzak 2018.03.10)

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